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「・・・とは」「・・・人とは」を思索
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『スクール&教室運営のための「生徒集客バイブル」』佐藤仁

スクール&教室運営のための「生徒集客バイブル」スクール&教室運営のための「生徒集客バイブル」
(2008/06/12)
佐藤 仁

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学校、学習塾、各種教室、体験型レッスンなど、スクール産業は、デフレ下の日本でも着実に伸びています。

しかし、実態は、個人が講師として、小さな教室や講座を運営されている場合が、まだまだ多いのかもしれません。

著者は、子供向け英会話スクールを創業し、それを大きくして成功された方です。

実体験をもとに、商売としての教室運営法を、サービス業のノウハウはもちろん、製造業、小売業のノウハウも学んで、役立てていく必要があると言っています。

このような実践的なスクール運営ノウハウ本は、今まで少なかったのではないでしょうか。

この本の中で、教室運営ノウハウとして、役に立つと思えた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・経営はサービスだけでは成り立たない。サービスにマーケティングが加わって初めて経営になる

・講師は「インストラクター」という考えで生徒に接しないと、レッスンは「サービスの提供」という意識が持てず、生徒が満足するレッスンを与えることができない

・必要以上のコミュニケーションはいらないが、講師を含め社員全員のサービス力おもてなし力の向上が必要になる

・見込み客の都合を確認してから体験レッスンを案内するスクールがあるが、それは間違っている。相手の都合に合わせるより、こちらから特定の日時を指定した方がかえって信頼される

レッスンの品質を一定にする必要がある。簡単に言えば、楽しさ、わかりやすさに大きな差が出ないようにするということ

・客が求めているレッスン内容を具体化してクラスを作ること。これが商品開発のポイント。多くのスクールでは、商品開発というよりか商品検索に走る傾向がある。要するに大手スクールが行っている新しいレッスンをマネする

・目標とすべき損益構造は、「営業利益10%」「講師料は売上高の20%」「宣伝広告費は売上高の10%」「地代家賃は売上高の15%」

・顧客の外見や内面の問題を解決して対価を得る産業は「コンプレックス産業

・子供の習い事のデータでは、お母さんの悩みは「お金」「時間」「継続」。また、3割の人が習い事に月額2万円以上使っている

・成人の6割以上が生涯学習をしたいと考えている。始めるなら趣味的なものからで、他の人と親睦を深めたり、友人作りを求めている

・「時間がある人」「お金がある人」「結果をすぐに求めない人」という条件は、スクールでの有力なターゲット

・プロのデザイナーによるキャラクター作成には費用がかかるが、イメージ戦略には重要

・生徒募集時期を限定してしまうことにより、本来集客できる客を逃してしまうこともある。カリキュラムの問題もあるが、随時募集して、途中入会の生徒も問題なくできるカリキュラムを考えればいい

・スクールの新規客の集客方法のベスト5は、
1位「口コミ」 2位「折り込みチラシ」 3位「地域情報誌などへの広告」
4位「インターネット」 5位「公共の場の掲示板」

・「2対6対2の法則」とは、10名に面談したら
2名は、必要性を感じ、すぐに入会してくれる人
6名は、緊急性を感じていなく、迷っている人
2名は、全く興味のない人
ということ

・すでに多くのスクールがあれば、必要性を感じている2名は、既存スクールに入会している可能性が高い。その地域でチラシなどのマス媒体を使って宣伝してもあまり効果はない

・体験レッスンの日時設定は、その日を含めて3日以内にする。契約率は3日以内が80%、6日以内が60%、6日以上が40%。「鉄は熱いうちに打て」でないといけない

・教材販売をしないかわりに「年会費」を導入。年会費の徴収は、途中でやめるのはもったいないよと無言で語りかけてくれる。これは、高額の教材販売と同じ効果を生む

退会理由で多いのは次の3つ
距離が遠くて(距離に対する不満)
実はお金がなくて(金銭に対する不満)
子供が行きたがらないので(スクールに対する不満)

経営を安定させるための、副収入になるのは、
「簡単な教材を作成して販売」(絵カード、自宅用教材など)
「イベントの実施」(夏休み北海道キャンプ、短期海外学習、冬休みスキーキャンプなど)
などがある



著者は、理論と実践の繰り返しで、スクール運営のノウハウを身につけてきたのだと思います。文章に説得力があります。

自己固有のノウハウを、お金に換える手段として、講座、教室を持つことも大事です。また、どんな会社でも、集客のためのセミナー運営などで、スクール運営のノウハウが必要になっています。

人の知識、ノウハウをお金にする仕事に携わっている方には、非常に役に立つ1冊ではないでしょうか。
[ 2010/01/31 08:29 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『暗示力を磨け!』武藤安隆

暗示力を磨け!暗示力を磨け!
(2008/05/14)
武藤 安隆

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子供のころ、先生から言われたことは、結構憶えているものです。特に、褒められた時のことは、ずっと憶えています。

その後の人生に、その言葉が、大きな影響を及ぼしているようにも思います。言ってみれば、先生の褒め言葉という暗示にかかってしまっているのかもしれません。

自分自身も、先生、上司、お客さんから褒められたことは、ずっと憶えています。
例えば、
・絵上手いね
・書道を本格的に勉強したらどうだ
・報告書のまとめ方いい出来やね
・話の説得力あるね
・分析力すごいねえ
などと言われた何気ない一言(他者暗示)が自分の心のよりどころになっているようにも思います。

この本の「暗示力を磨け」の後半部分は、著者の専門分野の催眠療法の具体的手法が書かれていますが、前半の「暗示に対する考え方」だけを読んでも、暗示効果を実感できるのではないでしょうか。

この本の前半だけでも、参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・心の持ち方は言葉の使い方と密接に結びついている。口に出すにしろ、心の中で思うにしろ、自分の使った言葉に暗示されてしまう。心を上手に運転するには、暗示を効果的に利用することが重要

・心の余裕が持てず、イライラ、カリカリして、「ムカつく」「早くしろ」「まったくもう」などの言葉を思ったり、発したりするのは要注意。この「小さな不幸」に遭遇したとき、気をつけないと、自分をさらに不幸な状態に追い込む

・イライラ、カリカリするのは、本当はそうしたくないけれど、ついそうしてしまっている。つまり、「意識」ではなく「無意識」がやっている。この無意識の中には、「アンハッピーマインド」が存在している

・過去の不幸を記憶し、同じ不幸を選ぶのが「アンハッピーマインド」。過去の幸福を記憶し、幸福を選び、生み出すのが「ハッピーマインド」。問題は、ハッピーマインドとアンハッピーマインドのどちらが強いか?ということ

・強力ハッピーマインドの持ち主は、子供のころに、非常にポジティブな人の影響を受けた(ポジティブに考える両親に育てられた)か、人生の途中で大きな出来事に遭遇して、人生観がガラッと変わったかのどちらか

・「周りの人ができるのに、自分はできない」状況は、子供にとって劣等感のもとになる。そのとき、そばにいる大人が「今はできなくても、そのうちできるよ」と励ますとハッピーマインドが育つ。笑ったり、馬鹿にすると、アンハッピーマインドが育つ

・子供のころ、しょっちゅう嫌な目に遭った人は、「また嫌なことが起きるんじゃないか」と心配するようになる。そして、実際に嫌なことが起こる度に、心配する気持ちが強くなり、やがて心配癖が定着する

・漠然とした自信のなさ(劣等感)は、本人が自覚してストップをかけない限り、アンハッピーマインドがその自信のない状態を続けようとする

・「これさえなければ」「あれさえあったら」と嘆くのは、不満の種を見つけ出しては、自分で自分を不幸にする心の癖。それは、アンハッピーマインドがやっていることに気づくことが大切

・暗示には「他者暗示」と「自己暗示」がある。他者暗示にはプラスの暗示マイナスの暗示がある。私たちは他人の言葉によって、何らかの影響を受けている。言葉を発した人たちから、意図的ではないが、暗示をかけられている

・マスメディアから大量に流れてくる言葉は暗示となって、私たちの思考、感情、行動、生き方にまで多大な影響を与えている。まさに、暗示漬けの毎日を生きている

・他者暗示にかかるかどうかは、「自分がそれを受け入れるかどうか」にかかっている。これは「他者暗示であっても、最終的には自己暗示」ということを意味している。つまり、「結局、みんな自己暗示」

・他者暗示であろうと、自己暗示であろうと、ネガティブな暗示は断固拒否し、常にポジティブな自己暗示を続けているのが真の暗示力

・自己暗示の効果を上げるには、アンハッピーマインドが働かないようにする必要がある。そのために役に立つのが「トランス状態」。ウトウトとまどろんでいる状態、リラックスして、多少ホワーンとした状態のこと

・自分に向かって「あなたは」「きみは」という他者暗示的自己暗示(人に言われている声を聞く)の方が、「私は・・・です」「僕は・・・できる」の自己暗示より、ずっと勇気づけられ、自信が持てると言う人が多い

・どういう思いであれ、抱いている思いがその人の現実を作り出していく。暗示力というのは、暗示によって否定的な思いを肯定的なものに変え、人生をより良いものにしていく力のこと

・手帳に暗示文を書き、毎日それを見るのもひとつの手。携帯電話に暗示文をメールにして送信する手もある。その場合、他者暗示的自己暗示にして送ると、誰かに言われているようで、勇気づけられ、励まされる



記憶は不確かですが、昔読んだ、天才バカボンの漫画の中で、猫のニャロメが、周りのみんなから、「お前は犬だ!」と言われ続けます。

当初は、「俺は猫だニャロメ!」と強く言っていたのが、だんだん自信がなくなり、とうとう最後に、「俺は犬だワン!」と言ってしまいます。

このシーンが印象に残っているのですが、この話は、暗示の怖さを物語っているように思うのです。

このように、他者から悪い暗示をかけられないよう、自分にいい暗示をかけるように、自分を見張っておかないと、人生が間違った方向に進んでしまうのではないでしょうか。

そうならないためにも、暗示力を磨く必要があると思います。

人生が思いどおりになっていないと思える人は、再度、いい暗示をかけるために、この本を参考にすべきなのかもしれません。
[ 2010/01/29 09:46 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『神様に選ばれるただひとつの法則』三浦博史

神様に選ばれるただひとつの法則~人生を勝利に導くコミュニケーション術「プロパガンダ」~神様に選ばれるただひとつの法則~人生を勝利に導くコミュニケーション術「プロパガンダ」~
(2007/10/05)
三浦博史

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三浦博史氏は、選挙プランナー選挙参謀として活躍されている方です。しかも現役バリバリなので、最近の選挙に勝つ方法を熟知されています。

この本を読んで、われわれ選挙民が考える、現代の人気者とは?どんな人なのか知ることができました。

人気者になる秘訣がわかれば、商売においても、仕事においても、成功が保証されたようなものです。

この本で、納得しながら読めて、参考になった箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、これらを紹介したいと思います。


・なぜ、「自己PR術」と「コミュニケーション術」が重要なのかと言えば、人生は人気投票だから

・あなたの人生がうまくいくかどうかは、「あなたの味方になってくれる人」「あなたを理解してくれる人」「あなたを応援してくれる人」が何人いるかで決まってくる。このように、人生で成功するためには、多くの人に理解され、支持される必要がある

・プロパガンダとは、「自ら働きかけて自らの思う方向に他人や集団を動かすこと」。つまり上手な誘導。これは、「自分の意図を個人や集団が自発的に受け入れるように仕向ける」宣伝力ということ

選挙PR宗教PR商業PRのすべてがプロパガンダ。こちらから働きかけて、投票したい、信者になりたい、商品を買いたいと思わせ、実際に行動をとらせることができればプロパガンダとして成功

・選挙PRと宗教PRには、多くの共通点がある。その共通点こそ「熱伝導」。その人に投票したい、信者になりたいというのは熱伝導によって広がる。熱が高いほどメッセージは確実に広がっていく

・人や集団を動かす基本は一つしかない。古今東西を問わず「熱伝導」と「インスパイア

・現代のプロパガンダで最も先進的なところと言えば、アメリカのハリウッドがその代表格。完成した映画をいかに多くの人に見てもらうか(興行成績を上げるか)、その成功のために、プロパガンダのプロたちが、頭と金を使っている

・バッドマンでもスーパーマンでも必ずヒーローに匹敵する大物の悪玉が必要。二極対立を浮かび上がらせ、相手を悪玉にする手法は「ザ・クイズ」と呼ばれている

・日本人は大きな誤解をしているが、アメリカのネガティブキャンペーンの神髄は、事実に基づいて、相手候補を批判する(フェアなパンチを浴びせる)ところにある

・比較的短期間に自陣営を有利に持っていく手法としてサプライズ手法があり、風向きを変えさせる効果がある。どれだけ人々を引きつけるような大きな驚き、インパクトを提供できるかが勝負になる

・コンプレックス(足りない部分)をカバーしてPRすることを「コンプレックスカバー」と呼び、プロパガンダの手法の基本。自分に足りない部分をカバーしてくれる人とタッグを組んだり、欠点を補完し合うことを意味する

・「仕事の能力があるない」以上に、「かわいい、かわいくない」といった好感度嫌悪度で出世が決まる。実際、上司から見て自分の後任を決める際、「裏切らない奴」と思われている人の方が、仕事ができる人よりも出世することが多い

・公開討論会で重要なのは、相手候補に議論で勝つことではなくて、あくまで候補者としての自分の好感度を有権者に高めるアピールをすること。議論に勝っても、空間(議論している場所)を出た後で、「やっぱり相手の方が良かったな」と思われたら負け

・アメリカの選挙プランナーがよく使う言葉に「インスパイア(入魂)」と「インパクト(印象)」がある。インパクトをPRするにもインスパイアが必要。インスパイアされたものが熱源となり、熱伝導を起こさなければプロパガンダは成功しない

・選挙事務所に行って陰気だと感じたら、陽気な人間、若い人を入れると陽気になる。高齢者の患者しかいない陰気な病院に、誰かの孫がお見舞いに来たら、陽気な雰囲気にがらっと変わる。同じように、仕事を成功させるにはチーム内の空気を陽にすること

・丁寧に心を込めてつくったものは、インスパイアされる。また、新しいチャレンジも、インスパイアされる。欧米では「ニューヒストリー」という言葉が使われるが、マンネリ化せず、常に新しい歴史をつくろうとする意欲、情熱がインスパイアの第一歩

・現代は、かつての大衆を相手にした扇動的なプロパガンダでは人は動かない。熱伝導によってプロパガンダが一人一人の個人に浸透していき、最終的に多くの人々を動かすことができる

・ピラミッドの頂点からいくら指令を出しても、なかなかその構成員は動かなくなった。選挙で人や集団を動かすためには、火と同様、熱伝導で下から上へ伝えていくのが最も効率がいい。今の時代は底辺からプロパガンダした方が効果的

・熱伝導で「この人のここが好き!」「ここがすごい!」「ここが素晴らしい!」と伝わる重要な要素は感動。感動にはメッセージとなりうる「情報」が必要となる

・感動という点でいえば、最近、選挙候補者の駅前辻立ちは、乗降客の多い通勤時間帯より、始発や終電の時間の方が効果的になってきている

・背水の陣が熱い熱源をつくる。失敗したら後がない、失敗したら辞めなくてはいけないといった気持ちで臨むと、周りの人たちにも熱伝導が起こり、上手くいく可能性が高まる

・成功している政治家や芸能人といった「外見力」を重視する人たちは、朝、家を出てから、夜、ベッドに入るまで、最高の自分を演じる「心の化粧」をしている人が多い

・「心の化粧」のトレーニングには、「自分がいいと思った人をマネる」ことと「一番すてきに写っている自分の1枚の写真をいつも見て、その顔と同じ顔をする」こと

・人間は真実を話す時、大きな声は出さず、やや控えめな声でゆっくり話す。「もの静かにゆっくり話す」と相手に安心感を与える。声は外見をサポートする大きな武器

・目線は相手を直視、またはやや下から見上げることが基本。目線のポジションによって、偉そうに見られてしまい、好印象を与えられなくなる

・松下幸之助は、「愛嬌があれば、人に好かれる、人に助けられる。後々伸びていくのはそういう人間や」「立派で優秀な人間でも運がないと、何をやっても成功せん。そういう人を集めたら組織は成功せんのや」と面接時に、最も重視したのが「愛嬌」と「運の良さ

・「勝てそうな人運の良い人」の見分け方の一つは、年齢に関係なく「元気」と「気力」がみなぎり、この初心を忘れない「謙虚さ」を兼ね備えている人。ワクワク、ドキドキしながらスタートラインに立つ、緊張した気持ちをいつも大切にしている人に運がつく



選挙に勝つということは、戦国時代で言えば、戦争に勝つことを意味します。つまり、命を懸けて背水の陣で臨むことが求められます。

この現代の戦に勝つための最適の方法論が、この本に、載っていました。仕事だけでなく人生の処世術にも、応用できます。

視点を変えて読めば、本当に役立つ1冊になるのではないでしょうか。
[ 2010/01/28 08:10 ] 営業の本 | TB(0) | CM(0)

『運と気まぐれに支配される人たち-ラ・ロシュフコー箴言集』

運と気まぐれに支配される人たち―ラ・ロシュフコー箴言集 (角川文庫)運と気まぐれに支配される人たち―ラ・ロシュフコー箴言集 (角川文庫)
(1999/06)
ラ・ロシュフコー

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ラ・ロシュフコーは、世間一般には、それほど知られていません。

私も、読んでよかった本の多くに、その名前が登場することで、存在を知りました。それは、つい10年前くらいのことです。

ラ・ロシュフコーは、今から400年ほど前に、フランス貴族の子息として生まれました。後に公爵となり、ルイ13世に使えて活躍します。

ところが、陰謀と策略にはまり、ルイ14世摂生後、失脚しました。そして、屈辱の身で故郷に帰り、失意の中で、文人となった人物です。

生涯に、たった200ページほどの小冊子を書いたにすぎませんが、世界文学の中で異彩を放つ存在になっています。

この箴言集は、ニーチェ、トルストイ、芥川龍之介など、数多くの作家たちの座右の銘となり、大きな影響を与えてきました。

この本には650の箴言がまとめられています。その中で、人間観察の鋭さに感銘した箇所が35ほどありました。「本の一部」ですが、それらを紹介したいと思います。



自己愛は、この世で最もずるい奴より、もっとずるい

・情念はえてして、最も有能な人物を愚か者にする。かと思えば、最も愚かな人を有能にもする

・偉人たちといえど、非運が続けばついに屈服してしまうところを見ると、彼らが今まで耐えてきたのは、野心力によるものであって、魂の力によるものではないことがわかる

・私利私欲は、あらゆる言葉を喋り、あらゆる役柄を演ずる。無私無欲の役までも

・哲学者が富を軽蔑したのは、自分たちの値打ちを認めてくれず、財産を恵んでくれなかった運命の不正に復讐してやろうという欲求のせいである

・沈黙とは、自信なき者の最も安全な手段である

・われわれが敵と和解するのは、こちらの体勢を立て直したいか、戦いに疲れたか、はたまたこちらの形勢が悪い、というときに限る

・われわれは、人とつき合う場合、とかく、長所より、短所のせいで気に入られる

・たまに自惚れることでもなければ、この世にそう楽しいこともあるまい

・最も抜け目のない連中は、いつも策略を非難する振りをし続ける。ここぞというとき、これぞという利益を狙って、それを用いるために

・人は、ふつう、誉めてほしいから、誉めるのだ

・お世辞は贋金である。われわれの虚栄がこれを流通させる

・清廉、誠実で、礼儀正しい振る舞いが、はたして、誠意の現れなのか、抜け目のなさなのか、判断するのは難しい

・われわれが新しい知り合いの方に傾いていくのは、旧友に飽いたとか、変化を喜ぶとかというより、われわれを知りすぎている人たちに、それほど敬服されていないのが気にくわないのだ

・われわれは、ある人の栄光にけちをつけるために、別人の栄光を称えたりする

・まことの紳士とは、何事も、自慢しない人のことである

・流行歌みたいな人がいる。ちょっとの間、歌われるだけだ

・たいていの人は、人間を評価するとき、その人の人気か運しか見ない

・名誉は好きで、恥辱は嫌い。立身出世はしたいし、安楽で快適な暮らしは送りたい。他の奴らにも負けたくもない。こういう気持ちが、世にもてはやされる勇気の動機である

・完璧なる勇気とは、皆が見ている前でできることを、誰も見ていなくともできることだ

・悪人にでもなれる力を具えていなければ、善人だと誉められる資格はない。つまり、お人好しなど、まずたいてい、意志の怠惰か無力か、そのいずれかにほかならない

・礼節とは、自分にも礼儀を返してもらいたい、礼儀正しいと思われたい、こんな願いの現れである

・素朴らしく振舞うとは、いかにも手のこんだ詐欺である

・全然偉いと思わない人々を、好きになるのは難しい。かといって、われわれよりはるかに偉いと思う人々を、好きになるのも難しい

・こちらの方から良いことをしてあげよう、という立場にいるかぎり、恩知らずには出会わないものだ

・われわれが小さな欠点を白状するのは、ひとえに、大きなものは持っていないと承知させるためだ

・小人物は、小さなことにひどく傷つく。大人物とは、何もかも知り尽くし、少しも傷つかない人のことだ

・人間一般を知るのはた易いが、一人の人間を知るのは難しいのだ

・親切なつもりの人々が、ふつう持っているのは、ご機嫌とりか、気の弱さか、そのどちらかにすぎない

・人は、ふつう、悪意より、虚栄のために、悪口を言う

・無い気持ちを有るように見せかけるより、有る気持ちを無いように包み隠す方が、難しい

・葬式の派手なのは、死者の名誉より、生きている人の虚栄と関係が深い

・人に好かれるという自信が、しばしば、その人を好かれなくする



ラ・ロシュフコーの文章は、誰もが持っている人間の現実を抉り出すので、つい目を背けたくなります。

こういう箴言が嫌いな方もいると思いますが、組織の中で働き、自分以外の人たちを背負って生きている人は、目を離すわけにはいかないはずです。

というのは、現実に目を背けて、正しい判断を下すのは難しいからです。そういう意味で、リーダー必携の書でもあります。

人間嫌いになる前に、是非読んでおきたい1冊です。

『本多静六-人生を豊かにする言葉』

本多静六 人生を豊かにする言葉 (East Press Business)本多静六 人生を豊かにする言葉 (East Press Business)
(2006/03)
本多 静六池田 光

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本多静六と言えば、勤倹貯蓄を唱え、巨万の富を築いた資産家として有名になっています。

しかし、本当の姿は、明治期にドイツに留学、その後、東大農学部教授となり、数々の公園を設計した人です。

明治期後半~昭和初期にできた、全国に今も残る大きな公園のほとんどすべてが、本多静六の開発、設計及びその関与によるものです。

本業である公務を立派にこなしながら、巨万の富を築いたところが、非凡極まるところです。

この本は、本多静六が遺した、「お金」「仕事」「人生」に対する考えを網羅した書です。まさに、「人生を豊かにする言葉」のオンパレードです。

その中で、私自身、ためになると思えた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・本業第一たるべきこと。本業専一たるべきこと。一つのことに全力を集中して押し進むべきこと。これが平凡人にして、非凡人にも負けず、天才にも負けず、それらに伍してよく成功をかち得る唯一の道である

・人間奮起するのに、いまからではおそいということは決してない。本人一代のうちに余年がなければ、きっとだれかが代わってこれを完成してくれる

・「時を見る」のと「時を待つ」のが成功の秘訣で、時を味方に引き入れなければ何事も成就するものではない

・貧乏や失敗は、人間が一人前になるのに、どうしても一度はやらねばならぬハシカだから、同じやるなら、なるべく早いうちにやるがいいねえ

・貧乏に強いられてやむを得ず生活をつめるのではなく、自発的、積極的に勤勉貯蓄につとめて、逆に貧乏を圧倒するのでなければならぬ

・子供自身が必要な財産を自ら作り得るよう教育練成をほどこし、親のこしらえた財産などは、一切当てにしない人間にすることが、はるかに重要な問題である

・「老人自戒七則」
1.名誉やお金や歳にこだわらず努力を楽しむ。ただし、他人の名誉などは尊重する
2.人の話を傾聴し、問われない限り語らない
3.自慢話、昔話、長談義を慎み、同じ話を繰り返さない
4.若い人の短所、欠点、失敗を叱らずに、相手の立場に立って善後策を助言する
5.若い人の意見、行動、計画をできるだけ生かし、さらに引き出していく

・人生の最大幸福は職業の道楽化にある。富も、名誉も、美衣美食も、職業道楽の愉快さには比すべくもない

・人に好かれる交渉術
十分に人の意見を聴いた後に自説を持ち出す
人の意見の尊重は、結論の共同責任を負わせ、皆の感情を損なわせない
何から何まで自分の考えどおりに運ぶと、実行段階で誰も協力してくれない
大事な骨子だけは守って、あとの七八分は他人の意見に花を持たせる

・金儲けを甘くみてはいけない。真の金儲けはただ、徐々に、堅実に、急がず、休まず、自己の本職本業を守って努力を積み重ねていくほか、別にこれぞという名策名案はない

・常に明るい顔、明るい態度がとれるならば、人からも可愛がられ、引き立てられ、やがては華々しい成功の基となるのである

・自惚れの「大出し」はいつも禁物。人に目立たぬよう、人に笑われぬよう、人にそしられぬよう、ジワジワと「小出し」にするに限る

・世の中には、即時即決を要する問題も多いが、また往々にして、この「知らぬ顔」が一番いい解決方法になる問題も少なくない

・人間とは計画生活を行う動物なのだ

・老衰にはだいたい二種類あって、頭のほうから年をとる人と、足のほうから年をとる人とがある。その両方を年とらないように心掛けておりさえすれば、だれでも、いつまでも、元気に働きつづけられる



この言葉の数々は、大学教授というよりか、活力漲る実業家が発したもののように感じました。

本業を持ち、その仕事を疎かにせず、しかも裕福になりたいと考える人。要するに、人生を豊かにしたいと思う人には、今昔関係なく、参考になる本ではないでしょうか。
[ 2010/01/25 09:03 ] 本多静六・本 | TB(0) | CM(0)

『エドガー・ケイシー名言集-知恵の宝庫』

エドガー・ケイシー文庫031 知恵の宝庫?エドガー・ケイシー名言集エドガー・ケイシー文庫031 知恵の宝庫?エドガー・ケイシー名言集
(2006/02)
林 陽

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10代~20代のころ、スピリチュアルなものが好きで、多くの本を読みました。30年以上前に、すでに、エドガー・ケイシーの本を2冊読んでいました。

今は、霊的な存在について、あるかもしれないし、ないかもしれないと考えており、証明できないことなので、発言はできるだけ控えています。

しかし、個人的には、今でも好きで、そういう書物を読んだり、パワースポットと言われる所に行ったりしています。

エドガー・ケイシーは、アメリカの霊能者預言者であり、前世鑑定、医療診断などを行っていました。すでに亡くなって65年が経っています。

彼は、膨大な口述筆記を遺しており、素晴らしい言葉がいっぱいあります。その中から「知恵の宝庫」となる文章を900弱選び、翻訳したのが林陽氏のこの本です。

この本の中から、さらに、オカルト的なもの、宗教的なものをできるだけ除き、自分なりにいいと感じた言葉を選んだら、30ほどになりました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・機会は常に存在するのであり、けっして遠ざからない。機会を生かすこと。使いこなすこと。これが幸運な人生を作り上げる

・愛は自分の中にあるものを捨てること。これは誰もが学ぶべき最初の課題

・幸福とは自分を離れたものを愛すること。自分しか愛せない人は、けっして幸福を知ることができない

信頼される人になりたければ人を信頼すること。友達がほしければ友達になること。能力がほしければ持っている能力を使うこと

・ささいなことが、人生経験と人間関係を作り上げるもの。あなた自身の気持ちに誠実であること。そうすれば、人を欺けなくなる

・他人の陰口をたたいたり、欠点を探し回る人は、自分の欠点をさらしているようなもの。自分の吐いた言葉は、いつか自分に返ってくる

・あら探しをやめること。そうすれば、多くの欠点があなたから消える。よいことが言えないのなら黙っていること。最悪といわれる人にもよいところがあるもの。それなら、最善といわれる人が他人の悪口を言うのは矛盾している

・自分を責めてはならない。自分を責めることは、人を責めるのと同じほどの過失

・思いも「物」。思いは、思いに働きかけて、目的と活動を呼び起こし、人生をかたどる

・思いは行い。思いは、行動に移す選択の力によって、犯罪も奇跡も生み出す。誰でも、思想を表現する「内なる生」と、目に見える「外なる生」の二つを生きている。あなたはこの二つを一致させているだろうか

・ささいなことで腹が立つときには、自分に落ち度がないか探ること。理想に照らしてみて、自分に過失がないとわかっても、声をあげてはならない

・疑いの念を抱き続けている間は、あなたは壁を作っている

・人は多くを期待すれば、多くを得る。ほとんど期待しなければ、ほとんど得ない。何も期待しなければ何も得ない

・忍耐、辛抱、粘り強さはすべて徳に直結する。しかし、他人から強制されて、その意のままになり、自分を省みずにいることは徳ではない

・自分のしていないことを人に求めてはならない。生きた実体験としていることだけを、人に求めること。このような生き方をすれば、平和の多い人生を末永く過ごせる

・成長すればするほどあなたの理解も増してくる。理解の広がりと共に、あなたは、ますます謙虚に、辛抱強く、忍耐強くなる

・過去は後ろに置き、今、あなたのいるところから始めること

・絶えざる成長が魂の目的

・成功が生きる目的になってしまえば、地位と財産が失われることが往々にしてある。成功は常に結果であるべき

・進歩しようと退歩しようと、そこには動きがある。何よりも肝心なのは動くということ

・横に立って自分の移り変わる姿を見つめること

・誰にでも就ける優れた仕事が家庭。家庭作りほど優れた職業はない。それは魂が究極的に求める紋章のようなもの

・あなたは自制を学ぶまでは結婚してはいけない。弱い相手を支配しようとするから。人は支配されるべきものではない。導くべきものであって、強いることはできない

・悪意をもってはいけない。悪意は争いしか生まない。怒りを抱いてはならない。怒りは心身を混乱させるだけ

・若さを保ちたければ、いつも朗らかでいること。いつも愛想よくすること。いつも親切にすること

・人は楽な方法では成長しない。神は愛する者を鞭打ち、愛する者を試す

・歩むべき道は日々示されている。あきらめる人は道を見出せない

・正しい決断をするには、まず、自分の心に問いかけて、「はい」か「いいえ」で答えを得る。次に瞑想して、深い意識に同じように問いかけること。二つが一致すれば、行動に移すこと

・過去の光景、今の光景、未来の光景が夢に現れる。潜在意識には、過去も未来もなく、すべてが現在

・わがままやうぬぼれや自慢のために人生を利用する人は、自分自身を堕落させて、後で償わなければならない

・人間の思想と行動は、時間と空間を貫いて、そこに記録を残す。思考し行動した結果が今のあなた

与えること。それは4倍になって戻ってくる。受けたければ、とことん与えること



霊能者、預言者の言葉なのですが、言っていることは、古今東西の知恵者が遺している言葉とあまり変わらないと思います。

普遍的なことは、こちらの世界でも、あちらの世界?でもそんなに違いはないのかもしれません。

エドガー・ケイシーの本は、スピリチュアル入門書として、面白いのではないでしょうか。
[ 2010/01/24 09:34 ] 人生の本 | TB(0) | CM(2)

『ブッダの幸福論』アルボムッレ・スマナサーラ

ブッダの幸福論 (ちくまプリマー新書)ブッダの幸福論 (ちくまプリマー新書)
(2008/02)
アルボムッレ スマナサーラ

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著者はスリランカ仏教界の長老です。1945年生まれ、13歳で出家得度、1980年に来日。現在は、日本の仏教協会で、初期仏教の伝道と瞑想指導に従事されています。日本語の著書も数多くあります。

この著書は、ブッダが説いた真理を分かりやすくまとめています。ブッダの教えを、日本人が書くと、哲学書のようにとかく重くなりがちです。しかし、この本は読みやすくて、さっと流し読みすることもできます。

ブッダが唱えた生き方でためになった箇所が25ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・ブッダの教える道は、「物に依存しない生き方」「世の中の評価に依存しない生き方」

・世の中の大人たちは、一部の人がたまたま宝くじに当たったような感じで実現したことに「幸せ」と名前をつけている。それらは、私たちが目指す「生き方・生きる道」にはならない

・私たちが生きる道、幸福の境地は、どんな生命にも、どんな人間にも達することが可能なものでなければならない。それが、差別思考を捨てた「ブッダの幸福論」の基本的考え方

・世の中でもてはやすような、稀な人にしか達成できない夢が「人生の夢」になってはならない。そういう人生を目指すのではなく、自分が持っている能力をフルに生かしながら、なおかつ「幸せに生きる」ということが大事

・世の中で言う「大人になる」という言葉の意味は「楽しく生きることを早く辞めろ」ということ。「真面目に勉強しろよ」「しっかりやりなさいよ」とかライバル意識など暗い感情を煽って叩き込み、結果として、神経質で怯えた暗い人間にしてしまっている

・世界中のどんな人間であっても、人間には人間の生き方があって、それは「学ぶ」「仕事をする」「社会と関係する」という三つの行為の中に収まる

・子供がわがままを起こして、勉強はつまらないから学校に行きたくないというのは、生命の法則を破っている。魚の群れも「魚として生きるために学ぶべきこと」は、文句を言わずに学んでいる。人間も学ぶべきことは学ばなくてはいけない

・生命の関係には二種類ある。第一は「命を支えてくれる関係」、第二は「関係ないという関係」。生命はお互いの生命を支え合っている。危険な生き物は殺してしまえという発想はナンセンス。危険な関係を持たないでいる態度が必要

・自然の摂理で、ひとつの種が突出して増えてしまうと困る。なぜなら、生命は他の生命がないと成り立たないから。一種の生命だけが増えてしまうと、生命のシステムがぜんぶ壊れてしまう

・ひとつの行為には、すべての人間との関係があるとわかる人は、とても行儀のいい美しい生き方をするようになる

・人間に生まれたら、その時点で人間としての義務が成立する。私たちは、その義務を否定する権利はない。だから、いきなり「これは好き、これは嫌い」と決め付けることはできない。好き嫌いが激しい人は、社会から追い出される可能性が高く、結果として嫌われる

・「勉強なんか嫌い」という権利は誰にもない。しかし、「何を勉強するのか?」という希望は社会が聞いてくれる。その選択肢の中から選ぶ場合、自分の好き嫌いがはたらいたっていい

・「好きな仕事ができれば最高に幸せだ」と言うが、それは正しくない考え方。好きな仕事を社会がくれても、本人が上手くやれないなら幸福にはなれない。どんな仕事なら自分は満点でできるのかと考えて仕事を選ぶ必要がある

・「好きを仕事に」とよく言うが、そうではなく「できるから楽しくなる、好きになる」というのが本当。好きな仕事があとから嫌になって苦しんでいる人も結構いる。だから、「できることを仕事に」が、一番うまくいく方法

・調べても調べても、なかなか見つからないのが「生きる意味」。調べて見つからないということは、ないということ。誰も見つけていないものは、ないと思ったほうがいい

・誰一人も、生きるために、みじめな思いをする必要はない。私ができることをやっているのだと、それを自慢できればOK

・生きる意味を問う必要はない。「しっかり生きているのか?」ということが、私たちの考える問題

・戒律とは生き方のこと。戒律には五つの項目がある。仏教用語で五戒と呼ばれる
1.不殺生(生命を殺さないこと。一つ一つの生命に生きる権利がある)
2.不偸盗(盗まないこと。「一人分」で生きること)
3.不邪淫(性欲を控えること。食欲と違い、性欲は限りがない)
4.不妄語(ウソを言わないこと。騙すことは人をバカにすること)
5.不飲酒(酒を飲まないこと。酒は大切な脳を壊す)

・やってほしいことは4項目。仏教用語で四摂事という
1.布施(社会のためになることをしてあげる)
2.愛語(聞く人が喜びを感じる言葉をわかりやすく語る)
3.利他(役に立つ人間になる)
4.平等(差別しない人は尊敬される)

・自分が生きるということは、他に生かされているということ。他の生命にも何かしてあげなければいけない。それが生命の基本。仏教では、それを「愛」ではなく「慈しみ」という。「慈しみ」こそが幸福に生きるための秘訣

・「みな、幸福でよかった。それで私も幸福だよ」という慈しみの心を私たちは育てなくてはならない。それが確実に幸福になる秘訣

・慈しみだけでなく、もう一つ育てるべき心がある。不幸に出会っている人々、苦しんでいる人々を見て、その苦しみがなくなってほしい、うまくいってほしいと期待すること。仏教では、悲(カルナー)と言う

・生命は平等であるということをしっかり感じる人は、多くの人々を助けることができるし、動植物も助けてあげることができる

・死の危険というのは、人生の中で、絶えず障害として出てくる。それを何とか避けること。それが生きること

・ただ生きて、年をとって死ぬ。それだけだったら面白くない。ブッダの提案は「智慧を開発すること」。つまり心を完全にきれいにすること。ブッダは悟りに達することが、死に打ち勝つことだと説かれている



「ブッダの幸福論」は、仏教の本なのですが、日本人の仏教観と違うところが多く、新鮮な気持ちで、仏教の基本的な考え方に触れることができました。

仏教の原点を、さらっと、知りたい方にはおすすめです。

さらに、生きることに、少し悩んでいたら、この本を読めば、今だけなく、これからずっと、悩まずに生きていくことができるのではないでしょうか。
[ 2010/01/22 08:13 ] スマナサーラ・本 | TB(0) | CM(0)

『ファミリーウェルス三代でつぶさないファミリー経営学』

ファミリーウェルス 三代でつぶさないファミリー経営学―ファミリーの財産を守るために (g.n.n.叢書)ファミリーウェルス 三代でつぶさないファミリー経営学―ファミリーの財産を守るために (g.n.n.叢書)
(2007/06)
Jr.,ジェームズ・E. ヒューズ

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この本は、アメリカのジェームズ・ヒューズ弁護士が、ロックフェラー家の子弟教育セミナーやペンシルバニア大学で行ったプログラム教本がもとになっています。

富裕ファミリーの指南書として、ファミリーウェルス(資産家ファミリーとその財産)にスポットを当てた内容です。

日本では、代々続く名家には、家訓や伝統的な慣わしが残っています。単に財産だけでなく、教育や文化的側面も大事にしています。

欧米でも全く同じだと感じました。お金を貯めるだけでなく、貯めたお金を子孫にどう引き継がせ、子孫の幸福を導く方法論がこの本には示されています。

一族の繁栄という観点で、お金を考えた場合、参考になる本です。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。


・ファッションに限らず、大量生産以外のビジネスは、ほとんどがファミリー・ビジネスによってマネージされている

・初代が苦労して築き上げた財産を、三代目が使い果たすという諺は、世界中で見受けられる。アメリカにも「三世代にわたってシャツの袖から袖へ」、つまり三代たったら、元のシャツ一枚しか残らない、という意味の格言がある

・ファミリーにとっての運命は、貧~富~貧(第一の創造段階、第二のステータスの停滞・維持段階、第三の散財段階)の三つに要約できる

・中国の諺に「三代目は先祖の水田に戻って野良仕事」というものがある

・ほとんどのファミリーが、資産というものが、知的、人的、財的の三つの資本から成り立っていることの認識を欠いている。人的、知的資産の財産保全なくして財的資産の保全が成り立たないというのが最も肝心な点

・忍耐とは、ファミリーが守るべき規律。長期にわたって財産を保全するという投資態度を持っているファミリーにとって、時間は誠実な友となる

・中国の儒教文化では、一族を守ることが最重要案件。中国文化における一族の資産保全とは、主に人的、知的資産を保全すること。そのために、一族は構成員一人ひとりの能力を引き出すために、最高水準の教育を受けさせる

・ファミリーの資産保全計画の要は、「ファミリー・メンバー自身が最も重要な資産」という事実に尽きる。ファミリー・メンバーの収入の損失に比べれば、いくら節税できたか?いくら経費を削減できたか?などは取るに足らない問題

・ファミリー・メンバーの学術、芸術での成功も、精神的支柱としてファミリーをサポートするので、全体的なファミリーの資産保全に貢献することになる

・莫大な財産を管理する某ファミリーは、ファミリー発祥の村に、毎年100人以上のメンバー総出の総会を開催し、現状報告や行事計画を協議するとともに、代々伝えられてきた「家憲」を再確認する。自分たちがどこから来て、どこに向かうのか、自分たちの特質は何なのか、皆で思い起こす

・ファミリーがメンバーを管理する際の問題点は、自分の子供、両親、祖父母、といった直系家族を中心とした人間関係に執着し過ぎて、他の氏族関係にある人々との連携関係を疎かにする傾向があること

・五世代以上にわたって繁栄しているファミリーを複数調査したところ、その共通点は、メンバーの生き方、価値観、そしてそれを実行するための管理方法を口述や文書によって、各メンバーに徹底的に教え込み、再認識させていたこと

共同意思決定こそがファミリーの管理制度の要。共同意思決定を認識することが、資産保全において重要

・優れたファミリー管理の最終段階は、行き過ぎを抑えて均衡をとるようにチェックする機能が重要

・ファミリーの管理制度の基本とは、ファミリーを構成するメンバーが、ファミリーの資産(人的、知的、金融資産)の長期保全というファミリー全体の目標に則って、個人の幸福を追求することにある

・息子たちに金を与えるのではなく、貸すこと。融資し、返済させ、商機を見つける努力をさせることで資金を再循環させて、長期的資産保全を図る

・ファミリーはメンバーの生活に必要な基本条件、衣食住を保証しなくてはならない。すなわち、メンバーが困窮している時には、幸福を追求する能力が回復するまで援助すべき

・ファミリーはメンバーが蓄積した知識を集積し整理し、ファミリー全体に普及させる手段を提供しなくてはならない

・ファミリーはメンバーの知恵を伸ばすよう努力しなければならない。ファミリーは、メンバーによるさまざまな能力から成り立っていて、その能力は知的資産の成長に重要

・ファミリーの使命宣言(行動方針、価値観、到達目標を明確にする)を作ることは、長期的な目標を達成する手助けとなる

・ファミリーでは、秘密を公にしないということは不誠実な行為の一つである。他のどんな問題よりも、ファミリーを蝕んでいき、遅かれ早かれファミリーを崩壊に導く

・ファミリーは自分たちの歴史を紐解く必要がある。ファミリーの歴史は個々のメンバーを結びつける「接着剤」の役目をする

・投資に成功しているファミリーは、実に緻密な資産配分計画を立てている。その投資商品は、普通株、社債、不動産、美術品や骨董品、ベンチャー・キャピタル、資源採掘権、ヘッジ型投資など多岐にわたる

・最年長メンバーの資産はファミリーの20年目標に合わせ、中間世代メンバーは50年目標に合わせる。最若年メンバーの投資は最も大きな成長が見込める、100年目標に合うもの

ファミリー管理において、プロテクター(監督者)、アドバイザー(助言者)、メンター(保護者)の役割、機能が必要

・おじとおばが甥と姪の成長に不可欠な役割を担っている。第二の両親としてファミリー管理のメンターとなっている



一族が繁栄する方法論は、まるで老舗の経営法と同じように思いました。考えてみたら、老舗=富裕ファミリーなのかもしれません。

商売で末永く成功されたい方、資産をどう次の代に引き継ぐかを考えられている方には参考になる1冊ではないでしょうか。
[ 2010/01/21 00:36 ] 商いの本 | TB(0) | CM(0)

『相場師スクーリング』林輝太郎

相場師スクーリング相場師スクーリング
(1994/08)
林 輝太郎

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相場師というと、いかがわしい雰囲気もありますが、エネルギッシュな人、新しい時代を切り拓く人というプラスの見方もできます。

例えば、谷崎潤一郎の父、福沢諭吉の養子、松下幸之助の父、渋沢栄一の従兄も相場師でした。永井荷風本人は株取引で資産運用していましたし、夏目漱石本人も満鉄株を大量に保有していました。

このように、世に名を残す人は、本人または周辺の親族に、お金のにおいに敏感な人たちが多いのは事実です。

逆の見方をするならば、清濁併せのむ度量がなければ、世に名を残すことができないのかもしれません。

林輝太郎氏は、大正生まれの相場師です。著書も数多くあります。この本は、相場で儲けるための基本、心構え、考え方が書かれています(具体的手法にはあまり触れられていません)

しかし、その心構えや考え方は、商売で財をなした人のそれとそっくりだと感じました。職業に貴賎なしと同様、金儲けにも貴賎なしということではないでしょうか。

この本の中で、勉強になった箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・碁や将棋の「棋力」というのは、知識のことではない。相場においても、技術を自分の力にする努力もしないで、上手になりたいというのでは、筋が通らない

・相場の3要素、実践の3つの基本とは
1.予測(先行き高いか安いかを分析、予測する)
2.技術(売買の具体的なやり方が必要)
3.管理(持ち株と資金の管理をする)

・相場上達には、「ホンネに迫ること」「趣味的要素の排除」「金儲けの仕事のしかたを身につける」ことが必要

・どんな分野でも、アマチュアあってのプロであり、アマチュアを馬鹿にするプロが長続きしたためしがない

相場で生活費を捻り出して生きている人たちは、リスク管理が徹底している。生活が派手になると、玉の操作が粗雑になるので、極力ストイックな生活を自分自身に強いている

・「明るさ、素直さ、頭が悪くないこと」は至極平凡であるが、最も重要な儲かる条件である

・立場を明確にできない(よりどころを持てない)のは、気が多すぎるから。理論的教育を受けたはずのファンドマネージャーたちが、「よりどころ」を持たない傾向があるのは不思議なことある

・よりどころがなければ上達しない。生け花なら、古流華道教授、池の坊教室、剣術なら、神陰流道場、小野派一刀流指南といった具合に、習う者は習いたてのはじめから、ひとつの主義主張を持たされるわけである

・片寄ってもいいから、とにかく「実践できる主義主張を持つ」ことであり、それが相場師なのである

・すべての方法・流儀は特長があるから存在価値があるのだが、反面欠点を併せもつ。欠点を補おうとせず容認せよ。すなわち、上達のためには、ひとつの方法・流儀を専一に学び身につけよ

・ピアニストというからには、音楽感覚にすぐれ、ピアノを弾くわざに巧みな人、というのと同じく、相場師であるからには変動感覚にすぐれ、売買技法に巧みでなければならない

・あまりに目立たず、消極的ではあるが、「禁止事項をやらないこと」「注意事項を守ること」の方が大儲けの実現には近道である

・最も重要な「読み」と「方法」、すなわち「感覚」と「技術」を自分のルールの中に採り入れなければ儲かるわけない。

・相場においては、売買といわれるが、売りのほうが重要

・予測を口にしなくなってくれば、ひとりよがりの考えが是正されてきた兆候である

・市場において値がついたということは、そのとき、あらゆる観点からみて、強弱のバランスがとれていたということにほかならない

・人気料を含んでいる相場は、その人気料の多寡にかかわらず、すべて売り

・商人は、手持ちしている商品を、一刻も早く売りさばいてしまいたいと思っている。そして売り急ぐ。しかし、また仕入れる。しかし、また売り急ぐ。その繰り返しが商業の宿命である

・不確定要素の「理想買い」と「現実売り」が対立する。それは、一般投資家の買いに対して、商社、自社玉、ヘッジャーおよび相場師の売りという構成

・相場でも、ひとつの狭い流儀に上達すれば、売買が上達したことになる。問題は広さではなく水準の高さである

・他人の良いところ、その人なりの売買の特長をほめるようになれば、明らかに力が備わってきている。自分に実力がなければ他人の実力はわからない。自分の力でしか、ものは見えないもの

・絶対に儲からない人に2種類ある。ひとつは、生活に困ることがない程度に、下手で相場を楽しんでいる人。もうひとつは、大儲けしようと目を血走らせている人。目が見えなくなったら、人生の破滅、家庭の破滅までいってしまう

・「商品に惚れてはいけない」これは商人としての鉄則。立派な品物でも、それは売るためのモノ。モノというのは持つものではなく売るものである

・アマチュア投資家の失敗のひとつは、その株やニュースに惚れること。株でも、商品でも、どんないいニュースがあっても、利益を得られるかどうかで判断しなければならない

・株の世界には八百屋の理論(「大根、トマト、芋を仕入れた。トマトでは損をしたが、大根と芋が高く売れて差し引きで利益」「今日のトマトは損しても売ろう」など)が有効。消費者の目ではなく、商人の目を持つ。言い換えれば、商人の仕事として売買を行うことが大切



昔、ある小売業の社長から、「売れてはじめて商品。陳列されているのは、まだ商いが終了していないから商品ではない」と教わったことがあります。

著者も売ることの大切さを力説しています。売ってはじめて利益になることがわからない人は、投資の世界には不向きなのかもしれません。

この本を読んで、相場師の世界も、長期にわたって成功する人は、努力家で、地味で、真面目な人だということがよくわかります。

どんな世界でも、成功する人は皆同じです。金儲けの道を志す人は、目を通しておきたい1冊ではないでしょうか。
[ 2010/01/19 08:20 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『メールカウンセリング-その理論・技法の習得と実際』武藤清栄、渋谷英雄

メールカウンセリング―その理論・技法の習得と実際メールカウンセリング―その理論・技法の習得と実際
(2006/04)
武藤 清栄渋谷 英雄

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メール相談事業は、今後伸びていく分野だと思っています。専業のカウンセラーはもちろんですが、資格のないカウンセラーも急激に増えていくように感じています。

例えば、「医者と患者」「先生と生徒」「弁護士と依頼人」「コーチと選手」など、幅広い分野で、メールカウンセリングの技法が応用されていくと思います。

さらに、お金が直接やりとりされなくても、「上司と部下」「得意先と営業マン」「政治家と選挙民」など、さまざまな分野で、メールカウンセリングが行われていくと思います。

電話からメールへと変化していく際に、身につけておきたいことは何か?この本がいろいろ教えてくれます。特に、10代~30代の人と接する立場にいる年配者はマスターしておきたいところです。

この本は、専門書ですが、一般にも応用できそうに思えた箇所が10ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・メール活用の最大のメリットは、「第三者に相談する」という敷居を格段に低くした点にある。来談や通院よりも手軽。電話に比べ、時間的・物理的制限を受けにくい

・カウンセリングは、アナライズ(分析)的カウンセリング(人格の変容などを視野に入れたもの)とサポート(支援)的カウンセリング(通常のもの)の2つに分かれる。当然、多くの情報を織り込めないメールでは、サポート的カウンセリングが主体となる

・メールカウンセリングの主訴の特徴として、キャリア相談や仕事相談が多い。これは仕事を持つ人がインターネットを常用しているからと予想される
メンタル・自分(31%)健康・医療(23%)キャリア・仕事(21%)育児・子育て(8%)夫婦・家族(7%)学校・教育(6%)その他(5%)

・メールカウンセリングのメリット「時間の制約が少ない」「匿名性が守られる」「情報伝達コスト効率がよい」「カウンセラーを指定できる」「周囲の環境を気にせず相談」「事前相談ができる」「相談内容が記録に残る」デメリット「顔や声がわからず信頼できない」「ウソを語りやすい」

・メールカウンセリングの支援構造
1.1回当たりの文章の長さ(800文字~2000文字程度が返信の範囲)
2.送受信の間隔(翌日から3日程度)
3.相談回数(3回から5回程度をワンセッション)
4.終結の方法 5.守秘義務の説明 6.メール以外の連絡方法 7.トラブル時の対処方法
8.開始前に集めたい情報(細かい事前情報は相談の敷居が高くなる)

・メールカウンセラーが用いるフィードバック
明確化31%(~するのかしら、~になるんですね)
共感的理解受容20%(~と感じているのですね、お気持ちとても理解できます、~という感じになるのね)
具体的表現の促し14%(~と思いました、~してほしい、~になるのかなあ)
情報伝達12%、解釈や解説6%、アドバイス4%、その他・複合14%
新聞掲載の人生相談的な内容と異なり、アドバイスや解釈が少ないのが特徴

メール表現力
1.エクスキューズを入れる(~いるのかもしれませんが、失礼だったらお許しください、こんなことを言うのは・・・)
2.カッコ書き(ト書き)を入れる
3.スペースや段落を使う、文字列の折り返し幅を狭くする
4.ひらがな、カタカナを意識的に使う
5.顔文字を使う((>_<)痛い(T_T)泣き顔(`´)怒り(^_^)笑顔(*^_^*)照れ など)
6.相談文を引用する、対話形式
7.リンクを入れる
8.ボディメッセージを記述する(体が震えてきました、眉間にしわを寄せ)
10.誰も見ていないので、思いっきり吐き出してもらう
13.代理発散する(私なら・・・していますね、ダメなら・・・します)
17.丁寧すぎない(丁寧語、敬語は冷たく見え、両者の関係が離れていきやすい)

・ピースマインド(メール連動カウンセリングシステム採用、カウンセラー延べ300名以上待機の会社)の調べ
1.クライアント男女比率(男32%、女68%)
2.クライアント年齢構成(20代64%、30代26%)
3.クライアント職業構成(会社員33%、専業主婦12%、アルバイト11%、会社役員9%)
4.クライアント家族構成(家族と同居37%、シングル22%)


まだまだ手法が確立されていない点が多いと思いますが、メールカウンセリングはビジネスとして成立し始めているようです。

今後は、この手法を応用して、誰もが「兼業カウンセラー」になる時代だと思います。「カウンセラー店員」「カウンセラー美容師」「カウンセラー営業マン」「カウンセラー講師」など、職業や職種の上に、カウンセラーの機能が付くと、超人気になるのではないでしょうか。

人と接する職業で、さらに自分の力を高めたい方は、この「メールカウンセリング」の技法を勉強されるのも悪くないように思います。
[ 2010/01/18 08:18 ] 営業の本 | TB(0) | CM(0)

『人生後半戦のポートフォリオ「時間貧乏」からの脱出』水木楊

人生後半戦のポートフォリオ「時間貧乏」からの脱出 (文春新書)人生後半戦のポートフォリオ「時間貧乏」からの脱出 (文春新書)
(2004/01/21)
水木 楊

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以前、労働時間削減手法3の記事の中で、
主婦の1日の平均的家事時間は、5.5時間であると書きました。

内訳は、
「食」時間(食事用意、食事片付け)が2.5時間
「衣」時間(洗濯、衣類修繕、整理)が1時間
「住」時間(掃除、ゴミ出し、庭手入)が1時間
「他」時間(買物、役所・銀行、雑用)が1時間
「生理的」時間(睡眠、食事、風呂、休憩)が平均10.5時間
「残り」の時間が8時間。

この「残り8時間」の使い方で、人生が大きく変わる。家事時間を1時間短縮する工夫より、「残り8時間」対策を、真剣に考えた方が効果的という意見も述べました。

これは、主婦の時間の使い方でしたが、この本には、サラリーマンの時間の使い方が書かれています。著者も基本的に同じ考えをしているように感じました。

時間の使い方をどう考えるかで、人の一生は大きく変わることを、事例を出して、詳しく説明されています。

この本の中から、共感できた箇所が15ほどありました。これらを「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



無償労働の貨幣評価調査によれば、家事の労働評価額は、主婦1人当たり平均額で161万円、時給は805円

・24時間は次の3つに分かれる
1.肉体必要時間(睡眠、食事、トイレ、風呂など)
2.他人時間(勤務時間+通勤時間、主婦は家事育児時間)
3.自分時間(1と2を差し引いた、自由な時間)

モノ、カネ、時間が同じ価値を持つ前提に立つなら、時給1000円の人が20歳から60歳まで働き、80歳まで生きた場合、2億円以上の自分時間を持っていることになる

・モノ、カネ、時間は三角形の関係で描くことができる。「時間にウエートをかけて生活している人」「モノにウエートをかけて生活している人」「カネを貯めることに熱心な人」はそれぞれトレードオフの関係

・綱渡りの10年(キャッシュフローが厳しくなる、子供が中学から大学を卒業する期間)が過ぎ、黄金の5年(50代半ばから60歳まで。子供が1本立ちして、自分が定年退職するまで)で老後資金(2000万~3000万円)を蓄えないと困る

・定年後の夫婦間の悶着は、80~90%が自分時間の不平等を巡るもの。幸せな夫婦関係を築くには、時間不平等の是正が必要。その方策のひとつが夫の家事手伝い

・時間戦略A=モノはできるだけ持たない(狭くなるが会社から近い住宅、死んでいる空間の排除、遺族の生活保障額に見合った生保加入)

・日本列島には2種類の人種がいる。第1種は、借金を抱えた日本人。第2種は、借金はせずに、自分時間に軸足を置いた日本人。物価やサービス価格の下落で後者の実質所得が増えている。天国と地獄の分かれ道は、借金のあるなしにある

・時間戦略B=「ながら」の勧め(通勤時間の読書や勉強)

・時間戦略C=自分時間のコストを減らす(公的施設イベントの利用、コストが安い趣味)

・時間戦略D=他人時間を減らす(在宅勤務や裁量労働制。地方に住む。時間泥棒と付き合わない)

・時間戦略E=他人時間の中に自分時間を作る(勤務時間の中に自分がやりがいのある時間を作る)

・つまらない勤務時間を面白くするには、「現在の仕事が将来の自分への投資になると考える」ことである。どんなつまらないことでも、将来への投資という視点を入れると、なんらかのプラスは発見できるもの

・「人間は時間の主人公である」と言ったのは、アリストテレス。あなたは自分の人生という劇に出演している。自分のための劇なのに、ほんのつまらない脇役だとしたら、これほど馬鹿馬鹿しいことはない


この本で、著者が言いたかったことは、「時間貧乏から脱出せよ」ということだと思います。お金もダイエットも、「入」と「出」を計算しないと、制御不能になり、貧乏、肥満になってしまいます。

これと同様に、時間も「入」と「出」を工夫して、コントロールしていかないと「時間貧乏」になってしまいます。

この時間貧乏にならないためのノウハウがここでは示されています。とくに、サラリーマンの方は、知らず知らずのうちに、他人時間に支配されてしまうので、注意が必要です。

時間を有効に使いたいと願っている方は、この本を手に取り、参考にした方がいいかもしれません。
[ 2010/01/17 10:10 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『こころがホッとする考え方』すがのたいぞう

こころがホッとする考え方―ちょっとしたことでずっとラクに生きられるこころがホッとする考え方―ちょっとしたことでずっとラクに生きられる
(2000/08)
すがの たいぞう

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この本は、2000年より版を重ねているロングセラーの書籍です。著者はカウンセラーであり、大学の講師も務めています。

堅物の真面目なカウンセラーではなく、人間の幅の広さを感じる、器の大きなカウンセラーのように思います。

カウンセラーの枠を超えた文章は面白く、長年多くの相談に乗ってきただけあって、心を楽にする方法をいっぱい知っているようにも感じました。

この本のタイトルのように、心がホッとなる考え方が多く示されています。とくに、参考になった箇所が20ほどありました。これらを「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人は、自分の置かれている立場によって、ものの考え方や見方が違ってくる。また、その立場でしか見えない。どんなに自分の考え方が客観的で公平だと思っていても、実はこういうことから逃れられるものではない

・どんなにがんばっても、ついつい偏った見方をしてしまうもの。「自分ひとりでやる」「ひとりで考える」という姿勢は、立派そうに思えるが、ひとりよがりに陥りやすい

・友だちは少なくてもいっこうにかまわない。周りの人がいくらたくさんの友だちがいるように見えても、本当に気を許している人はごく少数であると思って間違いない

・「おもしろい」「つまらない」は、自分の心の中で起きている感覚。仕事そのものに含まれている属性ではない。それなのに、私たちは、「つまらない」理由を仕事自体のせいにしたがる

・コミュニケーションとは、野球のキャッチボールのようなもの。キャッチボールをするためには、相手が取りやすい球を投げることが基本であり、相手がよそ見しているときに球を投げてはいけない

・基本なくして応用はない。何事においても「達人」とは、基本を極めた者に与えられる称号

・見えるような気遣いをしているうちは、まだまだ半人前。気遣いに長けた人の配慮は、なかなか見えるものではない。もちろん、配慮のない人のも見えないが

・嫌な上司ほど、自分に自信がない人。自分に管理能力があるのか、部下から尊敬されているのかといつも不安に脅えている。だから、その不安を取り除いてあげればいい。要するに、上司よりも大人になればいいのだ

・最悪の事態を覚悟できるかどうか。「そういう結果になってもいい。しかたない」そう思えるかどうかが鍵。これこそが脳天気ではない楽観というもの

・「そうやって愚痴を言っているときの君がいちばん君らしいね」それを聞いてニヤッと笑う。こういう友だちはありがたい。欠点も含めて自分を丸ごと了解してほしいのである

・いまの状況がどんなによくないと思っても、自分の人生の中で、もっと悪い時期がなかったかどうか考える。そして、一番辛かったときのことを思い出してみる。それに比べれば、たいがいの状況など、どうってことない

・現在が充実していなければ、人はそれ以外の時間に逃げ込むしかない。しかし、現在を充実させていれば、忌わしい過去であっても「そんなこともあったね」で済むようになる。現在がよくなれば、不安な未来であっても「そのときはそのときさ」という考えになれる

・人間とは図々しい生き物。けれども、人間は、自分を誇大化していかないと、生きていくのが苦しい生き物でもある

・「あんな会社辞めてやる!」と言いつつ、何事もなかったかのように、今日も会社に足を運ぶ。それを矛盾と言うなかれ。それも当たり前のあり方なんだろうなあと考えるとラクになる

・「本当の自分」にこだわり、現実を受け入れられないのが「本当病」。「現実の自分」とは「気に入らない自分」であり、「本当の自分」とは「気に入っている自分」。その「気に入らない自分」を放棄しようとしても、取り囲む現実は何も変わらない

・「自分にはできない」のではなく、「自分はやらない」に変換しよう。「やらない」と決めているから「やらない」だけの話で、自分のルールに従っているだけのこと。こうなれば心は平安になる

・成功を収めれば収めるほど、人は高峰に登っていき、そして孤独になっていくもの。仕事や会社で有能でポジションが上がっていけばいくほど、自分の立場や気持ちを理解できる人が減っていく

・私たちの心が追い込まれるのは、孤独を癒してくれる人間関係が欠乏するから。何かのときには相談できる、話し合える相手がいることこそが人生の成功

・誰かに何かをしてもらいたい、そう要求している限りは、永遠に満たされることはない。その受け身一辺倒のあり方こそが「淋しさ」の原点になっている

・「悩んでいる」というと聞こえはいいが、すべての悩みの源泉は「自分の思い通りにしたい」という欲望である。どんな悩みも、それ以外のことではあり得ない

・中途半端な立場や、はっきりしない状況に置かれているときこそ、人はストレスを引き込みやすい

・問題が解決するかしないかではなく、そのプロセスにどう付き合うかが重要。「問題は解決しなかったが、この人は自分のことに熱心に付き合ってくれた」ということで相談者が満足することが多い。そのとき、相談を受ける側は十分な役割を果たしていることになる

・現実をよく見ると、本当の実力者には「二年目のジンクス」なんてものはない。彼らは、その世界でそこそこの成績を上げるだけでは満足していないからである



この本を読めば、
「現実を受け入れるのが嫌なくせして、欲望だけはしっかりある」
「だから、人間の悩みは尽きないし、ストレスもたまる」
ということがよくわかります。

この罪深い人間から開放されるには、まずは、自分を知り、自分を認めることからスタートなのかもしれません。

悩みの尽きない方、心をホッとさせたい方には、おすすめの1冊だと思います。
[ 2010/01/15 09:19 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『なぜ、ネットでしかヒットは生まれないのか』津谷祐司

なぜ、ネットでしかヒットは生まれないのかなぜ、ネットでしかヒットは生まれないのか
(2008/06/02)
津谷 祐司

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ネット時代になりヒットするものが大きく変わってきているように思います。

商品も「大量生産→マス広告→全国チェーン店→大衆」という流れが崩れて久しいですが、その自縛にまだ囚われている人が多いように感じます。

この本は、自らネットのコンテンツに関わって成功している著者が、ネット時代にヒットを生むノウハウやコツを公開した内容になっています。

実践的で、しかも論理的な内容なので、非常に面白く読めました。この本の中で、勉強になった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが紹介したいと思います。



個衆化が進んだ今、コンテンツをつくるときからスモールマーケットに焦点を絞ったほうがよい。私はその規模を10万人と考えている。10万という数字は、日本の人口を1000分割したところからきている

・10万人という数字から1つのコンテンツ制作にかけられるコストはおのずと決まる。コンテンツ(映画、CD、本、雑誌など)は、1000円~2000円が勝負の商品。ユーザーが10万人なら売上2億円、製作1億円、販促5千万円の方法を考えなければならない

・相手を深く知り、悩みの深層に行き着かないと、ターゲットの心に響くようなコンテンツはつくれない

・男は自分の属している組織が他の組織に勝つことに喜びを感じる。戦うためにはしっかりとした組織が必要なので、ヒエラルキーをつくり、組織の上下関係を受け入れる。女性は組織や上下関係を好まず、同じ地平線上に、みんなが仲良くしているのが好きだ

ヒットコンテンツをつくるために重要なことは、
「ユーザーのニーズがある」
「自分の強みがある」
「他がやっていない、あるいは強くない」
という3つの条件が重なったところを探ること

・オリジナリティを生み出そうとする作家が繰り返し行っていることは、次の3つ
1.コンテンツの歴史を学び、名作を学び、そこから次の展開へのヒントをつかむ
2.自分の内面、自分が生きる時代を見つめ、1との接点を探る
3.それを作品として仕上げ、つくり続け、世の反応を得ることで、長い時間をかけて洗練させ、他者との差を極大化する

・勤め人系の人は組織の安定を前提とし、関心は社内での地位や収入にあるが、独立系の人は自分の力で何とか切り開いていくことを生きがいに感じる傾向がある。人は大組織志向独立志向か、どちらかのマインドを強く持っている

自分の棚卸しをしてみると「自分の人生はここが特殊だった、影響を受けた」ということがわかる。自分のオリジナリティの原点がわかってくるもの

・コンテンツをつくるとき、入口では流行を取り入れ、興味を引くのがよいが、普遍的なテーマをもたないと、底の浅いものになってしまう

・多くの本物の作品を見て、読み、勉強して大量のインプットをするが、100のインプットに対して、出てくるアウトプットは1。言い換えれば、1つのアウトプットを生むためには、その100倍のインプットが必要ということ

・発想を広げるためのコツは、通常では結びつかないようなものをぶつけてみること。企画をする際に私がよくやる手は、手元にいろいろな雑誌の目次を用意しておき、その中から機械的にいくつかの言葉をピックアップし、もっているテーマにぶつけるやり方

・強いところ(魅力的なところ)と弱いところを併せもった主人公が、何とか目的を達成しようとがんばる姿に見る人は共感し、応援したくなる

・障害と戦う主人公のがんばりどころは何度も繰り返される。たとえば、2時間の映画なら5回ないし7回くらいは発生する。小さな幸運や成功もいくつか経験するが、最終的に「どんなに努力しても、もうだめだ」という地点に達する

・普通の人の人生においても、悩みが発生するのは、2人の間で、あるいは2つの状況の間で、どちらかを選ばなければならないといった状況に陥ったとき。人は毎日、いくつもの選びがたい選択を迫られており、だからこそ、ドラマの中で揺れ動く主人公を見て感動する

・ありがたい助け舟を得るためには、主人公は自分の生命を懸け、死も覚悟して最後の戦いに挑まなければいけない。その状況にまで追い込まれて、はじめて外から助けが現れる

・放送・パッケージ時代の販売の要素は3つある。(1.広告)(2.ハードとしてのお店)(3.営業マン、もしくは店で働く店員)。これがネットワークの時代になると、お店も営業マンも店員もなく、広告だけが存在する。ネットワーク時代の販売の要素は、広告しかない

・広告慣れした制作マンがつくる広告は、大きなきれいな写真と少ない文字量のものが多い。これに対し、記事風広告は、普通の記事ページのように見せ、読み物として読ませる。写真も小さく文字が多く、ゴチャゴチャした印象。だが、記事風広告に大きな反響がある

ユーザーの悩みに応えるようなかたちで押し付けがましくなく商品の話をして、「これもためしてね」というような出し方をすると、お客は反応してくれる

・「販売数」=「母集団(広告を見る人)の人数」×「コンバート率(広告を見て、買う行為に転換する率)」。予算が限られている場合は、評価指標はコンバート率になる



ネット時代とはどういうものか。それに合わせて頭を切り替える方法はないか。その問いに対する答えが、この本に明確に示されています。

コンテンツ制作者広告関係の仕事に携わる方で、今までの流れと決別し、新しい時代の波に乗りたい方には、特におすすめの1冊です。
[ 2010/01/14 08:49 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『消えた年収』北見昌朗

消えた年収消えた年収
(2009/08/08)
北見 昌朗

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著者は、この本で、日本は「格差社会」ではなく、「低所得化社会」になっていると、はっきり明言しています。

そのとおりではないでしょうか。誰もが、「格差」が起こっているのは東京の中だけで、地方では、「一億総貧乏」になっていると実感していたはずです。この「消えた年収」は、その実感を見事に実証しています。

本来は、東京の官僚、マスメディア、大手シンクタンクが、この実態を調査しないといけないはずなのに、名古屋の小さな民間会社の「北見昌朗」さんが、先陣を切って、調査し、発表してくれました。

この10年に、年収が、地域別、企業規模別に、いくら消えたかを具体的に示され、今の日本の現状が手に取るようにわかります。

この本の中で、現実がよくわかり、勉強になった箇所が25ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・「年収300万円以下」の人はこの10年間で32.2%から38.6%に。実に6.4ポイントも上昇。「年収1000万円超」は5.8%から5.1%へ減少。日本は「二極化が進み貧富の格差が拡大した」のではなく、「低所得化が進んだ」

人事院の民間給与調査結果によると勤労者の年収は過去10年間で21,000円も上昇したことになっている。これは、民間人の給与が上がったと見せかけることで、国家公務員が給与引き上げ(360000円から382000円へとアップ)するための統計結果

国税庁の民間給与実態統計調査の数字によれば、勤労者が受け取った給与の総額は、平成9年に220兆円、平成19年には201兆円で19兆円減っている。勤労者数は平成9年が5200万人、平成19年が5300万人と増えている。つまり年収は約1割下がっていることになる

・社員数300人未満の中小企業の社員がもらっている年収(時間外手当、賞与含む。通勤手当含まず)は、
30歳「一般男性社員436万円」「一般女性社員372万円」
50歳「一般男性社員542万円」「一般女性社員379万円」「管理職728万円」

・この10年間で、給与の落ち込みが激しいのが関西。全国で喪失した給与の4割以上を関西が占めた。年収300万円以下の比率が27%→38%、700万円超の比率が21%→15%へ

・大阪は卸売・小売業を中心に壊滅的落ち込みを経験。全体の落ち込みのうち卸売業が46%を占めている。過去10年間、日本全国で一番可哀想な立場だったのは、「卸売・小売業で勤務している関西の男性」であった

・東北は全国で最も大きな落ち込み率17%を記録した。勤労者の激減と年収の低下が要因。年収300万円以下の比率が42%→51%へ(全国平均は38%)。中小企業がボロボロ、ガタガタの状態。もはや出稼ぎに出るほかはないか

・九州北部地域の平均年収は414万円→373万円へ。これは額としては大阪に次ぐ下がり方。中間層(300万円超700万円以下)がこの10年で7%激減して崩壊

・中国地方の給与総額を業種ごとにみると、金属機械工業の落ち込みがひどい。給与総額が1兆6261億円→8276億円、勤労者31万人→16万人と半減。サービス業の雇用数は拡大しているが、平均年収は低下しているので、地域の暮らしの向上に結び付いていない

・一番元気と言われた名古屋でも、この10年で給与総額は5%減。増えたのは、派遣従業員だけ。年収300万円以下の比率が31%→36%へ。自動車業界の勤労者がほとんど増えなかった

・北関東信越は男性の年収が429万円→395万円へ減少。30人以上100人未満の事業所で給与が激減。とくに、建設業は、人が2割減、年収が1割減で給与総額が3割減になった

・北陸地方は、人も減り、給与も減り続ける。勤労者数が113万人→105万人、平均年収も427万円→398万円へとダブルパンチ。10人未満の事業所はリストラの嵐

・四国は低い年収が更に下がり続け、年収300万円以下の比率が46%まで高まった。全体的に低所得化が進行。不安定な業種が多い中、その他製造業と金属機械工業は勤労者数と平均年収ともに増加している

・北海道は、勤労者数は維持できたが、年収は維持できず5%減。年収300万円以下の比率が45%を占める。建設業は勤労者が40%減、平均年収が7%減で、給与総額はほぼ半減。苦しい中で伸びたのが農林水産・鉱業(勤労者55%増、平均年収10%増)

・九州南部地域は、給与が低いなりに、平均年収、勤労者数ともに維持している。建設業、繊維工業は足を引っ張ったが、化学工業が大きな伸びを記録し、地域に貢献

・沖縄は年収300万円以下が58%。平均年収が1割減。金融保険・不動産業と卸売・小売業の勤労者が大幅減

・東京(千葉、神奈川、山梨含む)は勤労者数は4%増、平均年収は2%減。全国で唯一、給与総額が増えた地域。大手企業(1000人以上)で勤務する比率が32%と高く、(関西圏21%、東海地方18%)1000人以上企業の給与総額が9%増。5000人以上企業の給与総額は21%増。男性平均年収は797万円→793万円と1%減で高い水準を維持

・50~54歳の年収は70万円減って667万円になり、10%減。民間は厳しい経済環境の中で、年功序列型の給与を維持できなくなっている

女性勤労者の給与は相変わらず低い。300万円以下の比率は63%から66%となり、勤労者の人数と反比例して増えている

・30~34歳の男性の年収も513万円から463万円へ下がり10%減。それにつれて、30~34歳の男性未婚率も37%から47%へ急上昇している

・5000人以上の大企業の男性平均年収は50歳で950万円近く。10人未満の小規模企業は同じ年齢で500万円で、約半分。大手は50歳くらいまで給与が上がるが、中小企業は40歳以降になると昇給が頭打ち

・中小企業で働く人は全国平均で72%。地方は80%を超えている。中小企業の衰退が進んでいるため、地方経済は惨憺たる状況になりつつある

・第2次産業が減って、第3次産業が増えると年収が下がる。特別な地域の東京を除外して考えると、「大阪は製造業の衰退サービス業増加が低年収の要因」「製造業の比率が全国平均23%を下回る福岡、熊本、仙台などでは年収が低くなる」

・「給与の下落」は「物価の下落」よりも大きく生活は苦しくなるばかり。さらに、社会保険料の実収入に対する割合が増え、手取り収入は減る一方

・安定した給与を取り戻すための5つの提言
1.勤労者の7割が勤務する中小企業を育成する
2.地方に工場立地を進める
3.大手は正社員雇用を増やす
4.ワーキングプアの温床になっている派遣の拡大に歯止めをかける
5.富を吸いつくされないように中国との付き合い方を再検討する

・過去10年で、男性の年収は576万円→542万円、女性の年収は278万円→271万円と下がった。この数値は平均値。実際には、中位数(ど真ん中の人)はそれを数十万円下回る。10年後、夫の年収は300万円、妻の年収は200万円、合わせて500万円時代が到来するかもしれない



この本を読み、デフレが続くと、集中現象ではなく、「独占といじめ」現象が進行するのではないかと感じました。パイが小さくなると、人は冷酷になり、弱者いじめをするようになります。

「東京独占、地方いじめ」
「官独占、民間いじめ」
「大企業独占、中小企業いじめ」
すべては、政府が、「デフレ」「円高」「低賃金」「中国との本音の外交」を放置した結果がこうなったのだと思います。

低所得弱者は、日本で、この「低所得化」が進行していくと嘆くより、収入を求めて、世界に売るか、出稼ぎに行った方が得します。

きれいごと抜きの切実な問題として、日本にグローバル社会が訪れたのだと思います。あれこれ、論じる前に早く行動すべきかもしれません。

この本は、現実的に、そう決断させてくれる貴重な1冊になるのではないでしょうか。
[ 2010/01/12 09:38 ] お金の本 | TB(0) | CM(1)

『一日一生』天台宗大阿闍梨-酒井雄哉

一日一生 (朝日新書)一日一生 (朝日新書)
(2008/10/10)
天台宗大阿闍梨 酒井 雄哉

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先月、京都洛北の赤山禅院に行きました。そこが、比叡山延暦寺の千日回峰行のうち、100日間の荒行「赤山苦行」の場所であることを知りました。

それで、何となく千日回峰行のことを調べていましたら、織田信長の比叡山焼き打ち以降、約400年の歴史で千日回峰行達成者は49人。2度の千日回峰行を満行したのは、3人しかいないことを知りました。

その400年に3人のうちの1人が、この本の著者である酒井雄哉大阿闍梨です。もちろん、現在生きておられる唯一人の方です。

比叡山の千日回峰行は、3年間で山中を計4万㎞歩き、修行のクライマックス「堂入り」をするものです。堂入りでは、9日間、断食・断水・不眠・不臥で、お経を唱え続けます。

この行は途中でやめると自害するという決まりがあります。やめるなら死を選択するしかありません。そのため自害用の短刀と首つり用の死出紐と三途の川を渡る六文銭を携帯して、回峰が行われています。

この千日回峰行を2回満行した稀有の人物、酒井雄哉大阿闍梨の言葉は、シンプルですが重みがあります。

この本の中で、深いなと感じた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・あせらず、あわてず、あきらめず、無理をしない。仏さんには、なんもかも、お見通しかもしれないよ

・そしてまた、新しく蘇って出て行く。今日の自分は今日でおしまい。明日はまた新しい自分が生まれてくる

・みんな、背伸びしたくなるの。自分の力以上のことを見せようと思って、ええかっこしようとするから、ちょっと足元すくわれただけでスコーンといっちゃう。自分の身の丈にあったことを、毎日毎日、一生懸命やることが大事じゃないの

・人生って、こっちが疲れたら全部「しんどい」ってことになってしまいがち。考えを辛いことの一点に集中しすぎちゃう。しんどいところは休ませておいて、違うところに精神を集中させてみる。そうすれば、案外楽に、楽しく生きていけるんじゃないの

・周りの自分への対応が変わると、自分が偉くなったような気がしちゃう。そうなると、おごりが出てくるし、自分の心を磨かなくなる。現実の世界だけで勝負しようとしてしまうが、人生は見えている世界だけではないからね

・人間は金持ちでも貧乏でも、頭が良くてもできが悪くても、誰でもいつかは死ぬ。死んだら終わり。誰も変わらないんだ。大事なのは、今の自分の姿を自然にありのままにとらえて、命の続く限り、本当の自分の人生を生きることなんだな

・たった一日でもいい。深いところを味わいながら、丁寧に歩いてみる方がいいかもしれない。人が忘れていたことや、大切なことをちゃんと教えてくれるから。人からすごいと思われなくたって、いいんだよ

・「一日が一生」と考える。「一日」を中心にやっていくと、今日一日全力を尽くして明日を迎えようと思える。一日一善、だっていい。一日、一日と思って生きることが大事なのと違うかな

・ひたすら歩くのは、歩きながら座禅しているのと同じ「歩行禅」といわれるもの。歩く中で何かを思いついたり、智恵が生まれたりする。書物や人に教わったりして知識を学ぶことも大事だが、ある程度学んだところで実際に動くことで智恵が生まれてくるんだよ

・自分自身が感じて味わって初めて本当の意味で「知る」ことができる。人生は自分の力で知っていくしか仕方ないんじゃないかと思うんだよ

・息をふーっと吸って、吐く。吐くときは、「ナー」、吸うときは「ムー」。人は息を吐くときは前向きの格好に、息を吸うときはそり気味になる。呼吸に意識を集中していたら気持ちが静まってくる。それが、呼吸の大きな力

・天台では「教行一致」といって、教えと行うことは一体にならなきゃだめだと説いている。知ることと実践すること、どちらも大事なんだ。「おれは行をやった。もし勉強していたら、相当すぐれたやつができたんじゃないだろうか」って、自分ながら時々悔しい時がある

・ともかく実践すること、とよく言うけど、実践してその意味がすぐ分かるというものではない。やはり理解するのには時間がかかる。仏教でいう「感得」とは、“感じて会得すること”だけど、自分なりに消化して、心の糧にすることなんじゃないかな

・すぐに分からなくていい。時間がかかってもいいから、自分が実践してみたことや体験したことの意味を、大切に考え続けてみる。「ああ、あれはそういうことなのかもしれない・・・」と思ったとき、自分のものになっているのに気づく

・人間だって自然の一部。自然はいろいろな命が繋がり合っている。誰もがいろいろな命の中で生かされているんだ。自然と離れて生活しているとそれを忘れてしまうけど、自然の中に身を置いてみると、ああ一人ではないんだなあ、としみじみ思うよ

・90日間、ひたすらお経を唱えぐるぐる回る「常行三昧」が終わっても、その感覚が体に残り、寝ていて見える天井も壁に見える。習慣というのは人の感覚を狂わせる。人間のものの見方や心のありようは、いろんなものでどうにでも左右されるということを学んだんだ

・「いや、違う」「正しいのは自分だ」「それは違う」。見方が違うだけで、本当は同じものを見ているってことはないだろうか。角度や視点、経験、いろいろなもので案外簡単に左右されてしまう

・いま良いことをしても、その結果は今日すぐに来るかもしれないし、三代くらい後かもしれない。でも、それは早いか遅いかの違いで、いました行いの結果が必ずあらわれると思うと、前向きになれる。いま良いことをしていけば、未来は変わっていくかもしれない

・八十何年生きたからどうの、これまで何をしてきましただのではなく、大事なのは「いま」。そして「これから」なんだ。いつだって、「いま」何をしているか、「これから」何をしているかが大切なんだよ


この本は、不思議な本でした。
「難しい言葉がほとんどないのに、読んで理解するのに時間がかかる」
「当たり前のことが書かれているのに深く感じられる」
「淡々と書かれている文章すべてが重要なことのように思える」
平凡の非凡を抽出した、純度の高い本なのかもしれません。

疲れている人、重圧を感じている人が読めば、スーッとするのではないでしょうか。「いままで」がリセットされて、「いまから」の生きる糧が得られるように思います。

この本のタイトルのとおり「一日一生」を感得したい方におすすめです。
[ 2010/01/10 08:56 ] 神仏の本 | TB(0) | CM(0)

『「言志四録」心の名言集』佐藤一斎

「言志四録」心の名言集「言志四録」心の名言集
(2004/09)
佐藤 一斎

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西郷隆盛が座右の銘としていた「言志四録」の現代語訳です。

30代前半に、講談社学術文庫で発行されている言志四録4冊を買ったのですが、読みづらく、途中で挫折しました。

この本は1133条ある言志四録の中から303条を厳選し、わかりやすい現代語訳で編集されています。訳者の勝手な解釈もなく、原文を忠実に訳しているのがいいです。

佐藤一斎の名言は200年近く前に書かれたものですが、今読んでも新鮮で、非常にためになります。

西郷隆盛は、1133条の中から、101条を抄出していた(南州手抄言志録)そうですが、自分なりに、この本の中から、大事だと思えた30条を選んでみました。それらを「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



発憤するという意味の憤の一字は、人が学問に進んでいくための最も必要な道具ともいえる(言志録5)

・しっかりと志(目的)を確立して、どこまでも追求する時は、たとえ薪や水を運んだりする日常平凡な事でも、学ぶべきものが存在する(言志録32)

・人が出遇う所の、「憂い悩み」「変わった出来事」「恥を受けること」「誹られること」「心に逆らって思い通りにならないこと」、これらは皆、天が自分の才能を老熟大成させようとするもの(言志録59)

・人と話をする場合には、相手をしてその長所を話させるべき。そうすれば、自分にとって益するところがある(言志録62)

・目の着け所をなるだけ高い所に置くならば、よく道理が確認されて、迷うようなことはない(言志録88)

・言葉に「怒気のある激しい」「強制する」「鼻にかけ威張る」「自分の便利をはかろうとする」ところがあると、聴く人は服従しない(言志録193)

・気概(いきごみ)は鋭くありたい。行いは正しくありたい。品位や人望は高くありたい。見識や度量は広く大きくありたい。学問や技芸を究めることは深くありたい。物に対する意見、見方は真実でありたい(言志後録55)

・自分の言葉は自分の耳で聴くのがよい。自分の立ち居振る舞いは自分の目で視るのがよい。自分で自分を視たり、聴いたりして、心に恥じる所がなければ、人もまた必ず自分に対して心服する(言志晩録169)

・苦難というものは、人の心をひきしめて堅固にする。共に艱難辛苦を経てきた者は、交わりを結ぶことも緊密で、いつまでも互いに忘れることができない(言志晩録205)

・若い者が老人ぶるのはよくない。老人が若者ぶるのは最もよくない(言志晩録259)

過失を免れる方法は、へりくだること(謙)とゆずること(譲)にある。幸福を求める方法は、人に恵むことと施しをすることにある(言志耋録152)

・人の欠点、短所を改めさせようとするには、忠告しようとする誠意が、言葉に満ちあふれるようでなければだめ。怒り憎むような気持ちが少しでもあれば、忠言諫言)は決して相手の心には入らない(言志録70)

・人を教導する者にとって肝要なことは、その志の向かう所(目的意識)の有る無しを咎めるべきであって、何かとやかましく言っても無駄なことである(言志録184)

読書の方法としては、次のような孟子の言葉を手本とすべき。
「自分の心を以て、作者の精神のある所を迎えとる」
「読んだ書物を一部は信用するが、全部は信用しない」
「作者の人となりを知り、その当時の社会的状況を論じて明らかにする」(言志録239)

・非常に困難な事に出会ったならば、心をあせらせて解決してしまう必要はない。しばらくそのままにしておかなければならない(言志後録45)

・財貨をうまく運用する要道は、人を偽らないことにある。人を偽らないということは、結局、自分自身を偽らないことである(言志後録222)

教え諭すには3つの段階がある
第1に心教(心をもって感化する
第2に躬教(師が実践する行いを真似させる
第3に言教(言葉によって諭す)(言志耋録11)

・人は自分と性格や趣味の同じ人を喜び好み、自分と異なった人を喜ばない。自分は反対に自分と異なる人を好んで、自分と同じ人を好まない。互いに助け合うものは、必ず相反するもの(言志耋録186)

・一芸に秀でた名人は、みな共にその道を語り合うことができる(言志録61)

・やむにやまれないことになり、はじめて蕾を打ち破って外に開くのが花である(言志録92)

・人生には貴賎もあり貧富もある。その各々に苦楽がある。必ずしも富貴であれば楽しく、貧賎であれば苦しいというものではない。どんな事でも苦しくないことはなく、どんな事でも楽しくないことはない(言志後録69)

・学徳のある立派な人は、自分の行為に対して満足してはいないが、これに対して、小人物は自分をいつわって自分の行為に満足している(言志後録96)

・家の門構えを立派に飾り整えるな。家財道具を自慢気に陳べるな。看板をでかでかと掲げるな。他人の物を借りて誇りに思うな(言志後録118)

・人は才能があっても度量がなければ、人を寛大に受け入れることはできない。反対に、度量があっても才能がなければ、物事を成就することはできない。両者を兼ね備えることができなければ、才能より度量のある人物になりたい(言志晩録125)

・いつも物に余分ができた場合、それを富という。この富を欲求する心は貧。いつも物が不足しているのを貧という。この貧に安んじている心は富(言志耋録143)

・教養ある立派な男子は、他に頼ることなく、独り立ちして、自信をもって行動することが肝要。自己の栄達をはかるために、権威におもねるへつらうような心を起こしてはいけない(言志録121)

・聖人は生死の相対概念を超越しているから、死に対して何の不安もなく泰然としている。賢人は死を天の定命として生者必滅の理を悟ってあまんずる。一般人は常に死に対して畏怖の念を抱いている(言志録132)

・まず最初に、自分が感動することによって、はじめて人を感動させることができる(言志耋録119)

・まず教え導いてから感化する(自分でやる気を起こさせる)ことはなかなか難しいが、感化してから教え導くことは容易である(言志耋録277)

・今時の人は、「毎日毎日忙しい」と口癖のように言っている。その日常行動を見ていると、実際に必要な事は、わずか十の内一、二で、不必要な事を十の内の八、九もしている。また、不必要な事を実際に必要な事と思っている(言志録31)



激動期になる幕末前に、佐藤一斎が言志四録を著し、多方面に影響を与えました。

この本は、「激動期の書」と思いきや、そうではなく、人の心を「激動させる書」なのだと思いました。

200年前も今も、思想的なものは、ほとんど変わっていません。この本には、人を奮い立たせる何かがあります。

何かなそうと考えている方は、この「言志四録」を一度は目を通しておくべきかもしれません。
[ 2010/01/08 08:42 ] 佐藤一斎・本 | TB(0) | CM(0)

『夢の発明生活-あなたを成功に導く発想のテクニック』中野勝征

夢の発明生活―あなたを成功に導く発想のテクニック (知財シリーズ)夢の発明生活―あなたを成功に導く発想のテクニック (知財シリーズ)
(2006/10)
中野 勝征

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発明家はアーティストだと思います。音楽家や美術家だけがアーティストではないと思うのです。知的財産の保護があるということは、著作権と同様、世間的にその才能が認められている仕事ではないでしょうか。

ところが、アーティストは、アマチュアでも尊敬されているように感じますが、アマチュアの発明家は、変人扱いされているような感じがあります。

また、大学に芸術大学や芸術学部はあるのですが、発明大学や発明学部はありません。世の中に貢献できるのは、発明の方がずっと大きいように思うのですが、不思議です。

この本は、発明の入門書です。非常にわかりやすい本です。皆が発明に関心を持ってもらえるように書かれています。

今回、改めて、発明について、知ったこと、参考になったことが15ほどありました。「本の一部」ですが紹介したいと思います。




・現役時代のアイデアの積み重ねが定年後の事業に花開く。発明で頭が活性化し人生がイキイキと楽しくなる。しかも、自分が死んだ後も発明品が家族を支えることもある

・趣味に発明を結びつけると、まさに趣味と実益になる。もっとこうすれば使いやすいのにと道具を工夫することでアイデアは生まれる

・健康には皆共通して関心がある。持病を抱えて悩んでいる人も多い。健康具をどこでも利用できるように、携帯式折りたたみ式に商品化することで成功した例もある

・身の回りには、日頃何気なく捨てたり、見過ごしている材料がたくさんある。これの再利用にアイデアの視点を当てることも大切。ゴミの中にも宝が潜んでいる

・重労働の仕事や危険な仕事の3K職場には、辛い作業を軽減するアイデアのヒントがいっぱいある。仕事仲間にも感謝される

・俳句や川柳は知性と頭の体操を兼ねたレジャーだが、同じ言葉作りをするなら、商品ネーミング作りを趣味にするとお金になる。元手も要らず、アイデア力養成に手軽な方法

・最近不満を感じたことや不安に思ったことを、どうしたら不快がなくなるか、不快情緒の原因を解決する夢を見ながらアイデアをだす。一つの目標値に向かってアイデアを出すうちに名案が浮かんでくる

・強制的にあら探しをする方法は、アメリカのGE社の子会社ホットポイント社が開発。テーマとして取り上げたものの欠点を列挙することによって、問題点を発見し、解決の糸口を見出そうとするもの

・知恵が保護される知的財産権は多くの法律の寄せ集め。主なものは、
「特許法」(発明を守る法)
「実用新案法」(考案を守る法)
「意匠法」(製品の外観的なデザインを守る法)
「商標法」(商品やサービスにつけるネーミングを守る法)
「著作権法」
「不正競争防止法」

・まったく実験していない、実現可能性が不明なアイデアでも特許になる可能性はある。特許庁では、特許出願書類のみ提出するよう要求している。現物(試作品)はいっさい必要ない

・特許出願すると先願権を確保したことになるが、「特許を取った」ことではなく「特許出願中」ということ。特許庁への出願審査請求は、特許出願の日から3年以内にしなければならない。出願料は16000円だが、出願審査請求料は約17万円と高額なので慎重に対応すべき

・市民発明家には、3年間売り込みをしてどこも採用されない発明は、高額な出願審査請求料を払わず、その出願を流す人が多くいる

特許出願に必要な書類は、願書、特許請求の範囲、明細書、図面(必要に応じて)及び要約書で、これらをまとめて特許庁に提出する

・意匠権は15年間独占できる。意匠は図面が大きな効力を持つ。技術者で意匠図面の書き方を習得して、副収入を得ている人が多くいる

・商標のとり方には、「文字商標」「図形商標」「記号商標」「前記の組合せ商標」「立体的形状商標」「前記の商標に色彩を施す」方法がある

・商標はモノ以外のサービスでもとることができる。いい名前を登録しておくと企業が買いに来る場合がある。今は1件100万円くらいになっている




発明を考えていると脳が刺激されます。若さを保ち、老いを防ぐ方法として、最適だと思います。それと、もし発明した作品が売れたら、ひと儲けできるかもしれません。まさに一石二鳥です。

私は、60歳台になったら、発明家になろうと密かに考えています。そのために、この本を読みました。

敷居が高いのでは?と思っている「発明」が、身近なものと感じられました。発明に興味のある方は、読んでおいてもいい1冊ではないでしょうか。
[ 2010/01/07 07:19 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『「格差」と上手につきあう英国式の節約術』佐藤よし子

「格差」と上手につきあう英国式の節約術「格差」と上手につきあう英国式の節約術
(2007/01/18)
佐藤 よし子

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10年前にイギリスに行きました。着いて初日は、雰囲気に呑まれて、すべてが素晴らしく見えます。ところが、商店街、住宅街、公園などを歩き、食品スーパーや飲食店などに入り、3日ほど経つと、細部がいろいろ見えてきます。

そして、5日目くらいに、イギリス人は、基本的にケチであることがわかりました。でも、日本人の言うケチではなく、賢いケチ、他人に悪印象を与えないケチだと思いました。

この本には、イギリスで暮らした著者が体験して、身につけた、お金がなくても楽しく暮らす節約術が満載されています。

日本も、イギリスの階級社会のようなことが現実的に起こっています。その中で、貧しいながらも楽しく生きるには、イギリス人に学ぶべき点が多いのではないでしょうか。

この英国式の節約術を読み、改めて、感心した箇所が20ほどありました。それらを「本の一部」ですが、紹介したいと思います。


・ミエを捨て、ムダを省いて、自分のテーマを持って、自信を持って暮らすこと。10人いれば、10通りのお金の使い方があり、自分に合ったお金の使い方があると知る。幸せな毎日を手に入れるには、こういった意識が必要

・買い物は、「予算内で」理想のものを見つけるまで「待つ」。手に入れるまでの時間も楽しむのが買い物の醍醐味。イギリス人はみなそう思っている

・古いものを修理してなるべく「買わないですます」。古いものを大切に受け継いでいくことに価値を見出す考え方を最も極めているのがイギリス王室。歴史を引き継ぐことを口実に、“英国流合理的ケチ”を率先して実行している

・お金があっても、ヨーロッパのセレブリティが持つにふさわしく、自分の暮らしにふさわしくないものは買わない。自分たちの立場をよくわきまえて選ぶ

フロー(食材、新聞雑誌、子供衣類など)とストック(家具、家電、食器、寝具など)を分類。すぐ使わなくなるものにお金をかけない。ムダと思っているものの代表が子供用品。子供服は誰かからもらうか、バザーで手に入れる

・お金がなくても「楽しめる方法」を探す。イギリスの美術館や博物館は夕方からの入館が無料になるところが多く、この特典を利用する人で賑わっている

・イギリス人は好きなことには思い存分お金を使う。その一つが旅行、留学にも積極的。彼らは、知らない土地で過ごして何かを発見することを無上の喜びとしている。また、インテリアやガーデニングにも予算を割く。心地よい暮らしのためにはお金を惜しまない

・どの国でも、お金持ちほどケチ。「物の価値」に対してシビアな選択眼を持っている。ムダなことには使わない反面、価値があると認めたものにはお金をかけるというポリシーを持っている

人生の三大費用(住宅費、教育費、老後の費用)、イギリスの制度と考え方
1.住宅費(新しい家を建てる発想がない。古い家を手入れして大事に住むことが素敵なこととされている)
2.教育費(私立に通わせない限り学費は無料。大学の学費は親が基本的に出さない。国が子供にお金を貸すシステム)
3.老後の費用(消費税は17.5%。これらは福祉に使われ、老後のケアは整っている)

・イギリス人は子供が小さい時はお小遣いをあげない。お金を持たせるのは16歳頃からが多い。「お金は大事なもの」「ムダ遣いしない」など童話を通してお金との付き合い方を学んでいく

・食器はなににでも使える洋食器を人数分だけそろえる。和食器はデザインが多岐にわたり、そろえるとキリがなく、食器がどんどん増えていってしまう

・手抜きしても見栄えのする家は、部屋が同じ様式で統一されている。モダン、クラシック、カントリーなど様式のポリシーを持てば、「迷わない揺るがないリーズナブル」な暮らしができる

・「散らかっているのにおしゃれ」なのは、「ムダなものは持たない」「センスのよいものを選ぶ」から。つまりガラクタがないこと

・日本人は家具を部屋の隅に寄せて広く見せようとするレイアウト。イギリス人はスペースが狭くなっても動きを重視したレイアウト。その方が、立ったり座ったり、背側も使えて動きが楽になる

・掃除は最大のレジャー。掃除したら掃除した部分がたちまちきれいになる。これほどハッキリ短時間で効果が表れるものはない。夏は、クーラーを止めて掃除をすれば、リーズナブルなフィットネス方法になる

・寒い冬は一つの部屋に集まる。夏のエアコンを使うときも同じ。照明も間接照明で「暗い家」。イギリス人は「だって節約になるでしょ」と平気で広言する

・世界中で最も基礎化粧品を使い、化粧品にお金をかけ過ぎの日本女性。イギリス人は、年齢を重ねたら、目や眉、リップなどポイントを際立たせ、ファンデーションはむしろ薄めにする

・日本人が20着を着まわすとしたら、イギリス人は10着ですます。服は少ない方が管理も楽。服を買うなら、長く着られる、良質で流行に左右されない服ベーシックな服がリーズナブル。流行、ブランドに敏感で服を買い過ぎるのは、日本人、中国人、韓国人だけ

・服が18アイテム、アクセサリー小物が14アイテム、たったこれだけあれば、どこに行っても恥ずかしくないコーディネイトができる

・シンプル&シック基本の服18アイテム
ワンピース(2)スーツ(1)トップ(7)ボトム(5)コート(3)

・アクセサリー小物類14アイテム
バッグ(4)靴(3)アクセサリー(3)スカーフ(1)ストッキング(1)時計(1)ベルト(1)

・おもてなしのメインは「食事」ではなく「おしゃべり」。食事をたっぷり御馳走することからおしゃべりを楽しむことへ発想の転換が必要。いつもの定番料理でOK

・割り勘ならお付き合いも長続きする。高級ランチも不必要。ホームパーティーの手土産もオレンジ5個でいい。ラッピングされたお菓子、高価な花束などは丁寧過ぎる。プレゼントは金額ではなくて気持ち、そして演出


バブルが崩壊してから20年も経つのに、日本人は、まだまだ企業が発信する購買促進情報に翻弄されている人が多いように思います。

自分の頭でしっかり考え、賢いお金の使い方を学ぶことが、低所得化社会では必須になるのではないでしょうか。

本来は、学校の授業で、消費者教育をすべきなのですが、そうしてくれそうにありません。賢いお金の使い方は、独学するしかないようです。

独学の参考図書として、この「英国式の節約術」は最適です。結婚前に読んでおくと、絶対に得するのではないでしょうか。
[ 2010/01/05 09:09 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『定本-華僑商法100カ条』白神義夫

定本 華僑商法100カ条定本 華僑商法100カ条
(1993/12)
白神 義夫

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私の従兄は、華僑の料理長の長女と結婚しています。昨年、祖母の葬式で、久しぶりに会いましたが、愛想よく、手際よく、人と接するのを見て、改めて感心しました。そんな関係もあり、前々から、華僑には関心を持っています。

この本は、華僑の性格、歴史など、華僑のことが詳しく真面目に書かれており、華僑を勉強する意味で役に立ちます。もちろん、商売や金儲けの華僑商法を勉強する上でも大いに役に立ちます。

日本という島国でする商売と、海外に出て行う商売では、スケールが根本的に違います。この本には、どこでも成功する商売の秘訣が満載です。

参考になった箇所が30ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



白手起家(徒手空拳、無一文で家を興す)は、華僑としては、ごくありふれた人生コースの一つ

・日本にはおよそ8万人の華僑がおり、東京をトップに、兵庫、大阪、神奈川、福岡、京都、愛知、長崎、千葉、埼玉の順。華僑の華は中華の華。僑は僑居または僑居民の僑で、旅住まい、あるいは仮住まいのこと

・華僑は、いちいちムリに専業を決めない。「なんでも屋」から出発する。しかし、商売を決めたら、休まない。なまけない。商道に徹し、雑音に耳を貸さない。買うときは叩けるだけ叩き、売るときはできるだけ負けない。薄利多売で高回転をはかる

・華僑は無手勝流で生きていくよりほかはなかった。カッコ悪い商売でもやるしかなかった。ムダづかいする華僑はいない。浪費する人は信用がなくなる

・華僑は、三代までは親戚と見ている。同姓同郷出身なら他人とは見なさない。親しい同士の金の貸借には証文も保証人も不要。無尽講では、担保、印も不要。この会では、後継者を一人前にして、仲間として戦力にするのが狙い

・華僑は現実的で、フィクションを認めない。それに欲望を肯定するし、禁欲的ではない。お金を儲け、人生を楽しもうとする心掛けを隠そうとしない。親も子を冷静に評価している。買いかぶりも、猫かわいがりもしない。なにより自立を求める

・子供に必要以上の金を与えないし、金を貸せば、利子をとる。こうして華僑は子供のときから、金の貸し借りには利子がつきものであるという、経済の根本原理を、身をもって学ぶ

・華僑は貯金高などの財産をけっして他人に吹聴したりはしない。黙々と資金を太らせて準備し、次の事業を興す。その実行によって万人に証明してみせる

・東南アジアの華僑の店には、商いに関する格言や諺がよく貼られている
福随天運環転 財遂春風次第来」(福運の来るのをじっと待つ心構え)
生意好旺」(商売繁盛)
貸如輪転」(商品の回転を早く)
開源節流」(儲けても使わぬこと)

・節約は富者への最短距離で、あいつはケチだと言われだしたら、金持ちへの切符を配給されたと考え、喜んでいい

・酒と朝寝は貧乏の近道。酒が作った友は、その酒のように一夜限り

・「工字無出頭」(人に使われて肉体労働をしているようでは頭をもたげる機会はないという訓え)どんなエリートコースを歩んでいようと、金儲けに関する限り、商売に絶対にかなわない。華僑は人に使われるのを嫌い、独立しようとする。独立できなければ華僑ではない

・中国には昔から「開門八件事」といって、米、油、塩、味噌、酢、茶、薪、葱の八つの日常生活必需品を扱う商売が、利潤は少なく体を動かすことは多くても、一番手っ取り早く間違いのないものとされる

・華僑には「三代平均説」があって、初代、二代、三代目と総合して平均すれば、どこの家でもずっといい家はなく、また極端に悪いということもないという。この人生観に徹すると、目先のことにクヨクヨすることはなく、気長に時を待てる

・カッコ悪いものから出発して、それを克服し、モノになった人間は、他人に対しても同情心を持ち、また滅多なことで転落しない。底力がついているから、本物になる

・ひとつの商売には必ず「ひけ時」というのがある。チャンスを見て、他職種に転換するというのは、華僑の平均的パターン。そのカンのよさと度胸のよさは本能的。史記の「成功の下に久しく処るべからず」を実践

・目的達成までは「勤労」と「節約貯蓄」。自分の欲を殺す。華僑は「先苦後甘」という言葉が好き

・「先に発すれば人を制し、後に発すれば人に制せられる」をたえず念頭においているのが華僑

・「好んで面前にて人を賞むる者は、また好んでかげにて人をそしる」ことも「君子は虎を畏れずひとり讒夫(ありもしない悪口を言う人間)の口を畏る」ことも知っている

・金や商売の上では、「唾面自乾」(唾をかけられたら、乾くまで待て)も辞さない華僑だが、商売を離れての対人関係に関する限り、他人からの侮辱にはこのうえなく敏感

・「五師」といって医師、教師、弁護士、会計士、建築士への道は、頭と学さえあれば進める道であり、華僑の居住国ではリッチマンへのパスポート。だが、全部の子供を五師の道へ向かわせることはせず、意識的に多岐多様に進ませる

・小学校から大学まであるトコロテン式の学校は「これでは温室育ちか、単純でかたまった社会にしか適応しなくなる」とするのが華僑の考え方

・華僑には、現世主義の世俗と功利を追求する精神が強い反面、「没法子」(仕方ない)「聴天由命(天の運にまかす)の悟りもある

・チャイナタウンで売っている品に一番多く見かける文字が「福」「禄」「寿」である。華僑は、ひたすら自己と家族、一族の紅運を求めてやまない

・「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」華僑は人を鑑定するのに、短時間では結論をださない。外見的な条件を判定の材料にしない。できるだけ、自分の手で気長にデータを集める

・華僑は、麻雀道は商道に通じ、商機をつかむ参考になると言う。相手の手の内を読みとり、大勢の状況判断により、何を捨てるか、勝負に出るかどうか、一瞬のうちに断行する。切ったはったの修羅場を人工的につくり出し、そこで理性を鍛えているというわけである

・中国には昔から、男の運不運は夫人によって左右されるという考え方が根強い。中国でモテるのは、ツンとした顔立ちが整った女性より、頭の回転が早く、人をそらさぬ利発な女性。つまり招気(人をひきつける魅力)あふれる女性

・使うべきところではパッと使い、必要のないところでは一銭の金もおしむ。実に合理的である。ハズむか、シメるか、それを決めるのは見栄や外聞ではなく怜悧な計算である

金銭万能を唱えながらも、金銭のむなしさをも熟知しているのが華僑。「富貴には他人集まり、貧銭には親戚も離る」社会への貢献、後世に残る仕事にのみ金銭の価値は生じる

・「家醜不能外揚」(内輪の悪口は外に漏らすな)家庭内や身内、一族ひいては華僑社会の悪口は、たとえ喧嘩をしている相手のことでも、外側(現地人)には漏らさぬというのが彼らの最低のモラル



ためになる内容が詰まっている本でした。簡単に紹介しきれない内容です。

華僑と日本人は違うかもしれませんが、異郷の地で商売を成功させるには、並大抵のことではないと思います。

その逆境を乗り越えるだけの精神、商道は、大いに参考にすべきです。独立して生計を営むことを夢見る方にとっては必携の書ではないでしょうか。
[ 2010/01/04 07:45 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

金福寺の猫

金福寺の猫/photo by福家金蔵
私は、金福寺のある、京都市左京区一乗寺に1年半ほど住んでいたことがあります。このブログを始めるに当たり、「お金学」に相応しい、いい名前がないかと考えたとき、思い浮かんだのが金福寺でした。

この金福寺の「金」と「福」を使い、「お金を貯めて、しあわせ家族」という意味で、福家金蔵という名前にしました。

福家金蔵を名乗って、1年以上が過ぎ、お礼に、絶対に行かねばと思っていました。

過去に4回ほど、この金福寺を訪れましたが、この25年ほど、ご無沙汰です。というのは、年3~4回、京都観光をしているのですが、金福寺は、洛北の山麓にあり、周辺の道も狭く、駐車場が1台もないからです。

ようやく昨年12月、紅葉の時期も過ぎた、少し肌寒い平日に、友人のTさんを誘い、洛北自転車散歩を敢行できました。

念願叶い、金福寺を訪れたのは、昼の2時ごろでした。門をくぐると、受付には誰もいません。

過去4回訪れた際も、観光客と出会ったのはせいぜい2~3人くらいまでです。1回は誰もいなかったので、本堂の畳に寝そべり、庭を見ながら1時間ほど過ごしたことがありました。

余計なお世話でしょうが、広くて美しい庭を維持するお金を、こちらが心配してしまうほど、観光ルートから見放された静かな寺です。

木魚板を叩き、受付のおばさんを呼び、拝観料の400円を払い、25年ぶりに足を踏み入れました。

案の定、観光客は誰もいませんでした。しかし、そこには、本堂の縁側で日向ぼっこする三毛猫がいました。

私たち2人が、靴を脱ぎ始めるやいなや、この三毛猫は、立ち上がって歩き始め、私たちを本堂の中まで案内してくれました。

そして、誰もいない殺風景な本堂で、寺の説明の録音テープを聴いているとき、傍にいて付き添ってくれました。

おまけに、テープの説明が、寺所蔵の文化財に移った時には、その文化財の前まで案内してくれました。

ちなみに、金福寺は元禄末期、松尾芭蕉が訪れ、その後、与謝蕪村が庵を再興した俳人ゆかりの寺です。さらに、現在まで延々と続くNHK大河ドラマの記念すべき第1回作品「花の生涯」(昭和36年)のヒロイン「村山たか女」が尼僧となり生涯を閉じた寺です。

この猫ちゃんが、すっかり気に入り、プクちゃん(「こんぷくじ」なので)と名付けて呼びかけ、畳の上で、額をさすると、喉をゴロゴロ鳴らすじゃありませんか。

さらに、畳の上で仰向けにして、腹をさすると、気持ちよさそうな顔をするではありませんか。こんなに愛くるしく、しかも、人を案内する猫に今まで出会ったことがありません。

自分たちだけに愛想よく振る舞ってくれたのかと思い、Tさんと
「金と福の招き猫だ」
「金福猫との出会いは開運のお告げ」
などと会話が弾みました。

京都から帰って、気になったので、「金福寺」と検索してみると、次候補に「金福寺 猫」と出てくるではありませんか。検索結果のページをいくつか見てみると、このプクちゃんは結構、有名な猫のようです。

私の撮った写真をこのブログに載せるより、写真の上手な人のブログを見てもらった方が、「招き猫」ぶりがわかるかと思い、次の3つのブログへリンクしました。興味があれば、クリックしてみてください。

京都・金福寺のねこ想いのかけらⅡ
竜胆庵日記金福寺の猫と芭蕉庵
京都ひとり歩きyume_cafe金福寺の「ミーちゃん」

正月なので、何か縁起のいい話をと考えたときに、この「金福寺の猫」(金と福を招く猫と勝手に解釈)がいいかと思い、記事にしてしまいました。

ところで、現在放映中のNHK朝の連続テレビ小説「ウェルかめ」で、板東英二が演じる「なる金」社長の名は「福田銀蔵」だそうです。

本年も、昨年同様、このブログのご愛顧よろしくお願いいたします。読者の皆様のご多幸と金運上昇を願っております。

平成22年元旦  福家金蔵
[ 2010/01/01 08:06 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)