とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『最高の自分を鍛えるチームの力』平井伯昌

最高の自分を鍛えるチームの力 なぜ、競泳日本は11個のメダルを取ることができたのか?最高の自分を鍛えるチームの力 なぜ、競泳日本は11個のメダルを取ることができたのか?
(2012/10/25)
平井 伯昌

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著者は、ロンドンオリンピック競泳のヘッドコーチ。競泳メダル総数11個の陰の立役者です。

スポーツの監督やコーチの本が非常に面白いのは、目標に向かって、何が最適かをフィジカルとメンタルの分野を徹底研究しているからで、経営の本が、どんどん薄っぺらになっているのと対照的です。

本書には、具体的な選手の名前も出てくるので、マネジメント手法が目に浮かぶようで、すらすら読むことができます。その一部をまとめてみました。



目標を言えるくらいの自信と準備をしないとメダルは狙えない

勝負師は、自分の手を崩してまで相手を攻めるずる賢さを持っている。プレッシャーをかけて相手の泳ぎを崩すのが勝負師。勝負師としてひと皮むけたら、大きく飛躍する

・人に勝つのではなく、自分に勝つこと。自分に勝つとは、自問自答の繰り返し

・頭の中に悪魔と天使が棲んでいる。悪魔は「こんな辛い練習、やめてしまえ」とそそのかす。天使は「負けないでもっと頑張れ」と励ます。選手の日常は、そうした葛藤の連続

・教育の現場では、ティーチングコーチングの使い分けが求められる。ティーチングは一方通行の指導法。選手に頑張るクセ、学ぶクセをつける上で、非常に大切

・ティーチング(基礎)はレベルが低く、コーチング(応用)はレベルが高いのではなく、次のステップに行くとき、ティーチングに戻ることも必要。応用の次にまた応用を行うのではなく、応用の後にまた基礎に戻って、がむしゃらにやることも大切

・大学生までの間に、努力して伸びる経験を重ねさせると、自主的に努力する大人になる

・ティーチングは重要だが、コーチの指示がないと何もできない「指示待ち人間」を作る。教えて、ある程度できたと思ったら、自分で考えさせ、壁を乗り越えさせるコーチングに入る。そこで「まだ教え足りない」と感じたら、またティーチングに戻ればいい

・トップレベルでは、心技体の中で、心が勝敗を分ける。トップ選手になると、技術と体力に大きな差がなくなるから、心=メンタルの強化が叫ばれる所以

・メンタル強化で一番大事なのは、自分にウソをつかない強い心を育てること。もっと頑張れるのに「これ以上無理だからやめよう」とウソをつく選手は強くなれない

・オリンピックを狙うレベルになったら、ほめて伸ばすのは幼稚なやり方。ほめるよりも正しく評価することが選手の成長につながる

・勝負の世界では、目先の戦術に捉われないで、戦略的な視点を持つことが求められる

・ゴールから逆算することで、練習が戦略的になる。目標を達成するまでに、いくつかの段階があり、そこには毎日クリアすべき小さな課題がある。小さな課題解決の戦術があるが、戦術の積み重ねから戦略を立てるのではなく、戦略から逆算して戦術を作るのが正解

・やる気や意欲を引き出すきっかけの一つは、小さな成功を見つけてあげること。「愛情の反対は無関心」(マザー・テレサ)の言葉があるが、関心を持たれないことが一番ショック

・やる気はないと困るが、モチベーションが高くなりすぎたときは要注意。やる気がありすぎると、いつも以上の力を出し切ってしまい、それが故障や疲労の引き金になる

・「いいときは慎重に、悪いときは大胆に」これが指導の基本の一つ

・選手は、できること、好きなこと、得意なことだけやろうとするが、世界で勝つには、短所の克服が絶対条件。選手に不得意な練習をやらせている間は、普段以上に指導者が評価をしてあげることが重要

・指導者は「計画どおり」立てたプランのプロセスを守ることではない。目標から逆算してプロセスを変えて再施行することが大事

人間形成ができてくるとメンタルも強くなる。他人を尊重しながら、自らを謙虚に振り返るようになると、選手として一段と成長できる

自分と戦って勝利した満足感こそが大きな達成感につながる。自分に負けないで信じた道を進む大切さを教えてくれるのが、スポーツの素晴らしい点



世界のトップレベルの選手たちは、どんな練習をしているのか、どう自分を奮い立たせているのかがよくわかる書でした。

どんな世界でも、克己心が重要。その克己心が育った人が、名伯楽に出会ったとき、大きな花を咲かせるのではないでしょうか。


[ 2014/07/23 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『一流の人、二流の人・ホンモノほどシンプルに仕事をする!』中島孝志

決定版! 一流の人、二流の人 ホンモノほどシンプルに仕事する!決定版! 一流の人、二流の人 ホンモノほどシンプルに仕事する!
(2012/09/14)
中島 孝志

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一流と二流の違い、それはほんのちょっとした違いです。その違いを、仕事、経営、チーム力、人間力など、多岐にわたって、観察し、分析した書です。

一流と二流の違いが、60ほどの項目にまとめられており、読みやすい内容の書です。これらをさらにまとめてみました。



・二流は、トラブルがあるとパニックに陥ってしまうが、一流は、トラブルを何かのメッセージと認識する (トラブルは仕事の応用問題。トラブルがあるから、仕事が上達する)

・二流は、他人との勝負に一喜一憂するが、一流は、自分との勝負を考えている (誰かを蹴落としたり、足を引っ張ったりしたところで、あなたが繰り上がるわけではない)

・二流は、誰にでも笑顔を振りまくが、一流は、友人の頼み事でもビシッと断る

・二流は、居心地のいい椅子に座れば満足するが、一流は、永遠に牙を磨こうとする (ポストに拘泥するよりも、一流は仕事に固執する。とことん仕事を極めようとする)

・二流は、キャリアを積み上げることしか考えないが、一流は、その積み上げたキャリアを捨てることができる

・二流は、悪口を言われると怒るが、一流は、悪口を言われるとにんまりする (悪口は嫉妬から生まれる。悪口を言われるのは、その人があなたに焼き餅を焼いているから。実力では対抗できないと諦めたので、「情報戦」へ戦略を変更した)

・二流は、残業も厭わずに働くが、一流は、休憩も重要な仕事と考える (人間が真剣に考える限界は三時間。一流は気分転換の天才。気分を転換できるから、マンネリを打破できる)

・二流は、飾り立てようとするが、一流は、素のままで生きている (知らない、わからない、とバカな振りをすると、相手は嬉々として教えてくれる。すると、情報はどんどん膨らんでくる)

・二流は、勝ちっぷりがいいが、一流は、負けっぷりがいい (強靭な精神、打たれ強いタフさがないと、務まらない。失敗したらリベンジする。仕事の失敗は仕事でしか返せない。人は、負けっぷりで評価される)

・二流は、根拠のない不安に潰されるが、一流は、根拠のない自信をもっている

・二流は、部下のご機嫌をとるが、一流は、部下に嫌われることを恐れない (舐められるよりも嫌われるほうがベター。いくら嫌われても一目置かれる人は尊敬される)

・二流は、非凡な仕事を賞賛するが、一流は、平凡な仕事の徹底を評価する

・二流は、人材だけから学ぼうとするが、一流は、普通の人からも学ぼうとする (一流の人は聞き上手。なにか自分で閃くと、周囲の誰彼を問わず、聞かないといられない)

・二流は、心地よい言葉しか聞かないが、一流は、苦言に耳を傾ける

・二流は、お客からどう奪うかを考えるが、一流は、お客にどう与えるかを考える (人間は自尊心がある。大義名分があれば、物でも金でも知恵でも、あげやすい。5年で10倍になって返ってくる)

・二流は、人間を知らないが、一流は、人間通

・二流は、競争して勝とうとするが、一流は、競争しないで勝つことを考える (ビジネスで一番強いのはオリジナリティー。ライバルもいないので、競争に晒されることがない)

・二流は、人を変えられると思っているが、一流は、人は変えられないと思っている (人が変わるのは、自分が腹の底から納得したときだけ。強要しても、本当に心が受け容れていなければ、簡単に前言をひっくり返してしまう)

・二流は、邪魔になるほどプライドが高いが、一流は、プライドなど簡単に捨ててしまう
(見栄を張る人は半端者、偽物、つまり二流ということ。二流だと見抜かれたくないから、本能的に優位に立ちたがる)



「二流の人」を自分に置き換えてみると、なるほどと納得する点が多く、反省してしまいました。

「一流の人」を知る手がかりというよりも、二流にならないための教訓の書ではないでしょうか。


[ 2014/06/02 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『自分を超える法』ピーター・セージ

自分を超える法自分を超える法
(2011/07/23)
ピーター・セージ

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著者は、「資金なし、人脈なし、学歴なし」で17歳の時に起業したイギリス人です。20年経った今、22の会社を成功に導いていられます。

本書には、「成功の心理学」「お金のつくり方」「リーダーシップを高める」「世界観をつくる」などの章ごとに、格言が散りばめられています。その一部をまとめてみました。



・歴史は、常にリスク(=不安定感)を取る人の味方をする。成功への重要な資質は、「不安定感」に対処できる能力を持っていること

・恐怖を前にすると、「やらない言い訳」がどんどん出てくる。怖いのは、行動を開始する瞬間だけ。行動のさなかでは、恐怖は消える

・本物の「重要感」を持つ人は、自分勝手な欲を手放す。力(パワー)とは、世の中に貢献したいという思いの強さに正比例して与えられる

・全員が勝者となる方法を考えることが大切なポイント。提案を受けたほうが、断るよりも価値が高いと感じるような提案をすること

・起業を成功させる5つの秘訣は、「情熱」「ウォンツ」「付加価値」「しくみ」「モデリング」。ビジネスの選択は、「できること」ではなく、「情熱」で選ぶこと

・リーダーシップの大きさは「部下の人数」で決まるのではなく、「育てたリーダーの人数」で決まる

・リーダーシップに必要な3つのカギは、「基準を上げる」「信仰を持つ」「ビジョンを持つ」こと

・エゴにとらわれた自己中心的な人だとしたら、彼は、世に「貢献」するにはまだ早すぎる。「自分中心」から「他者中心」の意識が、感情面での成長となる

・「信念」は、必ず参考となる情報や体験に基づいている。「信仰」とは、参考情報や経験がない中で、何かを信頼すること

・本物のビジョンとは、「成長」へのニーズ、そして「貢献」へのニーズを満たすようなもの。この二つのニーズを無視すると、真の幸福感は味わえなくなる

・リーダーは、100人中99人に反対されても構わないと考える人たち。「役に立ちたい」という願いの大きさに応じて「力」は動員される

・力を弱める9つのパターンは、「1.ルールに縛られる」「2.重圧感や抑うつ」「3.コントロール、自信過剰、不安感」「4.退屈」「5.中毒」「6.喪失への恐れ」「7.男女関係における愛憎」「8.アイデンティティ」「9.死と病」

・多くの人々は、「前進して不安定感を享受して充実感を得ること」よりも、「安定感を得て不幸になること」のほうを優先させる

・人生の質は、「不安定感をどれくらい快適に受け入れたか」に比例する

・本当の失敗とは、うまくいかなかったときに、意気消沈してしまうこと

・よりよい戦略とは、よりよい質問をすること。ビジネスをスタートするのに「お金」は必要ない。「よりよい質問」を自分自身に投げかける必要がある

・「人の感情を動かし、行動を起こしてもらう能力」は、どんなビジネスにおいても、最も高い価値が支払われるスキル

・できごとが意味を決めるのではない。どんな状況においても、「力をつける意味づけを探すこと」があなたを幸福にする

・組織の責任者としてやるべきことは、「人々が持っている最良のものを出させること」で、それは「人々が持っている最良のものを発見させること」で、よりなされる

・指導者のゴールとは、「生徒が指導者を越えていくこと」。それ以外のすべてはエゴである

・「自分自身であれ。他の人はもうみんな埋まっているから」(オスカー・ワイルド)



本書は、「モチベーション」を高める内容ではなく、「インスパイア」を注入する内容のように思います。

成功の秘訣とは、「インスパイア」の持続です。「インスパイア」には、本書のような書を時々読むことが必要なのかもしれません。


[ 2014/05/26 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『20代で群れから抜け出すために顰蹙を買っても口にしておきたい100の言葉』千田琢哉

20代で群れから抜け出すために顰蹙を買っても口にしておきたい100の言葉20代で群れから抜け出すために顰蹙を買っても口にしておきたい100の言葉
(2012/01/09)
千田琢哉

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著者の本は、「あなたが落ちぶれたとき手を差しのべてくれる人は、友人ではない。」に次ぎ、2冊目です。共に、長ったらしいタイトルですが、内容はいたって簡潔、明瞭です。

ちょっと斜に構えた視点が、新鮮です。ときどきグサッと刺さる言葉もありますが、それはご愛嬌ということで・・・。とにかく、本書をまとめてみました。



遅刻した際の相手の態度によって、これから付き合うか否かを決めてしまっていい

・やる気のない人から仕事を奪うと、その分あなたが成長できる。チャンスを与えられて遠慮する人がいたら、「私にやらせてください」と言って横取りすること

時間泥棒ほど罪深いものはない。時間泥棒が接近してきたら「30秒でお願いします」と即答すること。時間泥棒が出世することはない。いずれ干さされるのだから怖がることはない

・決断できない人を無理に決断させようとすると、お互い不幸になる。「勝手に決められても」と言われたら、「じゃあ、やめましょう」と言うこと

・人生から気乗りのしない食事会を省いていくと、プロフェッショナルに近づける

・無関心なことを無関心だと伝えれば、好きな人と好きなことができる人生に一変する

・詐欺師が最もカモにするのは、二流のお利口さん。知ったかぶりでお世辞に弱いから簡単に騙せる。詐欺師が一瞬であきらめるのは、自由人。ワガママ放題本音で生きている人は騙せない

・ナンバー1とナンバー2が明確であることが、共同経営成立の条件。「一緒に会社を創ろう」と声をかけられたら、断ること

・「これは絶対買い」と近づいてくる人がいたら、「あなたが全財産を注ぎこんだら、その話を聞く」と言うこと

・顧客の囲い込みは、顧客のためではなく、自分のためにやっている。カード入会を執拗に迫られたら「囲い込まれるのは嫌い」と言うこと

・自分が将来こういう人だけにはなりたくない、という人の話は無理して聞く必要はない。「人生の先輩として言わせてもらうが」と言われたら、「結構です」と言い放つこと

生涯賃金を稼ぎ終えた人は、好きな人と好きなことを存分にできる。本気でお金の心配をしたくなかったら、生涯賃金を早めに稼ぐ努力をすること

・若くして成功すると、人生を何倍も味わうことができるからお得。「どうしてそんなに急ぐの?」と言われたら、「年老いて成功しても意味がないから」と教えてあげること

・「上がバカでやってられない」と、同じ愚痴を繰り返す同僚がいたら、「出世して抜かしたらどう?」と言ってやること。役職が上だということは、属する組織の本音がそうだから

・どこか違和感を覚えたことには、勇気をもって近づかないこと

・「らしいよ」が口癖の人は、何も成し遂げられない

・「あの有名人も使っている」と勧誘されたら、「じゃあ、やめときます」と言うこと。自分を大きく見せようとする人は、実力も実績もない証拠

・「あの人成功して人が変わっちゃった」と言う人がいても、成功した人が変わったのではなくて、嫉妬している人が変わったことに気づくこと

・「できる人」が社内でよく言われることはない。しかし、「できる人」には必ず長所があったから、「できる人」になった事実を受容すること

・結局、人から押しつけられて借りたものは読まないし観ない

・「ちょっと太った?」。久しぶりの相手に対して、容姿の質問をしてくるのは、知性がない証拠。多くの人は、言わなければならないことを言わず、言ってはいけないことを言っている



本書は、大多数の人から顰蹙を買うような内容ですが、そういう人は、お金を出して、本書を買わないと思うので、ズバッと物申すことができたのかもしれません。

いずれにせよ、著者の「忌憚ない意見」は参考になります。早いうちに頭一つ抜き出たい人には、おすすめの書です。


[ 2014/04/09 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『最強「出世」マニュアル』浅野泰生

最強「出世」マニュアル (マイナビ新書)最強「出世」マニュアル (マイナビ新書)
(2013/09/24)
浅野 泰生

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「出世とはテクニック」と言い切る著者が、その方法をマニュアルとして、まとめたものが本書です。

「上司が望むことを徹底的にすること」、それが出世するためのノウハウであると、実体験をもとに、記されています。その上司が望むこととは何か?それらをまとめてみました。



・「上司の困りごとは何なのか?」「上司は今何を求めているのか?」を考えて行動することが重要

・同じような力量の対象者が二人いたとき、手を挙げている人、上のポジションで仕事をしたいと言っている人に白羽の矢が立つ

・会社や上司が何を求めているかをまとめたものが「人事評価制度」。人事評価制度を理解し、「求める人材像」になるべく自らを変えていくことが、出世の重要なポイントの一つ

・「あの人、良い人だね」「悪い奴じゃないよね」で終わる人は、「人間力」が足りない人。「人間力」とは、「ビジネス上の利害関係者に何らかの影響を与え、それにより他者に変化を生じさせる能力

・「失敗」は明らかに「ミス」や「怠慢」とは違う。会社という組織は、小さな成果を上げる人よりも、多くの「失敗」から多くの学びを体得し、より大きな成果を追い求める人を求めている

・出世する人は、ほんの少し人より優れている「何か」をたくさん持っている。出世できない人は、特別な「何か」に注力しすぎて誰にでもできる当たり前のことを疎かにする

・会社に対して与えるものが何もない人は、会社から何も得ることはできない

・出世する人は、最初から「質」を追求せず、とことん仕事の「量」にこだわる

・出世する人は、夜の酒場も「勉強の場」と捉え、何事も前向きに吸収していく。出世できない人は、仕事とプライベートは一線を引きたいと考え、昼間とは違う人間関係を学ぶ場を逃す

・どんな仕事にも「お客様」は存在する。それは社外だけでなく、社内にも存在する。上司から仕事の依頼があった時点で、その上司はあなたの「お客様」。その「お客様」を満足させることができれば、あなたの評価は必ず上がる

・会社にいて仕事をしている間、ずっと猫をかぶり続けられれば、あなたの評価は必ず上がる
・「一晩考えさせてください」という人間には次のチャンスはない

・会社で役職が上位の人、特に企業経営者は「せっかち」な人が多い。出世する人はスピード感が違う。このスピード感とは、処理スピードというよりも、取りかかるまでのスピードや判断スピードを指す

・部下を成長させられない上司は、自分が停滞しているのに、部下だけを成長させようとするから失敗する

・社長は自分のコピーを求めている。社長の意見に無条件に賛同する「イエスマン」ではない。社長は、賛同してくれる社員が一人としていなくても毅然と自己の信念を貫こうとする「少数派与党」となれる「№2」を探している

・昔も今も、ビジネスマンには、「回答力」が求められる。質問に対し、嫌みなく理路整然と答えることができると、間違いなく相手に与える印象は向上する

・組織の中で、役職上の上下関係を「役割」と捉えれば、年齢の上下、社歴の長短、性別に関係なく誰とでも接することができる

・昼間は役職を全うし、夜は人生の先輩に対して、適切な配慮をすることが、出世する人間の危機管理につながる

・お金を出す時も、出してもらう時も、相手の気持ちを大事にする。自分が出す時以上に、出してもらう時には、気をつけないといけない。人間が小さく見えないように、気持ちよく自分のお金を使うことが、出世する人間の危機管理につながる



出世とは、大学受験のとき志望校の傾向と対策を練ったように、分析すれば、意外と簡単なものというのが、著者の意見です。

平社員から取締役に猛スピードで出世した著者の意見は、参考になる点が多いのではないでしょうか。


[ 2014/04/07 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『このムダな努力をやめなさい』成毛眞

このムダな努力をやめなさい: 「偽善者」になるな、「偽悪者」になれこのムダな努力をやめなさい: 「偽善者」になるな、「偽悪者」になれ
(2012/10/09)
成毛 眞

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著者は、元日本マイクロソフトの社長です。時々、マスコミにも登場されています。以前聴いたラジオの番組で、自分と似た部分を感じたので、本書を手に取りました。

日本の異端児とも言える著者ですが、世界では常識人です。本書は、この常識人の目で、日本社会と日本人の特殊性を述べたものです。その一部をまとめてみました。



・努力には「時間」がかかる。時間がかかるということは「お金」や「労力」もかかる。そういった「コスト意識」がないと、ムダな努力を重ねてしまう。だから、努力も「選別」する必要がある

・仕事でたいして使いもしないのに英語を勉強するのはムダ。今役に立っていないスキルが将来役に立つ可能性は低い。どうせやるなら、もっと仕事に直結する勉強をしたほうがいい

・人に好かれるための努力なんて無意味。好かれる人は何もしなくても好かれるし、嫌われる人は何をやっても嫌われる。そして、ビジネスにおいては「好かれる」必要はない。それよりも「信頼される」ことが重要

・外資系企業に勤めているなら、20代からがむしゃらに働く意味はあるが、日本の企業の場合、細く長く働けるようにセーブしたほうがいい。一生サラリーマンで終えるつもりなら、過労死するまで働くなど、もってのほか

・親鸞聖人の教えに「善人ばかりの家庭は争いが絶えない」というものがある。自分が善人だと思っていたら、相手が自分とは違う考えや行動をとったときに、それは「悪」だと決めつける。「自分が正しい」と思っていたら互いに譲らない。だから、争いが絶えない

善人に煙たがられるような人間のほうが、実は自由に生きている

・人を傷つけない人、不愉快にさせない人は、優しい人間のように思えるが、それは自分が嫌われ者になりたくないだけ。マイナスの要素がない代わりにプラスの要素もない

・善人に憧れる日本人は、謝罪を好むようになった。戦後60年以上たった今でも中国や韓国に謝罪している。中国や韓国は本気で謝罪を望んでいるわけではなく、外交カードとして要求している現実を、なぜ直視できないのか

・中国や韓国はしたたかで、世界で自国を売り込んでいるし、自国の利益になるためなら平気で裏取引もする。お人好しの日本人は指をくわえて見ているだけで、技術や人材を盗まれてもオロオロしている

・人には無限の可能性があるといった、きれいごとに騙されてはいけない。人の可能性は有限。育った環境でその人の将来の9割は決まる

・「ビジネスはしょせんビジネス」。必要以上に会社に「期待」も「依存」もしないこと

ムダな努力をしない人は、付き合う人を決め、それ以外の人とは交流を断つ。自分にとって意味を持たない人と一緒にいるのは時間のムダ。話が合わないのに、話題をあれこれ考えるのは労力のムダ

・権力を握ったときに孤独に耐えられる人間こそ、成功者になれる。孤独のほうが気楽だと思えるタイプ

・友人にも「質」がある。表面的な付き合いをする程度の「友人」なら、いくらでも増やせるが、増やしたところで意味がない

・昔から上から目線でものを見てきたのは、自分が一番優秀だと思っていなければ、仕事がうまくいかないと考えているから

・「自分が一番すごい」と思っていたら、他人から否定されても、それほど腹が立たない。「この人にはわからないか。しょうがない」と、こちらから切り捨てられる

・北大路魯山人は、「わかるヤツには一言いってもわかる。わからぬヤツにはどういったってわからぬ」と言っている。わからぬヤツにわかってもらおうと努力するのはムダ

・成功者というのは「後悔しない人間」。どんな結果になっても、すぐに忘れてしまう。「失敗に興味がない」とも言える。「反省」してもいいが、「後悔」してはいけない

・情報は知るのも大事、知らせるのも大事。情報の量によって自分の将来は決まる。情報をうまく操れる人がチャンスをつかむ


著者は、合理的に判断する人ですが、そこが、日本人に最も欠けているところです。日本人は、合理的、数学的、金銭的にものごとを考えれば、単純に解決できるところを、感情論を持ち込もうとします。

グローバル間における話し合いの基本は、合理的に解決し、感情論を排除していくことなのですが、その辺りのことが、日本の知識人にもよくわかっていません。本書に納得できる人は、世界のどこに行っても、活躍できるのではないでしょうか。


[ 2014/03/24 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『科学者の卵たちに贈る言葉・江上不二夫が伝えたかったこと』笠井献一

科学者の卵たちに贈る言葉――江上不二夫が伝えたかったこと (岩波科学ライブラリー)科学者の卵たちに贈る言葉――江上不二夫が伝えたかったこと (岩波科学ライブラリー)
(2013/07/06)
笠井 献一

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本書は、著者が科学者として生きる上で指導を受けた江上不二夫教授(1982年没)の言葉をまとめたものです。

この「江上語録」は、科学者すべてに通じる生き方の知恵のようなものです。これらの言葉の中から、一部をまとめてみました。



・研究はスポーツ競技ではない。目的は他人に勝つことではない。闘争心を研究の原動力にしたのでは、勝った、負けた、だけにこだわってしまう。他の人と争うような研究テーマに群がるのはやめて、なるべく違う課題をいろいろな角度から攻めるのがいい

・今流行している研究分野に、あわてて参入しなくていい。流行している研究をやっていることで、自分は重要な仕事をしていると安心してしまいかねない

・日本の科学者が世界の第一流になるためには、たくましい科学者でなければならない

・独創的な研究をしなければならないとみんなが言うが、そんなことに囚われないほうがいい。独創的であるべきだと叫んでも、独創的な研究ができるわけではない

・独創的でないと、他の人から批判されても気にかけず、自分の仕事を大事にして、自分のペースで仕事を続けるほうがいい。そうやっているうちに予想もしないすごい発見ができたならば、結果として独創的な仕事をやったことになる

・重要な研究、最先端の研究をしなければ、とあせって、キョロキョロしたところで、成功する可能性なんて少ない。新しいことに飛びつかずに、日本の伝統、研究室の伝統恩師の伝統を尊重して、地味であってもこつこつと研究を続けるのがよい

・研究室の伝統に乗って研究すると、他の研究室にないがっちりとした土台や役に立つノウハウがあるから、同じことを始める人に比べて、他の人よりも有利にスタートを切れるし、その後もいろんな点で助けてもらえる

・つまらなそうに見えることでも、やっているうちに、どこかで本質とつながっていることがわかってくる。今は重要でないと思っていても、いつか重要なこととの接点がきっと見つかる

・流行っている研究は君がやらなくても、必ず誰か他の人がやるに決まっている。そんなテーマをやってもつまらない。自分のやっている研究が面白くないなら、君の手で面白いものにしてやりなさい

・誰もまだ気がついていないことから重要な研究課題を見つけだしなさい。他人に大事だと言ってもらえないから大事だと思えないような自信のなさではいけない。自分の選択に自信をもって、それを育てなさい

・研究を始めてから三ヵ月たったら、自分の研究について世界で一番よく知っている人間になってなければならない

・指導者がやらせたいことをやらせたり、チームでやるような大きな仕事の一部を分担させたりするのは、科学者を育てるには有害極まりない。だから君たちには大きな選択肢を与える。その代わり、自分が選んだ以上、そのテーマに関して、全責任をもちなさい

・自分の考えに固執する人、自信を持ちすぎる人は、指導者になったとき、部下が自分の期待と違う実験結果を出すと、こんなはずはない、君が悪いのだといって責めてしまう

・自分の予想したとおりの結果を出すように部下に圧力をかけると、部下も指導者の気に入るデータを報告するようになり、間違った結果が公表されることになる

・自然は人間の頭で考えられるよりもはるかに偉大で複雑。これまで数えきれないほどの実験がやられて、たくさんの優秀な頭脳が考え続けてきたけれども、まだわかっていないことのほうがずっと多い。自然から教えてもらう。これが実験科学者の取るべき姿勢

・生命は人智をはるかに超えているから、人間の浅はかな頭で考え出したことなど、その偉大さ、神秘さに適うはずがない。自然に対する謙虚な姿勢が、結局は真理の発見につながる

・みんながこうすればいいと言っているのではない。私はこうすると言っているのであって、ほかの人が同じことをする必要はない



この科学者として生きるための言葉は、科学者のみならず、人としての生き方に通じるものがあります。

付和雷同にならない、流行を追わない、といったことは、独創性と創造性を求められる分野では、必須の心構え、姿勢ではないでしょうか。


[ 2014/02/24 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『ドロのかぶり方』尾藤克之

ドロのかぶり方 (マイナビ新書)ドロのかぶり方 (マイナビ新書)
(2013/08/23)
尾藤 克之

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人間誰でも、泥をかぶらないといけない時があります。でも、かぶってしまってはいけない泥もあります。本書は、どういう泥ならかぶったほうがいいのか、泥の上手なかぶり方が記されています。

この「泥」という現実を検証している書を、今まで見たことがありませんでした。著者は元衆議院議員秘書です。ドロをかぶるのが仕事のような経験をされてきた方です。その貴重なノウハウの数々をまとめてみました。



・絶対にかぶってはいけないドロとは違法行為(収賄、背任など)になるもの。そんなことを促してくるドロかけ屋に注意しなければならない

・ドロをかぶる最大のメリットは、相手に恩を売れること

・ドロをかぶらされるということは、ドロをかぶせるほうと比べて、立場が弱くなる。クビを切られるかもしれない。そんな立場に追い込まれないためにも、ドロをかぶるときは言い訳をしてはいけない。上司に恩を売るチャンスなので、徹底的にかぶってあげること

・成功したときに出世したり、給与が上がったり、評判が死ぬほど上がるようなドロは大歓迎

・「うまくいっていない新規事業のリーダー」「設立以来、赤字が続く部門の責任者」「不祥事の後始末を託されたリーダー」。この種のドロをかぶって、うまく事態に対処できれば、能力を高く評価される。プロジェクトを黒字化することだけが、飛躍への道ではない

・ドロをかぶるときに一番気をつけるのが「客観的視点」。かぶったドロが誰の目から見ても「ドロ」でなければならない

・ドロかぶりには「愛嬌」も大切。愛嬌は、会社という集団の中で、警戒心、敵対心、嫉妬心をもたれないための重要なスキル

・上司にとって「カワイイやつ」「気になるヤツ」になれば、変なドロをかぶる確率はかなり低くなる。馬が合わない上司にも、積極的に声をかけること

・自分が失敗したときは「すみません」「自分のせい」、お酒の席でアピールしたいときは「うまくいかない」「教えてください」、上司が得意げに自慢したときは「さすが」「ダメなんです」。こういったお世辞の定型句は、コツをつかめば、簡単に口から出てくる

・文句を言われる前に、自分から謝りに行くこと。出鼻をくじかれると、本来、怒り爆発の状態だったとしても、矛をおさめざるをえないのが、人の情

・クレーム処理は代表的なドロかぶり。このクレーム処理の基本形は、クレームを言ってくる相手に「自分がイジメているみたい」と思わせること

・ドロかぶりが下手な上司は、部下に尻拭いをさせがち

・「手のひらをかえす」タイプ、つまり、信用できない人物には「口が軽い」「他人の批判を平気でする」「うわべだけを取り繕う」といった特徴がある。このような人を日ごろから特定しておくこと

・ドロかぶりは、もし一歩間違うと、すべてを失ってしまう危険な賭け。周囲の人物が信頼に値するか、注意深く見ておく必要がある

・会社生活ではババともいうべきドロは必ずある。基本的にミスをしたくない上司が上にいればいるほど、ババの数は増える

・会社の体質を見抜くのは簡単。査定が減点方式の会社では、ババが致命的な傷となる可能性が高い。そこでババを出されたときは、「お引き受けできません」と明確に拒否すること。失敗確率の高いババが振られた時点で、あなたは会社から軽視されていることになる

・立場が偉くなればなるほど、建前で話すのが普通。ペラペラ本音を言うのは中間管理職まで。上に立つ者が、建前で話を通すのは、それが理論武装になるから

・出世する人は、何らかの傷を持っているもの。だから、上層部の信用を勝ち取り、上にあげられるというわけ

・会社がドロをかぶせようと考えている人物は、自然と高位に出世していくもの。逆を言えば、ドロをかぶらない社員は、いつまでたっても出世しないままということ。ドロかぶりは究極の出世術



議員秘書として、ドロをかぶってきた著者の見解は、「義理人情のある会社では、ドロをかぶることが出世の道」となるが、「ドライな会社では、ドロをかぶらずにうまく逃げることが大事」ということです。

いずれの場合も、ドロに対する自分の考え方を磨き、場と人を見抜き、ドロに対処することが組織を生き抜く上で、非常に重要です。その助けとなる書です。


[ 2014/01/13 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(2)

『一流の人に学ぶ自分の磨き方』スティーブ・シーボルト

一流の人に学ぶ自分の磨き方一流の人に学ぶ自分の磨き方
(2012/03/23)
スティーブ・シーボルド

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本書は、「一流の人は・・・」で文が始まります。その数、140弱。一流の人の考え方、行動のし方、学び方などが列挙されています。

それらを読むと、まるで「一流の人」に洗脳されてしまいそうです。この一貫した、シンプルな構成は、とても分かりやすいものです。その一部をまとめてみました。



・「一流の人は刷り込みを修正する」。二流の人は、子供のころに教え込まれた(刷り込まれた)ことにしがみつく

・「一流の人はお金の限界を理解している」。二流の人は手っ取り早い金儲けをしようとする。金持ちになれば、心の中の空虚感を埋められていると思い込んでいる

・「一流の人は大きく考える」。二流の人は小さく考えて生き残ることで精一杯。一流の人は大きく考えて輝かしい未来を創造する

・「一流の人はリスクをとる」。二流の人はリスクを忌み嫌う。「無難に生きていればいい」と教え込まれている。「挑戦しなければ痛い目に遭わずにすむ」というのが、彼らの人生観

・「一流の人はどんな状況でも落ち着いている」。二流の人は負けることを恐れるあまり、緊張して自滅する。一流の人は「これはゲームにすぎない」と考え、プレッシャーをうまく取り除く

・「一流の人は断り方を知っている」。一流の人は時間について毅然とした態度をとる。生きている時間が有限だという意識があるから

・「一流の人は常識を疑う」。二流の人は現状維持に甘んじる。一流の人は、常識を疑い、よりよく、より速く、より効果的な方法を絶えず探し求める

・「一流の人は生産性にこだわる」。二流の人は仕事を労働時間の観点から考える。一流の人は仕事を生産性の観点から考える

・「一流の人は孤独を求める」。二流の人は猛烈に働いていないから、休養と回復をあまり気にかけない。一流の人は、一人で過ごすことで、大きな負担をかけている脳に休養を与える

・「一流の人は他人に依存しない」。二流の人は自分の決定に責任を持たず、何かにつけて他人のせいにする。一流の人は被害者意識を持たず、自分の決定に責任を持つ

・「一流の人は自分を自営業者とみなす」。一流の人は自分を「プロの仕事人」とみなし、良質な労働力を会社に提供していると考える。二流の人は自分を組織の小さな歯車にすぎないと考える

・「一流の人は惜しみなく頻繁に人をほめる」。ほとんどの人は称賛に飢えている。しかし、二流の人は、あまり人をほめない。ただし、称賛の効果が低下しないように、一流の人は同じ人を過度にほめないように配慮している

・「一流の人は正直の大切さを知っている」。一部の人は不正直な方法で財産を築くが、一流の人はそれが邪道であり、本物の成功が財産や所有物ではなく、人格にもとづいていることを知っている

・「一流の人は双方が利益を得る交渉をする」。二流の人は自分がより大きな利益を得るために交渉をする

・「一流の人は人々を助けるために力を使う」。二流の人は「力を持っている人は邪悪で傲慢で強欲だ」と考える

・「一流の人は変化を歓迎する」。二流の人は変化を脅威とみなし避けようとする

・「一流の人は許すことを知っている」。二流の人は憎しみで凝り固まり、復讐を企てる

・「一流の人は意見の対立を歓迎する」。二流の人は意見の対立を避けようと躍起になる

・「一流の人は自由を高く評価している」。二流の人は自由をそれほど評価していない

・「一流の人は多様性を歓迎する」。二流の人は、自分と異なるタイプの人を「安全を脅かす存在」として疑ってかかる



本書を読んでわかったことは、二流の人にならないことが「一流の人」ということです。

一流を目指すというよりも、二流にならないように自分を戒めることこそ、一流になる道であるのかもしれません。


[ 2013/12/23 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)

『世界初をつくり続ける東大教授の「自分の壁」を越える授業』生田幸士

世界初をつくり続ける東大教授の 「自分の壁」を越える授業世界初をつくり続ける東大教授の 「自分の壁」を越える授業
(2013/07/26)
生田 幸士

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著者は、医療用ロボットの世界的先駆者で、東大の名物教授です。しかし、元々は普通の人だったそうです。それが、天才的開発を連発するにに至った独自の思考法が本書に記されています。

つまり、誰でも天才になれるかもしれない方法が書き綴られています。ためになり、そして興味深い点が多々ありました。それらの一部を要約して紹介させていただきます。



・バカを貫くことは、世間の常識を疑い、常識と戦うこと。そして、世間の常識を徹底的に疑い、そこから「新しい常識のあり方」まで考えられる人のことを、人は天才と呼ぶ

・秀才は与えられた課題を効率よくこなし、既存の枠組みの中で結果を残す。天才は枠組み(ジャンル)を自分の手で生み出す。その大前提が「バカ」であることを人は知らない

・新しい「モノ」をつくるのではなく、新しい「ジャンル」をつくる

・「みんな」がやっているものには手を出さない。「みんな」がやっていないからこそ、そこに可能性を見出し、チャレンジする

・アメリカ人は、ほめることに躊躇しない。日本ではほとんど評価されなかった研究も、「グレイト!」「お前、天才だな」とほめてくれる

・「グランド・チャレンジ」という言葉を、直訳すれば「壮大なる挑戦」だが、単なる挑戦ではなく、「抜本的な改革(イノベーションとしての挑戦)」に近い意味が込められている

・改善や改良ではなく、「自分はどんな世の中を実現したいか」「今世の中には何が不足しているのか」というように、将来のあるべき姿を考えていくのが、グランド・チャレンジ

・新しいコンセプトさえ見えてしまえば、それを実現するためのアイデアも出てくるし、自分の取り組むべき課題もわかる。本物のアイデアとは、コンセプトの後からついてくる

・すべての研究者を支えている根源的な欲求は「びっくりさせたい!」

・クライアントやユーザーの声に耳を傾けるときには、相手から「そこまで聞くか?」「その話、まだ聞くの?」とあきられるくらいのしつこさで聞くこと。現場の情報とは、100%「取り切る」ことが重要

・机の前に座っている間だけ考えるなんて、「考える」うちにカウントされない

24時間考えること。そのことだけを思い続ける。それから、頭で考えるだけでなく、手を動かして考える。書いて考え、描いて考え、モノをつくって考える。そして、最後が人を使うこと。自分一人で解決しようとせず、積極的にディスカッションしていくこと

・発想を独創に変える3つのポイントは、「違う『テーマ』を考える」「違う『方法』を考える」「違う『結果』を考える」こと

・プレゼンとは、そして論文とは、自らの成果を過不足なく発表するだけでは意味がなく、聞き手や読み手の感動を引き出すべきもの。もっと、面白いプレゼンにして、みんなを笑わせること。会場に爆笑を巻き起こして、ちゃんとオチをつけること

・人は制約があり、ハングリーな状況に置かれたほうが知恵を絞れる。潤沢な研究費があって、億単位の実験装置がゴロゴロ揃うような環境では、出てくる知恵も出てこない

・天才とは、「生き方」の天才。天才にふさわしい、凡人と違った生き方を選べること

・天才の「生き方」とは、「1.高い志を持っている」「2.行動力がある」「3.人生のすべてを投入できる」こと。そして、もう一つ「努力の方向性を見失わない」こと

・「何を捨てるのか?」という問いは、「何を残すのか?」を考えること

・出る杭(変わり者)は打たれる。しかし、出すぎた杭(宇宙人)は打たれない

・本当に優れた研究者は、外交的で、人間的な魅力にあふれ、ユーモアを持っている

・一つの専門に凝り固まっていても、新しい発想は生まれない。二つの専門を持って、それを繋ごうとしたときにこそ、新しい分野を切り拓いていける

・日本では、ルールの代用品として「みんな」を持ち出す。ルールを守ることよりも「みんなと同じ」であることが優先される。これでは個性的な人材を育てることはできない



新しいものを創りだす人は、概ね、この教授のような考え方、生き方をしています。現在の日本の学校教育では、育ちにくい人です。

学校教育が、従順な人を育てようとしている限り、天才は育たないと思いました。天才になるためには、自分の心の壁を取っ払うことからスタートしていかないといけないのかもしれません。


[ 2013/11/18 07:00 ] 出世の本 | TB(0) | CM(0)