とは学

「・・・とは」の哲学

『ゼニの人間学』青木雄二

ゼニの人間学 (ロング新書)ゼニの人間学 (ロング新書)
(2009/05/01)
青木 雄二

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著者の本を紹介するのは、「ゼニの幸福論」「銭道実践編」などに次ぎ、5冊目です。本書は、漫画以外で、60冊ほどある作品の中で、2冊目の書(1995年出版)で、ベストセラーとなったものです。

自著である「ナニワ金融道」やドストエフスキーなどの作品を例に出しながら、わかりやすく「お金」と「人間」を解説しています。それらの中から、参考になった箇所を要約して、紹介させていただきます。




・金に困って、借金をすれば、そこから人生の苦闘が始まる。金のことで悩み、困惑し、狼狽し、煩悶し、疲労し、やがては、犯罪、夜逃げ、自殺にまで発展していく。これは、何百年の昔から、人間が繰り返してきた永遠のドラマ

・この世の中は、金持ちほどラクして儲かる。ラクとは他人を働かせて、自分は働かないでも儲かるということ

・人間は、置かれた立場でコロリと変われる。どんな奴でも、経営者という立場に立てば、ある程度の度胸がつき、「今月の売上が足りない」と思えば、押しが強くなれる

・集金のつらさだけは、もう二度と味わいたくない。子分を養うための営業の苦労は、人間を磨いて度量をつけてくれるが、集金の苦労は、人間性を荒廃させてしまう

・ゼニは金利を生む。ゼニが生き物だというのは、この意味から。カネを持っている人間は、ここのところがよくわかっている。不労所得を受け取る人間がいる裏では、誰かが必死に働いている。得をする人間の裏側には、損をする人間がいるということ

・本当の金持ちなら、バブル期にビルを建てて賃貸にしようとは考えない。もっと昔からビルを持って、他人に貸しているから、わざわざ建築費の高騰しているときに、ビルを建てたりしない。バブル期にビルを建てて失敗したのは、一発狙いのビンボー人

・コマーシャルというものは、ビンボー人からゼニを巻き上げるためにつくられたもの

・人間は欲に弱い。その欲が、理想的な自分をつくりあげる方面に向かうと、コロッとゼニを払ってしまう。ビンボー人は甘い夢に弱い

・学校で「保証人にならないように」と教えないのは、資本主義の経済活動が停滞してしまうから

・カネを借りる人間は、自分に力がないくせに見栄っ張り。弱みを見せたくないから、逆にカネのあるフリをする。これぐらいのことを見抜かないと、金融業はやっていけない

・金融業者が、相手の信用を判断するのは、小さな約束を守るかどうかという点。約束の時間を守り、最初の条件をきちんと履行するかどうか。人間の本質は、約束を守るという基本的な生活態度にあらわれる。その部分で信用できない人間は、すべて信用できない

・カネ貸しは、自分より賢い奴にゼニは貸さない。もしあなたが、金融業者から借金したとすれば、金融業者に「こいつ、俺よりアホやな」と判断されたということ

・金融業者は弁護士にはカネを貸さない。追い込みをかけようにも、頭のいい抜け道を使われたら、手に負えなくなる。だが、医者には貸す。医者はいくら頭がよくても、世間の知識に疎い。学校の先生や警察官、公務員もこの類。金融業者にとっては、絶好のカモ

・「毎日ご飯がいただけるのはありがたい」と労働者が思ってくれれば、資本家はラクができる。つまり、資本家と宗教家は利害が完全に一致している

・人間は欲望をエネルギーにして生きている。欲望があるから、未来に向かって努力できる。だから、その欲望を捨てるなんてことは、さらさら考える必要がない

・資本主義の基本原理は、極めて単純明快。「買ったものを売って、利潤を得る」だけ。経営者は、労働者から労働力を買って、商品をつくり、それを売って利潤を得る。同じ給料を払うなら、労働者にはたくさん働いてもらわなければ困る

・これまでの歴史で、人間は宗教的戦争と経済的戦争を繰り返してきた。神とゼニが、すべての戦争の原因

・自分を軽蔑する人間は、未来に希望を抱かない。明るい未来、希望ある未来を想像し、自分の力で創造していけるのは、ある程度、生活に余裕のある人間



著者が亡くなられて10年近く経ちましたが、現在でも、「ナニワ金融道」は人気です。その理由は、著者のお金と人間の本質を見る眼が、正しいと認識されているからだと思います。

底辺のところを歩んでこられた著者の眼は、今後とも、不滅なのではないでしょうか。


[ 2013/07/30 07:00 ] 青木雄二・本 | TB(0) | CM(0)

『青木流・人間鑑定図鑑―一瞬に読む145の方程式』青木雄二

青木流人間鑑定図鑑―一瞬に読む145の方程式青木流人間鑑定図鑑―一瞬に読む145の方程式
(2002/08)
青木 雄二

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青木雄二さんの著書を紹介するのは、「ゼニの幸福論」「青木雄二金言集」「銭道実践編」に次ぎ4冊目です。

前の3冊は、青木雄二さんの思想や哲学をまとめたものですが、今回の書は、本業の漫画の技術に関するものです。「ナニワ金融道」に登場する人物の描写をどのように行ったかについても言及されています。

表情、しぐさから、人間の本心、本音、素性をどのように知るかの記述は、非常に参考になります。それらの一部を紹介させていただきます。



・何かを隠している人は、バレないように、手をポケットに入れる。無意識に手を隠すのは、相手を拒絶するか、隠しごとがあるとき

・相手の心変わりは、手のひらの動きで読める。相手の手のひらが返されたときは要注意

・自らが抱えている大きな矛盾に直面したとき、人はこぶしを握りしめる傾向がある

・人が話の途中で、人差し指を立てたら、自信に満ちているか、力を誇示したい場合

・両手を合わせ、もみ手をするのは、相手に頼みごとやある場合か、謝罪の意味がある

・体の前で、両手を組み交わす動作は、心を開かない(一線を画したい)気持ちの表れ

・胸の高い位置でする腕組みは、相手より優位性を誇示したいときにする。エリート意識の強い男がよくするポーズ

手を頭の後ろで組むのは、そろそろ話を切り上げたいという無言のサイン。同じしぐさでも、相手が笑顔を浮かべている場合は、こちらに気を許して、リラックスしている

・食べ物を口に入れたまま話す人は、せっかちな性格。箸やフォークを振り回す人は、自制心がなく、いい加減な人

・アゴに受話器をはさんで話すのは、相手を見下している証拠。電話中に、メモ用紙に会話と関係のないことを書いているのは、相手の話にまったく興味のない証拠

頬づえをつくのは、心身ともに疲れ果て、生命力が弱っているとき。また、頬づえをつくクセのある人は、短気な人が多い

・親指と人差し指でアゴをはさむようにして触るクセをもっている人は、カネに対する執着心がかなり強いタイプで、注意が必要

・人が首筋に手をやるのは、自分の負けを認め、もうこの話は終わりにしてほしいという意味合いを含んでいる

・相手の肩や膝などをぽんぽん叩くのは、相手の出方がどう出るか反応を見るときや、「ヨシヨシようやった」とその労をねぎらうとき

・ウソをついているとき、男は視線をそらすが、女はいざとなると相手を直視する

・常に上目づかいをする人は、他力本願で、人の顔色ばかり伺う受け身のタイプ

・目線が左に向く人の性格は、感情やイメージでものごとを考えるタイプ。目線が右に動く人の性格は、理詰めで冷静にものごとを考えるタイプ

・じーっと一点を見つめているのは、次の手を考えている証拠。言葉にはしなくても、相手に対する敵対心をふつふつとたぎらせている場合がある

不自然な微笑みは、自分の感情を隠すときに出てくる。本物の笑顔とつくり笑いの違いは、目が笑っているかどうか

口の両端を少しだけ上げる笑顔は、他人の干渉を拒む気持ちが表われている。また、相手を格下だと見下しているケースも多い

うつむきながら笑う人間は、なにか悪だくみをしている証拠

・肘かけに手や肘を置くクセのある人は、お人好しで、他人にいいようにまるめこまれることが多い

・カバンや書類を抱えている人は、腕組みよりもさらに強く、防御意識が強く働いている



まるで、役者がよく読む「演劇論」(言葉以外で心情を語る技術書)のような感じの書です。逆に考えたら、「読心術」のノウハウが、本書に詰まっているということです。

また、漫画のカットがページ毎に付いているので、見やすく、わかりやすい構成になっています。騙されることが多い人には、参考になるところが多いのではないでしょうか。


[ 2013/02/06 07:03 ] 青木雄二・本 | TB(0) | CM(0)

『銭道・実践編』青木雄二

銭道 実践編 (小学館文庫)銭道 実践編 (小学館文庫)
(2005/05)
青木 雄二

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著者を紹介するのは、「ゼニの幸福論」「青木雄二金言集」に次ぎ3冊目です。著者は、お金で苦労を重ねた後に、お金の名作を数々に生み出されました。お金とは何かを熟知されています。

著作には、表と裏で言えば、主に裏の部分が多いですが、お金には変わりません。この本を読み、お金で参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・「逆欲」を張ること。最安値で買い叩いた時でないと儲けは出ない。江戸で大火事があった時「禁煙のお触れ」が出て、この時に大金持ちになった男は、お触れを逆手にとって、キセルを買い占めた男であった

・平均値というバーチャルな数字を持ちだすことを政府は好む。バーチャルな平均市民を仕立てておけば、つらい貧乏を経験則で味わい尽くした民衆の一揆、逆襲を緩和できる

・農業の時代は、農民からいかに効率よく生産物を搾取するかが「経済」であり、工業の時代は、市民の工賃をいかに搾り取るかが「経済」であった

・支配者がでたらめな税金の使い方をしたその穴埋めを、被支配者がする。まさに古代から続いている「経済」に他ならない

・資本主義とは、借りたものは返さねばならない社会。これは子供でも知る道理。日本は社会主義的要素を濃くしている。完全な資本主義を確立できないまま資本主義を終焉するのであろう

・労働なしに金が金を生む世界に一度ハマったら、これは薬物よりも怖い

・怖いのは、モラルの没落。これが国を徹底的に荒廃させる。この国が野蛮な国になるのを恐れている。秩序のない国に「金儲け」という言葉は成立しない

・才能とは「カネが集まるところに集まる」もの

・就職をするのなら、労働の強度が弱い公務員を選ぶこと。一般企業であれば、労働の強度がキツイ仕事は、給与面でも待遇面でも低いことになっている

・働きの度合いに応じて分配されるはずの富が、資本主義ニッポンでは、そうはならない。働かせる側、上に就く側が、いい仕事といい給料を取っていき、最後に残ったいやな仕事を下の者が奪い合う仕組みになっている

・金持ちというのは、ギャンブル係数が低い。貧乏人の自滅こそが金持ち連中のメシのタネになっている

・世界の大国は、世界に散らばった自国の企業の利益や特権を守るために、軍事力を使って、その国の政府に圧力をかけている。労働力や土地が安い情勢不安定な国でビジネスをしようと思ったら、まず軍隊

・神とは人間にほかならない。古来、その国、地域を支配する人間は、その都度、神と交信するだの、神の意思だのと偽って、自分の都合のよいように政治を行ってきた



この本には、日本の政治体制の中で、どう仕事を選んで、どう金儲けをしたらいいかが書かれています。

長い人生、損したくない、騙されたくないと考えるのであれば、著者の作品を何冊か読む価値があるように思います。
[ 2010/07/15 08:12 ] 青木雄二・本 | TB(0) | CM(0)

『青木雄二金言集-ゼニ一日一言365日』

青木雄二金言集―ゼニ一日一言365日 (広済堂文庫)青木雄二金言集―ゼニ一日一言365日 (広済堂文庫)
(2003/12)
青木 雄二

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青木雄二氏の著書をおすすめするのは、ゼニの幸福論に次ぎ2冊目です。

今回、おすすめするこの本は、頁ごとの文章が短いので読みやすいと思います。しかし、内容は深いのです。酸いも甘いも経験した著者ならではの箴言ではないでしょうか。

365の金言集ですが、特に現実的と思われた箇所を「本の一部」ですが紹介したいと思います。



・経理部長が代わっておれば、そこは危ない
洗脳教育がつくる金貸しのカモたち。見栄と世間体がネギを作る
・働くものは儲けずに、儲けるものは働かん

・義務教育では「友情」を美化しすぎるんや
・テレビに出るような奴はホンマもんやないで
・金貸しはアホに貸す。自分より賢い奴には絶対貸さん

・訓示好きな経営者には用心せい。宗教的洗脳で賃金搾取されとるで
・カードは資本家の発明品。連中がラクする仕組みや
きれいな自社ビルの会社は意外とやり方が汚いで。だから自社ビルが建つわけや

・商売でもギャンブルでも強いヤツはツキを小出しにして勝つ
・大切なことは何も教えない。日本の文部科学省は大ウソつき
・金を騙し取る詐欺師は人の弱みを正確に見抜いている

マルチ商法は自分の人間関係を刈り取られるシステムや
・成功するにはいかにうまく偶然を利用するかで決まるで
・法律はけっして弱いものの味方なんかやないで

金儲けの才覚は現実を把握できる能力や
・お国のために官僚は働いとらん。しょせんエゴイスト集団
・男の人生は結婚した女性で決まってしまう。まことに難儀や

・生き方のスタイルを持て。それがなければ人生の負け組や
・人のやらんこと、つまり逆をいくと、当たりはデカいで
・弱い者同士をケンカさせて稼ぐのが強い者のやり方

・義務教育の欠陥はゼニの哲学を教えないこと
・社会で勝とうと思うんやったら、得意技を持つ本当のプロになれ
・大事なときに金持ちは「団結」し、貧乏人は「我」を出す

・資本主義は騙し騙されることを認め合って成立しとる
・金も力もない奴が天下取ろうと思ったら賢くなるしかない
・男の基本は経済力。金があると夫婦はもめへんのや

・「ツキの流れの潮時」をきちんとつかまえた奴が人生の勝者や
ツキのある奴とつきあうようにするのが成功の秘訣や
・学校の勉強ができても社会勉強せんと築いたものを失うで

・宗教のような会社に洗脳されて、人生を質入れするな
・人の言わんこと、やらんことをやれば仕事がやってくる
・サラリーマンではゼニがたまらんのが資本主義や


社会の現実を把握して、悟る力があったので、生前、あれだけの活躍をされたのだと思います。

底辺からのし上がっていこうと考えている方には、必見の書であり、読んで理解できるまでは、肌身離さず持ち歩くべき本かもしれません。



[ 2009/10/13 07:34 ] 青木雄二・本 | TB(0) | CM(0)

『ゼニの幸福論』青木雄二

ゼニの幸福論 (ハルキ文庫)ゼニの幸福論 (ハルキ文庫)
(1999/05)
青木 雄二

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ナニワ金融道で有名だった青木雄二さんのエッセイです。亡くなられてから6年近く経ちましたが、物事の本質を捉えた文章は、今読んでも新鮮です。

生前、新神戸駅にある喫茶店に、よく1人で来られていました。私も、時々行く店でしたので、何回かお顔を拝見したことがあります。奥の席に座り、新聞を読むか、下を向いて何かを書かれていました。

青木雄二氏というと、大阪の柄の悪いオッサンのようなイメージがしますが、このエッセイを読めば、かなりの読書家で教養人だったことがわかります。

漫画以外の数ある著作の中で、私が一番気に入っているのが、この「ゼニの幸福論」です。この本には、著者の苦い経験から体得した「幸福の本質」が数々載せられています。

本の一部ですが、今から著者の「幸福の本質」に関する珠玉の言葉を紹介していきたいと思います。



・新興宗教を支えているのは、貧病争の三つの悩み。救われたいから信仰するが、「人間が神をつくった。神が人間をつくったのではない」ということを知った上で、神に祈ればいい

・人間は幸せだと「思う」だけでは幸せではない。幸せで「ある」ことが大切なんや

・奴隷の身でも幸福を感じることはあるが、これは幸福と違う。「幸福とは、精神的にも物質的にも満たされている状態」

・世の中には得する(搾り取る)側の人間と、損する(搾り取られる)側の人間に集約できる。得する側の人間は、「ゼニがゼニを生む」という法則を熟知している人間である

・仕事で充実しているときは、それなりに幸せだが、その満足感は、遊んで暮らす幸福感に勝てない。これが、いま、なかば遊んで暮らしている僕の実感である

・あなたはおカネのない不幸と、おカネのある不幸のどちらを選ぶのか?

・「お金さえあれば、なんでもできる」といった単純な拝金主義でなく、僕は、幸福にはゼニが必要だと考えている

・「お金がなくても幸せになれる」という考え方は、僕には、負け犬の遠吠えに思えてならない

・幸福は、他人の不幸を見ているうちにわき起こる快感。資本主義社会では、幸福とは、優越感のことである

・資本主義の世の中では、結局のところ、勝者の論理で成り立っている。勝者が幸福になり、敗者は不幸になる

・民主主義のルールが守られない資本主義は、大いに暴力的である

・国民年金は、国家規模のネズミ講と同じや

・住宅費と食費の合計が、家計の5割を超えているあなたは、とても貧乏である

・欲がなければ平穏に生きていけるのに、欲をかくばかりにみんな不幸を感じてしまう。現代社会はきわめて欲の深い社会である

・自分にとって本当に価値のあるモノか?見極めることができる人は幸せになれる

・自分の経験から教訓を得られない人間は、けっして幸福になれない

・互いに理解しあえる伴侶は、なにものにもかえがたい幸福をもたらしてくれる

・僕の父親は、僕に対して絶大な愛情を持っていてくれた。だから、僕は、父親を100%信頼していた。これは、精神的な幸福の根源である

・想像力があるからこそ、人間は未来の幸福に向かって努力できる

・人間は未来の幸福をつくり出すために生きている

・自分にとってほんとに大切なものを手にできることこそが、真の幸福なのである

・文句があるときは、大声で叫んだらいい。それが、だれもが幸福になる最もたしかな方法なんや

・幸福の本質は、結局のところ、幸福に向かって闘うことにある



この本は、「ゼニの幸福論」という、ちょっといかがわしいタイトルになっていますが、内容は立派な哲学書です。

また、這い上がってきた人の叫びの書でもあり、這い上がれない人への応援の書でもあります。

青木雄二氏に若干の偏見を持たれている方もいますが、「人は見かけによらぬもの」です。是非、読まれることをおすすめします。ためになる本です。

[ 2009/07/16 07:48 ] 青木雄二・本 | TB(0) | CM(0)