9.初めで引っ張り、時間が足りない状態に 仮に、用意したレジュメが4枚あり、2時間話すとして、単純計算したら、1時間で2枚になります。ところが、実際は、初めの1時間が1枚で、後の1時間で3枚というようにします。
初めは、テキストどおりに話さなくてもよいと思います。出来るだけ、受けた事例で引っ張り、大いに話の「道草」をします。
なぜ、こんなことをするのか?というと、心の余裕を生ませるためです。話し手にとって、一番怖いのは、予定していた時間より、話が早く終わってしまいそうになることです。早く、終わりそうだと感じたら、あせりが生じてきます。
このあせりが、客に見透かされているのではないかと自意識過剰になり、ますます心の余裕がなくなっていきます。こうなると、話が
しどろもどろになってしまうのです。これだけは、絶対に避けなければいけません。
したがって、初めで出来る限り、引っ張り、後を、話し切れない状態にするのが話し方のテクニックです。特に、場数を踏んでおられない方には、この方法がおすすめです。
10.「間」の操り方 お笑いの世界を見ていても、長く生き残っているタレントは、「発想力」「つっこみの速さ」「間の取り方」「場の空気の読み方」「話の展開力」に長けています。最初の2つは、持って生まれた才能だと思います。
後の3つは、聞き手の目、顔色、表情を見る、心の余裕があれば、何とかなります。
講演や発表の場合でも、図々しい人の方が、間の取り方が上手です。聞き手と無言の「
会話のキャッチボール」つまり、
阿吽の呼吸が自然と成立します。
それに比べて、気弱であがり症の人は、間の取り方が下手です。しかし、間を取ることが下手でも、
間を操ることは可能です。私の場合、黒板(今はホワイトボード)で間をつくっています。
黒板は、私にとって、心の余裕を取り戻すための存在です。何を話しているのかわからなくなった時(話の流れや論理が狂った時)、黒板の前に立ち(聞き手にお尻を向け)、聞き手に悟られないように、頭の中を整理し直し、再出発します。
また、時間調整にも、黒板を大いに活用します。早く話が終わってしまいそうな時は、黒板に字を書き、「間」をつくって、
時間稼ぎをします。
今は、パワーポイントなどを使う方が多いようですが、私は講演する時、必ずホワイトボードを用意してもらっています。
実際、使うことは余りないのですが、ホワイトボードが後ろにあると安心します。私にとって、“お守り”みたいな存在です。
間をとる“お守り”が何になるか個人によって違うと思いますが、
お守りの作り方によって、間を上手に操ることができるのではないでしょうか。
11.誰か一人を見つめて話す 話していて、聞き手の反応がない時ほど、つらいものはありません。間の取りようもありません。そうなると、いいことを話していても、どんどん自信がなくなってきて、悪循環に陥っていきます。「
講師殺すにゃ刃物は要らぬ、皆があくびをすればいい」状態になってしまうのです。
ところで、
万人受けする話は、なかなかしにくいものです。業界の中での講演であっても、メーカー生産者、卸、小売、サービス部門、経営者、店長、営業マン、中堅幹部、若手社員とそれぞれ聞く立場が違います。自分に関係する話でないと、真剣に聞いてもらえないものです。
しかし、対象者を絞り込んだ講演や発表会は、人数が集まらず、活気に欠けますし、費用対効果も合わないものです。
したがって、
全員が喜ぶ話をしたいが、それはできないものと悟るしかありません。
この矛盾を解決するために、私がとっているのは、「
肯いている人」「目を向けてくる人」を探して、その一人を見つめて、しゃべりかけるように話をする方法です。
もし、「肯いている人」や「目を向けてくる人」が誰もいないよう(反応が悪そう)なら、その話題を飛ばし、次の話に換えていきます。これが、業界という枠の中で
講演、
発表するテクニックかもしれません。
講演の仕方、発表の仕方(4)~話のオチ~へ つづく