とは学

「・・・とは」の哲学

『マネーの公理スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール』マックス・ギュンター

マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルールマネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール
(2005/12/22)
マックス・ギュンター

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この本のサブタイトルは、「スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール」というものです。

スイスは、金融立国です。USB銀行、クレディ・スイスなど、世界をリードする巨大銀行があります。どの銀行も、プライベート・バンキング(個人の資産管理業務)による収益比率が高いのが特徴です。

日本では、お金儲けの話もしづらい環境にあるのですが、この本は、「お金がお金を生む」投機の世界のことが書かれています。

まだまだ、抵抗感を持たれる方も多いと思いますが、厳しい投機の世界の現実を知っておくと、狡賢い企業や、小賢しい人に、騙される危険は減ると思います。

この本の中で、読んで役に立ったと思われた箇所を紹介したいと思います。



・人生はすべてギャンブルである。ほとんどの人々は、この事実に不満であり、どうしたら、賭けをしないで済むかを考えながら人生を過ごす

・人生において、富であれ、個人の名声であれ、利益として定義できるものを増やすためには、自分の所有物や精神的な満足感をリスクにさらさねばならない

・給与だけでは、決して金持ちになれない。多くの人々が、給与をもらって貧しくなるのだ。自分のために何かほかのものを持たなければならない

第1の公理
心配は病気ではなく健康の証。もし心配がないのなら、十分なリスクをとっていないということ」

・心配したくないなら、貧乏なまま。もし、心配と貧乏の選択肢があるのなら、心配するほうを選ぶべき

・分散投資はリスクを軽減するが、金持ちになるという希望も同じくらい減少させる

第2の公理
「常に早すぎるほど早く利食え

・強欲とは、過剰な欲望。常にもっと多く欲しがることを意味している。自分が当初望んだ以上に望むことを意味している。それは、自分の欲望のコントロールを失うことを意味する

・1回や2回、早めにやめるという決断が間違いだったとしても、12回、24回と場数が増えるにしたがい、その決断は正しいものになる

・あらかじめ、どれだけの利益がほしいのか決めておけ。そして、それを手に入れたら投機から身をひくのだ

・ランナーは、レースを走り終えたとき、そこがゴールだと知っている。すべてのエネルギーは、ゴールで使い果たされる。テープが切られ、勝者は記録に名を残す。すべて終りだ

・終わったことを自分に納得させるための優れた方法は、何かしらの褒美を設けることだ

第4の公理
「人間の行動は予測できない。誰であれ、未来がわかると言う人を、わずかでも信じてはいけない」

・予測が可能で信頼できるのは、自然現象が対象だからである。お金の世界は、人間模様についてのもの。人間模様は、どんな方法でも、誰にも、絶対に予測できない

・投資助言は話半分で受け流しておけばいい。ほとんどのアドバイザーは、商品を売るために、ある種の秩序ある幻想を用意している。幻想自体が商品なのだ

・勝利の公式を見つけたので金持ちになったと信じている者は、単に幸運だったから金持ちになったにすぎない

第6の公理
根を下ろしてはいけない。それは動きを鈍らせる」

・愛着は人だけに感じるべきもの。物に愛着を持つと、必要な時に素早く行動する機動力が低下する

第7の公理
「直観は説明できるのであれば信頼できる」

・直観と希望を混同するな。直観は、慎重かつ懐疑的に対処すれば、有効な投機ツールになりうる

第9の公理
「楽観は最高を期待することを意味する。自信は最悪に対処する術を知っていることを意味する。楽観のみで行動してはならない」

第10に公理
大多数の意見は無視しろ。それはおそらく間違っている」

・投機の流行を追うな。何かを買う最高のときは、誰もそれを望まないときである

第12の公理
「長期計画は、将来を管理できるという危険な確信を引き起こす」

・お金に関する限り、必要な長期計画は、金持ちになろうとする意志だけだ。どうやって、その目的を達成するかは、正確に知ることはできない



この本は、銀行家の手の内を見せる、本音をずばり暴露した書です。儲ける具体的記述はありませんが、この本を真剣に読めば、投機(投資)する上で、役に立ちます。

資産を増やしたい方にも、資産を減らしたくない方にも、おすすめです。お金の本質投機の本質を教えてくれる貴重な本だと思います。


[ 2009/09/29 07:57 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『ロングテール』クリス・アンダーソン

ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略
(2006/09)
クリス アンダーソン

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ロングテール(長いシッポ)は、これから、ますます重要なキーワードになっていくように思います。

日本でも、20対80の法則(パレートの法則)が、すべてのマーケットで崩壊してきているように感じていました。この現象を、単に、消費の多様化という言葉で片付けられないようにも思っていました。

ネットの普及との関係で、この現象を見事に解き明かしてくれたのが、この本です。今後、どうなっていくのか、興味深い事例もいっぱい出てきます。

従来の、出版、放送、音楽などのコンテンツ産業が、斜陽産業になっていき、インターネットに呑みこまれてしまうのは、避けられないのかもしれません。

この興味深い本を、一部ですが、紹介したいと思います。



テレビ番組が70年代に、今より人気があったのは、作品がよかったからではなく、画面に映る作品が他になかったから

やがて大衆市場は、多数のミニ市場とミニ・スターでできた、ニッチ市場の集合体になる

流通経済は根っこから変わる。インターネットが店舗、映画館、放送局の代わりをして、あらゆる産業を呑みこむ

スペースが無限にあれば、ヒット商品にばかり焦点を合わせて商売するのは間違い

ヒット指向の経済は、すべての人にすべてのものを提供する余裕がない時代の申し子。CDやゲームを並べる店舗スペース、映画を上映できるスクリーン、テレビ番組を放送できるチャンネルが不足していただけのこと

アマゾンでは、書店が置かない本(上位10万タイトル以外の本)の市場がすでに3分の1を占め、その市場が急激に成長

「最大の金は最小の販売にあり」

グーグルは小さな会社から広告収入をほとんど得ている。イーベイもレアもの、ニッチ商品で成り立っている。これらのネットビジネスは、地理や規模の制約がなくなり、完全に新しい市場を発見した

農業経済においては、文化は地域に密着。各地ばらばらの文化から土着のなまりや民謡などが生まれた。昔のニッチ文化は、趣味より地理で決まっていた

音楽ファンは、自分から見つけたものを聴くか、何か新しいものを聴くかの選択肢がある場合、たいていは、自分から見つけたものを気に入る

音楽配信サービスでは、400のジャンルそれぞれに、トップ10のランキングが用意されている。かつて40だったヒット曲が一気に4000を超えた

トップ40の時代は終焉を迎えつつあるが、音楽そのものの人気は落ちていない。人気がなくなったのは、音楽ではなく、旧来のマーケティング、販売、流通のモデル

大物俳優の報酬の多さとその社交生活に大騒ぎし、スポーツのスター選手や有名社長といった山の頂点に過剰なほど注目し、世界をヒットという色眼鏡で見るように調教されていた

人々は、親近感や共通の趣味を通じて結びついた独自のグループをつくり、自発的にそこに集まるようになった。僕たちは、大衆市場に背を向け、地理ではなく興味で定義されるニッチの国を目指している

大量「消費主義」から参加型「生産主義」への移行

百科事典は紙に印刷された瞬間から化石になっていくが、ウィキペディアは自己修復しつづける生きた事典。生体システムのように、天敵や病原菌を制する能力を身につけながら進化していく

ロングテールのヘッドは旧来の貨幣経済で始まり、テール非貨幣経済で終わる

ヘッドは営利が優先。大衆市場の流通媒体により、商品から利益が生まれる。そこはプロ(好きより仕事)の領域。このヘッドの経済には、二軍選手の創造性を受け入れる余地はない。金がプロセスを支配する

テールは、生産と流通のコストが低く抑えられ、利益は二の次とされる。創造の目的は、自己実現、楽しみ、実験など

ヘッド・テールの立場によって、著作権に対する見方が違う。ヘッドは、出版社などが著作権をしっかり防衛。真ん中あたりは、グレーゾーン。テールは非営利な領域。著作権保護をあきらめたコンテンツ生産者が多い

ルル・コムは新興のDIY出版。本を200ドル以下でつくり、オンライン書店で販売してもらえる。しかも、売上の80%が直接作家の手に渡る。アメリカの出版社は普通、作家に15%しか渡さない

今後、みんな作品を出版する最初の舞台として、インターネットを使うようになり、誰でも出版できるようになる

アマゾンは、オンデマンド大手印刷会社、オンデマンドDVD制作会社を買収。スペースをとらずコストもかからない在庫を持とうとしている

検索エンジンを使って商品の購入を検討するのが習慣になった世代の顧客にとって、企業のブランド価値は、グーグルの検索で何がヒットするかで決まる

現在、ネットの消費者に音楽を売ろうと思ったら、いい曲だというだけでは足りない。ネット上に口コミを広げてくれるようなファンの基盤が必要

情報時代からレコメンデーション(推薦、おすすめ)時代に。情報の森の中で賢明な判断を下せるように、近道を案内してくれることが大事に

ネットフリックスで貸し出される映画は3割が新作で7割が旧作(普通、大手レンタルの店舗では9割が新作)その理由は、顧客が愛せる名画をコンピュータ解析で発見する手助けにある

「高品質」とは、1.私に合っている 2.よくできている 3.新鮮だ の順

グーグルは検索結果に関して、新しさより関連性を重視(新しいページより良いページ)投稿記事の人気度の落ち方は、かつてよりゆっくりしたスピードになっている

古い発想をしているために犯しやすい勘違い 
・みんなスターになりたがっている
・みんな金のためにやっている
・売れなければ失敗
・成功とは大衆受けすること
・DVDでしか観てもらえない作品は二流
・自費出版本はクズ
・インデペンダント系とはプロ失格のこと
・アマチュアは未熟の別名
・売れないのは質が悪いから
・いいものなら売れるはずだ

テレビが低俗でくだらないのは、視聴者が低俗でくだらないからではない。ただ、人々は、低俗でくだらないことにかけては非常に似ており、洗練されて上品なことにかけてはあまりにも異なっているから

ロングテールの法則
1.在庫は外注かデジタルに
2.顧客に仕事をしてもらう
5.価格を変動させる
7.どんな商品も切り捨てない
9.無料提供をおこなう



日本でも、このようになっていくのは、ほぼ間違いないように感じました。この事実を直視して、仕事に取り組む人と、知らないで仕事に取り組む人とでは、今後大きな差が生まれるのではないでしょうか。

転職や独立を考えられている方にとっては、必見の書だと思います。



[ 2009/09/28 08:06 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『沖縄・宮古のことわざ』佐渡山正吉

来間島・長間浜/photo by福家金蔵
昨年の夏、宮古島池間島来間島と地続き)と伊良部島下地島と地続き)の5島を自転車で3日間かけ、170km走りました。

170kmは大変な苦行のように思われるかもしれませんが、道もいいし、起伏も少ないし、車も少ないので、島の隅々を観光も兼ねて、休み休み、走ることができました。

その時、宮古島は、人も穏やかで、のんびり、ゆっくり時間が流れているような印象をもちました。

緯度的にも、台湾の首都、台北とほぼ同じで、距離的にも、沖縄本島と台湾のほぼ中間に位置しており、日本文化との違いも多く感じました。


また、島のタクシーの運転手さんの話によれば、毎年1500名近く参加する有名な宮古島トライアスロン大会(25年目を迎えた、水泳3km、自転車155km、マラソン42.195kmの本格的な大会。石垣島のミニコースより過酷)に、宮古島で参加したのはたったの1名だけだったそうです。

島の人たちは、「何であんな過酷なことをすすんでするのだろう」といつも言っているようです。

そんな宮古島に、どんな歴史があったのか、ずっと気になっていたところ、図書館でこの本を見つけました。(この本は、Amazonでは扱っていません。ひるぎ社という出版社のおきなわ文庫として1998年に発行)

ところが、読んでびっくりでした。「穏やか、のんびり、ゆっくり」「日本文化との違い」を感じたのとは正反対で、日本の生活と何も変わらない諺が載っていました。

この本に100載っている諺から、お金に関する諺を中心に、幾つかを紹介したいと思います。


朝起きは富貴、夜ふかしは餓鬼
(朝起きして仕事に精を出せば、働く時間が長くなって富裕の身になるが、夜ふかしは、飲食遊興に時間を費やし、あげくの果ては身代をつぶす結果になる)

富裕はへらから、伸び上るのは女から
(富裕になるのは男の力量次第。家庭が伸び上がっていくのは主婦次第)

貧乏者が塩をたくと雨が降る
(困ることの上に困ることが起こる。不幸の上に不幸が重なる)

・子を亡くした夜は眠れても、ひもじければ眠れない

・手足が動くから口も動く
(働きがあるから食える)

畑にやせ地とはなく、主のなまけがある

明日やるものは今日やれ、今日食うものは明日食え

・かわいい子は他人に使わせ
(親元を離れて他人のところで働き、苦労を経験した子は人生を拓いていく)

タカが舞えば、カラスも舞う
(能力のない者が人の真似をしても無駄)

・一事にかなえば百事にかなう
(一つの事がよくできる人は、それ以外のこともできるようになるものだ)

上がる太陽を拝む
(弱いものがいくら抵抗しても無駄だから大人しく従っていた方が得)

・叱る人の前には行け、ほめる人の前には行くな
(人間は叱られて思慮分別はでる)

・短気は人のため、堪忍は自分のため
(自分が短気を起こすと、相手が得して、自分は損する)

老人は心を食い、若者は力を食え
(老人は豊かな人生の知恵や心を持ち、それを財産にして世を渡れ。若者は体力を存分に発揮して世を渡れ)

高木に風はかかる
(高い地位にある人には人のねたみや非難、そしり、悪口などがかかってくる)

・自分のことは後頭につくまでわからない
(人の欠点はよく目についても、自分のことはわからないもの)

・離れた付き合いがよい付き合い

・道や座で知恵は出る
(社会で多くの人と関わりを持ちながらさまざまなものを学びとる)



結局、言葉や例え方は違っても、日本の諺とほとんど同じです。

人間の本性」は万国共通、変わらないということが確認できたので、収穫でした。私にとっては、面白い本でした。



[ 2009/09/27 10:00 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『未知の力を開く!』桜井章一、名越康文

未知の力を開く!未知の力を開く!
(2008/09/02)
桜井 章一名越 康文

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精神科医の名越氏曰く、
「何の肩書もなく、何の資格も権力も持たず、これだけ深い影響を与える人はいない」
と、桜井章一氏のことを紹介しています。

桜井章一氏は、麻雀の世界で、20年間負けなしの無敗伝説をつくり、超絶的な強さから「雀鬼」の異名をとり、劇画や映画のモデルにもなった人です。

私は、初めて桜井氏の著書に触れたのですが、桜井氏の思想に深く感銘いたしました。

この本は、桜井氏の実践思想を名越氏が分析診断するという形式ですが、今回は、桜井氏の思想で感銘した箇所を紹介していきたいと思います。



・この世に存在するものすべてに流れがある。過去、現在、未来、連綿と続く流れを感じれば、次に何が起こるか分かるし、結末も見えてくる

・能動と受動、私にあるのは受動かもしれない。やるからには、勝たなければいけないが、こちらから何かを仕掛けたことはない。ただ相手が自滅していった。欲望はなるべく自分から遠ざける。それが私のスタンス

・多くの人が他人の捨て牌に目を光らせている。私はまったくその逆。自分の捨て牌は、自分が通ってきた道選んだ道がそこに残っている。それは自分の姿。自分の捨て牌を見る方が、自分の今の状況を見つめられる

・多くの人が他者から得ようとするから他者を見る。他にばかり目をやるから自分を見失う。自分を見失ったら勝負に勝てるわけがない

・必要なものばかり見ていると、どんどん自分の世界を小さくしてしまう。自分がいらないと思ったものこそ大切で、そこに本当の自分、ものの本質が隠れていると思う

・発見は、考え方、思いの幅を広げる。すなわち、精神の幅を広げること。精神の幅が広がれば、いろんなことが受け入れられる。今まで否定したものも許せるようになる。心の領域が自然に広がっていく

・自分にとって都合のいいこと、価値観が同じに思えるものだけを対象にしていると心は鍛えられない。時間を惜しまず、いろんなものを見て、いろんな人と話して、いろんな体験をすることで、心の領域は広がり、鍛えられるのだ

・面白さというのは、危機感と重なりあったものが多い。危機感と面白さは背中合わせの存在。「やばいな、これ」という感覚が、実は往々にして面白い

・自然の中で遊んでいると、水や風の流れを肌で感じることができる。生命の息吹が私を刺激する。私は、そうやって感じる力を磨いてきた。五感を研ぎ澄ますには、自然の中に身を置くのが一番

・五感を使わなくなった人間が増えてしまった。「一感」しか使わない人間は壊れていく

・「善意の池」と「悪意の池」があった場合、気をつけるのは、「善意の池」。善意の池とは名ばかりで、実情は地獄谷。悪意がボコボコ吹きだしている。悪だけ溜まっている悪意の池の方が、素、本音の部分が多い。建前、表層的な部分だけの善意の池こそ用心

・進化の過程で、人間は脳を発達させるために、その代償として「未熟」を残したのではないか。それなのに、人類は脳を肥大化させ、「未熟」を助長させているように思う。人間は危うい方へ向かっている気がする

・ギリギリの緊迫感の中には「生」がある。「生」というみずみずしい爽快感を味わうのが好きである

・自分以外の何かを当てにする「期待
・自分以外の人に代償を求める「見返り
・期待も見返りも行き着くところは「」だ

・ルールを破ると掟破りと呼ばれるが、世の中のルールをつくっている人間が、掟破りかもしれない。それに気づいていない人があまりにも多い

・道場生(雀鬼会の生徒)が毎日乾くのは、世間が焼けているから。でも、彼らはそこで生きなければならない。そして石はまた乾く。私はまた水をかける。その繰り返し。教えるということは焼け石に水なのだ。だから今日もまた、私は道場生に水をかける

・相手が尽くす人なら、尽くしてあげないようにしてあげようと思う。私の方が先に尽くしてあげよう、と

・ゲーム的感覚で麻雀をしている人はとても脆い。流れを読まずに、ただ勝利だけを追い求めているから脆いのだ

・今の世の中を見渡すと、そこには作為が満ちあふれている。作為の嫌いな私は、少しでも作為のにおいを感じると、とたんに楽しめなくなってしまう

・「友達」「親友」というくくりで考えてしまうと、人間関係の幅が狭くなる。どうしても都合のいい人間、分かりあえる人間を選んでしまうから

・運には流れがある。流れがあるということはその「通り道」がある。そしてその道は目に見えない。感じなければ見えない道なのだ。運の流れを感じる力を身につければ、あなたにも運は必ずやってくる

・笑いを失った人、楽しみを失った人、つまらなくなった人が精神的なストレスを感じ、病になっていく

・恐怖感や不安は、自分の気持ちから浮き上がってくる。恐怖は動いていれば薄らぐ。忙しいと恐怖に慣れていく

・私は、金のかかる遊びに興味がない。そんなの面白くも何ともない。本当の遊びは金のかからないもの。よいもの、本物には金がかからない。金がかかることは、偽であって嘘なのだ

・結果だけを求め、そこに行き着くまでの過程はどうでもいいという結果主義は、人間の弱い心をくすぐり邪心を刺激する


著者が、サラッと掬い出した「人間の本質」を、お裾わけしてもらえたように感じました。
桜井氏の素晴らしい哲学・発想に出会えて、とてもうれしい気持ちです。おすすめの1冊です。

[ 2009/09/25 08:02 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『お金より名誉のモチベーション論』太田肇

お金より名誉のモチベーション論  <承認欲求>を刺激して人を動かすお金より名誉のモチベーション論 <承認欲求>を刺激して人を動かす
(2007/01/04)
太田 肇

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欧米の経済学的理論やモチベーション論が、日本人には、どうもしっくりこない場合があります。その「しっくりこない」部分とは何かを追究しているのが、この本です。

日本人が感じる微妙な心の機微を言いえて妙の言葉で伝えてくれています。この本を読めば、日本人をやる気にさせる方法が、新たに気づかされる部分があるかもしれません。

その新たに気づかされる部分を「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・サービス残業を厭わない多くの日本の社員は、経済学が規定している合理的な「経済人」ではなく、「承認人」といった存在

・日本の場合、「金銭」の背後にも、「承認欲求」が隠れている

・自己実現欲求や達成欲求も、自分の行っていることや成し遂げたことに対し、外部からのフィードバックがあって初めて充足する

・日本社会は、裏の承認(減点主義評価)に対して、厳しい

・傑出を優先する欧米、関係性重視の日本
(日本では、周囲との調和や良好な人間関係を築いて裏の承認が得られる。裏の承認をクリアできなければ、表の承認を受ける資格を与えてもらえない)

・日本社会で尊敬されている人は、「関係性」と「傑出性」を備えている
(全人格的な序列を守りながら、他方では、人並み以上の活躍をして、周囲の人々に利益をもたらさなければならない)

・成果主義より厳しいかもしれない年功主義
(年をとると、お金や地位にふさわしい貢献をするように社会的心理的プレッシャーがかかる。“心”の部分に焦点を当てると優しくない制度)

・一番大切なのは「名誉の分かち合い
(名誉や尊敬を特定の人の専有物にしないこと。誰でも、努力と能力次第で、名誉や尊敬を手にすることができたら、互いにけん制する必要がなくなる)

・人格的な序列意識の弊害を取り除くためには、「プライドを棚上げ」する時や場が必要

・名札を付け、意見箱を置くようにすると、客の前では愛想がよくなった反面、裏では手を抜く傾向が表れた。大きなストレスに耐えきれず、辞めていく人が続出したところもある

わかってもらうだけで不満は半減
(上司から不当に低い評価を受けても、周りの人がその不当に気づいてくれていれば、不満は大きく軽減)

・「外から受ける屈辱」と「仲間から受ける冷たい視線」では、後者の方がつらいという声が圧倒的

・リーダーの仕事は部下を売り出すこと
(売り出すことは、ほめることより、大きな意味での承認欲求を刺激する)



この本には、日本人が喜ぶ、日本人が納得することは何か?のヒントが多く、ためになりました。「やっぱり」「なるほど」と思うこともしばしばでした。

評価は、お金だけでは困るが、お金で評価してくれなくても困るといった心理の中で、やる気を引き出すことは、なかなか単純ではないことがわかります。

部下を持つ人に、是非読んでほしい1冊です。

[ 2009/09/24 06:45 ] 太田肇・本 | TB(0) | CM(0)

『できる会社の社是・社訓』千野信浩

できる会社の社是・社訓 (新潮新書)できる会社の社是・社訓 (新潮新書)
(2007/04)
千野 信浩

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最近では、社是・社訓といったら、古くさく感じられる方が多いと思います。

でも、社是・社訓=経営理念・哲学です。だから、社是・社訓のある会社は、組織や社会に対して、どう生き、どう貢献していくかを明言していることになります。つまり、高い倫理性と使命感を有した、信用おける会社なのです。

信用を重んじる会社は、大抵、崇高な社是社訓を持っているように思います。これをないがしろにする会社は尊敬できない会社なのかもしれません。

この本には25の会社の社是・社訓とそれを記した創業者の物語と精神が書かれています。その中で、ためになった箇所を選び、紹介したいと思います。



すぐやる、必ずやる、出来るまでやる (日本電産)

従業員8万人、年商は5000億円を超え、急成長し続ける日本電産・永守社長の信念の言葉。学歴無用、筆記試験なし、世間を驚かせた「大声試験」「早飯試験」「マラソン試験」「留年限定」で採用した社員が今や幹部社員となっている

スピード!!スピード!!スピード!! (楽天)

成功のコンセプト(5項目の社訓)を作った理由として、三木谷社長は、「人間には、さまざまな手段をこらして何が何でも物事を達成する人間と現状に満足し、ここまでやったからと自分自身に言い訳する人間の2タイプしかいない」前者を評価し、怠け者にならないようにするため

商売はお客様のためにある。まず、お客様の利益を考えよ
一人のお客様に誠意を尽くせ。これが野越え山越えの精神である
給料はお客様から頂くもの、前のお客様があなたの主人  (ヨークベニマル12章より)

故大高社長が、一番初めに打ったチラシには、「ベニマルは小さなお店です。キタナイお店です。設備もお粗末、商品も不揃いです。何もとりえはございませんが、ただ一つ、真心だけを買って下さい」と訴えた

「お客様は来て下さらないもの、お取引先は売って下さらないもの、銀行は貸して下さらないもの。一番大切なのは信用であり、信用の担保はお金や物ではなく人間としての誠実さ、真面目さ、そして何より真摯さである」 (日経新聞「私の履歴書」故大高社長の言葉)

善の循環
他人の利益を図らずして自らの繁栄はない (YKK創業者・吉田忠雄の方針)

二意専心 誠意と創意
この二意に溢れる仕事こそ、人々に心からの満足と喜びをもたらし真に社会への貢献となる (シャープ創業者・早川徳次の経営信条)

その言動は、
1.法律や規定に触れていませんか?
2.資生堂のイメージを損ないませんか?
3.家族に知られても構いませんか?
4.誇りをもって実行できますか? (資生堂・倫理カード

1.黄金の奴隷になるな
2.学問の奴隷になるな
3.組織・機構の奴隷になるな
4.権力の奴隷になるな
5.数、理論の奴隷になるな
6.主義の奴隷になるな
7.モラルの奴隷になるな (出光興産・出光佐三の「奴隷解放」の言葉)

自分に対しては
損と得とあらば損の道をゆくこと
他人に対しては
喜びのタネまきをすること (ダスキン・経営理念)

何事でも人々からしてほしいと望むことは、
人々にそのとおりにせよ (白洋舎~マタイ福音書7章12節~)

1.高く買い、安く売って儲けよ
2.同業者より常に3年間は先を歩け (マルハ・中部翁略伝)



社是・社訓という凝縮された言葉の形で、成功した経営者の理念・哲学を知ることができるいい本でした。

読む人によって、サッと、パッとも読めますし、ゆっくり、じっくり、読むこともできます。

いずれにしても、創業者の気持ちが伝わってくる本です。まさしく金科玉条の言葉の数々です。昔の言葉であっても、新しく感じることができるのではないでしょうか。



[ 2009/09/22 07:49 ] 商いの本 | TB(0) | CM(0)