とは学

「・・・とは」の哲学

『幸せの経済学』橘木俊詔

「幸せ」の経済学 (岩波現代全書)「幸せ」の経済学 (岩波現代全書)
(2013/06/19)
橘木 俊詔

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人生の目的とは、幸せになること。哲学も宗教も、幸せを体系化しようとしたもの。その「幸せ」は青い鳥なのかもしれないが、経済学の立場で見た「幸せ」とは何かを示しているのが本書です。

日本の人々、世界の人々が、幸せをどう考えているか、経済学的資料をもとに、類推している点に興味を抱き、それらの一部をまとめてみました。



・20世紀後半以降のような「成長」を望むことはできない。「定常経済時代」という現実は、「幸せになるには、まず成長」の固定観念から脱却する絶好の機会

・「清貧の思想」は、日本人特有の独創的な幸福感。日々の生活は食べていけるだけでいい、最低限の生活を送ればいいというもの。凡人は、華美な消費に走ることは避けるにしても、もう少し水準の高い経済生活を追求してもいい

・一人当たりGDPは高くても、所得格差の大きい国ほど国民の生活満足度が低くなる

・幸福度の高い県は、県民所得が高い割に、自然環境がいい

・一番幸福度が高いのは、60代の女性で、反対に不幸度が高いのは、30代の男性

・既婚者は幸福。さらに子供がいない夫婦の幸福度が高い

・学歴の低い人も中学卒を除いて、不幸度はそう高くなく、学歴の高い人もそれほどには幸福度は高くない

学歴の高い人は、出世、賃金などの期待度が高いが、現実の世界では、それを達成できる人は少ない。ゆえに、学歴における幸福度にほとんど差がない

管理職専門職の人のほうが、現場で肉体作業をしているブルーカラーの人たちよりも、やっぱり幸福度は高い

・企業規模では、公務員の幸福度が一番高い。そして、大企業で働いている人は、中小企業で働いているよりも幸福度は高いが、企業規模が10人~30人といった小さい企業で働いている人も幸福度は高い。小さな企業だと自分のやりたいことができるからと思われる

・「何に希望を持っているか」の調査で、意外に低かったのが友人関係。友人はいざというとき期待できないと考えている

既婚者、高い所得教育年数女性であること、健康といった変数が幸福度を高めている

・デンマーク人は、「生活に困ったときには政府が支援してくれる」というセーフティネットの充実があるからこそ、高負担の税率を容認している。だからこそ、デンマーク国民は幸福度が世界一高い

・デンマークでは、高い教育や高度で複雑な仕事への報いはそれほど高くない。むしろ、人間としてすべての人がそこそこ食べていける賃金を支払うことが公平な処遇であると、信じている

・「日本人は幸福な生活を送る上で、何が必要か」調査では、高い順に「インターネット」「基礎体力・運動能力」「親友」「持ち家」「コミュニケーション能力」「テレビ」「基本的な学力」「テレビ」「子ども」「冷房・暖房」「車」「携帯電話」「面白い仕事」「結婚」

「日本人は幸福な生活を送る上で、何が必要か」調査では、低い順に「別荘」「ギャンブル」「高い身長」「先生」「高い学歴」「数学力」「すぐれた容姿」「土地」「家事育児と両立可能な仕事」「すぐれた頭脳」「お酒」「社会に貢献できる仕事」「語学力」「恋愛」「高い収入」

・人間として野心の強い人、あるいは嫉妬心の強い人は、現状において幸福度を低く表明している

・国民に安心感を与えて、幸せな人生を送れるようにするのは政府の役目。国民の労働生産性を高めるには、教育と技能の蓄積しかない。そのためには、国民は税・社会保険料の負担をこれまで以上に覚悟する必要がある



日本の幸福観と世界の幸福観には、大差はありません。日本人も、結構、冷静に考えています。

幸せになる、というのは永遠のテーマ。何をもって、幸せとするかは、個々人によって違うもの。求める幸せが、みんなと同じにならないように、自分にとっての幸せかをよく考えてみようという書でした。


[ 2014/07/21 07:00 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(0)

『さよなら私』みうらじゅん

さよなら私 (角川文庫)さよなら私 (角川文庫)
(2012/09/25)
みうら じゅん

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みうらじゅんさんは、「ゆるキャラ」「マイブーム」などの産みの親です。時代感覚を持ち合わせているだけでなく、「見仏記」などの著書もあり、仏像にも詳しい方です。本ブログでも「運慶:リアルを超えた天才仏師」で、著者のコメントを掲載しました。

本書は、非常に、頭がよくて、照れ屋で面白い著者が書いた真面目な本です。仏教に造詣が深いことがよくわかります。その、ためになる数々をまとめてみました。



・選択肢とは、いくつもあるように見えて、実は二つしかない。いいか悪いか、好きか嫌いか、行くか行かないか。とくに人生において、行くか行かないかの選択は、今後に大きく影響する

・生き物の宿命は別離であり、死別であること。この最大の不安から逃れることができない限り、安定などあるはずがない

・時代というのは、目に見えるものではなく、新しい考え方が古い考え方を押しつぶしていく変遷のこと

・未来は誰にもわからない。わかったところでどうすることもできない。それでも知りたくなるのは、今ある不安から抜け出し、少しでも安心したいからに違いない

のんきは、真面目や不真面目という既成概念と違い、一種の才能。「なるようにしかならない」と人生をあきらめている。努力をしないわけではないと、あくまで自分のことも他人事と考えている

・「自分に自信が持てなくて」という人に限って、他人の話に耳を貸そうとはしない。それは、自信が持てないという自分を過信しているから。人はついつい自分を信じすぎる。他人を疑うという気持ちも、自分を信じている証拠

・他人がやたら楽しそうに見え、うらやましいと思うときは、淋しくならない努力を怠っていると反省すべき

・身の回りの誰かを主人公に抜擢し、自分を脇役と考える生活方式に切り替えてみること。また一味違ったストーリーが展開するはず。「損している」と感じるようでは、まだ脇役になりきれていない

・人生には、目標とか、目的とか、夢とかあるが、それはうまく暇をつぶすための方法

・やさしさは結局、甘さであって、そんな自分を肯定して生きること

・結局、人は誰かにホメられたくて生きているもの。ホメられないとき、人は淋しい

・人は、カッコいいことと、カッコ悪いことに左右される生き物。たかが数十年の人生。カッコ悪くてもいい。そんなこと気にせずに、好きに生きてみるべき

・自分など結局はどこにもいるはずがなく、脳が生み出した幻想にすぎない

・楽しく生きるためには、できる限り「他人と比較しないこと」と、「他人に期待しないこと」が重要

・「私は私の生き方しかできない」とわかるまでには時間がかかるもの。つい、他人の生き方を羨ましく思い、マネをしてみるが、うまくいくはずはない。それは、他人のいいところばかりマネしようとするから

・人間は、悩みを抱え、それを克服するためにがんばる、そういった生き物。克服すると、さらにその先には、悩みが待ち構えている。不安と安定を繰り返しながら、人間は飽きることなく暇つぶしして一生を終える

・好きな人とは結局、自分にとても都合のいい人のことで、相手もそう感じているときを、相思相愛の状態と呼ぶ

・人は人生という波に乗っているサーファー。せっかくいい波が来ても、うまく乗れないこともある。今度、その波が来たときに、どうやって乗ってやろうかが、経験であり、努力

・若いうちに成功したと思うと、歳を取ってからも、その成功にしがみつこうとする。若いうちは成功など考えないで、ただ、したいことをすればいい



「欲もなくし、自分という存在もなくしてしまえ」というのが本書のテーマです。まるで、高僧の教えのようなことが書かれています。みうらじゅんさん自身が、欲深い別人格を演じながら、欲をなくして生きているように感じました。

俗なる人が聖を演じることは多々ありますが、聖なる人が俗を演じることは少ないように思います。そういう人が書いた珍しい書なのかもしれません。


[ 2014/02/12 07:00 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(0)

『婚活したらすごかった』石神賢介

婚活したらすごかった (新潮新書)婚活したらすごかった (新潮新書)
(2011/08)
石神 賢介

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著者は、40代でバツイチ独身のライターです。その著者が自ら、ネット婚活お見合いパーティー結婚相談所に入会、参加して、婚活経験したことが本書の核となっています。

反省や成功事例も踏まえているので、婚活マニュアルとして活用できます。現代の婚活事情を覗く楽しさもあります。そんな面白い書の一文を少しまとめて列挙してみました。



・女性は収入を重視している。男はとにかく年収が高ければ人気がある。画面をチェックしていると、年収1000万円を超えると、申込件数が一気に増える

・女性会員が、年収の次に重視するのが容姿。容姿は、整った顔立ちの「イケメン」に人気が集中するわけではない。それよりも「清潔」であることが重要

都心部に住んでいる男性には申し込みが多い。言い換えると、都会在住でないと不利。多少収入が多く、容姿に恵まれていても、住まいが東京や大阪や、その近郊でないと、女性は食いつかない

・男は若い女性が好き。若くてきれいな女性が入会し、プロフィールがアップされると、その日のうちに申し込みが何十件も集中する

・「癒し系」のほかに、「甘えん坊」「古風」といったキーワードに、どうやら男は弱い

・「恵まれた容姿」「仕事のスキルの高さ」「学歴の高さ」「海外経験の豊富さ」などをプロフィールに書く女性は多いが、こういったタイプに申し込む男は、よほど自信があるか、よほど自己評価の甘い鈍感男。ネット婚活は自慢大会ではない

・若くてきれいな女性や、高収入で見た目もいい男は、ネット外の社会で十分に需要があるので、ネット婚活などしない。だから、プロフィールを閲覧していて、スペックの充実している人を見つけたら、何か問題を抱えていると考えたほうが自然

・写真掲載には、「スナップ」と「スタジオでプロが撮影」の二つある。異性からの申し込み件数で判断すると、「スナップ」のほうが受けがいい。しかし、容姿に自信がない場合は、「スタジオ撮影」で、多少の加工修正を施すことも必要

・「コストをかけてでもパートナーを見つけたい」という真剣度の高い男女が参加するから、会費が高めだと安心感がある。一方、会費が安いパーティーは、安いなりの男女が集まる

・参加者の年齢が高いほど、カップルになる数も多い。真剣度が高いから。また、「公務員&教師限定」といった安定した職業を条件にしたパーティーもいい数字になる

・婚活パーティーは「女高男低」。こちらが不思議に感じるほど魅力的な女性が多い。人気のある男性会員は概して退会が早い。気に入った女性がいると迷わずに結婚を決めるが、女性会員は、相性のよさを感じる男性と出会っても、なかなか決めず、悩んでしまう

・婚活パーティーに参加している男性は「極端な欲望むき出し系」と「極端な奥手」に二極分化される

・婚活パーティーでうまくいくようになると、日常での男女関係のスキルも上がる。仕事上の集まりで出会った女性を以前よりも抵抗なく誘えるようになる

・日本人は、頻繁に女性を口説いたり、ふられたりはしない。ふられるのが怖いから、口説くという行為には勇気がいる。しかし、婚活パーティーで口説いたり、ふられたりの経験を重ねると、少しずつ恋愛体質になっていく

成婚料をとらない会社は、基本的に、入会してお金を払って以降は何もしてくれない。すでに会員になった客の相手をするのは時間の無駄と考えているスタッフがほとんど。成婚料がある会社の多くは、成婚料も歩合に計算されるので、登録後もフォローしてくれる

・大手は成婚料をとらない会社が主流で、大手のほうが登録している男女の数は多く、出会いのチャンスも多い。成婚料をとらない大手の会社に登録するならば、自分から積極的に動くこと、可能であれば、オフィスに足を運び、窓口にスタッフに相談すること

・アメリカでは、日本人女性は三十代でも未成年に思われるほど、容姿にいい評価をもらえる。日本では気が強い女で通っていても、自己主張の国アメリカでは、穏やかで優しいと評価される。このアドバンテージを知り、マッチメイカーに依頼する日本人女性は多い



現代の婚活事情に詳しい人が周りにいないので、本書を楽しく読めました。古臭い考え方で、婚活戦線を乗り切っていこうとするのは、間違いかもしれません。

精神的にも、金銭的にも一生を左右する「婚活」に、もっともっと、社会が関心を持ってもいいのではないでしょうか。


[ 2013/12/30 07:00 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(0)

『アランの幸福論』アラン

アランの幸福論アランの幸福論
(2007/12/15)
アラン

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アランの幸福論は、以前、岩波文庫の「アラン幸福論」をとりあげたことがあります。本書は、その「幸福論」の名言を200ほど抜粋したものです。

視点が変わると、「幸福論」の捉え方も違ってきます。別の見方での「幸福論」も、新鮮に感じるところが多々ありました。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・悲しみは病気の一種にすぎないから、理屈や説明をあれこれ考えずに、病気と思ってがまんしよう。そうすれば、苦々しい言葉を際限なく言うこともなくなる

・ふさぎ込んでいる人に言いたいことはただ一つ。「遠くに目をやろう

・社会活動や雑談、行事、パーティは幸福を演じるチャンスであり、こうした喜劇のおかげで、悲劇から確実に救われる。その働きは、ばかにできない

・怒りと悲観こそ、まず克服すべき敵。信じ、期待し、ほほえみ、その上で、努力しなければならない。もし楽観主義を最後まで貫き通すことを規範としなければ、悲観主義がたちまち現実のものとなってしまうから

・過去と未来が存在するのは、人がそれについて考えるときだけ。つまり、印象であり、実体がない。それなのに私たちは、過去に対する後悔と未来に対する不安をわざわざつくりだしている

幸先のいいスタートを切る意欲的な人たちはみんな、各自の目的地に到達している

・意志の強い人の特徴は、何にでも自分の痕跡を残していくこと

・人は賭けごとが好きである。そこには意志決定の力が必要だからである。デカルトは「優柔不断はあらゆる不道徳の中でも最悪のもの」と言った。人間の特質をこれほど的確にとらえた言葉はない

・自分の感情よりも、ほかの人の感情をじかに操るほうが簡単。会話でもダンスでも、相手は自分を映し出す鏡だから

・仕事は、あらゆるものの中で最高のものであり、最悪のものである。自分から進んで自由に働くのであれば最高、逆に、そこに自主性がなければ最悪

・運命は不変ではない。指をパチンと鳴らした瞬間にも、新しい世界が生まれる

・景色の本当の価値は、その細部にある。見るということは、その細部を念入りに調べ、その前でしばらく立ち止まり、それからもう一度、全体をじっくり見ること

・幸せだから笑うのではない。笑っているから幸せなのだ。食べて楽しむのと同じように、笑って楽しむのである

・うれしそうな表情は、誰にとっても気持ちいい。自分がよく知らない人の場合はとくにそうである。その意味を考えたりせずに、額面通りに受け取ればいいからである

・「幸せに生きるコツ」の一つは、「楽しませる」こと。それは、ほとんどいつでもできること

・あなたが将来、幸せになっていると考えられるのであれば、それは今、あなたがすでに幸せを持っているということ

不機嫌をちょっと放ったらかしにしておくと、それはすぐに悲しみや怒りに変化する。これこそがまさに悲観主義である

・自分を愛してくれる人たちのためにできる一番いいことは、自分自身が幸せになること

・「幸せに生きるコツ」の一番の決まりごとは、自分の不幸を、今のことであれ、過去のことであれ、ほかの人に一切話さないことである。不平をこぼすことは、他の人を悲しませるだけ。つまり、いやな気持ちにさせてしまう。悲しみは毒のようなものだから

・悲観主義は感情からくるもの、楽観主義は意志からくるもの。気分のおもむくままに生きている人はみんな悲しい。そういう人はやがて、怒り、激怒するから

・楽観主義は誓いを必要とする。私たちは幸せになると誓わねばならない。そして、「悲しくなるような考えは、すべて間違った考え」と思うこと。なぜなら、人は何もしないでいると、すぐに不幸せを当然のようにつくりだしてしまうから


幸せになるには、そう念じなければならない、そう誓わなければならない、それにふさわしく行動しなければならない、というのがアランの考え方です。

幸せに振る舞えば、幸せになっていくという事実は、見落とされがちです。しかし、上機嫌な人、つまり、周りを明るくする太陽のような人に、不幸な人はいません。アランの考え方は、本質をついたものではないでしょうか。


[ 2013/10/31 07:00 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(0)

『幸福途上国ニッポン・新しい国に生まれかわるための提言』目崎雅昭

幸福途上国ニッポン 新しい国に生まれかわるための提言幸福途上国ニッポン 新しい国に生まれかわるための提言
(2011/06/24)
目崎 雅昭

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本のタイトル的には、あまり期待していなかったのですが、内容は大変面白いものでした。著者は、外資系の証券会社でトップトレーダーを務めた後、世界100カ国を10年以上かけて放浪、インド南部で1年に渡る瞑想生活など、ユニークな経験をされてきた方です。

幸福とは何かを求めて、世界を知的放浪された著者が感じた、信じた幸福とは何かが、本書に掲載されています。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・気温・日照と幸福度に相関関係はない。どんなに厳しい気候条件でも、人類は適応して生きてきた。定住の時点で、気候よりも、そこがどんな社会かが、人の幸せにとって重要

自殺率の高い国は、ほとんどが旧共産国とアジア。共通点は、「権威主義」もしくは「集団主義」。どちらも「個人の自由」が軽視される。自殺率が高い国に幸福な国はない

・出生率が高い国は、必ずしも幸福でない。しかし、幸福度が高い国で、出生率が低い国はない。そして、出生率が低い国で、幸福度の高い国もない

・個人の自由度が低いと、幸福度も低くなる。自由を束縛するような宗教は、幸福度を低くする

・地域主権によって、個性化につながり、愛着が生まれ、市民意識も高まる。住民の満足できる地域には、地方分権が有効

・「個人の幸福のために最適な社会をつくる」考えが個人主義。一人一人が抑圧され続ける限り、幸福度は上昇しない。個人の幸福よりも社会の秩序が優先されるので、当然の結果

・幸福度の調査で、常に上位を占める国は、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドの北欧、そして、スイス、オーストリア、オランダなどの西欧。1人当たりGDPだけでなく、平均寿命、教育指数でも上位。腐敗も犯罪も非常に少ない

・集団主義である限りは、寛容な社会になりえない。協調性を強いることは「異質な個人を寛容しない」と同じ。反対意見や批判精神も悪いとする風潮になる

・「楽しい時間を過ごすことが重要」と考える人が多い国と、「選択の自由がある」と感じている人が多い国には、明らかな相関関係がある。つまり、日本人は楽しい時間を過ごしてはいけないと思い、自らの意志をあまり反映できない人生を過ごしている

・ヨーロッパ諸国では、友人や同僚との会話の中で、新聞やテレビのニュースが頻繁に話題に上がる。しかし、日本では、友人や同僚と時事問題を話さない。一方、日本人は75%が「新聞や雑誌」、70%が「テレビ」を信頼する。他の先進諸国に比べ、圧倒的に高い

・メディアの信用度が高い国はアジアやイスラム諸国。集団主義傾向が強い人々にとって、メディアという権力を信頼し、その報道を従順に受け入れるのは、集団主義の発想と同じ

・個性が重要と考えるのに、好き嫌いを否定し、異質なものを認めない態度は矛盾している。本当に個性が重要ならば、好き嫌いが当たり前という姿勢が必要

・自分の意志で選択し、その選択に責任を持つという精神があれば、どのような人生を送っても幸福度は高い。結果が問題なのではない。どうやって生きるかが重要

好奇心のない人生に、幸福感が訪れることは難しい。適度なドーパミンを促す行動が、幸福には必要不可欠

好き嫌いを明確にすることは、自己を知る出発点。日々の生活の細かいことに好き嫌いやこだわりがなければ、没頭できるものに出会うチャンスは少ない。ましてや、人生という大きなテーマで、やりたいことなど見つからない

・人生の半分は自分次第。そこでできることは、幸せな人生を送るための最適な環境をつくる努力をすること。幸福な人生の半分は、環境で決定される

・対話や議論を通じて、自分の考えを説明するための知識は、自分の血となり肉となる

・気を遣うことは悪いことではないが、様々な価値観が存在する現代社会では、声をかけてお互いの意志を確認するほうが、双方満足できる。気を遣う社会では、鈍感な相手は「気の利かない人」とレッテルを貼られる。そんなコミュニケーションは心身ともに疲れる

・極端な思想に傾倒する人は、どこか途中で、疑問を持つことや質問することを止め、思考を停止することで何かを絶対と決めつける。対話を拒否し、議論ができない社会は、利己主義者の格好の餌食になるか、逆に、閉鎖的な社会の急先鋒となる



本書の最後に、日本が幸福な社会になるために、「1.地方分権」「2.個人に寛容な社会」「3.女性の自立意識」「4.対話中心の社会」「5.社会とのつながり体験」が必要と著者は提言されています。

日本の幸福度は経済的豊かさを達成した後、低迷しています。これから、幸福度をさらに上げていくためには、著者の言うような社会改革が必須になるのではないでしょうか。


[ 2013/10/17 07:00 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(0)

『「善人」のやめ方』ひろさちや

「善人」のやめ方 (oneテーマ21)「善人」のやめ方 (oneテーマ21)
(2012/07/10)
ひろ さちや

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宗教評論家である著者の本を紹介するのは、これで11冊目になります。このブログで一番とりあげている作者です。

最近は、一貫して、世間にとらわれるな、世間を信じるな、世間にだまされるな、と善良な日本人に対して提言をされています。本書も同様です。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・私たちが寄ってたかって「世間」という怪物をつくって、その怪物に人々を騙すという仕事をさせている。そんな騙しに引っかからないためには、「世間」を馬鹿にすべき

・模範社員の「模範」というのが危険。これは会社の物差しで測っての「模範」であって、別の物差しで測れば「人間の屑」かもしれない

・われわれは、働かねばならないから働いている。働かないと生活費が稼げないから、仕方なしに働いている。体制側は、そんな態度で働かれると、職場がぎすぎすするので、働くことは喜びだ、働くことは生き甲斐だ、と必死になって宣伝する

・働くことは喜びだ。世の中の役に立つ人間になれ。真面目に努力すれば、きっと成功する。たいていの人は、そんな世間の常識に従って生きている。それは世間にたぶらかされている

・生活には「成功と失敗」がある。しかし、人生には「成功と失敗」はない。生活の苦労は苦労として、自分の人生を好き放題に生きればいい

・世間を馬鹿にすることは、裏を返せば、主体性を確立すること。自分を大事にすれば、自然と世間を馬鹿にするようになる

・「優等生」というのは、自分をどろどろに溶かして、世間が誉めそやす「優等生」という鋳型に流し込んで、世間が「期待する人間」になった人

・「期待される人間」をつくったら、必ず「期待されない人間」が出てくる

・自由とは、自分に由ること。自由に生きるということは、自分を大事にすること。世間を大事にしている限りは「世間由」で、世間に由っている

・仏教は、「仏の教え」であると同時に、「仏になるための教え

・実力ある者が楽しく勉強すれば、一流大学に合格できる。実力ある者が楽しく仕事をしていれば社長になれる。実力ない人間が高望みして、死に物狂いに努力してもろくなことはない。高望みの目標を設定しないこと、それが楽しい人生を送る秘訣

・あくせく、いらいら、がつがつと働かなければ生きていけなくなり、会社をリストラされてしまうのであれば、それは会社が悪い。社員を奴隷のように思っている

あらゆる欲望が煩悩であって、悪いもの。利益を得たい、得をしたい、儲けたいという欲望は悪。そして、進歩したい、人格を向上させたい、幸福になりたいといった欲望も悪。
でも、人間は欲望をゼロにできない。だから、仏教は、欲望を少なくせよ、と教える

・みんな善人になろうとする。それで人生が楽しくなるのであれば、それでもいい。でも、善人になろうとすれば、人生がしんどくなる

・人間はみんな不完全な存在なんだから、善人というのは、つまり偽善者。善人をやめるということは、偽善者をやめるということ

個性を伸ばすのであれば、音痴がより音痴になるべき。怠け者がより怠け者になるべき。それが個性を伸ばすこと。怠け者がちょっとぐらい勤勉になっても、ありきたりの人間になるだけ。個性がなくなってしまう

・怠け者の価値が劣ると判断するのは産業界。産業界からすれば、勤勉な人間のほうが利用価値が高い、怠け者の利用価値は劣る。しかし、それは世間が勝手に判断する「人間の利用価値」に過ぎない。そんなものに束縛される必要などない

・社会的にステイタス(地位)の高い者は、それだけ義務が大きい。それが「ノブレス・オブリージュ(高貴なる者の義務)」。日本のエリートは、その義務を果たそうとしない。そんなのは軽蔑すべき人種

・自分より世間を大事にするなんて、愚か者の生き方。いくら世間を大事にしたところで、世間のほうは、あなたが使い物にならなくなれば、すぐにあなたを見捨ててしまう



本書は、「自分の人生だから、自分の好きなように生きればいい」と締めくくられています。

世間という怪物、常識という怪物に圧倒されて、自分を、小人として過ごしていかざるを得ないのが、日本社会の現状です。自分をもっと大きく育てていくためには、好きなように生きること、ただそれだけのことなのかもしれません。


[ 2013/10/11 07:00 ] 幸せの本 | TB(0) | CM(2)