とは学

「・・・とは」の哲学

『本多静六・日本の森林を育てた人』遠山益

本多静六 日本の森林(もり)を育てた人本多静六 日本の森林(もり)を育てた人
(2006/09/24)
遠山 益

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本多静六氏の著書は、「自分を生かす人生」「たのしみを財産に変える生活」「人生計画の立て方」などを紹介してきました。本多静六氏と言えば、今や「4分の1天引き貯金」などの蓄財法で有名になっています。

ところが、本業は東大農学部教授で、植林、造園などの日本の礎をつくられた方です。今回紹介するのは、その本業について、本多静六は何をしてきたかの書です。本多静六の数々の偉業の一部を要約して紹介させていただきます。



・本多の業績を具体的にあげれば、「日本最初の大学演習林の創設」「水道水源林の整備と拡充」「鉄道防雪防風林の創設」「水力発電会社の水源林計画」「日比谷公園ほか全国都市公園の設計改良」「明治神宮ほか各地の寺社林の造設」「森林公園の改良整備」など

・さらに、足尾銅山や別子銅山などの鉱毒調査委員として、「公害対策」に取り組んだほか、各地の「国立公園設置運動」の先頭に立って、その実現に尽力した。私たちは、本多が残した業績の恩恵に浴している

・本多はミュンヘン大学留学時恩師のブレンタノン教授の助言を忠実に守り、就職すると預金を始め、まとまった金額を株や山林に投資した。これを継続するうちに、本多の人生計画は予想外に成功したが、彼の質素倹約の生活態度は、生涯変わることはなかった

・明治26年、本多静六の提案によって、東北本線沿線に、わが国初の鉄道防雪林がつくられた。雪の季節でも、快適な列車の旅を楽しめるのは、この防雪林に負うところが大きい

・大学演習林は、林学科の学生教師の実習と研究に資するための施設だが、その管理維持には多額の費用が必要になる。本多は、初めから成長した森林の間伐材や択伐材による収入が返ってくることを想定していた

・大学内で収入のあるところは、医学部と農学部。附属病院の収入はあっても、医学部は赤字の状態。東大教授の60歳停年制と恩給上積みの財源は、演習林収入を本会計に繰り入れることで賄った

・森林の三つの機能とは、「1.水源涵養機能」「2.土砂流出防止機能」「3.水の浄化機能」。本多は、水源林経営の必要性を説明し、多摩川本流の御料林買収を東京府にすすめた。御料林譲渡後、本多は東京府水源林経営監督の辞令を受け、経営監督と指導にあたった

・本多らが計画した「神宮の森」は、万葉の昔から受け継いだ神社林。大隈重信総理の「伊勢神宮や日光東照宮のようなスギの森に」の意見にも、自説を曲げなかった。本多が計画した神社林は、一度植栽すれば人手がかからず、経費のかからない自然更新する永続の森

・観光地に対する官民の関心が盛り上がり、国立公園運動を推進すべき時機が到来したと判断した本多は、昭和2年、国立公園協会設立準備にとりかかり、内閣に陳情し、昭和6年、衆議院本会議で国立公園法案を可決させた

・ドイツ留学中の本多は、義父からの送金が途絶え、貧乏だった。恩師ブレンタノ教授から「貧乏生活から脱して、経済的生活で自由にならなければならない。金のために精神的自由まで奪われ、屈辱を受けることになる」との忠告を受けた

・日本では、金銭や蓄財の話題など口にすると、その人の教養や人間性まで疑われ、軽蔑されるが、ドイツでは、大学教授の地位にある人でも、蓄財を賤しいとは考えない。金銭を無視しては生活できない。まずは経済生活の独立である

・本多は帰国後25歳からの10年間、農科大学の助教授として積極的に働き、家庭では節約生活に努め、「4分の1貯蓄法」を実行した。やがて、まとまった金額を山林と土地に投資して成功した。その後、その貯蓄で、郷土の学生を支援する「本多育英会」をつくった

・「一身の衣食住を安くするも銭なり。父母妻子を養うも銭なり。家内団欒の快楽も銭なくしては叶わず、戸外朋友の交際も銭に由って始めて全うすべし。慈善を施するも銭なり。不義理を免るるも銭なり」

・「独立自強とは、親譲りの財産を当てにせず、人の世話にもならず、各々が働いて生きること。そのためには、身体が丈夫であること。名誉や富や学問よりも健康が第一。健康の実現には、十分な日光に浴し、新鮮な空気を呼吸し、新鮮な食物を食う、三点に帰着する」

・本多は、由布院町の依頼により、「由布院温泉発展策」と題する講演を行った。その基本構想をドイツの温泉町を例にとって説明し、「由布院町全体を一つの森林公園として、その中で保養のための温泉地として発展させる。」という主旨であった


本多静六氏と言えば、「蓄財の達人」という「汗を流さずに儲ける」面が強調されていますが、彼の本当の仕事は、植林や造園といった「汗を流して働く」ことにあります。

多大の蓄財は、地道な仕事があってこそ、成し遂げられたものです。この両面を見ずして、本多静六を語ることはできないのかもしれません。


[ 2013/05/02 07:00 ] 本多静六・本 | TB(0) | CM(0)

『人生計画の立て方』本多静六

人生計画の立て方人生計画の立て方
(2005/07/10)
本多 静六

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本多静六氏の著書は、「人生を豊かにする言葉」「自分を生かす人生」「たのしみを財産に変える生活」の3冊を紹介しましたが、それぞれ、有益な発見がありました。

本書は、豊かに生きるための設計図をテーマに、著者が持論を展開したものです。成功者の事例なので、見習うべき点が多々あり、参考になります。これらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・人並み外れた大財産や名誉は幸福そのものではない。身のため子孫のため有害無益

・人間は活動するところ、そこに必ず希望が生まれてくる。希望こそは、人生の生命であり、それを失わぬ間は、ムダには老いない

・人生計画は決して人生の自由を束縛するものではなく、かえってその拡大充実をはかる自由の使徒、「計画なくして自由なし」である

・25歳に立てた「わが生涯の予定」は次の通り
「40歳までは、ケチと罵られようが、勤倹貯蓄で、一身一家の独立安定の基礎を築くこと」
「40歳より60歳までの20年間は、専門の職務を通じて、社会のために働き抜くこと」
「60歳以上の10年間は、世恩に報いるため、勤行布施のお礼奉公につとめること」
「70歳以上に生き延びたら、居を山紫水明の郷に卜し、晴耕雨読の晩年を楽しむこと」

・人生計画に必要な五要素とは、
「1.正しき科学的人生観に徹すること」
「2.どこまでも明るい希望を持つこと」
「3.なるべく遠大な計画を立てること」
「4.終局において必ず大成するよう、危険を含まぬこと」
「5.科学の進歩と社会発展の線に沿わしめること」

・「処世九則」(計画実現に望ましい生活態度)は以下の通り
「1.常に心を快活に持すること」
「2.専心その業に励むこと」
「3.功は人に譲り、責は自ら負うこと」
「4.善を称し、悪を問わないこと」
「5.本業に妨げなき好機は逸しないこと」
「6.常に普通収入の4分の1臨時収入の全部を貯えること」
「7.人から受けた恩は必ず返すこと」
「8.人事を尽くして時節を待つこと」
「9.個人間に金銭貸借を行わぬこと」

・寄付金に、年棒(月給)や未来の収入を充てるのは、愚かな見栄、つまらぬ痩せ我慢。義理でするならば、資産収入(不勤労所得)の4分の1以内。それ以上は一種の浪費癖

・本当のケチに陥らないため、最初の小さいケチは、むしろ自信をもって、断行すること

・一つの完成は、一つの自信を生じ、さらに高次的な完成を生むものであって、この完成の道程には、限りなき自己練磨の進境が開かれてくる

・山登りの秘訣と人生計画の実践には、共通相似した多くの教訓を感得することができる
「1.自分の体力と立場、実力と境遇に応じた最適コースを選定すること」
「2.一度決定したコースは途中で変更しないこと」
「3.なるべく軽装をし、不用品を持参せぬこと」
「4.急がず、止まず、怠らぬこと」
「5.途中を楽しみながら登ること」
「6.食物は腹八分目にとること」
「7.無駄道、寄り道をしないこと」
「8.時と場合によっては、急がば回れの必要もある」
「9.近道、裏道をしないこと」

・蓄財を通して、我々は、力の蓄積、知識体験の蓄積、徳の蓄積等の蓄積法を学ぶ。金銭を浪費せぬ習慣を作ることによって、人の生命の浪費、生活の浪費を避け、勤行布施の徳をも積み得られるのであるから、財の蓄積は、生命力、生活力、人徳の蓄積ともなる

・勤倹貯蓄は人生における万徳の基であるから、人生計画の達成もまずこの門から入らねばならない

・貧乏は発奮の動機、失敗は成功の母となる。貧乏や失敗の中にこそ、やがて人間を大成に導く萌芽が多分に潜んでいる。したがって、いたずらに若人の失敗を救済したり、恩恵を与えることは、その人を一本立ちにせず、かえって不親切な行為となる



本多静六氏は、人生計画を早い段階で、きっちり立てていたからこそ、迷いや誘惑をものともせず、初志貫徹できたのだと思います。

計画を立てることが、よりよき人生を生きていくための第一歩です。当たり前のことですが、とても重要なことではないでしょうか。


[ 2012/11/26 07:01 ] 本多静六・本 | TB(0) | CM(0)

『たのしみを財産に変える生活』本多静六

たのしみを財産に変える生活たのしみを財産に変える生活
(2012/03/20)
本多 静六

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本多静六氏の本は、「人生を豊かにする言葉」「自分を生かす人生」に次ぎ、3冊目です。

本多静六氏が素晴らしいのは、東大農学部の教授を務め、公園設計に東奔西走しながらも、倹約に勤め、多額の財産を築いたこと。しかも、手がけた公園が、日比谷公園、大濠公園、明治神宮など、高く評価されていることと、晩年、築いた財産を寄付したことです。

今でも、埼玉県に「本多静六博士奨学金」があり、奨学生が累計で2000人近くに及んでいます。このような、知的業績財産形成を同時に達成した人は、日本では、ほとんど例がありません。

本書は、本多静六氏自身の手で、86歳のときに書かれた随筆です。いろいろな面で、その人生観が伝わってきます。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・学者や宗教家には、金銭や物質の欲を軽視して、精神生活のみに憧れ、清貧を楽しむ者がいる。欲望は、物質的と精神的に便宜上区別されるが、物質がなければ精神の宿るところもなく、精神的修養のできた人でも、食わずにはいられない

・幸福は、自己の欲望の満たされた状態だが、偶然満たされた場合は、こぼれさいわいといって、永続した実例がないばかりか、かえって、いろいろな誘惑に襲われ、その幸福は破壊され、自分もいつか怠惰放逸となって、以前よりも悲惨な境遇となる

・人は平和安楽に安んずるよりも、むしろ、その理想に向かって精進努力することが、かえって幸福となる

・健康と教育と金の他に、努力の習慣(努力を通しての幸福)を与え、勤労の快味を体験させないことには、かえって子孫を不幸にする。必要以上に与えられた生活の余裕は、子供たちを怠惰、放縦、淫蕩に導く最大の要因

・子孫が独立後、事業に失敗することがあっても、親は決して物質的に救済しないこと。失敗は成功の母であり、新たにやり直すべきことを暗示する大切な教訓であるから、その教訓を空しくさせてはならない

・人の成功も幸福も家庭の平和繁昌も、社会の進歩発達も、食欲・性欲・自由欲の三欲の善用から起こる

・「真」(必要なるもの)「善」(便利なるもの)「美」(美しきもの)を統一純化し、この三原則に反するものと訣別して、生活を単純化簡易化すること

・君子は清貧を楽しむ。最高の美は単純にあり、素朴にある。純粋こそ美の棲家である

・無きは有るにまさる、感謝はものの乏しきにあり

・精神さえ毅然としていれば、極度の物質の不足もむしろ喜びとすることができる。われわれは貯蓄目標に精進して、できるだけ簡素生活をしなければならない

慢心、贅沢、怠惰、名利の四つを慎みさえすれば、長生きし、天地に恥じない幸福生活に入ることができる

・人生の最大幸福は、職業の道楽化にあり、富も名誉も美衣美食も、職業道楽の愉快さには遠く及ばない

・名利は元来与えられるべきもので、求むべきものではない。求めて得た名利は、やがて苦痛のタネになる

・誰もやり手がない困難な仕事をわざと選んで、努力すれば、人の嫌がることも楽しくなる

・夫婦の間、家族の内に、意見の一致しないことが起きても、互いに二度までは意見を主張することができるが、三度目はジャンケンポンで決める。そうすれば、利害得失の議論が起こる余地がない

・夫婦愛は、自我を捨て、新たな人格をつくり、これを完成しようとする努力の情緒。強情な性格、ヒステリー的性格者は、夫婦の資格を欠く



簡素、素朴、質素、努力、精進、純粋、単純などの言葉が、本多静六氏の口から頻繁に出てきます。

これらの言葉は、楽しみとほど遠いように思われますが、これらを楽しみと思える気持ちが、財産に変わるのではないでしょうか。

お金や財産といったものに、一番近いのが、実は、これらの言葉のような生活を営むことなのかもしれません。
[ 2012/07/23 07:01 ] 本多静六・本 | TB(0) | CM(0)

『自分を生かす人生』本多静六

自分を生かす人生自分を生かす人生
(1992/10)
本多 静六

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この本も、以前勤めていた会社の上司であったFさんに、薦められた書です。

以前、このブログで「人生を豊かにする言葉」という本多静六の書を紹介したことがありますが、それは、本多静六が書いたものを上手に編集した本でした。

自分を生かす人生」は、本多静六の肉声(肉筆)が、ほぼ記載されている貴重な書です。今回、自分を生かせる指針になると思えた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人生で最大の幸福は、家庭生活の円満と職業の道楽化にある

・病弱になれば、富貴栄達、美衣美食も何の意味も持たない。何物にも代え難いのは健康。一度、病気にかかった時に誰でも痛感する事実である。多年、健康第一主義を唱道するゆえんがここにある

・貧乏暮らしをしていても、世界の図書を友として、心は千古の聖賢と語り、居ながらにして世界各国の事情に通じ得るのは、まったく知識の功徳、幸福のゆえんである

・肉体がなければ精神の宿る場所もなく、またいかに精神修養のできた人でも、長く食わずにおられないのだから、決して物資を軽視するわけにはいかない

・自分が目的、理想の下に、努力しつつ、次第にその理想を実現していく途中に、自分の味わうにふさわしい幸福が生ずる

・努力実行によって物質的に満足を得ること。心の修養によって精神的に満足することの二つの満足によってはじめてその幸福が実現される

・人の幸福は出発点の高下によるのではなく、出発後の方向のいかんにある

・欲望は、絶えず向上し進化し、かつ常に比較的であるから、幸福は小より大に、下より上に、後戻りせずに次第に進んでいかなければならない。幸福は決して、固定的、永久的、絶対的なものではない

・名家や金持ちの子弟が幸福になるには、最初はなるべく低い生活から始めて、欲望は自分の努力で満たすことにし、しかもその生活を自分の努力次第で高めていくことである

・人生最高の幸福は社会生活における愛の奉仕によってのみ生じる。わかりやすく言えば、他人のために働くこと

・世に処するに虚偽なく正直でありさえすれば、心の中に恥じるところ、恐れるところがないから、良心に苦痛がない。良心に苦痛がなければ、精神的に勇者となる

・成功の秘訣は、第一に貧乏人の子供に生まれること。第二にどんな職業でもいいから絶えずその第一人者となること(カーネギー)

・勤勉忠実、縁の下の力持ちなど、処世上損な回り道に見えるが、その実、最も徳用な近道である。権謀術策、才知は一時的なもの。これを用いる間は大成功できない。このことは誰でも四、五十の齢になればわかるが、それを二十代で気づいたら、大成功できる

・人の悪口を言わないことは、自分をよく宣伝すること。陰で人の善行を賞賛することは、自分の善行を賞賛することに等しい

・過ちを悔いる必要はない。悔いても仕方のないことは、その過ちを改めていないのと同じこと。世の善人はすべて過ちからできている。そして、百人が九十九人までは、本当に悪かったために、かえってますます善良となった(シェークスピア)

・教育上、学生のインスピレーションを圧迫せずに、発達させる必要がある。インスピレーションが正しいか正しくないかを事実にあてはめて解説する習慣をつけさせ、もって各自のインスピレーションを自由に育て上げる習慣を養わなければならない

・注意すべきは、投資に味を覚えて、投機に進むこと。投資は、本業に励みつつ、臨時的にやり、半年ないし数年以上の時の威力を利用するもの。投機は、本業そっちのけで、一日ないし三か月の時の力しか利用し得ないもので、極めて危険な事業である

・悪魔は次の四つの言い草で、人を罪悪に導く。「誰でもするから」「たった一度だけ」「これしきのこと」「まだ前途が長いから」

・失敗して金を借りに来る人は、たいてい何か欠点があり、金を貸してもとうてい成功できない人。いつかは断らなければならないので、「気の毒は先にやれ」で、早く断るのが双方の利益になる

・普段は葉書もよこさないくせに、自分の用事ができた時だけに、急に頼みに来るような人は、とうてい成功できない人。成功する人は絶えず緊張して、あらゆる方面に努力するから、自然筆まめになる




本多静六氏ほど、お金と仕事と人生、それに幸福とは何かを理解していた人はいないのではないでしょうか。

地に足付いた幸福論は、経験した人でないと語れないのかもしれません。自らの努力で、東大教授になり、投資で大成功し、晩年、資産を全額寄付するように遺言したような人は、今後ともあらわれてこないように思います。

成功を夢見る方には、是非一度読んでほしい書です。
[ 2011/03/18 07:22 ] 本多静六・本 | TB(0) | CM(1)

『本多静六-人生を豊かにする言葉』

本多静六 人生を豊かにする言葉 (East Press Business)本多静六 人生を豊かにする言葉 (East Press Business)
(2006/03)
本多 静六池田 光

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本多静六と言えば、勤倹貯蓄を唱え、巨万の富を築いた資産家として有名になっています。

しかし、本当の姿は、明治期にドイツに留学、その後、東大農学部教授となり、数々の公園を設計した人です。

明治期後半~昭和初期にできた、全国に今も残る大きな公園のほとんどすべてが、本多静六の開発、設計及びその関与によるものです。

本業である公務を立派にこなしながら、巨万の富を築いたところが、非凡極まるところです。

この本は、本多静六が遺した、「お金」「仕事」「人生」に対する考えを網羅した書です。まさに、「人生を豊かにする言葉」のオンパレードです。

その中で、私自身、ためになると思えた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・本業第一たるべきこと。本業専一たるべきこと。一つのことに全力を集中して押し進むべきこと。これが平凡人にして、非凡人にも負けず、天才にも負けず、それらに伍してよく成功をかち得る唯一の道である

・人間奮起するのに、いまからではおそいということは決してない。本人一代のうちに余年がなければ、きっとだれかが代わってこれを完成してくれる

・「時を見る」のと「時を待つ」のが成功の秘訣で、時を味方に引き入れなければ何事も成就するものではない

・貧乏や失敗は、人間が一人前になるのに、どうしても一度はやらねばならぬハシカだから、同じやるなら、なるべく早いうちにやるがいいねえ

・貧乏に強いられてやむを得ず生活をつめるのではなく、自発的、積極的に勤勉貯蓄につとめて、逆に貧乏を圧倒するのでなければならぬ

・子供自身が必要な財産を自ら作り得るよう教育練成をほどこし、親のこしらえた財産などは、一切当てにしない人間にすることが、はるかに重要な問題である

・「老人自戒七則」
1.名誉やお金や歳にこだわらず努力を楽しむ。ただし、他人の名誉などは尊重する
2.人の話を傾聴し、問われない限り語らない
3.自慢話、昔話、長談義を慎み、同じ話を繰り返さない
4.若い人の短所、欠点、失敗を叱らずに、相手の立場に立って善後策を助言する
5.若い人の意見、行動、計画をできるだけ生かし、さらに引き出していく

・人生の最大幸福は職業の道楽化にある。富も、名誉も、美衣美食も、職業道楽の愉快さには比すべくもない

・人に好かれる交渉術
十分に人の意見を聴いた後に自説を持ち出す
人の意見の尊重は、結論の共同責任を負わせ、皆の感情を損なわせない
何から何まで自分の考えどおりに運ぶと、実行段階で誰も協力してくれない
大事な骨子だけは守って、あとの七八分は他人の意見に花を持たせる

・金儲けを甘くみてはいけない。真の金儲けはただ、徐々に、堅実に、急がず、休まず、自己の本職本業を守って努力を積み重ねていくほか、別にこれぞという名策名案はない

・常に明るい顔、明るい態度がとれるならば、人からも可愛がられ、引き立てられ、やがては華々しい成功の基となるのである

・自惚れの「大出し」はいつも禁物。人に目立たぬよう、人に笑われぬよう、人にそしられぬよう、ジワジワと「小出し」にするに限る

・世の中には、即時即決を要する問題も多いが、また往々にして、この「知らぬ顔」が一番いい解決方法になる問題も少なくない

・人間とは計画生活を行う動物なのだ

・老衰にはだいたい二種類あって、頭のほうから年をとる人と、足のほうから年をとる人とがある。その両方を年とらないように心掛けておりさえすれば、だれでも、いつまでも、元気に働きつづけられる



この言葉の数々は、大学教授というよりか、活力漲る実業家が発したもののように感じました。

本業を持ち、その仕事を疎かにせず、しかも裕福になりたいと考える人。要するに、人生を豊かにしたいと思う人には、今昔関係なく、参考になる本ではないでしょうか。
[ 2010/01/25 09:03 ] 本多静六・本 | TB(0) | CM(0)