この本は、1冊10000円を超える値段です。今から20年前に買いました。独立する前に、自分を鼓舞するために買ったように記憶しています。
とりあえず、今も何とかやっていけているのは、この「
成功の実現」を読んだおかげかもしれません。
3回ほど読みましたが、この15年間ほどは手もつけずに、本棚に飾っていました。久しぶりに読んでみましたが、さすが、大物の中村天風さんだけあって、成功するための基本、王道が書かれているように感じました。
中村天風さんを師とする人は、原敬元首相、東郷平八郎元帥、宇野千代さんなどの門下生だけでなく、松下幸之助氏や京セラの稲盛和夫氏など、大物が多数います。
今から20年前に鉛筆で線を引いた箇所を中心に、我が身を振り返り、役に立ったと思えたところが30ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。
・どこまでもまず人間をつくれ。それから後が経営であり、あるいはまた事業である
・
生命の力を増やすのは、第一が「体力」、第二が「胆力」、第三が「判断力」、第四が「断行力」、第五が「精力」、第六が「能力」。この六つの力の内容量を豊富にしていない限りは自分の人生をものにすることはできない
・健康も長寿も運命も成功も、人生の一切合財のすべてが、
積極的精神で決定される
・自分の現在の思っていること、考えていることを、積極的か、消極的かと第三者の立場で厳密に検討するという気持ちが必要
・ほかの人の言葉や言動のなかの消極的なものに自分の心を同化せしめないこと
・現在も永久にも、自分が
やましい気持ちを感じないというものこそ、本心良心のあらわれ。自分の言葉や行いは常に本心良心そのままという気持ちを心がけの第一とされたい
・
消極的な言葉を使わないようにするには、不平不満を口にしないこと。
不平不満のある人は、始終上ばかりを見て、下を見ないでいる。自分だけが一番不幸な人間と考えている。この考え方から出てくる言葉は、未練、愚痴、価値のない世迷いごとだけ
・お前の生き方に誤りがあるぞと自覚を促すために、病や不運が与えられたとしたら、これは大きな恵み。そう考えて、心を積極的に振り向けかえる。人生を完全にする秘訣はただもう自分の
心の置き方を変えるだけ
・心の態度というのが、人生の全体に対して、建築物で言えば、土台同様の重要な関係を持っているということ
・身に病ありしといえど、心まで病ませるな。運命に非ありしといえど、心まで悩ますな
・人間の頭で考えた事柄がいろいろの設備や組織になって、この世の中が進歩してきている。人間は、この世の中に、宇宙本来の面目である進化と向上に順応すべく出てきたと思う
・消極的な観念要素が心の奥底に溜まると、アンテナに相当する、感性性能の調子が崩れる。その調子が崩れると、心の働きの上でなくてはならない
意志の力が弱ってしまう
・お風呂に入って、肉体の垢、汚れをとるように、毎晩、眠りにつく前に、
心の垢、汚れをとる、心の中のお掃除習慣をつけること
・良きにつれ悪しきにつれ、考えたことはそのまま感光度の高いフィルムの入ったカメラのシャッターを切ったと同じ、パーッと
潜在意識に刻印されてしまう
・憎い、腹が立つ、悲しい、いや、まいった、助けてといった消極的な意思表示を言葉で出さないように。明るく朗らかで、生き生きとして勇ましい感じを、自分も感じ、人も感じるような言葉以外はしゃべらないように
・自覚というのは
自然承認。理屈を考え、理由を説明する必要もなく、「ハハァーン、そうか」と心がうなずくのが自覚。理解というのは人為承認。教育がそれ。偉くなる奴は、理解を自覚のほうへ移す分量が多いがための結果
・今まで自分と思っていた肉体は、自分ではない。
自分という気体が生きるための必要な仕事を行う道具。心またしかり。気が生きるために体というものをこしらえ、心というものをこしらえた
・肉体は自分でない、心も自分でないという自己意識を常に自分から失わないでいると、
勇気凛凛として、いかなる場合があっても恐怖なんか出てこない
・正義の実行を行う場合の本心良心は
気が動く心の能動。宇宙本源のあり方は真善美いわゆる本心良心だから、汚れもなければ濁りもなく、ありのまま、そのまま
・自分自身を常にもう一人の自分で守らせていくような考え方で生きていくこと
・正しいことをしている人間に正しからざる出来事の生じるはずがないという信念でいると何も考えなくていい。無我無念のとき、
自在境というものがあらわれるもの
・心は思う仕事をする道具。心は思ったり、考えたりする以外に仕事をする力がない
・
もう一人の自分が脇で見ている特定意識を自分の心とする習慣がつくと、どんな出来事に直面しても心の動乱が生じない。泰然自若として処置することができる
・人間の多くが、気が散りやすいのは、自分では気づかないうちに、己の心の中に不必要な雑念や妄念や邪念がたくさんたまっているから
・心は自分の生命を監督するために働かさなければならないのが、感情や感覚の奴隷になってしまう。そうなったら、人間は惨め以上の哀れなものになってしまう
・自分の心を常にはっきり使う習慣をつけることに努力すれば、三年、五年の後には、自分でもびっくりするような
霊性心意識という、思ってもみなかった高級な意識状態が自分の心の中から発動するようになる
・「真・善・美」というのは、「真」とは「誠」。うそ偽りのない、筋道の乱れていないのが「誠」。「善」とは「愛情」。普遍的な気持ちで愛する「愛情」。「美」とは「調和」。消極的な気持ちになると「誠」と「愛」と「調和」の気持ちから離れてしまう
・想像力を応用して、
心に念願する事柄をはっきり映像化することによって、絶えざる気持ちでぐんぐん燃やしていると、信念がひとりでに確固不抜なものになる。つまり、思っていること、考えていることが土台となって信念というものができてくる
・意識には実在と潜在の二つがある。実在意識は思考や想像の源、潜在意識は力の源という役割を行う。潜在意識は、実在意識の思念するものを現実化するよう自然に努力する
「成功の実現」は、中村天風さんが昭和33年~43年に講演されたテープを編集したものです。
現在、巷にあふれている
自己啓発本の原点となる書です。この本を読めば、他の自己啓発本が小さく見えてしまうから不思議です。
読んでいるだけで、心の垢や汚れがとれてくるように思います。成功を目指す方にとっては、心の拠り所として、貴重な1冊になると思います。