10年ほど前に買って、さっと読んで、そのままにしていた「
松翁論語」を改めて、じっくり読み直しました。
やっぱり、松下幸之助さんは凄い!
森羅万象の原理を透視する力を持っていたのではないかと感じました。
そして、その
透視力は、超能力的なものではなく、度重ねてきた、
日々の反省から生まれたものだと思いました。真剣に生きてこられて、体得されたものだけに、すべての言葉に深みがあります。
938の言葉をすべて、ここに書きたいくらいですが、今回は、未熟な私でも、凄い!と感じた言葉を70ほどに絞り、選ばせていただきました。
001.行き詰まるということは、行き詰まるようなものの考え方をしているからである
005.人の上に立つ者には愛嬌がなければならない。
人が近づきやすい表情でなければ人が集まらない
010.人々に
理念と
目標と
理想を提示できない指導者は、指導者を名乗る資格はない
014.成功を邪魔するものは、結局は自分自身である。世間は誰ひとりとして邪魔はしない
018.経営者は事にあたり、冷静に判断し行動しなければならない。そして、その上でそっと
情を添えることが肝要である
023.喜びは共に分かち合えることができても、苦しみは自分一人で背負わなければならない。だから苦しみを一人で乗り越える勇気と気力と忍耐がなければならない
027.かつてない困難からは、かつてない革新が生まれ、かつてない革新からは、かつてない飛躍が生まれる
031.一生を通じて一つのことに打ち込み、そこに生きがいを求め続けることは、きわめて
価値ある生き方である
040.名誉やお金や世間の評判にとらわれて決断してはならない。正しい決断には、笑わば笑え、誹らば誹れ、自分は正しい道を行くのだという強さがなければならない
044.社員一人一人が自分の仕事でお店を開いているという、
一人一業、
社員稼業の自覚がなければ、会社は発展しない
060.処遇する時に礼を忘れてはならない。
礼を知らない人は下品だ
079.経営者の立場に立つ人は、
先憂後楽という考え方を持っていないといけない
083.商売とは
感動を与えることである
084.この品物を勧めてあげればこの人のためになる、という気持ちがあれば、必ず先方の気持ちを動かせる
110.素直な心とは、寛容にして
私心なき心、広く人の教えを受ける心、分を楽しむ心であり、真理に通ずる心である
125.自分で
自分をほめる。そういう心境になれるような日々の過ごし方が大事である
135.成功とは、自分に
与えられた天分を完全に生かし切ることである
136.幸福とは、自分に与えられた天分の中に生きていくことである
138.経営者は、常に死を覚悟して、しかも常に方向転換する
離れ業を心に描ける人でなければならない
147.勇気は
公のためにやるという立場に立てば、自ずと湧いてくるものである
165.賢愚いずれといえども神の目から見れば、タカが知れている。賢愚の差より
熱意の差が人間の価値を決める
175.相当の仕事をする人、事業をしている人は、
愚痴を言える部下を傍らにおくことが望ましい
208.競争が無理なものでなければ、そこに人類の進歩、世界産業界の発達が生まれる。競争それ自体がわれわれの仕事である
231.小事は、
是非損得をもって判断してもよい。しかし大事は、利害を超越した正義を根底において判断しなくてはならない
269.組織に人を合わせてはいけない。組織を変えてでも人を活かせ
272.人間いちばん苦労すべきは30代だ。なぜなら30代が一番伸びるからだ
285.失うものが多い人は、新しいことに挑戦するのをこわがる人が多い。明治維新は、
失うものがない若い人たちが命がけでやったから成功した
305.
世間におもねるな。おもねれば必ず失敗する
317.世界を相手に一品だけに専念し、徹してやれば、総合メーカーが片手間にやっている仕事よりよい仕事ができる
321.中小企業の犠牲によって大企業が成り立っているというようなことは、大企業として恥ずべきことである
343.売れているのに、値段を下げる努力をしないのは許されないことだ
348.誰の意見にも感心し、何のためらいもなく他人に尋ねることができる人には、他人が集まり、知恵が集まり、
人望が集まる 358.米1粒の尊さを教えないと、若殿もバカ殿になる
361.商売人は利にさとくなければならない。
利に疎いというのは、武士が剣術を知らないのと同じである
363.お客様が出ていく後姿に、心底ありがたいと手を合わす。そういう心持ちがなければ、商売人とは言えない
370.末座に座っている人が、遠慮なくものを言える空気をつくることが、
長たる者の心得である
372.愛国心が強ければ強いほど、隣国と仲良くしよう、世界と友好を結ぼうとするものだ。国を愛する者が、どうして戦争などしようと考えるものか
381.すべてを
善意に考える。すべてを修行と考える。そこから道が開けてくる
383.自分を見つめよ。自分の心を外に離して自分を見つめよ。自分の周囲の人々に自分を見てもらえ。それが
自己観照というものだ
385.希望は、ものを生みだす原動力
411.自分の願望と適性の違いを知るべきである。自分の
適性にかなった仕事につかないと不幸である
426.自分を励ます。勇気をふるい起す。辛抱する。そうしなければならないとき、自分自身への説得が必要になってくる。そこに強い信念、力強い行動が生まれてくる
443.人間は半分は利益で動く。しかし、半分は利益で動かない
469.日本の伝統精神は三つある。
主座を保つこと。
衆知を集めること。
和を尊ぶということだ
483.一から、それも、できるだけ最下位の仕事からやろうとする、という志は、何の仕事においても、非常に尊いものである
518.安くて良いということは、いかなる商売においても最高の決定権をもつ
540.とるべき責任を素知らぬ顔で回避する人間ほど
卑怯な人間はいない
543.己を無にして、はじめて主座は保てるもの
550.人の言うことに耳を傾けようとしないのは、自分で自分の心を貧困にするようなものである
578.ただその時点だけを考えて、よいとか悪いとかを決めて事を行ってはいけない
595.常に新しいものを求めていくところに若さがある
604.人に意見してもらえないようになったら、その人の進歩はなくなる
606.人を敬すれば、自分も敬される。人をバカにすれば、自分もバカにされる
614.些細なことを疎かにしない心掛けが、人生を大きな
成功に導く 655.聞きやすいこと、甘言ばかりでは、真実は伝わらない
668.こっちが誠心誠意の熱意をもって話したら、案外人は聞いてくれる
718.トップとして立つ以上は、常に業界に対して、安定的なものの考え方をしていく使命が課せられている。そういう
襟度を保つことを唯一の仕事としてやってきた
723.景気がいいということは、駆け足をしているようなもの。不景気というのは、ゆるゆる歩いているようなもの。駆け足の時は欠陥があっても目につかない。ゆるゆる歩きの時は、欠陥が目につき、直していこうということになる
735、
不信感は、争いを起こし、物をこわし、事を不成功に終わらせ、結局において人間の共同生活を貧困ならしめるものである
748.他を見て自分の精神をグラつかせる、自分の仕事はこれでいいのかと自信を失う。そして不安にとりつかれる。そのようなことを何度となく繰り返してきた
759.その気になれば、世の中には、なすべき仕事はいくらでもある。仕事がないと嘆じる人は、真に仕事を見つけることに努力しない人である
772.謝らなくてもよい人は、この世の中に、誰ひとりとしていない
782.人を見て言うべきことを変えるのは、よほどの知識体験と余裕がなければできるものではない
797.もし自分が社長だったら、はたして自分を雇うだろうか
809.
人情の機微を知ることは、人生でいちばん大事なことである。事をなそうとする者の要諦はそこにある
838.人から高く評価してもらうことばかり考えている人は、心貧しい人だ。私は、人を高く評価する人間になりたい
864.悟りとは、真実の姿を知ることである
866.本能は
動力、理性は
舵 888.地位を与えて物を与えないと、その権力は乱用される
892.三人の賢人が寄っても、よい仕事はできない。賢人は一人でよし。あとは凡人であるほうがうまくいく。これは
人間の原則である
918.正しい進言を大将に用いさせることのできない軍師は、立派な軍師とは言えない
932.知恵には、天知、叡知、衆知、個人知がある。個人知とは個人の知恵。衆知とは、個人知が集まった知恵。叡知とは、衆知を素直な心で融合した知恵。天知とは、
恒久不変の真理をいう
経営の神様と言われた松下幸之助さんの存在は、今や、経営者が信仰しなければならない「
経営者の神様」としての存在になったのかもしれません。
大小を問わず、経営者の立場にある人、経営者になりたい人、リーダーの立場にある人が、
座右の書にすれば、きっと役に立つと思います。本当に貴重な1冊です。