6.設備・器具を導入、改良する 数年前、観賞魚業界の仕事をした時の最大のテーマが、この「
労働時間削減」でした。
その時、従業員と一緒になって、どうしたらムダな時間をなくすことができるか討議しました。
その話し合いの中で、一番時間がかかっており、労働時間削減効果が高かったのが、水槽掃除&水管理時間でした。
この水槽掃除&水管理作業の質を落とすと、販売面でマイナスになります。(水槽がピカピカで魚がイキイキでないと売れないし、客に信頼されない)
その時、質を落とさずに、労働時間を削減する手法として、
1.横型脚立の導入(上段水槽の掃除を一挙にすませてしまうため)
2.巾広スポンジ、巾広
鉄ベラなどの時間短縮掃除道具の導入
3.四隅のすき間を擦る、曲がる素材でできた掃除用ブラシの開発
4.魚のフンをこす浅型網の開発
5.これらの「
七つ道具」をすぐに取り出すための腰に巻きつける収納ベルトの開発
といったものが考え出されました。
もちろん、
「清掃中には、清掃している本人への
電話取り次ぎをしない」
「ディスプレイ水槽の効果を再点検して、ムダなディスプレイの数を減らす」
「費用対効果を考えながら、コケの繁殖しやすい水槽には、除藻剤を投入」
「最適インターバルを考えた、週間水槽管理スケジュール表の作成」
といったことも労働時間削減には重要です。
しかし、この簡易な器具を導入、開発するだけでも、労働削減時間が1店舗当たり、年間トータルで、約
2500時間と推測されたのです。
この器具を購入しても、ロボットや高価な機械の導入と違い、大した金額にならないこともわかりました。
このように、創意工夫によって、お金がかからない設備・器具はいっぱいあるように思います。大型100円均一ショップや大型ホームセンターを見ていると、この労働時間削減効果の高い設備・器具の宝の山のように思います。
7.誰もが見て、わかるように簡単にする 数々の小売業の仕事をしてきた感想ですが、ダメな店ほど、整理整頓ができていません。
例えば、
ストック在庫の保管場所
値をつけるラベラーの管理
POPを書くPOPペンや紙の収納場所
各種書類の収納ケース など
こういったものの収納場所がいい加減で、従業員が探しているムダな時間が相当あるように思います。
モノを売る人が、モノを売る時間を「
直接時間」
モノを売っていない時間を「
間接時間」
として、この時間を集計すると、整理整頓できていないダメな企業ほど
間接時間比率が高いのです。
倉庫管理が無茶苦茶で、在庫を探すのに時間がかかる
ラベラーが見あたらないので、アルバイト君に仕事をさせられない
POPを書こうとしたらペンがないので、15分余分に時間がかかった
伝票をなくして、それを業者に問い合わせるだけで、相当時間がとられた
など、これらは、本来するべき仕事の「
直接時間」ではありません。
このようなムダな
間接時間を削減する手法として、「
誰もが見て、わかるようにする」ことが何より大事なのです。
労働時間削減手法6~観察力~へ つづく