とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索
カテゴリー  [ 戦いの本 ]

『言葉でたたかう技術・日本的美質と雄弁力』加藤恭子

言葉でたたかう技術言葉でたたかう技術
(2010/12/07)
加藤 恭子

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外交は「言葉」の戦い、経済は「お金」の戦い、戦争は「軍事」の戦いです。日本は、平和ボケが続いたせいか、言葉の戦いが低レベルです。

そこを周辺国家に巧妙に突かれているのが現状です。それを防ぐには、どうすればいいかのヒントが本書に詰まっています。その一部をまとめてみました。



・日本人は「島国人間」、周囲のほとんどの国の人々は「大陸人間」。友好的な場では、「島国人間」のやり方をすればいいが、対立的になったら、やり方を変えること

にこにこ、にやにやを続けてはいけない。相手の出方によって、こちらも表情を変えること。厳しい表情になったら、それに見合う言葉も出てきて、反論もしやすくなる

・日本人同士なら、初対面の他人といえども、「島国人間」同士だから、ある程度察しはつく。ところが、欧米人相手では、何が飛び出してくるかわからない。思いもかけない頼みごと、批判、非難、説明の要求などが来たりする

・他者との会話や交流において、多くの日本人は「丁寧か」どうかに気を使う。だが、欧米人で、形式を重んじる人は一部。多くの欧米人は「誠実か」どうかを重んじる

・言い難いことでも、敢えて言う。それが誠実さの一つの要素。欧米では、誠実な人間とは、自己の意見、思っていること、感じていることを心から語り、自分の正しさに自信を持っている人のことを言う

・日本人同士では、けんかをすれば不仲になるが、アメリカ人とは、けんかをしたほうが、あとで仲よくなれる場合が多い

アメリカ人の人材評価。「演出力、表現力、発表能力に秀でている」「個の主張が強いが、相手の個も尊重する」「コミュニケーションを大切にし、上手」「意見の違いと対立を恐れない」

・誇張は嘘ではない。少々芝居がかっているだけ。それが自己の主張を通すやり方。少なくとも、大陸世界においては「雄弁は力なり

・日本は、地理的にも、文化的、宗教的にも、孤独な存在。主張すべきこと、発信すべきことが多いのに、それをあまりしてこなかった。「文化通訳」なり、「仲介役」なり、専門家を養成し、活用する専門機関の設立が必要

・個人としては、政府に不満を抱いても、外部からの批判に対しては、団結して政府の味方になるのが、世界のエリート層。日本では、エリート層が政府の味方になっていない

・日本の弱みは、相手を理解していないこと。相手を理解してこそ、こちらも理解してもらえる。説明を求め、こちらも説明し、理解し合える人を作ることが必要

・「島国人間」の日本人は、異文化間の軋轢の怖さを忘れている。知識として知っているだけ。説明下手でいられるのも、その怖さを本当に知らないから

・日本人は、「繰り返し」が嫌い。「きちんと説明したのだから、それで充分なはず」「何回も同じことを言うのは、くどい」というのが日本人的感覚。しかし、国際関係では、反撃は、何度でも、繰り返さなければならない

・国際外交の世界では、対外的に強く発信しないと、向こうの主張が正しく、こちらは「魔女」にされてしまう。こちらの意見に耳を傾けず、言いがかりをつけてくるような強い態度に出てくる相手には、こちらもより強く出る

・日本の立場に同意しない国々には、説得を続ける。そして、利害関係が一致する国々とは、手を結び、問題に立ち向かうよう働きかける

・国と国との利害の衝突においては、第一段階として、言葉による外交交渉での解決の努力がなされるもの。武力の行使は最終段階。不戦を誓う日本人にとって、言葉と情報は、残された唯一の紛争抑止の手段であり、衝突回避の手立て

・「武器に替わる、武器としての言葉」という発想が必要。「軍事力」に代わるものとして、「言葉力」を強めなければならない

・国内政治と国際政治とでは、原理が違う。日本の政治家は、複雑かつ多方面な外交を全世界で展開するために、もっと外務省を強化し、その専門性を使うべき。政治家とは、言葉によって闘う職業。「口下手」「説明下手」ではすまされない



日本の政治家は、左や右の思想を問わず、周辺国家からの言葉の戦い、情報の戦いに、逃げ腰です。軍備云々の前に、言葉でやり返さないと、日本の主権は守れません。

そして、左右の人たちは、国内では論争していても、対外的には、一致団結して戦うのが大人の行動であり、エリート層の行動です。そこら辺のところが忘れられているのが、日本の嘆かわしい現状ではないでしょうか。

[ 2014/08/25 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『自衛隊の仕事術160の金言集』久保光俊、松尾喬

自衛隊の仕事術 160の金言集自衛隊の仕事術 160の金言集
(2012/03/07)
久保光俊、松尾喬 他

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著者の本は、「自衛隊ゲリラ式ビジネス戦闘術」「自衛隊の仕事術」に次いでの紹介です。

特に、本書には、自衛隊という最強組織の原理原則がいっぱい記されています。その一部をまとめてみました。



・失敗は、曖昧な目標、技術不足、投入資源の不適切よりも、情報不足によって起きる

目的なしで集めた情報は、かえって混乱をきたすムダな情報群になってしまう

・どんな質問も、部下の理解度や自分の説明不足がわかる指標になり、相互理解を深める

・「定時通信」の時間を設けておくと、計画的な情報の送受が効率よくできる

・「原理原則」はいろんなところで使える。後々に反芻しやすく、相手の心への定着が早い

・人に何かを話すには、失敗談から入ると、引き込まれる人が多くなり、伝わりやすい

・「どうしましょうか」は子供、「こうしましょうか」が大人

・相手が未熟なら、工程説明を多く。相手がプロなら、結果イメージを伝えるだけ

マニュアル化が「情報伝達の最終形」。誰でもいつでも見られるマニュアルがあれば、いちいち情報を伝達する時間が省け、自分がいなくても情報が伝達していく

・愛嬌とは、怖いのに、オチャメということ

・速く進みたければ、1人で行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け

・愚痴や文句を言う社員はどこにでもいる。リーダーは、そういった依存者を自立者に成長させ、相互依存できる組織へ進化させる指導を行うもの

できるリーダー4つの原則。「1.目標設定できる」「2.仮説を常に立てる」「3.できる工夫を見つけ出す」「4.人を動かし、自分の時間をつくる」

・制服は「私」より「公」を優先する制限服

・部下に仕事を頼むときは、時間見積もりを告げて、時間制限を考えさせる。そうすると、部下は、時間と仕事の量を意識して動くよう工夫を始める

・人を育てるときのポイントは、その人に考えさせる「自主裁量の余地」を与えること

・失敗は許せ、嘘は許すな

・指揮官と隊員の役割交換の訓練を行えば、隊員のパフォーマンスが驚くほど進化する

・コストカットしたいなら、人を育成して、1人で広範囲の仕事、2人分の仕事量をこなせる人材にすること。人の成長が、実質的なコストカット

・利益は成果の尺度であり、リスクの保険、発展の条件

・会議は、決定事項をつくるためとアイデア合戦をするためにある。アイデアを出さない人は参加させない

・情報の共有や公開がよしであっても、腹の中に一物二物持っておくのがプロの流儀

7つの大罪は、「無視・無関心・子供扱い・ロボット・たらい回し・冷淡・ルールブック」

・強さとは、他人を優先すること

・引用は好意を持ってもらう秘訣

・「強く凛々しい自分」を演出できてこそ、部下は後ろをついてくる

・「自分を主語」にする人は、「がる人」。「強がる」「自慢したがる」「口を挟みたがる」

・やりがいとは、制限の中で自由を発揮すること

・行動に迷ったら、目的を再確認すること



自衛隊は、判断ミスや悪い予兆の放置などが、人の生死と密接に関わるところです。その厳しさは、ビジネス世界の比ではなく、自衛隊に学ぶべき点がたくさんあります。

本書は、自衛隊の原理原則が学べる良書だと思います。


[ 2014/08/11 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『逆境に強い心のつくり方・システマ超入門』北川貴英

逆境に強い心のつくり方 システマ超入門―ロシア軍特殊部隊が生んだメソッド (PHP文庫)逆境に強い心のつくり方 システマ超入門―ロシア軍特殊部隊が生んだメソッド (PHP文庫)
(2013/06/05)
北川 貴英

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本書は、武道愛好家の中で注目されている「システマ」というロシア軍特殊部隊で使われている技術と、その実社会面での使い方について解説したものです。

特に、窮地における心の落ち着かせ方、身の守り方、対立を避ける方法、群集心理から離れて自由な発想を養う方法など、生きる上で役に立つことが記されています。参考にすべき点が多々あり、その一部をまとめてみました。



・システマの格闘術や呼吸法は、「体力をつけ、精神力を高めることで、攻撃しない人間になる」ためのもの。自分を殺しにきた敵さえも癒してしまう技術

・少しでも緊張や不安、怒りなどを感じたら、すぐにブリージング(鼻から息を吸い、口をすぼめて「フッー」と軽く音を立てつつ吐く呼吸法)をする。タイミングに悩む必要はない。思い立ったらすぐにブリージングする

殺人事件の大部分は、素性をよく知る人との感情的なこじれが発端。まずは、感情的にならず、リラックスして人と接し、円満な人間関係を築いていくことが確実なサバイブをもたらす護身術

・システマで学ぶマーシャルアーツ(格闘術)の技術はすべて、誰かを傷つけないことを最終的な目的としている。それは「破壊の否定」。目指すべきは、対立関係を速やかに終わらせ、誰ひとり傷つくことなく無事に生きて帰れるようにすること

・攻撃を受ける時、恐怖心が芽生える。それに伴い、筋肉が緊張し、脈拍が速まり、呼吸が浅くなり、視野が狭まり、頭の中が真っ白になる。マーシャルアーツは、他者による精神的ストレスが迫る中で、冷静さとリラックスを保っていくのかを自分に問いかける練習

・普通とは、「余計な緊張がない状態」と言い換えられる。恐怖心をコントロールすることで、普通の精神状態を保つことができる

威嚇とは、相手の精神に揺さぶりをかける行為。だから、威嚇を受けた際に、怒りや恐怖心を抱き、動揺してしまった時点で、威嚇が成功したことになる。予想通りに事が進むことで、相手は安心し、さらに強い態度に出て、自分の要求を強く主張してくる

・威嚇してくる相手に逆に動揺を与えるには、こちらが動揺しないこと。威嚇されても動じることなく、落ち着いているだけで相手は混乱し、恐怖心が芽生える。ここで威力を発揮するのがブリージング。身体と心をリラックスさせた後に、話し合いに応じること

・自分の身体にどれだけ怒りが溜まっているかをチェックするには、ミゾオチに指を差し入れてみるといい。指が入らなかったり、吐き気がするほど不快感があれば、黄信号。こうした緊張をほぐしていくことで、怒りにくい状態に整えていくことができる

リラックスしすぎもよくない。身体が緩んで重くなり、動くのが億劫になる。気力も萎えて、行動力や決断力が鈍る。身体が緊張しすぎれば動きは硬くなるし、リラックスしすぎれば今度は重く鈍くなる。いずれにせよ、スムーズで自由な動きが損なわれる

速く動くためには、ゆっくり動く必要がある。一見遠回りにも思えるこのプロセスは、無駄を省き、最小限の労力と手間で、最大限の効果を得るための一番の近道

・必ず3割程度の余力を残し、力尽きても、必ず回復して力を取り戻すようにする。動きを止めることは、戦場では死を意味する。余力を残すことで生存率は高まる。全力を尽くしても、途中で力尽き、燃え尽き症候群になっては、理想を実現するのも困難となる

・大切なのは、一点に意識を集中してしまわないこと。意識を一つの対象に集中させることで姿勢が曲がり、視野が狭まり、致命的なミスに繋がる危険性が高まる。周囲の360度に意識を向けつつ、リラックスし、止まることなく動きを続けていくようにする

・人の上に立つ人は、まず自分自身が落ち着き保つ必要がある。リーダーの役目とは、学校の先生のようなもの。騒ぐ子供達に言うことを聞かせるには、まず注目を集めなくてはならない。一緒になって騒いでいたら、自分に注目させることはできない

・毅然とした態度で呼びかけ、誰がリーダーであるかを再認識させ、部下たちの意識を束ねた上で、的確な指示を出せば、チームは大きな力を発揮する。適切な判断力を持つリーダーが「大きな脳」の代わりを務めることで、群集心理の持つ性質がプラスに転じる

・人は遠くに行こうとすればするほど、多くの人の助けを必要とする。近所のコンビニであれば、一人で行けるが、エベレストに登頂するには、多くの人との助け合いが必要

・カチンときて、言い返してしまうのは、相手の影響下に入ってしまったことを意味する。



感情をコントロールして、精神を落ち着かせることは、人間としての修行かもしれません。武道で訓練することで、その領域に達することが可能です。

心技体のバランスを保ち、堂々とできることを目標に生きることは、大切なことではないでしょうか。


[ 2014/06/23 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『人間における勝負の研究』米長邦雄

人間における勝負の研究―さわやかに勝ちたい人へ (ノン・ポシェット)人間における勝負の研究―さわやかに勝ちたい人へ (ノン・ポシェット)
(1993/02)
米長 邦雄

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著者は、将棋の米長邦雄さんです。一昨年亡くなられましたが、永世棋聖で、元日本将棋連盟会長をされていました。本ブログで著書を紹介するのは、「六十歳以後・植福の生き方」以来です。

本書では、将棋の世界で培った勝負勘の磨き方について詳しく述べられています。「勝負師」の意見には、参考にすべき点が多々あります。それらをまとめてみました。



・最善手を見つけることも大切だが、それよりもっと大切なのは、悪手を指さないこと。だから、悪手でない道なら、端でも真ん中でも、どこを歩いてもよい

・勝負とは、「実力の差」を別にすれば、それは、「確率」と「勢い」と「」の三つ

・本当に自分のしたい仕事があるのなら、会社に行って席についた瞬間から、必死になってそれを始めてしまえばいい。すると、その気迫は必ず周囲の人に伝わって、その人に雑事は頼めなくなる。少なくとも、雑事を頼むときには、都合を聞いてくるようになる

・最終的に頼れるのは自分自身の力だけ。このことがわかっていないと、成長できない

・何ごとにせよ、まず「集中力の持続」が勉強の要。試験であれ、芸の道であれ、青春時代に合計5~6000時間集中的に努力を維持した者が認められるというのが、世の中

・カンというのは、ものすごいスピードで考え、読み切った結果として生じるもの。あるいは、読まずに済むところは読まないで済ますこと。つまり、「読み」の省略があること

・第一感というのは、「長考に妙手なし」。大事なことだからこそ、簡単に決めるべき

・強くなるためには、物事の好き嫌いをなくすこと。人間を鍛える場合に「好き嫌い」などという甘えた考えは認められない

長所を伸ばすという教育法は、アマチュアの芸で、成長のきっかけとしては認められるが、プロには当てはまらない

・まずいのは、勝ちそうになった時、ああじゃこうじゃ、と喋ること。これは勝ちを逃す

・100点に向かって全部の力を出し切る時がなくてはダメ。危険を承知で、あえて踏み切っていくうちに、成長していく

・トップクラスの将棋の間には、読みの能力、思考の能力において、差はない。ギリギリのところまで力を高めた同士が戦った場合、勝敗を決するのは、ほんのわずかなカンの差

・難局になると、相手の側に立って考え、一番難しい手を指し、相手がわからなくなるような局面に導いていく。いわば泥沼に引きずり込む

・強い棋士ほど、パターンから外れて戦おうとする。つまり、パターンで戦うというのは、強い人と弱い人との間にある力の差が出にくいということ

・泥試合になったら、本当の力の勝負になる。力の勝負になれば、順当に強い者が勝つ。だから、強い人ほど泥沼で戦いたがる

・「弱い者ほど結論を先に出したがる」というのは勝負の鉄則

・世間の噂や誤解に基づく非難に対しては、しばらく、じっと静かに耐えているのがいい。こちらが正しければ、そのうち真相がわかってくる。不利な時に騒ぐのが一番まずい

・少し勝ち続けると、人は遊びほうけたり、気が大きくなる。勝っている時にはじっとしているのが大切。遊ぶのは負けている時のほうがいい

・好調を維持する時や、不調から脱出しようとする時は、「勝ってほしい」と本当に思ってくれる人と会うのがいい。墓参りに行くのもいい。先祖は、よかれと思ってくれている

・サラリーマンで、会社に貸しをつくった人は、会社の中で住みやすくなる。その人に対して、つまらない文句を言う人がいなくなるから

・遊びとは、仕事の影。だから、大きな仕事の影は、やはり大きくて当たり前

・集中力がなければ、何事をやっても成功しない。少年時代に集中力を身につけるのが一番の財産



将棋の「勝負の研究」だけでなく、人生の「勝負の研究」にも幅広く言及されています。20年前に書かれたものですが、ずっと版を重ねている書です。

人生とは、選択と勝負の積み重ね。白黒をはっきりさせないと、進めないものかもしれません。


[ 2014/04/28 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『自衛隊の仕事術』久保光俊、松尾喬

自衛隊の仕事術自衛隊の仕事術
(2011/10/05)
久保光俊、松尾 喬 他

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陸上自衛隊教育室室長であった著者の本を紹介するのは、「自衛隊ゲリラ式ビジネス戦闘術」に次ぎ2冊目です。

本書には、「日本最強の組織」と言われる自衛隊の人づくり、組織づくりの手法が明確に記されています。人の育成と統率において、参考になることだらけです。その一部をまとめてみました。



・「広くを視よ、遠くを視よ」は、敵の状況を偵察するときの方法。「大観小察」とも言う。「広くを視る」とは、全体の概況を掌握した上で、目標を定めること。「遠くを視る」とは、時間的な先の展開を予測して、そこから逆算して、今何をすべきかを考えること

・「正早安楽」を意識すれば、「作業(JOB)」が「仕事(WORK)」になる。自衛隊の訓練においては「正」を徹底する。「正」を繰り返すことにより、「早・安・楽」が出来上がる。「早・安・楽」が「正」に先行すると、訓練は成り立たない

・優先順位をつけるのはなかなか難しい。そのときは劣後順位を考える。劣後順位とは優先順位と逆で、後回しにしても、影響の少ないもののこと

・迅速な機動力は習慣によって身につく。新人の訓練では「3歩以上は小走り」を徹底している

・「遅れる1人、待つ10人、心にはめよ、腕時計」は昔あった自衛隊の標語。時間厳守は自衛隊の基本中の基本。新人に最低限要求すべきは「時間を守れ」ということ

・敵にとって、指揮所を攻撃され、指揮官を失えば、不安になり、士気が低下し、戦意を喪失する。「物」と「心」の拠りどころを制することができれば、人的・物的損害が少ないうちに勝てる

・作戦が失敗する原因には、目標や要求内容の不明確さ、技術の未熟さ、投入資源の不適切さ、部隊内のコミュニケーションやマネジメントのまずさなどが挙げられるが、一番の要因は、情報の不足や不適切さ

21世紀の5大変化とは、「1.情報の急増と加速化」「2.距離の消失、グローバル化」「3.人口構造の変化」「4.インターネットによる買い手の主導権化」「5.あらゆる境界の消失」

・熱意をもとに共感を得るには、「1.理念を言う、意義を言う、目的を言う、目標を言う、手順と作戦を言う」「2.参画してくれたらありがたいと訴える」「3.自分はやる!ともにやろう!と求める」こと

執念のある者は、可能性から発想するが、執念のない者は、困難から発想する。「執念」とは「主体性」のこと。主体性を持たずに、誰かに依存・従属している者は、困難からしか発想しない。すぐにできない理由をあげつらう

・戦闘は「自由」の争奪戦であり、不自由な状態から早く「自由」を獲得したほうが敵に勝てる。勝つということは自由の獲得。最大の達成感があり、やりがいとなる

・オチコボレたちに3配(目配り、気配り、手配り)することはエコヒイキではない。最弱者への温かいケアは、他の者も、ときによって最弱者に転落するかもしれないので、彼らからの共感を得やすい

・企業内の個々人が顧客に対して、会社の評判を下げないように気をつけるべきことは、「1.無関心」「2.無視」「3.子供扱い」「4.ロボット(言われたことしかしない)」「5.たらい回し」「6.冷淡」「7.ルールブック(会社の決まりでできないという答え)」

・指揮官は、常に「自分がどう見られているか」という、「1.積極性の点検」「2.不快感を与えていないかの点検」「3.参加意識の演出の点検」「4.連帯感の点検」「5.偉そうになっていないかの点検」が必要

・人を育てるときのポイントは、いかに部下に考えさせるか。考えさせるためには裁量権を与えなければならない。その裁量権を前に悩み、考え、実行する力が部下の力量

・「1対30」と「1対1×30」の違いは、「一斉教育だけ」が「1対30」、「個人教育を意識した一斉教育」が「1対1×30」。「1対1×30」は「上級の教え方」

・「和をもって滅びる」とは、和を大切にしすぎたせいで、互いに甘やかし、切磋琢磨しなくなること。異動の少ない部署や刺激の少ない場所で起こりやすい。このとき「叱る人」がいれば幸せ。なぜなら、人は叱られることで自分を知ることができるから



著者の言う「自衛隊の仕事術」とは「正早安楽」が基本となっています。「正」=ミスの最小化、「早」=仕事のスピードアップ化、「安」=コストダウン化と安全化、「楽」=もっと楽にできないか、楽しくできないかの工夫、です。

このような極めてシンプルな考え方で運営されています。これらを愚直に遂行することでしか、キビキビトした行動は生まれないのかもしれません。


[ 2014/04/14 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『勝ち続ける意志力』梅原大吾

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)勝ち続ける意志力 (小学館101新書)
(2012/04/02)
梅原 大吾

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著者は、1998年に17歳で世界一のプロゲーマーになってから、「最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」として、ギネスに認定されている方です。

世界一になっても、世界一で居続けることは難しいものです。その課題に、どう立ち向かっていったのかが、本書に記されています。

将棋、囲碁、麻雀のプロが書いた本を何度も読みましたが、プロゲーマーの本は初めてです。日進月歩変り行く世界なので、それにどう対処されたのか興味が湧くところです。その一部をまとめてみました。



・プラスとマイナス、その両方を分析して努力を続けない限り、勝ち続けることはできない。自分の才能に頼るとか、一つの勝ち方にこだわるような人は、必ず落ちていく

・勝ち続けるためには、勝って天狗にならず、負けてなお卑屈にならないという絶妙な精神状態を保つことで、バランスを崩さず真摯にゲームと向き合い続ける必要がある

・自分が勝てたのは、知識、技術の正確さ、経験、練習量といった当たり前の積み重ねがあったからで、得体の知れない自分という存在が相手を圧倒して手にした勝利などでは決してない

・センスや運、一夜漬けで勝利を手にしてきた人間は勝負弱い

・勢い任せで分析を怠ってきた人間は、究極の勝負の場面でススススット引かざるを得なくなる。覚悟を持って戦いに挑んでいる相手を前にすると、自信を持って前に出て行くことができなくなる

・周りの人間は結果のみで評価する。だから、自分にしか分からない努力を続けている最中は、誰にも認められない。物事の表面しか見ることができず、深く考察しない人間は、努力の過程を見ることなく、結果だけを見て、バカだ無謀だと吐き捨てる

・自分だけのもので、永遠に自分を勝ち続けさせてくれるものは、新しい戦術(特許)を生み出す努力であり、発見に必要なノウハウ。そこに気づいてから、真似されても何とも思わなくなった

・気になったことは必ずメモする。後で絶対に解決しないといけないと心に決め、直感的に「問題になるかも」と感じたことは、すべてわかりやすく箇条書きにする

・ゲームの世界での日々の変化とは、専門的な戦術(攻め方、守り方、攻撃パターン、技の組み合わせ、技を出すタイミング、自分が選ぶキャラクターと相手が選ぶキャラクターの相性・・・)。対戦というものを細分化し、少しずつ変化させる

・勝負の世界において、人の目を気にすることはマイナスでしかない。なぜなら、人の目を気にしていると本来やるべき行動を継続できないから

自分を持っている人は、「俺はこれでいい」と確信できている人なので、圧倒的な集中力がある

集中力とは、他人の目を排斥し、自分自身とどれだけ向き合うかにおいて養えるもの

・結局、型にはまってしまうのは、失敗を避け、有名になりたいとか、目立ちたいとか、誰かに認めてもらいたいと願う欲望。その欲望が自分を萎縮させてしまう

・「自分が正しいと思った行動をしてみる」という子供のような純粋さを取り戻したことで、勝率が上がった

・人の心を動かすのは、やはり本能に従った純粋なファイト

・考えることを放棄して、ただ時間と数をこなすのは努力ではない。それはある意味楽をしている

・自分を痛めつけていると、努力しているような気になる。しかし、そんな努力からは、痛みと傷以外の何も生まれてこない

・甘すぎることもなく、厳しすぎることもない。10年続けられる努力であれば、ちょうどいい



最後に、著者は、「勝ち続ける人間は、運が悪くても勝てる道を追求し続ける」。そして、「運・不運なんて関係ないと断言できるようになった者のみが、運・不運すらも超える、神の領域へと踏み込んでいける」と述べています。

運を味方につけて勝つのではなく、不運でも勝つことが、勝ち続けるということではないでしょうか。


[ 2014/03/31 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『「勝負強さ」の探求―“いざ本番”に強くなる!』折茂鉄矢

「勝負強さ」の探求―“いざ本番”に強くなる!「勝負強さ」の探求―“いざ本番”に強くなる!
(2003/03)
折茂 鉄矢

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著者の本を紹介するのは、「勝負強さの研究」に次ぎ2冊目です。勝負事を研究して、この道50年の方です。

本書にも、野球、サッカー、マラソン、ボクシング、ゴルフ、相撲、柔道、剣術、兵術、将棋、囲碁、競馬、投資、ギャンブルなどの勝負事での戦いの事例が満載です。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・強さを、「技量」「体力」「精神力」「駆け引き」「運」という5つの要素でとらえてみると、上級者レベルでは、実力は「精神力」「駆け引き」「」を膨らませることによって生ずる

勝負強さとは、1.「勝機をつくる力がある」2.「勝機を確実にモノにする力がある」3.「逆境にしぶとい」4.「接戦、乱戦に強い」5.「終盤に本領を発揮する」6.「ここ一番に強い」7.「プラスαの力を発揮する」ということ

・勝負事は、守りの原則、攻めの呼吸、状況判断、決断、困難の克服、抵抗力、戦い続けることの価値、といった競争社会でのし上がっていくために必要なトレーニングの場

・「勝つときがあれば、負けるときもある」という境地は、勝負師の落とし穴ともなる

・「兵は勝つを貴ぶ」とは、戦うのが仕事なのではなく、勝つことが仕事であるという意味

・「互角ならいただき、競り合いになればこっちのもの」という自信がぶつかり合うところに、勝負の面白さとすごさがある

・挫折や敗北を受け止め、「泣きの体験」をバネにし得た者だけが真の強者となれる

・「将棋の勝ち負けは悪い手で決まる。悪い手を指さなければ、相手の好手でリードされても挽回可能な範囲。長期間では、悪い手を指さないタイプのほうが強い」(大山康晴名人)

・「形勢判断は登山者の地図と磁石、航海する船の海図と計器。これなしに進むのでは危なくてしょうがない。冷静に局面を判断し、優勢ならガッチリ打つ。劣勢と見れば、思い切った勝負を決行する。着手の方針を定める議決機関が、形勢判断」(石田秀芳本因坊)

・優勢の戦力といえども、集中力を欠ければ敗れる。「同じ力なら、分散したほうが負け、集中したほうが勝ち」とは、兵力の数においても、個人の戦闘能力においても言えること

・人生も勝負事も、最後はナニクソの戦いである

・完璧主義者には、一度崩れると歯止めがかからない脆さがある。だが、八十点主義者には、叩き上げのしぶとさがある

・建築用語でいう「わらい」は、石垣などを積む場合、わざと石の間を少しあけておく。これによって、石垣は自然の柔構造物となり、地震のショックを緩和して受け止める

・宮本武蔵の「五輪書」では、敵の心の動きを知ることの大切さを説く。「陰を動かす」というのがそれで、敵の意図が判明しないとき、わざと攻撃するように見せかけたり、不意に打ち込むと、その反応で、目に見えない相手の陰の心の動きを知ることができるという

・大義名分を掲げることは、時の勢いに乗り、世論を味方に戦うということ。戦いの相手は眼前の敵だけではない。周囲の人々を敵にするか味方につけるか、その差は大きい

・非勢と見たら、勝負回数を減らす賭け金を小さくするなど、できる限り、勝負を下りる。馴れない土俵で戦うことを避け、計算の立たないものに賭けないのが、真の勝負師

攻める者は、戦いの方法、場所、時期を選べる。つまり、「場」を取れる有利さがある

待つ、降りる、休むは高等戦術

・黒が出れば次は赤だと思う人、また黒だと思う人。この種の勝負に強くなるには、しょせん勢いのものと割り切り、ツイていたら思い切り攻め、雲行きが怪しくなれば休むこと

・企業でも「経営がハデになったら要注意」と言われる。下手な虚勢は評判を落とすだけ

・将棋でいえば、悪い手を指したとき、アマはすぐに顔や声に出すが、プロはむしろ平然としている。ここでバタバタすれば、相手を喜ばすだけ。棋士はなかなかの演技者ぞろい

・エンギをかつぐ、自己暗示、何でもいい。自信をつけるのにプラスになることなら、信じるに限る。成功イメージを強く描く「信念の魔術」の効果は絶大



ハングリーな環境で育ってこなかった人は、本番に弱いのが通例です。本書には、そういう人でも、戦っていける事例が数多く載っています。

精神力を高める方法、自信をつける方法、接戦をモノにする方法など、知っているのと知らないのとでは大違いです。本書は、その手引きになるのではないでしょうか。


[ 2013/10/21 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『知られざるインテリジェンスの世界』吉田一彦

知られざるインテリジェンスの世界知られざるインテリジェンスの世界
(2008/11/18)
吉田 一彦

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インテリジェンスを日本語に翻訳すれば、古くは、忍者やスパイなどの諜報活動のことを指しますが、現在では、情報活動、情報収集、情報分析なども含めた意味になります。

嘘の情報を流したり、機密情報を入手したりすることの方が、実際の戦いよりも、優劣を決める場合が多いと言われています。それらを体系的に著したのが本書です。参考になる点が多々ありました。その一部を紹介させていただきます。



・情報活動は、「収集」「分析」「隠密作戦」「対敵情報活動」の四つに分類できる

・情報活動は、まず生のデータを集めるところから始まる。この生データを統合して分析することで、判断の基礎とする。情報の収集には、大別して、1.「人間による方法」2.「専門技術による方法」3.「公開されている資料による方法」の三つがある

・スパイのことを中国では「沈底魚」と呼ぶ。アメリカのような移民に寛容な国では、移住した後、子供に高等教育を受けさせ、軍事や科学の最先端を行く機関に就職させれば、必要な情報がとれる。正体を隠すのも容易

・陸軍の将校がドイツに留学すると、ホームヘルパーという現地妻があてがわれ、これで「日本軍人はたいていイカレちゃう」。ハニートラップ(蜜の罠)は、女性が男性に近づいて親密な関係になり、それをネタにして情報を得るのが定番

・情報をでっち上げ、想像力の限りを尽くして飾り立て、いかにも重要な機密情報であるかのようなお膳立てをして、法外な値段で売りつける。この種の偽物作りのことを、業界用語では「製紙工場」と呼ぶ。被害にあっても、騙される方が悪い

日本兵捕虜は、煙草をもらい、ご飯を食べ、休息をとった段階で、やっと心を開いて話し始める。まず家族のこと、健康、出身地や学校など軍隊と関係ないところから聞き始め、そしてだんだんと所属していた部隊、その隊長、指揮官は誰かの核心に迫る

捕虜文書の中には、日本軍の戦闘序列、地図、守備隊兵力、保有武器の種類とその数、周辺海域の水路図、防備状況に関するものが含まれていたから、以後のアメリカ軍の作戦に資するところが大であった

・湾岸戦争の時、GPSがなければ、多国籍軍の戦車は、広大なイラクの砂漠地帯で自由に行動できなかった。衛星利用によって、アメリカ軍主導の多国籍軍は、圧倒的優位を得た

・公開されている情報源には、新聞雑誌、テレビラジオ、ネット、地図、政府報告、要人演説、統計表などがある。アメリカでは、情報関連の予算で、公開情報収集に割り当てられる金額は全体の1%に過ぎないが、情報の生産量は全体の40%近くを占めている

・旧陸軍情報部が傍受したアメリカのラジオ放送で、アメリカ軍が南方地域で新しい作戦を起こす2、3カ月前に、必ず薬品会社と缶詰会社の株が急騰するという情報もあった

・旧陸軍では、作戦部が情報部を軽視して、作戦計画を策定していた。そのための不利な情報は無視された

・情報分析官にとって厄介な問題は、必ずしも理屈通りに動いてくれないこと。とてもありそうにないことを、可能性として上司に納得させることは容易ではない

・情報分析官の直面する問題点で最もよく知られているのは「狼少年症候群」。つまり、警告を発するのはよいが、空振りが連続すると、警告を受け取る側が慣れっこになる。そして往々にして、注意が払われなくなった時に恐れていた事態が発生する

・情報分析で重要なのは、将来の予測をすることだが、これがなかなか困難で、失敗すれば責任をとらされる恐れがある。これを回避するために、型にはまった安易な対応がなされる。このような報告書では、将来の見通しよりも、最近発生した事柄ばかり記載される

・情報機関は秘密を守らねばならないから、その情報にアクセスできる関係者の数を減らす必要がある。しかし、情報の見落としは、集まった情報量が少ない時に、よく発生する

・相手側のスパイ活動については、単にそれを阻止するだけでは物足りない。できることなら、相手の情報分析力に目標を定めて、ミスリードするような方策を思いつけば、相手をこちらの思う方向に誘導できる

・相手がそうするだろうと思っていること、あるいは、そうあってほしいと思っているところを衝けば、欺瞞作戦成功の確率は一気に高まる。相手の心理を読みとって、自己欺瞞に誘い込んでいけば、正確な情報が相手に届いても、自分で排除してくれる



戦わずして勝つこと、できるだけ少ない人数、少ないお金で勝つこと。そのためには、知恵比べが重要になってきます。

日本には、卑怯なことをするのを好まないという風潮がありますが、生きるか死ぬかの真剣勝負では、そんな悠長なことは言っておられません。本書には、できるだけお金をかけずに勝つ方法が詳しく載っています。参考になる点が多い本でした。


[ 2013/08/05 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『この世の掟(ルール)をぶち破れ!』桜井章一

この世の掟(ルール)をぶち破れ!この世の掟(ルール)をぶち破れ!
(2010/09/24)
桜井章一

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プロの麻雀師である著者の本を紹介するのは、ひさしぶりです。「未知の力を開く」「運に選ばれる人選ばれない人」に次ぎ、3冊目となります。

本書にも、前の著書と同様に、時の流れに身をまかせ、自然体に生きることの大切さが書かれています。無の境地に達した人ならではの書だと思います。この中から、大事だと感じたところを、一部要約して、紹介させていただきます。



・リスクがないという状態はダメ。多くの人がリスクを避けようとするが、逃げていたら学ぶことはできない。リスクとは学べる場である

・本当は答えがないということを忘れている。世の中に答えなどないと気づくだけで、不安や怖れは軽くなっていく

・人は「いいこと」に囚われると、己の都合主義、思想で異なったものを抹殺してしまう。戦争はそうした極端な例。われわれの日常の、極端な健康信仰、極端な教育偏重主義、極端な成功哲学も、実はさほど変わりない

・「心の偏り」に危険を感じる。何でも熱くなる人というのは偏っている証拠

・善意ややさしさ、熱意やがんばるといったことも、行きすぎればすべて「いいこと病」になる。そんな考え方は一度捨ててみること。人間は優しさの裏に残酷さを持っているし、熱意の裏には怠惰な部分を持っている

・あきらめるとは、本来の自分を取り戻すために必要な勇気である

・人間は捨てることが難しい。とくに勝ち続けてきた者が、それを捨てることは簡単ではない。勝負するという習性は、もともと人間が持っている本能的な部分であるがゆえに、勝つことを捨てるのは難しい

・情報が少なくても、世の中の流れや経済の流れがわかるのは、必要のないものをウンコのように外に出してしまっているから

・不老不死が幻想であるように、錬金術もまた幻想にすぎない

・人は経済やお金に埋没してしまうと、気持ちが死んでいく

・損得勘定とは、結果的に自分のことしか考えられなくなる生き方。そこには、世の中はつながっているという感覚がなくなってしまう

・今、目の前のことをこなすこと。今やるべきことをやれば、自然とその先に未来がある。だから、今だけでいい。とにかく、過去は過去として存在するが、それに囚われてはいけない。未来に囚われてもいけない

・真剣だとか、頑張るとかいう感覚が、もうすでに間違えている。力を入れたらダメで、何も動きがとれなくなってしまう。動きがとれない体は、実は固定観念にどんどん囚われているのと同じ

・知識を持った人間は、何をするにも考えてから行動するために、打算的になり、結果、失敗することが多い

・人間というのは、得られさえすればいいと、取ることばかり、攻撃することばかりを考えている。何かを得たら、今度は奪われるという防御本能を忘れている。攻撃だけでは、バランスを崩すということを、人間は愚かにもいまだに学んでいない

・かわいさというのは、「地」であればいいということ。嘘つきでもいいし、バカでもいい。何でもいい。それが「地」でありさえすればいい

・相手の波長に合わせること。自分の考えを捨て、ただその人に委ねればいい。そうすることで、相手は自然にあなたを受け入れる

・世の中は何でも変化する。それと同じで、相手の心も絶えず変化している。相手の気持ちが変化しただけと思えば、裏切りは裏切りでなくなる

・相手に近づくのであれば、自分の悪い部分を出さないといけない。いいところばかり出して、相手に近づくのは、詐欺師と同じ

・あとでやるという人は、結局あとでもやらない。なぜかと言えば、そういう人は物事の「」を外してしまっているから



目的、目標もなく、努力、ガンバリもなく、ただただ自然に目の前のことを全うしていれば、自然と道が開かれてくるよ、と著者は述べているように思います。

それは、生きているというより、生かされているという感覚になることが、実は生きることだということなのかもしれません。


[ 2013/07/08 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『「権力」を握る人の法則』ジェファリー・フェファー

「権力」を握る人の法則「権力」を握る人の法則
(2011/07/21)
ジェフリー・フェファー

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権力志向の人は、とかく批判されがちですが、リーダーとは、権力を握って、影響力を与えている人のことです。成功するにも、出世するにも、先ず権力を握らなければ、どうすることもできません。きれいごとばかり言っていられない世の現実です。

では、どうすれば権力を握ることができるのか、それを詳細に記したのが本書です。興味深い点が多々ありました。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・富や地位や権力を手にしているだけで、その人物の評価は高まる。逆に、不運な目に遭った人に「ああいう目に遭ったのも本人に何か原因がある」と、世間は「被害者非難」を行う

・リーダーたちの多くが、トップに上り詰めるまでに経てきた抗争駆け引きには触れず、きれいごとでごまかす。彼らの講演の多くは、良心に従え、誠実であれ、謙虚に振る舞え、強引なやり口は慎め、汚い手は使うな、といった願望に基づく教えに終始する

・権力を握れば、自分で歴史を書ける。古い話は、都合よく書き換えることができる

・仕事ができるだけでは、昇進するには不十分。それどころか、能力が足を引っ張ることさえある。まずは、あなたの存在に気づかせること。次に、有利な基準で評価されるように働きかけること。そして、能力を持っていると認めさせること

・上司を気分よくさせる最善の方法は、何と言っても誉めること。誉めてくれた相手に好意を抱くのも自然の感情。好かれれば、それなりの影響力を持てる。誉め言葉には、ギブアンドテイクの法則を呼び起こし、自己高揚動機に応える意味でも効果的

・部門の相対的な力は、初任給と幹部クラスの給与水準に反映される。勢力の強い部門の初任給は他の部署よりおよそ6%高い。幹部クラスの報酬では、ドイツでは研究開発部門、日本では研究開発部門と人事部門、アメリカでは財務部門が高い

・人は、できるだけ他人に頼まずに済まそうとするが、頼みごとは、少々大胆でも案外うまくいく。なぜなら、助言や助力を求められる相手にとっては、それができると評価されたことにほかならないから。頼みごとは、相手の自尊心をくすぐり、自己肯定感を強める

・マキャベリが500年前に「君主論」で指摘したとおり、最も望ましいのは「愛され、かつ恐れられる」ことだが、片方しか選べないなら、愛されるよりも恐れられる方が、地位と権力を維持する上では、はるかに得策

・「カネの出所を追え」というのはジャーナリストの鉄則。出所がわかれば、権力構造を解明できるから

・とくに便宜を図らなくとも、単に公正礼儀正しいだけでも、人は好感を持つ。というのも、礼儀正しい人間を攻撃するのは難しいから

・たいていの人は、つまらなそうな仕事や地味な仕事に、やる気を起こさないし、興味を持たない。そういう仕事を率先して引き受け、人並み以上にうまくやってのければ、あなたにビッグチャンスが回ってきたときに、ケチをつける人がいなくなる

・自分を中心としたネットワークは、影響力を手にする上で極めて重要であり、ネットワーク作りのスキルは、是非必要なもの

ネットワーク作りで陥りやすい落とし穴の一つは、つい同じタイプの人とばかり接してしまうこと。相性のいい人やよく知っている人といれば、安心し、くつろげ、気楽であるが、それではネットワークが拡がらない。殻を破り、未開の地を開拓しなければならない

ステータスを高めるには、高い理想を掲げ、社会的地位の高い人々が関心を持つような運動やプロジェクトを組織すること。社会的地位の高い人とネットワークができていると、それが報酬に直結することがある

・アトキンソンは、説得力を強め、共感を呼ぶ方法として、「1.敵対的構図を際立たせる」「2.間をとる」「3.論点を箇条書きにする」「4.対比を使う」「5.メモを使わない」の5つをあげている。これに「人を笑わせる」ことを加えれば、さらにいい

権力の代償として、「一挙手一投足を監視される」「時間の自由を失う」「多大な時間とエネルギーをとられる」「人を信じられなくなる」「権力が中毒となる」などがあげられる

権力者が転落する原因として、「自信過剰になる」「油断する」「軽率に信頼する」「自制心を失う」「燃え尽きる」「変化に取り残される」などが考えられる


権力者=既得権益者かもしれません。権力を握った者は、他者を排斥しようとするので、権力者の仲間内に入り込もうとすれば、それ相応の礼儀やルールを守ることが必要です。その方法が、本書に描かれています。

とにかく、権力者側に入ってしまうこと。それが実行できなければ、相当な努力をしない限り、成功、地位、富を手にすることは難しい。現実を直視せよ、というのが本書の主旨ではないでしょうか。


[ 2013/04/16 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『自分超え: 弱さを強さに変える』松田丈志、久世由美子

自分超え: 弱さを強さに変える自分超え: 弱さを強さに変える
(2012/06/29)
松田 丈志、久世 由美子 他

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松田丈志選手は、北京オリンピックで銅メダル、ロンドンオリンピックで銀メダルと銅メダルを獲得したスイマーです。ロンドンオリンピックで「(北島康介さんを)手ぶらで帰らせるわけにはいかない」とコメントし、昨年の流行語大賞にも選ばれた人です。

その松田選手が、延岡のビニールハウスプール時代から、久世由美子コーチと一心同体で歩んできたメダル獲得物語が本書に記されています。目標を達成していく姿や過程がすごく参考になります。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・「僕は最終目標から日々の内容を考えていく。久世コーチはあくまでも、日々の積み重ねの先にゴールがあるという考え。二人が違ったからこそ話し合う価値があった」(松田)

・「コーチたちはみな、自分が正しいと思って指導する。自分のやり方の正しさを証明しようとしてしまうことがある。でも、本当に大事なことは、自分の指導が正しいということではなく、選手が速く泳げるようになること」(久世)

・「記録が伸びないということは、練習と指導が間違っていると受けとめるべき。それを認めず、選手のせいにしてしまうコーチが多い。私は丈志を強くしたい」(久世)

・「丈志の力を100%引き出すということは、力を出させない要素をなくしていく、ということ。余計なものを取り除く作業」(久世)

・「世界一を狙うには、誰も足を踏み入れたことのない領域に到達し、そのうえで勝負に勝たなければならない。その取り組みはいつも手探り。『どうやって』を探り出そうとするときにはいつも、センスといった人間の創造力が主役となる」(松田)

・「知識を増やそうとするよりも、むしろコミュニケーションを増やしたほうが、豊かな発想につながる」(松田)

・「科学によって人間は現状を細かいところまで知り、未来の目標との差を示すことができる。でも科学は、その差を埋める方法まで教えてくれない」(松田)

・「『夢を与える』という言葉があるが、コーチが掲げただけではただの目標。その目標が選手自身のものになって、どうしてもそれを達成したいと心から思うようになって、そこで初めて『夢』になる。そして、選手が自ら成長する力になる」(久世)

・「選手が成功するかどうかは、素質ではなく練習で決まる。生まれながらに成功が約束されているかのような考えを持っていたら、苦しい練習は続けられない。良い結果が出なければ素質のせいにしてしまう。親がそういう考えを持てば、子供にも影響する」(久世)

・「自分で努力し、自分にできること、できないことをはっきりさせた上で、突破口を求めて新しいものを学ぼうとした、その過程に意味があった」(松田)

・「オリンピックという大舞台で、力を出し切るためには、周りを気にしないこと。自分では変えることのできない物事には、時間とエネルギーを使わないこと」(松田)

・「僕は自分の練習ノートに『変化より進化』と、よく書き込んだ。自分を変えようとして失敗したアテネオリンピックの反省だった」(松田)

・「競泳で速くなるためならば、どんなことでもやろうという気持ちを持っている。しかし、長く競泳界にいて、そういう気持ちを持っている人が少ないことに気づいた。『そこまではしたくない』という選手が意外に多い」(松田)

・「高校を終えるころ、体格が固まってきて、身体の成長だけでは強くならず、厳しい練習をしなければならない時期が来る。そのとき、しっかりした習慣が身についていない選手は、厳しい練習に身体がついていかなくなり、記録が伸び止まる」(久世)

・「好奇心はいつも、私たちを学ぶべきところへ導いてくれる」(久世)

・「練習方針について主張するには、自分ができていること、できていないことを分析し、何をしたらいいか、考えをまとめて伝える必要がある。言いたいことが言えると、たとえ自分の主張が通らなくても、練習をやらされているという気持ちにならなくなった」(松田)

・「足りないものがあったおかげで、常に工夫できることはないかと考える癖がついた。競り合う選手がいなかったので、いつも自分自身と向き合っていた」(松田)

・「人生を分けるかもしれない選択のときに、他人に迷惑がかかるかも、わがままと言われるかもとか、自分の気持ちとは別のことで決断してしまわず、自分の最善を尽くしたいために、あくまで自分のことだけを考えて決断した」(松田)



本書を読むと、オリンピックでメダルを獲るというのは、効率的・効果的な努力、つまり無駄のない努力をしなければいけないことがよくわかります。しかも、肉体的にも精神的にも、自分をコントロールしていかなければいけません。

そのためには、選手とコーチの良き関係がなくてはならないことを教えてくれます。一流を目指すなら、どんな世界にも、そういう関係が必要なのかもしれません。ビジネス書を読むより、目標遂行の過程が具体的で、参考になるところが多いのではないでしょうか。


[ 2013/04/02 07:01 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『情報を読む技術』中西輝政

情報を読む技術情報を読む技術
(2011/01/06)
中西輝政

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中西輝政京大教授の本を紹介するのは、「本質を見抜く考え方」に次ぎ2冊目です。国際政治学者としての歴史に基づく鋭い指摘は、今のアジア情勢を考える上で、勉強になります。

最近、マスコミにあまり出られないだけに、本書の論評は貴重です。情報に対する態度など、参考になる点が多々あります。それらを一部要約して、紹介させていただきます。



・中国4000年は異民族による侵略の歴史。同一民族が築いてきた歴史が中国にはない。そのせいか、国際問題を力の相対関係としか見ずに、相手が与しやすいと見れば、力づくで強硬な主張をする。自分の利益を拡大すること以外の原則は存在しない

・相手の「本気度」を、それが「はったり」なのか「本気」なのか見極める必要がある。例えば、中国など東アジアの国々は、何の準備もなく、根拠もなく「カラ脅し」をかけてくる。「カラ脅し」の文化は、ラテン諸国にも多く見られる

・「ふっかけ文化」の御三家は、ギリシャ、イタリア、スペイン。ところが、北ヨーロッパへ行くと、ドイツは「正札文化」。ドイツ人は、言葉通り受け止めなければならない相手

・ウエブ空間は、外国の秘密工作によって、大衆の心理操作を容易にする怖い媒体。ニセ情報でも、やすやすと一般庶民に直接届き、活字と違い、すぐ消えるから、追跡しづらい。

・ある人間について知るときは、まずその人の「育ち」に関する情報を集めること。イギリス情報部は、人間のつながりと、個々の人間のプロファイリングを、この200年間徹底して積み重ねている。人物情報は「真実」と「嘘」を仕分けるときの大切な資料となる

・歴史をひも解くと、優れたリーダーは、例外なく悲観論者。前向きのことを言えば、人気は高まるが、国の舵取りを誤る。だから、あえて黙して悲観主義に徹する

・利害が絡む間柄では、「便りがないのはいい便り」ではない。相手の沈黙は、むしろこちらの知らないところで何かを企んでいる「暗黙の情報」と読んで、動向を注視すること

・左翼やリベラル派の「原理主義者」たちは、「どうあるべきか」については大変視野は狭いが、「どうするべきか」については、立ち回りがうまく、巧みに選択の幅を広げる

・情報を正しく読むには、相手が何を「隠そうとしている」かの視点も大事。前後関係のないことが突如進行し始めたら、別の件を隠すための「目くらまし」のことがよくある

・中国にも、受けた恩義は忘れないという一面があるが、あくまで実利がある間だけのこと。「水が飲める間だけは、井戸を掘ってくれた人のことを忘れない」だけ

・日本のマスコミは、物議をかもす情報にはフタをする。しかし、報道機関として「事実を報じている」アリバイが必要。そのとき、彼らはベタ記事扱いにして、ことをすませる

・一度、強いブームや単純なフレーズに与してしまうと、それ以上考えなくなるのが人間

・ユダヤ人の世界には、「全会一致は無効」というルールがある。圧倒的支持を受けているものへの「警戒心」が、情報の本質を見抜く視点を養う

・人間には、ものごとを誇張するクセがある。一度、一つの方向に可能性を見出すと、一気にすべてをそこに賭けてしまうのは、古今東西、人の常

・「わかりやすさ」を演出するためには、「わかりやすい悪人」が必要

・海外の学者は、必ずと言っていいほど、「日本は知的社会に通信簿がない国」と指摘する

・「100年に一度、決定的な嘘をつくために、99年間は本当のことを言い続けよ」が、イギリスの国家戦略の伝統

・戦略として最も優れているのは、最低限のコストで相手をこちらの思い通りに動かすこと。軍事力や経済力のない弱者にとって、情報は最大の武器となる

・「相手を動かすため」という、根本目標を常に忘れずに情報を活かした者が、最も効果的に相手を制する

・歴史上の人物が遺している処世訓に、いまなお、欧米人は大変貪欲

・新しく立場が変わった人の言葉遣いを注意して見ていれば、その人が新しい環境にどのように影響されているかが見えてくる。これも、大事な情報の一つ

・「それ行けドンドン」や「石橋を叩いても渡らない」は、いずれも堕落、精神の劣化



情報を鵜呑みにせず、出どころを確かめ、裏を読み、嘘、誇張を見抜く姿勢が、人と交渉する人に求められています。

日本人同士の小さな内集団の中では、そういう必要はありませんが、海外の人たちと接していくためには、「情報を読む技術」が、必要不可欠なのかもしれません。


[ 2013/03/18 07:02 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『望みをかなえる脳』林成之

(文庫)望みをかなえる脳 (サンマーク文庫)(文庫)望みをかなえる脳 (サンマーク文庫)
(2012/11/15)
林 成之

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著者は、脳神経外科医として活躍するかたわら、北京オリンピックの競泳陣にアドバイスを行い、成果をあげられた方です。

本書は、スポーツ選手の「勝負脳」の使い方を、我々の日常生活やビジネスに応用を促すものです。参考になる点が多々ありました。それらの一部を紹介させていただきます。



・人間の能力というのは「一気に上がる」もので、最も調子が高かったときや記録の伸び盛りのときにこそ、さらに急激に伸ばしていける。そういう加速的な性質をもっている

・仕事において、たとえどんな大きな成果を上げたとしても、「やり遂げた」「これで十分」といった達成感に身をひたすのはタブーと心得ること。そうしたゴール意識は、脳科学上、目標や望みをかなえるためにはマイナス作用をもたらす「否定語」としてしか働かない

・達成感覚やゴール意識の落とし穴にはまらないためには、ゴールだと思ったところから、さらに、もう一歩も二歩も「ねじ込む」ような強い気持ちを維持し続けること

・心のよさは頭のよさのベースとなる必須条件なのだから、人が能力を十分に発揮するためには、まず、その心がしっかりしていなくてはいけない

・先生や上司から言われたからやる、そういう受動的な態度では脳は鍛えられない。しかしそこに、自分が納得して「自分からこうやる」「もっとうまくできる」といった前向き思考を持ち込めば、「考える脳」の機能を主体的に向上させることが可能になる

・思考力を発揮するのに効果的な方法の一つは、自分に「ほうび(報酬)」を与えること。もう一つは、繰り返し考えることで「思考のうねり」を生み出すこと

・たいへんをたいへんと思わない、ハードワークをハードワークと思わない、そういう並外れた熱意や真剣さがケタ違いの成果を呼び込む、遠いように見えて最短の道

・集中力は、キリ(板に穴を開ける道具の錐)をイメージすればいい。錐は鋭く尖った先端の一点にすべての力を凝集しながら分厚い板にも穴を開けてしまう

・われを忘れるほど集中していると、緊張などという「雑念」が脳裏に浮かぶことはまずない。緊張するのは、集中力が足りない証拠

・勝ち方に執着せよとは、自分との勝負にこそ勝利せよという激励のメッセージ。あらゆる戦いは、自分との戦いであり、過去の自分を克服できたときが真の勝利となる

・目標達成のためには、相手の弱点を突くのではなく、逆に相手の長所を打ち砕くことが肝要。つまり、相手の得意技を打ち破ること。それこそ、相手に与えるダメージもより大きくなる

・相手に自分の得意技を打ち砕かれたときの対処法は、二つ以上の得意技をもつこと。仕事で言えば、人に負けない能力や専門性を複数もつこと

・組織のリーダーは、その必要条件として「自分を捨てる」「自分を殺す」ことができなくてはいけない。そうすることで、組織の目的を大切にし、それに向かって力を発揮する部下たちの力を引き出し、その能力を伸ばすことができる

・自己防衛が行き過ぎると、自他への攻撃に転じてしまい、自身の破壊につながってしまう。これは脳の怖い一面。それを防ぐ一つは、相手の「失敗を許す」寛容さ、もう一つは、自分で「自分の弱点を認められる」素直さ

・キレる子供を減らしたいなら、子供たちに「自分の弱点を言わせる」教育が効果的

・バランスのとれたものを好み、アンバランスなものを嫌う、この統一・一貫性は脳の特性で、その縛りを外すには「間をおいて考える」こと。考えても思考の類似性を免れないときには、四日後に再度考え直してみるのがいい。また、異なる視点を導入するのもいい

・空間認知脳を高めたいのなら、文字を丁寧にバランスよく書く訓練を行うこと。それは指や手や腕を初めとする身体的な運動能力の向上にもつながってくる

・狭いエリアの限定された条件でいいから、これだけは絶対に人に負けない、そういう得意分野をつくることから始めること。特技を持つことと、自信を持つことは重要

・仕事のできる人とは、「自分の弱点を素直に口にできる人」、それから「人の悪口を言わない人」。この二つはワンセット。こういう人は必ず、自分に厳しく、人に優しい



スポーツ分野の研究は、個人の能力アップにも、仕事のレベルアップにも、応用できるものです。

勝つことを目的としたスポーツ分野に学ぶことは、まだまだたくさんあるように思います。特に、勝負強いスポーツ選手の脳の使い方に学ぶべき点は、多いのかもしれません。


[ 2013/03/05 07:02 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『敗北の理由』谷光太郎

敗北の理由敗北の理由
(2010/08/27)
谷光 太郎

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戦力を集約すれば、「武力」「情報力」「経済力」の3つです。戦国大名は、忍者の活用など、「情報力」を重視していました。ところが、太平洋戦争時から今日にいたるまで、日本は、「情報力」は、ほとんど無視されているように感じます。

本書は、「日本軍エリートはなぜ迷走したのか」がサブタイトルですが、その大きな要因が「情報軽視」です。敗北の理由を知ることが、反省を生み、次の対策に繋がります。

本書には、日本軍敗北の理由が数多く掲載されています。会社や団体の組織にも応用できることばかりです。その中で、特に参考になった箇所を、紹介させていただきます。



・どんな組織でも「1.創業時代」「2.保業守成時代」「3.衰退時代」がある。1の時代は、理想と情熱の時代だが、2、3と移る間に、諸規則や人事制度が整備・精緻化され、やがて、事なかれ安全第一、無為、先送りによって、消滅を迎える

・生存競争の厳しい環境に対処しなければならない機能型組織の幹部は、例外なく、情報の収集とその分析・評価に注力するが、共同体型組織では、情報への関心が薄い。昭和の陸海軍は明治の軍や米軍と比べ、共同体組織化していた

・「情報を収集・加工し、判断する」部門と、「その情報を活用して政策立案を行う」部門との間には、常に緊張と対立と相剋がなければならない

・日本陸軍の軍事思想の多くは、ドイツから学んだ。ドイツ陸軍では、参謀の影響力が大きく、特に作戦参謀の発言力が強かった

・情報は一つの視点から判断してはならない。一つの視点は単なる「点」。二つあれば、「線」になる。線だけでも判断は難しい。三点となれば「三角形」が形づくられ、判断に正確性が増す。四点となれば、二つの線となり、その「交点」が判断の最終目標となる

・日本陸軍は「陸大出に非ざれば人に非ず」というくらい陸軍大学校卒を優遇した。陸大卒でも、ペーパーテストの成績がよい者が作務畑に行き、成績が悪い者は特務機関をやらされた。作戦畑の参謀は「頭の悪い連中の報告や意見など聞けるか」という態度をとった

・作戦参謀には、情報参謀が苦心して収集、分析した数字より、自分の願望的直感や、実体を持たぬ精神力が大事だった

・軍の運用にあたっては、まず第一に、情報参謀が情報を収集し、次いで、後方参謀がロジスティックス(兵站)関連を考慮し、これらを勘案して、作戦参謀が作戦案を整えるのが鉄則

・日本人の「お人好し」は、海上の孤島にあり、異民族による過酷な支配や、異民族間の血で血を洗う凄惨な体験がないため。人を疑うことすら悪いこととされるし、「国際化とは外国を信用することによって達成される」といった甘いことこの上ない論調すら目にする

・米国の秘密情報の95%は新聞その他の刊行物に発表されていた。日本の海軍情報部が注意深く米国の新聞を分析していれば、米軍の次の目標まで読めた

・情報の価値を知る人ほど、情報漏洩に真剣に対処する

・情報は、「データ」「資料」「情報」の三つに分けられる。データとは、事実、観察、報告、噂、写真、文書など。情報とは、各種資料を分析、評価した上での判断

・軍の官僚たちは、戦争を国の大事というよりも、自分たちの栄達の手段と考えていた。官僚の処世術は上役に認められること。上役の怒りそうなことや、機嫌の悪くなりそうな情報は極力隠そうとする。そして喜びそうな情報を知らせる

・都合の悪い情報でも、情報関係者のフィルターにかけられ、いつの間にか、前向きな情報にすり替わってしまう。情報とは評価の仕方でどのようにも解釈できる

・安定したビジネスの世界では、平凡人の努力の集積が重要。しかし、不透明な未知の分野では、特殊な才能を持つ人の驚異的努力が必要

・安岡正篤は、人間の知的活動様式を、「1.知識」(頭の機械的働き。誰でも習得できる)「2.見識」(価値判断力ないし判別能力。生きた学問により得られる)「3.胆識」(実行力・決断力)の三つに分けて説いている

・明治の軍設立者は、理想と情熱を抱き、侍の美学や侍の矜持があった。ところが、昭和になり、衣食のために軍に入り、自己の立身のために陸大に入学するようになった。そうなると、勤勉さ、手堅さ、常識が評価され、安全第一主義が蔓延するようになった



本書は、日本軍の「敗北の理由」ですが、現代の大企業や公共団体にそっくり当てはまるように思います。

「安定」的な平和な時期が終わり、「不安定」な混乱の時期が始まっています。このようなとき、本書を読むことは、非常に大事なことのように感じます。


[ 2013/03/04 07:00 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『戦略の格言―戦略家のための40の議論』コリン・グレイ

戦略の格言―戦略家のための40の議論戦略の格言―戦略家のための40の議論
(2009/08)
コリン グレイ

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著者は、現在、イギリスで、安全保障や戦略研究などを教えている大学教授です。アメリカのレーガン政権では、核戦略のアドバイザーを5年間務められた経験があります。

核時代の地政学やパワーバランスに精通し、今も積極的に発言されている方です。この戦略の第一人者の考え方が、本書に詰まっています。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・戦争における目標は「より良い平和を得ること」であり、ただ単に「勝つこと」ではない。戦争と戦闘行為は政策の道具に過ぎない

・平和づくりを成功させるには、敗れた側にしっかり負けを認めさせることが肝心。もし、この目標が達成できなければ、「昨日の敵は、明日も敵」となる

・秩序の維持には二つの方法しかない。この二つとは「パワーの不均衡」と「パワーの均衡」である。「パワーの不均衡」には、トップに立つ覇権国の存在が必要になる。「パワーの均衡」は効果を発揮しても、一度崩れると、大規模な戦争によってしか回復されない

・計画というのは、冷静さと計算から生まれるが、それらは、激情や予測のつかない形で実行される

・適切な計画があれば、戦争のギャンブル的な要素は克服できると信じているが、「確実に発生すること」を想定して計画することは、すべての軍事の失敗の中でも最悪のものである

・クラウゼヴィッツは、戦略の要素として、「士気」「物質」「数学的」「地理的」「統計的要素」のたった五つだけを挙げている

・時間は強力な武器である。チャンスを掴むためには素早く行動しなければならない場合と、逆にわざと物事を遅らせなければならない場合がある。また、「一瞬の時間」の潜在力は注目されることが少ないが、時間は、弱い側にとって最大の武器となることが多い

・地理を巡る争いが主な争点になっていない戦争でも、そこには常に地理的な対象がある

・歴史的に見ても、装備の悪い船に乗った優秀な水兵たちのほうが、装備の整った船に乗っている統制のとれていない水兵たちよりも強い。この教訓は、物質面での発展が目覚ましい現代では、ほとんど忘れられている

・経済的に豊かでも、軍事的に弱く、しかも巨大な強国と国境を接している小規模の国々が、かなり長い期間にわたって、独立を保ってきた例は数多くある

・敵は相手の強さよりも弱さにつけ込んで勝負してくるもの。ところが、軍隊は、最も重大な脅威と想定されるものに対して準備するのを嫌う

・現代のようなテクノロジーによる奇跡が生み出されている時代には、むしろ人間を研究すること

・理想主義者の幻想が問題なのは、それが実質的有効性を持たないから。そのような政治家は、自分の「誠実で高潔な意図」を「実現可能なもの」と混同している

・戦略というのは、常に世論から怒号や非難を浴びせられるもの。そのような議論では、道徳的な話が中心になってしまうが、リーダーや戦略家は、結果論的に動かなければならない。予測コスト見込み利益を最大化する行動を計算して比較検討すること

・「正しい行い」というのは、戦略的な計算を脇に追いやってしまう。ところが、いざ実践段階になると、世間知らずの善行者でも、戦略の論理に逆らうわけにはいかなくなる

・歴史が教えてくれるのは、「正しいほうが勝利するわけではない」ということ。いくらその目的が深淵で望ましくても、「信念を持った政治家」は、安定的な秩序や平和に対する脅威となることが多い

戦略とは経済学である。実行しているものが、経済的に支え続けることができなければ、その戦略は修正されるか破棄されなければならない

・歴史は我々に洞察力と良い質問を与えてくれる。歴史は、「答え」ではなく、必要な物事を考えさせてくれるもの

・サプライズは避けられないが、それが及ぼす影響は防ぐことができる



理想と現実、平和と戦い。これらを調整するものは、合理的思考です。

そのためには、リーダーは、絶えず行動する前に、コストを予測して、その行動から見込まれる利益を最大にする方法を考えなければなりません。利益が見込めないのなら、撤退するしかありません。

本書を読めば、戦略は、経済の影響を免れないものと理解できるのではないでしょうか。


[ 2013/01/14 07:01 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『生き残る技術-無酸素登頂トップクライマーの限界を超える極意-』小西浩文

生き残る技術 -無酸素登頂トップクライマーの限界を超える極意- (講談社プラスアルファ新書)生き残る技術 -無酸素登頂トップクライマーの限界を超える極意- (講談社プラスアルファ新書)
(2009/12/22)
小西 浩文

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著者は、8000メートル峰無酸素登頂日本人最多記録を持つ登山家です。著者の発言には、現実を直視した言葉ばかりで、甘ったれた言葉がありません。

著者の言葉に、厳しい現実に立ち向かう人は、勇気づけられるのではないでしょうか。本書の中から有益に思われる箇所を、一部要約して、紹介させていただきます。



・標高8000メートル峰という「死の地帯」に挑み続けた中でつかんだ「真理」とは、「人間は困難がないと成長できない」ということ

・人生において、何かの目標を抱いている人は、困難つまり「限界」を超えなければならない。そこでは、「好き」や「嫌い」は関係ない。絶対に必要なのは「」である

・「欲」だと何か悪いような気がするが、「夢」だと美しい。呼び方なんてどうでもいい。困難を乗り越えるためには、「自分は~したい」という気持ちを強く持つこと

・山での遭難者の多くは疲労凍死ではない。実は、ザックやテントの中に食料があったり、まだ着られる衣服を残したまま亡くなっている。遭難者は、肉体的な限界で亡くなったわけではなく、遭難した絶望感、つまり、「生きる」という心が折れたので亡くなっている

・限界を超えた人間だけが得られる境地によって、目に映る世界が変わり、行動も変わり、話す内容も変わり、興味の対象も変わる。当然、関わっていく人々も変わっていく

・「無理」はしても「無謀」はいけない。「できない無理」を避けて、「できる無理」に力を注ぐという判断力が必要

・悪天候になって、継続か撤退か、悩む場面が多々ある。そんな時、「ここで撤退したらスポンサーに会わす顔がない」とか「支えてくれた人に申し訳がない」という「執着」が入ってしまえば、大事故につながる可能性が高い

・「頂上に立つ」ことは、「生還する」目標を達成するための通過点。この目標を達成するには、利害、損得、欲得などの雑念をすべて排除して「無心」にならなくてはならない

・会社のため、仲間のため、家族のため。「誰かのため」という動機は、自分を奮い立たせる「当たり前」の心構えであって、苦しみや恐怖に打ち克って、限界を超えようという時に考えることではない。重要な判断・決断の時こそ、自分の内なる声に耳を傾けること

・肉体の苦しみはどうにでもなる。難しいのは心のコントロール。裏を返せば、心をコントロールすることができれば、どんな苦しみだって乗り越えられる

・ベテラン登山家が失敗する理由は、技術や体力ではない。原因はただ一つ、「心のすき

・宮本武蔵が生涯、誰にも負けなかったのは、相手を倒すというより、自らが生き残るという目標を設定したから。宮本武蔵は、「達人」にならなかったから、強かった

・「心のすき」は「執着」だけが生むものではない。怒ったり、嘆いたり、心配したり、誰かを恨んだり、これらはすべて「心のすき」である

・勝負事は気性の荒さが絶対に必要。「やってやる」という勇気。「なにくそ」と思う根性、「絶対に負けない」という強気、「絶対に屈しない」という反骨心、こうした熱く燃えたぎるようなハートがなくては、人生において限界を超えることができない

・攻め時があれば、それを見逃さず攻める。守りの姿勢に入る時があっても、「攻める」気持ちは、持続しなくてはいけない。守っているのは、次に攻撃に移るため

・一流の勝負師は、負けた記憶とともに、勝った記憶も早く忘れる。これが、無の境地

・まぐれで成功した「幸運な人」は、「今度もうまくいくんじゃないか」と淡い期待を抱き、「できない無理」に突っ込んでしまう。人間は、劇的な成功ほど忘れられない

・必要なのは「友人」ではない。同じ目標を持ち、同じ困難を乗り越えられる「戦友

叱らなくてはいけないケースは、相手の情緒が不安定になったとき。そこへ感情をぶつけても、いい結果は出ない。まずは、落ち着き、話を聞いて、冷静な口調で諭すこと

・一人の弱者が百人を殺す場合がある。私なら、一人の弱者を見捨てて、百人の命をとる

・「瞑想」が目指すのは、「あくび」の出る状態。自然の「あくび」は、心と体から無駄な力が抜けた時に思わず出る。自分の意志で、このような状態にもっていくのが「瞑想」



著者のように、生死の境を漂った経験のある人は、大きく自己成長を遂げます。

本書を読むと、自己成長するには、せめて、恐ろしい経験、大恥じをかかされる経験など、危ない橋を渡る経験が不可欠だとわかるのではないでしょうか。


[ 2012/11/12 07:03 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(1)

『強く生きたい君へ-我が空手哲学』大山倍達

強く生きたい君へ―我が空手哲学 (知恵の森文庫)強く生きたい君へ―我が空手哲学 (知恵の森文庫)
(2004/10)
大山 倍達

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大山倍達氏の著書を紹介するのは、「大山倍達強く生きる言葉」に次ぎ、2冊目です。前書は、大山倍達氏の三女が書かれたものでしたが、本書は、正真正銘、大山倍達氏自身の手によるメッセージです。

今や、極真カラテと大山倍達氏の名は、遠くは、アフリカの地にも轟いています。それは、空手を技術だけでなく、人間をつくる域にまで高めたからだと思います。

つまり、武道家ではなく、教育者としての評価かもしれません。教育者大山倍達氏の思想、哲学が本書にみっちり収められています。それらを一部ですが、紹介させていただきます。



よい本を読むことは、よい理想を与え、よい志を育て、よい友をつくる。本のみが人生ではないが、実践に偏りがちな人間にとって、よい本はよいものを与えてくれる

志と野心の違いは、その目指すところの違い。富や名声のみを求めるのが野心であり、志とは、より人格的な、精神的なものを求めること

・志士とは、魂の最深部からこみ上げてくる激しい憧れによって、清廉潔白の人格を志す者。その志は、より皮相な欲求と戦い、淫らな欲求を制御するに至る

・いったん志を立てれば、人は一刻も無駄にできない。志気ばかり旺盛で、何もしない人がいたら、その志気は見せかけであり、形式的な栄進、名誉や富に濁ったもの。大志とは、なにものにも愧(は)ずることのない境地を目指すもの

・修練を続けるには、安楽や享楽は拒否せねばならない。それには強い克己心と、どんな誘惑をもはねのける強い目的意識、つまり志がなければならない。求道とはそういうもの

・限界を破る苦しみから、新しい力が身につく

・「日に新たに、日に日に新たに、また日に新たなれ」。この句は殷の湯王が、洗面器に彫りつけ、毎朝顔を洗うたびに見た句。崖をよじ登るつもりで修練せよ。もしそこで手を止めたら、ずり落ちてしまう。落ちていくことは、自らの高い志に対して恥ずかしいこと

勇気を持つための一番の早道は、道の上にあり、大義のために生死を投げ捨てていること。自分の道の上にあり、名利栄達を望まずにいれば、何を恐れることがあるか

・見物人の結果主義やファン気質や権威主義を、無視超克できるだけの義心をもて

・禅の悟りの境地は「死にきる」。「大死底の人」は、生死を乗りこえた意識に達した人

・子が、人々に敬愛され、必要とされる立派な人物となることが、親には一番うれしい

・武人は必要な教養理性を欠き、文人は必要な覚悟を欠いた。これが、文人の軟弱政治と、武人の剛直愚昧の暴走をもたらす原因

・自分に必要最小限のものだけ許し、世のために一生を捧げる気持ちで生きていくことが、戦いに勝つこと。人より見劣りする境遇を嘆くようでは、道は歩めない

・どんな仕事をしても、どんな道に進んでも、人は生命がけの対決を、何度も何度も強いられるはず。それがないとしたら、戦いから尻込みし、本当の仕事をしていない証拠

・生死をかけたものを、金で買われてたまるか

・精神統一とは、自分が相対する対象そのものになりきること。弓の人は、自分と狙う的をぴたりと合わせて、一つの境地になる。正反合一した境地になったとき、弓が引ける

・東洋の哲学は肚哲学。身体訓練によってしか到達できないと考えたのが東洋の修行道

・お金は労働の結晶として大事なもの、尊いもの。言葉や礼儀と同様に尊重せねばならないもの。「武の道においても金銭は貴いものなり。しかれども執着すべからず

・人間の目的は「金銭的な繁栄ではなく、道の達成」。金銭は用にすぎず、が体である

・「子供のために財産を残したら、私の死後、墓に唾を吐け」と弟子たちに言っている

・私が先の世から受け継いだ遺産は、宮本武蔵の生涯をかけた修練、生死を超えて正義を求めた西郷隆盛の巨大なる魂、ビスマルクの熱血、孔子の仁愛、釈迦の慈悲、馬祖道一の喝。先人の精神に触れ、憧れ、希望の焔を燃やしたからこそ、道を歩くことができた



本書には、大山倍達氏の「叫び」と「志」と「鍛練」と「戦い」と「悟り」と「哲学」が書かれています。

それは、「無」から「偉大なる遺産」を築き上げた人のストーリーかもしれません。希望の焔を燃やし続けることが、それを可能にしてきたのではないでしょうか。


[ 2012/10/29 07:01 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『現代に生きる糧・刀耕清話-小川忠太郎の遺した魂(こころ)』杉山融

現代に生きる糧 刀耕清話―小川忠太郎の遺した魂(こころ)現代に生きる糧 刀耕清話―小川忠太郎の遺した魂(こころ)
(2010/07)
杉山 融

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本書は、剣道家小川忠太郎氏が、剣道の専門誌へ執筆したものに加筆したものです。

剣道の書といっても、スポーツ技術向上の書というよりも、禅の言葉を使って説く、生き方読本といった感じです。仕事や人生に置き換えて読んでも、十分に役立ちます。

修行や鍛錬をしてきた人が語る含蓄ある言葉が、随所に並んでいます。その中の一部を、要約して、紹介させていただきます。



・ただ稽古をやっているだけでは、いくらやっても何が何だかわからなくなってしまう。修行目的に無知のままでは、知らないうちに無明界へ自らを陥れてしまうおそれがある

・出来ることに命を懸ける。苦しかったら、ここが命の捨てどころ

・お互いに稽古していると、相手に打たれる。打たれた所に自分の欠点があるのだから、それを教えてもらって、有り難かったなと、相手に感謝する

・受け身になったらいけない。乗っていくこと。乗ることを「転ずる」、受け身になることを「転ぜられる」と言う。転ずれば、どんなことだって自主的だから苦しくない

・欠点が全部なくなれば「完全」。欠点というのは「事実」「現実問題」。現実を捕まえて、稽古で欠点を直していけばいい

・剣道では、自分の欠点を直さないで、相手の欠点を打つことばかりでは向上しない

・剣と禅で修練した山岡鉄舟は「晴れてよし曇りてよし富士の山、元の姿はかわらざりけり」と詠っている。ここまで修練すれば人間個人として、完成されたと言える

・脇にそれると難局が追いかけてくる。しまいには難局に負けてしまう。道の修行に志したら最後までやり通すという相続心がもっとも肝要

・「人の成功は自分に克つにあり、失敗は自分を愛するにある。八分どおり成功していながら、残り二分のところで失敗する人が多いのは、成功がみえるとともに、自己愛が生じ、慎みが消え、楽を望み、仕事を厭うから」(内村鑑三「代表的日本人」)

・「先入、主となる」。先に入ったものが、その人の本となる。先に良いものを入れること

・形のあるものばかりではなく、直心(正直な心、素直な心、自然の心)が本当の道場

・「邪なし」は、稽古の質。「鍛練」は、稽古の量。この質と量が、両方ピタッと行って、上達する

・きれいな花を見て、きれいだなと自然に思うのは「一念」。その美しさに執着して、枝を折って家に飾ろうかなと考えたら、これは「二念」。それが邪念であり、心に隙間を生む原因となる

・悟ったと思えば、そこに執われ、もう上達なく、否、堕落する。人間でなく天狗となる

動いている中で、自分を見失わないようになれば、これは本物

・自分だけ安全な所に置いて、相手を倒すことなんか出来やしない。自分を捨てて、そこへ入っていかないといけない

・剣術の稽古は、人に勝たずして、昨日の我に今日勝つとこそ知れ

・相手を馬鹿にするか、相手を恐れるのかのどっちも駄目。対人関係であっても、相手を超越してしまえばいい。互角でやっているから駄目である

・これでよいと思った時は堕落也。よいと思った場をすぐに捨て、また新しく修行をやり直す心が秘訣也

・「三つの好機」とは、「出頭(相手が攻めに出る起り鼻)」「引く処(後退する処)」「居付いた処(心身のはたらきが停滞した処)」

・「右転左転」とは、相手がどんなに攻めてきても、それと争わず、かかってくる心にも力にも技にも、かかわることはなく、はずしては乗り、はずしては乗りして、遂には争わずして勝つこと



剣道家の言葉には、交渉や営業など、人と一対一で会うときに、必要なことが多いように感じます。

交渉や営業で、精神的に優位に立つには、このような常日頃の鍛錬が必要ではないでしょうか。常に「心の道場」を持っておかないといけないのかもしれません。


[ 2012/09/25 07:02 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『100年予測』ジョージ・フリードマン

100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図
(2009/10/09)
ジョージ フリードマン、George Friedman 他

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本書は、アメリカ人による100年後の世界を予測するものです。著者は、主に、国家と技術がどうなっていくかに言及されています。

当たるか当たらないかは別にして、本書の予測にあるようなことが少なからず起こってくるのではないでしょうか。興味深く思えた箇所を、「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・アメリカは経済規模が巨大なのに、人口密度が低い。アメリカは1平方キロメートル当たり31人。日本は同338人、ドイツは同230人。耕作可能地に対する人口割合もアジアの5倍、ヨーロッパの2倍。経済の三要素(土地、労働力、資本)で拡大余地を残している

・アメリカの経済が強力なのは、軍事力のおかげ。他国は戦争からの復興に時間を取られたが、アメリカは戦争のおかげで成長してきた

・アメリカが海洋を支配したことは、貿易ルールを定めることを通して、いかなる国のルールであれ、阻止することができた

・現在のアメリカの勢力は、最も初期の段階にある。アメリカはまだ完全に文明化されていない。16世紀のヨーロッパのように、まだ粗野である。文化はまだ形をなしていないが、意志力は強い

・人口動態と並んで、アメリカ文化を作り替え、アメリカの文化的覇権の基盤をなしているのは、コンピュータ。このことが、今後100年の間にとてつもなく重要な意味を持つ

・コンピュータ・プログラムを設計するには、英語ができなくてはならない。アメリカの生活、思考様式を採り入れなければ、現代経済の恩恵に与かることはできない

・中国は、四方を海に囲まれてはいないが「島国」である。北は荒涼としたシベリアとモンゴルの大草原地帯、南西には通行不能なヒマラヤ山脈、南部国境は山あり密林あり、東には大洋が広がる。人口の大半は国土の東3分の1に集中している

・欧米では高い金利が経済に規律を課し、脆弱な企業を淘汰した。これに対し、日本の銀行は、低金利で友好企業に融資を行った。日本には本当の意味での市場が存在しなかった。日本の資本収益率は工業国の中でも最低水準

・中国を一つに結びつけているものは、イデオロギーではなく金。景気が悪化して資金の流入が止まれば、中国社会の骨組み全体が揺らぐ。中国では、忠誠は金で買うか、強制するもの

・中国政府は外国嫌悪を煽ることで、分裂を食い止める。対立の相手国としてうってつけなのは、日本とアメリカ

・2040年頃のアメリカは、ロボット工学のもたらす生産性向上や、遺伝子工学による医療機会の拡大が、成長に拍車をかける

・高齢化と人口減少が進むにつれ、大規模な軍隊を維持することは困難になっていく。21世紀の戦争のカギは精度。兵器の精度(無人極超音速爆撃機など)が高まれば兵士の数が減る

・宇宙戦は16世紀の海上戦と同じく、外へ外へ広がる。地球静止軌道が戦略上重要となれば、それをめぐって争いが起きる。低軌道宇宙、静止軌道宇宙、ラグランジュ点(地球と月の間の重力の安定場)、そして月面をめぐって争いが繰り広げられる

・ロボットシステムの糧は、データと電力。どちらも遮断されても無力化される。システムは情報と指示、そして電流が流れていなければ稼働できない

・新型兵器への電力供給は重大問題。軍は軍事上の必要から、宇宙発電を支援しなければならない

・膨大な数の光電池が静止軌道や月面上に設置され、太陽エネルギーを電力に変換する。電力はマイクロ波に変換され、地球に送電され、再び電力に変換される

・ロボットは、自動車以上に普及する「エネルギー食い虫」になり、アメリカはエネルギーを宇宙に求めるようになる。宇宙発電システムの開発は、2080年より前に始まっている

・民間産業が宇宙での巨額の公共投資に便乗し始める21世紀末には、エネルギーコストは大幅に低下している



SFのような書でしたが、新型無人兵器ロボット工学宇宙発電を制するものが、軍事上有利に立ち、コンピュータ遺伝子工学を制するものが、経済上有利に立つという予測は、概ね間違っていないように思えました。

100年後、日本がそれ相応の地位を維持するには、高度な技術力が不可欠であることを示唆する書ではないでしょうか。
[ 2012/07/18 07:03 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』福永雅文

<ビジネス下克上時代に勝つ!>ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則<ビジネス下克上時代に勝つ!>ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則
(2005/05/19)
福永 雅文

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ランチェスター戦略は、マーケティングに応用できる部分が多く、かつて、必死に勉強したことがあります。

本書は、弱者が強者に勝つ方法にテーマを絞っており、興味深く、読み進んでいくことができました。ランチェスター戦略をビジネスで応用した事例も多く、実践的な内容になっています。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「わが全力を挙げて敵の分力を撃つ」(村上水軍の一派・能嶋流海賊古法)の意味は、「十をもって一を攻めよ」ということ。この古法にヒントを得て、日露戦争の海軍参謀を務めた秋山真之が、小が大に勝つ「丁字戦法」を立案し、バルチック艦隊を打ち破った

・「戦士は戦うことだけが本分ではない。戦いに勝つことが本分である」(江戸時代の兵法家・山鹿素行)

・1対1の戦い、局地戦、接近戦では、「戦闘力=武器効率×兵力数」。つまり、勝ちたければ、武器を磨くか、兵力数を増やせばよい

・集団対集団の戦い、広域戦、遠隔戦では、「戦闘力=武器効率×兵力数の2乗」。つまり、ちょっとやそっと武器を磨いても、兵力数が多い方が圧倒的に有利ということ

・「兵力の逐次投入」は最も忌むべき戦法。第二次大戦のガダルカナルの戦いでは、日本軍は、敵の兵力数を把握せず(情報軽視)、わが軍は強いと思い込み(精神主義、根性論)、4回の攻撃で、計28,900人の兵員を逐次投入し、ほぼ全滅させた

・敵の3倍の資源を投入すれば勝てる。これは「3:1の法則」(さんいちの法則)と呼ばれ、個々の戦闘だけでなく、大がかりな軍事行動でも通用する普遍性のある原理

・企業間競争において、一騎打ち型の戦いの場合、3倍のシェア差をつければ、「安全圏」、逆転は極めて困難になる。その他の戦いの場合、√3のシェア差をつければ、「安全圏」

・戦略とは、選択と集中。弱者が逆転し、№1になりたかったら、「一点集中主義」で臨むこと。弱者でも、何か一つくらい強みがあるはず。「勝ち易きに勝つ精神」で選べばいい

・「○○と言えば□□」、その分野の第一人者と呼ばれるまでは、浮気せず、やり抜くこと

・集中する何かを決めたら、集中しない何かを切り捨てること

・「足下の敵」攻撃の法則とは、自社のシェアのワンランク下の企業を攻撃目標にすること

・逆転したいなら「小判ザメ商法」では無理。弱者が強者のマネをして勝ったためしがない。強者は弱者の模倣、マネをすればいい。違いがわからなければ、客は一番手を選ぶ

・弱者は安易に価格競争を仕掛けてはいけない。強者に合わされたら一巻の終わり。弱者は付加価値をつけて、一円でも高く売る工夫をすべき

・市場が成長しているときは、早いもの勝ちだから、間接流通(卸・代理店販売)を重視し、一気に販路を拡大すべき。市場が成熟したときは、客を囲い込むべく直接流通(直販)を重視するのが原則。弱者が重視すべき「直販」は、「自ら売り切る力」を持つもの

・「地域の差別化」(弱者の№1づくりの原点)には、死角・盲点(境目・へり・先っぽ・遠い・路地裏)をつくことも有効。このやり方を「裏道作戦」と呼ぶ

・価格など、簡単に真似される差別化は差別化ではない。差別化とは、「非常識」、常識的な差別化などない。でも、信念の裏づけのない小手先テクニックの差別化は通用しない

弱者の五大戦法とは、「局地戦」(狭い市場で大きなシェア)、「一騎打ち戦」、「接近戦」(顧客・エンドユーザーに接近)、「一点集中主義」、「陽動戦」(動きを悟らせずにかく乱)

・ライフサイクル曲線の「導入期」は、狭く、鋭く、深く、一点突破主義で戦う。「成長期」は、一気に広げ、押さえてしまう速効拡大主義で戦う。「成熟期」以降は、勝てる土俵に絞り込み、生産性を高め、利益確保を重視する生産性主義で戦う

・勝てる土俵で勝たせ、「勝ち味」を味わわせる。そして続けて勝てば、「勝ちぐせ」がつき、体質が変わっていく。戦略は勝ったものしかわからない。まずは、勝たせてやること

・人生の勝者になるには、「敵と味方の力関係を知れ」「弱者は万人受けを狙うな」「自分の勝ちパターンを知れ」「オンリーワンになれ」ということ。ダメな部分をなんとかする「テコイレ発想」ではなく、強いところをより強くする「ダントツ発想」でいくこと



ランチェスター戦略は、人生戦略おいても有効です。自分が弱者(給料が安い、権限がない、モテない、頭が良くないなど)と思ったならば、弱者は弱者なりの戦略を立て直して、人生に立ち向かっていくべきだと考えています。

そうしないと、強者の論理に巻き込まれてしまいます。そうならないための一助として、本書は役に立つのではないでしょうか。


[ 2012/07/17 07:01 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『逆境を生き抜く「打たれ強さ」の秘密』岡本正善

逆境を生き抜く「打たれ強さ」の秘密―タフな心をつくるメンタル・トレーニング (プレイブックス)逆境を生き抜く「打たれ強さ」の秘密―タフな心をつくるメンタル・トレーニング (プレイブックス)
(2000/04)
岡本 正善

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本書は、2000年に発売されてから、ずっと版を重ねているロングセラーです。著者は、プロスポーツ選手などのメンタルトレーナーをされています。

本の内容は、一般の人々も、仕事、人間関係などで、メンタルトレーニングを応用すれば、人生の諸問題が解決できることを示すものです。

参考になることが数多く書かれていました。「本の一部」ですが、ご紹介させていただきます。



・自分のリズムで物事を進めているときは、人は流れに乗って力を発揮できるが、他人のノリに合わせているときは、本来の能力を発揮できなくなる。いわゆる土壇場に強い人は、あくまでマイペースの緊張をする

・確固たるものがあるかないかは、潜在能力が「自分のリズム」で動いているかいないかということ。他人の目標でなく、自分の目標を達成するために、力をどう発揮していくかということ。大切なのは「人からどう思われるか」ではなく「自分がどうしたいのか

・もともと「不安の回路」は、ここ一番の力を発揮するためにあるもの。現代社会では多くの人がこの「不安の回路」をうまく使いこなせていない。「自分はこうしたいんだ」と思っていないのなら、「そうならなかった」場合を恐れても、何の意味もない

・自分は「こうしたい」「こうなりたい」とイメージするのは意識のレベル。意識だけなら、目標もただの欲と同じこと。しかし、意識と潜在意識が統合されると、「いついつまでにこうなりたい」と、目標達成するためにどう動いていくかになる

・「失敗を繰り返す」のは、それは「他人の目から見た失敗」にとらわれているから。「失敗したらどうしよう」という思いが、潜在意識に深く刻まれて「すぐに失敗する自分」がつくられてしまう

・大失敗にくじけない人、打たれてもハネ返すパワーを持った人は、過去を認めていない。それは、他人のリズムにはまらず、自分のリズムでいること。だから、スポーツの世界では、「強い人」はわがままだったり、図々しかったりする

・他人を受け入れない人は、「自分の中身は貧弱なのではないか」「本当の自分を見られてはマズイのでは」という恐れがある。他人というプレッシャーから自分を守ろうとしている

・考えすぎて動けなくなったとき、一つのことしか見えなくなって余裕を失ったときなど、自分を笑ってみるのも手。笑うのも空しい場合は、自分の心境をアナウンサーになって実況中継するのも手。不思議と気持ちの切り替えができ、自分のリズムを取り戻せる

・「自分のことを嫌っているのでは」と感じる人に、自分を好きになってもらおうと努力するのは、その人のリズムに自分を無理やり合わせること。そうなると、あなた自身の力が出せなくなる。あなたが損してまで、相手の気分をよくしてあげる義理はない

・「目標のために、今何をするか」といつも自分に聞いてみることで、プレッシャーを目標達成のエネルギーに変えることができる

・予感とは、潜在意識が、「今のリズムのままで行くと、まずいことになるぞ」と過去の情報をもとに知らせてくれること。だから、悪い予感に襲われたら、それを否定しないこと。「教えてくれてありがとう」と心でつぶやき、目標のためにどうするかを再度考える

・本当に強い人間は、自分の弱さを知っている。そして、弱さを認めている。それがまさに「自信」というもの

・低調なときに言ってはいけないこと。それは「絶対」「必ず」という言葉。心の負担を増やすだけで、ミスは許されないという過酷な宣言をしていることになるから

・生きることを楽しむには、「こうなりたいんだ」という自分の目標に向かっていることが一番。「こうしなくちゃ、こうならなくちゃ」と努力を重ねているのとは違う。あくまで「こうなりたい」が重要なカギ

・いつも相手の要求に振り回されてしまう人は、相手の要求に添うための選択肢を列挙すること。自分の都合から入るのではなく、相手のニーズを考えているのだ、と示すことで、こちらに話の主導権を持ってくることができる

・目標というのは、言ってみればエネルギーにすぎない。目標が予定通り実現できなくても、「人生に失敗した」ことにはならない。次のチャンスを待ったり、次の目標にチャレンジすればよいだけ



著者は、自分のリズムに乗ることの大切さ、目標に向けての計画を立てることの大切さを力説しています。

打たれ強さというのは、自分らしさの発揮と、前向きさの発揮ということに他ならないのかもしれません。


[ 2012/07/11 07:01 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)

『無我と無私・禅の考え方に学ぶ』オイゲン・ヘリゲル

無我と無私 禅の考え方に学ぶ無我と無私 禅の考え方に学ぶ
(2006/11/23)
オイゲン・ヘリゲル

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著者は、1924年から6年間、哲学の教授として、日本に赴任したドイツ人です。日本滞在時に、不出世の弓道家阿波研造のもとで、弓道修行に励みました。

このときの経験を本にした「弓道における禅」が欧米各地で出版され、半世紀に及ぶロングセラーとなりました。この本をまた日本語に翻訳し直したのが本書です。

師匠の教えや師匠との対話をもとにした禅問答のようなやりとりが、その内容となっています。大変面白く読むことができました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・弓道の「技」とは、肉体を修練して会得できる運動能力を意味するのではない。精神的鍛錬によって生まれる能力であり、精神で的を射ること

・射手は「不動の中心点」とならなければならない。そうなった時に初めて崇高で最高の奇跡が起きる。術は「術なきもの」となり、弓を射ることは射ないこととなり、弓矢がなくても射ることとなる

・弓道のテクニックは精神修養によってのみ術となり、すべてうまくいったら「術なき術」として完成する。弓道において、実は、弓矢はなくてもよい。それらは目標に達するための道具にすぎず、飛躍のための手段にすぎない

・自己を捨てて完全に無となった瞑想者のみが「超越神」と「一体になること」ができる

・弓を引く時、身体中の力を使ってはいけない。肩や腕に何も力が入っていないように見えるくらいリラックスし、両腕だけを使う。これができた時初めて。精神によって弓を射ることができるようになる

・リラックスしようとがんばっていること自体、いけない。一切忘れて、呼吸以外、何もすることがないように、呼吸に集中すること

・最初に楽に上達する者は、後にそれだけ苦労する

・巨大な力を必要とする技を、わけもなく行う様が、東洋人が極めて大切にし、高く評価する「美の形」である

・弓を引く時に力を抜いていること、いっぱい引き絞った時でさえ力を抜いていること、離れの時に力を抜いていること、弦の跳ね返りを力を抜いて受け止めること。これらはすべて、的に確実に当てるという、大目標達成のためである

・重要なことは、弟子の内なる活動にスイッチが入ること。師は自分が指示を出すと、弟子の内なる活動が歪められることがあるので、そうならないように弟子を見守る

・百里の道を行く者は、九十里を旅半ばと思え

・立派な射手は、中位の強さの弓を使って、魂のこもっていない射手が最強の弓で射るよりも、遠くまで射ることができる

的の当たりというものは、無為、無我、自己離脱といったものが、どこまで達成されたかを表わしているにすぎない。最終段落になれば、的を外さなくなるもの

・この射を為したのは「私」ではない。「それ」が射って、「それ」が当てただけ。だから、的に向かって頭を下げること

・「自分の技を意識的に使ったり、戦いの経験や戦術に頼って、見事に剣を操ろうとすればするほど、自由な心の働きが妨げられるようになる」(沢庵)

・指導者は、弟子に道を指し示すのではなく、弟子の個性に応じて道を選び、目標に到達する道はどのあたりにあるかを感じさせるようにしなければならない

・「自分と敵、敵とその剣、自分の剣とその使い方、あげくは生死についてさえ、思い煩わなくなった時に、剣道は完成の域になる。一切は無。絶対的な無から、最高に素晴らしい技が繰り出されるようになる」(沢庵)

生死を達観した者は、恐怖とは無縁。完成の域に到達した達人は、無畏であることが、立ち居振る舞いの中に滲み出てくる

・真理の近くに生き、真理の中で生き、真理と一体となるためには、再び弟子(初心者)に戻らなければならない。つまり、あえて根源なるものに跳び込まなければならない



目を閉じても的を射る、暗闇の中でも的を射る師匠に感服して、禅弓一体の精神を学びとろうとする著者の「欲なき欲」が感じられる書です。

古より日本人が目指す「高い精神性」とは何かが、本書を読めば、よくわかるのではないでしょうか。


[ 2012/07/03 07:03 ] 戦いの本 | TB(-) | CM(0)

『大山倍達・強く生きる言葉』大山喜子クリスティーナ

大山倍達 強く生きる言葉大山倍達 強く生きる言葉
(2010/08/11)
大山 喜子クリスティーナ

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大山倍達氏と言えば、空手の極真会館の創始者であり、梶原一騎原作の「空手バカ一代」のモデルになった人です。猛牛や熊と対決したことや、十円玉を指で曲げたことでも有名です。

「強くなりたい」と思う青年なら、誰でも憧れた人物でした。私も、十代のときに、空手バカ一代の映画を見に行ったことがあります。

その大山倍達氏が遺した言葉を、三女がまとめたのが本書です。昔読んだ漫画や見た映像では、大山倍達氏の強さばかりが目立っていましたが、本書には、強さを維持するための精神性が色濃く描かれています。

そうだったのかと思えた箇所が数多くありました。「本の一部」」ですが、紹介させていただきます。



恐いと思ったらやること。できる、できないの結果は行動の後についてくるもの。とにかく、恐いと思うことに挑めば、その分の効果がある。やってしまえば、恐くない

・自分が一歩も道を外していなければ、観衆や自分を評価する人々を、いっさい無視していい。道を歩むということは、それほど厳しいことであり、見物人には、往々にして、その厳しさがわからない

・「生を視る死の如く、富を視る貧の如く、人を視る豚の如く、我を視る人の如く」(列子)。この言葉は、生死、貧富を超克することとと同じ意味を持つ

・正義なき力は暴力なり。力なき正義は無能なり

・自己の正しさを信ずれば、生死を超えた勇気をもって闘うことができる。だから「正義は勝つ

・親からもらった才能、遺産だけで生きるなら、人間の屑である。その才能や遺産に、プラスして余りあるものを足していくのが男の人生

逃げたらいつまでも戦うことになるというのは、喧嘩における「公理」のようなもの

・カネを失うことは小さいこと。信を失うことは大きいこと。覇気を失うことは己を失うこと

・金を追うな。金がついてくる人間になれ。それにはまず、強くなれ

・バカだと思われるのはいいが、バカにされてはいかん

・変だと思ったら変だ。どんなに聞こえが良くても、直感で変だと感じたら、信用するな

・焦るとは、勝利を急ごうとすること。諦めるとは、それは敗北を急ぐこと

・鞘(さや)におさまり、抜かれていない時の刀こそ、その姿は美しい。抜けば輝かしく威光を放つ、しかし、抜かざる。そこにこそ「押忍(おす)」の精神がある

・精神論は、あくまでも、技能、技量をしっかりと体得することを前提として論じられない限り、無意味な空論にすぎない

・「一に力(パワー)、二に速さ(スピード)、三に技(テクニック)」。力がなければ、技は威力を発揮しないもの

飢え孤独が人を強くする

・努力とは、決めたこと、意志の実行である

・修練の時間を睡眠の時間より長くせよ。いかなる道に進もうとも、これを鉄則として生きていけば、その人は自分の一生を後悔することがない

・受けた恩は倍で返せ。受けた恨みは忘れてしまえ

・奉仕の精神は掃除から。私がしますという奉仕の心

・憧れがあって、人生に失敗する人は少ない。さわやかな一生となる。失敗者は、憧れがないから失敗する

聖人君子ぶる人の九割九分は、自堕落で努力することが嫌いな人間だ



大山倍達氏は、宮本武蔵を尊敬していたそうです。その言葉の端々から、宮本武蔵と同様、高い精神性を感じます。

そして、社会の底辺からのし上がって、崇高な精神を宿すまでに至った大山倍達氏の口から発せられる「自分を鍛え、努力する大切さ」を説く言葉には、誰もが、大いに勇気づけられるのではないでしょうか。
[ 2012/06/18 07:01 ] 戦いの本 | TB(-) | CM(0)

『本番に強くなる―メンタルコーチが教えるプレッシャー克服法』白石豊

本番に強くなる―メンタルコーチが教えるプレッシャー克服法本番に強くなる―メンタルコーチが教えるプレッシャー克服法
(2009/06)
白石 豊

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最近、読んで面白いのは、スポーツのコーチが書いた本です。逆に、面白くないのは、企業のマーケティングやマネジメントについて書かれている本です。

前者は、個別対応で実践的なのに対し、後者は、一般対応で即効性がないからです。その理由は、1秒、1cmに真剣かどうかの違いにあるように思います。

本書は、数々のプロ選手のメンタルコーチをされてきた著者が書いた本です。著者が経験してきたことが、スポーツだけでなく、経営や教育分野まで応用できるように感じました。それらを「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・本番で実力の80%も出せれば、上出来とするべき。だから、80%出せば、トップになれるように練習すること

・「チャンピオンになりたければ、すでにチャンピオンになっている人から学べばいい」

・何かをやろうとする時、「意識」「下意識」「セルフイメージ」の三つの精神活動が関わっている。これらがバランスよく働いていると、何でも楽にできてしまう

・「意識」の第一原則(意識は一度に一つのことしか考えられない)。第二原則(何を言うかは問題ではなく、重要なのは他の人に何を思い出させるか)

・「下意識」の第一原則(すべての精神力の源は下意識にある)。第二原則(「意識」がイメージを描くと、下意識の力はそれを実行させる方向に動かす)

・「セルフイメージ」の第一原則(自分の行動や成績を変えたいなら、まずセルフイメージを作り変えること)。第二原則(今のセルフイメージを取り替えることにより、自分の行動や成績を変えてしまうことができる)

・「補強の原則」(起こることについて考えたり話したり書いたりすればするほど、そのことが起こる確率が高くなる)。「水準の法則」(まわりの水準によって自分の水準が上下する)。「価値の法則」(ありがたみは支払った価値に比例する)

・本番になると力が出せない「稽古場横綱」「ブルペンエース」が、よい成績を上げるためには、「セルフイメージ」の改善が必要

・成績は、自信の大きさと比例する。そして、自信の大きさはセルフイメージの大きさと比例する。したがって、良い成績をおさめたければ、それにふさわしいセルフイメージをまず持つこと

・集中モードに「スイッチが入る」には、「本番前に決まり事をつくる」こと。つまり、仕事やプレーに入る前に決まりきった一連の手順を踏んでいくこと

・プレイヤーが試合中に見せる感情は、「1.あきらめ」「2.怒り」「3.びびり」「4.挑戦」。あきらめは、最低の感情。怒ると、筋肉が硬くなり疲れてしまう。びびると、早く結果を出そうと、しぐさが速くなってしまう。挑戦だけが、成功や勝利につながる

・「偉大な選手は偉大なる俳優である」。名優は、演技に入る直前の個人的感情がどうであれ、カメラが回り始めると、与えられた役柄を完璧に演じるために、自分の感情をそれにふさわしいものにコントロールする

・「苦しい時こそ笑顔で」。笑顔は人間の顔の中でも、最も「美しい顔」であり、「強い顔

・「・・・にもかかわらず笑う」。苦しくとも辛くとも、あるいは死に臨んでさえも、笑顔をもって、それを受け入れようとするのがユーモア

・「まだまだ、勝負はこれから。さあ、いくぜ」の一言は、感情を挑戦心あふれた状態に変える力を持っている

・「前後際断」(沢庵禅師)とは、「終わってしまった過去のことを気に病んだり、未来のことを不安がったりしたのでは、今に集中できない。切ってしまえ」ということ

・「自信の大きさは、過去の実績に比例する」。自信は、良い結果が出てから、後で持つものではなく、良い結果を出すために、あらかじめ持って事に臨むもの

・「自らの内部にこみ上げる喜びや楽しさを追い求めると、人は“フロー”という状態に入ることができる。“フロー”は人にとって、喜びや楽しみの源泉であり、なおかつ、好運を招き寄せる」(チクセントミハイ)



イメージトレーニングは、少し宗教みたいなところがあります。自力本願のあとは、他力本願にすがるしかないのかもしれません。

プレッシャーをはねのける強い自分をつくり上げるには、「信じる」ことが一番です。信ずれば叶う、そう思う自分にどうもっていくかが、「本番に強くなる」コツなのではないでしょうか。
[ 2012/05/16 07:09 ] 戦いの本 | TB(0) | CM(0)