とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『言葉でたたかう技術・日本的美質と雄弁力』加藤恭子

言葉でたたかう技術言葉でたたかう技術
(2010/12/07)
加藤 恭子

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外交は「言葉」の戦い、経済は「お金」の戦い、戦争は「軍事」の戦いです。日本は、平和ボケが続いたせいか、言葉の戦いが低レベルです。

そこを周辺国家に巧妙に突かれているのが現状です。それを防ぐには、どうすればいいかのヒントが本書に詰まっています。その一部をまとめてみました。



・日本人は「島国人間」、周囲のほとんどの国の人々は「大陸人間」。友好的な場では、「島国人間」のやり方をすればいいが、対立的になったら、やり方を変えること

にこにこ、にやにやを続けてはいけない。相手の出方によって、こちらも表情を変えること。厳しい表情になったら、それに見合う言葉も出てきて、反論もしやすくなる

・日本人同士なら、初対面の他人といえども、「島国人間」同士だから、ある程度察しはつく。ところが、欧米人相手では、何が飛び出してくるかわからない。思いもかけない頼みごと、批判、非難、説明の要求などが来たりする

・他者との会話や交流において、多くの日本人は「丁寧か」どうかに気を使う。だが、欧米人で、形式を重んじる人は一部。多くの欧米人は「誠実か」どうかを重んじる

・言い難いことでも、敢えて言う。それが誠実さの一つの要素。欧米では、誠実な人間とは、自己の意見、思っていること、感じていることを心から語り、自分の正しさに自信を持っている人のことを言う

・日本人同士では、けんかをすれば不仲になるが、アメリカ人とは、けんかをしたほうが、あとで仲よくなれる場合が多い

アメリカ人の人材評価。「演出力、表現力、発表能力に秀でている」「個の主張が強いが、相手の個も尊重する」「コミュニケーションを大切にし、上手」「意見の違いと対立を恐れない」

・誇張は嘘ではない。少々芝居がかっているだけ。それが自己の主張を通すやり方。少なくとも、大陸世界においては「雄弁は力なり

・日本は、地理的にも、文化的、宗教的にも、孤独な存在。主張すべきこと、発信すべきことが多いのに、それをあまりしてこなかった。「文化通訳」なり、「仲介役」なり、専門家を養成し、活用する専門機関の設立が必要

・個人としては、政府に不満を抱いても、外部からの批判に対しては、団結して政府の味方になるのが、世界のエリート層。日本では、エリート層が政府の味方になっていない

・日本の弱みは、相手を理解していないこと。相手を理解してこそ、こちらも理解してもらえる。説明を求め、こちらも説明し、理解し合える人を作ることが必要

・「島国人間」の日本人は、異文化間の軋轢の怖さを忘れている。知識として知っているだけ。説明下手でいられるのも、その怖さを本当に知らないから

・日本人は、「繰り返し」が嫌い。「きちんと説明したのだから、それで充分なはず」「何回も同じことを言うのは、くどい」というのが日本人的感覚。しかし、国際関係では、反撃は、何度でも、繰り返さなければならない

・国際外交の世界では、対外的に強く発信しないと、向こうの主張が正しく、こちらは「魔女」にされてしまう。こちらの意見に耳を傾けず、言いがかりをつけてくるような強い態度に出てくる相手には、こちらもより強く出る

・日本の立場に同意しない国々には、説得を続ける。そして、利害関係が一致する国々とは、手を結び、問題に立ち向かうよう働きかける

・国と国との利害の衝突においては、第一段階として、言葉による外交交渉での解決の努力がなされるもの。武力の行使は最終段階。不戦を誓う日本人にとって、言葉と情報は、残された唯一の紛争抑止の手段であり、衝突回避の手立て

・「武器に替わる、武器としての言葉」という発想が必要。「軍事力」に代わるものとして、「言葉力」を強めなければならない

・国内政治と国際政治とでは、原理が違う。日本の政治家は、複雑かつ多方面な外交を全世界で展開するために、もっと外務省を強化し、その専門性を使うべき。政治家とは、言葉によって闘う職業。「口下手」「説明下手」ではすまされない



日本の政治家は、左や右の思想を問わず、周辺国家からの言葉の戦い、情報の戦いに、逃げ腰です。軍備云々の前に、言葉でやり返さないと、日本の主権は守れません。

そして、左右の人たちは、国内では論争していても、対外的には、一致団結して戦うのが大人の行動であり、エリート層の行動です。そこら辺のところが忘れられているのが、日本の嘆かわしい現状ではないでしょうか。

[ 2014/08/25 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『自衛隊の仕事術160の金言集』久保光俊、松尾喬

自衛隊の仕事術 160の金言集自衛隊の仕事術 160の金言集
(2012/03/07)
久保光俊、松尾喬 他

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著者の本は、「自衛隊ゲリラ式ビジネス戦闘術」「自衛隊の仕事術」に次いでの紹介です。

特に、本書には、自衛隊という最強組織の原理原則がいっぱい記されています。その一部をまとめてみました。



・失敗は、曖昧な目標、技術不足、投入資源の不適切よりも、情報不足によって起きる

目的なしで集めた情報は、かえって混乱をきたすムダな情報群になってしまう

・どんな質問も、部下の理解度や自分の説明不足がわかる指標になり、相互理解を深める

・「定時通信」の時間を設けておくと、計画的な情報の送受が効率よくできる

・「原理原則」はいろんなところで使える。後々に反芻しやすく、相手の心への定着が早い

・人に何かを話すには、失敗談から入ると、引き込まれる人が多くなり、伝わりやすい

・「どうしましょうか」は子供、「こうしましょうか」が大人

・相手が未熟なら、工程説明を多く。相手がプロなら、結果イメージを伝えるだけ

マニュアル化が「情報伝達の最終形」。誰でもいつでも見られるマニュアルがあれば、いちいち情報を伝達する時間が省け、自分がいなくても情報が伝達していく

・愛嬌とは、怖いのに、オチャメということ

・速く進みたければ、1人で行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け

・愚痴や文句を言う社員はどこにでもいる。リーダーは、そういった依存者を自立者に成長させ、相互依存できる組織へ進化させる指導を行うもの

できるリーダー4つの原則。「1.目標設定できる」「2.仮説を常に立てる」「3.できる工夫を見つけ出す」「4.人を動かし、自分の時間をつくる」

・制服は「私」より「公」を優先する制限服

・部下に仕事を頼むときは、時間見積もりを告げて、時間制限を考えさせる。そうすると、部下は、時間と仕事の量を意識して動くよう工夫を始める

・人を育てるときのポイントは、その人に考えさせる「自主裁量の余地」を与えること

・失敗は許せ、嘘は許すな

・指揮官と隊員の役割交換の訓練を行えば、隊員のパフォーマンスが驚くほど進化する

・コストカットしたいなら、人を育成して、1人で広範囲の仕事、2人分の仕事量をこなせる人材にすること。人の成長が、実質的なコストカット

・利益は成果の尺度であり、リスクの保険、発展の条件

・会議は、決定事項をつくるためとアイデア合戦をするためにある。アイデアを出さない人は参加させない

・情報の共有や公開がよしであっても、腹の中に一物二物持っておくのがプロの流儀

7つの大罪は、「無視・無関心・子供扱い・ロボット・たらい回し・冷淡・ルールブック」

・強さとは、他人を優先すること

・引用は好意を持ってもらう秘訣

・「強く凛々しい自分」を演出できてこそ、部下は後ろをついてくる

・「自分を主語」にする人は、「がる人」。「強がる」「自慢したがる」「口を挟みたがる」

・やりがいとは、制限の中で自由を発揮すること

・行動に迷ったら、目的を再確認すること



自衛隊は、判断ミスや悪い予兆の放置などが、人の生死と密接に関わるところです。その厳しさは、ビジネス世界の比ではなく、自衛隊に学ぶべき点がたくさんあります。

本書は、自衛隊の原理原則が学べる良書だと思います。


[ 2014/08/11 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『逆境に強い心のつくり方・システマ超入門』北川貴英

逆境に強い心のつくり方 システマ超入門―ロシア軍特殊部隊が生んだメソッド (PHP文庫)逆境に強い心のつくり方 システマ超入門―ロシア軍特殊部隊が生んだメソッド (PHP文庫)
(2013/06/05)
北川 貴英

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本書は、武道愛好家の中で注目されている「システマ」というロシア軍特殊部隊で使われている技術と、その実社会面での使い方について解説したものです。

特に、窮地における心の落ち着かせ方、身の守り方、対立を避ける方法、群集心理から離れて自由な発想を養う方法など、生きる上で役に立つことが記されています。参考にすべき点が多々あり、その一部をまとめてみました。



・システマの格闘術や呼吸法は、「体力をつけ、精神力を高めることで、攻撃しない人間になる」ためのもの。自分を殺しにきた敵さえも癒してしまう技術

・少しでも緊張や不安、怒りなどを感じたら、すぐにブリージング(鼻から息を吸い、口をすぼめて「フッー」と軽く音を立てつつ吐く呼吸法)をする。タイミングに悩む必要はない。思い立ったらすぐにブリージングする

殺人事件の大部分は、素性をよく知る人との感情的なこじれが発端。まずは、感情的にならず、リラックスして人と接し、円満な人間関係を築いていくことが確実なサバイブをもたらす護身術

・システマで学ぶマーシャルアーツ(格闘術)の技術はすべて、誰かを傷つけないことを最終的な目的としている。それは「破壊の否定」。目指すべきは、対立関係を速やかに終わらせ、誰ひとり傷つくことなく無事に生きて帰れるようにすること

・攻撃を受ける時、恐怖心が芽生える。それに伴い、筋肉が緊張し、脈拍が速まり、呼吸が浅くなり、視野が狭まり、頭の中が真っ白になる。マーシャルアーツは、他者による精神的ストレスが迫る中で、冷静さとリラックスを保っていくのかを自分に問いかける練習

・普通とは、「余計な緊張がない状態」と言い換えられる。恐怖心をコントロールすることで、普通の精神状態を保つことができる

威嚇とは、相手の精神に揺さぶりをかける行為。だから、威嚇を受けた際に、怒りや恐怖心を抱き、動揺してしまった時点で、威嚇が成功したことになる。予想通りに事が進むことで、相手は安心し、さらに強い態度に出て、自分の要求を強く主張してくる

・威嚇してくる相手に逆に動揺を与えるには、こちらが動揺しないこと。威嚇されても動じることなく、落ち着いているだけで相手は混乱し、恐怖心が芽生える。ここで威力を発揮するのがブリージング。身体と心をリラックスさせた後に、話し合いに応じること

・自分の身体にどれだけ怒りが溜まっているかをチェックするには、ミゾオチに指を差し入れてみるといい。指が入らなかったり、吐き気がするほど不快感があれば、黄信号。こうした緊張をほぐしていくことで、怒りにくい状態に整えていくことができる

リラックスしすぎもよくない。身体が緩んで重くなり、動くのが億劫になる。気力も萎えて、行動力や決断力が鈍る。身体が緊張しすぎれば動きは硬くなるし、リラックスしすぎれば今度は重く鈍くなる。いずれにせよ、スムーズで自由な動きが損なわれる

速く動くためには、ゆっくり動く必要がある。一見遠回りにも思えるこのプロセスは、無駄を省き、最小限の労力と手間で、最大限の効果を得るための一番の近道

・必ず3割程度の余力を残し、力尽きても、必ず回復して力を取り戻すようにする。動きを止めることは、戦場では死を意味する。余力を残すことで生存率は高まる。全力を尽くしても、途中で力尽き、燃え尽き症候群になっては、理想を実現するのも困難となる

・大切なのは、一点に意識を集中してしまわないこと。意識を一つの対象に集中させることで姿勢が曲がり、視野が狭まり、致命的なミスに繋がる危険性が高まる。周囲の360度に意識を向けつつ、リラックスし、止まることなく動きを続けていくようにする

・人の上に立つ人は、まず自分自身が落ち着き保つ必要がある。リーダーの役目とは、学校の先生のようなもの。騒ぐ子供達に言うことを聞かせるには、まず注目を集めなくてはならない。一緒になって騒いでいたら、自分に注目させることはできない

・毅然とした態度で呼びかけ、誰がリーダーであるかを再認識させ、部下たちの意識を束ねた上で、的確な指示を出せば、チームは大きな力を発揮する。適切な判断力を持つリーダーが「大きな脳」の代わりを務めることで、群集心理の持つ性質がプラスに転じる

・人は遠くに行こうとすればするほど、多くの人の助けを必要とする。近所のコンビニであれば、一人で行けるが、エベレストに登頂するには、多くの人との助け合いが必要

・カチンときて、言い返してしまうのは、相手の影響下に入ってしまったことを意味する。



感情をコントロールして、精神を落ち着かせることは、人間としての修行かもしれません。武道で訓練することで、その領域に達することが可能です。

心技体のバランスを保ち、堂々とできることを目標に生きることは、大切なことではないでしょうか。


[ 2014/06/23 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『人間における勝負の研究』米長邦雄

人間における勝負の研究―さわやかに勝ちたい人へ (ノン・ポシェット)人間における勝負の研究―さわやかに勝ちたい人へ (ノン・ポシェット)
(1993/02)
米長 邦雄

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著者は、将棋の米長邦雄さんです。一昨年亡くなられましたが、永世棋聖で、元日本将棋連盟会長をされていました。本ブログで著書を紹介するのは、「六十歳以後・植福の生き方」以来です。

本書では、将棋の世界で培った勝負勘の磨き方について詳しく述べられています。「勝負師」の意見には、参考にすべき点が多々あります。それらをまとめてみました。



・最善手を見つけることも大切だが、それよりもっと大切なのは、悪手を指さないこと。だから、悪手でない道なら、端でも真ん中でも、どこを歩いてもよい

・勝負とは、「実力の差」を別にすれば、それは、「確率」と「勢い」と「」の三つ

・本当に自分のしたい仕事があるのなら、会社に行って席についた瞬間から、必死になってそれを始めてしまえばいい。すると、その気迫は必ず周囲の人に伝わって、その人に雑事は頼めなくなる。少なくとも、雑事を頼むときには、都合を聞いてくるようになる

・最終的に頼れるのは自分自身の力だけ。このことがわかっていないと、成長できない

・何ごとにせよ、まず「集中力の持続」が勉強の要。試験であれ、芸の道であれ、青春時代に合計5~6000時間集中的に努力を維持した者が認められるというのが、世の中

・カンというのは、ものすごいスピードで考え、読み切った結果として生じるもの。あるいは、読まずに済むところは読まないで済ますこと。つまり、「読み」の省略があること

・第一感というのは、「長考に妙手なし」。大事なことだからこそ、簡単に決めるべき

・強くなるためには、物事の好き嫌いをなくすこと。人間を鍛える場合に「好き嫌い」などという甘えた考えは認められない

長所を伸ばすという教育法は、アマチュアの芸で、成長のきっかけとしては認められるが、プロには当てはまらない

・まずいのは、勝ちそうになった時、ああじゃこうじゃ、と喋ること。これは勝ちを逃す

・100点に向かって全部の力を出し切る時がなくてはダメ。危険を承知で、あえて踏み切っていくうちに、成長していく

・トップクラスの将棋の間には、読みの能力、思考の能力において、差はない。ギリギリのところまで力を高めた同士が戦った場合、勝敗を決するのは、ほんのわずかなカンの差

・難局になると、相手の側に立って考え、一番難しい手を指し、相手がわからなくなるような局面に導いていく。いわば泥沼に引きずり込む

・強い棋士ほど、パターンから外れて戦おうとする。つまり、パターンで戦うというのは、強い人と弱い人との間にある力の差が出にくいということ

・泥試合になったら、本当の力の勝負になる。力の勝負になれば、順当に強い者が勝つ。だから、強い人ほど泥沼で戦いたがる

・「弱い者ほど結論を先に出したがる」というのは勝負の鉄則

・世間の噂や誤解に基づく非難に対しては、しばらく、じっと静かに耐えているのがいい。こちらが正しければ、そのうち真相がわかってくる。不利な時に騒ぐのが一番まずい

・少し勝ち続けると、人は遊びほうけたり、気が大きくなる。勝っている時にはじっとしているのが大切。遊ぶのは負けている時のほうがいい

・好調を維持する時や、不調から脱出しようとする時は、「勝ってほしい」と本当に思ってくれる人と会うのがいい。墓参りに行くのもいい。先祖は、よかれと思ってくれている

・サラリーマンで、会社に貸しをつくった人は、会社の中で住みやすくなる。その人に対して、つまらない文句を言う人がいなくなるから

・遊びとは、仕事の影。だから、大きな仕事の影は、やはり大きくて当たり前

・集中力がなければ、何事をやっても成功しない。少年時代に集中力を身につけるのが一番の財産



将棋の「勝負の研究」だけでなく、人生の「勝負の研究」にも幅広く言及されています。20年前に書かれたものですが、ずっと版を重ねている書です。

人生とは、選択と勝負の積み重ね。白黒をはっきりさせないと、進めないものかもしれません。


[ 2014/04/28 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『自衛隊の仕事術』久保光俊、松尾喬

自衛隊の仕事術自衛隊の仕事術
(2011/10/05)
久保光俊、松尾 喬 他

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陸上自衛隊教育室室長であった著者の本を紹介するのは、「自衛隊ゲリラ式ビジネス戦闘術」に次ぎ2冊目です。

本書には、「日本最強の組織」と言われる自衛隊の人づくり、組織づくりの手法が明確に記されています。人の育成と統率において、参考になることだらけです。その一部をまとめてみました。



・「広くを視よ、遠くを視よ」は、敵の状況を偵察するときの方法。「大観小察」とも言う。「広くを視る」とは、全体の概況を掌握した上で、目標を定めること。「遠くを視る」とは、時間的な先の展開を予測して、そこから逆算して、今何をすべきかを考えること

・「正早安楽」を意識すれば、「作業(JOB)」が「仕事(WORK)」になる。自衛隊の訓練においては「正」を徹底する。「正」を繰り返すことにより、「早・安・楽」が出来上がる。「早・安・楽」が「正」に先行すると、訓練は成り立たない

・優先順位をつけるのはなかなか難しい。そのときは劣後順位を考える。劣後順位とは優先順位と逆で、後回しにしても、影響の少ないもののこと

・迅速な機動力は習慣によって身につく。新人の訓練では「3歩以上は小走り」を徹底している

・「遅れる1人、待つ10人、心にはめよ、腕時計」は昔あった自衛隊の標語。時間厳守は自衛隊の基本中の基本。新人に最低限要求すべきは「時間を守れ」ということ

・敵にとって、指揮所を攻撃され、指揮官を失えば、不安になり、士気が低下し、戦意を喪失する。「物」と「心」の拠りどころを制することができれば、人的・物的損害が少ないうちに勝てる

・作戦が失敗する原因には、目標や要求内容の不明確さ、技術の未熟さ、投入資源の不適切さ、部隊内のコミュニケーションやマネジメントのまずさなどが挙げられるが、一番の要因は、情報の不足や不適切さ

21世紀の5大変化とは、「1.情報の急増と加速化」「2.距離の消失、グローバル化」「3.人口構造の変化」「4.インターネットによる買い手の主導権化」「5.あらゆる境界の消失」

・熱意をもとに共感を得るには、「1.理念を言う、意義を言う、目的を言う、目標を言う、手順と作戦を言う」「2.参画してくれたらありがたいと訴える」「3.自分はやる!ともにやろう!と求める」こと

執念のある者は、可能性から発想するが、執念のない者は、困難から発想する。「執念」とは「主体性」のこと。主体性を持たずに、誰かに依存・従属している者は、困難からしか発想しない。すぐにできない理由をあげつらう

・戦闘は「自由」の争奪戦であり、不自由な状態から早く「自由」を獲得したほうが敵に勝てる。勝つということは自由の獲得。最大の達成感があり、やりがいとなる

・オチコボレたちに3配(目配り、気配り、手配り)することはエコヒイキではない。最弱者への温かいケアは、他の者も、ときによって最弱者に転落するかもしれないので、彼らからの共感を得やすい

・企業内の個々人が顧客に対して、会社の評判を下げないように気をつけるべきことは、「1.無関心」「2.無視」「3.子供扱い」「4.ロボット(言われたことしかしない)」「5.たらい回し」「6.冷淡」「7.ルールブック(会社の決まりでできないという答え)」

・指揮官は、常に「自分がどう見られているか」という、「1.積極性の点検」「2.不快感を与えていないかの点検」「3.参加意識の演出の点検」「4.連帯感の点検」「5.偉そうになっていないかの点検」が必要

・人を育てるときのポイントは、いかに部下に考えさせるか。考えさせるためには裁量権を与えなければならない。その裁量権を前に悩み、考え、実行する力が部下の力量

・「1対30」と「1対1×30」の違いは、「一斉教育だけ」が「1対30」、「個人教育を意識した一斉教育」が「1対1×30」。「1対1×30」は「上級の教え方」

・「和をもって滅びる」とは、和を大切にしすぎたせいで、互いに甘やかし、切磋琢磨しなくなること。異動の少ない部署や刺激の少ない場所で起こりやすい。このとき「叱る人」がいれば幸せ。なぜなら、人は叱られることで自分を知ることができるから



著者の言う「自衛隊の仕事術」とは「正早安楽」が基本となっています。「正」=ミスの最小化、「早」=仕事のスピードアップ化、「安」=コストダウン化と安全化、「楽」=もっと楽にできないか、楽しくできないかの工夫、です。

このような極めてシンプルな考え方で運営されています。これらを愚直に遂行することでしか、キビキビトした行動は生まれないのかもしれません。


[ 2014/04/14 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『勝ち続ける意志力』梅原大吾

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)勝ち続ける意志力 (小学館101新書)
(2012/04/02)
梅原 大吾

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著者は、1998年に17歳で世界一のプロゲーマーになってから、「最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」として、ギネスに認定されている方です。

世界一になっても、世界一で居続けることは難しいものです。その課題に、どう立ち向かっていったのかが、本書に記されています。

将棋、囲碁、麻雀のプロが書いた本を何度も読みましたが、プロゲーマーの本は初めてです。日進月歩変り行く世界なので、それにどう対処されたのか興味が湧くところです。その一部をまとめてみました。



・プラスとマイナス、その両方を分析して努力を続けない限り、勝ち続けることはできない。自分の才能に頼るとか、一つの勝ち方にこだわるような人は、必ず落ちていく

・勝ち続けるためには、勝って天狗にならず、負けてなお卑屈にならないという絶妙な精神状態を保つことで、バランスを崩さず真摯にゲームと向き合い続ける必要がある

・自分が勝てたのは、知識、技術の正確さ、経験、練習量といった当たり前の積み重ねがあったからで、得体の知れない自分という存在が相手を圧倒して手にした勝利などでは決してない

・センスや運、一夜漬けで勝利を手にしてきた人間は勝負弱い

・勢い任せで分析を怠ってきた人間は、究極の勝負の場面でススススット引かざるを得なくなる。覚悟を持って戦いに挑んでいる相手を前にすると、自信を持って前に出て行くことができなくなる

・周りの人間は結果のみで評価する。だから、自分にしか分からない努力を続けている最中は、誰にも認められない。物事の表面しか見ることができず、深く考察しない人間は、努力の過程を見ることなく、結果だけを見て、バカだ無謀だと吐き捨てる

・自分だけのもので、永遠に自分を勝ち続けさせてくれるものは、新しい戦術(特許)を生み出す努力であり、発見に必要なノウハウ。そこに気づいてから、真似されても何とも思わなくなった

・気になったことは必ずメモする。後で絶対に解決しないといけないと心に決め、直感的に「問題になるかも」と感じたことは、すべてわかりやすく箇条書きにする

・ゲームの世界での日々の変化とは、専門的な戦術(攻め方、守り方、攻撃パターン、技の組み合わせ、技を出すタイミング、自分が選ぶキャラクターと相手が選ぶキャラクターの相性・・・)。対戦というものを細分化し、少しずつ変化させる

・勝負の世界において、人の目を気にすることはマイナスでしかない。なぜなら、人の目を気にしていると本来やるべき行動を継続できないから

自分を持っている人は、「俺はこれでいい」と確信できている人なので、圧倒的な集中力がある

集中力とは、他人の目を排斥し、自分自身とどれだけ向き合うかにおいて養えるもの

・結局、型にはまってしまうのは、失敗を避け、有名になりたいとか、目立ちたいとか、誰かに認めてもらいたいと願う欲望。その欲望が自分を萎縮させてしまう

・「自分が正しいと思った行動をしてみる」という子供のような純粋さを取り戻したことで、勝率が上がった

・人の心を動かすのは、やはり本能に従った純粋なファイト

・考えることを放棄して、ただ時間と数をこなすのは努力ではない。それはある意味楽をしている

・自分を痛めつけていると、努力しているような気になる。しかし、そんな努力からは、痛みと傷以外の何も生まれてこない

・甘すぎることもなく、厳しすぎることもない。10年続けられる努力であれば、ちょうどいい



最後に、著者は、「勝ち続ける人間は、運が悪くても勝てる道を追求し続ける」。そして、「運・不運なんて関係ないと断言できるようになった者のみが、運・不運すらも超える、神の領域へと踏み込んでいける」と述べています。

運を味方につけて勝つのではなく、不運でも勝つことが、勝ち続けるということではないでしょうか。


[ 2014/03/31 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『「勝負強さ」の探求―“いざ本番”に強くなる!』折茂鉄矢

「勝負強さ」の探求―“いざ本番”に強くなる!「勝負強さ」の探求―“いざ本番”に強くなる!
(2003/03)
折茂 鉄矢

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著者の本を紹介するのは、「勝負強さの研究」に次ぎ2冊目です。勝負事を研究して、この道50年の方です。

本書にも、野球、サッカー、マラソン、ボクシング、ゴルフ、相撲、柔道、剣術、兵術、将棋、囲碁、競馬、投資、ギャンブルなどの勝負事での戦いの事例が満載です。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・強さを、「技量」「体力」「精神力」「駆け引き」「運」という5つの要素でとらえてみると、上級者レベルでは、実力は「精神力」「駆け引き」「」を膨らませることによって生ずる

勝負強さとは、1.「勝機をつくる力がある」2.「勝機を確実にモノにする力がある」3.「逆境にしぶとい」4.「接戦、乱戦に強い」5.「終盤に本領を発揮する」6.「ここ一番に強い」7.「プラスαの力を発揮する」ということ

・勝負事は、守りの原則、攻めの呼吸、状況判断、決断、困難の克服、抵抗力、戦い続けることの価値、といった競争社会でのし上がっていくために必要なトレーニングの場

・「勝つときがあれば、負けるときもある」という境地は、勝負師の落とし穴ともなる

・「兵は勝つを貴ぶ」とは、戦うのが仕事なのではなく、勝つことが仕事であるという意味

・「互角ならいただき、競り合いになればこっちのもの」という自信がぶつかり合うところに、勝負の面白さとすごさがある

・挫折や敗北を受け止め、「泣きの体験」をバネにし得た者だけが真の強者となれる

・「将棋の勝ち負けは悪い手で決まる。悪い手を指さなければ、相手の好手でリードされても挽回可能な範囲。長期間では、悪い手を指さないタイプのほうが強い」(大山康晴名人)

・「形勢判断は登山者の地図と磁石、航海する船の海図と計器。これなしに進むのでは危なくてしょうがない。冷静に局面を判断し、優勢ならガッチリ打つ。劣勢と見れば、思い切った勝負を決行する。着手の方針を定める議決機関が、形勢判断」(石田秀芳本因坊)

・優勢の戦力といえども、集中力を欠ければ敗れる。「同じ力なら、分散したほうが負け、集中したほうが勝ち」とは、兵力の数においても、個人の戦闘能力においても言えること

・人生も勝負事も、最後はナニクソの戦いである

・完璧主義者には、一度崩れると歯止めがかからない脆さがある。だが、八十点主義者には、叩き上げのしぶとさがある

・建築用語でいう「わらい」は、石垣などを積む場合、わざと石の間を少しあけておく。これによって、石垣は自然の柔構造物となり、地震のショックを緩和して受け止める

・宮本武蔵の「五輪書」では、敵の心の動きを知ることの大切さを説く。「陰を動かす」というのがそれで、敵の意図が判明しないとき、わざと攻撃するように見せかけたり、不意に打ち込むと、その反応で、目に見えない相手の陰の心の動きを知ることができるという

・大義名分を掲げることは、時の勢いに乗り、世論を味方に戦うということ。戦いの相手は眼前の敵だけではない。周囲の人々を敵にするか味方につけるか、その差は大きい

・非勢と見たら、勝負回数を減らす賭け金を小さくするなど、できる限り、勝負を下りる。馴れない土俵で戦うことを避け、計算の立たないものに賭けないのが、真の勝負師

攻める者は、戦いの方法、場所、時期を選べる。つまり、「場」を取れる有利さがある

待つ、降りる、休むは高等戦術

・黒が出れば次は赤だと思う人、また黒だと思う人。この種の勝負に強くなるには、しょせん勢いのものと割り切り、ツイていたら思い切り攻め、雲行きが怪しくなれば休むこと

・企業でも「経営がハデになったら要注意」と言われる。下手な虚勢は評判を落とすだけ

・将棋でいえば、悪い手を指したとき、アマはすぐに顔や声に出すが、プロはむしろ平然としている。ここでバタバタすれば、相手を喜ばすだけ。棋士はなかなかの演技者ぞろい

・エンギをかつぐ、自己暗示、何でもいい。自信をつけるのにプラスになることなら、信じるに限る。成功イメージを強く描く「信念の魔術」の効果は絶大



ハングリーな環境で育ってこなかった人は、本番に弱いのが通例です。本書には、そういう人でも、戦っていける事例が数多く載っています。

精神力を高める方法、自信をつける方法、接戦をモノにする方法など、知っているのと知らないのとでは大違いです。本書は、その手引きになるのではないでしょうか。


[ 2013/10/21 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『知られざるインテリジェンスの世界』吉田一彦

知られざるインテリジェンスの世界知られざるインテリジェンスの世界
(2008/11/18)
吉田 一彦

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インテリジェンスを日本語に翻訳すれば、古くは、忍者やスパイなどの諜報活動のことを指しますが、現在では、情報活動、情報収集、情報分析なども含めた意味になります。

嘘の情報を流したり、機密情報を入手したりすることの方が、実際の戦いよりも、優劣を決める場合が多いと言われています。それらを体系的に著したのが本書です。参考になる点が多々ありました。その一部を紹介させていただきます。



・情報活動は、「収集」「分析」「隠密作戦」「対敵情報活動」の四つに分類できる

・情報活動は、まず生のデータを集めるところから始まる。この生データを統合して分析することで、判断の基礎とする。情報の収集には、大別して、1.「人間による方法」2.「専門技術による方法」3.「公開されている資料による方法」の三つがある

・スパイのことを中国では「沈底魚」と呼ぶ。アメリカのような移民に寛容な国では、移住した後、子供に高等教育を受けさせ、軍事や科学の最先端を行く機関に就職させれば、必要な情報がとれる。正体を隠すのも容易

・陸軍の将校がドイツに留学すると、ホームヘルパーという現地妻があてがわれ、これで「日本軍人はたいていイカレちゃう」。ハニートラップ(蜜の罠)は、女性が男性に近づいて親密な関係になり、それをネタにして情報を得るのが定番

・情報をでっち上げ、想像力の限りを尽くして飾り立て、いかにも重要な機密情報であるかのようなお膳立てをして、法外な値段で売りつける。この種の偽物作りのことを、業界用語では「製紙工場」と呼ぶ。被害にあっても、騙される方が悪い

日本兵捕虜は、煙草をもらい、ご飯を食べ、休息をとった段階で、やっと心を開いて話し始める。まず家族のこと、健康、出身地や学校など軍隊と関係ないところから聞き始め、そしてだんだんと所属していた部隊、その隊長、指揮官は誰かの核心に迫る

捕虜文書の中には、日本軍の戦闘序列、地図、守備隊兵力、保有武器の種類とその数、周辺海域の水路図、防備状況に関するものが含まれていたから、以後のアメリカ軍の作戦に資するところが大であった

・湾岸戦争の時、GPSがなければ、多国籍軍の戦車は、広大なイラクの砂漠地帯で自由に行動できなかった。衛星利用によって、アメリカ軍主導の多国籍軍は、圧倒的優位を得た

・公開されている情報源には、新聞雑誌、テレビラジオ、ネット、地図、政府報告、要人演説、統計表などがある。アメリカでは、情報関連の予算で、公開情報収集に割り当てられる金額は全体の1%に過ぎないが、情報の生産量は全体の40%近くを占めている

・旧陸軍情報部が傍受したアメリカのラジオ放送で、アメリカ軍が南方地域で新しい作戦を起こす2、3カ月前に、必ず薬品会社と缶詰会社の株が急騰するという情報もあった

・旧陸軍では、作戦部が情報部を軽視して、作戦計画を策定していた。そのための不利な情報は無視された

・情報分析官にとって厄介な問題は、必ずしも理屈通りに動いてくれないこと。とてもありそうにないことを、可能性として上司に納得させることは容易ではない

・情報分析官の直面する問題点で最もよく知られているのは「狼少年症候群」。つまり、警告を発するのはよいが、空振りが連続すると、警告を受け取る側が慣れっこになる。そして往々にして、注意が払われなくなった時に恐れていた事態が発生する

・情報分析で重要なのは、将来の予測をすることだが、これがなかなか困難で、失敗すれば責任をとらされる恐れがある。これを回避するために、型にはまった安易な対応がなされる。このような報告書では、将来の見通しよりも、最近発生した事柄ばかり記載される

・情報機関は秘密を守らねばならないから、その情報にアクセスできる関係者の数を減らす必要がある。しかし、情報の見落としは、集まった情報量が少ない時に、よく発生する

・相手側のスパイ活動については、単にそれを阻止するだけでは物足りない。できることなら、相手の情報分析力に目標を定めて、ミスリードするような方策を思いつけば、相手をこちらの思う方向に誘導できる

・相手がそうするだろうと思っていること、あるいは、そうあってほしいと思っているところを衝けば、欺瞞作戦成功の確率は一気に高まる。相手の心理を読みとって、自己欺瞞に誘い込んでいけば、正確な情報が相手に届いても、自分で排除してくれる



戦わずして勝つこと、できるだけ少ない人数、少ないお金で勝つこと。そのためには、知恵比べが重要になってきます。

日本には、卑怯なことをするのを好まないという風潮がありますが、生きるか死ぬかの真剣勝負では、そんな悠長なことは言っておられません。本書には、できるだけお金をかけずに勝つ方法が詳しく載っています。参考になる点が多い本でした。


[ 2013/08/05 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『この世の掟(ルール)をぶち破れ!』桜井章一

この世の掟(ルール)をぶち破れ!この世の掟(ルール)をぶち破れ!
(2010/09/24)
桜井章一

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プロの麻雀師である著者の本を紹介するのは、ひさしぶりです。「未知の力を開く」「運に選ばれる人選ばれない人」に次ぎ、3冊目となります。

本書にも、前の著書と同様に、時の流れに身をまかせ、自然体に生きることの大切さが書かれています。無の境地に達した人ならではの書だと思います。この中から、大事だと感じたところを、一部要約して、紹介させていただきます。



・リスクがないという状態はダメ。多くの人がリスクを避けようとするが、逃げていたら学ぶことはできない。リスクとは学べる場である

・本当は答えがないということを忘れている。世の中に答えなどないと気づくだけで、不安や怖れは軽くなっていく

・人は「いいこと」に囚われると、己の都合主義、思想で異なったものを抹殺してしまう。戦争はそうした極端な例。われわれの日常の、極端な健康信仰、極端な教育偏重主義、極端な成功哲学も、実はさほど変わりない

・「心の偏り」に危険を感じる。何でも熱くなる人というのは偏っている証拠

・善意ややさしさ、熱意やがんばるといったことも、行きすぎればすべて「いいこと病」になる。そんな考え方は一度捨ててみること。人間は優しさの裏に残酷さを持っているし、熱意の裏には怠惰な部分を持っている

・あきらめるとは、本来の自分を取り戻すために必要な勇気である

・人間は捨てることが難しい。とくに勝ち続けてきた者が、それを捨てることは簡単ではない。勝負するという習性は、もともと人間が持っている本能的な部分であるがゆえに、勝つことを捨てるのは難しい

・情報が少なくても、世の中の流れや経済の流れがわかるのは、必要のないものをウンコのように外に出してしまっているから

・不老不死が幻想であるように、錬金術もまた幻想にすぎない

・人は経済やお金に埋没してしまうと、気持ちが死んでいく

・損得勘定とは、結果的に自分のことしか考えられなくなる生き方。そこには、世の中はつながっているという感覚がなくなってしまう

・今、目の前のことをこなすこと。今やるべきことをやれば、自然とその先に未来がある。だから、今だけでいい。とにかく、過去は過去として存在するが、それに囚われてはいけない。未来に囚われてもいけない

・真剣だとか、頑張るとかいう感覚が、もうすでに間違えている。力を入れたらダメで、何も動きがとれなくなってしまう。動きがとれない体は、実は固定観念にどんどん囚われているのと同じ

・知識を持った人間は、何をするにも考えてから行動するために、打算的になり、結果、失敗することが多い

・人間というのは、得られさえすればいいと、取ることばかり、攻撃することばかりを考えている。何かを得たら、今度は奪われるという防御本能を忘れている。攻撃だけでは、バランスを崩すということを、人間は愚かにもいまだに学んでいない

・かわいさというのは、「地」であればいいということ。嘘つきでもいいし、バカでもいい。何でもいい。それが「地」でありさえすればいい

・相手の波長に合わせること。自分の考えを捨て、ただその人に委ねればいい。そうすることで、相手は自然にあなたを受け入れる

・世の中は何でも変化する。それと同じで、相手の心も絶えず変化している。相手の気持ちが変化しただけと思えば、裏切りは裏切りでなくなる

・相手に近づくのであれば、自分の悪い部分を出さないといけない。いいところばかり出して、相手に近づくのは、詐欺師と同じ

・あとでやるという人は、結局あとでもやらない。なぜかと言えば、そういう人は物事の「」を外してしまっているから



目的、目標もなく、努力、ガンバリもなく、ただただ自然に目の前のことを全うしていれば、自然と道が開かれてくるよ、と著者は述べているように思います。

それは、生きているというより、生かされているという感覚になることが、実は生きることだということなのかもしれません。


[ 2013/07/08 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『「権力」を握る人の法則』ジェファリー・フェファー

「権力」を握る人の法則「権力」を握る人の法則
(2011/07/21)
ジェフリー・フェファー

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権力志向の人は、とかく批判されがちですが、リーダーとは、権力を握って、影響力を与えている人のことです。成功するにも、出世するにも、先ず権力を握らなければ、どうすることもできません。きれいごとばかり言っていられない世の現実です。

では、どうすれば権力を握ることができるのか、それを詳細に記したのが本書です。興味深い点が多々ありました。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・富や地位や権力を手にしているだけで、その人物の評価は高まる。逆に、不運な目に遭った人に「ああいう目に遭ったのも本人に何か原因がある」と、世間は「被害者非難」を行う

・リーダーたちの多くが、トップに上り詰めるまでに経てきた抗争駆け引きには触れず、きれいごとでごまかす。彼らの講演の多くは、良心に従え、誠実であれ、謙虚に振る舞え、強引なやり口は慎め、汚い手は使うな、といった願望に基づく教えに終始する

・権力を握れば、自分で歴史を書ける。古い話は、都合よく書き換えることができる

・仕事ができるだけでは、昇進するには不十分。それどころか、能力が足を引っ張ることさえある。まずは、あなたの存在に気づかせること。次に、有利な基準で評価されるように働きかけること。そして、能力を持っていると認めさせること

・上司を気分よくさせる最善の方法は、何と言っても誉めること。誉めてくれた相手に好意を抱くのも自然の感情。好かれれば、それなりの影響力を持てる。誉め言葉には、ギブアンドテイクの法則を呼び起こし、自己高揚動機に応える意味でも効果的

・部門の相対的な力は、初任給と幹部クラスの給与水準に反映される。勢力の強い部門の初任給は他の部署よりおよそ6%高い。幹部クラスの報酬では、ドイツでは研究開発部門、日本では研究開発部門と人事部門、アメリカでは財務部門が高い

・人は、できるだけ他人に頼まずに済まそうとするが、頼みごとは、少々大胆でも案外うまくいく。なぜなら、助言や助力を求められる相手にとっては、それができると評価されたことにほかならないから。頼みごとは、相手の自尊心をくすぐり、自己肯定感を強める

・マキャベリが500年前に「君主論」で指摘したとおり、最も望ましいのは「愛され、かつ恐れられる」ことだが、片方しか選べないなら、愛されるよりも恐れられる方が、地位と権力を維持する上では、はるかに得策

・「カネの出所を追え」というのはジャーナリストの鉄則。出所がわかれば、権力構造を解明できるから

・とくに便宜を図らなくとも、単に公正礼儀正しいだけでも、人は好感を持つ。というのも、礼儀正しい人間を攻撃するのは難しいから

・たいていの人は、つまらなそうな仕事や地味な仕事に、やる気を起こさないし、興味を持たない。そういう仕事を率先して引き受け、人並み以上にうまくやってのければ、あなたにビッグチャンスが回ってきたときに、ケチをつける人がいなくなる

・自分を中心としたネットワークは、影響力を手にする上で極めて重要であり、ネットワーク作りのスキルは、是非必要なもの

ネットワーク作りで陥りやすい落とし穴の一つは、つい同じタイプの人とばかり接してしまうこと。相性のいい人やよく知っている人といれば、安心し、くつろげ、気楽であるが、それではネットワークが拡がらない。殻を破り、未開の地を開拓しなければならない

ステータスを高めるには、高い理想を掲げ、社会的地位の高い人々が関心を持つような運動やプロジェクトを組織すること。社会的地位の高い人とネットワークができていると、それが報酬に直結することがある

・アトキンソンは、説得力を強め、共感を呼ぶ方法として、「1.敵対的構図を際立たせる」「2.間をとる」「3.論点を箇条書きにする」「4.対比を使う」「5.メモを使わない」の5つをあげている。これに「人を笑わせる」ことを加えれば、さらにいい

権力の代償として、「一挙手一投足を監視される」「時間の自由を失う」「多大な時間とエネルギーをとられる」「人を信じられなくなる」「権力が中毒となる」などがあげられる

権力者が転落する原因として、「自信過剰になる」「油断する」「軽率に信頼する」「自制心を失う」「燃え尽きる」「変化に取り残される」などが考えられる


権力者=既得権益者かもしれません。権力を握った者は、他者を排斥しようとするので、権力者の仲間内に入り込もうとすれば、それ相応の礼儀やルールを守ることが必要です。その方法が、本書に描かれています。

とにかく、権力者側に入ってしまうこと。それが実行できなければ、相当な努力をしない限り、成功、地位、富を手にすることは難しい。現実を直視せよ、というのが本書の主旨ではないでしょうか。


[ 2013/04/16 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『自分超え: 弱さを強さに変える』松田丈志、久世由美子

自分超え: 弱さを強さに変える自分超え: 弱さを強さに変える
(2012/06/29)
松田 丈志、久世 由美子 他

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松田丈志選手は、北京オリンピックで銅メダル、ロンドンオリンピックで銀メダルと銅メダルを獲得したスイマーです。ロンドンオリンピックで「(北島康介さんを)手ぶらで帰らせるわけにはいかない」とコメントし、昨年の流行語大賞にも選ばれた人です。

その松田選手が、延岡のビニールハウスプール時代から、久世由美子コーチと一心同体で歩んできたメダル獲得物語が本書に記されています。目標を達成していく姿や過程がすごく参考になります。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・「僕は最終目標から日々の内容を考えていく。久世コーチはあくまでも、日々の積み重ねの先にゴールがあるという考え。二人が違ったからこそ話し合う価値があった」(松田)

・「コーチたちはみな、自分が正しいと思って指導する。自分のやり方の正しさを証明しようとしてしまうことがある。でも、本当に大事なことは、自分の指導が正しいということではなく、選手が速く泳げるようになること」(久世)

・「記録が伸びないということは、練習と指導が間違っていると受けとめるべき。それを認めず、選手のせいにしてしまうコーチが多い。私は丈志を強くしたい」(久世)

・「丈志の力を100%引き出すということは、力を出させない要素をなくしていく、ということ。余計なものを取り除く作業」(久世)

・「世界一を狙うには、誰も足を踏み入れたことのない領域に到達し、そのうえで勝負に勝たなければならない。その取り組みはいつも手探り。『どうやって』を探り出そうとするときにはいつも、センスといった人間の創造力が主役となる」(松田)

・「知識を増やそうとするよりも、むしろコミュニケーションを増やしたほうが、豊かな発想につながる」(松田)

・「科学によって人間は現状を細かいところまで知り、未来の目標との差を示すことができる。でも科学は、その差を埋める方法まで教えてくれない」(松田)

・「『夢を与える』という言葉があるが、コーチが掲げただけではただの目標。その目標が選手自身のものになって、どうしてもそれを達成したいと心から思うようになって、そこで初めて『夢』になる。そして、選手が自ら成長する力になる」(久世)

・「選手が成功するかどうかは、素質ではなく練習で決まる。生まれながらに成功が約束されているかのような考えを持っていたら、苦しい練習は続けられない。良い結果が出なければ素質のせいにしてしまう。親がそういう考えを持てば、子供にも影響する」(久世)

・「自分で努力し、自分にできること、できないことをはっきりさせた上で、突破口を求めて新しいものを学ぼうとした、その過程に意味があった」(松田)

・「オリンピックという大舞台で、力を出し切るためには、周りを気にしないこと。自分では変えることのできない物事には、時間とエネルギーを使わないこと」(松田)

・「僕は自分の練習ノートに『変化より進化』と、よく書き込んだ。自分を変えようとして失敗したアテネオリンピックの反省だった」(松田)

・「競泳で速くなるためならば、どんなことでもやろうという気持ちを持っている。しかし、長く競泳界にいて、そういう気持ちを持っている人が少ないことに気づいた。『そこまではしたくない』という選手が意外に多い」(松田)

・「高校を終えるころ、体格が固まってきて、身体の成長だけでは強くならず、厳しい練習をしなければならない時期が来る。そのとき、しっかりした習慣が身についていない選手は、厳しい練習に身体がついていかなくなり、記録が伸び止まる」(久世)

・「好奇心はいつも、私たちを学ぶべきところへ導いてくれる」(久世)

・「練習方針について主張するには、自分ができていること、できていないことを分析し、何をしたらいいか、考えをまとめて伝える必要がある。言いたいことが言えると、たとえ自分の主張が通らなくても、練習をやらされているという気持ちにならなくなった」(松田)

・「足りないものがあったおかげで、常に工夫できることはないかと考える癖がついた。競り合う選手がいなかったので、いつも自分自身と向き合っていた」(松田)

・「人生を分けるかもしれない選択のときに、他人に迷惑がかかるかも、わがままと言われるかもとか、自分の気持ちとは別のことで決断してしまわず、自分の最善を尽くしたいために、あくまで自分のことだけを考えて決断した」(松田)



本書を読むと、オリンピックでメダルを獲るというのは、効率的・効果的な努力、つまり無駄のない努力をしなければいけないことがよくわかります。しかも、肉体的にも精神的にも、自分をコントロールしていかなければいけません。

そのためには、選手とコーチの良き関係がなくてはならないことを教えてくれます。一流を目指すなら、どんな世界にも、そういう関係が必要なのかもしれません。ビジネス書を読むより、目標遂行の過程が具体的で、参考になるところが多いのではないでしょうか。


[ 2013/04/02 07:01 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『情報を読む技術』中西輝政

情報を読む技術情報を読む技術
(2011/01/06)
中西輝政

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中西輝政京大教授の本を紹介するのは、「本質を見抜く考え方」に次ぎ2冊目です。国際政治学者としての歴史に基づく鋭い指摘は、今のアジア情勢を考える上で、勉強になります。

最近、マスコミにあまり出られないだけに、本書の論評は貴重です。情報に対する態度など、参考になる点が多々あります。それらを一部要約して、紹介させていただきます。



・中国4000年は異民族による侵略の歴史。同一民族が築いてきた歴史が中国にはない。そのせいか、国際問題を力の相対関係としか見ずに、相手が与しやすいと見れば、力づくで強硬な主張をする。自分の利益を拡大すること以外の原則は存在しない

・相手の「本気度」を、それが「はったり」なのか「本気」なのか見極める必要がある。例えば、中国など東アジアの国々は、何の準備もなく、根拠もなく「カラ脅し」をかけてくる。「カラ脅し」の文化は、ラテン諸国にも多く見られる

・「ふっかけ文化」の御三家は、ギリシャ、イタリア、スペイン。ところが、北ヨーロッパへ行くと、ドイツは「正札文化」。ドイツ人は、言葉通り受け止めなければならない相手

・ウエブ空間は、外国の秘密工作によって、大衆の心理操作を容易にする怖い媒体。ニセ情報でも、やすやすと一般庶民に直接届き、活字と違い、すぐ消えるから、追跡しづらい。

・ある人間について知るときは、まずその人の「育ち」に関する情報を集めること。イギリス情報部は、人間のつながりと、個々の人間のプロファイリングを、この200年間徹底して積み重ねている。人物情報は「真実」と「嘘」を仕分けるときの大切な資料となる

・歴史をひも解くと、優れたリーダーは、例外なく悲観論者。前向きのことを言えば、人気は高まるが、国の舵取りを誤る。だから、あえて黙して悲観主義に徹する

・利害が絡む間柄では、「便りがないのはいい便り」ではない。相手の沈黙は、むしろこちらの知らないところで何かを企んでいる「暗黙の情報」と読んで、動向を注視すること

・左翼やリベラル派の「原理主義者」たちは、「どうあるべきか」については大変視野は狭いが、「どうするべきか」については、立ち回りがうまく、巧みに選択の幅を広げる

・情報を正しく読むには、相手が何を「隠そうとしている」かの視点も大事。前後関係のないことが突如進行し始めたら、別の件を隠すための「目くらまし」のことがよくある

・中国にも、受けた恩義は忘れないという一面があるが、あくまで実利がある間だけのこと。「水が飲める間だけは、井戸を掘ってくれた人のことを忘れない」だけ

・日本のマスコミは、物議をかもす情報にはフタをする。しかし、報道機関として「事実を報じている」アリバイが必要。そのとき、彼らはベタ記事扱いにして、ことをすませる

・一度、強いブームや単純なフレーズに与してしまうと、それ以上考えなくなるのが人間

・ユダヤ人の世界には、「全会一致は無効」というルールがある。圧倒的支持を受けているものへの「警戒心」が、情報の本質を見抜く視点を養う

・人間には、ものごとを誇張するクセがある。一度、一つの方向に可能性を見出すと、一気にすべてをそこに賭けてしまうのは、古今東西、人の常

・「わかりやすさ」を演出するためには、「わかりやすい悪人」が必要

・海外の学者は、必ずと言っていいほど、「日本は知的社会に通信簿がない国」と指摘する

・「100年に一度、決定的な嘘をつくために、99年間は本当のことを言い続けよ」が、イギリスの国家戦略の伝統

・戦略として最も優れているのは、最低限のコストで相手をこちらの思い通りに動かすこと。軍事力や経済力のない弱者にとって、情報は最大の武器となる

・「相手を動かすため」という、根本目標を常に忘れずに情報を活かした者が、最も効果的に相手を制する

・歴史上の人物が遺している処世訓に、いまなお、欧米人は大変貪欲

・新しく立場が変わった人の言葉遣いを注意して見ていれば、その人が新しい環境にどのように影響されているかが見えてくる。これも、大事な情報の一つ

・「それ行けドンドン」や「石橋を叩いても渡らない」は、いずれも堕落、精神の劣化



情報を鵜呑みにせず、出どころを確かめ、裏を読み、嘘、誇張を見抜く姿勢が、人と交渉する人に求められています。

日本人同士の小さな内集団の中では、そういう必要はありませんが、海外の人たちと接していくためには、「情報を読む技術」が、必要不可欠なのかもしれません。


[ 2013/03/18 07:02 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)