とは学

「・・・とは」の哲学

『言葉でたたかう技術・日本的美質と雄弁力』加藤恭子

言葉でたたかう技術言葉でたたかう技術
(2010/12/07)
加藤 恭子

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外交は「言葉」の戦い、経済は「お金」の戦い、戦争は「軍事」の戦いです。日本は、平和ボケが続いたせいか、言葉の戦いが低レベルです。

そこを周辺国家に巧妙に突かれているのが現状です。それを防ぐには、どうすればいいかのヒントが本書に詰まっています。その一部をまとめてみました。



・日本人は「島国人間」、周囲のほとんどの国の人々は「大陸人間」。友好的な場では、「島国人間」のやり方をすればいいが、対立的になったら、やり方を変えること

にこにこ、にやにやを続けてはいけない。相手の出方によって、こちらも表情を変えること。厳しい表情になったら、それに見合う言葉も出てきて、反論もしやすくなる

・日本人同士なら、初対面の他人といえども、「島国人間」同士だから、ある程度察しはつく。ところが、欧米人相手では、何が飛び出してくるかわからない。思いもかけない頼みごと、批判、非難、説明の要求などが来たりする

・他者との会話や交流において、多くの日本人は「丁寧か」どうかに気を使う。だが、欧米人で、形式を重んじる人は一部。多くの欧米人は「誠実か」どうかを重んじる

・言い難いことでも、敢えて言う。それが誠実さの一つの要素。欧米では、誠実な人間とは、自己の意見、思っていること、感じていることを心から語り、自分の正しさに自信を持っている人のことを言う

・日本人同士では、けんかをすれば不仲になるが、アメリカ人とは、けんかをしたほうが、あとで仲よくなれる場合が多い

アメリカ人の人材評価。「演出力、表現力、発表能力に秀でている」「個の主張が強いが、相手の個も尊重する」「コミュニケーションを大切にし、上手」「意見の違いと対立を恐れない」

・誇張は嘘ではない。少々芝居がかっているだけ。それが自己の主張を通すやり方。少なくとも、大陸世界においては「雄弁は力なり

・日本は、地理的にも、文化的、宗教的にも、孤独な存在。主張すべきこと、発信すべきことが多いのに、それをあまりしてこなかった。「文化通訳」なり、「仲介役」なり、専門家を養成し、活用する専門機関の設立が必要

・個人としては、政府に不満を抱いても、外部からの批判に対しては、団結して政府の味方になるのが、世界のエリート層。日本では、エリート層が政府の味方になっていない

・日本の弱みは、相手を理解していないこと。相手を理解してこそ、こちらも理解してもらえる。説明を求め、こちらも説明し、理解し合える人を作ることが必要

・「島国人間」の日本人は、異文化間の軋轢の怖さを忘れている。知識として知っているだけ。説明下手でいられるのも、その怖さを本当に知らないから

・日本人は、「繰り返し」が嫌い。「きちんと説明したのだから、それで充分なはず」「何回も同じことを言うのは、くどい」というのが日本人的感覚。しかし、国際関係では、反撃は、何度でも、繰り返さなければならない

・国際外交の世界では、対外的に強く発信しないと、向こうの主張が正しく、こちらは「魔女」にされてしまう。こちらの意見に耳を傾けず、言いがかりをつけてくるような強い態度に出てくる相手には、こちらもより強く出る

・日本の立場に同意しない国々には、説得を続ける。そして、利害関係が一致する国々とは、手を結び、問題に立ち向かうよう働きかける

・国と国との利害の衝突においては、第一段階として、言葉による外交交渉での解決の努力がなされるもの。武力の行使は最終段階。不戦を誓う日本人にとって、言葉と情報は、残された唯一の紛争抑止の手段であり、衝突回避の手立て

・「武器に替わる、武器としての言葉」という発想が必要。「軍事力」に代わるものとして、「言葉力」を強めなければならない

・国内政治と国際政治とでは、原理が違う。日本の政治家は、複雑かつ多方面な外交を全世界で展開するために、もっと外務省を強化し、その専門性を使うべき。政治家とは、言葉によって闘う職業。「口下手」「説明下手」ではすまされない



日本の政治家は、左や右の思想を問わず、周辺国家からの言葉の戦い、情報の戦いに、逃げ腰です。軍備云々の前に、言葉でやり返さないと、日本の主権は守れません。

そして、左右の人たちは、国内では論争していても、対外的には、一致団結して戦うのが大人の行動であり、エリート層の行動です。そこら辺のところが忘れられているのが、日本の嘆かわしい現状ではないでしょうか。

[ 2014/08/25 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『自衛隊の仕事術160の金言集』久保光俊、松尾喬

自衛隊の仕事術 160の金言集自衛隊の仕事術 160の金言集
(2012/03/07)
久保光俊、松尾喬 他

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著者の本は、「自衛隊ゲリラ式ビジネス戦闘術」「自衛隊の仕事術」に次いでの紹介です。

特に、本書には、自衛隊という最強組織の原理原則がいっぱい記されています。その一部をまとめてみました。



・失敗は、曖昧な目標、技術不足、投入資源の不適切よりも、情報不足によって起きる

目的なしで集めた情報は、かえって混乱をきたすムダな情報群になってしまう

・どんな質問も、部下の理解度や自分の説明不足がわかる指標になり、相互理解を深める

・「定時通信」の時間を設けておくと、計画的な情報の送受が効率よくできる

・「原理原則」はいろんなところで使える。後々に反芻しやすく、相手の心への定着が早い

・人に何かを話すには、失敗談から入ると、引き込まれる人が多くなり、伝わりやすい

・「どうしましょうか」は子供、「こうしましょうか」が大人

・相手が未熟なら、工程説明を多く。相手がプロなら、結果イメージを伝えるだけ

マニュアル化が「情報伝達の最終形」。誰でもいつでも見られるマニュアルがあれば、いちいち情報を伝達する時間が省け、自分がいなくても情報が伝達していく

・愛嬌とは、怖いのに、オチャメということ

・速く進みたければ、1人で行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け

・愚痴や文句を言う社員はどこにでもいる。リーダーは、そういった依存者を自立者に成長させ、相互依存できる組織へ進化させる指導を行うもの

できるリーダー4つの原則。「1.目標設定できる」「2.仮説を常に立てる」「3.できる工夫を見つけ出す」「4.人を動かし、自分の時間をつくる」

・制服は「私」より「公」を優先する制限服

・部下に仕事を頼むときは、時間見積もりを告げて、時間制限を考えさせる。そうすると、部下は、時間と仕事の量を意識して動くよう工夫を始める

・人を育てるときのポイントは、その人に考えさせる「自主裁量の余地」を与えること

・失敗は許せ、嘘は許すな

・指揮官と隊員の役割交換の訓練を行えば、隊員のパフォーマンスが驚くほど進化する

・コストカットしたいなら、人を育成して、1人で広範囲の仕事、2人分の仕事量をこなせる人材にすること。人の成長が、実質的なコストカット

・利益は成果の尺度であり、リスクの保険、発展の条件

・会議は、決定事項をつくるためとアイデア合戦をするためにある。アイデアを出さない人は参加させない

・情報の共有や公開がよしであっても、腹の中に一物二物持っておくのがプロの流儀

7つの大罪は、「無視・無関心・子供扱い・ロボット・たらい回し・冷淡・ルールブック」

・強さとは、他人を優先すること

・引用は好意を持ってもらう秘訣

・「強く凛々しい自分」を演出できてこそ、部下は後ろをついてくる

・「自分を主語」にする人は、「がる人」。「強がる」「自慢したがる」「口を挟みたがる」

・やりがいとは、制限の中で自由を発揮すること

・行動に迷ったら、目的を再確認すること



自衛隊は、判断ミスや悪い予兆の放置などが、人の生死と密接に関わるところです。その厳しさは、ビジネス世界の比ではなく、自衛隊に学ぶべき点がたくさんあります。

本書は、自衛隊の原理原則が学べる良書だと思います。


[ 2014/08/11 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『逆境に強い心のつくり方・システマ超入門』北川貴英

逆境に強い心のつくり方 システマ超入門―ロシア軍特殊部隊が生んだメソッド (PHP文庫)逆境に強い心のつくり方 システマ超入門―ロシア軍特殊部隊が生んだメソッド (PHP文庫)
(2013/06/05)
北川 貴英

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本書は、武道愛好家の中で注目されている「システマ」というロシア軍特殊部隊で使われている技術と、その実社会面での使い方について解説したものです。

特に、窮地における心の落ち着かせ方、身の守り方、対立を避ける方法、群集心理から離れて自由な発想を養う方法など、生きる上で役に立つことが記されています。参考にすべき点が多々あり、その一部をまとめてみました。



・システマの格闘術や呼吸法は、「体力をつけ、精神力を高めることで、攻撃しない人間になる」ためのもの。自分を殺しにきた敵さえも癒してしまう技術

・少しでも緊張や不安、怒りなどを感じたら、すぐにブリージング(鼻から息を吸い、口をすぼめて「フッー」と軽く音を立てつつ吐く呼吸法)をする。タイミングに悩む必要はない。思い立ったらすぐにブリージングする

殺人事件の大部分は、素性をよく知る人との感情的なこじれが発端。まずは、感情的にならず、リラックスして人と接し、円満な人間関係を築いていくことが確実なサバイブをもたらす護身術

・システマで学ぶマーシャルアーツ(格闘術)の技術はすべて、誰かを傷つけないことを最終的な目的としている。それは「破壊の否定」。目指すべきは、対立関係を速やかに終わらせ、誰ひとり傷つくことなく無事に生きて帰れるようにすること

・攻撃を受ける時、恐怖心が芽生える。それに伴い、筋肉が緊張し、脈拍が速まり、呼吸が浅くなり、視野が狭まり、頭の中が真っ白になる。マーシャルアーツは、他者による精神的ストレスが迫る中で、冷静さとリラックスを保っていくのかを自分に問いかける練習

・普通とは、「余計な緊張がない状態」と言い換えられる。恐怖心をコントロールすることで、普通の精神状態を保つことができる

威嚇とは、相手の精神に揺さぶりをかける行為。だから、威嚇を受けた際に、怒りや恐怖心を抱き、動揺してしまった時点で、威嚇が成功したことになる。予想通りに事が進むことで、相手は安心し、さらに強い態度に出て、自分の要求を強く主張してくる

・威嚇してくる相手に逆に動揺を与えるには、こちらが動揺しないこと。威嚇されても動じることなく、落ち着いているだけで相手は混乱し、恐怖心が芽生える。ここで威力を発揮するのがブリージング。身体と心をリラックスさせた後に、話し合いに応じること

・自分の身体にどれだけ怒りが溜まっているかをチェックするには、ミゾオチに指を差し入れてみるといい。指が入らなかったり、吐き気がするほど不快感があれば、黄信号。こうした緊張をほぐしていくことで、怒りにくい状態に整えていくことができる

リラックスしすぎもよくない。身体が緩んで重くなり、動くのが億劫になる。気力も萎えて、行動力や決断力が鈍る。身体が緊張しすぎれば動きは硬くなるし、リラックスしすぎれば今度は重く鈍くなる。いずれにせよ、スムーズで自由な動きが損なわれる

速く動くためには、ゆっくり動く必要がある。一見遠回りにも思えるこのプロセスは、無駄を省き、最小限の労力と手間で、最大限の効果を得るための一番の近道

・必ず3割程度の余力を残し、力尽きても、必ず回復して力を取り戻すようにする。動きを止めることは、戦場では死を意味する。余力を残すことで生存率は高まる。全力を尽くしても、途中で力尽き、燃え尽き症候群になっては、理想を実現するのも困難となる

・大切なのは、一点に意識を集中してしまわないこと。意識を一つの対象に集中させることで姿勢が曲がり、視野が狭まり、致命的なミスに繋がる危険性が高まる。周囲の360度に意識を向けつつ、リラックスし、止まることなく動きを続けていくようにする

・人の上に立つ人は、まず自分自身が落ち着き保つ必要がある。リーダーの役目とは、学校の先生のようなもの。騒ぐ子供達に言うことを聞かせるには、まず注目を集めなくてはならない。一緒になって騒いでいたら、自分に注目させることはできない

・毅然とした態度で呼びかけ、誰がリーダーであるかを再認識させ、部下たちの意識を束ねた上で、的確な指示を出せば、チームは大きな力を発揮する。適切な判断力を持つリーダーが「大きな脳」の代わりを務めることで、群集心理の持つ性質がプラスに転じる

・人は遠くに行こうとすればするほど、多くの人の助けを必要とする。近所のコンビニであれば、一人で行けるが、エベレストに登頂するには、多くの人との助け合いが必要

・カチンときて、言い返してしまうのは、相手の影響下に入ってしまったことを意味する。



感情をコントロールして、精神を落ち着かせることは、人間としての修行かもしれません。武道で訓練することで、その領域に達することが可能です。

心技体のバランスを保ち、堂々とできることを目標に生きることは、大切なことではないでしょうか。


[ 2014/06/23 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『人間における勝負の研究』米長邦雄

人間における勝負の研究―さわやかに勝ちたい人へ (ノン・ポシェット)人間における勝負の研究―さわやかに勝ちたい人へ (ノン・ポシェット)
(1993/02)
米長 邦雄

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著者は、将棋の米長邦雄さんです。一昨年亡くなられましたが、永世棋聖で、元日本将棋連盟会長をされていました。本ブログで著書を紹介するのは、「六十歳以後・植福の生き方」以来です。

本書では、将棋の世界で培った勝負勘の磨き方について詳しく述べられています。「勝負師」の意見には、参考にすべき点が多々あります。それらをまとめてみました。



・最善手を見つけることも大切だが、それよりもっと大切なのは、悪手を指さないこと。だから、悪手でない道なら、端でも真ん中でも、どこを歩いてもよい

・勝負とは、「実力の差」を別にすれば、それは、「確率」と「勢い」と「」の三つ

・本当に自分のしたい仕事があるのなら、会社に行って席についた瞬間から、必死になってそれを始めてしまえばいい。すると、その気迫は必ず周囲の人に伝わって、その人に雑事は頼めなくなる。少なくとも、雑事を頼むときには、都合を聞いてくるようになる

・最終的に頼れるのは自分自身の力だけ。このことがわかっていないと、成長できない

・何ごとにせよ、まず「集中力の持続」が勉強の要。試験であれ、芸の道であれ、青春時代に合計5~6000時間集中的に努力を維持した者が認められるというのが、世の中

・カンというのは、ものすごいスピードで考え、読み切った結果として生じるもの。あるいは、読まずに済むところは読まないで済ますこと。つまり、「読み」の省略があること

・第一感というのは、「長考に妙手なし」。大事なことだからこそ、簡単に決めるべき

・強くなるためには、物事の好き嫌いをなくすこと。人間を鍛える場合に「好き嫌い」などという甘えた考えは認められない

長所を伸ばすという教育法は、アマチュアの芸で、成長のきっかけとしては認められるが、プロには当てはまらない

・まずいのは、勝ちそうになった時、ああじゃこうじゃ、と喋ること。これは勝ちを逃す

・100点に向かって全部の力を出し切る時がなくてはダメ。危険を承知で、あえて踏み切っていくうちに、成長していく

・トップクラスの将棋の間には、読みの能力、思考の能力において、差はない。ギリギリのところまで力を高めた同士が戦った場合、勝敗を決するのは、ほんのわずかなカンの差

・難局になると、相手の側に立って考え、一番難しい手を指し、相手がわからなくなるような局面に導いていく。いわば泥沼に引きずり込む

・強い棋士ほど、パターンから外れて戦おうとする。つまり、パターンで戦うというのは、強い人と弱い人との間にある力の差が出にくいということ

・泥試合になったら、本当の力の勝負になる。力の勝負になれば、順当に強い者が勝つ。だから、強い人ほど泥沼で戦いたがる

・「弱い者ほど結論を先に出したがる」というのは勝負の鉄則

・世間の噂や誤解に基づく非難に対しては、しばらく、じっと静かに耐えているのがいい。こちらが正しければ、そのうち真相がわかってくる。不利な時に騒ぐのが一番まずい

・少し勝ち続けると、人は遊びほうけたり、気が大きくなる。勝っている時にはじっとしているのが大切。遊ぶのは負けている時のほうがいい

・好調を維持する時や、不調から脱出しようとする時は、「勝ってほしい」と本当に思ってくれる人と会うのがいい。墓参りに行くのもいい。先祖は、よかれと思ってくれている

・サラリーマンで、会社に貸しをつくった人は、会社の中で住みやすくなる。その人に対して、つまらない文句を言う人がいなくなるから

・遊びとは、仕事の影。だから、大きな仕事の影は、やはり大きくて当たり前

・集中力がなければ、何事をやっても成功しない。少年時代に集中力を身につけるのが一番の財産



将棋の「勝負の研究」だけでなく、人生の「勝負の研究」にも幅広く言及されています。20年前に書かれたものですが、ずっと版を重ねている書です。

人生とは、選択と勝負の積み重ね。白黒をはっきりさせないと、進めないものかもしれません。


[ 2014/04/28 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『自衛隊の仕事術』久保光俊、松尾喬

自衛隊の仕事術自衛隊の仕事術
(2011/10/05)
久保光俊、松尾 喬 他

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陸上自衛隊教育室室長であった著者の本を紹介するのは、「自衛隊ゲリラ式ビジネス戦闘術」に次ぎ2冊目です。

本書には、「日本最強の組織」と言われる自衛隊の人づくり、組織づくりの手法が明確に記されています。人の育成と統率において、参考になることだらけです。その一部をまとめてみました。



・「広くを視よ、遠くを視よ」は、敵の状況を偵察するときの方法。「大観小察」とも言う。「広くを視る」とは、全体の概況を掌握した上で、目標を定めること。「遠くを視る」とは、時間的な先の展開を予測して、そこから逆算して、今何をすべきかを考えること

・「正早安楽」を意識すれば、「作業(JOB)」が「仕事(WORK)」になる。自衛隊の訓練においては「正」を徹底する。「正」を繰り返すことにより、「早・安・楽」が出来上がる。「早・安・楽」が「正」に先行すると、訓練は成り立たない

・優先順位をつけるのはなかなか難しい。そのときは劣後順位を考える。劣後順位とは優先順位と逆で、後回しにしても、影響の少ないもののこと

・迅速な機動力は習慣によって身につく。新人の訓練では「3歩以上は小走り」を徹底している

・「遅れる1人、待つ10人、心にはめよ、腕時計」は昔あった自衛隊の標語。時間厳守は自衛隊の基本中の基本。新人に最低限要求すべきは「時間を守れ」ということ

・敵にとって、指揮所を攻撃され、指揮官を失えば、不安になり、士気が低下し、戦意を喪失する。「物」と「心」の拠りどころを制することができれば、人的・物的損害が少ないうちに勝てる

・作戦が失敗する原因には、目標や要求内容の不明確さ、技術の未熟さ、投入資源の不適切さ、部隊内のコミュニケーションやマネジメントのまずさなどが挙げられるが、一番の要因は、情報の不足や不適切さ

21世紀の5大変化とは、「1.情報の急増と加速化」「2.距離の消失、グローバル化」「3.人口構造の変化」「4.インターネットによる買い手の主導権化」「5.あらゆる境界の消失」

・熱意をもとに共感を得るには、「1.理念を言う、意義を言う、目的を言う、目標を言う、手順と作戦を言う」「2.参画してくれたらありがたいと訴える」「3.自分はやる!ともにやろう!と求める」こと

執念のある者は、可能性から発想するが、執念のない者は、困難から発想する。「執念」とは「主体性」のこと。主体性を持たずに、誰かに依存・従属している者は、困難からしか発想しない。すぐにできない理由をあげつらう

・戦闘は「自由」の争奪戦であり、不自由な状態から早く「自由」を獲得したほうが敵に勝てる。勝つということは自由の獲得。最大の達成感があり、やりがいとなる

・オチコボレたちに3配(目配り、気配り、手配り)することはエコヒイキではない。最弱者への温かいケアは、他の者も、ときによって最弱者に転落するかもしれないので、彼らからの共感を得やすい

・企業内の個々人が顧客に対して、会社の評判を下げないように気をつけるべきことは、「1.無関心」「2.無視」「3.子供扱い」「4.ロボット(言われたことしかしない)」「5.たらい回し」「6.冷淡」「7.ルールブック(会社の決まりでできないという答え)」

・指揮官は、常に「自分がどう見られているか」という、「1.積極性の点検」「2.不快感を与えていないかの点検」「3.参加意識の演出の点検」「4.連帯感の点検」「5.偉そうになっていないかの点検」が必要

・人を育てるときのポイントは、いかに部下に考えさせるか。考えさせるためには裁量権を与えなければならない。その裁量権を前に悩み、考え、実行する力が部下の力量

・「1対30」と「1対1×30」の違いは、「一斉教育だけ」が「1対30」、「個人教育を意識した一斉教育」が「1対1×30」。「1対1×30」は「上級の教え方」

・「和をもって滅びる」とは、和を大切にしすぎたせいで、互いに甘やかし、切磋琢磨しなくなること。異動の少ない部署や刺激の少ない場所で起こりやすい。このとき「叱る人」がいれば幸せ。なぜなら、人は叱られることで自分を知ることができるから



著者の言う「自衛隊の仕事術」とは「正早安楽」が基本となっています。「正」=ミスの最小化、「早」=仕事のスピードアップ化、「安」=コストダウン化と安全化、「楽」=もっと楽にできないか、楽しくできないかの工夫、です。

このような極めてシンプルな考え方で運営されています。これらを愚直に遂行することでしか、キビキビトした行動は生まれないのかもしれません。


[ 2014/04/14 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『勝ち続ける意志力』梅原大吾

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)勝ち続ける意志力 (小学館101新書)
(2012/04/02)
梅原 大吾

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著者は、1998年に17歳で世界一のプロゲーマーになってから、「最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」として、ギネスに認定されている方です。

世界一になっても、世界一で居続けることは難しいものです。その課題に、どう立ち向かっていったのかが、本書に記されています。

将棋、囲碁、麻雀のプロが書いた本を何度も読みましたが、プロゲーマーの本は初めてです。日進月歩変り行く世界なので、それにどう対処されたのか興味が湧くところです。その一部をまとめてみました。



・プラスとマイナス、その両方を分析して努力を続けない限り、勝ち続けることはできない。自分の才能に頼るとか、一つの勝ち方にこだわるような人は、必ず落ちていく

・勝ち続けるためには、勝って天狗にならず、負けてなお卑屈にならないという絶妙な精神状態を保つことで、バランスを崩さず真摯にゲームと向き合い続ける必要がある

・自分が勝てたのは、知識、技術の正確さ、経験、練習量といった当たり前の積み重ねがあったからで、得体の知れない自分という存在が相手を圧倒して手にした勝利などでは決してない

・センスや運、一夜漬けで勝利を手にしてきた人間は勝負弱い

・勢い任せで分析を怠ってきた人間は、究極の勝負の場面でススススット引かざるを得なくなる。覚悟を持って戦いに挑んでいる相手を前にすると、自信を持って前に出て行くことができなくなる

・周りの人間は結果のみで評価する。だから、自分にしか分からない努力を続けている最中は、誰にも認められない。物事の表面しか見ることができず、深く考察しない人間は、努力の過程を見ることなく、結果だけを見て、バカだ無謀だと吐き捨てる

・自分だけのもので、永遠に自分を勝ち続けさせてくれるものは、新しい戦術(特許)を生み出す努力であり、発見に必要なノウハウ。そこに気づいてから、真似されても何とも思わなくなった

・気になったことは必ずメモする。後で絶対に解決しないといけないと心に決め、直感的に「問題になるかも」と感じたことは、すべてわかりやすく箇条書きにする

・ゲームの世界での日々の変化とは、専門的な戦術(攻め方、守り方、攻撃パターン、技の組み合わせ、技を出すタイミング、自分が選ぶキャラクターと相手が選ぶキャラクターの相性・・・)。対戦というものを細分化し、少しずつ変化させる

・勝負の世界において、人の目を気にすることはマイナスでしかない。なぜなら、人の目を気にしていると本来やるべき行動を継続できないから

自分を持っている人は、「俺はこれでいい」と確信できている人なので、圧倒的な集中力がある

集中力とは、他人の目を排斥し、自分自身とどれだけ向き合うかにおいて養えるもの

・結局、型にはまってしまうのは、失敗を避け、有名になりたいとか、目立ちたいとか、誰かに認めてもらいたいと願う欲望。その欲望が自分を萎縮させてしまう

・「自分が正しいと思った行動をしてみる」という子供のような純粋さを取り戻したことで、勝率が上がった

・人の心を動かすのは、やはり本能に従った純粋なファイト

・考えることを放棄して、ただ時間と数をこなすのは努力ではない。それはある意味楽をしている

・自分を痛めつけていると、努力しているような気になる。しかし、そんな努力からは、痛みと傷以外の何も生まれてこない

・甘すぎることもなく、厳しすぎることもない。10年続けられる努力であれば、ちょうどいい



最後に、著者は、「勝ち続ける人間は、運が悪くても勝てる道を追求し続ける」。そして、「運・不運なんて関係ないと断言できるようになった者のみが、運・不運すらも超える、神の領域へと踏み込んでいける」と述べています。

運を味方につけて勝つのではなく、不運でも勝つことが、勝ち続けるということではないでしょうか。


[ 2014/03/31 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)