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ロングテール(長いシッポ)は、これから、ますます重要なキーワードになっていくように思います。
日本でも、20対80の法則(パレートの法則)が、すべてのマーケットで崩壊してきているように感じていました。この現象を、単に、消費の多様化という言葉で片付けられないようにも思っていました。
ネットの普及との関係で、この現象を見事に解き明かしてくれたのが、この本です。今後、どうなっていくのか、興味深い事例もいっぱい出てきます。
従来の、出版、放送、音楽などのコンテンツ産業が、斜陽産業になっていき、インターネットに呑みこまれてしまうのは、避けられないのかもしれません。
この興味深い本を、一部ですが、紹介したいと思います。
テレビ番組が70年代に、今より人気があったのは、作品がよかったからではなく、画面に映る作品が他になかったから
やがて大衆市場は、多数のミニ市場とミニ・スターでできた、ニッチ市場の集合体になる
流通経済は根っこから変わる。インターネットが店舗、映画館、放送局の代わりをして、あらゆる産業を呑みこむ
スペースが無限にあれば、ヒット商品にばかり焦点を合わせて商売するのは間違い
ヒット指向の経済は、すべての人にすべてのものを提供する余裕がない時代の申し子。CDやゲームを並べる店舗スペース、映画を上映できるスクリーン、テレビ番組を放送できるチャンネルが不足していただけのこと
アマゾンでは、書店が置かない本(上位10万タイトル以外の本)の市場がすでに3分の1を占め、その市場が急激に成長
「最大の金は最小の販売にあり」
グーグルは小さな会社から広告収入をほとんど得ている。イーベイもレアもの、ニッチ商品で成り立っている。これらのネットビジネスは、地理や規模の制約がなくなり、完全に新しい市場を発見した
農業経済においては、文化は地域に密着。各地ばらばらの文化から土着のなまりや民謡などが生まれた。昔のニッチ文化は、趣味より地理で決まっていた
音楽ファンは、自分から見つけたものを聴くか、何か新しいものを聴くかの選択肢がある場合、たいていは、自分から見つけたものを気に入る
音楽配信サービスでは、400のジャンルそれぞれに、トップ10のランキングが用意されている。かつて40だったヒット曲が一気に4000を超えた
トップ40の時代は終焉を迎えつつあるが、音楽そのものの人気は落ちていない。人気がなくなったのは、音楽ではなく、旧来のマーケティング、販売、流通のモデル
大物俳優の報酬の多さとその社交生活に大騒ぎし、スポーツのスター選手や有名社長といった山の頂点に過剰なほど注目し、世界をヒットという色眼鏡で見るように調教されていた
人々は、親近感や共通の趣味を通じて結びついた独自のグループをつくり、自発的にそこに集まるようになった。僕たちは、大衆市場に背を向け、地理ではなく興味で定義されるニッチの国を目指している
大量「消費主義」から参加型「生産主義」への移行
百科事典は紙に印刷された瞬間から化石になっていくが、ウィキペディアは自己修復しつづける生きた事典。生体システムのように、天敵や病原菌を制する能力を身につけながら進化していく
ロングテールのヘッドは旧来の貨幣経済で始まり、テールは非貨幣経済で終わる
ヘッドは営利が優先。大衆市場の流通媒体により、商品から利益が生まれる。そこはプロ(好きより仕事)の領域。このヘッドの経済には、二軍選手の創造性を受け入れる余地はない。金がプロセスを支配する
テールは、生産と流通のコストが低く抑えられ、利益は二の次とされる。創造の目的は、自己実現、楽しみ、実験など
ヘッド・テールの立場によって、著作権に対する見方が違う。ヘッドは、出版社などが著作権をしっかり防衛。真ん中あたりは、グレーゾーン。テールは非営利な領域。著作権保護をあきらめたコンテンツ生産者が多い
ルル・コムは新興のDIY出版。本を200ドル以下でつくり、オンライン書店で販売してもらえる。しかも、売上の80%が直接作家の手に渡る。アメリカの出版社は普通、作家に15%しか渡さない
今後、みんな作品を出版する最初の舞台として、インターネットを使うようになり、誰でも出版できるようになる
アマゾンは、オンデマンド大手印刷会社、オンデマンドDVD制作会社を買収。スペースをとらずコストもかからない在庫を持とうとしている
検索エンジンを使って商品の購入を検討するのが習慣になった世代の顧客にとって、企業のブランド価値は、グーグルの検索で何がヒットするかで決まる
現在、ネットの消費者に音楽を売ろうと思ったら、いい曲だというだけでは足りない。ネット上に口コミを広げてくれるようなファンの基盤が必要
情報時代からレコメンデーション(推薦、おすすめ)時代に。情報の森の中で賢明な判断を下せるように、近道を案内してくれることが大事に
ネットフリックスで貸し出される映画は3割が新作で7割が旧作(普通、大手レンタルの店舗では9割が新作)その理由は、顧客が愛せる名画をコンピュータ解析で発見する手助けにある
「高品質」とは、1.私に合っている 2.よくできている 3.新鮮だ の順
グーグルは検索結果に関して、新しさより関連性を重視(新しいページより良いページ)投稿記事の人気度の落ち方は、かつてよりゆっくりしたスピードになっている
古い発想をしているために犯しやすい勘違い
・みんなスターになりたがっている
・みんな金のためにやっている
・売れなければ失敗
・成功とは大衆受けすること
・DVDでしか観てもらえない作品は二流
・自費出版本はクズ
・インデペンダント系とはプロ失格のこと
・アマチュアは未熟の別名
・売れないのは質が悪いから
・いいものなら売れるはずだ
テレビが低俗でくだらないのは、視聴者が低俗でくだらないからではない。ただ、人々は、低俗でくだらないことにかけては非常に似ており、洗練されて上品なことにかけてはあまりにも異なっているから
ロングテールの法則
1.在庫は外注かデジタルに
2.顧客に仕事をしてもらう
5.価格を変動させる
7.どんな商品も切り捨てない
9.無料提供をおこなう
日本でも、このようになっていくのは、ほぼ間違いないように感じました。この事実を直視して、仕事に取り組む人と、知らないで仕事に取り組む人とでは、今後大きな差が生まれるのではないでしょうか。
転職や独立を考えられている方にとっては、必見の書だと思います。
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Author:多角つつむ
経営コンサルタントをリタイア
趣味:歴史散策,読書