とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索
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『55歳から始める最高の人生』川北義則

55歳から始める最高の人生: 定年後の20年間を“悔いなく過ごす55歳から始める最高の人生: 定年後の20年間を“悔いなく過ごす
(2012/05/09)
川北 義則

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もうすぐ55歳です。早いかもしれませんが、残りの人生を考えるようになってきました。

そのヒントを得ようと考えていたら、この本のタイトルが目に飛び込んできたのです。先人たちが、老後や死について、何を考えてきたのかのヒントが載っています。それらをまとめてみました。



・「真の暇とは、われわれの好きなことをする自由であって、何もしないことではない」(バーナード・ショー)

・いまの日本に一番欠けているのは「夢を語る」こと。長寿社会という人類の長年の夢を実現したのに、楽しもうとしないで、社会の暗い面ばかりを見ている

・行動を阻害する一番の原因は「ダメだろうな」という意識。このような意識のことを「全能感ゆえの固定概念」(ティム・ハルフォード)という

・「知識とは、現実の行動へと姿を変えないかぎり、無用の長物」(ドラッカー)

・「小にして学べば、即ち壮にして為すことあり。壮にして学べば、即ち老いて衰えず。老いて学べば、即ち死して朽ちず」(佐藤一斎)

・人と付き合わずに本ばかり読んでいる人間は、傍目には寂しそうに見えるが、読書で人に会う楽しみを知れば、少しも寂しくない。「私の友だちは死者ばっかりだ」(山本夏彦)

・「未知の世界を旅しようとしない人には、人生は、ごくわずかな景色しか見せてくれない」(シドニー・ボワチエ)

在家出家とは、表面上は何も変わらない日常を続けながら、内面を劇的に変化させる方法

・「この世界は無常迅速。その無常の感じは若くても解るが、迅速の感じは老年にならぬと解らぬ」(倉田百三)

・「僕は好奇心が人生最大のエネルギーやと思う」(榊莫山)

・世の中は変遷する。事態は刻々変化する。変化の中でしたたかに、有利に生きるためには、どんなことも「決めつけない」ほうがいい。「人は何かを決断する際、自分で思うほど合理的でない」(ダン・アリエリー)

・「寝る時間を犠牲にしていた連中は、早々とあの世に行ってしまった」(水木しげる)

・リタイア後のプランを練るとき、住みかのダウンサイジングも考えてみる。夫婦二人では広すぎる

・「ダメな友とは、思想信条の違う人、教養の差が大きいこと、支払い能力の違う人」(渡部昇一)

・「友を選ばば、書を読みて、六分の侠気、四分の熱」(与謝野鉄幹)

・「人の大患(重病)は、まどいうれいおそれ」(伊藤仁斎)

・「夫婦というものは、夫婦を構成する二人のうち、より低いほうの水準に合わせて暮らすもの」(モーロワ)

・マイナスの過去とは、あまりつきあわないほうがいい。これは年齢に関係なくいえること

・「こういうふうにもできたであろうと思い悩むことは、人生において為すことのうちで最悪のことである」(リヒテンベルク)

・「過去の生活は、食ってしまった飯のようなものである」(森鷗外)

・リタイアすることは、仕事、収入、人間関係を根こそぎ失くすこと。現役時代、自分には友人がたくさんいると思っても、定年退職した翌日からゼロになる。孤独にならないために、新しい人間関係が必要。友だちのつくりやすい趣味や芸事を持っていることは貴重



残りの人生の捉え方として、「好奇心を保つ」「孤独に耐える」「に親しむ」「趣味を持つ」「質素に暮らす」という点が、気になりました。

頭の衰えを防ぐことが、老化を防ぐ最大の決め手ではないでしょうか。


[ 2014/06/13 07:00 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『50代からの休みかた上手』大原敬子

50代からの休みかた上手50代からの休みかた上手
(2005/02)
大原 敬子

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著者は、ラジオの人生相談などを担当している方です。女性の相談に乗られることが多いようです。

本書は、定年前の「心と体のお掃除」といった感の書です。言い換えれば、良き定年を迎えるための準備書です。参考になる点が多々ありました。その一部をまとめてみました。



・苦しみや辛さをつくるのは「もっともっと」の気持ち。仏教ではこれを「業」と言う。業の本質は「命の火」。もっともっとを求めなくてはいられなくなる

・自分自身が見えていないと、飽くなき欲を求める。目的が見えないと、その欲は業という悩みに変わる。しかし、目的が見えていると、欲は夢と希望になる

・50代は模索と選択の時代。仕事、結婚、子育てと、目標が明確に見えている時には迷いはない。迷いは目標がなくなった時に始まる

・知恵とは、生きるための技術。一生懸命生きようともがいていると、さまざまな経験を通して、その経験則が生きるための道具となる。これが知恵

・何のために生きるか、どう生きるかは、人それぞれ。人生の目的、目標はみんな違う。しかし、生きる技術、知恵の中には、多分に万人に共通する普遍的な要素が含まれている

・働く本当の喜びは、他人の喜びがあって初めて感じられるもの。そして、他人を喜ばせたいがゆえに働くから、休みも肯定的に捉えられる

・好きなことが見つからないと嘆くのは、他人の顔色ばかり窺って生きているから。休めないのは、失敗や恥を根に持ち続けているから

・多くの人の間違いは、選択というとピックアップだと勘違いしているところにある。選択とは、何かをピックアップするのではなく、何かを捨てること

・過去とは、すでに過ぎ去りし時。そこに生きるのは死んでいる状態

・自由を手に入れるには、孤独を楽しむ能力が必要。他人は関係ない、自分が満足していればいいという孤独。孤独を選ぶ人は好きな道を歩んでいる

・人生の大事な闘いに勝ち抜く技術は「休む」「逃げる」「盗む」。「休む」とは、休みを取りながら、進むこと。「逃げる」とは、いったん逃げて、勝機を待つこと。「盗む」とは、知恵を盗むこと

・自由といったところで、個人の自立が育っていない文化では、自由は逃亡にしかすぎず、休んで自由になることを過度に罪悪視する

・好きで仕事をしている人は、休むことに抵抗や不安を感じない。仕事中毒人間は働いていることで安心しているだけで、仕事自体は心から好きではない

・「休むこと」「拒否すること」「意思を伝えること」「金銭を請求すること」「自己主張を述べること」。これらはアメリカ人が思う「日本人があまり良いと考えていない事柄

・欲から生じた闘いは、その貪欲さゆえに、すべてをなくしてしまうもの。奪っても、奪っても、満足できないから。結果、何もかも失うまで闘い続ける

・貧乏が恥ずかしいと感じる人は、経済レベルで人を評価する。美しさが一番と思っていれば、美醜によって人の価値を決める。裏を返せば、力のない自分を隠す人は、地位や権力がすべてという世界観の持ち主

信用をつくれない人は、偽りの人間関係に囲まれているから

・心が弱っていると、邪悪な感情(妬みや羨みなど)に取り憑かれる。でも、羨んでいるのは、相手の結果だけで、その人の実態ではない

・不安感は時間の経過とともに「どうしよう」から「生きるのが嫌だ」に変わっていく。刹那的な気持ちに陥ると、生きる力もなくなる

・そもそも欲が強い人ほど近道を選ぶので、なおさら欲望が膨らむ。基盤づくりには時間がかかる。短時間に築き上げたものは、見かけがいくら立派でも、砂上の楼閣。近道を選ぶ人は攻めには強いが、守りには弱いという欠点がある。とことん転げ落ちる



休めない人は、他人の目ばかり気にしている人、孤独に耐えられない人、精神的自立をしていない人です。

本書を読むと、休める人にならなければ、定年後に苦労することが、実感できるのではないでしょうか。


[ 2014/01/24 07:00 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『定年から輝く生き方・一生モノの成功法則』帯津良一

定年から輝く生き方 一生モノの成功法則定年から輝く生き方 一生モノの成功法則
(2010/06/18)
帯津 良一

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著者は、総合病院の設立者であり、名誉院長です。帯津三敬病院は、末期がん患者が訪れる病院として有名だそうです。

著者は、現在、講演を中心に活動をされています。長年の診療を通して、独自の人生観と世界観を有されています。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・理想とする人生は、最後まで内なる命のエネルギーを高め続ける人生。命のエネルギーが高まれば、心の豊かさや品性が保たれ、最後にゆるぎない心の安寧にたどりつく。目先の欲得など潔く捨て去り、何事にも動じることなく、颯爽とした人生を送ることができる

・命のエネルギーが高まった人生は、「不安がなくなる」「自己と他者のつながりが実感できる」「流れに乗ることができる」「ストレスが少なくなる」「自然治癒力が上がる」「執着がなくなる」

・すでに引退しているのに、昔の役職の名刺を持ち歩いたり、過去の栄光の話に終始したりする人たちの話を聞いていても、ちっとも「ときめき」がない

・つらいことも苦しみも、病気も老いも、そのすべてを経験し、乗り越えることにより、命のエネルギーがどんどん高まっていき、最後に揺るぎない「豊かな心」の境地に到達する。それが、この世を生きること

もまれて、磨かれて、そして最後に到達した時点で、魂がどれだけ輝くものになっているか。軸はそこにある

・年齢とともに、命のエネルギーを大いに躍動させ、進化し続けること。それが「定年後に輝く人生」。それこそが、人生における本当の「成功」「幸せ」。目先の成功や出世などどうでもよい

・自分を育ててくれた社会や地元にお返しするという選択は、利己的でなく「利他」に生きる人生。最後まで輝く生き方として見事なもの

・エリート意識の塊になってしまうと、頭が固くなり、患者の声よりもデータを重視する治療しかできなくなる。患者のための医療ではなく、自分たちのための医療になってしまう

・謙虚さを忘れた人は、修行の如何にかかわらず、命のエネルギーがどんどん下降する

哲学を持たない成功は、人生にとってマイナスにしか働かない。つまり、若いうちに成功してしまうと、後の人生に悪影響を及ぼしてしまう

・死んだらおしまいだとすれば、心が荒廃し、結果的に刹那的な喜びを求めたり、さまざまな不祥事や犯罪が起こったりする。死後の世界というファンタジーを忘れてしまった社会には、無用の争いが起こる

・場があれば、そこには必ずエネルギーが存在する。いい場に身を置けば、いいエネルギーがもらえる。場というものを意識することが、健康を保つ意味でも、運気を上げるためにおいても不可欠なこと

・人間は年齢と共に丸く、穏やかになっていくのが理想だから、顔つきも柔和な雰囲気になっていくべき。見たときに、誰もがほっとするような顔、それが本当の人相のいい顔

・「1.一日一日を丁寧に、心を込めて生きること」「2.お互いの人間存在の尊厳を認め合って生きること」「3.自然との接触を怠らないこと」

・私たちは、時として、自分の力で生きているような気になっている。けれども、本当は、誰もが大いなる生命の循環の中で生かされている。「他力と自力の統合」が必要

・生かされているということを無視して生きていると、流れに逆らうことになり、天の応援は受けられなくなる。だから、大いなる命の流れに身を任せることが必要

・相手に譲ることができないから、腹が立ち、怒る。しかし、人生でどうしても主張しなければならないことなど、そんなにないもの

・感謝をすれば、よいことが起こるから、これをしきりに行うというのは本末転倒。だいたい、いい年をして、「ありがとう」を連発するのは恥ずかしい。感謝は声高に表立ってするのではなく、陰でするもの



人生の目標やゴールを何に置くかで、生き方が変わってきます。著者の言うように、命のエネルギーを燃やしながら、ときめき、進化し続けることを目標にするならば、目先の成功や出世などどうでもよくなるのかもしれません。

本書は、定年後こそ、長い人生の始まりとして、行動することの大切さを教えてくれる書ではないでしょうか。


[ 2013/07/14 07:00 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『楽隠居のすすめ-「鶉衣」のこころ』横井也有、岡田芳郎

楽隠居のすすめ―「鶉衣」のこころ楽隠居のすすめ―「鶉衣」のこころ
(2001/07)
横井 也有、岡田 芳郎 他

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鶉衣(うずらころも)は、俳文の最高峰と呼ばれる作品です。その作者の横井也有は、1702年生まれで、尾張藩の重臣として仕えた後、職を辞し、家族からも離れ、質素な草庵に隠栖(いんせい)し、自由で、風雅な日々を過ごした方です。

気負いもなく、淡々と自由人としての晩年を生きる姿に、憧れます。現代においても、「鶉衣」という18世紀の古典が、老いの生き方、老いの愉しみ方において参考になります。

その参考になる「鶉衣」の文章の多くから、一部を要約して紹介させていただきます。



・今は身のほどを知って、他人にほめられることを願わず、人から悪く言われるのも厭わない

・思うように物事が叶わないと無情の物さえ羨むのが世の人の心。だから、身に富が余り、幸いが思いのままの人が、事あるごとに他人から羨まれる。この草庵は簡素なことから、いっこうに羨む人はない。私もここで事足りて、他を羨むところはない

・「四角なる浮世の蚊屋はしまひけり」
(隠居したので、四角ばった世間の蚊屋=義理はおしまいにした)

・悲しいかな、老いて一人の友が欠けるのは、歯が落ちたようなもので、再び生え出る楽しみはない

・「六十てふ身はそれだけのはぢ紅葉」
(六十になった身は、それだけ恥が多くなったことで、顔を赤らめるばかりだ)

・わが身の老いを忘れなければ、ちょっとの間も心は楽しめない。わが身の老いを忘れれば、人に嫌がられ、酒や色の上で過ちをおかすことになる。だから、老いは、忘れるのがいい、忘れてはならない、この二つの境がまことに得にくい

・世に言うように、金持ちがますます富に飽きず、蟻のように忙しく、蠅のように欲しいものに集まるのは笑うところ

・夢が現実と同じものならば、夢を現実の中に数え入れて、起きて楽しみ、寝て楽しめばいい。夢がなくても、痛くもかゆくもないから、あるとも、ないとも、どちらでもいい

・「音も香もせぬや豆腐の冬籠」
(汁一つ菜一つ酒の肴も一つに限り、鰹節を使って精進料理という非難を逃れるのがよい。夏は茄子を用い、豆腐は夏以外に使うのがいい。香の物はどちらでもよい)

・「いかさまに四たびはくどし村しぐれ」
(酒は三杯以上を過ごしてはならない。だから、盃は好きな大きさのものを許すがいい)

・「蝋燭はたつといふ名の寒さかな」
(ろうそくを使うと減っていくから寒々しい、人も座を立っていってしまう)

・貧富は一人一人違うから、私を招いてくれるときは、美味珍味は嫌いでないから、喜んでいただく。お茶ばかりいただいても、決して不平不満は申さない。粗食に耐えていれば、何事も成し遂げられるという言葉を貧しい風雅の味方としている

・習って知るものは、ただその一事だけにとどまって、他に応用がきかない。自分から工夫して、一つの道理を知るときは、すべてのことにわたって物事が皆、明らかになる

・世にある秘事伝授というものは、世渡りする者のはかりごと

・「あたたかな家あり山は秋ながら」
(あたたかな家がある。山はもう秋で寒ざむしているのに)

・「追はれねばたつ事しらず秋の蠅」
(追われなければ発つことを知らない秋の蠅のような私だ)

・器は、中に入れる物を自らの形に従えようとし、袋は、中に入れる物に従って自らの形を必要としない。虚実の自由自在を知る布の一袋は、狭い、小さい世界にこもることを笑う

・年若いころは世に従い務めにつくのが習わしであり、危ない所にも身を置き、忙しい務めも逃れてはならない。その困難な時間を無事に越えて、安静の境遇に至る



「鶉衣」は、俳文という形式をとっていますが、今で言うところの、随想、身辺雑記、紀行文、研究論文です。

横井也有の人生と教養が詰まった作品です。このような文章を書き残し、静かに余生を過ごす生き方こそ、最高の老い方ではないでしょうか。


[ 2013/05/19 07:00 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『死ぬときに後悔すること25』大津秀一

死ぬときに後悔すること25死ぬときに後悔すること25
(2009/05)
大津 秀一

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著者は、がんの末期患者の精神的な苦痛を取り除く仕事をしている医者です。今まで、1000人にも及ぶ「最期」を見届けてこられました。

その事例から、「人は死ぬときに何を後悔するのか」をまとめたのが本書です。逆に考えれば、本書には、後悔しない人生を送るためのヒントが詰まっているのかもしれません。多くの事例から、参考になったことを、一部要約して、紹介させていただきます。



・ただ長生きすること、ただ健康であることが、人が生きる最高の「目的」ではない。長生きや健康は、自分の夢や希望をかなえる「手段」である

・日本人は真面目すぎる。見えない鎖に縛られすぎている。我慢し続けてよいことなど、これっぽっちもない。いまわの際に、自分に嘘をついて生きてきた人間は、必ず後悔する。転職したいなら、今。新しい恋に生きたいなら、今。世の中に名前を残したいなら、今

・忍従に忍従を重ねた人生は、皆から尊敬はされる。けれども、皆を惹きつけて止まないのは、「やりたい放題」の人生。自由に生きた人生は、皆から尊敬はされないが、愛される。そして、心地よい清涼感を残すもの

・夢がかなえられなかったことを後悔するのは間違い。夢を持ち続けられなかったことに後悔する

・人が人であるように生きるということは、生物のくびき(生まれ、交配し、子孫を残し、食し、寝る)から逸脱して生きること。夢や希望を抱いて生きようとするとき、人は人らしい生を手に入れる

・罪は犯すべきではない。刑罰があるとかいう理由ではなく、そのこと自体が自分を苦しめるから

・否定的感情にとらわれたまま生涯を過ごせば、残るのは後悔ばかり。冷静な心の先に、笑いを見出すことができれば、後悔は少ない

・他人に優しくしてきた人間は、死期が迫っても、自分に優しくできる。だから、真に優しい人は、死を前にして後悔が少ない

・成功体験を積み重ねた歴戦の勝者たちは、死が眼前に現れたとき、なかなか理不尽さを受け入れられない

・亡くなる一週間前頃から、多くの人に「せん妄」という混乱が生じ、時間や場所の感覚が曖昧になる。これは、ぼけたわけではなく、昔を今と取り違えてしまっている。その様子を見る度に、幼き頃の記憶が、いかに強固に心に残っているかを思い知らされる

・死期が迫ると、人は過去を振り返り、「ライフビュー」という、過去を他者に語る行為となって現れる。これは、精神的苦痛を緩和するのにも役に立つので、良い働き

・趣味の達人、長年趣味を続けてきた人たちは、最後まで、それを生かして、良い終わりを迎える。そこには、後悔はない

恋愛の記憶は、確実に最期の日々を豊饒にする。死期が迫ったときに、かつての苦しかった、あるいは楽しかった恋愛の軌跡を語ってくれた人が何人もいる

・家族関係、特に夫婦が血縁を越えた結びつきで繋がっている場合は、終末期の苦悩も大きく減じる

・大勢の子や孫たちに囲まれ、入れ替わり立ち替わり介護され、人生に幕を下ろす人は、費やした苦労がすべて帳消しになる。その死に顔は達成感で満たされており、後悔など微塵もない

・死期が迫った人に、気がかりなこと、心残りなことはあるかと問うと、「子供が結婚していないこと」と、真剣かつ深刻に言われる方がいる。そこには、一抹のさみしさが漂う

・何かを残そうとする、自分の存在を作品として表現しようとすることは、体力が衰えた状況では、それを為すのは難しい。しかし、証を残そうとすることは、己の生命を奮い立たせる。生命は朽ちても、残したものは、その先にも生きると感じたら、人の力は増す

・独自の人生観を「マイ哲学」で築いてきた人間は、死を前にしても堂々たるもの。生と死が何なのかを自分なりに掴めていれば、晴れの日も雨の日も変わらず淡々と生活することができる



本書は、良き死の迎え方というよりも、良き人生の終え方といった本かもしれません。

人生をどう自分の手で決着をつけるか、それに納得できた人は、安らかな顔で死んでいけるのではないでしょうか。死は、生まれた時点から始まっているという認識が必要なのだと思います。


[ 2013/04/21 07:00 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『老害の人老益の人―老人と、これから老人になる人々へ』高瀬広居

老害の人老益の人―老人と、これから老人になる人々へ老害の人老益の人―老人と、これから老人になる人々へ
(2003/11)
高瀬 広居

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高瀬広居さんの本を紹介するのは、「仏音」に次ぎ、2冊目です。6年ほど前に亡くなられましたが、僧侶でありながら、テレビでキャスターなどを務められていました。

本書は、仏教の視点から、老人を見つめていこうとするものです。よき老人になるための発見が多々ありました。それらを、一部要約して、紹介させていただきます。



・老いのうちに、迷妄と沈痛さをみとるか、賢明さと人間の条理・不条理のすべてが集約された純粋さをみてとるか、それは、その人自身の老いへの態度によって決まる

・「知識」も「経験」も「財力」も、老人の切り札であるが、その一つが欠けていても、「徳力」があれば、悠々と権威を保つことができる

・サイフや腕力で子供に恐れられていた親は、やがて同じ力で復讐される。そうでない親は、老いても支配力を持つ

年寄りの「くどさ」には二つある。一つは、自己主張の「くどさ」。もう一つは、釈明と弁明の「くどさ」。「くどさ」は、老いを孤独に追い込む

・人間が何かを苦とするのは、苦でない状態を知っているから。それを遠い過去に求めることは愚かである。未来と現在に発見してこそ、現実からの上昇がやってくる

・人間を外側からのみとらえる人は、「かかわり」に左右される。若い人がそうで、流行やブームなど現象に動かされ、相手の言動に一喜一憂する。目の奥でものを見ない人たちは「何故」という疑問をもたず、本質をえぐろうとしないから、極端に偏る

・「深い目」は老人の特権。うつろいゆく世の底辺に在る人生の根本、無常の哲理、因果論で割り切れない人間の不思議さ、迷いの原因、もやに霞んだ生きがいのありか、それを掘り出し示すのが、この目の力

・仏教に「定散」という言葉がある。老人はじっとしているので「定」、若者は駆け回るので「散」。定の人は、たえず心を澄ませて事の本質と道理を睨む。画一的、形式的思考をぶち破る「智目」で、子供を観、世間を眺め。その力を後継世代に与えようとする

・老人は「間」を楽しみ、遊びを人生に持つ。ヒマだからではない。限られた条件のなかで、そのゆとりを見出す

・「随喜」とは、喜びにしたがう心。他人の喜びをわがことのように喜ぶ心。嫉妬し、羨望せずに、素直に祝福する心の尊さ、それが、どれくらい人々にとって嬉しいことか、老人は知っているはず

・信念のない人ほど頼りにされず、バカにされる。一本の信条に突き進んでこそ、道は開かれる。老人は、その現実を歴史と社会から学んできている。ガンコさの根はそこにある

・老人は「得失一如」「信謗不二」の理を人生のうちから読み取った人。自由が不自由により、得が失により、信は誹謗を裏にもつことで成り立つ、という物事の両面を吸収し、その両者が一体となって絡み合っているところに、人間生活の原点があることを自覚した人

・おじいさんの優美さとは「知性」、おばあさんの美しさとは「情愛」のこまやかさ。敬愛される老人の役割はこれにつきる。どちらも「感じのよさ」を与えてくれる

・美しい老人は、第一にわがままではない。一徹であっても、我欲心で行動しない。第二に負ける心をもっている。柔よく剛を制すというように、柔和な芯の強さを備えている

清濁併せ呑めない人は、人間を利口とバカに区別する。古さと新しさに杭を打ち込む。苦手を嫌い、同好の人だけ集めたがる。偏向派閥にいつの間にかひきずりこまれていく

・博覧強記型と創造型は両立しない。年を取れば、記憶力は下降してくるのだから、論理的・創造的・哲学的・総合的な判断力の円熟さこそ大いに磨くべき

・老いには、偉ぶらない威厳が必要だが、そこにユーモアが加われば、トゲトゲしさがなくなる。自分を客観視して、時に笑ってみるのも大切

・人を人と思わぬ粗雑な神経の持ち主には「はにかみ」がない。「はにかみ」はケジメのあるしつけを受けた人に備わる。四十の坂にかかったら、「ユーモア」と「はにかみ」の二つを、身につけようとすること

・「美しく死ぬことよりも、美しく老いるほうが難しい」。美しい老いとは、精神の美学と高貴性をもつということ



老害にならないために、どう準備するか。それが、長い定年後生活の行方を決めていくように思います。

美しく老いるということを、中年以降の人生の最大の目標とするべきなのかもしれません。


[ 2013/01/26 07:02 ] 老後の本 | TB(0) | CM(2)

『みっともない老い方:60歳からの「生き直し」のすすめ』川北義則

みっともない老い方: 60歳からの「生き直し」のすすめ (PHP新書)みっともない老い方: 60歳からの「生き直し」のすすめ (PHP新書)
(2011/06/16)
川北義則

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平均寿命が伸びるにつれ、「定年後の人生」の意味が大きくなっています。ただ、退職年齢を延ばす(定年を延長する)だけでは、根本的に解決できない問題のように感じます。

社会の嫌われ者にならないため、すなわち、「みともない老い方」をしないために、どうすればいいか。その方法を、簡潔に記しているのが本書です。結構ためになる本です。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・退職人生では、現役人生が一回クリアされている。つまり、延長戦ではない。まだ、延長戦だと思っている輩がけっこういる。そのまま気づかなければ、第二の人生はつらくなる

・人間、絶好調のときは、現在に生き、過去なんて思い出す暇もない。過去は、都合よく粉飾されて現れる。思い出が美しいのはそのせい。できるだけ、過去は振り返らないに限る

・格差が気になるのは、比べるから。今の社会は「比べっこ社会」。何でもランキングにする。「比較地獄」(勝ったと思っても、必ず優位な人間が現れ、また新たな不幸の気持ちを抱く)は、ずっと続く。この無間地獄を一生行ったり来たりしていなければならない

・してもらったら感謝、してもらえなくても当たり前

・とりあえず、少数派になってみること。世間の多くが「そうだ」と言い出したら、「違うのではないか」と疑ってみる。大勢に流されない癖をつけること、それが大人の見識

・「年下に向かって、どれだけ有益なメッセージを与えられるか」が年長者の役目であり、老いの自覚というもの

・「もし生涯の第二版があるならば、私は校正したい」(イギリスの詩人ジョン・クレア)。長寿社会ではそれができる。やらないのはもったいない

・現代人の反応は、よくも悪くも条件反射的。マニュアルのように、パターンをいっぱい頭に入れていて、それに合致する出来事が起きると、決まった反応をする。それでは、「いつも上機嫌」ではいられない

・「いつも上機嫌」でいる最大のコツは、「上機嫌であろう」と決心すること

・人間は働けるうちは働いて、老後のために貯蓄していくのが常識。そんな蓄えさえなく、「年金生活だけでは苦しい」などの悲鳴をあげるのは、いささか身勝手な生き方

・過去は「食ってしまった飯」のようなもの。もうどうしようもない

・「人間はいいものの前では、まず感動したような面持ちをするがいい」(斎藤茂吉)

・「目標がないくらいなら、邪悪な目標でもあったほうがいい」(イギリスの思想家カーライル)

・セックスエネルギーは、人間の持つエネルギーで最も強いもの。エネルギーは転換可能。より大きな仕事をするには、セックスエネルギーがあることが前提になる

・人生を左右しているのは、想像力。想像力が人生を豊かにする反面、つまらなくもする。人生を充実させたいなら、それにふさわしい自分の姿を想像すること

・常識が役に立つのは、変化の少ない世の中の場合。世の中が目まぐるしく変化している今のようなときは、常識は疑ってかからなければならない

・自分で料理することのメリットの第一は、ボケ防止になること(料理はいくつかのことを同時進行で行いながら、常に先を読むことが必要)。第二は、食生活の改善ができること(自然に味と栄養学の勉強になる)。第三は、夫婦関係が良好になること

・「死期を覚る」とは、「すべてに興味がなくなる」こと

・現役時代ほど稼げるわけではないが、「自分は稼ぐ能力がある」と思えることが大切。「もう稼げない」と思うと、大きな不安材料になる。わずかな金額でも稼ぐ能力があると思えば、気持ちが違ってくる



インドの四住期(学生期・家住期・林住期・遊行期)に例えると、定年を迎える時期は、まさに「林住期」です。つまり、これまでの人生から離陸する時期です。

この自覚がないと、著者の言う「延長戦」に入ってしまうのかもしれません。本書は、老いの自覚について、コンパクトによくまとまっているように感じました。


[ 2012/11/17 07:01 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『老年について』キケロー

老年について (岩波文庫)老年について (岩波文庫)
(2004/01/16)
キケロー

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キケローは、古代ローマの政治家であり、哲学者であった人です。本書は、紀元前44年、キケローが61歳のときの著作です。

人生における老いと死について論じたものですが、それから2000年以上経っても、ずっと読み継がれてきています。

この古代ローマ人の名作の中に、現代の日本人にも参考になるような点を多々見つけることができます。それらを一部ですが、紹介させていただきます。



不平のない老年を送る人は、欲望の鎖から解き放たれたことを喜びとし、軽蔑されることもない。不平の類は、性格のせいであって、年齢のせいではない

・愚者にとっては、山ほど財産があっても、老年は重い

老年を守るに最もふさわしい武器は、諸々の徳を身につけ実勢すること。生涯にわたって、徳が涵養されたなら、長く深く生きた暁に、驚くべき果実をもたらしてくれる

・徳は、その人の末期においてさえ、その人を捨て去ることはない。人生を善く生きたいという意識と、多くのことを徳をもって行ったという思い出ほど喜ばしいことはない

・愚か者は、己れの欠点や咎(とがめ)を老年のせいにする

・大事業は、肉体の力とか速さ、機敏さではなく、思慮・権威・見識でなしとげられる。老年はそれらを奪い取らないばかりか、いっそう増進する

・もし老人に、思慮と理性と見識が備わっていないのなら、われらが先祖は、国の最高機関を元老院と名づけはしなかったであろう

・熱意と勤勉が持続しさえすれば、老人にも知力はとどまる。世に聞こえる高官のみならず、野にあってひっそりと暮らしている人の場合でもそうだ

・一年で結果の出る仕事の場合には、驚くにあたらないが、農夫は、自分にはまったく関係のないことがわかっていても、せっせと励んで「次の世代に役立つように木を植える」

・老年期にあって、「老齢のわが身が若い世代に嫌われると感じる」ことほど情けないことはない

・快楽は熟慮を妨げ、理性に背き、精神の眼に目隠しをして、徳と相渉することはない

・老年は破目を外した宴会には縁がなくとも、節度ある酒席を楽しむことはできる

・老人の場合、快楽の疼きはそれほど大きくなく、欲しがられもしない。欲しがらないものは、人を苦しめることもない

・老年にとって、肉欲や野望や争いや敵意などあらゆる欲望の服役期間が満了して、心が自足している、心が自分自身と共に生きるというのは何と価値があることか。研究や学問のようなものがあれば、暇のある老年ほど喜ばしいものはない

・「日々多くを学び加えつつ老いていく」。このような心の快楽にもまして、大きな快楽は決してありえない

・畠を耕して楽しみとする人たちほど、幸福な老年はありえない

・言葉で自己弁護しなければならない老年は惨めだ。まっとうに生きた前半生は、最期に至って、権威という果実を掴むのだ

老年の実りとは、以前に味わった善きことの豊穣なる思い出にほかならない

・老人は残り少ないその余生を貪欲に求めてはならないし、故なく放棄してもいけない

・賢い人ほど平静な心で、愚かな者ほど落ち着かぬ心で死んでいく。より広く、より遠くまで見分けのつく魂には、自分がより良い世界へと旅立つことが見えるのに、視力の鈍い魂にはそれが見えない

・人生における老年は、芝居における終幕のようなもの。そこでへとへとになることは避けなければならない



老年の悩みや死の不安は、2000年前も今も何も変わっていません。そういう意味で、本書に書かれてあることは、人間の本性を言い表わしています。

人間が年老いていく中で、晩節を汚さないための大切なことを、本書は教えてくれるのではないでしょうか。


[ 2012/11/10 07:01 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『車中泊の作法』稲垣朝則

車中泊の作法 (ソフトバンク新書)車中泊の作法 (ソフトバンク新書)
(2011/04/20)
稲垣 朝則

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以前、「キャンピングカーで悠々セカンドライフ」という本を紹介しましたが、今回は、もっと敷居を低くして、市販車での車中泊についての書です。

つまり、そんなにお金をかけずに、気軽に車中泊するための書です。本書には、新しい発見が多々ありました。その中から、一部を紹介させていただきます。



・車中泊は、ホテル泊、テント泊と同じ「宿泊手段」の一つ。ゆえに、楽しむべきは、その目的。釣りや登山で、明け方や夕暮れの時間帯を有効に使いたい、ペットと一緒に旅行したい、予約に縛られずに国内を周遊したい、という人ほど、車中泊を楽しめる

・車中泊の魅力は、いつでも、どこでも、誰とでも、テント泊よりも手軽に野営ができること。それが小さなヨットで航海しているような自由さと冒険感を生み、家族との一体感を高めてくれる

・お盆と年末年始は、車中泊にとっては過酷なシーズン。キャンプ場のバンガローやビジネスホテルにも目を向けること

・エンジンを切った市販車は、野外に置かれた鉄のボックスと同じで、丈夫さが取り柄のテントでしかない。むしろ、温度の安定した(二重構造で空気層を作る)テントのほうが過ごしやすい

・市販車は車中泊するには弱点だらけ。その弱点を補う方法は、上手に場所を選び、車中泊用品やアウトドアグッズを賢く利用することに尽きる

・北海道には、無料もしくは1泊1000円以下で利用できるキャンプ場が点在しており、「車中泊」の料金体系を持つ施設もある。しかし、現在のところ、それは例外的な存在

・お湯は、サービスエリアに行けば、無料で給湯できる。ゆえに、車中泊で必要になるのは、保温に優れた水筒。照明は、電池式のLEDランタンで、置きと吊りの2WAYで使える明るさ調節できるものがあればいい

・真夏の車中泊の敵は「暑さ」。車用の網戸を使い、オートキャンプ場を利用する。道の駅やサービスエリアの駐車場は防犯上危険。旅の途中にオートキャンプ場がない場合、標高の高い場所(乾燥した未舗装地では、100mごとに、1度近く下がる)を選ぶのも手

・収納機能として、ホームセンターで、半透明ボックス(重ねたり、下に並べる)やハンギングポール(服を掛ける)を買えば、狭い車内が片付く

・AV機能やインターネット接続機能を装備し、大きな画面がついたノートパソコンが、今でも車中泊における一番の寛ぎアイテム

・オートキャンプ場などでは、狭い車内にこもって寛ぐ必要はない。持参したテーブルや椅子を出して食事をしながら、眠くなれば車に入ればいい

・観光地が密集する京都や長崎などでは、「パーク&ライド」(乗換駐車場から公共交通機関を利用して目的地に向かう)を利用して、効率的に旅をしている人がたくさんいる。京都でも、地下鉄駅に隣接した車中泊に使いやすい駐車場がある

・安価で外湯めぐりができる温泉地には、宿泊客だけでなく、日帰り客も多く集まるため、低料金で利用できる公共駐車場や資料館などが揃っている

・サービスエリアでは、ずっと前から長距離トラックの運転手による事実上の車中泊が行われてきた。それゆえ、既に、車中泊の環境(24時間利用フードコート、ゴミ分別回収ボックス、コンビニ、シャワー、コインランドリーなど)が完備されているところがある。

・無料駐車場を利用する場合、路上にタイヤ痕がついていないかどうかチェックする。タイヤ痕がなくても、吸殻が灰皿からあふれ、地面が黒く汚れているような場所は、危険で選ぶべきではない。夜間の人通りや周辺道路の電灯もチャックする

・長旅では、簡単に付け外しができる車窓の目隠しも用意したいところせめてカーテンだけでも車窓に取り付け、夜間に人が寝ていることが見えないようにしておくこと

・市販車を使った車中泊の旅なら、週に一度くらいのペースで、宿泊施設を利用するのが適切。たとえ、6畳の部屋でも、ベッドや布団の上で眠るだけで、気分は大きく変わる

・3泊を超える旅では、衣類の洗濯が必要になる。単身者が多く住む街では、コインランドリーは見つけやすい。ショッピングセンター隣接のコインランドリーも増えてきている



年金の範囲内で遊びたいと思うシルバー世代や、自分で行きたい旅先だけを巡ろうと考える中高年の人たちに、車中泊は人気です。

車中泊人口が急増しているおかげで、利用できる施設も増えています。市販車でも「陸のヨット」になれるかもしれません。老後の楽しみの一つとして、車中泊を大いに活用すべきではないでしょうか。


[ 2012/11/03 07:03 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『50歳までに「生き生きとした老い」を準備する』ジョージ・E・ヴァイラント

50歳までに「生き生きした老い」を準備する50歳までに「生き生きした老い」を準備する
(2008/06/07)
ジョージ・E・ヴァイラント

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この本は、50歳の時点における状況が、80歳になった時点で、どう影響を及ぼすかという調査をもとに、書かれたユニークなものです。

著者のジョージ・E・ヴァイラント氏は、ハーバード大学医学部関連病院で精神科医を務めながら、健康な人の追跡調査をし、研究発表されている方です。

健全な老いに関する数々の調査結果の中から、参考になる箇所を要約して、紹介させていただきます。



・生き生きした老いとは、愛し、働き、日々新たなことを学び、残された貴重な時間を愛しい人とともに楽しむことである

・50歳のときに夫婦仲がよければ、80歳まで生き生きとした老いを迎えることが予想される。しかし、50歳の時点で、コレステロール値が低くても、生き生きとした老いを迎えられるとは限らない

・高齢の友人を失っても、遊びと創造することを学ぶ若い友人を獲得すれば、その人生の喜びは大きくなる

・幸福な老いには、客観的に良好な健康状態より、主観的な健康が重要。つまり、病んでいると感じない限り、病気であっても差し支えない

・知的才能や両親の社会階級ではなく、社会的能力(心の知能指数)こそが、上手に老いるコツとなる

・50歳になっても、アイデンティティ(自我意識)を獲得できなかった人々は、満足のいく仕事に没頭することも、深い友情を維持することもできない

・生殖性を身につける(次世代を導く能力。若い人々のコンサルタント、ガイド、メンター、コーチとしての役目を果たす)ことによって、70代の10年間を喜びの時にする可能性を倍加できる

・「利他的行為」(自分のしてもらいたいことを人にする)「昇華」(葛藤を解決し、価値あるものをつくる)「抑制」(毅然たる態度、忍耐、明るい面を見る)「ユーモア」(思い詰めない)の四つの徳(成熟)で行動する人々は、健全な70代を送ることができる

子供時代の順境(温かい友人関係、尊敬できる父親、愛情深い母親など)は、逆境(生活保護を受けている機能不全の家族など)よりはるかに、幸福な老いを予見する

・不幸な子供時代を過ごした人は、45歳や65歳になっても遊べない。「かわいがられた」人は「愛されなかった」人の5倍も、スポーツ競技を好み、友達とゲームをしたり、ゆったり休暇を楽しむ

・子供のころ、両親と温かい関係を持っていた人は、30年後に、魅力的かつ外向的で、元気旺盛になる可能性が高く、60年後に、多くの友達に恵まれている可能性が高い

・幸福な老いの秘訣は、金銭ではなく、むしろ自己管理と愛情である。

・高収入をもたらす最大の要因は、両親の社会階級ではなく、愛されているという感覚を母親に与えられたかどうかであった

・80歳時点の「健全な老い」をもたらす50歳前の要因は、1.「非喫煙者・若い頃の禁煙」2.「ささいなことを騒ぎ立てず、逆境を利用する能力」3.「アルコール依存症でない」4.「健康的体重」5.「安定した結婚生活」6.「適度の運動」7.「高学歴」の7つ

・「健全な老い」とは関係のない要因は、1.「先祖代々の寿命」2.「コレステロール」3.「ストレス」4.「両親の特質」5.「子供のころの気質」6.「社会関係における全般的な落ち着き」の6つ

退職後の4つの基本課題とは、1.「新しいネットワークをつくる」2.「遊ぶ」3.「創造する」4.「学ぶ」

美しい老い方とは、1.「他者に関心をもち、新しい考えを受け入れる」2.「依存欲求を認め、潔く受け入れる」3.「希望を持ち続け、自主性を大切にする」4.「ユーモアのセンスを失わない」5.「次の世代から学び続ける」6.「旧友と親しく交わる」こと

・幸せな老年の秘訣は、他者への奉仕を行い、人生の終わりまで続けることにある



年老いて、幸せと感じられるには、年をとる前に、どうしておけばいいのか。具体的な成功事例失敗事例も含め、そのコツが描かれています。

これらを総合すると、主観的に老いをどうとらえるかによって、美しく老いる尺度が、決まってくるように思いました。

人生の幸不幸は、幸福だと思えば幸福になり、不幸だと思えば不幸になるということなのかもしれません。


[ 2012/10/13 07:01 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『老後の生活破綻- 身近に潜むリスクと解決策』西垣千春

老後の生活破綻 - 身近に潜むリスクと解決策 (中公新書)老後の生活破綻 - 身近に潜むリスクと解決策 (中公新書)
(2011/07/22)
西垣 千春

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著者は、社会福祉法人の職員を経て、大学教授になられた方です。高齢者の生活破綻の実例を数多く見てこられています。

老後の生活破綻に潜むリスクとはどういうものなのか。自分や家族が生活破綻に陥らないために何が必要か。本書には、実例が豊富に記載されています。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・国民生活選好度調査の「幸福度」によって、幸福感を判断する際に、「健康状態」「家族関係」「家計の状況」の三つの要素が大きく影響していることが明らかとなった

90歳まで到達する人が、女性では約半数に近づいている。男性も5人に1人が90歳を超える。「センテナリアン」(100歳以上の高齢者)も約45000人(女性が87%)。このことは、ひとりで人生の終わりを迎える女性が現実的に多いということ

・余暇の過ごし方としては、80歳を超えると多くなるのが、テレビのみ。身体能力の低下から生活範囲が狭まり、自ら積極的に社会とのつながりを築く機会が減っている

・介護を要するようになったきっかけは、脳血管疾患がもっとも多く、他に認知症、老衰、関節疾患、骨折、転倒など。認知症や老衰、関節疾患の多くは緩やかに進行するが、脳血管疾患や骨折、転倒は突然起きることが多く、生活の急変を伴う

不慮の事故による死亡率は70歳を超えるころから急に高くなる。死亡に至らなくとも、ケガ、障害を持つきっかけになっている。事故をきっかけに生活破綻に陥る高齢者の数が増えている

・地域の「老人クラブ」への高齢者参加率が年々減り続け20%になった。年齢が上がるほど生活範囲を広げることが難しい高齢者にとって、身近な地域の持つ意味は大きい。この地縁の弱体化は血縁の弱体化と並んで、老後の暮らしが破綻する大きな原因

・高齢者世帯には、所得100万円以下という、非常に所得の少ない世帯が15%も存在する。また、収入が100万円から200万円の世帯が最も多く、全体の4分の1。所得の増加の見込めない高齢者は、最後までその状況は続く

・高齢者の40%が、毎月または時々赤字になる状況で生活している。現在の暮らし向きが苦しいと答える人が4人に1人いる

・勤労者がいない高齢者世帯は、平均で毎月4万円余りの赤字。1年に50万円の赤字とすれば、「退職してから生きると予想される年数」(約30年)を乗じた額(約1500万円)が貯蓄額の目安

高齢者の貯蓄分布を見ると、3000万円以上の貯蓄がある世帯が28%いる一方で、貯蓄が300万円以下の世帯も11%ある。さらに、負債を抱えている世帯も約4%ある

生活困窮生活破綻につながる高齢者本人や家族の原因は、「判断力低下」「健康状態の変化」「近親者による経済的搾取」「子供が親に経済依存」「予期せぬ事故・災害」「詐欺による被害」が主だったもの

・「判断力の低下」「健康状態の変化」の事例として、「妻の死をきっかけに認知症が現れた独身男性」「認知症の母の介護で仕事を辞めた娘」「夫の発病と倒産により、妻の治療が中断した夫婦」「夫婦ともに糖尿病が悪化」などがある

・「近親者による経済的搾取」「子供が親に経済的依存」の事例として、「息子の家庭内暴力と金銭搾取」「義妹を信じて転居して金銭的搾取」「離婚した娘家族の同居」「退職した息子が経済的に依存」などがある

・「予期せぬ事故・災害」「詐欺による被害」の事例として、「交通事故により失業」「友人の借金を肩代わり」「訪問販売に引っかかった」などがる

・人の名前が覚えられない、名前が出てこないなど記憶力に頼りなさを感じる。目も見えづらく、耳が遠くなり、何をするにも時間がかかり、細かな文字も読みづらく、必要な情報を探すのに疲れを感じる。次第に、自分から周りに働きかけずに受け身になってしまう

・高齢期には、うつ状態にいる人が多い。憂鬱が高じると、自己否定につながり、生きている意味を感じられず、自殺へつながる場合もある。年間3万人を超す自殺者のおよそ3分の1が60歳以上の高齢者であり、その6割が健康問題が動機となっている

・老後は、健康状態、家族関係、生活資金など、その都度起こる変化を受け止め、生活をどう適合させていくかが問われる。「老いた後の一定の姿」はなく、「老いるプロセス」があるのみ



望ましい老後の姿を夢に描いても、健康状態、家族関係、生活資金の変化などによって、その夢は理想通り実現しません。

本書では、現実的に、健康状態、家族関係、生活資金の変化が起きてしまったときに、どう対処していくか、その適応力が老後の生活破綻を未然に防ぐことが記されています。適応力こそ、高齢を生き抜くための最大の力になるのかもしれません。


[ 2012/09/29 07:01 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『キャンピングカーで悠々セカンドライフ』藤正巖

キャンピングカーで悠々セカンドライフキャンピングカーで悠々セカンドライフ
(2008/07)
藤正 巖

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移動電話(モバイル)が増えたように、移動住宅がもっと増えてもいいように思います。キャンピングカーという言葉を、モバイル住宅と訳したほうが、イメージしやすいのかもしれません。

駐車場の一区画の面積は、大体5m×2.5mで、3.75坪になります。つまり、7畳までの大きさの車で、寝泊りできたら、駐車料(駐家料)だけで、生活できることになります。

コインランドリー、スーパー銭湯など代替サービスを上手く利用すれば、決して夢物語ではありません。また、車が動けば、旅行だけでなく、出張、介護、書斎など、実用面でも便利なことがいっぱいありそうに思います。

安くて、実用的な、キャンピングカーが発売されたら、新車を買うことを躊躇している人も、購入を検討し出すかもしれません。車は性能や機能ではなく、仕様で選ぶ時代ではないでしょうか。

本書は、実際に、キャンピングカーを買われた著者の体験記です。貴重なユーザー意見の集大成でもあります。参考になる点が多々ありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・キャンピングカーは停めたところが自宅となる。旅と異なるから、できるだけ日常を過ごす場所を決めている

・車で数泊するときは、別荘となる。行った先は避暑地であり、避寒地であり、山であり、海であり、森である。途中には、行き慣れた買い物場所と、小休憩の場所がある。どれも自宅の延長である。自宅が動いて別の自宅へ行く

・一般に販売されていた家庭用のキャンピングカーは、日常と異なった空間を求め、キャンプしながらの旅をする目的のものがほとんど。日常使うものではないから、たまにしか乗らない車の悲哀があり、動かす前に整備しなければならない

・現在のわが国で多数を占めるキャンピングカーの平面寸法は2×5m。鴨長明が方丈記を書いた庵は3m四方。その面積は、キャンピングカーの広さと同じ

・車庫に置くだけで、一軒家を手に入れた感じになる。夫婦二人で寝るには十分な空間と、必要十分な広さの居間を提供してくれる。また、シンクと二口のコンロ、調理台、小型の冷蔵庫、水洗トイレ、温水シャワーまで装備され、日常生活が十分可能

・道の駅は24時間、365日開いていて、水が供給できて、トイレが使用できる。多くのキャンピングカーの人たちが仮眠をとっている。また、日帰り温泉もありがたい。駐車場の雰囲気がよければ、そこで時間を過ごしてもいい

・キッチンは一人が入れば事足りる。慣れれば、導線も短く能率的。居間は、六尺四方(2畳)だが、二人で過ごすには十分。テーブルがあり、ソファー状の椅子が二脚あれば、食事にも作業にも十分な空間

・一般に、キャンピングカーとは、ばかでかくて、大型免許で乗る、燃費のひどく悪い、贅沢な、物好きな人間の乗る車といった、先入観があるが、普通小型トラックエンジンで、燃費はガソリンで1ℓ6㎞走る。新車で500万円、中古で200万円出せば、いいものがある

・内部がコンパクトに出来ているだけでなく、場所さえあれば、容易に外部に生活空間が拡げられる。その役割をするのが、車の外壁に取り付けられた、タープと呼ばれるテント

・天井が高く、断熱材で覆われていて比較的涼しい。全ての窓に網戸があり、天井には換気扇が付けられているので熱気を外へ抜ける。本当に暑いときは、涼しいところに移動すればいい

・元来寒い冬のヨーロッパのスキー場などで、キャンピングをするようにつくられた車を手本としているから、日本の寒さ程度では、どうということもない

・電力が使用エネルギーとなれば、日本の最も得意な技術領域の家電メーカーがこの世界に参入してくることになる。キャンピングカーの技術は、産業を再編成する起爆剤になる

・キャンピングカーのタイプには、「フル・コンバージョン」「キャブ・コンバージョン(バン型車がベース)」「トラベルバン・コンバージョン(サニタリーと就寝スペースが重点)」「バス・コンバージョン」「トラベルトレーラー(牽引車)」がある



キャンピングカーの広告宣伝みたいな書評になってしまいましたが、キャンピングカーには、まだまだ未知の可能性が秘められているように思います。日本人の感性に、狭い空間は合っているのではないでしょうか。

アメリカでは、キャンピングカーで生活している人たちも多くいます。日本も、一人暮らしや夫婦暮らしの世帯では、そうなっていくように感じました。
[ 2012/03/17 07:36 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『老いを愉しむ言葉・心の専門医がすすめる一言』保坂隆

老いを愉しむ言葉 心の専門医がすすめる一言 (朝日新書)老いを愉しむ言葉 心の専門医がすすめる一言 (朝日新書)
(2010/07/13)
保坂 隆

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著者は、医学部の教授です。心の専門医として、著書が多数あります。

この本は、老いを見つめた、古今東西の先人の言葉を抜粋し、解説した書です。心の専門医ならではの視点が数多く載せられています。

共感できた先人の言葉が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・友人とは、一緒にいて、あるがままに受け入れてくれる人である (ソロー・アメリカの思想家)

・心の底を傾けた深い交わりは禁物。愛情の紐は解けやすくしておいて、会うも別れるも自由なのがよい (エウリピデス・古代ギリシャの詩人)

・君子の交わりは淡きこと、水の如し。小人の交わりは甘きこと醴(あまざけ)の如し (荘子)

・許すのはよいこと。忘れることはもっとよいこと (ロバート・ブラウニング・イギリスの詩人)

・時間はあなたの人生の貨幣である。あなたが所有する唯一の貨幣であり、それをどう使うかを決められるのは、あなただけだ (カール・サンドバーグ・アメリカの作家)

・興味があるからやるというよりは、やるから興味ができる場合がどうも多いようである (寺田寅彦・物理学者)

・五月の朝の新緑と薫風は私の生活を貴族にする (萩原朔太郎)

・この世のもっとも純粋な喜びは、他人の喜びを見ることだ (三島由紀夫)

・良書を初めて読むときには、新しい友を得たようである。前にも読書した書物を読み直すときには、旧友に会うのと似ている (ゴールドスミス・イギリスの詩人)

・幸福は身体にとってはためになる。だが、精神の力を発達させるのは悲しみだ (マルセル・プルースト・フランスの作家)

・愛し、そして喪ったということは、一度も愛したことがないよりも、よいことなのだ (テニスン・イギリスの詩人)

・孤独はいいものだと話し合うことの出来る相手を持つことは一つの喜びである (バルザック・フランスの小説家)

・年齢というものには、元来意味はありませんよ (井上靖)

・学ぶことをやめた人は誰でも老いている。二十歳であっても八十歳であっても、学び続ける人は誰でも若い (ヘンリー・フォード・アメリカの自動車王)

・老齢は山登りに似ている。登れば登るほど息切れするが、視野はますます広がる (イングレール・ベイルマン・スウェーデンの映画監督)



この本には、友だちづき合い、生きがい、健康、孤独と悲しみ、気配りと学び、老いと死について、先人の言葉を題材に、著者の考えが書かれています。

今回は、先人の言葉だけをピックアップしました。老いを見つめて、先人たちも苦悩した足跡が感じられて、面白く読めました。

不安は、信じる言葉によって、軽減することができます。信じる言葉をいっぱい蓄えておくと、歳を重ねていくのも楽しめるのではないでしょうか。


[ 2012/01/13 07:00 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『老いの思想―古人に学ぶ老境の生き方』安西篤子

老いの思想―古人に学ぶ老境の生き方老いの思想―古人に学ぶ老境の生き方
(2003/05)
安西 篤子

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古今東西の偉人たちが、老いについてどう考えていたのか。その文章を選別したのが、この書です。

吉田兼好、宮本武蔵、ラ・ロシュフコーなど、私の好きな偉人たちも登場しますので、最後まで飽きることなく読むことができました。

共感した箇所も数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「まづしき者は財をもて礼とし、老いたる者は力をもて礼とす。おのが分をしりて、及ばざる時は、速にやむを智といふべし(貧しい人は無理をして金品を贈りたがる。老人はがんばって働いてみせる。しかし、賢い人は、分不相応の無理はしない)」 (吉田兼好)

・「身死して財残る事は、智者のせざる所なり(賢い人は、子孫にまとまった遺産など残さない)」 (吉田兼好)

・「『さだかにも弁へしらず』などいひたるは、なほまことに道のあるじと覚えぬべし(「私はよく知りません」と謙虚に答えれば、かえってその人の奥行きが感じられる)」 (吉田兼好)

・「能の奥を見せずして、生涯を暮すを、当流の奥義、子孫庭訓の秘伝とす(老年に及んでもなお、限りなく上達し続けること、これを子孫への教えとした)」 (世阿弥)

・「よろずに依怙の心なし。我事におゐて後悔をせず。他をねたむ心なし。わかれをかなしまず。数奇このむ事なし。老身に財宝所領もちゆる心なし。仏神は貴し、仏神をたのまず。身を捨ても名利はすてず。常に兵法の道をはなれず」 (宮本武蔵・独行道)

・「われわれの美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない」 (ラ・ロシュフコー)

・「われわれは生涯のさまざまな年齢にまったくの新参者としてたどり着く。だから多くの場合、いくら年をとっていても、その年齢においては経験不足なのである」 (ラ・ロシュフコー)

・「かつて美しく愛らしかった老婦人が陥る最も危険な滑稽さは、自分がもはやそうではないことを忘れてしまうことである」 (ラ・ロシュフコー)

・「老人に残された唯一の良策は、これまで世間に見せすぎるほど見せてしまったものを、人目から隠すことである」 (ラ・ロシュフコー)

・「老年の真の不幸は、肉体の衰えではなくて、心が何物にも動かないことである」 (アンドレ・モロア)

・「老人は暮らしを立てるのに骨が折れることを知っているし、あまりに酷すぎる仕事が体にこたえることも知っている。それだからこそ、おのれの所有するところにへばりつく」 (アンドレ・モロア)

・「老人は依怙地になって働き盛りだった時分の偏見に執着する」 (アンドレ・モロア)

・「好奇心を無垢のまま持ち続けている人にとっては、隠居こそ一生のうちで最も楽しい時である」 (アンドレ・モロア)

・「いつかそのうち、都会からあまり離れていないどこかの田舎に引っ込んで、これまで読んだ何冊かの書物を、註釈をつけながら読みなおすことくらい、人生の美しい結びがあろうとは思われない」 (アンドレ・モロア)

・「世間での新しい、珍しいことは、耳に入っても、口から出すべきではない」 (新井白石の父正済・折りたく柴の記より)

・「又しても、同じ噂に孫じまん、達者じまんに若きしゃれ言」
「くどうなる、気短になる愚痴になる、思いつく事皆古うなる」
「聞きたがる、死にともながる淋しがる、出しゃばりたがる世話やきたがる」(根岸鎮衛)



ここに登場する偉人たちには、老境の生き方において、共通するものがあるように思います。

それは、「上を向いて生きる、慎ましく生きる、好奇心を失わずに生きる、理性的に生きる、頼らずに生きる」といったことです。

つまり、良き老人とは、良き人間です。良き人間に近づけるように、生きながら、自然と歳をとっていく。これが老境の生き方なのかもしれません。
[ 2011/12/09 08:04 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『単身急増社会の衝撃』藤森克彦

単身急増社会の衝撃単身急増社会の衝撃
(2010/05/26)
藤森 克彦

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結婚していない人、夫や妻が死別した後も一人で暮らしている人。つまり、「おひとりさま」が急増しています。

なぜ、おひとりさまが増えたのか?おひとりさまが増えることによって、社会にどのような影響が出てきているのか?また、どのようなことが今後起こってくるのか?世の中の関心と興味が増しているように思います。

この本には、その関心や興味に応えてくれる箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・男性の生涯未婚率は1920年~1985年まで、1~3%台で推移した後、90年に6%となり、05年に16%となった。2030年になると、男性の生涯未婚率は29%、女性は23%と予想される。90年代以降、想像以上に、結婚や世帯形成の面で大きな変化が進んでいる

・日本の社会保障制度は、家族による助け合いを前提にしてきたために、国際的に見て、安上がりの制度となっている。主要先進国間で社会保障費の対GDP比は、米国に次いで低い水準にある

・65歳以上単身世帯のうち、子供が片道1時間以内に住んでいるのは5割弱。高齢単身者の5割強は、近くに子供がいないか、そもそも子供がいない。家族に頼れない人は着実に増えている

・勤労者世帯の単身男性の外食費比率は、二人以上世帯の2倍以上の水準

・35~59歳の単身男性で「家賃・地代」に消費した割合は14.9%、単身女性では10.5%なのに対し、二人以上世帯では、わずか3.7%。「家賃・地代」は、単身世帯と二人以上世帯の間で大きな差がある。これは、単身世帯の持ち家率が低いため

・70歳以上の単身男性の平均金融資産は1752万円、単身女性は1287万円。これら金融資産によって、高齢単身世帯(無職)の家計月額14000円程度の赤字を賄っている

・厚生年金・共済年金を受給する単身女性の3割程度が収入150万円未満。これは、正規労働者であっても、女性は男性よりも平均就業年数が短いことや、男女の賃金格差が年金受給額に反映するため

・単身女性の中で年収120万円未満の低所得者層の割合が最も高いのは、離別した単身女性。離別した単身女性の33%が年収120万円未満。死別した単身女性の21%、未婚の単身女性の19%に比べて、低所得者層の比率が高い

・単身世帯の所得や金融資産の水準を二人以上世帯と比べると、現役世代であれば、単身世帯が上回るが、高齢期に入ると、二人以上世帯よりも低い水準になる

・55~74歳の単身世帯において、離別した単身女性と未婚の単身男性の低所得者層割合が高い。高齢者単身男性の1割強が無年金者となっている

・労働力人口が年平均で20万~45万人程度減少(2006~2030年)していく中で、介護職員数を年平均5.3万~7.7万人増加(2007~2025年)させていかなくてはいけない状況にある

・高齢単身男性が費やす時間で最も長いのは、「テレビ、ラジオ、新聞、雑誌」。1日当たり4時間、高齢単身女性も3時間17分を費やしている

生活時間調査では、高齢単身世帯の3割程度が、家族や、家族以外の人とも交流時間を共有していない。高齢単身世帯は社会的孤立に陥っている可能性が高い

・「社会的孤立」の要因や環境としては、「賃貸共同住宅に住む傾向がみられる」「都市部を中心に孤立しても生活できるインフラが整備されている」「現役時代から地域との人間関係を築いていない」ことがあげられる

単身世帯予備軍(親と同居する40歳以上の未婚者)は、全国で202万人存在し、40歳以上人口の2.9%を占める

・単身世帯予備軍数の男女比では、男性は女性の1.9倍となっている。これは、男性の未婚化が女性より進展しているため


高齢化の問題が叫ばれていますが、同時に孤立化も大きな問題になっています。単身者が、どんどん増え続けてくれば、社会はどう対応すべきなのか。お金と制度において、その答えは明確になっていないように思います。

確実なことは、高齢単身者同士で、お金、身体、精神面を、どうシェアして生きるかが重要になっているということです。

国や地域に頼れないのなら、自分たちで頼れるコミュニティーをつくっていかないといけないのかもしれません。


[ 2011/11/10 08:00 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『ラジオ深夜便珠玉のことば―深夜便からの100のメッセージ』

ラジオ深夜便珠玉のことば―深夜便からの100のメッセージ (ステラMOOK)ラジオ深夜便珠玉のことば―深夜便からの100のメッセージ (ステラMOOK)
(2010/12/18)
NHKサービスセンター

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最近、眠れないとき(深夜1時)、朝早く目が覚めたとき(朝4時)は、NHKのラジオ深夜便を聴くことにしています。

月に3~4日くらいしか聴いてはいませんが、この時間帯に、各界の専門家、名人たちの人生を聞くことができるので、楽しみにしておりまます。

そのラジオ深夜便に出演した専門家たちの声を拾ったのが、この本です。人生の晩年を迎えた先輩たちの貴重な言葉が収められています。

勉強になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・生きることに下り坂はないと思う。生きている限り、いつも上り坂。だから、あせらずに、のんびりと、生きていきたい (鳥海昭子・歌人)

・一流の人で、「仕事遊び学びは別」という人はいない。名人の域に達すると、すべて一体になる。もう一つ、一流の人に共通するのは、いくつになっても学び続ける姿勢。「これでいい」とは考えない (藤尾秀昭・出版社経営)

・若さを保つ秘訣は、どこに行ってもいつでも見られていると意識すること。意識していれば、腰も伸びる (森光子・俳優)

・年を取ってよかったことの一つは、欲望の整理がうまくなったこと。自分の持ち時間を考えたら、あれもこれもと欲張ってもしょうがない (吉沢久子・家事評論家)

・人生は三打数一安打でいい。三つ目標のうち、二つはうまくいかなくても、一つを成し遂げれば達成感を味わえる。そうやって充実した日々を過ごす実感を持つことが大事 (島健二・川島病院名誉院長)

・将棋は前に進むだけなら負ける。「引く」ことで、先手の有利性を生かせる不思議なゲーム。この「むだ」や「マイナス」が勝負には大切 (米長邦雄・日本将棋連盟会長)

感動したらすぐに書くことが大切。いい景色、いい本、いい人と出会った感動を、すぐに書いたほうがいい (野口白汀・書家)

・愛は苦しみが伴う。でも苦しみたくないからと、愛さないで生きて、一生誰も愛さずに死んで、何が幸せか。傷ついてもいい。愛した思い出を残すこと (瀬戸内寂聴・作家)

・俳句を始めると、魔法のメガネをかけたように、周囲がみな新しく見えて、見過ごしていたものが、形や色を変えて新鮮に迫ってくる (今井千鶴子・俳人)

・営業先で冷淡にあしらわれると、社員は心をすさませて帰ってくる。心を穏やかにするには、きれいにすること。それで、掃除をするようになった (鍵山秀三郎・自動車用品販売企業経営者)

・一日のいやなことは、その日が終わったらおしまい。明日はまた新しい自分と思っていけば、楽しい。泥水でも、そのうちに泥が沈殿して、きれいな水になる。そういうふうに、ゆっくり構えていればいい (酒井雄哉・比叡山飯室不動堂長寿院住職)

・随筆は、人生の蓄えを折にふれて、形式にこだわらずに綴る「知的散歩の文芸」 (芳賀綏・東京工業大学名誉教授)

・釈迦が言った「無財の七施」とは、「声をかける」「笑顔を見せて迎える」「荷物を持ってあげる」「席を譲ってあげる」「水をあげる」「食事をあげる」「泊めてあげる」ことを指す。もう一つ、「話を聞いてあげる」ことを加えて、八施にしたらいい (早坂暁・作家)

・「書こう」という姿勢で日常を観察していくと、今まで見えなかったことが見えてくる。書くことで、頭も心も整理され、素直に成長していく (高橋一清・松江観光協会観光プロデューサー)



各界の専門家たちが会得した「老いる楽しさ」が、この本には、要約されています。

「老いる苦しさ」から「老いる覚悟」へ、そして「老いる楽しさ」へと変換できたとき、良き晩年を迎えることができるように思います。

その良き晩年を迎えている先輩方の声に、耳を傾けてみるのもいいのではないでしょうか。


[ 2011/11/04 05:49 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『定年後のリアル』勢古浩爾

定年後のリアル定年後のリアル
(2009/12/22)
勢古 浩爾

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著者の定年後の心境を綴った本です。勢古浩爾氏は、数多くの著書を有する知識人だけあって、定年後を醒めた眼でみています。

その醒め方が、私には心地よく感じられました。この本の中で、共感できた箇所が15ほどあります。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・勤めていたときは、会社という組織の中で、何者かであると思っていただけ。いまや何者でもないが、元々何者でもなかったということ

・夢や希望は実現されるにこしたことはないが、夢や希望を持つことによって、それがフラストレーションにしかならないとしたら、その持ち方がおかしいということ

・テレビを見て、散歩をして、本を読むだけで結構。あと時々旅行。何かをしたくなればするし、そうでなければやらない。「つまらない老後」だと思われても、つまんねえもへちまもない

・心が若いのはいい。しかし、なかには、気位も利己心も無作法も昔のままという爺さん婆さんがいる。こうなると、これほど醜い生き物もない。外見の醜さに内面の醜さが二乗されて、にっちもさっちもいかない

・仕事が大事なのは、仕事をしている間だけで、辞めてしまえば、仕事など大事でもなんでもなくなるというのが不思議

・結局、人は自分の立場があるからうるさいだけ。立場がなくなった人間にとって、そのことがばかばかしい。立場がなくなるということが、これほどまで自由だと知らなかった

・趣味なんか暇つぶしであり、ちょっとした楽しみだけでいい。それをやっている間は夢中になれる時間を忘れる、だけでいい

・最近の人間には、バカでいいと開き直っている人と、どうしたらいいと他人に答えを求める人の二種類いる。後者は、他人の言説の中に答えが書かれていないと怒る

・本には、自分の知らないすごい秘策のようなものが書かれているのではないか、専門家は自分の知らない、目も覚めるような考えを持っているのではないか、と考えすぎ

・健康である。住むところがある。仕事もある。当分食べていけるだけの金もある。親も兄弟もいる。私はまだ生きている。これは悪くないとプラスに考えることである

・国のみならず、家族、夫婦、人脈などに頼る気持ちを捨てる。高齢者に優しい社会などないと覚悟する。健康は幻想、善意は報われないとあきらめる。その上で、小さくても素朴な善意に接することができたら、躍りあがって喜ぶべき

・何でも最低の条件と比較すること。マイナス思考とは意味合いが違うが、すべてを最低の線から考えた方がいい

・統計は、あらゆる物事を「社会問題」として考える人間にとって必要だが、「自分問題」だけで生きている人間にとって何の参考にもならない

・詐欺で大金を掠め取った連中の金の使い途は、「高級マンション、外車、時計、クラブ」。それで、昔の同級生に「成功ぶり」を見せつける。一人旅に出たり、プラモデルを作ったり、文学全集を買ったりする犯罪者はいない

・自我を少しでも縮小したい。余計なことはもう考えない。論を争わない。それで、できるだけ外の静かな空気を吸う。そのようにできたらそれでいい。若者の刹那主義は戒めるが、老後を生きる人間は、今日一日よければ、それでいい

・好きなように生きればいい。好きでなくても生きるしかない。そして、「死ぬ時は、死ぬがよろしく候」(良寛)。死ぬのだから、嫌と言っても仕方ない

・私が死んでも、たった一つの命が消えていくだけのこと。私にとっては大したことであろうが、世界にとってはまったく大したことではない。この世は常に生きている者たちのもの



アンチエイジング的な老後を過ごそうとする人が多くいますが、著者のように、淡々と老後を過ごせていけたらいいのではないでしょうか。

老後は、気張らず、威張らず、意地張らず、ゆったりと生きていけたらそれでいいと感じさせてくれる書です。
[ 2011/09/09 08:53 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『老いへの不安・歳を取りそこねる人たち』春日武彦

老いへの不安 歳を取りそこねる人たち老いへの不安 歳を取りそこねる人たち
(2011/04/07)
春日 武彦

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春日武彦氏は精神科医です。精神分析を踏まえての「老い」に対する意見には、一考の価値があると思います。

この本を読んで、「老い」について、なるほどと思えた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・前向きで溌剌として、笑みを絶やさず、常に頑張る、そのようなキラキラした「若さの神話」を無意識のうちに強制されている

・若さを装うことは、自己肯定につながり、自信をもたらす。初老期を迎えた者が若作りしたがるのは、他人を欺く前に、自分を欺きたいから

・「惰性」は、人間の心を安定させ、安寧を保つ装置。人間は、基本的にマンネリに則って生きている。退屈で変化に乏しくても、マンネリにしがみついている限り、大きな間違いや不幸は生じない

・過去を振り返って、ノスタルジックだとか懐かしいと感じられる事柄の大部分は、惰性やマンネリに彩られていた事物。日々の惰性がストップしたとき、そこに出現するのは異形の現実

・「年寄りが淋しくなったり、可哀相になったりするのは、何も決められなくて、人の言うがままに動かされてしまうから」 (高井有一『老いの巣』)

・老いることは、人生体験の積み重ねであるにもかかわらず、徐々に個性が失われ、雑駁なステレオタイプへと収斂していくプロセスであるかのように考えられている

・若作りは浅ましいことでも、醜態でもない。身の程知らずでなければ、悪あがきでもない。若くありたいと願うほうが自然、といった共通認識が生まれている

・恥という感覚は、無力感に自己嫌悪が注ぎ込まれたときに生ずる。どんなに歳を経ても、どんなに成功体験を重ねても、無力感から脱することはできない

・笑顔と軽々しさと空元気とが混ざり合ったような「アンチエイジング的なもの」には、人生における難儀なものを引き受けずに済まそうとしているかのような印象が付きまとう

・全体として幸福な境遇にはないであろう人たちが、部分だけの極楽であっても「ほんまに、ええなあ」と言い合う妙味には、苦笑しつつも相槌を打てる大らかさがある

・老いを自覚するということには、今までの人生を振り返ることが含まれている。それは、人生の岐路、運命、世の不思議、呆気なさ、遠謀深慮の空しさ、人間の無力感などに対して、感概と虚無を覚え、苦笑を浮かべるといったこと

・老いることは、人生経験を積むことによって「ちょっとやそっとでは動じない」人間になっていくこと。つまり、うっとうしかったり、面倒だったり、厄介だったり、気を滅入らせたりすることへの免疫を獲得していくこと

・世間は、鈍感な者のみが我が世を謳歌できるシステムとなりつつある。歳を取るほど、裏口や楽屋が見えてしまい、なおさら難儀なものを背負いこむことになる

・「ここはひとつ、年寄りの顔に免じて堪えてくれんかのう」と言えば、喧嘩している同士が、しぶしぶ矛先を納める。年寄りとは喧嘩の仲裁ができる人

・歳を取っても、貪欲で、大人げない。つまり、往生際が悪いと、年寄りではなく、中古品の若者や古ぼけた中年としか見えない。歳を経たがゆえの味わいを楽しむのがいい




若作りはしないこと、個性的でいること、自分の考えで動くこと、何事にも動じずにいること。これらの信念を持たないと、老いても、付和雷同の人生を歩むことになると著者は忠告しています。

若いときに、人間を作る努力をしてきた人だけが、老いていくことの楽しさを知り、良き老いを迎えることができるのかもしれません。
[ 2011/07/29 07:23 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『すらすら読める養生訓』立川昭二

すらすら読める養生訓すらすら読める養生訓
(2005/01/13)
立川 昭二

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養生訓は江戸時代中期に、貝原益軒によって書かれました。元祖「健康本」のような存在です。

貝原益軒の数ある著書の中で、養生訓は、八十歳を超えた最晩年に書かれたものです。本人も健康に気をつけ、健康法を実践していたことが、その長寿からうかがい知れます。

養生訓は、心とからだの名言が多く、今読んでも、決して古く感じられません。勉強になる箇所が数多くあります。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・からだを保ち、養生するのに、極めて大切な一字は「畏」。畏れることは、身を守る心構え。細心の注意を払い、気ままにせず、過ちのないように努め、いつも天道を敬い、慎しんでしたがうこと。畏れるところから慎しみの心が生まれる

・長生きすれば、楽しみ多く、有益なことも多い。知らなかったことを知り、できなかったことができるようになる。学問が進み、知識に明るくなるには、長生きしないとできない

・貝原益軒と同じ元禄文化人の井原西鶴は、「日本永代蔵」で、「若き時、心を砕き身を働き、老いの楽しみ早く知るべし」と言っている。現代人とは正反対の人生観である

・人間には、三つの楽しみがある。一つ目は「道を行い心得違いがなく善を楽しむ」、二つ目は「病気がなく気持ちよく楽しむ」、三つ目は「長生きして久しく楽しむ」。いくら富貴であっても、この三つの楽しみがなければ、真の楽しみは得られない

・健康で長命でありたいのは、ただ長生きするだけではなく、老年において、人生の真の楽しみを楽しむためである

・貝原益軒は、若いとき失職し、前半生は貧賤の境遇だった。その境遇ゆえに、学問に志すことができ、おのずと読書に楽しむという内なる楽しみを楽しむことができた

元気を害するものは、食欲、色欲などの内欲と、風・寒・暑・湿などの外邪

・飲食、色欲、労働が過度になれば、元気は負けて減る。飲食、安逸、睡眠を過ごすと、元気は滞って塞がる。消耗と停滞は元気を損なう

・貝原益軒にとって、心身の健康のための第一箇条は、身を動かし、気をめぐらし、気を滞らせてはならないということ

心はからだの主人。静かに安らかにさせておかなければならない。からだは心の家来。動かして働かさせなければならない

・心は楽しむべし、苦しむべからず。身は労すべし、やすめ過ごすべからず

・老境に入ったら、楽しむにも、愛するにも、自分なりのオリジナルなやり方でやればいい

・「老いに至りて楽しみを増す」。貝原益軒が「養生訓」で説いてきたことは、この一句を実現するため



「養生訓」には、具体的な健康法の記述もありますが、参考にしたいのは、「楽しく生きるための健康」についての記述です。

貝原益軒は、心とからだの関係を特に重視しています。健康を維持していれば、楽しい老後が待っていることの重要性を、強調したかったのではないでしょうか。
[ 2011/04/01 08:50 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『老年学に学ぶ-サクセスフル・エイジングの秘密』山本思外里

老年学に学ぶ―サクセスフル・エイジングの秘密 (角川文芸ブックス)老年学に学ぶ―サクセスフル・エイジングの秘密 (角川文芸ブックス)
(2008/01)
山本 思外里

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老年学というのは、寿命を延ばすことを目的とするのではなく、生命力と活動力をできる限り長く保つことを目的とするというのが著者の見解です。

老いを愉しむためには、どうすればいいか?山本思外里氏は、この本でしつこく追究されています。従来の老後の本では、物足りない方にはおすすめです。

ためになった箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。


・プラトンは「哲学は死のリハーサル」と言い、モンテーニュは「哲学することは、どのように死ぬかを学ぶこと」と書いている。死について学ぶことは、死ぬまでの生き方を考えることであり、死を考えるのは、よりよく生きるためである

・平均寿命は、ガンが一掃されると、2年延びる。心臓病を一掃できると、3、4年延びる。しかし、この二つの病を解決しても、たった6年しか寿命が伸びないとすれば、通常の医学的進歩による寿命の延びは限界に来ている

・新たな関連づけをしたり、新しい知識を吸収したり、新しい技能を習得したりする能力は、高齢になっても決して衰えない

・頭の運動は、体の運動と同じくらい大切。最も好ましい運動は、学び続けることである

・老化による身体機能の低下は、80歳前には起こらない。しかし、自分はもう年なんだと老けこんでしまえば、それより早く機能低下が起こる

人生の午前の目的である「自然段階」(子孫を生み、養い育て、金を儲け、社会的地位を得る)が達成されると、人生の午後の目的である「文化段階」(本当に関心あることに集中する)に進む。つまり、「個性化」の道を進む

・老いを否認し、若さの価値にしがみついている人たちにとっては、「過ぎゆく時は敵」である。晩年になって変化している自分を認められる人にとって、残された時間は「かけがえのない楽しい時」である

・人間にとっての人生後半の課題は、自分なりのコスモロジー(宇宙論)を完成させること。この世に存在するものすべてを、自分に入れ込むことによって、一つの全体性をもったイメージへつくりあげるのがコスモロジー

・老いの意味とは、外面から内面へ、所有から存在への転換である。金を稼ぐ仕事から引退すれば、財産、知識、社会的地位、権力などへの執着を断ち切り、心を内面に向けなければならない

・自らの周囲に起こるすべてのものに全く関心を持たない老人と、関心に溢れている老人。一方は空虚で、他方は豊饒である

・「好人得難く、好書も得難し」(貝原益軒『慎思録』)、そう簡単にモデルは見つからないが、根気よく学習し続ければ、必ず素晴らしい出会いが待っている

・多くの人の楽しみはみな外欲にある。これをほしいままにすると、わが身の禍が起こってくる。貧を憂えず、楽しみを得ては書を読み、時節を感じ、風景になれ親しみ、月花をめで、詩歌を吟じ、草木を愛することを楽しめば極まるところがない(貝原益軒『樂訓』)

・読書の楽しみとは、色を好まなくても喜び深く、山林に入らなくても心のどかに、富貴でなくても心豊かになることである(貝原益軒『樂訓』)

閑適生活を楽しむには、金はまったくいらない。閑適の真の楽しみは、金持ち階級のものではない。それはただ、富貴をもっとも冷笑する人々にのみ、見出すことのできる楽しみである(林語堂)

・晩年の生き方のお手本である、貝原益軒とバーナード・ラッセルの二人に共通するのは、晩年まで持ち続けた目的意識と、その達成をライフワークにしていたこと。狭い自分だけの世界にとらわれず、旺盛な好奇心と探求心で、絶えず新しいことに挑戦し続けたこと

・どんな種類であれ、陶酔を必要とするような幸福は、いんちきで不満足なもの。幸福な生活は、おおむね、静かな生活でなければならない。なぜなら、静けさの雰囲気の中でのみ、真の喜びが息づいていられるからである(バーナード・ラッセル)

センテナリアン(100歳以上の高齢者)に共通していた特徴はただ一つ。それは一般的に「人柄」と呼ばれるもの。もっと具体的に言えば、前向きな性格と楽観主義という心理面での特徴

・長寿はストレスを免れた結果というより、ストレスに効率よく、効果的に対処した成果。人柄が、さまざまな問題や損失、精神的動揺によって被る心理的、身体的ダメージを絶縁する

・あらかじめ死を考えておくことは、自由を考えることである。死を学んだ者は、奴隷であることを忘れた者である。死の習得は、われわれをあらゆる隷属と拘束から解放する(モンテーニュ『エセー』)

・老年は「支配世代」ではない。過去の地位や名誉や業績に恋々としてはならない。若いころに抱いていた拡張、攻撃、支配といった野心を、自分の「心的能力の成長」に振り向けなければならない

・老年は、これまでの経験の蓄えを生かし、若いころとは異なる性格を持つことが求められる。それは、自分勝手にならずに感情移入し、押しつけがましくならずに役に立ち、うぬぼれずに誇りを持つこと

・自分の幸福は、自分でつくりだすもの。それは、いつも学ぶことによって可能になる。生きることは、生涯をかけて学ぶことである



老年を科学的、哲学的な見地から研究されている人は少ないように思います。

この本は、年老いることの意味についての知的好奇心を満足させてくれる書です。老いを愉しみたい方には、貴重な一冊になると思います。
[ 2011/03/04 10:24 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『定年上手・人生後半の設計図』森村誠一、堀田力

定年上手 人生後半の設計図―あるのとないのと、どうちがう? (PHP文庫)定年上手 人生後半の設計図―あるのとないのと、どうちがう? (PHP文庫)
(2005/05/03)
森村 誠一、堀田 力 他

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定年を迎えた後、人はどうなるのか?どうすればいいのか?実例をもとに、詳しく書かれている書です。

これからは、男性でも、人生90年を想定しないといけない時代です。お金の問題よりも、老後の生きていく姿勢の方が、重要になっていくように思います。

その答えが、少なからず、この本に載っています。参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・地域社会でつき合うには、相手がどんな仕事をしていたかなどは全く関係ない。いかに互いにウマが合うかが大切。そういう人を見つける嗅覚は、男性より女性の方がはるかに優れている

・肩書きという鎧に守られてきた人たちは、人間性が弱くなっている。鎧を脱いで裸のつき合いをする力がなくなっている。肩書が高くなればなるほど、人の心は弱くなっていく

・会社の部下に命令するのと同じように妻や子に命令する。これでは、家庭で疎んじられて当然。妻は部下ではない。肩書は仕事上の社会でのみ適用するもの

・今までと全く別の価値基準をもった集団に入っていくこと。偉そうな態度をとったら、周りの人から無視される。ところが、地域やボランティアの集まりになると、リーダーの決め手が元○○という肩書きが有効になる。そんなものにこだわっていてはいけない

・初めてやってきた人に、スッと居場所をつくってあげることのできる人。輪の中に入れずに一人で立っていたら、さり気なくそばに行って話しかけてあげることのできる人。そういう人の心が分かる人こそが、定年後には、みんなに慕われるようになる

・権力構造の本質は、一人になるための社会構造。どんな組織でも「長」は一人。「長」の役割はただ一つ。判断を下すこと。責任を負い、孤独になる。ところが、定年後は一変して横社会。孤独の社会から大勢の社会。みんなで相談しながら決めていく社会に変わる

・人生の前半期の仕事は、結局は自分自身のものではない。自分では天職と思っていた仕事も、結局は組織のためのものに過ぎない。最終的には、自分のためではなく、会社の利益と家族のためにがんばっていただけ

・どこへ外出するわけでもなく、家の中でボーッとしているだけ。こういう人の生活は悠々自適とは言わない。それは生きているのではなく、生存しているだけ

・懐かしいから会いたいという人が、年齢を重ねるごとに増える。人生の前半期は未来のことを考え、後半期には過去を振り返る。過去を振り返るのは悪いことではないが、自分の人間関係は切り捨てられていると知ること

・高額な医療費がかかっても、上限の100万円以内で収まるはず。介護費も重い要介護の指定を受けても、年間で60万円程度。数年間寝たきりになり、大きな手術を受けても500万円あれば十分。夫婦二人で暮らすには、住む所さえあれば、年金だけで十分

・人生の後半期の貯えは、残された配偶者に500万円。遺族に500万円。後始末のために100万円。これくらいあれば、何とかなる

・老後の不安は、資産が目減りしていくことの不安。そのためには、確実に減らないお金をつくっておくこと。たとえ月5万円しか稼げなくても、貯金の目減りが防げるだけで、心に余裕が生まれる

・人生後半期のお金のゆとりは、その金額の大きさではない。十分すぎる貯えがあるのに、不安に怯えている人もいる。同じ時を過ごすのであれば、心豊かに生きたいもの

・後半期の人生は全くの自由。どんな服装をしようと自由。バカバカしい見栄を張ることなどない。他人の目を気にせず、他人と比較することのない生活。そんな素晴らしい生活をしない手はない

・配偶者を亡くされた方々のうち、生前の夫婦関係が良かった人ほど、再婚する率が高く、再婚までの期間が短い。夫婦関係が悪かった人ほど、結婚なんてまっぴらと思うのか、再婚率がとても低い

やりたくないことの一番は、義務に絡む事柄。人生の前半期は、「この会にあまり参加したくない」と迷った時は、参加する方を選択すべきだが、後半期になれば、迷いがあれば、行くべきではない



定年後は、人生の前半期を引きずってはいけないということがよく分かります。

引きずるものとは、「偉そうにすること」「一人で決めること」「過去を振り返ること」「不安に怯えること」「見栄を張ること」「義理を果たすこと」などです。

要するに、発想を転換しないと、豊かな老後は送れないということになります。老後が見え始めてきた人には、とても参考になる本です。
[ 2010/12/18 08:51 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『老年の価値』ヘルマン・ヘッセ

老年の価値老年の価値
(2008/06/20)
ヘルマン・ヘッセ

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著者は、言わずと知れた、ヘルマン・ヘッセです。彼の作品は、世界60カ国語に翻訳され、1億2千万部以上発売されています。ノーベル文学賞も受賞しています。

晩年はスイス南部の山村に暮らしました。自我と社会との調和に苦しんだ彼の文学が円熟してきたのがこの時期と言われています。

その時に書かれた、詩やエッセイをまとめたのが、この「老年の価値」です。世界的文学者が、老年をどう考えていたか、知ることができます。

今回、参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・青春とは、心の中の大人になっても変わることのない子供らしさ。冷静な意識をもった生き方をしながらも、その子供らしさが多ければ多いだけ、より一層豊かに生きることができる

・五十歳になると、人は子供っぽい愚行をしたり、名声や信用を得ようとしたりしなくなる。そして、自分の人生を冷静に回顧し始める。彼は待つことを学ぶ。沈黙することを学ぶ。耳を傾けることを学ぶ。これらのよき賜物を利益と見なすべきである

・愛する友よ、私たちは、美しい知恵甘美な愚かさの両方を手に入れたいと望む。これからも、しばしば共に前進し、共につまずこう。両方とも素晴らしいことではないか

・青年と老年との間に、一本のはっきりした境界線を引くことができる。青年は利己主義をもって終わり、老年は他者のための生活をもって始まる

・数十年来、私にとって不快なことは、第一に、アメリカで盛んになっているような、青春と若々しさの崇拝である。第二に、もっと不快なことは、身分、階級、運動としての青春を設定することである

・世界の歴史は、主に単純な人間と若者によってつくられる。しかし、歴史が平和な時期を持ち続けるためには、反対勢力として、遅滞させること、保守することが常に必要である

・この地上での無限のもののうちで、知ることができるものをできるだけ多く手に入れなくてはならない。年をとるにつれて、いくら知識を得ても満足できないことがあるが、それは一つの素晴らしい欲求

・老境に至って、初めて人は美しいものが稀であることを知り、工場と大砲の間にも花が咲いたり、新聞と相場表の間にも詩が生きていたりすれば、それがどんな奇跡であるかを知るようになる

・英知と私たちの関係は、アキレスと亀の論証のようなもの。英知が常に先行している。それに到達するまでの途中や、それを追いかけることは、それでも素晴らしい道である

・私の友人のうちの大多数の人々は、ほんのしばらくの間、私に対して忠実である。少しの間、私を熱愛して、それから彼らの道を見つけたら、私を忘れてしまう人々であるが、それでよい

・年とった人々の記憶が欠落するのは、脳が重要なものと重要でないものを、ある種選択するからである。脳は型通りの、機械的にすることはすべて忘れてしまう

・疲れているときに、眠ってもよい。長い間背負ってきた重荷を、下ろしてもよい。それは、貴重で素晴らしいことである

・この世を去った人たちは、私たちが生きている間、私たちに生前影響を与えた本質的なものをもって、私たちと共に生き続ける。それどころか、生きている人々よりも、ずっとよく話したり、相談したり、助言を得たりすることができる



この本には、少し難解な詩的表現も多く見られますが、老人の心境が数多く垣間見えます。心境というよりか、若い人への提言かもしれません。

どう生き、どう死んでいくか、答えはそう簡単に見つかるものではありませんが、ヘルマン・ヘッセが到達した域に学ぶのも悪くはないように思います。
[ 2010/10/22 07:05 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『老いの生きがい学-人生の第三年代を挑戦の季節に』白石浩一

老いの生きがい学―人生の第三年代を挑戦の季節に老いの生きがい学―人生の第三年代を挑戦の季節に
(1997/10)
白石 浩一

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白石浩一先生の本を紹介するのは、「豊かに老いを生きる人生哲学」に続き、2冊目です。白石先生の老いに対する考え方が、今の自分にピッタリくるように感じています。

なぜ、自分にピッタリくるか?その理由が、この「老いの生きがい学」に載せられていました。

これらのピッタリくる箇所が、この本に20ありました。「本の一部」ですが、これらを紹介したいと思います。



・「うつ病になる危険が一番高いと言えるのは、自分が年をとることを恐れるあまり、そのことを考えないようにして、自分は年をとっていないと、否認しなければならない人たちである」(フリーダン

・「老いを否認し、文字通り“若さの泉”に飛び込む年寄りたちが、あたかも25歳に若返ったように、セックスしたりダンスしたりしている姿には嫌悪感を覚える」(フリーダン)

・老いには、高度の創造性や生産性がひそんでいる。観念、世界観、思想、理論、学術、芸術など、「矛盾したものの統一」「分散・離散・乖離したものの統合」、つまり、総仕上げということがある

・次の世代へ何かを産み残す、何かをはぐくみ育てる。現世代と次世代のきずなを産むということもある

・「第一年代は、仕事や家庭での役割を果たすことに備えて学ぶ年代。第二年代は、家庭を築き、それを支えるための生産的な年代。第三年代は、自分自身の開発、成長のために学び、その能力を“自分の仕事”のために存分に発揮する年代」(フリーダン)

・「こんこんと湧き出る力を存分に発揮しよう。老いの泉の湧き出る水を存分にほとばしらせよう。まず大切なのは、心をオープンにして、何か新しいことが起こるかもしれないという気持ちを受け入れること」(フリーダン)

・「百年近く元気溌溂と生きてきた秘訣は何かと聞かれるなら、“1日10回感動なさい”と答えたい」(加藤シヅエ

・「高齢者となったら、ボケーッと漫然と聞き流したり、ながめたりしては駄目。自然の姿、四季の移ろい、世の中の変わり方、人の話、出来事をよく聞き、よく見、よく読み、感動をもって受け取ること。これが高齢期の健康法となる」(加藤シヅエ)

・「年をとったとき、人を幸福にするものは、重要でないことをすべて捨ててしまい、本当に興味をもった仕事だけをして、本当に好きな友人だけと時を過ごすこと」(フリーダン)

・「私たちが最初に老いの兆しを感じるのは、地位や役割や責任、個人的あるいは社会的な絆を失った時」(フリーダン)

・「金銭や健康よりも、自分の能力が発揮でき、やって楽しく、自分を表現できることに、時間をかけることの方が、はるかに重要。健康よりも、なんと3、4倍も大きな意味を持つ」(フリーダン)

・目標の達成自体よりも、目標に向かって進む過程が大切。目標にピントを合わせて、自己の全体を集中させていくプロセスの中に満足度がある

・「本物の楽しさ・喜びである“フロー”は必ずしも快感ではない。心血を注ぐ過程で、心と体を限界まで働かせきっているときに生じる“没入の恍惚感”こそが、フロー体験」(チクセントミハイ

・「元気溌溂と暮らしている高齢者と、ホロコーストを生き抜いた人々の間に強い類似性がある。その類似性とは、(1)人生に意味を与える。そういう課題に積極的に立ち向かう(2)新たな目的を設定する。目的意識を積極的に創り出す」(フリーダン)

・「意味や目的は、食料や水が私たちの身体に欠かせぬものであるように、人が人らしく生きるためには、欠くことができないもの」(フリーダン)

・「一流のスープは二流の絵画よりも創造的。料理や育児や家事も創造的であり得るが、詩が必ずしも創造的であるとは限らない」(アブラハム・マズロー

・「生きるとは、問われていること、答えること。自分自身の人生に責任を持つこと」(フランクル

・「アメリカ人の生活の最大の浪費は、余暇の軽率な過ごし方にある」(ロバート・バーク

・「逆境を楽しく、やりがいに満ちたものに変換する能力は、生存するために不可欠で、生活の質をより大きく改善する有用なもの」(チクセントミハイ)

・「人間のライフサイクルの最後の段階は“統合”を達成すること、つまり人生の過程で成し遂げてきたことや達成できなかったことを、自分自身のものとして主張できる意味のある物語として結び合わせること」(エリック・エリクソン



自分の第一年代(仕事や家庭での役割を果たすことに備えて学ぶ年代)は10~20代。第二年代(家庭を築き、それを支えるための生産的な年代)は30~40代でした。

50代から、徐々に、第三年代(自分自身の開発、成長のために学び、その能力を“自分の仕事”のために存分に発揮する年代)に入ろうとしているのだと思います。

この第三年代に入る前の人が、この本を読むと、豊かな老後生活が迎えるれるヒント得られるのではないでしょうか。



[ 2009/12/06 10:28 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)

『豊かに老いを生きる人生哲学-50歳からの生き方・考え方』白石浩一

豊かに老いを生きる人生哲学―50歳からの生き方・考え方豊かに老いを生きる人生哲学―50歳からの生き方・考え方
(2008/05)
白石 浩一

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この本のサブタイトルは、50歳からの生き方・考え方です。私も50代に突入しましたので、思わず、この本を手にしました。

著者の白石浩一氏は哲学・心理学が専門分野です。歴史的人物の名言を踏まえて、生き方・考え方に言及しています。

著者の考え方、哲学者・心理学者・文学者たちの名言で参考になったところを本の一部ですが、紹介したいと思います。



時間の浪費の原因は、永遠に生きられるかのように生き、真の人生を先送りし、死を凝視しないことにある

時間の奴隷になっている人は、時間にこき使われ、追いまくられて多忙な日々を暮らす。何かのことで多忙から見放されると、与えられた暇の使い方が分からない (セネカ)

名利(名声や利欲・利得)に使はれて、閑なる暇もなく、一生を苦しむこそ、愚かなれ。ひとへに高き官・位を望むも、次に愚かなり (吉田兼好)

出会いという決定的瞬間において、今までにない、まったく新しい事柄が起こる (マルティン・ブーバー

出会う相手は人間と限らず、「道端の野の草」でも「昇る朝日」でもよい

アウシュヴィッツ強制収容所では、当初、興奮状態に陥りパニック症状になる。第二段階は、深刻な無感動・無関心が現れ、人間的な感情が一切失われる。第三段階では、完全な自己崩壊・自己放棄に至る (フランクル)

自己崩壊はこころの拠り所を失ったため。拠り所を保たせる方法は、生きていく「意味」を自覚させることであり、最も有効なのは「目的・目標」をしっかりと把持させること (フランクル)

どんな人生にも必ず意味がある。意味への意志を持ちなさい (フランクル)

意欲を失い、無気力になるのは、目的の固着化にある

自己実現とは、「本来、滞在的に持っているものを実現する」こと、「本当の自分になる」「真の自分らしさを生きる」こと、これを目的・目標にするのが賢明

努力・克己も興味という道連れがあってこそ、人生の長旅が続けられる

流れの中に流れと共にあり、流れと融合・合一して、流れそのものになっている感じは、完全な没入感であり、恍惚感に近く、三昧境にいっそう近い。そういう、他人を忘れ、我をも忘れ、ただ楽しいという境地を追求する

もっとも長生きした人とは、もっとも多くの歳月を生きた人ではなく、もっともよく人生を体験した人だ (ルソー)

シニアの場合は、“広さ”よりも“深さ”を求めるほうがいい、また“楽しさ”が重視されるべき

幸福とは、感じるすべてのことを幸福に転じる“こころ”の能力

幸福とは、そのまま変わらないでつづいてほしいような、そんな状態である (ラ・ブリュイエール

日常の中の非日常的なものに気づく

たのしみは 妻子むつまじく うちつどひ 頭ならべて 物をくふ時
たのしみは 空暖かに うち晴れし 春秋の日に 出でありく時
たのしみは 人も訪ひこず 事もなく 心をいれて 書を見る時
たのしみは そぞろ読みゆく 書の中に 我とひとしき 人をみし時 (橘曙覧

たのしみある所に愉しみ たのしみなき所にも愉しむ (田能村竹田

騙されるためのいちばん確実な方法は、自分を他の人たちより、ずっと賢いと思いこむことだ (ラ・ロシュフコー

気乗りは、ひとたび着手すれば、おのずと湧いてくるもの (ヒルティ

愚者は未来のことばかり案じて人生を送る。未来を思い煩う心は不幸である (セネカ)

自分の欠点や弱点を指摘されたり、暴露されたりすると怒る、顔をゆがめる、ムキになって強弁する。これは未熟な青年がやること。おとなは、笑顔で受け入れ、率直に認め、反省の糧としたいもの。達人は、指摘してくれた相手に感謝する

人の行いで最も困難なことは自分自身を知ること。いちばん容易なことは他人に忠告すること (タレース

他人と比較してものを考える習慣は、致命的な習慣である (ラッセル)

自分の好きなものを享受してこそ幸せになれる。他の人たちが好むものを所有しても幸せになれない (ラ・ロシュフコー)

幼児の心性の特徴は「自己中心性」にある。利己主義と反対のもの (ピアジェ)

利己主義は、自分さえよければ他人はどうでもよいとする主義で、自分と他人の区別がついている。自己中心性は、自分と他人の区別がついておらず、自分が世界の中心にいる。「自分がそうだから相手もそう」と思いこむ性向

現に今、手もとにあるものを最大限に気持ちよく活用する人こそが、暮らし上手というものだ (プルタルコス

「それが一体、何のためになる?」この言葉が、恐らく老人にとっていちばん危険なのだ (モーロア

精神の無関心に陥らないためには、「外の世界に良質の好奇心、興味・関心をもつこと」と「生きる意義を自分で見出すこと、自分に与えること」である

老いの最大の危険はこころがひからびること (モーロア)

感動は、こころを枯渇させず、こころに瑞々しさと潤いを与える

人生は未完成の作業、仕事、出来事から成り立っている



この本は、人生のゴールが見えてきた人や見えてきそうな人にとって、心に響く部分が多いのではないでしょうか。上級のシニアライフを送りたい方には必見の書だと思います。



[ 2009/09/07 07:21 ] 老後の本 | TB(0) | CM(0)