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「・・・とは」「・・・人とは」を思索
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『「物語力」で人を動かせ!』平野日出木

「物語力」で人を動かせ!―ビジネスを必ず成功に導く画期的な手法「物語力」で人を動かせ!―ビジネスを必ず成功に導く画期的な手法
(2006/03)
平野 日出木

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以前、「講演の仕方、発表の仕方」で、事例中心に話す方法について書きましたが、この「物語力で人を動かせ」にも同じようなところを感じました。

しかし、この本は、さらに掘り下げて、どういう物語を皆が求めているのか?受ける物語とは何か?といった物語の構造分析をしています。

例によって、「本の一部」ですが、非常に参考になったところを紹介したいと思います。



・モノを売り込むには、論理で攻めるよりも、相手を共感させ、感情移入させる物語の方が効果的

・論文は読み手に対決を迫ってくる不遜な形式、これに対し、物語は読者が安心でき、解釈の自由度が高い形式。聖書は「物語形式」で書かれている

・障害を乗り越えながら、願望の実現を目指すのが、物語の基本型

・フランスの学者が、物語の構造分析した結果、登場人物6人の「行為者モデル」は
1.主体 2.対象 3.敵対者 4.援助者 5.送り手 6.受け手であった

・桃太郎を例にとれば、1.主体(桃太郎) 2.対象(宝) 3.敵対者(鬼) 4.援助者(犬、猿、雉) 5.送り手(おじいさんとおばあさん) 6.受け手(おじいさんとおばあさん)になる

・会話やシーンをリアルに「再現」すれば、聞き手は同じ体験をしたかのように錯覚する

・「動詞」を繰り返して臨場感を演出する

・聞き手に感情移入させるV字型ストーリー(現在から入り、いったん過去に遡り、再び現在に戻ってくるV字型)

・エピソードは時間順に配列するのが基本。未来は、過去から現在に至る実績の延長線上に置くこと

・共感を呼ぶには、課題や困難な状況、自分の欠点をさらけだし、その壁を乗り越えた事実を提示すること。そうすると、自分の能力の信頼を得る

・自己紹介は、聞き手の「用心フィルター」を外し、信頼させることが目的。聞き手は話し手の善意の言葉をそのまま受け取るのを拒む。話し手を知らない場合はなおさら。オバマ大統領(当時は候補者)は「私の物語」「アメリカの物語」を演説に上手に使って、物語で信頼を得ていった

・聞き手の疑問を先取りして説明する

・熱い思いを伝えて、人を鼓舞する

伝説を今の活動にリンクさせる

・リアルなシーンを使って物語性を高める

・自分をドラマチックに演出する



論理より物語が大事だということがよくわかりました。

文章を書くとき、意識はしていないのですが、「困難を克服した体験ストーリー」「エピソードを時系列に配置」「動詞を多用」「聞き手の疑問を先取り」などの技術を私自身、使っているのかもしれません。

最近、書いた「エアコン不要!吸汗Tシャツ・気化熱冷却法」の文章を改めて読み直したら、ほぼ、そのような形になっていました。

人前で話すとき、人前で話すレジュメを書くとき、文章を書くとき、文章を校正するとき、この本の内容を知って、確認、校正をすると、コミュニケーション能力がかなり高まるように思います。メッセージが効果的に伝わるのではないでしょうか。

[ 2009/07/31 08:22 ] 育成の本 | TB(0) | CM(0)

『オプティミストはなぜ成功するか』マーティン・E.P.セリグマン

オプティミストはなぜ成功するか (講談社文庫)オプティミストはなぜ成功するか (講談社文庫)
(1994/02)
マーティン・E.P. セリグマン

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私は、オプティミスト楽観主義者)だと思います。できることしか考えていませんので、すぐに行動します。失敗しても、一晩寝たら忘れています。

妻は、ペシミスト悲観主義者)です。失敗を前提に考えているので、行動になかなか移せず、いつもぐずぐずしています。

頭がいいのは、妻の方なのですが、得をしてきたのは私の方ではないでしょうか。私の行きすぎた行動をセーブするのが、妻の役割になっています。

オプティミストとペシミストは生まれつきのものだと思っていたのですが、この本には、訓練次第で、誰でもオプティミストになれることが具体的手法を交えて、書かれています。

著者は、米国ペンシルバニア大学心理学の教授です。したがって、単なる自己啓発本ではありません。きちんと証明されたことが記述されている専門書です。


例によって、「本の一部」ですが、ためになった箇所を紹介したいと思います。



・不幸は、「自分の責任」で、「永続的」で、「運が悪い」からと信じている人は不運に見舞われることが多い。また、能力以下の業績しかあげることができない。悲観的な予測は、その通りの結果を招く

・才能と意欲が豊富にあっても、楽観的なものの見方が欠けている時には、失敗に終わることもある

・敗北に直面した時の目覚ましい回復力は、生まれつきの特性ではなく、身につけることができるもの

・すぐにあきらめる人は、自分に起こった不幸は、永続的で、悪いことは続き、自分の人生に影響を与えると考えているが、あきらめない人は、不幸の原因は一時的なものと考えている

・楽観的な人は、よい出来事を「特性」「能力」「いつも」という理由で説明するが、悲観的な人は、「状況」「努力」「ときどき」という理由をあげる

・失敗の原因が永続的なもの(愚かさ、才能のなさ、醜さ)だと思っていれば、人は変わるための行動を起こさないが、一時的なもの(意欲のなさ、努力不足、太りすぎ)だと信じていれば、変える行動を起こせる

・挫折を、個人的(自分が悪い)、永続性(ずっと続く)、普遍性(何をやってもダメ)と解釈すると、将来にまで、その状況を持ち越すことになる

・オプティミストの方が、学校でも選挙でも職場でも、よい成果をあげること、より健康で長生きすることが、度重なる研究の結果、証明されてきている

・楽観度を考慮に入れず、能力だけで成績の良さを考えるのは無意味という結論に達した

・ユダヤ人は、貧困、宗教的迫害、虐殺の脅威にさらされたにもかかわらず、ユダヤ教が楽観的な宗教(祈祷書、宗教読み物、民話、歌、ことわざなどの記述)なため、希望を与えられ、試練に立ち向かう力を得たと考えられる

・何かを達成しようとしている時、自分の気持ちを高めようとしている時、困難な状況が長引きそうな時、指導的役割を演じたい時は楽観主義が有効

・リスクの大きいことを計画する時、他の人の困り事に同情したい時は、楽観主義は使わない方がいい

・悲観的な思い込みをしていたら、自分の頭に浮かぶ考え方に反論することで、いつもの落胆とあきらめの反応をエネルギッシュな行動へ変えることができる

・反論するには、「証拠はあるか?」「別の考え方はできるか?」「思い込みが本当でも、それがどんな意味を持つのか?」「その考え方は有効か?」と考えるのが効果的

・自分の否定的な考えに反論する方法は子供でも覚えられる。楽観主義は、早く身につけるほど、基本的な習慣になる

楽観的スタイルが必須条件の分野は、「セールス」「仲買業」「広報」「人前に出る仕事」「募る仕事」「創造的な仕事」「競争の激しい仕事」「燃え尽きる率の高い仕事」など

適度の悲観的スタイルでも構わない分野は、「設計・安全工学」「技術・コスト見積」「会計」「法律(訴訟を除く)」「経営管理」「統計」「品質管理」「人事管理」など



どうでしたか?世の中には頭がいいのに、悲観主義なため、成功していない人がゴロゴロいます。一生懸命勉強するより、悲観主義を改める勉強をする方が、すぐ成功につながるのではないでしょうか。

この本は、1991年に出版され、その後文庫本になり、いまだに版を重ねているロングセラーの書です。悲観主義に陥りやすい方には、是非読んでほしい1冊です。

[ 2009/07/30 08:48 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『ワルの知恵本』門昌央と人生の達人研究会

ワルの知恵本ワルの知恵本
(2004/10/23)
門昌央と人生の達人研究会

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タイトルが「ワルの知恵本」となっていますが、全然、悪くない本です。

この本には、180近くの処世術が書かれていて、十分な内容があるにもかかわらず、値段はたったの税込500円です。すごく良心的です。

この本に出てくるような処世術は、社会人として、当然、身につけておくべきものだと思います。たとえ、この処世術を自分が使わなくても、他人に行使されるのを防ぐために、知っておく必要があるのではないでしょうか。

この本に記載されている、数ある処世術の中で、参考になった箇所を、紹介していきたいと思います。



・「お世辞が言えないタチでして」と言うのは、ゴマすり人間
・「言い訳はしません」と言うのは、言い訳人間
・「行けたら行く」と言うのは、薄情な人間

・組織の一員になると、悪事が働ける人は、個人としても信用できない
・人の意見に眉をひそめる女性は、自分が優秀と意識している。離れるのが無難

・妙にエネルギーがありすぎの人とは、用心してつきあう
・「誰でもやっていること」と言い逃れする人とは関わらない方がいい
弱者への優しさをやたら主張する人には注意。エゴイストと表裏一体

うさん臭い人と付き合っている人は、信用できない
・生きざまが顔に表れず、喜怒哀楽も乏しいツルンとした顔の人を信頼してはいけない

・実体のないほめ言葉でも、繰り返すうちに相手を動かす。言葉にはそういう魔力がある
すごいさすがなるほどの連発で、相手の虚栄心は大いに満足させられる

・人をほめる場合にしてはいけないことは、他者と比較してほめること
・極上、満面の笑みこそ人たらしのイロハ
・別れ際に、“過去形”で、感情を強くこめて感謝すると、相手の心に強く残る

・相手が言った言葉をそっくり返すトークは、相手を安心させる方法として有効
・相手が価値を置いていることに賛同すると、相手の好意を簡単に得られる

不平不満分子に役割を持たせることで、うまくコントロールできる
・仕事ができる女性ほど、実は、女の部分を称賛されたがっている

・自分に有利に事を運びたいなら、騒がしい場所を選び、交渉するとよい
・世話したお礼が薄謝の場合、拒否し、相手に再考させる
・当たり前の話でも大声で繰り返せば、相手も認めるしかなくなる

・相手のペースに巻き込まれそうになったら沈黙する
・相談するのは確証を得るためだから、相談された相手が欲している答をだすこと
人をその気にさせるには、大義名分を用意してやればいい

・ほめる場合、直接相手に言うより、第三者を介して伝える方が効果的
・本音を吐かせるには、訥弁でノロノロ喋った方が、変な間が空き、有効
・部下を取り込むのに、効果的なセリフが「信じているよ」「認めているよ」の二つ

・有効なのは「がんばって」ではなく「がんばっているね」
・「忙しい」「がんばるぞ」とよく言う人ほど、暇で、やる気がない人
・髪を染めたり、カツラをする中高年男性は、権力、利権、名声を追求したい人

・初対面で相手の顔をチラッと盗み見るのは、自分の優位性を誇示するあらわれ
・道を極める才能のない若者は、「若い時は何にでも挑戦しろ」の甘言を信じてはいけない
・本当の人格者は、権力争いの外にいて、社会の表舞台には出ないもの

・「銭金の問題じゃない」と言う人こそカネを問題にしている
何とか主義を振り回す人は、人間より主義が大事な人で、信用できない



この本を、対人関係で、災難に遭わないための防衛費として考えれば、500円は安い買い物だと思います。しかも、読みやすく、お手軽です。

「ワルの知恵本」ではなく「よいこの知恵本」として、社会の荒波にのまれる前に、是非、読んでほしい1冊です。


[ 2009/07/29 08:52 ] 人生の本 | TB(0) | CM(1)

『広告五千年史』天野祐吉

広告五千年史 (新潮選書)広告五千年史 (新潮選書)
(2003/11/15)
天野 祐吉

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新聞や雑誌にコラムを執筆し、テレビにもよく出てこられる天野祐吉さんの本です。広告技法が太古の昔から使われていたことを実証しようとする内容です。ある意味、広告の歴史書なのかもしれません。

見えるものを宣伝することだって難しい。見えないものを宣伝することは、さらに難しい。その超難しいことをして、成功した偉人たちがいます。

この「私説広告五千年史」は、歴史に名を残す宗教家布教活動政治家PR活動とはどういうものだったのか?現在の広告技法に照らし合わせて、面白おかしく解説されています。

広告の本とは考えずに、「成功した偉人の自己PRノウハウ書」と考えた方が適切かもしれません。

斬新な内容だと感じた箇所を「本の一部」ですが紹介したいと思います。



イエスキリストの広告術
(ヘタな説教をするより、具体的サービスで話題をつくり、「誰にも言うな」と言って、口コミで噂を広めた方が効果的と知っていた)

・イエス流コピー作法
(聖書は、1.圧縮せよ 2.シンプルであれ 3.誠実さを示せ 4.繰り返せ の鉄則を後世のコピーライターに教えている)

グレゴリオ聖歌は、楽しませながら、みんなをその気にさせるという、CM音楽が狙っているものと全く同じ

地獄絵キャンペーンで、平安朝末期の日本仏教は、「極楽往生」という商品をヒットさせ、仏教を大衆化することに成功した。恐怖心をかきたてて商品を売る「恐怖アプローチ」と「使用前使用後」の方法という広告の基本が見てとれる

蓮如は手紙(御文)を駆使し、ダイレクトメール戦略で親鸞の教えを人々に広めた

空海は広告的才能がずば抜けていた。「弘法伝説」というエピソードを上手く使い、口コミを利用して布教した。また「四国八十八カ所めぐり」というパッケージツアーで、楽しみながら信心を深めることの礎を築いた

一遍踊り念仏は、“極楽”の表現と“浄土”の映し絵であり、踊る人たちだけでなく、それを見物する人たちも魅了させた。同時に、「すべてを捨てよ」のスローガンを掲げ、布教に成功した

秀吉は「いいイベントがいい評判をつくる」という広告の原則を心がけていた。派手なイベントを好んで企画、実施(住まいの聚楽第で5日間に渡る天皇即位パレード&祝典など)した

ルイ14世は、「幻想」をつくりあげるために、ヴェルサイユ宮殿という幻想発生広告装置を最大限に利用した



人を動かして、歴史上に名を残した人は、ほとんどが広告上手だったのではないでしょうか。宣伝するという概念を大きく広げて考えてみると、さまざまな発見があるかもしれません。

広告、広報に携わっている方や自己PRを上手にしたいと思われている方には、必見の書だと思います。

[ 2009/07/28 08:15 ] 仕事の本 | TB(0) | CM(0)

『ウォーター・マネー「水資源大国」日本の逆襲』

ウォーター・マネー「水資源大国」日本の逆襲 (Kobunsha Paperbacks 123)ウォーター・マネー「水資源大国」日本の逆襲 (Kobunsha Paperbacks 123)
(2008/07/23)
浜田和幸

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水の重要性を知ったのは、単に飲料用だけでなく、発電、先端工業、先端農業などで大量の水が必要なことを知ってからです。まさに、水がお金水が命になってくるわけです。

この本は、水について、数字を織り交ぜながら、世界各地の水に関するデータと今後の予測を詳細に紹介してくれる内容になっています。

水に少しでも関心のある人にとっては、非常にためになる本です。著者は、未来予測で有名な評論家の浜田和幸氏です。

早速ですが、ためになった箇所を本の一部ですが、紹介していきたいと思います。



ウォーター・ファンドが相次いで誕生。その投資規模は7000億ドルへと急拡大

・人類の歴史において、水が引き金になった戦争が8000以上記録されている

・ゴールドマン・サックス社は、水こそ石油に代わる資源、最も有望な投資先との報告書

・アメリカだけでも2020年までに水道管の新設や排水処理プラントで1兆ドルのビネネス

・地球の水の淡水の割合は2.5%、その9割以上が北極・南極の氷や地下水。思うように利用できない

・中国東北部、インド、メキシコなどの人口密集地では、地下水の枯渇で、深刻な水不足が発生

・世界の大都市の95%が生活排水や工業用水を安全処理しないまま垂れ流している

・日本の工場における水のリサイクル率は80%を超えており、世界最高レベル

・世界で最も水が豊かな国はカナダ。アメリカはそのカナダから大量の水を輸入

・ペットボトルで供給された水は1540億ℓ、5年前と比べ、60%以上の伸び

・ペットボトルの水の消費量は、アメリカが1位、次いでメキシコ、中国、ブラジル、イタリア、ドイツの順

・トルコは飲み水を大型タンカーに詰めて運ぶ水輸送ビジネスを始めた。新たな顧客にイスラエルとも交渉

・デンマークでは、水は人間が生存する共有財産として、水の売買や水道事業から企業が利益を上げるのを禁止する新たな法律を制定

・フランスのウォーター・バロンズという水企業は、民営化された水道事業を手に入れ、3億人の顧客に生活用水を供給

・現在の中国にとって、環境対策に必要な技術や水を浄化するノウハウが喉から手が出るほどほしい

・農薬・化学メーカーで有名なアメリカの「モンサント」は、遺伝子組み換え技術の次の中核ビジネスとして、世界の水支配に本格的に取り組み始めた

・1kgの小麦を作るために2000倍の2tの水が必要、同様に大豆1kgに2.5tの水、鶏肉1kgに4.5tの水、豚肉1kgに6tの水、牛肉1kgに20tの水が必要

・中東諸国にとって命の水と言える海水淡水化プラントは日本の企業が世界のマーケットの60%近いシェアを誇っている

乾燥地農業は非常に大きな将来性を秘めている



日本にいると、水の有難さがあまりわかりませんが、水は大きなビジネスになっていくように思います。

それと、生命の源である水は、今後、外交カードとして、政治的に大いに利用される可能性も大です。

水が、面白くなってくるのは、間違いなさそうです。この本を読んで、水に関心を持ち、水を勉強することが、将来、プラスに働くのではないでしょうか。

[ 2009/07/27 08:27 ] 環境の本 | TB(0) | CM(0)

苔緑化と都市のヒートアイランド対策

兵庫・香美吉滝近く/photo by福家金蔵
最近の夏は、“35度が暑く感じないくらい”の暑さが続きます。

毎年、夏になると、地球温暖化よりも、都市のヒートアイランド化について、報道され、議論されることが増えてきています。

しかし、有効な手だてが乏しいのか、夏の都市の気温がなかなか下がらないようです。

ところで、以前、苔の研究をされている先生と長時間にわたり、お話を聞かせていただく機会がありました。苔の研究者として、多くの生育実験をされ、数々の論文も書き、多くの場所で講演もされている方です。

苔緑化と都市のヒートアイランド対策は何か関係があるの?と、思われるかもしれませんが、実は「大あり」です。

私も、ずっと前に、「は、シダトクサとともに、恐竜以前(4億年前)から存在する最も古い植物」と知り、興味を持っていました。

しかも、土がなくても育ち、カラダ全体で水分を吸収する珍しい植物と聞いていました。

その予備知識以外に、さらに苔について、先生に教えてもらったことは、

1.最初に海から陸に上がった植物である
 (海藻が進化したもの)

2.太古の地球の過酷な環境「二酸化炭素が今の地球の20倍」を耐え抜いてきた植物である
 (CO2吸着率が非常に高い)

3.土のないところでも生育し、枯れて腐った後も、養分として、他の植物を育て、土壌を育む植物である
 (荒れた地表を再生する植物連鎖の源)

4.世界中で2万種類以上あり、日本にも2000種類以上ある
 (じめじめした環境を想像しがちだが、日向や乾燥を好むものもある)

5.環境が合えば、全く手間いらずの植物である
 (水やり、肥料やり、剪定、雑草抜きが不要。屋上壁面緑化に向いている)

6.フワフワ、モコモコの葉に当たる部分に水分を溜めると同時に空気層もつくる
 (水分蒸発の気化熱冷却機能空気層断熱機能を併せ持ち、屋上壁面緑化に向いている)

7.森林浴効果の素であるフィトンチッド放出が確認されている
 (心が落ち着き、清々しい気分になる。欧米では、精神安定剤として、利用されてきている)

8.丈夫なので、なかなか枯れない
 (乾燥した状態で、1年以上放置していても、生き返る)

このように、苔は、人類のため、地球のために役立つ、非常に大事な植物です。京都の社寺の庭に代表されるように、日本的美意識として、苔は重宝されてきましたが、ヒートアイランド対策としての利用は、これからではないでしょうか。

湿潤な気候を生かして、苔が日本の都市の人工的建造物を覆うようになれば、景観もよくなり、「モスシティ」として、世界にアピールできるのではないかと思っています。

気温を下げる(水分蒸散による気化熱)
室内の温度を下げる(壁面苔緑化による遮光断熱)
景観がよくなる(自然に勝る構造物はなし)
CO2をよく吸収する(土がなくてもよい、都市に最適な植物)

このように、苔緑化は、都市のヒートアイランド対策だけでなく、住んでいる市民にとってもいいことばかりです。

もっと苔に対して、関心を持っていただければと願う次第です。


[ 2009/07/26 06:50 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

『アラブの格言』曽野綾子

アラブの格言 (新潮新書)アラブの格言 (新潮新書)
(2003/05)
曽野 綾子

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先々月、NHKのBS放送で、世界のドキュメンタリー「パリサの45日間~テヘラン受験事情~」という番組を見ました。

この番組は、イランのテヘランに住む女子高校生のパリサちゃんが、テヘラン大学の受験に臨む姿を密着取材したものでした。

アラブ諸国の日常生活(家族の職業、母親の献身ぶり、姉妹喧嘩、友人との会話、好きなTV番組、ファッション、勉強部屋の様子、心の葛藤、家族の合格祈願法など)が映し出され、非常に面白く思いました。

その中で、驚いたのは、イランでは、女子の方が大学進学率が高いとのこと。その逆ではないかと思っていました。その理由は、婚約時に、男が持参する結納金?が、大学を卒業した女性は、200万円?ほどアップになるからだそうです。

現金と言えば、現金ですが、さすがにアラブ諸国だなと感じました。イスラム教の開祖マホメット(ムハンマド)は、もともと商人です。そのため、アラブ諸国は契約中心の社会になっていると以前から聞いていました。

もっと、イスラム教を信じる人やアラブ諸国の人たちの考え方を知りたくなり、簡単にまとまったいい本はないかと探していたら、この本が見つかりました。

著者は、作家で有名な曽野綾子さんです。クリスチャンでもあり、保守色の強い日本財団の元会長です。

曽野綾子さんもアラブ世界を深く理解するには、彼らの格言を知るに限るということで、この本を書かれたそうです。

ここのところ、何かと話題の多い、アラブ諸国ですが、日本人は、余りにも知らなすぎると思います。この本を読めば、アラブの人たちのことがおおよそ理解できます。

この本の中で、気になった格言を「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・天使に支配されるよりは、悪魔を支配する方がいい(マルタ)
・人に食べ物をやる時は、満足するまでやれ。殴る時は、徹底的に殴れ(アラブ)
・弱いやつの武器に気をつけろ(中世アラブ)

戦わないやつが戦争を奨励する(オマーン)
・喧嘩には、きっかけの花火がいるだけだ(アラブ)
・すべての人間の狂気は、一人一人違っている(レバノン)

・小さな小屋に一人で住む方が、他の人々と宮殿に住むよりいい(マルタ)
・やつは葡萄絞り器を買うために、葡萄畑を売ったんだぞ(アラブ)
・幸運は持っている人間には来るが、探している人間には来ない(アラブ)

・水を節約するようにと言われた途端に、誰もが水を飲み始める(アラブ)
・もしも二人がうまくやっているように見えたら、一人が耐えているのだ(チュニジア)
・葡萄の房に手が届かなかったやつは必ず言うのだ。「葡萄はすっぱいよ」(アラブ)

・自分で考えろ。誰も脳味噌を貸してくれない(アラブ)
・悲しみは生きている者のためで、死人のためではない(トルコ)
・早く与えることは、二倍与えることだ(トルコ)

・お前が望んでいることを隠せ。そうすれば成功する(モロッコ)
・秘密は鳩。手から離れた途端に翼を持つ(イエメン)
・あなたには名誉を。私には利益を(クルド)

・賢い人は見たことを話し、愚か者は聞いたことを話す(アラブ)
・行動を起こす前に、退路を考えろ(アラブ)
・正義はよいものだ。しかしだれも家庭ではそれを望まない(マルタ)

・「俺のパンはおまえのより大きい」と言われたら、「少しくれ」と言えばいい(レバノン)
・千回も考えを変える方が、一回だまされるよりいい(レバノン)
・狼の招待を受けたら、犬を連れていけ(トルコ)

・語る前に恐れるな。恐れたら語るな(イラク)
・ベールが厚いほど、上げる価値はない(トルコ)
・お前に微笑みかける女はお前を騙そうとしている。泣く女はすでに騙したのだ(アラブ)

・すべての年寄りは二つの間違いをやらかす。可能性のない希望と極度のケチ(アラブ)
・正しくたって、間違えたってどっちでもいいのだ。お前の兄弟を支持しろ(アラブ)
・姑を愛する嫁は千人に一人。嫁を愛する姑は二千人に一人(レバノン)

・犬は飢えさせろ。そうすれば従順になる(アラブ)
・商人が商品にケチをつける時は買いたがっているのだ(アラブ)
・富は不名誉を隠す(アラブ)

・友達が金持ちになるように祈るな。そうなったら彼は友達でなくなる(アラブ)
・誰もがベッドの上で、毛布を自分の方に引っ張る(レバノン)
・猫と鼠は家を荒らすことでは同意する(アラブ)



仏教や儒教の国と違う部分を多く感じますが、変わらない、普遍的な部分もあり、そこが参考になりました。

全部で530を超える格言がこの本の中には詰まっています。アラブの格言をしつこく集められ、しかも解説も丁寧にされています。

アラブ諸国の方と、ビジネス等で関係のある方は見ておいて損はない本だと思います。

[ 2009/07/24 07:17 ] 曽野綾子・本 | TB(0) | CM(1)

『なぜモチベーションが上がらないのか』児玉光雄

なぜモチベーションが上がらないのか [ソフトバンク新書]なぜモチベーションが上がらないのか [ソフトバンク新書]
(2006/03/16)
児玉 光雄

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以前、やる気の出し方7策の記事で、やる気の源を私なりに7つ推論しました。その時、「やる気」の専門書で、実践的なものが見つからないといったことを書きましたが、この本は、科学的かつ実践的で、非常に参考になりました。

著者の児玉光雄氏は、京都大学出身で、学生時代テニスプレイヤーとして全日本選手権出場。アメリカのオリンピック委員会の客員研究員も務め、現在は鹿屋体育大学の教授です。

この本の内容は、心理学経営学スポーツ科学をミックスしたようなものです。今、科学的かつ実践的な「やる気の研究」が一番進んでいるのは、ビジネス分野でもなく、心理学の分野でもなく、このスポーツ科学の分野なのかもしれません。

「本の一部」ですが、「やる気」を知る上で、非常に参考になった箇所を今から紹介したいと思います。



・結果指向を捨てて、プロセス指向に徹すれば、悪い結果が出ても、やる気を失うことはない。なぜ、うまくいかなかったのかに興味がわき、いかにしてピンチを脱するか、その一点に全力を尽くそうという気になれる

・世界をリードする成功者は、必ずしも才能のみによって栄光を獲得したのではない。彼らの共通点は、最高レベルのモチベーションを長期間維持する能力があったということ

・モチベーションの維持に大切な姿勢として、完璧さを求めないこと。仕事で完璧主義を貫こうとすると、人はストレスを感じる。ある程度の妥協、適当さが必要である

・高いモチベーションを保つためには、成果を他人と比較しないこと。勝った負けたに過剰反応すると、自分に集中できなくなる

・ビジョンと目標は違う。目標は達成されるごとに変わるが、ビジョンは変わらない。リーダーは組織が目指すビジョン(全員が賛同し、共有できるビジョン)を掲げ、モチベーションを与える

・やりたくない課題がある時、「今日だけはやろうと言い聞かせ<今日だけテクニック>」嫌なことでも日課にして、モチベーションを高める

・アメリカの超一流選手は、理想的な自分を頭の中に叩き込むため、目標設定することに懸命だった。そして、その目標が達成できたかコーチと共に、真剣に議論していた

・目標は高望みでなければならない。飛躍した、まったく新しいアイデアなくしては達成できない目標こそ、真の目標

・人間に満足感を与える程度が高いのは、動機づけ要因(達成、承認、責任、昇進、成長)。逆に、不満を与える程度が高いのは衛生要因(人間関係、作業条件、賃金、地位、安定雇用)

・自分にコントロール可能なことと不可能なことを区別し、その範囲内で全力を尽くすと、高いモチベーションを保ち続けることができる

・どんな大きな仕事も、細かな単純作業の積み重ねによって成り立っている。この単純作業も没頭できるように、目標を立てることが必要

・自信は与えられた仕事にプライドをもち、ベストを尽くすことから生まれる

・業務の内容を見て、プロセスに対する評価がなければ、成果主義は機能しない

・タイミングを逸しないで随時評価できる制度の方がモチベーションは高まる

・しかる1ほめる9の「控えめタイプ」、しかる2ほめる8の「がんこタイプ」、しかる5ほめる5の「冷静沈着タイプ」、しかる7ほめる3の「おせっかいタイプ」、しかる9ほめる1の「あっけらかんタイプ」

・しかる時は、ほめる時と違い、多少の冷却期間を置いた方がいい。ぐっとこらえて、1日くらいの間を置き、マンツーマンで

画一的な指示では、個人個人に適した成果が得られない。画一的な練習は、自主性を奪う

・日本の会社組織に、仕事が面白くないと愚痴をこぼす人間が多いのは、自主性を奪っているのが原因

・ダッシュをかけるべきなのは月曜(月曜ダッシュ)、人間が最も元気なのは月曜と火曜。週前半で重要な仕事をこなす



この本は、単にモチベーションを上げるだけでなく、モチベーションをどう持続していくかに焦点を当てた本で、「やる気の維持は力なり」と実感させられます。

そういう意味で、仕事や人生において、長期に役立つ、読み応えのある、お得な1冊ではないでしょうか。

[ 2009/07/23 08:15 ] 育成の本 | TB(1) | CM(2)

少欲知足2~ガンジーの言葉~

伊良部・下地島の畑/photo by福家金蔵
これは、まるで江戸時代のようです。正確には、1700年代半ばからの江戸時代中期以降のようです。

江戸時代も元禄の時代までは、新田開発や農業の技術革新で、米の収穫量が増え、人口も増えましたが、享保の時代から、明治維新を迎える少し前までは、人口停滞社会でした。

この人口停滞時代に、

歌舞伎、文楽、浄瑠璃、相撲、闘犬、闘鶏、盆栽、燈籠、生花、浮世絵、版画、掛け軸、人形、工芸品(印籠、根付、箪笥など)、日本酒、茶店、湯治、遊郭、寺社詣、花見、花火

などの精神文化産業が次々に育ち、これらを旺盛に消費する社会が生まれました。

人に見せびらかしたり、他人と比較したりするのではなく、自分の価値観で楽しみ、悦に入る文化です。

このように、人口減少の影響として、江戸時代の人口停滞時と同じようなことが起きてくるのではないでしょうか。

こういう人口減少社会では、足るを知る生き方、つまり欲望のコントロールである「少欲知足」が問われる時代になると思うのです。

ガンジーの言葉に「ガンジー7つの社会的罪」というのがあります。5年ほど前に知って、手帳に書き込んでいます。これは、まさに「少欲知足」を表した言葉のように思います。

ガンジー7つの社会的罪とは、

1.原理なき政治(Politics without Principles)
2.労働なき財産(Wealth without Work)
3.良心なき快楽(Pleasure without Conscience)
4.品性なき知識(Knowledge without Character)
5.道徳なき商業(Commerce without Morality)
6.人道なき科学(Science without Humanity)
7.神聖なき参拝(Worship without Sacrifice)

というものですが、ガンジーさんは、政治も財産も快楽も知識も商業も科学も参拝もすべて肯定しております。

しかし、その「行き過ぎ」を注意しています。つまり、欲望を少しだけ制限して、足るを知ることが大事だと言っているのだと思います。

伸びている社会の中で暮らしている時は、自由奔放に生きればいいが、人口減少社会で暮らそうとすれば、成功者になればなるほど、慎ましやかに、謙虚に、しかも、他人に施し、奉仕して、生きていきなさいということではないでしょうか。

窮屈かもしれませんが、人口減少下では、品よく、ほどほどに生きていくように、自分の考え方やスタイルも変えていかないといけないのかもしれません。


少欲知足1~人口減少の影響~に もどる

[ 2009/07/22 06:50 ] お金の話 | TB(0) | CM(0)

少欲知足1~人口減少の影響~

宮古島・池間大橋より/photo by福家金蔵
2005年から人口が減少しています。日本は、国土における平野部の面積が少なく、平地の人口密度が異常に高い国です。

今までは、その狭い中で皆がひしめきあって窮屈に暮らしてきたので、人口が少しずつ減少していくのもいいかなと軽い気持ちで考えていました。

しかし、今のペースで行けば、今世紀末までに、人口が3分の1、よくて半減になるのを避けらないそうです。これからは、人口減少の影響を受けながら、我々の子孫も含めて、暮らしていかなければなりません。

人口増加時代の考え方、生き方、働き方、過ごし方を大幅に変えないといけないのかもしれません。

それでは、具体的には、どう変えればいいのでしょうか?

商売で、マーケットが縮小する時、何が起きるのか、競争している、業績の良い会社と悪い会社の2社を例にして考えてみましょう。

(マーケット縮小・第1段階
良い会社は売上維持、悪い会社は売上2割減

(マーケット縮小・第2段階
良い会社でも売上微減、悪い会社は売上4割減

(マーケット縮小・第3段階
良い会社も売上2割減、悪い会社は倒産

(マーケット縮小・第4段階
良い会社の売上は2割減のまま(悪い会社が倒産して競争がなくなったのに)

といったような現象が起こります。

この良い会社は、売上が減少しているにもかかわらず、悪い会社=倒産した会社などから
「成功者」として、嫉妬、ねたみ、やっかみを買い、場合によっては恨まれたりもします。

繁盛しているのならまだしも、業績が芳しくないのに、攻撃されてしまうのです。がんばって、生き残ったとしても、あまり楽しいものではありません。

この商売の例と同じような現象が、人口減少の影響として、あらゆるところに起きてくるのではないでしょうか。

国土面積が広く、人口も増加しているアメリカ、カナダ、オーストラリアなどの国々では、
成功者は、皆から羨望の眼差しで、尊敬されて、モデルにされて、目標にされて、あやかりたいとも思われます。

実際に、日本でも、高度成長時代は、成功者がモデルにされて、尊敬され、目標とされました。その成功者に「追いつけ追い越せ」が可能でもありました。

こういう状況下では、成功者は、ド派手な生き方、振る舞いをして、自慢のモノを見せびらかしても問題はなかったと思います。

ところが、人口減少下では、成功者が、ド派手に振る舞うと、周りからブーイングの嵐にさらされます。したがって、慎ましく、謙虚に、「少欲知足」の精神で生きていかないといけなくなります。

つまり、大豪邸、高級車、ブランド服・雑貨などを見せびらかすことがしにくくなり、お金を使ったとしても、人の目に触れないもの、家なら、インテリア、家具、照明、美術品に凝り、車も内装に凝り、服や雑貨も裏地、素材に凝って、密かに悦に入るしかないように思います。

また、残らないもの、例えば、食べ歩き、旅行、花、観劇、観戦、コンサート、お稽古事などにお金を使うしかないように思います。


少欲知足2~ガンジーの言葉~へ つづく

[ 2009/07/21 06:53 ] お金の話 | TB(0) | CM(0)

『阿佐田哲也勝負語録』さいふうめい

阿佐田哲也勝負語録―ここ一番に強くなる (サンマーク文庫)阿佐田哲也勝負語録―ここ一番に強くなる (サンマーク文庫)
(1996/06)
さい ふうめい

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15年以上も前になりますが、テレビで「麻雀放浪記」の映画を見て、大変面白かったので、原作の著者である阿佐田哲也色川武大)さんが気になっていました。

それから、数年経って、古本屋さんで、この「阿佐田哲也勝負語録」を見つけ、300円で買いました。それ以来、時折、読み続ける、私の大事な1冊となっています。

特に、人生経験を経て、齢を重ねるにつれ、この本の一字一句が心に響いてくるようになってきました。今では、座右の書となり、300円は本当に安い買い物だったように思います。

心に響く一字一句を、すべて紹介しきれませんが、鉛筆で線を何回も引いた箇所だけでも、今から紹介したいと思います。



・俺が今、待ち望んでいるのはたった一つだ。ツキの風が俺の方に向いてくるきっかけさ。そのきっかけを確実にキャッチし、ツキを一杯に使う、それがギャンブラーの腕なんだ

・ばくちのワザのコツは出る引くを不徹底にしないことだ。勝てると思う時は徹底して出る。勝てないと思う時は、絶対に出ない

・運だよ。野郎の欲が、俺をツカせたんだ

・人間はすくなくとも三代か四代の長い時間をかけて造りあげるものだ、という気がしてならない。生まれてしまってから、矯正できるようなことは、たいしたことはない

・14勝1敗の選手を、1勝14敗にすることは、それほどむずかしくないんだ。ところが、誰とやっても9勝6敗、という選手を、1勝14敗にすることは至難の業だね。この道を長くやっていると、相手はそういう選手ばかりになるんだ

・ばくちのプロなら、ほぼ一生を通じて、ばくちでメシが食えなければね。プロは持続を旨とすべし、ということ

・フォームというのは、これだけきちんと守っていれば、いつも6分4分で有利な条件を自分のものにできる、そう自分が信じることができるもの、それをいうんだな

・プロはフォームが最重要なんだ。フォームというのはね、今日まで自分が、これを守ってきたからメシが食えてきた、そのどうしても守らなければならない核のことだな

・マラソンを見てごらん。あれは、他の選手を追い抜いて1着になる競争じゃないよ。自分より前を走っていた人たちが落伍していって、自分の着順が上がっていくんだ。問題は、自分のペースで完走できるかどうかだ

・優等生ってやつは、どうしても全勝意識にとらわれるから、フォームが固くなるんだ。身体を楽にすることだね

・勝負は、どんな種目の勝負であっても、最上級になると、ポイントは我慢だ。24時間勝負で、勝敗が本当についてしまうのは、最後の30分いや15分くらいのところ。ここで我慢できなくてペースを崩してしまった方が一挙に潰れる

・自分の勘に意地張るからいけねえんだよ。俺は悟ったぜ。博打は強い者を立てる遊びだ。強きを助け、弱きを挫くんだ

・危険性のある面白い麻雀で生きようとすれば、その日暮らしになる。金になる麻雀を打とうと思えば、自分の気質を殺して男芸者と化さねばならぬ。これは、考えてみたら、どの社会にも通ずる摂理なものかもしれない

・独立しては生きにくい。安全を求めれば仮の姿でしか生きられない

・あんたは5分につきあおうと思った。でも、この世界の人間関係には、ボスと奴隷と敵と、この3つしかないのよ

・結果的に大半が銭を放出して帰って行くだけのことで、精神的には、ギャンブル好きは働き者なのだ

・博打打ちというものは、例外なしに、勝ちこんでいくことによって、人格を破産させていくのである

・この世界で本当の一流になるには、もっとハングリーで根本的に荒んでいなければならない

・本当に勝ちぬく奴は、生まれたときからいかなる意味でも祝福されたことのない奴でなければならない。誰を愛しても、誰に愛されてもいけない

・勝負ごと全般にいえることがひとつある。自己管理ができるかどうかだ

・大きく勝つには、大きくバランスを崩すことだ。その勇気がなかなか出ない。どうやって、破滅の穴を飛び越えるか

・初心者をのぞいた多くのギャンブラーは、奇妙なことに、細心実直、射幸心とはおおよそ反対の計算高い情熱を燃やして、ことに当たっている

・落ち目の人の逆を行け、これはギャンブルの鉄則

・だがね、博打は結局、臆病な奴でなけりゃ勝てないんだ

・カジノはカジノの都合でやっている。決して客の都合を主体にしているわけじゃない。客をおびき寄せるために飾っているだけですから

・酒と女、かりにカジノ側がツイている客を酔わせて、勝ち金を吐き出させようと策したとしても、それはアンフェアとは言えない

・学校の先生は、どの生徒にも、ひとつの完全な人格を目標に指導していくだろうけどね。最大公約数と君個人とはすべて一致しないからね。君は君で固有の作戦をたてなくちゃね

二番手戦略がいいんです。押し出されてトップになっても、またすぐに二番手にもぐりこむ。必死になるのは、三番手に落ちる危険性があるときだけ

・まず、誠意だ。これが正攻法だ。誠意や優しさや一本気な善意がスケールにつながるんだ。だから、人格形成期に、まずスケールを大きくしていくことを考えよう。

・欠点というものも、できれば十代の頃から意識的に守り育てていかないと、洗練された欠点にならない

・大事なことは、簡単に損得のかたちになって現われてこないもので、そう思う必要があるんだよ。矛盾しているように思うけど、そこのところをきっちり掴んでいくのが、大きな人間になるコツなんだよ

・俺は強い奴とやりたいんだ。弱い奴とやっても気が入らない。素人をカモにして稼ぐんなら、もっと世間に効率のいい商売がたくさんあるだろうからね



どうでしたか?詰まるところ、人生はギャンブル、もちろん、商売もギャンブル、投資もギャンブルです。このことがわからないと、大きな成功は難しいのではないでしょうか。

このギャンブルを教えてくれる貴重な一冊です。自分を磨き、勝負ごとの機微、鉄則を知り、人生のチャンスを確実にものにしたいと考えている人には、絶対におすすめの本です。

[ 2009/07/19 08:48 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『女性ミリオネアが教えるお金と人生の法則』トマス・J・スタンリー

女性ミリオネアが教えるお金と人生の法則女性ミリオネアが教えるお金と人生の法則
(2004/03/23)
トマス・J・スタンリー

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アメリカに住む、100万ドル以上の資産を持つ女性の億万長者(ミリオネア)233名のアンケート結果をまとめたのがこの本です。著者は、となりの億万長者で有名になったトマス・J・スタンリー氏です。

この本が面白いのは、女性の億万長者に絞って、生い立ち、ライフスタイル、考え方を生データに基づいて書いてあるからです。こういう本を見かけたことがありません。

早速ですが、面白かった箇所を「本の一部」紹介したいと思います。



女性ミリオネアの平均的姿

(49歳) (81%が子供あり) (早起きで5時58分に起床) (週に49時間働く) (年収24万ドル) (1世帯資産290万ドル) (既婚者の半数は離婚経験あり) (60%が大学を卒業) (大学卒業者の半数は学費を自分で払った) (私立学校に通った人は19%) (買った最も高いスーツは400ドル、靴は139ドル) (小学校時代にリーダーとして行動した経験69%)

・女性ミリオネアは、金持ちであることを自慢しないどころか、それを隠す

・死んだら地元の慈善団体に寄付すると遺言する女性ミリオネアは多い
(生前に寄付すれば、町中に知れ渡るのがいや。名声や称賛を得ようとは思わない)

・男性は目標を一つしか設定しない人が多いが、女性ミリオネアは数多くの目標を設定して、努力して成功している人が多い

・女性ミリオネアは、頭の良さではなく、忍耐力と粘り強さが成功の要因と考えている

・彼女たちは、秩序ある家庭で育ち、他人を思いやり、敬意を払うように教えられた。さらに、幼いころから、個性を伸ばすようにと親から励まされた

・彼女たちの99%は、幼いころから働いて自分のお金を稼いだ経験がある

・彼女たちのほとんどは、親が「いつも自分の話に耳を傾けてくれた」と答えている

・自尊心が高くて家族や仕事に満足している人は、お金を使いたいという欲求が少ない傾向にある

・億万長者のほとんどは、若いころ投資で失敗した経験がある

・ミリオネアになった女性たちは、収益性の高い仕事を選んでいる

・彼女たちがビジネスの世界に入ったのは、子供が学校に入って手が離れた後で、そのときの平均年齢は36歳と遅咲きである

・金持ちが大切にするのは経済的に自立していることであり、高価な物を持つことではないことに彼女たちは気づいている

・職業のステータスの高さと純資産額は反比例する(ただし、教師だけは例外)



どうでしたか?女性に夢と希望を与える本ではないでしょうか。

生まれた家が豊かでなかった
離婚を経験した
ビジネスの世界に入るのが遅かった
投資で失敗した

そういう女性の方が、ミリオネア(億万長者)になる確率が高いようです。35歳以上の女性で成功したい人におすすめの本です。

[ 2009/07/17 08:18 ] お金の本 | TB(0) | CM(0)

『ゼニの幸福論』青木雄二

ゼニの幸福論 (ハルキ文庫)ゼニの幸福論 (ハルキ文庫)
(1999/05)
青木 雄二

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ナニワ金融道で有名だった青木雄二さんのエッセイです。亡くなられてから6年近く経ちましたが、物事の本質を捉えた文章は、今読んでも新鮮です。

生前、新神戸駅にある喫茶店に、よく1人で来られていました。私も、時々行く店でしたので、何回かお顔を拝見したことがあります。奥の席に座り、新聞を読むか、下を向いて何かを書かれていました。

青木雄二氏というと、大阪の柄の悪いオッサンのようなイメージがしますが、このエッセイを読めば、かなりの読書家で教養人だったことがわかります。

漫画以外の数ある著作の中で、私が一番気に入っているのが、この「ゼニの幸福論」です。この本には、著者の苦い経験から体得した「幸福の本質」が数々載せられています。

本の一部ですが、今から著者の「幸福の本質」に関する珠玉の言葉を紹介していきたいと思います。



・新興宗教を支えているのは、貧病争の三つの悩み。救われたいから信仰するが、「人間が神をつくった。神が人間をつくったのではない」ということを知った上で、神に祈ればいい

・人間は幸せだと「思う」だけでは幸せではない。幸せで「ある」ことが大切なんや

・奴隷の身でも幸福を感じることはあるが、これは幸福と違う。「幸福とは、精神的にも物質的にも満たされている状態」

・世の中には得する(搾り取る)側の人間と、損する(搾り取られる)側の人間に集約できる。得する側の人間は、「ゼニがゼニを生む」という法則を熟知している人間である

・仕事で充実しているときは、それなりに幸せだが、その満足感は、遊んで暮らす幸福感に勝てない。これが、いま、なかば遊んで暮らしている僕の実感である

・あなたはおカネのない不幸と、おカネのある不幸のどちらを選ぶのか?

・「お金さえあれば、なんでもできる」といった単純な拝金主義でなく、僕は、幸福にはゼニが必要だと考えている

・「お金がなくても幸せになれる」という考え方は、僕には、負け犬の遠吠えに思えてならない

・幸福は、他人の不幸を見ているうちにわき起こる快感。資本主義社会では、幸福とは、優越感のことである

・資本主義の世の中では、結局のところ、勝者の論理で成り立っている。勝者が幸福になり、敗者は不幸になる

・民主主義のルールが守られない資本主義は、大いに暴力的である

・国民年金は、国家規模のネズミ講と同じや

・住宅費と食費の合計が、家計の5割を超えているあなたは、とても貧乏である

・欲がなければ平穏に生きていけるのに、欲をかくばかりにみんな不幸を感じてしまう。現代社会はきわめて欲の深い社会である

・自分にとって本当に価値のあるモノか?見極めることができる人は幸せになれる

・自分の経験から教訓を得られない人間は、けっして幸福になれない

・互いに理解しあえる伴侶は、なにものにもかえがたい幸福をもたらしてくれる

・僕の父親は、僕に対して絶大な愛情を持っていてくれた。だから、僕は、父親を100%信頼していた。これは、精神的な幸福の根源である

・想像力があるからこそ、人間は未来の幸福に向かって努力できる

・人間は未来の幸福をつくり出すために生きている

・自分にとってほんとに大切なものを手にできることこそが、真の幸福なのである

・文句があるときは、大声で叫んだらいい。それが、だれもが幸福になる最もたしかな方法なんや

・幸福の本質は、結局のところ、幸福に向かって闘うことにある



この本は、「ゼニの幸福論」という、ちょっといかがわしいタイトルになっていますが、内容は立派な哲学書です。

また、這い上がってきた人の叫びの書でもあり、這い上がれない人への応援の書でもあります。

青木雄二氏に若干の偏見を持たれている方もいますが、「人は見かけによらぬもの」です。是非、読まれることをおすすめします。ためになる本です。

[ 2009/07/16 07:48 ] 青木雄二・本 | TB(0) | CM(0)

エアコン不要!吸汗Tシャツ・気化熱冷却法

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17 VergleBee(セブンティーヴェーグルビー)

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最近、自分の部屋で、冷房をほとんど使ったことがありません。

2年前、猛暑の最中、エアコンが故障しました。修理を頼みましたが、お盆前でもあったので、修理に来られるのは、1週間後とのこと。

そこで考えました。エアコンの原理でもある、気化熱冷却を応用できる何かいい方法がないかと。

当初は、水で濡らしたタオルを扇風機に掛けて、冷風をからだに送っていました。少しは涼しくなりましたが、物足りません。

さらに、いい方法はないかと、部屋を眺めていますと、そこに、趣味の自転車用に、買ったばかりの吸汗Tシャツがありました。

これを水に濡らし、身に着けて、扇風機に当たるとどうなるのかと考えました。そして、すぐに、実行しました。

すると、ゾクゾクっとするくらいの寒さを感じました。まさにエアコン不要でした。それどころか、濡らしたばかりのときは、扇風機も不要なくらいでした。

昨年も、この「吸汗Tシャツ・気化熱冷却法」で猛暑を乗り切りました。今年も十分に乗り切れると思います。去年の感じでは、部屋の温度が32℃くらいまで平気で耐えられます。

吸汗Tシャツは、昨年、ポリエステル100%のものを買いましたが、肌触わりが悪く、チクチクする感じがしたので、今は着ていません。体質に個人差はあると思いますが、できるだけ綿比率が高いもの(最低でも綿40%以上)がおすすめです。

また1000円程度の価格だと、水に何回も濡らし、絞り、痛んでも、もったいないと思いません。

できたら、インナー用の吸汗Tシャツではなく、外にも着ていけるものを選ぶと、さらにお得です(私の場合、夏、自転車に乗るとき、濡らした吸汗Tシャツを着て、しばらく走り、乾いてきたら、公園を見つけ、水道で濡らし、また走ります。本当に、ずっと涼しくて気持ちよく快適です)

また、水に濡らし、絞るときですが、下3分の1はギュッときつめに絞り、上は軽く絞るのがいいと思います。そうしないと、すぐに下に水分が落ちて溜まってくるので、ズボンやパンツがビショビショに濡れ、気持ち悪くなります。

吸汗Tシャツを水に濡らし、絞る頻度は、扇風機に当たる場合は、乾きが早いので1時間に1回。扇風機に当たらなければ、2時間に1回くらいです。

このエコ対策を妻にもすすめたのですが、「みっともない!宅急便のお兄さんが来たら誰が出て行くの?」と、一蹴されましたが、自分の部屋では、これからもやり続けていきます。

冷房代は、部屋の大小、外の暑さによっても変わりますが、目安として、1部屋1時間15円かかります。

みっともない」より「もったいない」の方が大事と思う方は、是非チャレンジされてみてはいかがでしょうか。


吸汗Tシャツ・気化熱冷却法のまとめ

1.用意するもの 

吸汗Tシャツ。吸汗速乾、ドライメッシュ等の名でも売られています。

2.費用

Tシャツ1枚1000円程度。洗濯の替え用として2枚はほしい

3.Tシャツの生地

 綿40%以上で、メッシュ加工で、薄い生地がおすすめ

4.Tシャツの濡らし方

全体をよく濡らし、上は軽めに絞り、下3分の1はギュッときつめに絞る

5.濡らす頻度

1時間~2時間に1回。扇風機の風の当たり方による

[ 2009/07/15 08:55 ] 何でも話 | TB(0) | CM(2)

尻たたき・尻拭い・お尻に火2~マネジメント法~

須磨寺鋳物像/photo by福家金蔵
尻たたきは、会社を伸ばし、社員を伸ばす上で、重要なマネジメント法です。ところが、既に大きくなってしまった会社においては、この「尻たたき」手法は、余りおすすめできません。

というのは、この「尻たたき」手法に、反発を覚える社員が多いからです。

会社が大きくなると、優秀な社員が入社してくるようになります。この社員たちは、向上心も強く、自己管理能力において優れています。

尻をたたかれなくても、自分で目標を立て、目標期限を設定し、仕事をきっちりこなしていきます。頼もしい部下と言えます。

この部下たちは、「尻たたき」する上司より「尻拭い」してくれるアシスタント的上司の方が好きです。

いい仕事をしようと思えば、どうしても諸般の雑用が発生します。また、いい仕事をしたにも関わらず、様々な問題が発生し、事後処理に追われてしまうことが多々あります。

自分の与えられた仕事に、より集中していくためには、自分の仕事以外の仕事を処理してくれる「尻拭い」型の人がどうしても必要になってきます。縁の下の力持ち的な存在が傍にいてくれたらと思うものです。

この優秀な人たちにとって、間違ったことでも命令してくる「尻たたき」上司は、迷惑な存在でしかありません。上司は、方向性だけを示してくれればいいのです。

しかし、この優秀な社員にも落とし穴があります。それは、「慢心」です。過剰な「うぬぼれ」です。どんなに仕事ができる人でも、やる気は、10年以上、続きません。

この人たちのやる気を持続させるためには、競争相手が、どうしても必要です。会社の組織運営は、立場を脅かすライバルが絶えずいる状態に、保ってこそ機能します。

つまり、「お尻に火」をつけないといけないのです。組織が大きくなったら、部下の「お尻に火」をつけるように、環境を整備することが、上司の最大のマネジメント法だと思います。

このように、尻たたき尻拭いお尻に火を上手に使い分けて、部下の育成法・マネジメント法に精通すれば、会社は尻上がりに伸びていくのではないでしょうか。


尻たたき・尻拭い・お尻に火1~部下の育成法~に もどる

[ 2009/07/14 07:31 ] 出世の話 | TB(0) | CM(0)

尻たたき・尻拭い・お尻に火1~部下の育成法~

京都西陣聖天・ミニ釈迦像/photo by福家金蔵
何年か前、担当の税理士さんに、「私の仕事は、尻たたき業かもしれない」と自分の立場を話したところ、「税理士は、尻拭い業かもしれない」と言われました。

話が弾み、「尻たたき業」と「尻拭い業」のどちらが社会に役に立つのか?結果的に稼げるのはどちらか?などについて、討論しました。

この討論内容は、さほど重要な問題ではありませんが、尻たたきと尻拭いという言葉は、マネジメントにおいて、とっても重要な意味を持っているように感じられました。

今から尻たたきと尻拭いを、マネジメント的に考察していきたいと思います。

伸びている中小企業には、部下の尻たたきをする社長が必ずいます。部下に無理難題と思われる課題を与えて、ぐいぐい引っ張っていきます。

店や支店、新しい部門を次々に開設させ、少しでも見込みがあれば、一般社員を店長、支店長、部門長に任命していきます。その結果、「立場が人をつくる」という諺どおりに、人がいっぱい育っていきます。最高の部下の育成法です。

ところで、伸びている会社ほど、チラシや広告をよく打ちます。チラシの目的はもちろん「集客」ですし、広告の目的は「新商品の紹介」です。しかし、このチラシや広告を利用して、社員を「やらざるを得ない環境に追い込む」のです。

新商品の導入、新サービスの実施に、なかなか重い腰を上げようとしない社員を動かすためには、チラシや広告は、ものすごい力を発揮します。

チラシや広告で、「○月○○日より」キャンペーン実施と対外的に発表すると、その日に向けて、誰もが重い腰を上げて、動き出すのです。

客に迷惑をかけたり、客を騙したりはできないと、ほとんどの社員は思っています。チラシや広告にウソ偽りが発生しないように、必死になって、怠りなく準備します。

このように、立場や役割を与えることと期限を決めて公表することは、部下の尻たたきをする上では、欠かせないことです。

このような尻たたきを繰り返していると、5年も経てば、入社時において、素材的に普通だった社員が、優秀な社員に変身してしまうのです。

部下の育成法には「尻たたき」手法が一番即効性のある方法だと思います。


尻たたき・尻拭い・お尻に火2~マネジメント法~へ つづく

[ 2009/07/13 10:53 ] 出世の話 | TB(0) | CM(0)

『国家論-日本社会をどう強化するか』佐藤優

国家論―日本社会をどう強化するか (NHKブックス)国家論―日本社会をどう強化するか (NHKブックス)
(2007/12)
佐藤 優

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今、日本人は北朝鮮を見て、冷やかに笑っていますが、70年前の日本の姿は、あんな感じだったのではないでしょうか。

この「国家論」を読むと、どんな国でも北朝鮮になる可能性を秘めているということがわかります。そうならないために、われわれはどうすべきか、知識層がどう動くべきかが、この本には書かれています。

どの国に住もうと、国家という枠組みの中で、人は暮らしていかなければなりません。そのためには、国家とはどういう存在なのか、その本質は何かを理解しておくべきです。そうしないと、賢明に、この世の中を生き抜くことができないように思います。

著者の佐藤優氏は、同志社大学神学部で、キリスト教と政治の関係を研究。外務省入省後、ロシアで外交官として活躍。その後、外務省情報局主任分析官を務めるが、実刑判決を受け、失職。という経歴の持ち主ですが、現在は、当代随一の論客として、文壇でその名を轟かせています。

著者は、西洋の政治、宗教、哲学、歴史をものすごく勉強されて、深い知識を持っておられます。しかも、元官僚ですから、国家側にいた人です。その人が考えた国家論です。

この本をじっくり読み、理解していくには、時間も必要ですが、本当にためになる本です。本の一部ですが、思い知らされた箇所を紹介したいと思います。



・国家は暴力によって担保された、本質的に自分の利益しか追求しない存在。国家が所得の再分配や社会福祉の機能を果たすことはあるが、それは、国家自体の存立根拠、すなわち官僚の存在基盤が危うくなるときに限る

・国家は必要悪。社会による監視を怠ると国家の悪はいくらでも拡大。社会が強くなると国家も強くなる。そして、強い国家は悪の要素が少なくなる

・人間とは物語を作る動物。そして、物語を作るのは知識人の役割。思想の組み立てを知識人が怠ると、その空白のところに、本来、知識人の世界に入らない人たちがもぐりこんでくる。その結果、ものすごい乱暴な思想が生まれる

資本主義のルールは、資本を増殖させ、利潤をより得られるようにすること。しかも、自分の会社さえ儲かれば、他人はどうでもいい、これが正しい資本主義の論理

・資本主義に合理化はつきもの。労働者の側で常に反合理化闘争をやらないと、合理化は人間を無視してどんどん突き進む

・国家は国家に頼らないで生きていくことができる団体を本質的に嫌う。そういう団体は国家の言いなりにならないから

・われわれが生きている社会・国家における階級は、資本家・労働者・地主・官僚の4つ。官僚は人のものを収奪してメシを食っているということを隠ぺいする

・国家という暴力装置が背後に存在しないと、自由な交換は担保されず、一方の当事者が他者を略奪する危険性がある。略奪を阻止する枠組を保全するという形で、国家が中立的な装いで社会に入り込んでくる

・技術革新を加速することで、資本家は利潤をより多くとる。その結果、国家は収奪の可能性が増える。そのため、国民の教育水準を上げる(具体的には、理科系の教育に対するサポート)という形で教育への介入が始まる。教育という問題は本質的に、国家による収奪と表裏一体をなしている

・国家は必要。しかし、国家はその本質において悪。必要であることと、悪であることに、どうウエイトを置くべきか、キリスト教は古くから考えてきた

・社会は資本主義と相性がいい。そのため、社会を放置しておくと、必然的にとんでもない格差が生じてくる。そして、社会は資本の増殖だけを中心に動きだす

・社会が強くならないといけない。社会が弱体化すると、新自由主義的な格差社会もなくならないし、国家が肥大して戦争への道を勝手に突き進むことも制御できなくなる

・国家は弱くなればなるほど剥き出しの暴力に依存するようになる

・貧困が全く存在しない社会、絶対に戦争がない社会、この夢を実現することに満足を感じる人(この大きな夢がエゴとなる人)が増えれば、社会は強化される。しかし、この人たちは、人間の限界も理解しており、現実の世界で、制約なしに、その夢を実現することが難しいことも分かっている



この本は、国家という大きな存在を解き明かしている貴重な本です。

官僚や資本家(権力を有する者)の暴走を止め、子供たちが、将来、大人になっても、生き生きと暮らしていく社会を築くためには、権力者たちへの健全な批判を続けていかないといけないことがよくわかります。

この歳になっても、思い知らされることがいっぱいでした。真面目に本を読まないといけないことを痛感した1冊でもありました。

[ 2009/07/12 08:54 ] 佐藤優・本 | TB(0) | CM(0)

『クリエイティブ資本論』リチャード・フロリダ

クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭
(2008/02/29)
リチャード・フロリダ

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ドラッカーの著書「新しい現実」(1989年発売)は、何回も読み、何回も線を引いた思い出深い本です。

その中には、知識労働者の台頭と彼らの価値観、そして社会への影響についてなど、未来を予見するような文章が多く載っていました。

あれから、20年、知識労働者は、どう進化しているのか?どう変化したのか?どう社会に影響を与えてきているのか?それらを知りたくて、この「クリエイティブ資本論」を手にしました。

この本は、アメリカにおける、最近の知識労働者の実態、知識労働者が経済に与えている影響などを解説しています。

日本においても、知識労働者がこれからも増え続け、社会を動かしていく存在にますますなっていくように思います。

したがって、知識労働者のことを知っておいて損はないはずです。分厚い本の「ほんの一部」ですが、参考になった箇所を紹介したいと思います。



・大学卒業生の調査によれば、住む場所を選択する際に、4分の3が仕事の有無よりも場所が重要であると回答

・将来の経済を先導する国は、インドや中国のような新しい大国とは限らない。警戒すべき競争相手は、クリエイティブな環境をダイナミックにつくり上げているフィンランド、スウェーデン、デンマーク、オランダ、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった小さな国々である

ビジネス・教育・医療・法律の専門家、科学者、技術者、建築家、デザイナー、作家、芸術家、音楽家などのクリエイティビティを発揮することを求められている社会階層は3800万人で、アメリカの労働人口の30%以上を占める

・クリエイティブ・クラスが好む地域は、活気に満ちた都市部、豊富で快適な自然環境、郊外の快適な「ハイテク王国」が存在している

・クリエイティブな人は、人生全体の時間の使い方においても、前倒しの傾向。体力がピークである若い時期に、最も骨の折れる生産的でクリエイティブな仕事を集中させている

・クリエイティブな人は、ゆるやかなつながりや、半ば匿名のまま暮らせるコミュニティ、交友関係を好んでいる

・今日の工場労働者は、品質や継続的改善に対するアイデアなどの能力が重視されるようになり、仕事は明らかにクリエイティブな要素を持つようになってきた

・クリエイティビティへの投資であるアメリカ全体の研究開発費は、過去50年間で、年率800%を上回る伸び

・職業的な芸術家、作家、表現者などの「ボヘミアン」人口は、1950年から5倍近くに

・クリエイティブ・クラスは個性や自己表現を強く好む。組織や制度の命令に従うことを好まず、因習的な志向の規範を受け入れない

・非常にクリエイティブな人は、同級生とどこか異なっていると疎外感を感じながら成長した人が多い。また、流動性が高く、多様性を受け入れる都市へ移動する傾向がある

・クリエイティブ・クラスは、勤務時間は柔軟だが、長時間働く

・クリエイティブ・クラスにサイクリングが人気なのは、まとまった距離を走れば、激しい運動、挑戦、解放、探検、自然との対話が一度に行え、ペダルを漕ぐことに集中すれば、一定のリズムと流れに身を委ね、頭の中を空っぽにでき、思考と身体に新たな活力を湧かせることができるから

・おもしろいことはすべて周縁で起きる。ビジネス同様、文化においても急進的で興味深いものは、ガレージや小さな小屋の中で生まれる

・クリエイティブ・クラスは、高度にパッケージ化された商業施設を「ジェネリカ」と呼び、そうした場所を避ける傾向がある。チェーン展開しているレストラン、ナイトクラブ、過剰演出のスタジアムなどがジェネリカの代表例

・「どこに住み、何をしているか」の組み合わせが、「どこに勤めているか」に代わり、アイデンティティの主要な要素になっている

・強い絆は、時間とエネルギーを非常に消費する。弱い絆は、時間とエネルギーの投資が少なく済み、より多くの関係を持てる。新しい人々を素早く受け入れ、新しいアイデアを素早く吸収するクリエイティブな環境にとって、弱い絆は重要である

一流の研究大学の存在は、クリエイティブ経済において大きな強み。過去の運河、鉄道、高速道路以上に重要なものとして、競争優位を生み出す巨大な源泉になる

・クリエイティブな時代において、若い労働者は、子供がいないため、長時間、より熱心に働くことができ、よりリスクを追求できるため重要である。また結婚年齢が高くなり、独身期間も長く、結婚しない人たちも増えているため、彼らのニーズに合った環境を都市はつくりだす必要がある



以上、知識労働者の実態や影響は、日本においても同じような傾向になってきているように思います。もう一度、自分のライフスタイルに照らし合わせ、生活を見直すのもいいのではないでしょうか。難しい本ですが、将来のあるべき姿が見えてくる本です。



『本当に江戸の浪人は傘張りの内職をしていたのか?』

本当に江戸の浪人は傘張りの内職をしていたのか?―時代考証でみる江戸の仕事事情 (じっぴコンパクト)本当に江戸の浪人は傘張りの内職をしていたのか?―時代考証でみる江戸の仕事事情 (じっぴコンパクト)
(2008/12/12)
山田 順子

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時代考証家の山田順子氏が書かれたこの本には、現在に換算した値段が、ふんだんに出てきます。江戸の社会や経済が、頭の中で安易に想像でき、非常にわかりやすく、読みやすい本です。

歴史に学ぶことは、“変わらないこと”を学ぶことだと思っていますが、この本には、“変わらないこと”がふんだんに出てきます。江戸のお金を知る上で、貴重な1冊です。

例によって、「ほんの一部」ですが、ためになった「変わらないこと」を紹介したいと思います。


・武士の資格がお金で買える「売録」というシステムでは、与力は千両(1億円)、御徒は五百両(5000万円)、同心は二百両(2000万円)が相場だった。典型的な例は、勝海舟の曽祖父銀一で、元は越後の国の農民の子。盲人に特別許可されていた高利貸で大成功し、御家人の身分を買った

御庭番は全国をまわって大名や代官の評判、その土地の噂話などを集め「風聞書」という報告書を幕府や将軍に提出するのが仕事。「御手当金」という調査費用は、江戸中期は一日二分(5万円)江戸後期で一分一朱(3万円)くらい

・江戸はリサイクル都市で、ゴミがなかったように言う人もいるが、実際には、捨てる場所がいっぱいあっただけ。そのゴミを町内のゴミ集積所から埋立地に運ぶまでを担当したのが「芥請負人」。芥請負人に支払われる費用は、江戸時代の住民税というべき「町入用」から支払われていた

行灯の油は、江戸中期で一合二十文(500円)、後期になると高騰して三十四文(680円)、品薄時は四十五文(900円)で、一合の油で午後10時まで起きていたら、数日で使い切ってしまうので、庶民は早寝早起きに努めていた

・家庭を訪問する貸本屋は、封切り(新刊)見料3日間1冊二十四文(600円)、古本十六文(400円)で貸し出した。1冊20ページくらいの薄さ。主な客は、置き屋の芸者、遊女、妾の家、武家屋敷や大店のご婦人方で、昼間は仕事もなく退屈な時間を過ごしている女性たち

・床屋の開店は許可制。天保の改革で、株仲間が廃止され自由化になるまでは、開店に必要な株の相場は五百両(5000万円)近く。店を持てない髪結い職人は、出張髪結いをし、料金は天保以前が二十八文(580円)だったのに、規制緩和で床屋が乱立した後は、二十文(400円)という価格破壊が起きた

・江戸の長屋は、燃えることを前提に、早く安く建て直せる家。現代の安い建売住宅でも柱は3寸(9cm)あるのに、2寸(6cm)しかなかった。大工の賃金は午前7時~午後5時まで働いて、銀五匁(7000円)だが、大火事が起きれば賃金が2倍になった。食いっぱぐれのない職業だった

・「口入屋」という民間の職業紹介所から派遣される、下女(お手伝いさん)は、江戸中期、賄い付き住み込み1年契約一両(10万円)で派遣された。裁縫ができたら一両二分(15万円)、仕立物ができたら二両(20万円)。盆暮れ節句には小遣いあり。他家にお使いにいけばチップもあり

・傘は1本二朱(12500円)で庶民には高嶺の花。古骨買いが破けた傘を買い取り、骨を削り直し、新しい油紙を張り「張換傘」として二百文(5000円)からで再び売り出し、庶民にも買えるようになった

・大家の収入は、長屋の規模や立地にもよるが、年間総額四十両(400万円)くらい。しかし、町の治安を守る自治組織の役目もあり、店子が犯罪を起こせば、奉行所で一緒に取り調べを受けたり、監督不行届で処罰を受けることもあった

・旅籠の宿泊費は東海道が1泊百六十文(3200円)から二百文。飯盛女(食事給仕と夜のサービス提供)を頼めば、その支払いがさらに四百文(8000円)から五百文(1万円)かかった

十九文見世(475円均一ショップ)は、繁華街や縁日で筵を敷き、日用品雑貨、玩具、文房具などを並べた。文化(1800年代)になると、三十八文見世も登場。さらに、食べ物の屋台で四文屋(100円屋台)が繁盛するようになった

入れ歯師に上下総入れ歯(蝋石の歯を差し込み白い歯を強調、奥歯は金属鋲打ち込みで噛みつぶせる)を頼むと、一両三分(14万円)かかった

・寺子屋の月謝は月二百文(4000円)。授業は午前9時から午後2時まで、昼食なし。幕末には15000塾を越え、生徒数は1塾当たり20人前後に。乱立気味で経営は苦しく、師匠の半数以上は寺子屋だけでは生活できなかった

・水道のない地域で、水屋が活躍。二桶(60ℓ)四文(100円)で重いのに安価だが、必需品なので、飲食店などのお得意を確保すれば、田舎からぽっと出でも暮らせるだけの収入に

煮売屋(惣菜を天秤棒に担いで売り歩く商売)もあり、朝ご飯を炊いておけば、三食食べられて、コンビニより便利だった。夜は酒を出す屋台もあり、独身男性は自炊しなくても困ることはなかった。値段は、幕末で、安酒三合にするめの足と蓮の煮しめ付きで八十八文(600円)と手ごろ

・芝居は高くつくレジャー。見物料は、上席の座敷で銀三十五匁(5万円)、下席の土間で二十五匁(35000円)。江戸三座の総予算は1年平均七千両くらい。人気役者は文字通り千両役者(1億円)になった

・宣伝が大きく影響する化粧品は(白粉、紅、鬢付け油など)、歌舞伎役者の店(タレントショップ)が花盛りで江戸に18軒あった

・享保年間から「見立て番付」が出版される。料理屋、菓子屋、酒屋、化粧品屋、呉服屋などの店情報はもちろん、名所旧跡、神社仏閣、温泉などの観光情報、道具、職人、物価上昇率の高い商品、困った行為など何でもランキングにされ、四文(100円)から十二文(300円)で売られていた



この本には、江戸の産業、職業、仕事が50ほど網羅されており、今の物価換算が詳しく記されています。紹介したのは一部だけです。皆さんも自分が従事する産業、職業、仕事に照らして見れば、面白い発見があるかもしれません。おすすめです。

 

[ 2009/07/09 08:28 ] 江戸の本 | TB(0) | CM(0)

『名将たちの戦争学』松村劭

名将たちの戦争学 (文春新書)名将たちの戦争学 (文春新書)
(2001/06)
松村 劭

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戦争は「生きるか死ぬか」、本当に厳しいものです。経営の「倒産するかしないか」、家計の「破産するかしないか」どころではありません。

したがって、名将たちが遺した言葉は非常に重くて深いものがあります。綺麗ごとは一切ない、現実に勝つための経験則ばかりです。

著者は防衛大学卒で、情報幕僚、防衛研究所研究員、陸上自衛隊防衛部長などを歴任した戦いのプロであり、戦いの研究者です。

戦争に拒否感を持つ方も多いようですが、戦争学は、さまざまな分野で応用が可能です。特に商売において非常に参考になります。

この本は、この戦争学がコンパクトにまとめられた、読みやすい良書で、おすすめです。

例によって、「本の一部」ですが、役に立つと思われた箇所を紹介したいと思います。



・戦いのプロは「勝利をもって和を造る」素人は「和をもって尊し」とする
・名将は偶然を有利に利用する
得意技なければ戦術なく、戦術なければ戦略なし

・変化によって勝利を獲得することは戦いの原則
・勝利は戦いの伝統的な形式を改革しようとするものに微笑む
・拙い作戦も迅速であれば成功する

・敵がほとんど予期していないことは、どんなものでも成功する
・戦いには一度だけ奇襲の好機がある
・奇襲成功の要件は、「察知されないこと」と「対応の暇や方法を与えないこと」

・兵力を温存する指揮官は必ず敗北する
・1.広く何をなすべきかを聞き 2.少数の賢者の助言を得て 3.最良の策を一人で決定し 4.それにこだわるべし

・指揮官は25%の情報を手にすれば「おんの字」で決断。75%は霧の中
敵のいない所へ前進し、薄い所を攻撃し、守っている所を避け、予期しない所を攻撃せよ

・敵の愛するものを叩け
・敗者に逃げ道を与えよ
・軍の力は<質量>と<速度の二乗>の積に相当、速度とは軍の「気力」のこと

・強い軍隊は大義名分を持つ
・強いことは良いことだ



古今の名将たちが体得したものは、どれも含蓄があり、人生のいろいろな場面に適用できると思います。かのゲーテも「人生は征服のための戦争である」と言ったそうです。戦争学に一度目を通してみることは、無駄ではないと思います。



[ 2009/07/08 12:10 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『毒舌身の上相談』今東光

毒舌 身の上相談 (集英社文庫)毒舌 身の上相談 (集英社文庫)
(1994/05)
今 東光

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今東光といっても40代以下の人にはピンとこないかもしれません。しかし、亡くなられてすでに30年経っていますが、本当にすごい、忘れてはいけない人だと思っています。

今東光とはどんな人?簡単には、紹介しきれませんが、

瀬戸内寂聴を天台宗に誘って、しかも寂聴と名付けた人
司馬遼太郎が新聞記者だったころ、その才能を発見し、作家に転身させた人
川端康成と親友だった人
天台宗の平泉中尊寺貫主で大僧正だった人
参議院議員だった人
直木賞作家で、映画化された「悪名シリーズ」が有名な人
そして、週刊プレイボーイで開高健、岡本太郎らと並び、人生相談を受け持った人

この書は、そのプレイボーイ誌の極道辻説法という人生相談コーナーでの回答集です。今、改めて読んでも、胸がスカッとします。それと、著者のスケールの大きさに驚かされます。

「本の一部」ですが、スカッとした回答、著者の器の大きさを感じた回答を今から紹介していきたいと思います。



・この世の中で宗教家、教育者、官吏っていうものほど偽善的なものはないんだ。また、偽善者でなきゃあ、その世界でやっていけないんだよ。本音と建前が違うわけで、社会における制度の中の哀れな犠牲者なんだから、憎んだり軽蔑するより可哀相なんだと憐れんでやるこった

・気に入らねえ奴がゴマンといるんだったら、それならいっそ自分が気に入らねえ人間になった方が得じゃねえか

・年寄りというものは、年が寄れば寄るほど意地悪くなって、頑固になって箸にも棒にもかからなくなる。くたばるならくたばらした方がいい。年寄りは何にも人類に貢献することがないから、高い金を出して大事にする必要なんか全くありゃあしねえんだ

・威張りたい奴にはうんと威張らせておけばいい。そのうちに高転びに転ぶね。いまのところは、「やっぱりあんたは偉いぜ。あんたが日本一やで」と言って喜ばせておいて、高転びに転んだ時、大いに笑ってやりゃあいいんだよ

・友達なんて要りゃあしないよ。自分が立派になりゃあ、向こうが友達になってくれと来るんだ。たくさん持っていたところで、いざとなって役に立つのはひとりもいないもんだ

・理解が先で同情が生まれるんで、理解しなけりゃあ同情なんか湧かないよ。この「理解と同情」が幅広くでき、どういう問題にも同情できるっていうのが男のやさしさなんだ

・目の前の現在の地位で日本一になることだけを心がけていれば、知らない間に、でっかく素晴らしい人間に成長していくもんだ

・バーなんかでも、隅っこに客もつかずにいてモテないのがいるよ、侘しく。それを「おいで、こっちに」って言って、話したりなんかする。人間には、こういうのがなくっちゃね

・オレが本を読め、本を読めとすすめるのは、本を読めばいかに世の中にバカが多いかということがわかるからでね。本を読んでいても自主的に物を考えるんでないと逆効果になるんだ。本読んで、その本に負けて、その著者の考えに捉われたらもうおしまいだよ。いつでも“自分”が読んでる意識を忘れたらダメなんだ

・自分にとっての人生で、自分がこれが正しいと思って闘って、勝つか負けるか、これだけだよ、人生なんて。あくまでその人の人生であって、客観的な価値観なんていうものはあり得ないんだ

・「生きる」ってことは、死ぬために生きていることでな。オレなんか、死ぬために生きてんだから、その間にいろんなことしてやろうと頑張っているだけの話で、何も意義あることをしようなどと一度だって思ったことないし、人生のためにとか、人類のためになんて一度だって思いやしねえよ。

・宗教というものは、必要以前であり、以上であって、どうしてもこれを求めずにいられないというような切実な生き方、深刻な考え方をしたことがなけりゃあ意味ないんだ。あくまで、個人にとって必要であって、社会にとって必要とか、若者にとって必要とかいうものじゃないんだな。だから何宗でもいい。何かを信じたくて求めていく

・思想なんていうものは、自分が探求していってぶつかるのが思想であって、それを何回も続けていくうちに自分の積み重ねた過去の業績が思想になっていくものなんだ。初めから思想なんてありゃあしねえよ

・キリストでも釈迦でも、これ即ち大我、大いなる我でね。エゴイズムが大きくなるとあそこへ行ってしまうんだ。大我が無我に通じ、大欲が無欲に通ずる。だから勝つことだけ考えろ!敵のキンタマ蹴り上げても勝つことだけを考える。そうでなくちゃあダメだ

・平和になりすぎたら文明も文化も栄やしない。世界は一つにとか何とか甘いこと考えるな。そんなふざけたバカなこと考えちゃいけない。常に破壊と建設、建設と破壊というものは縄をなうようにしていって、そこに人間の生活が生まれ繁栄していき、人生を形づくっていくんだ

・財布が落ちたって、大金持ちの倅だったらそんなもの拾わずに蹴っとばしていくわな。手にも触れないよ。貧乏だから拾うんで、それは道徳とは関係ないんだ



どうでしたか?今、ここまで言い切れる人はいないのではないでしょうか。

本人自身が、
・大いなる我の人
・エゴイズムが大きくなってあそこへ行ってしまった人
・大我が無我に通じ、大欲が無欲に通じた人
だったと思います。

生前は、その「俗」にスポットが当たり、その「聖」が知識人たちからあまり評価されていませんでした。今、遠くながらも、その「聖」に、光が当たってもいいのではないでしょうか。


[ 2009/07/07 22:29 ] 神仏の本 | TB(0) | CM(4)

『人間の完成-マスロー心理学研究』上田吉一

人間の完成―マスロー心理学研究人間の完成―マスロー心理学研究
(1988/01)
上田 吉一

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20代後半から30代前半にかけて、心理学者のマスローとそのマスローの翻訳者でもある教育学者の上田吉一さんの本を何度も読みました。

読む度に、心が洗われるのと同時に、将来への自信めいたものが湧いてくるのを感じたように思います。

マスローと上田吉一さんの本を計6冊所有していますが、一番読みやすいと思われる「自己実現の教育」は、すでに絶版で、古本でも品薄で高値になっています。

したがって、大きな書店に行けば、まだ売られている「人間の完成」を今回紹介したいと思います。

この本は、「生理的欲求」「安全欲求」「所属と愛情の欲求」「尊重の欲求」がほぼ満たされ、第5の水準の「自己実現の欲求」に達しつつある方におすすめです。

少し難解な本ですが、じっくり読めば、心に響く文言がいっぱい詰まっています。

紹介したい箇所が山ほどあり、上手にまとめられず、読み苦しい点が多々あるかと思いますが、ご了承ください。



安全欲求は、整然とした秩序や明確な対象と動かないものへの依存や信奉にみられる。これは、自らの不安定な状態を、少しでも対象の安定性によって補おうとする心理から生ずる

・安全欲求が満たされた場合、他人の庇護も、集団の規律も、絶対的な教条も必要としない

・尊重欲求を他人の評価に依存する場合、人は世俗的な名声、地位、栄誉、権威、権力の虜となる。つまり、自己の劣等感、無力感を社会評価によって補おうとする心理である

・欲求満足の達成せられた人は、複雑なもの、新奇なもの、未知なるものを好み、これを探索することに喜びを感じる

・成長動機の人格は、世間体を気にしたり、うわべを飾ったりする必要がなく、自由な行動がとれる

・よい選択ができる人は、自由な立場で自主的な判断のできる人であり、現実を広い視野から見透すことができる

・まやかしを見抜き、真に優れた人物を選べるか否かは、自己の利害、不安や恐れなどの感情を超越して見る眼によるもの

・自己実現を遂げた人は、堅苦しい人間ではなく、状況次第では、無秩序でだらしなく、あいまいで大雑把になることができる人

・自己実現する人は、自己中心ではなく、問題中心の生き方をする

・自己実現する人は、孤独でいたいという強い欲求をもつ

自己実現者は、自己の見解を多数の意見に合わせようとせず、孤立したとしても、自己の内面の声にしたがう

・自己実現しつつある人は、建設的な社会批判の態度をもっている

・自己実現を高度に達成している人は、至高経験を体験している。至高体験には、宗教的体験(悟り、回心、献身、帰依)、神秘的体験(畏敬、驚異、敬服)、審美的体験(共鳴、共感、賛美、礼讃、感動)、創造的体験(閃き、洞察、直観、発見)、愛情体験(信頼、受容、尊重、合一)が含まれる

・自己実現する人は、交際範囲が狭く、ごく少数の人と深い結びつきをもつ

・自己実現しつつある人は、階級、教育、政治的信条、民族、出身地、皮膚の色等によって人を差別することなく、誰とでも友好的になれる。そして、権威によって人を評価したり、態度を変えることはなく、地位、名声などのレッテルの底にある人間性を問う

・自己実現する人は、多くの人が重要と思っている、身近な人間関係、特定の組織に対する義務、金銭的利害、日常の生活習慣、服装儀礼などに無頓着で、周囲の期待や信頼を裏切ることが多い

・真に創造的な人間は、他人の意見に謙虚に耳を傾けても、それはあくまで自己の見解を形成するためである

・至高経験においては、人格は利害を超越するので、無欲無我無心の心境に立つ。対象に没頭、集中するため、自己は意識からかき消されてしまう

超越的人間は、金銭、政治、世俗的愛情、地位、権力の問題をあまり語らない。語るのは、人生、価値、意味、苦悩と救済、神や理念、芸術の問題など、高次の哲学的宗教的課題である



一般的に、すでに高次欲求の域にある方は、周囲の人との距離感、違和感を何となく感じているのではないでしょうか。そういう人にとって、この本は、自分が進むべき方向に自信を与えるものになるかもしれません。

私も久しぶりにこの本をじっくり読み直しました。少し難解でしたが、やっぱりいい本でした。

 

[ 2009/07/03 07:10 ] 上田吉一・本 | TB(0) | CM(0)

『リクルートのDNA-起業家精神とは何か』江副浩正

リクルートのDNA―起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)リクルートのDNA―起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)
(2007/03)
江副 浩正

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過去に、リクルート出身者に3人ほど出会ったことがあります。その人たちは、皆、元気ハツラツで、爽やかで、頭もよかったように思います。

押しの強さが疎ましく感じることもありましたが、総体的に、「真のエリート」のような印象を受けました。

普通は、日本の大企業に数年いると、明るく元気で優秀だった人も、無口で、用心深く、陰にこもる雰囲気になっていきます。辞めて独立した後も、その性質を引きずっているように感じます。

前から、
リクルート出身者には、なぜ起業家が多いのか?
リクルートには起業家精神をつくる教育があるのか?
リクルートの社内風土に、起業家を養成する何かがあるのか?
そういうものを知りたいと思っていました。

2年前に、書店で、創業者の江副さん自身が書かれたこの本を見つけ、買いました。この本のおかげで、リクルートについての疑問や謎がほぼ解けました。

この本は、起業家を目指す方にとっては、必見の書だと思います。実際にやって成果が上がったことが詳細に書かれています。

例によって、ためになった箇所を「本の一部」ですが、紹介していきたいと思います。



・リクルート経営理念のモットー10
1.誰もしていないことをする主義
2.分からないことはお客様に聞く主義
4.社員皆経営者主義(起業家の集団)
7.少数精鋭主義
9.自分のために学び働く(遊・学・働の合一を理想とする)

・リクルートのマネージャーに贈る10章
5.プレイングマネージャー
6.まず周囲に自らを語ること
7.数字に強いこと
9.脅威と思われる事態の中に隠された発展の機会がある

・江副氏が考える、成功する起業家の条件20ヵ条
1.気力と体力のある若い人材を集め、目標を共有して事業を推進
4.日本で初めての事業。創業者利益が得られる事業
5.変貌している社会の新しい要請に応える事業
6.多くの資本を要さない仕事から出発
9.ビジネス経験は白紙がいい。無知からくる無謀ができないことを成し遂げさせる
10.数多くの本を読み、事業計画を書き、それを人に見せて意見を聞く
12.コミュニケーション能力を高めること。書くことで自分の考えを確認できる

・会社の中に会社
プロフィットセンター制をつくった。商売の勉強ができる会社として、起業家精神旺盛な人が入社するようになった)

・垂れ幕と社内報
(経営情報の共有ができ、分社経営の弊害を防げた)

退職面談
(辞表提出者の退職理由、率直な意見が経営の参考になった)

・遺族年金制度
(社員死亡でも遺児が大学卒業まで年金支給し、安心して働ける環境をつくった)

早期退職社員の卒業式
(早期退職を奨励し、起業する社員を応援した)

・起業はボトムアップ、撤退はトップダウン
(社員が生き生きするためにも、撤退はトップの決断と痛感した)



江副氏は、リクルート事件で実刑を受けましたが、情報産業を日本に根付かせた実績と多くの人材を輩出させた功績は非常に大きいものがあります。戦後の名経営者として、もっと歴史的にも評価してもいいのではないでしょうか。

 

[ 2009/07/02 07:51 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『甘える技術』高畑好秀

甘える技術甘える技術
(2006/06/27)
高畑 好秀

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やる気、勇気、情熱、自信、自立、自己管理など、成功への指南書を読み、自己鍛錬している人は、今も昔も多いのではないでしょうか。

ところが、そういう人は頑張っているにもかかわらず、世間からは、仕事はできるけれども可愛くない奴、面白くない奴、取っ付きにくい奴と見られてしまいがちです。

そういう印象を与えたくなければ、この本を読むべきかもしれません。人間関係を円滑に運ぶには、「甘える技術」も必要です。

可愛い奴、面白い奴、どこか憎めない奴、なぜか構ってやりたくなる奴と思われた方が得をするに決まっています。

例によって、「本の一部」ですが、ためになった箇所を紹介したいと思います。

・仕事ができるということは、それだけまわりに協力者がいるということ
・かわいらしさとは飾らない自分、素の自分、等身大の自分ということ
・自分の弱点を素直に認め、苦手な分野は誰かにお願いすれば、労力や時間の節約になる

・どんな人でも頼まれること自体に悪い気はしないもの
・自分の窮状を言葉で伝えないと、周りの人はあなたの置かれている状況が理解できない
完璧主義者には近づきにくい雰囲気があるもの

・人間は自分のことを分かってくれる人、思いやりを示してくれる人に親しみを感じる
・誰かに頼るということは、その人を信頼している証拠
・頼みごとをするとき、その目的は伝えても、手段や方法まで細かく伝えない

・人にお願いをするときは、立場に関係なく、尊敬する気持ちを忘れずに
・楽をすることは悪ではない
・仕事における成功の秘訣は、どれだけいろんな人を巻き込めるかということ

・騒ぐ人こそ助けてもらえる
・「うれしい」「楽しい」の気持ちを常に表現している人の周りには自然と人が集まる
・言葉に感情を込めることは、相手を動かすパワーにつながる

・何か突出したものがあると、人は自然とその魅力に吸い寄せられるもの
・頼んだ以上、中途半端な口出しは禁物
・「とんでもないことになる」と相手に思わせる

いじられキャラになって、かわいがられたら、しめたもの
・誰かに助けてもらった話をどんどん人に伝える
・相手を利用してやろうという考えは、「甘える」とは言わない


著者はスポーツ選手のメンタルトレーナーとして有名な方です。一流の選手・監督・コーチほど「甘え上手」だそうです。

この本を読めば、自信がないから、甘えるのではなく、自信があるから甘えられるということもわかります。

内容的にも、部下が上司に甘える方法ではなく、上司が部下に甘える方法がたくさん書かれています。管理職になりたての方や管理職になって悩んでいる方に最適の本かもしれません。

 

[ 2009/07/01 07:30 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)