宇野千代さんが98歳で亡くなられてから、早、13年が経ちます。
生前のイメージとして、女流作家の
草分け的存在で、公私ともに、激しく生きてこられた方かなと思っていました。
しかし、この本を読むと、
優しさに包まれて生きてこられた方であったことがわかります。
それだけでなく、この本には、豊富な人生経験を経てきた女性ならではの姿が、如実に映し出されています。特に、
心の持ちように関する記述は秀逸です。
私が、この本の中から、心の持ちようの記述など、学ばせてもらったところは、以下の30言です。それらを紹介したいと思います。
・熱中する、夢中になる、何かが生まれる
・人間同士のつき合いは、心の伝染、心の反射が全部である。
幸福は幸福を呼ぶ ・言葉だけで、一人の人間がやさしくなったり、意地悪になったりする。
言葉の持つ魔力は計り知れないものがある
・「尽くす」という行為は相手のためにしているように思える。しかし、よく考えると、それは、自分がしたいから、していることなのである
・好奇心を持っていますとね、気が向いていますから、向こうから呼んでくれるのですね。
気は気を呼ぶのです。呼び合うのです
・おかしなことですが、自信のない人間は、褒められた事柄に対しても、また新しい不安を持つものです
・
言い争いになるときは、じっと辛抱して、ちょっと笑顔をして見せる。相手の笑顔を見て、腹を立てることは誰にもできない
・私は若い人が好きである。若さとは何か。ひと言で言えば、生きが好いということがその凡てである
・
ストレスの少ない暮らし方をしたいと思うのでしたら、自分のまわりの人に対して、あまり多くのことを期待しなければいいのです。
・逃げてはいけない、追いかけなさい。それが思いのままを可能にする魔法である
・ほんとうに仕事をしている人は、その仕事によって、ほんとうのことを知り、ほんとうのことを考える
・
真の愛とは、その人の望むことをすることである
・言葉が言葉を引き出す。言葉が先に立って感情を支配する
・
希望を発見することの上手な人は、生活の上手な人である
・出来ることなら、いつでも「はい」と答えたい。「はい」と答えるときの、あの、相手の気持ちを肯定する素直な気持ちになりたい
・悪口を言わない。悪口を言うと、気持ちが悪い。私はただ、気持ちの悪いことはしない。気持ちの好いことだけをしている
・進退きわまって四面楚歌、もうこれ以上、とても進めないというとき、決して、そこであきらめてはいけません。そのときこそ正念場なのです。往々にして情勢が変わるのは、それからなのですから
・
陽気は美徳、
陰気は罪悪。美徳も罪悪も、そのままの姿ではとどまらない。すぐそこで、となりの人に感染るものである
・あの人はいい人であると思える人はいい人なのです
・自尊心というものが隠れている間は何事も起こらないのに、ひょいと
頭をもたげると面倒なことが起こる。人間関係においては、あなたの自尊心は、ちょっと横に置いておく、ちょっとどこかに隠しておいていただきたいのです
・どこで進むか。どこで退くか。私の選択は明瞭簡潔です。自分に
情熱が欠けていると思ったら、潔く、廻れ右をするのです
・人の持っている性質で、誠実であることほど美しく尊いものはない
・顔立ち、顔の造作は生まれつきのものですから、変えようもありません。しかし、顔つきというのは、自分で作るものなのです。
心の持ち方一つで変わるものなのです
・あの人は
私を褒めている、と思うと、実際、人は褒めているものである。人生において幸福を呼ぶものはこれである
・好奇心は、人間を生き生きさせる。思いがけない成果を生む。大成功は好奇心のなせる業である
・人間は誰でも、生まれながらの性情をそのままにして生活している。本人は気のつかないまま、知らぬ間に多くの
人を傷つける。そのことに気づいた瞬間に、人間は自分を変えることができる
・自信があるということは素晴らしいことです。それが自惚れにしか過ぎないことであっても、それだけで好いことです
・自分で
自分にかける暗示ほど、恐るべきものはありません。それは人生の道筋を変える力があるのです
・自尊心の押し売りほど
鼻持ちならないものはありません。自尊心という障壁が、相手を受け入れる、あるいは、相手と交流する邪魔をするのですね。大抵の人間関係の失敗は、この人間の自尊心に原因することが多いのです
・「
スマイル、スマイル」と心の中で呟きながら、ニコニコして歩いていると、何だか気持ちが軽くなって、その分、足もともはかどるものです
宇野千代さんが、可愛いおばあちゃんだったと想像できませんか?
歳をとるにつれ、わがままになり、
欲の皮が突っ張る人が多いように感じます。
好かれるか、嫌われるかの差は、心の持ちよう次第で、歳とともにどんどん広がっていくのかもしれません。
歳をとっても、かわいらしさを失わず、誰からも愛されようとするなら、この本をちょっと読んでおくのもいいのではないでしょうか。