日本の名僧が「書」で文字に記した言葉を、「
天台系」「
真言・密教系」「
浄土教系」「
禅系」の4部門から選んだ本です。その名言にわかりやすい解説が付いています。
これらの名言は、掛軸などで、床の間に掛けられ、作品としても、愛でられてきたものです。じっくり吟味できる内容になっています。その一部を紹介させていただきます。
・「他不是吾」(道元)
他の人がやったことは、自分のやったことにはならない。仏道修行は代理がきかない
・「資生業等皆順正法」(法華経)
日々の生活が、様々な人に支えられていることに気づき、各々の境遇で真剣に努め励み、周囲を幸せにしていく生きざまが、
仏の道にかなっている
・「己を忘て己を忘れざれ」(鈴木正三)
自己を忘れ
無我になって、しかも自己を大切に守らなければならない
・「何の事業も皆佛行なり」(鈴木正三)
いかなる職業に従事していても、それがみな仏道にかなった行いである
・「一筋に正直の道を學ぶべし」(鈴木正三)
ひたすらに
正直の道を学んでいくべきである
・「佛道をならふといふは自己をならふなり」(道元)
仏道を学ぶということは、
自己を学ぶということである
・「まことの道を好まば道者の名をかくすべきなり」(道元)
真実の道を生きるのであれば、道を行ずる自分自身の名前を他人に知られようとせずに
隠すべきである
・「只心をはつしと用 一切を吐出して常に隙にて居給べし」(鈴木正三)
ただ心をはっしと用い、一切を吐き出して、常にすかっと
空になっておられよ
・「常に死習って死の隙を明 誠に死する時 驚ぬやうにすべし」(鈴木正三)
常に死ぬことを習って、死ぬということがよくわかって、本当に死ぬ時、
驚かぬようにしなさい
・「我有りと思ふ心を捨てよただ 身のうき雲の風にまかせて」(一休)
自分が存在すると思う、その心を捨てなさい。浮雲が風にまかせて流れ行くように
・「極楽に行かんと思うこころこそ地獄に堕つる初めなりけり」(夢窓疎石)
極楽に行きたい行きたいと願う心が
地獄に堕ちる原因の第一歩である
・「すみすまぬ こころは水の泡なれば 消たる色や むらさきの雲」(一遍)
澄んでいようが濁っていようが、この身の心は、はかなくもろいもの。この心の様々な色が消えた後にこそ、紫の雲がたなびくのだ
・「佛法を修行するとは佛法を習ふにあらず 我僻事を破るなり」(一休)
仏法を修行することとは、仏法を習うことではない。自らの
誤った考えを破ることである
・「身の咎を己が心に知られては 罪のむくいをいかがのがれん」(至道無難)
自分の間違いを自分の心に知られた以上、その罪の報いから逃れることはできない
・「世の中にまじらぬとにはあらねどもひとり遊びぞ我は勝れる」(良寛)
世の中の人々と付き合わないというのではないが、一人で詩歌や書にふけるほうが、自分にとっては好ましい
・「若し人心にかなふことを愛せずば心にそむくこともあるべからず」(夢窓疎石)
もしも自分の
気に入ったものに執着することがなければ、気に入らないことが起こることはない
・「見ず聞かず言わざるの三つのさるより思わざるこそまさりけれ」(良源)
悪事を見たり、聞いたり、悪口を言ったりしないことはもちろんのこと、悪いことを考えたり、思ったりもしてはならない
・「さけばさきちるはをのれと散るはなの ことはりにこそ身は成りにけり」(一遍)
花が咲き誇れば、その後は必ず散りいく花となる。これが
自然の道理。我が身もこの道理そのものだ
本書には、1000ほどの仏教名言が収められています。どうしても、自分の好みから、道元、一休、夢窓疎石、鈴木正三などの
禅僧の言葉が多くなってしまいました。
本書には、浄土系、天台系、真言系などの僧侶の言葉も豊富に載っています。それぞれの気に入ったものを拾い集めてみるのもいいのではないでしょうか。