とは学

「・・・とは」の哲学

『魯山人の美食』山田和

魯山人の美食―食の天才の献立 (平凡社新書)魯山人の美食―食の天才の献立 (平凡社新書)
(2008/07/15)
山田 和

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北大路魯山人に関する書は、「魯山人もてなしの真髄」「魯山人の書」に次ぎ、3冊目です。前の2冊が、「飲食経営の書」「芸術家の書」だったのに対し、本書は北大路魯山人の本性が最も表れている「食道楽の書」です。

本書は、北大路魯山人の本性が、最も分かる書です。その一部をまとめてみました。



・魯山人は、自然の味覚を完成されたものと捉え、それを体内に取り込んで一体化することが食の歓びであり、美食の追究はそこにあると考えた。だから、魯山人は、食材の産地と鮮度にこだわった

・魯山人は、確かに高価な食材を口にしたが、野菜の皮や魚の粗はもちろん、客の残り物を調理し直して食べる人でもあった。米一粒でさえ、用を全うしないで捨て去ってしまうことはもったいないと考える人であった

・魯山人は「美味いものを食べた」のではなく、「美味く食べる」人であった

・「いかなる名手がいかなる名器に活けようと、花の美は天成的に味わうことは出来ない。人工人意は所詮天成に代え難いからである」

・化学調味料はもちろん、醤油や砂糖や塩、味醂や味噌といった自然の調味料でさえ、安易に使うことを嫌った。魯山人の関心事は、あくまでも食材の原味を味わうことであった

・魯山人は良寛に深く心酔していた。その良寛には、「書家の書、歌詠みの歌、料理屋の料理は職業意識が鼻につき、上手なだけで心がなく、魅力に乏しい」という「三嫌」があった。魯山人も料理屋の料理を嫌い、料理の神髄はあくまでも家庭料理にあるとした

・魯山人は、威張る人間、自分の言葉で喋らぬ人間、野卑な人間、金のことばかり言う人間を嫌ったから、傍若無人という評判が世間に拡がるのもやむを得なかった

・田舎くさくなく、都くさくもなく、はったりもなく、作意もない。土臭いようで高貴な味。魯山人が「調子が高い」と言うのは、このこと

・魯山人は、とくに焦げ方にこだわった。あらゆる焼き物について、「お焦げができていなくては美味しくない」「上手にお焦げができていなくてはならない」と書いている

・「山葵の味が分つては身代は持てぬ」と述べているように、魯山人はワサビ狂いだった

・魯山人は、「総じて味のないもの、ぬるぬるしたものや、ぐにゃぐにゃしたものには美味いものが多い」「ぬるぬるさせるのに時間がかかるものがいちばん美味い」と言っている

・魯山人は、ゆっくりと食事を楽しむ人だった。日本酒では、半時間で酔い始め、味覚が曖昧になり、小一時間後には酔っぱらってしまう。日本酒は、料理を楽しみながら飲むには、アルコール度が高すぎた

・「せっかく骨折って作った料理も、それを盛る器が、死んだものではどうにもならない。料理がいくら良くても、容器がへんな容器では、快感を得ることができない。料理と食器とが、一致し調和するように心掛ける」

・魯山人は、どちらかというと計画性がなく、いきあたりばったり主義であったが、彼の感覚の鋭さと臨機応変の才覚は、他の追随を許さぬものがあった

・悟ることとは、魯山人にとって、自然の恵みを自らの体内に取り込み、大自然と人間との合一を愉しむこと。また、自分が相手のために心をつくして料理を作ることの歓びを得ることだった

・自分は満足しなくて、人のためにだけ生きているという人があれば、それは偽善者。偽善者とは、人を、社会を、あざむく人のことではなく、自分自身をあざむく人のこと

・「いい人間からいい物が生まれる。悪い人間からいい物が生まれることはない。結局人間なのだ。人間を磨いてから物を作れ。それからでも遅くない」

・「美食家はあらゆる意味で自立していなくてはならず、創意工夫ができる真の自由人でなくてはならぬ」



魯山人の写真をうかがう限り、頑固で気難しそうで、他人に口うるさそうなイメージですが、本当は、自分の考えに忠実で、自分に厳しい人だったのではないでしょうか。

魯山人という人は、料理というものを芸術のレベルにまで高めた功労者、つまり「和食」を世界文化遺産にまで高めた功労者なのかもしれません。


[ 2014/08/15 07:00 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)

『大人の教科書・道徳の時間』

大人の教科書 道徳の時間大人の教科書 道徳の時間
(2010/12/11)
大人の教科書編纂委員会

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本書は、「正しく生きる道」を、古き良き日本人から学ぼうというものです。

テーマが、「正直に生きる」「身を慎む」「自らを磨く」「人を敬う」「仕事に精を出す」に大きく分かれており、昔の人は何を考えていたかを深く知ることができます。その一部をまとめてみました。



・「姿勢が正しい時には、影が歪むことはない。水盤が丸ければ、水も丸く収まっている」(勝田祐義「金言童子教」)

・「人の道に外れた行いで金持ちになった者を羨んではならない。正しいことをして貧しくなった者を蔑んではならない」(今川了俊「今川状」)

・「正直な人のそばにいよ」(宮負定雄「民家要術」)

・「未熟な者は、相手に気に入られようとして、悪いことを良いように言い、良いことについては悪いように言うものだ。そのような者とは、決して親しくなってはならない」(伊勢貞親「伊勢貞親教訓」)

・「どんなものにもよさがある。どんなひとにもよさがある。よさがそれぞれみなちがう。よさがいっぱいかくれてる。どこかとりえがあるものだ。もののとりえをひきだそう。ひとのとりえをそだてよう。じぶんのとりえをささげよう。とりえとりえがむすがれて。このよはたのしいふえせかい」(佐々井典比古「万象具徳」)

・「壮年の時、戒めるべきは闘争だ。年老いたら、金を貯めることを戒めなければならない」(勝田祐義「金言童子教」)

・「やたらに喜ぶ者は、やたらに悲しむ」(新井白蛾「冠言」)

・「ふだんから、鏡を見て身なりを良くする修業をするのが良い」(山本常朝「葉隠」)

・「吝嗇ではなく、質素に暮らせ」(西村彦兵衛「象彦家訓」)

・「良い家というのは、慎みある暮らしぶりの家のことを言う。調子に乗った奢った暮らしをすると、良い家とは言われない。衣食住を倹約しなさい」(伊藤長次郎「伊藤家家訓」)

・「学問とは良い人になるための稽古」(中村弘毅「父子訓」)

・「幸不幸は家につくものではなく、人が招くもの。したがって、運次第というのは阿呆である」(伊藤長次郎「伊藤家家訓」)

・「何ごとも人に遅れをとってはならない。しかし、無益なことには負けておけ」(石川丈山「覚」)

・「志を立てることがすべてのことの源である」(吉田松陰「士規七則」)

・「人の短所を言ってはならない。自分の長所を誇ってはならない」(松尾芭蕉「芭蕉庵小文庫」)

・「薄い氷を踏んで落ちることを恐れるように、大勢の人と交わる時には十分用心すること」(貝原益軒「和俗童子訓」)

・「身持ちが悪く、放蕩で、身を立てることのできない輩がよくいる。この多くは、親の育て方が悪いからである。子を愛するなら、質素に育てよ」(脇坂義堂「撫育草」)

・「賢い母に育てられたら、その子は極めて賢くなる」(中村弘毅「父子訓」)

・「家族が仲良くすれば、すべてが成就する」(勝田祐義「金言童子教」)

・「儲けられる金の三分は人に儲けさせよ」(土倉庄三郎「不文家憲」)

・「御主人の内の事をば外へいて、よしあしともに言うな語るな」(脇坂義堂「撫育草」)

・「倹約とは、不自由を我慢すること」(伊達政宗「伊達政宗壁書」)

・「遊びごとにうつつを抜かすのは、金を捨てるのと同じだ」(堀流水軒「商売往来」)



本書のもとになっているのは、武家、商家の家訓、藩校や寺子屋の教科書、儒学者の書です。

江戸時代、警察も裁判所も、きちんと機能していなかったのに、犯罪が少なかったのは、本書のような「道徳」が普及していたからなのかもしれません。


[ 2014/07/11 07:00 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)

『人生論』武者小路実篤

人生論 (岩波新書 赤版)人生論 (岩波新書 赤版)
(1986/11)
武者小路 実篤

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本書の初版は、1938年(昭和13年)です。戦前~戦後の若者に大きな影響を与えてきた書です。

小説や水彩画での武者小路実篤の作品は、読んだり観たりした経験はありますが、エッセイは初めてです。本書には、武者小路実篤の思想や人間性が表れているように感じました。その一部をまとめてみました。



・下らない人間の、利己的欲望のために、貴き生命を無駄にするのは、惜しみてもあまりあること。今の世には、そういう仕事をしないと食えない人が多いのは残念なこと

・金を儲けるために仕事をする人がある。金が目的で一生をつぶす人がある。金をとることが仕事だと心得る傾きがある。生きるためではなく、金をとるために生きる人がある

正しい仕事は、他人に迷惑を与えない。できたら、他人に喜びを与える。また他人の生活に役立つ

・金を儲けることは悪いとは決まらない。しかし、他人を不幸にすることは悪いこと。人間が金銭を考え出したのは、はじめ便利のためだったが、それがあまりにも便利すぎるので、いろいろに発展しすぎて、ついに今日の状態になってしまった

権力争いとは、虫のいい争いで、決して両方の人格を高める争いではない。勝てば、物質上では得するが、正しく自己を生かしたとは言えない

・貧でいじける人よりは、富んで、積極的に何か人間の喜びになり、国民の生活のために働く人を賛美する。一番いけないのは、プラスのない人。欠点はあっても、長所のある人のほうがまだまし

・理想の職業というのは、その職業のために働けば働くほど、自分のためにもなり、他人のためにもなる仕事

・金を考えずに、ただ仕事のことだけを考えて、他人を損させない仕事はいくらでもある

・理性的な人間は、幾分冷静で、分別がある。過ち犯すことが少ない。礼儀を知っている。馬鹿なことはしない。それは、本能が弱いのではなく、本能をよく御しているから

・世間が怖いとか、悪口を言われるのがいやだとか、他人の思惑を恐れて、したいことも出来ない人間は、理性的な人物とは言えない。そういう人は、他人の制御を受けてやっとどうにか悪いことをしない人間で、他人さえ気づかなければいくらでも悪いことをする

・社会の大勢に支配されて、どうにかこうにか、あまり悪いこともせずに生きていく人は、人間を進歩させたり、文明に導いたりする力のほとんどない人

・道徳は、相手がもっともだと思ったとき、効が上がる。悪かったと思った時、ききめがある

・真の道徳心は、われらの生命を正しく生かすために与えられているものだから、それに従って生きる者は、自ずと人々の心を正しき処に導く力を持っている

・友情の価値は、両方が独立性を傷つけずにつき合えるという点にある。お互いに自己をいつわって仲よくなっているのだったら、その友情はお互いに害がある

・善良な愛すべき人は、国家にとって一番大事な人。その時の社会の命じるままに、善を善とし、悪を悪とし、別に大して疑いをはさまない人。金も名誉も嫌いではないが、ごく平凡な一生を送って、別に苦しみもしないで、楽しく暮らせればそれでいい人

・人間は何より生き抜くことが必要。死ぬまで生きること。生きている以上は何かする。自分の仕事を忠実に果たすのが大事

金とり仕事は、そのとった金で家族を養ったり、何か有益なことに使うならいいが、金とるそのことだけでは、人格を高めないし、叡智は深めない。また、良心を喜ばさない

・生き生きすること、学ぶことが必要であり、本当と思うことを行うことが必要

・真に自分の本心に従って生きようとした宗教家たちは乞食の生活を恐れなかった。現実にやっつけられても、乞食以上にやっつけられないことを知っていた彼らは、その生活に甘んじて、自分の行いたいことを行い、言いたいことを言った



昔も今も、賢人は人生を真剣に考えています。世間に流されずに、自分や社会を見つめています。

技術が発達していなくても、人生に関する考え方は変わりません。人生論の古典である本書を読むことは、現代人にとって、有意義なことではないでしょうか。


[ 2014/07/02 07:00 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)

『トクヴィル・現代へのまなざし』富永茂樹

トクヴィル 現代へのまなざし (岩波新書)トクヴィル 現代へのまなざし (岩波新書)
(2010/09/18)
富永 茂樹

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トクヴィルは19世紀半ばのフランスの思想家。日本で言えば、ペリー来航の少し前のころ、アメリカでデモクラシーの萌芽とそこで生じる社会の変容を目にし、人間社会の未来について考えた人です。

その思想は、今の時代を見通していました。現代に通用するトクヴィルの考えを少しまとめてみました。



・平等な社会では、幸福を充足する機会は誰にも与えられているが、しかしその幸福が手に入ることは滅多にない

・自由の中に平等を求め、それが得られないと、隷属の中にもそれを求める。貧困も隷従も野蛮も耐えるが、不平等には我慢できない

・アメリカ人は、常に逃げていく完全なる至福を求めて、この無駄な追求を飽きることなく続ける

・社会が画一的になるにつれて、人はどんなにわずかな不平等にも耐えられなくなる

・人々が特権に向ける憎悪の念は、特権が稀になり、小さくなればなるほど増大する。民主的情念の炎は火種が最も少なくなった時に一層燃え上がる

・特権と不平等が支配する世界しか知らない者は、どんな不平等にも耐えることができる。しかし、そこから脱出する可能性が明らかになるにつれ、不平等に対する凶暴で消し難い憎悪が胚胎してくる

・心が利益に支配されている限り、人の情熱は政治より経済へと向かう

商業は平等を前提条件としており、そのことが人間に穏やかな習俗をもたらす

・商業の習性ほど革命の習性に対立するものを他に知らない

・フランス人は自分よりすぐれた存在を望まない。イギリス人は自分より劣った存在を望んでいる

・羨望はデモクラシーの主題。平等への情熱は、強者を自分の水準に引き下げることを弱者に願わせる「卑しい好み」を呼び覚ます

・中央の行政権力は、あらゆる中間的な権力を破壊する

・都市に集まった群れは、物質的な享楽への熱望に刺激されており、妬みに由来する民主主義的な不満を見ることができる

・物質的幸福を求める情熱は、本質的に中産階級の情熱である

・中産階級の人々は、自身がエゴイズムや虚栄心にとらわれ、また物質的な安楽の追求に終始しているために、民衆=労働者の貧困と悲惨さにまで十分な配慮が届かない

・平等が行き渡った社会は、誰もが自分に引きこもり、他のすべての人々の運命にほとんど関わりを持たない

・民主的な圧政は、生命や財産を奪うことはないが、少数者は社会の中で異邦人でしかなく、「生きることを死ぬよりつらいものに」されてしまう

・平等への愛着にとらわれた人間は物質的な安楽、現在よりもよい生活を求めたがるので、その注意と想像力はたえず未来へと向かう

・宗教は希望に「特別な型式をもたらす」もの

・利益は「宗教でさえ人々を導くのに用いる主要な手段」。アメリカにおいて、利益が人間の情念を抑制する「手段」となっている

観念の流通は、文明にとって、身体にとっての血液の流通に相当する

・普通の市民が団体をつくって、そこに非常で豊かで影響力のある存在である「貴族的な人格」を構成することができる



フランス革命の後、アメリカの民衆が民主主義社会をつくり始め、トクヴィルは、民主主義社会が今後、どのようになっていくのかを考えました。

本書には、民主主義の予言が記されています。その現代へのまなざしは、参考になります。


[ 2014/05/16 07:00 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)

『実伝・黒田官兵衛』火坂雅志

実伝 黒田官兵衛 (角川文庫)実伝 黒田官兵衛 (角川文庫)
(2013/05/25)
火坂 雅志

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私は歴史が好きです。テレビでも、歴史番組をよく見ています。とりわけ、参謀、懐刀、知恵袋といったナンバー2に当る人物に興味があります。今年の大河ドラマに決まった黒田官兵衛は、その代表的人物です。

戦国武将一の知将と言われる黒田官兵衛に関する本をとりあげるのは、「人使いの極意」に次いで2冊目となります。本書にも、興味深い記述が多々ありました。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・官兵衛の有名な言葉に「草履片々、木履片々」というものがある。片方は草履で片方は下駄、そんなちぐはぐな格好でも、走り出さなければならない時がある、という意味

・官兵衛は、普段は吝嗇家と言われていたが、盛大な活きた金の使い方もする。「金銀も用ふべき事に用ひずは、石瓦に同じ」というのが、官兵衛のモットーだった

・官兵衛に、「我れ人に媚ず、富貴を望まず」という言葉がある。確かに、官兵衛は、ゴマをすって人に取り入ろうとはしなかったし、贅沢な暮らしもしようとはしなかった。けれども、仙人のような清廉潔白さを貫いたわけでもない

・官兵衛は、戦が好きだった。それは勝って領地を拡大すること、勢力を拡大することが楽しいのではなく、自分が人より抜きん出た智謀・智略を巡らして勝つというプロセスが好きだったから、ということ

・秀吉や家康は「政治家」だったが、官兵衛は「芸術家」だった。芸術家というものは、自分の描いた絵をみんなに見てほしい、自分の作った音楽をみんなに聴いてほしい。自分が表現したいものを外に出していく。心の裡にあるものを押し隠すことはできない

・官兵衛の言葉「夏の火鉢、旱(ひでり)の傘」は、底冷えする冬になれば、火鉢は役に立ち、雨降りには、傘が役立つことを言っている。一方的に「あいつは使えない」と判断してはいけない。いいところを引き出してやるのが、上に立つ者の役目だ、ということ

・官兵衛の「相口、不相口」というのは、相性の合う人には、つい贔屓目になり、相性の合わない人には、話を聞く耳を傾けずに遠ざけてしまうし、ちょっとしたミスも気に障る。そういうものだから、私心が入り込んで目が曇らないように注意すること、という意味

・官兵衛の「将たる人は、威というものなくては、万人の押へ成りがたし」というのは、大将たる者には威厳がないと、人々の抑えがきかないが、威厳というものを誤解して、やたら威を振るってはいけない、という意味

・真のいくさ人とは、いかなるときも肚がすわっていなければならない。しかし、石田三成は目先の現象にとらわれ、大局を見ていなかった。「これがこの才子の限界であろう」、官兵衛は三成の人物を見切った

・秀吉は官兵衛の才知を恐れたが、「由々しき曲者」を利用することを忘れなかった。中国戦線以降も、官兵衛を脅かしながら使い続けたのは、人使い第一といわれた秀吉の狡さ

・官兵衛は、息子の恩人であり、また自分の進むべき道を示してくれた竹中半兵衛の志を、遺品の軍配・采配とともに受け継ぐ。官兵衛はこのとき、半兵衛が説いた「まことの軍師」になることを胸に誓った

・官兵衛は、その昔歌人を目指すほどの文学青年であり、それゆえどこか純粋な「ロマンチスト」な部分を生涯持ち続けていた。そこが、「リアリスト」竹中半兵衛との違い

・官兵衛は福岡城中に「異見会」を設けた。これは「月の上中下旬の三回開く」「場所は大広間」「誰が出席してもよい」「会議内容の秘密を保持し、低身分の者が上級者を批判しても、上級者はわだかまっても、人事で報復してはならない」という民主主義的な会議

・如水(官兵衛)は隠居した後、毎日歩いて、町の人々に声をかけ、意見も聞いて、息子に「こういうことを聞いたぞ」「このへんを直したらどうか」と、世論を受け入れた

・如水は、息子長政に「われひとりの功を好むは匹夫の勇にして大将たる道にあらず」と、武功を誉めることなく、逆にその行動を戒めた

・時を待った結果は、裏目に出た。筑前五十二万石が与えられただけ。天下無双の博打うちも無駄に終わった。あとは身を引く以外になかった。如水ではどうにも手をつけられないくらいに徳川政権は構成されていた。残されたのは、茶と歌とキリスト教だけだった

・如水は長政を呼び寄せ、「上天子より下百姓に至るまで、一日として食物がなくては世に永らう者はない。国を富まし士卒を強くすることが根本第一」と遺言した



黒田官兵衛は天下獲りを十分に狙えた人物です。最終的には、筑前の領主となりましたが、無念だったと思います。いつ、どこに生まれるか、誰を上司に選ぶか、決断するのはいつか、などによって人生はガラッと変わってしまいます。

まさに、運と実力に恵まれないと、勝者にはなれません。信長、秀吉、家康だけでなく、戦国武将たちの生き方は、我々に多くのものを教えてくれます。本書もその一助になるのではないでしょうか。


[ 2014/01/10 07:00 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)

『チャーチル150の言葉』

チャーチル150の言葉チャーチル150の言葉
(2013/05/16)
不明

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チャーチルは、第二次世界大戦開戦当時、イギリスの海軍大臣を務め、後に首相となって、イギリスを戦勝国に導きました。また、別の顔として、1953年にノーベル文学賞を受賞しています。

政治家であり作家であったチャーチルには、さまざまな名言が残されています。それらを150にまとめたのが本書です。意味深な言葉が数多く載せられています。それらの一部を要約して紹介させていただきます。



・決してあきらめてはならない。決して、決して、決して。事の大小にかかわらず、人生の大事であれ些事であれ、決してあきらめるな

・確実な勝機を見逃してはならない。目の前の戦いが血を流すことなく、簡単に勝つことができるにもかかわらず、もし戦わないというならば、生き残るのが難しい状況で、いつか戦わなくてはならない日が来るだろう

・今立っている場所の両側に断崖絶壁があるとしよう。一方は「慎重過ぎる」という断崖。反対には「大胆過ぎる」という断崖だ

・多数派の意見が癌を治すわけではない。必要なのは治療だ

・われわれの将来は自らの手の中にある。われわれの選択したものによって、人生は作られるのだから

・長い人生では状況は移り変わる。その中で首尾一貫した態度を貫く唯一の方法は、常に不動の人生の目的を持ち、それ以外は状況に合わせる柔軟性が重要だ

・一生起こらない物事を先回りして心配し、心配することで人生を費やしてしまうほど、無駄なことはない

・人生は謎解きゲームだ。死ぬ時にその答えがわかる

・唯一、味方同士で争うより悪いことがある。それは味方無しに孤立無援で戦うことだ

・国家の強靭さとその文明は、建築現場で足場を組むように出来上がるものではない。その成長はむしろ植物や樹木の生長に近い。育てることに比べたら、木を切り倒すことはひどく容易なものだ。だからこそ次の木を植える前に、誰もその木を切り倒してはならない

勇気とは立ち上がり、発言すること。また同時に、着席し、耳を傾けることも勇気である

・苦い薬を飲み干す方法はただ一つ。一気に飲み干すしかない

・金は機嫌をとるための賄賂として使うこともできるし、結果を出すための「テコの原理」のテコとして使うこともできる。テコとして使った場合は、大きなものを小さな力で動かすことができる。支点、力点、作用点がどこにあるかをよく考えて金を使おう

外交とは、相手の感情を損ねることなく、明白な真実を伝える特殊な技術のこと

・どんな逆境にあっても、良心を持とう。唯一、良心こそが自分を守る盾となる。人々の心ない中傷から守る盾となるのは、自らの良心に基づいた、清廉潔白で公正な行動なのだから

・すべての叡智は新しいものではない。先人から学んだもの

・理想の姿なくして人間は進歩できない。だが、他人の犠牲の上に成り立つ理想主義は、最高の思想となることなどあり得ない

・人々の憤りを喚起できるのは、自分の心が真の怒りに満ちている時だけだ。人々に涙を流させるには、自分も心から涙を流さなくてはならない。人を説得するには、自分がその事実を徹頭徹尾、信じていなければならない。真実の感情だけが人の気持ちを動かすのだ

・深淵で豊かな知識なくしては、想像力は危険な罠に過ぎない

・貧困という代償を払って平等をとるのか、不平等の代償として繁栄をとるのか、どちらが良い選択だというのか

・若い時には自由と改革、中年には思慮分別のある妥協、老年期には安定と休息がもたらされる


チャーチルは前向きで、我慢強い人です。その性格がもたらされたのは、希望や目標があったからではないでしょうか。

しかも、希望や目標に向かって、知性や知恵を積み重ねていくことで、その性格を強固にしていったのかもしれません。本書は、チャーチルを簡潔に知ることができる書です。


[ 2013/11/22 07:53 ] 偉人の本 | TB(0) | CM(0)