とは学

「・・・とは」の哲学

『サラリーマンが“やってはいけない”90のリスト』福田秀人

サラリーマンが“やってはいけない”90のリストサラリーマンが“やってはいけない”90のリスト
(2012/02/01)
福田秀人

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福田秀人さんの本を紹介するのは、「見切る!強いリーダーの決断力」「成果主義時代の出世術」「ランチェスター思考」「ランチェスター思考Ⅱ」に次ぎ、5冊目になります。

著者は、サラリーマン(=会社の命令に従うビジネスパーソン)という立場で、どう出世していくかの見解を強く有しておられます。

日本の会社員は、ほとんどがサラリーマンです。ビジネスパーソンなど、ほとんどいないという現実を踏まえた上での、やってはいけないことが、本書に満載されています。それらの一部を紹介させていただきます。



・若いときにトップを走った人間は、いつの間にか会社からいなくなり、消息も途絶える。

・オネスト・ミステイク(誠実な失敗)を、間抜けな失敗同様に非難し、罰する会社では、社員は萎縮して、前向きの仕事や難しいトラブル対応などしなくなる

・サラリーマンは自分で仕事を決めることができないのに、経営者並みの権限を持たないとできないことをビジネスパーソンとして「やれ」と説くマネジメント論が目立つ。同様に、モチベーション論やリーダーシップ論にも要注意

・マネジメントは、権限を使って、指示命令で、部下を動かす活動。リーダーシップは、権限と関係なく、納得や尊敬などで人を動かす力。命令なしで、部下を効果的に動かすことは、ふつうの人間には無理である

・模範的な命令とは、「この仕事を君に任せる」「責任は私がとるから、君がいいと思う方法で存分にやってくれ」

・目標や課題の「選択と集中」ではなく、「見切って集中」できる決断力が大事

・「社員の暗黙知を摺り合わせれば、比類なきイノベーションが生まれる」が本当なら、はるか昔から暗黙知の摺り合わせに励んできた日本の会社は、比類なきイノベーションだらけとなっている

情報隠しを続ければ、仕事がブラックボックス化し、「彼がいなければ仕事が回らない」となって、解雇されず、評価を高め、権力を強化できる

・官僚制は、支配者のための従順な支配装置であるに止まらず、職務上の機密を武器として公開性を排斥することにより、専門知識を確保し、議会や権力者ですら無力なものとせしめる

・大事なことは、印象やプレゼンに騙されやすい人間にならないこと

・上級指揮官は、直属の指揮官だけでなく、その下の指揮官のところへ出向き、状況を自分の目と耳で確かめよ(ツーライン・アヘッドの原則

・部下がトラブルを起こせば、ただちに被害者にも会って、言い分を誠実に聞き、厳正な対応をし、共犯者にならないようにしなければならない

・現場リーダーは、寄生部下につぶされる前に、寄生部下を駆除すること。寄生社員とは「自分にとって良いか悪いか」を基準にして判断し行動する社員。貢献社員とは、「会社にとって良いか悪いか」を基準にして判断し行動する社員

・「頑張っているのに、うまくいかない」とか、「頑張っていることが理解してもらえない」などと、努力をアピールして愚痴をこぼせば信頼は一瞬でなくなる

・「パーフェクトを追求すべき仕事」と「ベターを追求すべき仕事」を峻別し、後者には完全主義にとらわれないように取り組む。日常の定型化作業以外は、すべてベターの追求あるのみとの姿勢で取り組み、部下にもそれを指導教育する

・主流派は、見識に優れた人が多く、意に反することを言って喧嘩になっても、正論である限り納得してくれ、わだかまりも残らない。一方、反主流派は優れた人が少なく、反論すれば、根に持ち、足元をすくわれる。主流派と喧嘩しても、反主流派と喧嘩しないこと

・官僚制が、皆から嫌われているのに、どの組織でも用いられているのは、大量の業務を正確かつ効率的にこなせる理由だけでない。それは、圧倒的多数の人が要求する理念を実現する唯一の制度だから。つまり、それは「公平」だから

・論理的な思考をする人ほど、予想もしていなかった異変が起きると、あわてふためく



本書には、サラリーマンの処世術が、いっぱい記されています。これらは、一般論ではなく、日本の現状に即した形の実践的処世術が明示されているように思います。

本書で、サラリーマンがやってはいけないことだけでなく、やったらいいことも学べるのではないでしょうか。


[ 2013/01/09 07:01 ] 福田秀人・本 | TB(0) | CM(0)

『ランチェスター思考2 ―直観的「問題解決」のフレームワーク』福田秀人

ランチェスター思考 2 ―直観的「問題解決」のフレームワークランチェスター思考 2 ―直観的「問題解決」のフレームワーク
(2010/07/16)
福田 秀人

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福田秀人氏の著書を紹介するのは、「見切る!強いリーダーの決断力」「成果主義時代の出世術」「ランテェスター思考」に次いで四冊目です。今回の「ランテェスター思考Ⅱ」のテーマは問題解決です。

著者の本は、どの本も現実的なものばかりです。今回も役に立ちそうな箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「タイミングを失する」ことにより、やることなすこと後手に回り、チャンスを逃がし、脅威をふやす。意思決定では、「タイミングを失さないこと」が至上課題となる

敗北や苦戦からえた教訓をもとに作成したマニュアルだからこそ参考になる

・不測の事態の多くは、全容を早くつかむことができないため、「早く」を追求すれば「正しく」がおろそかになり、「正しく」を追求すれば「早く」がおろそかになる。「早く」と「正しく」の両立は難しい

・「拙といえども、速をもってすれば勝つ」(孟子)。スピード第一、安全二の次

・深刻な損失の多くは、決定を間違えるより、間違いに気づくのに遅れたためか、メンツや責任回避にこだわり、間違いを認めないために発生する

・発信者の思惑で、「省略、誇張、変形」した情報操作が施されている状況では、ゆっくり的確な意思決定は不可能

・大事なのは情報源であり、そこから発信された1次情報

・動かないことも、それが遅疑逡巡のためではなく、動くべきではないとの判断によるものなら、立派な決定である。後退することはもちろん、中止し撤退することも立派な決定である

・リーダーが、命令一元性の原則、権限委譲の原則、責任絶対性の原則の三つを守れば、部下は、信頼してがんばり、リーダーシップも発揮される

・官僚制の弊害とは、「1.何でも規則病」「2.何でも完全病」「3.何でも秘密病」「4.何でも反対病」「5.セクショナリズム」

・陸上自衛隊は、指揮官のタブーを「遅疑逡巡」「責任転嫁」「優柔不断」「威圧統御」「頑迷固陋」「先入観念」「打算主義」と簡潔明瞭に列挙している

・よいリーダーは(部下を指導する)悪いリーダーは(部下を追い立てる)。同様に、よい(熱意を吹き込む)悪い(不安の念を抱かせる)、よい(「やろう」と言う)悪い(「やれ」と言う)、よい(仕事を面白くする)悪い(仕事を苦しいものにする)

・アメリカ軍は、第二次大戦後、どういった兵士が勇敢に戦った>かを研究した。すると、「真面目で、責任感がある」「貯金に励む」「異性関係とトラブルがない」といった、よき社会人が、よき兵士であった。勇ましい言辞を弄する粗野な人間ではなかった

・1921年、アメリカ陸軍は、戦いの9原則(プリンシプル・オブ・ウォー)をまとめた。その内容は次のとおり。「1.目標」「2.集中」「3.攻勢」「4.機動」「5.奇襲」「6.指揮の統一」「7.簡明」「8.節用」「9.警戒」

・大事なのは、批判を通して思考を深めることであって、批判そのものが批判的思考ではない

・ランチェスター戦略は、次の3つの競争原則の実行を要求する。「1.ナンバー1主義」「2.競争目標(学ぶべき)と攻撃目標(奪取すべき)の分離」「3.一点集中主義」

・リーダーが、2階層上の上級リーダーの意図を把握すれば、適切かつ効果的な指揮と任務の遂行が可能となる

・「戦上手は逃げ上手」。中国の毛沢東は、抗日戦闘を繰り広げていたとき、「勝てるなら戦い、勝てなければ去る(逃げる)」をモットーにし、命じていた

・「何をなさざるべきか」を知ることは軍事的叡智の第一歩であり、「なすべきもの」を発見する最良の道である

・動機や行動の正当性をアピールする言い訳や、弱音を吐くことは、リーダーとしての信頼を崩壊させる重大なミスとなる



指揮官、リーダーとして、どう考えるか、行動するかの糸口は、戦争や軍隊に学ぶことで得られることが多々あります。

戦いの原則であるランテェスターの法則は、組織や集団を統率するのに、非常に役立ちます。組織や集団の長にいる方は、是非、現実に当てはめて、この本を読むと得られるものが多いことと思います。
[ 2012/03/12 07:29 ] 福田秀人・本 | TB(0) | CM(0)

『ランチェスター思考・競争戦略の基礎』福田秀人

ランチェスター思考 競争戦略の基礎ランチェスター思考 競争戦略の基礎
(2008/11/28)
福田秀人

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ランチェスター戦略はシェアを確保して、安定を図る戦略です。ランチェスターはもともと戦争における法則、理論なので、抵抗を感じる人も多いように思います。

しかし、デフレの時代においても、シェアの高い大企業の売れ筋商品は、売上を大きく落としていません。シェアの低い企業、商品が脱落していきました。

このビジネス分野の基本戦略を優しく解説したのがこの本です。ためになった箇所、即活用できる箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介します。

ちなみに、福田秀人氏の著書を紹介するのは、「見切る!強いリーダーの決断力」「成果主義時代の出世術」に次ぎ3冊目です



・衰退期を生き抜こうと決断した場合、その企業は、生存確率を高めるためのさまざまなステップを考慮しなければならない。典型的には、業界で最大の市場シェアを有する企業になっておくこと

・予期せぬ好機や脅威に対応するには、部下が自発的に行動することが必要である。部下の主導性(イニシアチブ)を発揮させる方が、整然と行動させるより、よい結果を生むことが多い

・ナポレオンが連戦連勝を続けているとき、その理由を問われ、「事実に基づいて判断しているから」と答えているが、これは判断の鉄則である

良い戦略「部隊に能力の限界を超す努力を要求せず、目標を達成できる戦略」。悪い戦略「部隊に能力の限界を超した努力を要求し、目標を達成できない戦略」

要職につけてはいけない人は、「戦いが嫌いな人」であり、「やれることしかやらない人」。ただし、怠慢とは違い、「やれることは熱心にやる人」

弱者の戦略「局地戦を選ぶ」「接近戦を展開する」「一騎打ちを選ぶ」「兵力の分散を避ける」「敵に分散と見せかける陽動作戦をとる」

・弱者の戦略は、新しい商品を市場に出して参入する場合、新しい地域に出店する場合、新しいマーケットに参入する場合など、常に新しいものの開発や参入の場合の基本的な発想の原点となるルール

・顧客のセグメンテーション「スキミング層(3~4%)」年収1000万円以上「イノベーター層(10~15%)」扱いにくいグループ「フォロアー層(30~35%)」中間的、平均的であるのに満足「ベネトレーション層(40~45%)」年収300万円以下

・新規開拓のさいは、攻撃の主体をナンバー2に集中していく。この攻撃による新規開拓の成功例が、分析の結果、確率的に非常に高い

・大量販売を追求する近代ビジネスは、終焉するどころか、ますます勢いを増し、「集中と標準化の巧拙」が企業の命運を左右する状況が続いている

・「大きいことはいいこと」「商売というのは、結局、最後は量。量よく質を制すという一面を持っている」

規模と範囲の経済は、大企業にコスト優位を与える。顧客の価格弾力性の高いマーケットでは、大企業は一部を顧客に還元できる。この結果、小企業は大企業が扱っていないニッチへ追い込まれる。小企業が大企業の生産費用に対抗するには、成長する必要がある

戦いの勝ち方は、ナンバーワンをいくつもつかにかかわる。強者であれ、弱者であれ、勝利を得るためには、細分化した領域で、ひとつでいいから、個別にナンバーワンを勝ちとっていかなければならない

ナンバーワンになる順序は、弱者の戦略「地域で№1→得意先の№1→商品の№1」、強者の戦略「商品で№1→得意先の№1→地域の№1」

・一点集中で突っ込むのが「グーの戦略」。多様な展開をするのが「パーの戦略」。多様化を見直し、整理するのが「チョキの戦略」。導入期は「グーの戦略」成長後期は「パーの戦略」成熟期は「チョキの戦略」

・自分が強者なのか弱者なのかを、はっきり数値で認識する

勝ち目のないところに力を入れていれば、他で勝つチャンスを逃す

マーケットシェア率が、あるレベルを超したなら、安全性、利益率、持続可能性、拡大可能性、成長性が飛躍的に向上する

・小さくてもナンバーワンになれる。ないし、なっている得意分野を見つけ、それを起点に、ナンバーワンの領域を広げていく

・先発のやることをじっと見ていた後発組は、デモンストレーションの時期をチャンスと見てとり、間髪を入れずに参入してくる

・特許申請は、技術やノウハウを詳細にさらすため、裏目に出ることが多い



ランチェスターという名前だけを知っている人が新たに勉強するのに、この本は最適です。経営戦略に携わっている人にとっても、得るものが非常に多い本です。

ランチェスターの戦略は、現代のビジネス戦争の「孫子の兵法」かもしれません。ビジネスで競争しなければならない人たちにとって、欠かすことのできない必須の法則、理論だと思います。
[ 2010/07/29 06:42 ] 福田秀人・本 | TB(0) | CM(0)

『成果主義時代の出世術-ほどほど主義が生き残る!』福田秀人

成果主義時代の出世術―ほどほど主義が生き残る!成果主義時代の出世術―ほどほど主義が生き残る!
(2006/04)
福田 秀人

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この本は、サラリーマンにとっての福音書です。経営者にとっては発禁書にしてほしいものかもしれません。

評論家や経営コンサルタントの本は、経営者側(お金をもらえる側)の立場に立ったものが多いのが実情です。

本当は、経営者の論理労働者の論理のせめぎ合いで、会社の報酬制度が決まっていくものですが、労働組合の怠慢と不勉強で、経営者の論理がまかり通るようになってしまいました。

この本には、そういう成果主義時代のサラリーマンにとって、経営者の論理に巻き込まれないためのアドバイスやノウハウが豊富に掲載されています。

弱体化して、意味のなくなってしまった労働組合に代わって、労働者の論理を知的武装するのに役に立つ本です。

今回、面白く読めた箇所が30ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



サラリーマンの保身の3原則

1.都合の悪いことは言わない(省略)
2.都合の良いことは大袈裟に伝える(誇張)
3.ウソでない程度に内容をアレンジして伝える(変形)

サラリーマンの出世の3原則

1.部下や下位部門からの提案には「NO」と却下(拒絶)
2.同僚や同等部門には同意しても協力はせず、激励に回る(回避)
3.上司や上位部門からの指示や意見には無条件で賛成して従う(盲従)

成果主義に対抗するための不滅の3原則

1.優等生になるな
2.みんなの足を引っ張る劣等生になるな
3.密告をするな

・目標を低く設定。上司や管理者には、いかに難しい目標であるかをアピール。ノルマを必死にこなす「一生懸命クン」には、「損するよ。バカを見るのは自分だよ」と諭し、改心しない場合、意地悪、仲間はずれにする。「出る杭は打つ」それがダメなら「引っこ抜く

・成果主義にはウソがある。成長産業のように努力すればするほど成果がどんどん上がる状況でないと、成果主義は成立しない。実際に、個々の社員の努力以外の要素で成果は大きく変化する

・成果主義は「業績不振の原因は経営者ではなく、社員の無能や怠慢にある」との前提に立っている。経営責任を棚に上げ、「やればやっただけ報われる。もっと頑張れ」と社員の尻を叩く、経営者の身勝手な理屈こそ成果主義

・成果や評価が歪む理由
「評価者の主観」(上司は好き嫌いで評価する)、「相対評価」(成果をあげたのはお前だけではない)、「制度運用のデタラメさ」

・最小のリスクと最小の努力で、まあまあの報酬を安定的に得ることを追求する「均等報酬原理」に支配された者の行動は、「評価対象となる結果だけを追求」「高い評価を得やすい仕事に時間と労力を配分」「評価対象とならない仕事は重要でも無視」する

・「努力が成果に反映しない」「成果が評価に反映しない」「評価が報酬に反映しない」リスクがあれば、社員はやる気を起こさず、成果主義制度は失敗する

・成果主義を成功させるには、リスクを厭わないギャンブラーのような社員に仕事の権限を大きく与え、彼らのやる気を喚起することである

・成果主義を導入した企業の多くは、リストラの方便にしたかっただけ。リストラが一段落した途端、成果主義を見直す企業が相次いでいる

・成果主義を本気でやろうとすればするほど、「みんながライバル心むきだしに戦う」「職場ぐるみでさぼる」「人材が育たなくなる」「チャレンジ精神が失われる」「目標未達の言い訳がうまくなる」ような状況が現出する

人を育てられない会社ほど成果主義を採用したがる。本来、会社の役目である人材育成を放棄して、すべてを社員のやる気と能力に押しつける

・米国では人事スタッフも弁護士に負けないほど嫌われ、軽蔑されている。机上で書類をいじくり回す「ペーパーシャフラー」と皮肉られる存在である

・純粋無垢な「一生懸命クン」にならないこと。成果主義を本気で導入するような会社で愛社精神に燃え、一生懸命働くほど愚かでみじめな結果を生む行動はない。ほどほどが一番

・ほどほど主義を実践するには、情報を私物化し、簡単に他の人間が仕事を引き継げなくすること。具体的には、聞かれたことのみ答え、悪い情報も良い情報も抱え込んで誰にも報告しないこと。報告するのは結果だけ。プロセスは秘中の秘とする

・情報を隠さず、どんどん提供すると、仕事が引き継ぎやすくなる。自分の存在価値を高めるには情報は隠すに限る。「情報は力なり」で、情報統制による地位保全、勢力強化、仕事の私物化が生き残りと力の強化のために重要な条件となる

ダメなトップほど制度をいじりたがる。業績が悪いのを制度のせいにする。そこにコンサルタントがつけこむ。そして、人事屋は人事制度が悪いと言い、マーケティング屋はマーケティングが悪いと言う

・「ホウレンソウ」(報告連絡相談)はしない。これが情報私物化の大鉄則

・動機が善であれば、行動も結果も許されるのが日本の伝統。もし、報告を怠り、上司から叱られても、「悪気はなかった」という立場を堅持し、動機を譲らず、善なる動機へ逃げ込む

・ほどほど主義に徹していても、思わぬ業績を上げてしまったら「たまたまです。運が良かっただけです」と運に逃げる。知られてしまったら期待値が上がってしまう。「能ある鷹は爪を隠す」で、独自の情報はライバルや上司に横取りされないよう私物化する

・太平洋戦争時の中国の抗日組織マニュアル「日本人にはごちそうせよ」の一文、「1.一度ごちそうすれば、好意をくれる」「2.二度ごちそうすれば、情報をくれる」「3.三度ごちそうすれば、命をくれる」。日本人は酒席に弱い

・「失敗をするな。失敗を避けて生きよ」。人事の評価はプラスよりマイナスに厳しい。だから、プラスをあげるより、マイナスを犯さないことの方がはるかに大事

ゴマすりは保身と出世の大鉄則で、世界でも常識のグローバルスタンダード。保身と出世の一番のリスクは、自分ではなく、周りの人間。業績を上げ、上司への忠勤に励んでも、誰かがドジすれば水の泡。「見ざる聞かざる言わざる」で、嵐が去るのを待つしかない

上下2階層をマークすることが出世のために大事な方法。2階層下の部下の状況までマークしていれば、多くの問題の早期発見、早期対応ができる。直属の部下の誤った判断や手抜きの巻き添えを食らう危険が大きく減る

・直属の上司だけ見ている「ヒラメ族」は三流ヒラメ。上下1階層しかマークせず、そのサンドイッチ状態に汲々としているようでは出世はおぼつかない

・社内に敵をつくらないためには、「1.正論を吐かない」「2.正論を吐くときは、相手が聞く耳を持つかどうかで判断」「3.聞く耳を持たないグループにはだんまりを決め込む

・「将を射んと欲すれば奥さんを射よ」。上とのパイプをつくるには、まず彼らの奥さんとのパイプをつくればいい。実際、奥さん同士の懇親会の席で、上司やトップの奥さんと妻が仲良くなって、夫を引き立ててもらうケースは多い。これは取引先の開拓にも使える手

・ドジな部下ほど危険な存在はない。そのためには、「自分の足を引っ張らない程度の部下を育てる」「自分の足を引っ張るような部下は矯正または排除する」こと

ダメな部下がミスしたときに備えて、あらかじめ予防線を張っておく。そのポイントは「ホウレンソウの重要性を繰り返し説く」「ダメ人間を証拠づける反省メモを書かせる」

・一般に、できる上司ほど細かい報告を求める。自分の知らないことがあるのを嫌うし、「部下は情報を抱え込んで私物化する」ものだと知っているから

・旧日本陸軍では「馬鹿な指揮官、敵より恐い」と言われていたが、馬鹿な指揮官の最大の特徴は「決めたことはテコでも変えない」「問題が悪化しても自らの決定を失敗と認めて中止しない」点にある



部下には部下の論理、上司には上司の論理、経営者には経営者の論理があります。それぞれの立場にふさわしい論理を実行できるかが、出世や成功をもたらすように思います。

今の立場の論理をわきまえ、それにふさわしい行動が何かを学ぶのに、この本は役に立ちます。

特に、成果主義の導入下で働くサラリーマンの人たちにとって、精神的支柱になる本かもしれません。
[ 2010/04/30 09:22 ] 福田秀人・本 | TB(0) | CM(0)

『見切る!強いリーダーの決断力』福田秀人

見切る! 強いリーダーの決断力見切る! 強いリーダーの決断力
(2006/09)
福田 秀人

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リーダーは決断するのが仕事です。しかし、そのほとんどは、読んで字の如く、「断る」ことを「決める」ことです。断るのは、嫌な仕事です。人間、誰しも、みんなにいい顔をして、好かれたいものです。

リーダーは、好かれたい人がほとんどの組織メンバーの中で、その組織を代表して、その組織の将来を考えて、NOと決めなければいけません。

この本は、強いリーダーは「見切ることにあり」という視点で、書かれています。

リーダーは、どんな時でも、どんな場所でも、見切って、見切って、見切っていかなければならないということがよくわかります。

この本の中で、参考になった箇所が15ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・だめな業務改善の三大用語

保留・・・よい案だが、時期尚早だから保留にしよう
検討・・・よい案だが、もっと検討する必要がある
参考・・・よい案だから、今後の参考にしよう

・危機管理の第一歩は、効果がはっきりしない仕事は、即やめること

・見切るべきものを発見するという強い意識を持って、現場回りをし、仕事状況を真剣に観察し、現場の話を聞くだけで、かなりのことが判明する。トップから現場の社員までが、一緒になって、どんどん見切っていかなければ、会社は、非効率のかたまりになっていく

面子未練希望的観測が破滅への3条件。面子第一人間は、自分の失敗を認めない人間。見切り提案する勇気のある人間が放逐される

・優れたリーダーは「できるだけやれ」ではなく、「これだけはやれ」と明確に指示する。部下のやる気と集中力、そして成果も大きく異なる

・官僚化や大企業病のコアは、なんでも規則にこだわる規則至上主義。社会学では「規則への過同調」と呼ばれるもの。その特徴は、「決められたとおりにしかやらない」「決められていないことはやらない」「決めたことはめったなことで変えない」

・ビジネスであれ、何であれ、物事が思うようにいかないのは「甘さの三拍子」によるところが多い。「読みが甘い」「脇が甘い」「つめが甘い」

・思うようにいかない案件の責任者に、人や資金の大量投入を提案する。そのとき、「不要」と責任者が回答すれば、ただちに、その案件を見切るか、責任者を代えたほうがよい

・プラス発想で考えれば、素晴らしいアイデアやビジョンが生まれることもある。しかし、それ以外の状況では、プラス発想は「百害あって一利なし」

・弱者と組んだ者は、弱者となる。弱く劣った先と組むと、そこに足を引っ張られて、勝てる戦いにも敗れる。軍事では「弱者連合」と呼ばれ、絶対にやってはいけないとされるタブーの一つ

・どこにでもある、標準化されたできあいの部品や材料、サービスの仕入れは、最も取引条件のよい先を選べる「一見取引」とすべき

・うまくいかない会社は、新たな事業や商品にチャレンジする部門に、企画力、行動力、折衝力などに優れた人材を投入していない。在来部門のミドルたちが、優秀な部下を手放すことを嫌い、抱え込んでいる

・本気で「すべてのお客様のニーズにこたえ、ご満足いただく」という発想を実行に移せば大変である。それは「顧客第一主義」ならぬ「顧客言いなり主義」になって、面倒、煩雑になりミスやトラブルが増えていく

・「計画と戦うな、現実と戦え」ということは「危ないと思えば、計画を捨てて逃げろ」ということ

・マキャベリは「敵がこちらの意図を察知したことが分かれば、ただちに計画を変更せよ。その変更は少数の者だけで協議すべきである」と論じている



自分はリーダーではないという人も、いるかもしれませんが、家庭を持てば、誰でも家庭の中ではリーダーです。

家庭を持っていなくても、地域の仲間や趣味仲間で、幹事やリーダー役を、1回は経験します。

成人するに従って、何らかのリーダーから逃れることはできません。そのリーダーをしっかり演じきるためにも、リーダーの心得を学んでおいて損はありません。この本は、その一助になる一冊ではないでしょうか。
[ 2010/04/15 07:27 ] 福田秀人・本 | TB(0) | CM(0)