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『天才投資家「お金と人生」の名語録』桑原晃弥

天才投資家「お金と人生」の名語録 ウォーレン・バフェットから、ジョージ・ソロスまで (PHP文庫)天才投資家「お金と人生」の名語録 ウォーレン・バフェットから、ジョージ・ソロスまで (PHP文庫)
(2013/06/05)
桑原 晃弥

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バフェットやソロス、是川銀蔵など、古今東西の天才投資家13人にスポットを当て、彼らの名言を拾い集めた書です。

成功だけでなく失敗も、よく描かれているように思います。この貴重な名言の数々をまとめてみました。



・「相場に勝つ必要はない。勝たなければならない相手は私自身。自分の中の感情の起伏」(ジェシー・リバモア)

・「片手間に相場を張る人間は山ほどいるが、相場を張る技を磨くことにフルタイムで取り組む者は数えるほどしかいない」(ジェシー・リバモア)

・「情報はすべて危険である。情報はあらゆる形態を装い、採用をもちかける」(ジェシー・リバモア)

・「大衆と同じバスに乗っていても、時期が来たらいつでも、そこから飛び降りようと身構えている。そして、逆方向に進む結果となることも恐れはしない」(ジェシー・リバモア)

・「考えを巡らすことで、金が儲かるわけではない。ひたすら待つことで金が手に入る」(ジェシー・リバモア)

・「経済の実態は学問で説かれるような決まりきった変動はない。一つとして同じ形の経済変動はない、というのが経済の実態」(是川銀蔵)

・「自分で一度確信したことを、他人の横やりで曲げてしまうことは結局、研究、分析、判断がまだ、そこまで行きついていないということ」(是川銀蔵)

・「人の何倍も大儲けしようと思ったら、やはり、金儲けには思想が必要」(是川銀蔵)

・「テンバガー(10倍上がる株)を見つけるには、まず自分の家の近くから始めること」(ピーター・リンチ)

・「大切なのは、数字を手に入れるかどうかではなく、手に入れた数字が、十分に信頼できるものかどうか」(フィリップ・フィッシャー)

・「分散投資にこだわるあまり、よく知りもしない会社に投資するほうが、はるかに危険」(フィリップ・フィッシャー)

・「どんな場合にも使える物差しはない。最終的には、自分の生き残り本能に頼るしかない」(ジョージ・ソロス)

・「重要なことは、正しいか、間違っているかではない。正しい時にいくら稼ぎ、間違っている時にいくら損をするか」(ジョージ・ソロス)

・「不安が大きければ大きいほど、より多くの人々が市場のトレンドに影響される。そして、トレンドを追う投機が大きければ大きいほど、状況はより不安定となる」(ジョージ・ソロス)

・「社会通念や常識と呼ばれるものが間違っていることなんかしょっちゅう」(ジム・ロジャーズ)

・「大勢に従って成功した者は、今まで誰一人としていなかった」(ジム・ロジャーズ)

・「まずまずの企業を素晴らしい価格で買うよりも、素晴らしい企業をまずまずの価格で買うほうが、はるかに良い」(ウォーレン・バフェット)

・「リスクは、自分が何をやっているか、よくわからない時に起こるもの」(ウォーレン・バフェット)

・「最も重要なのは、自分の能力の輪をどれだけ大きくするかではなく、その輪の境界をどこまで厳密に決められるか。自分の輪をカバーする範囲を正確に把握していれば、投資は成功する」(ウォーレン・バフェット)

・「優秀なトレーダーは、成功例よりも失敗のほうをよく覚えている」(マイケル・スタンハイト)

・「欲しいものを手に入れる一番確かな方法は、欲しいものに相応しい人間になろうと努力すること」(チャーリー・マンガー)



すべての成功の要因は外部にあるのではなく、自分自身という内部にある、ということを感じる本でした。

あまり夢のない話ですが、自分自身という内部の力を蓄えていかない限り、外部のものを獲得しようとするのは難しいのかもしれません。


[ 2014/02/17 07:00 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『空き家急増の真実-放置・倒壊・限界マンション化を防げ』米山秀隆

空き家急増の真実―放置・倒壊・限界マンション化を防げ空き家急増の真実―放置・倒壊・限界マンション化を防げ
(2012/06/02)
米山 秀隆

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シャッターを閉めた空き店舗だらけの商店街が、すでに当たり前の光景となっているように、空き家の住宅やマンションも増え続けており、限界集落が都会の中でも出現するのかもしれません。

しかし、政府は景気刺激策として、新築住宅・マンション購入を促しています。人口減少社会になった今でも、その政策を止めようとしません。一方、住宅の長寿命化もすすめています。これでは、将来的にも、空き家が増え続けていくのは間違いなさそうです。

こういう状況下の中で、住むことに関して、どう行動し、どうお金を使ったら得なのか、本書には、そのヒントになることが数多く載っています。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・空き家数全体に占める割合は、売却用住宅5%、賃貸用住宅55%、二次的住宅5%、その他住宅35%。賃貸住宅が最も多い

・もともと賃貸用住宅は、10%程度の空き家率を折り込んで経営しているが、全国の(賃貸住宅の空き家数)÷(賃貸住宅の総数)が18%となっており、10%を上回る空き家率となっている

・分譲マンションの空き家率が高まっていくと、管理組合が機能しなくなり、建物の手入れが行われず、やがてスラム化していく。こうした分譲マンションは、人口減で、共同体機能を果たせなくなった「限界集落」になぞらえ、「限界マンション」と呼ばれる

・空き家率の高さが問題になるのは、賃貸市場や売却市場にも出されず、手入れもされずに朽ち果てていく住宅が増えていく場合

・大都市圏空き家率は、東京圏では、半径10km圏域50㎞以上圏域の空き家率が高い。同様に、名古屋圏では、10km圏域と30~40㎞圏域、大阪圏では、10km圏域と40㎞以上圏域の空き家率が高い

・古い分譲マンションの空き家率が高いのは、居住者がいなくなったことのほかに、賃貸物件が多いことから、その空き家が増えている。古い分譲マンションでは、住む人がいなくなった後に賃貸化しているケースが多い

空き家の継続期間を見ると、持ち家では5年以上が45%と最も多い。これに対し、借家では、1~3カ月未満のものが20%と最も多い。持ち家の方が、空き家期間が長期化している

・2050年までに、現在、人が居住している地域の約2割が無居住化する。無居住化する地点の割合が高い広域ブロックは、北海道52%、四国26%、中国24%

・高齢化社会のコンパクトシティでは、居住地域を集積させるだけでなく、必要な用事は歩いて足せる街づくりに取り組まなければならない。中心市街地が衰退する主な理由は、商店街の衰退。空き家の利用促進策が講じられても、それはメインの政策ではない

・建築基準法では、既存不適格で、著しく保安上危険または衛生上有害であるものについては、所有者に建築物の除去などの措置を命ずることができるが、これを適用するには、著しく危険であることを証明する必要があり、かなりハードルが高い

・空き家貸出の条件調査で多かったのは、「空き家の修繕費用を入居者が負担」「賃貸期間を5年や10年に限定」「仏壇や位牌の安置場所を他に確保」「家具や荷物の保管場所が他に確保」など。これらの点がクリアされないと、所有者は、家を貸し出す決心がつきにくい

・不動産業者の間では、中古物件を仕入れてリノベーションを施し、再販するビジネスが活発化しており、すでにマンションではかなりの成功を収めている

・シェアハウスは若者向けがほとんどであるが、将来的には高齢者が共同生活するシェアハウスができれば、高齢者の孤立や孤独死を防ぐと期待されている。すでにUR賃貸住宅では、一部をシェアハウスに改装する取り組みが行われている

・REIT保有物件の築年数を見ると、新しい物件が圧倒的に多いが、中には、古い物件を取得するケースもある。収益性が期待できる状態の良い物件であれば、REITは築年数にこだわらずに物件を取得している。取得費用の安さにより、中古部件の方が利回りが高くなる

・アメリカではREIT組み入れ物件で、賃貸住宅がオフィスを上回っている。中途解約権の排除によるキャッシュフローの確定が、証券化の前提として機能している。今後、日本においても、中途解約権の排除、中途解約の違約金支払いを契約に盛り込むことが必要



空き家が増えているのに、新築大型マンションが増える現象は、閉店する商店が増えているのに、大きなショッピングセンターができている現象によく似ています。

ということは、シャッター通りならぬ空き家通りが、住宅地にも生まれてくることもあり得るということです。そういうことを見越して、賢く、住宅を購入、賃貸していくことが、今後必要になると思います。本書は、その助けになるのではないでしょうか。


[ 2013/11/19 07:00 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『稼ぐ経済学「黄金の波」に乗る知の技法』竹中正治

稼ぐ経済学 「黄金の波」に乗る知の技法稼ぐ経済学 「黄金の波」に乗る知の技法
(2013/05/18)
竹中 正治

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著者は、日経新聞にも時々寄稿される国際金融論が専門の大学教授ですが、外貨投資や不動産投資にも詳しく、投資の本を多数執筆されています。

本書には、「外貨投資」「不動産投資」「債券投資」の長期運用の方法が記されており、投資中級者以上の方に、有益なことが多いように思います。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・短期(数カ月)や中期(数年)の時間軸では、市場価格はファンダメンタルな価値からの乖離が起こる。だが長期の時間軸(数年以上)では市場価格はファンダメンタルな価値への回帰、収束を見せる。ここに希望とチャンスがある

・現実に可能であり大切なのは、「予測」ではなくリスクに対する「準備」である

・賃料の変化以上に資産価格が大きく変動(高騰や暴落)してしまう背景には、市場参加者の心理が悲観に振れている時には、資産価値の過小評価が起こり、楽観に振れている時には、資産価値の過大が起こるということがある

・株式と長期債券の双方を保有すると、運用資産全体(ポートフォリオ)の投資リターンを安定化する効果があるという、基礎的かつ極めて実用的な知恵を実践している個人投資家は極めて稀

・好況で債券利回りが高くなっている時こそ、長期固定金利の債券を買う時

好況の時には、運用資産(ポートフォリオ)の中で、株式保有の比率を下げ、債券保有の比率を上げる。反対に、不況の時は、株式の比率を上げ、債券の比率を下げる。これができれば、毎年のリターンの変動を平準化できると同時に、投資リターンも向上できる

・「ハイリターン」は、長期の時間を前提にして成り立つ原理であり、バクチのように時間の概念と関係のない「当たり外れ」とは関係ない

デフレ圧力が半ば恒常化した低成長の経済では、長期分散の株式投資を愚直に持続しても、リスクに見合ったリターンは得られない

・市場の躁状態も鬱状態も無限に持続しない。必ず転換し、長期で普通の状態に回帰する。市場の合理的対処法は、予測という不確実な判断に頼らず、絶好調の躁状態にいる時に売り、絶不調の鬱状態にいる時に買い、短期的な変動は無視すること

・「金利平価原理」と呼ぶ2国間の為替相場と金利格差に関する原理が、日米の国債と為替相場に現実的に働いている。すなわち、金利の高い米国債に投資しても、円ベースの米国債のリターンは、長期では為替相場変動で、日本国債の低リターンと同じ水準に収斂する

・現実の為替相場は、購買力平価からの乖離と回帰を繰り返す。この事実は、短期トレーディングで儲ける役には立たないが、長期で資産形成を考える投資家には重要で、購買力平価は、為替相場の割高・割安を見抜く指標となる

・円高・円安は一般化できるような規則性はないので、それぞれの状況で判断するしかない。したがって、円高で外貨投資をする場合、一発決め打ちはせずに、投資のタイミングを数回に分けて対応すべき

・個人投資家が住宅・マンション投資で成功する鉄則は、「買う時は不況時、売るのは好況時」「中古マンションを物色して安く買う。価格は収益還元法で点検」「空室リスクの低い物件を選ぶ」「2~3割は自己資金を用意」「ワンルームよりファミリータイプを優先」

・アジアでの新興のREIT投資家層が登場しているのは、注目すべきこと。中国を含むアジアの新興投資家のマネーが、日本のREITの新たな買い手に加われば、日本のREIT市場にミニバブル的な高騰を起こす可能性がある

・投資スタイルを大別すれば、「トレンド追随型」と「逆張り型」がある。投資家として成功したいなら、どちらのタイプを選ぶか、どちらに適しているか、よく考えるべき。どっちつかずは最悪。首尾一貫しない投資スタイルで成功することはあり得ない

・人間の性格は「1.ハンター(狩猟民)型」(動くものに強いトレンド追随型)、「2.ブリーダー(牧畜民)型」(長期的な作業が得意で、逆張り・長期投資型)、「3.ファーマー(農耕民)型」(安全な倉庫に貯蔵したがる、投資不適型)の3つに分けられる

・ファーマー(農耕民)型とブリーダー(牧畜民)型が多い日本社会では、表面的な利息配当の高さに誘惑されて、意図せざる高リスク投資をして、失敗する傾向が強いので、要注意


本書には、長期型投資・逆張り型投資を行う上で、参考になる点が数多くあるように感じました。

日本人の性格に合った地道な投資法と呼ぶべきものです。大欲・中欲・少欲と考えれば、中欲の人の投資法かもしれません。


[ 2013/11/12 07:00 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『新マーケットの魔術師』ジャック・D・シュワッガー

新マーケットの魔術師―米トップトレーダーたちが語る成功の秘密 (ウィザード・ブックシリーズ)新マーケットの魔術師―米トップトレーダーたちが語る成功の秘密 (ウィザード・ブックシリーズ)
(1999/03/15)
ジャック・D. シュワッガー、Jack D. Schwager 他

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マーケットの魔術師シリーズは、アメリカの投資家たちの成功物語であり、成功ノウハウ集です。

本書では、約20人のトップトレーダーたちが、インタビューに応じて、事実を赤裸々に公開しています。投資のヒントになることが、数多くありました。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・負けが続くときの副産物として、自信の喪失がある。これによって、トレード情報の理解や分析能力が影響を受ける。したがって、失った自信を取り戻さなければならない。こんなとき、効果があるのは、トレードのサイズを減らすこと(ビル・リップシュッツ)

・トレードは50%の確率で勝てると思っていたら大間違い。たった20~30%の確率でしか勝てない。だから、勝ったときに、どういうふうに勝つか、それを考えなければいけない(ビル・リップシュッツ)

・安値での買い、高値での売りなんて、仕掛けたことはない。もし安値で買えても、マーケットはそのレベルで何年間も腰を据えてしまうかもしれず、資本が縛られることになる。変動が始まる状態まで待って、それからポジションを抱えるべき(ランディ・マッケイ)

・うまくいっていないとき、「こうなってほしい」とか、「こうであればよいのに」と思うようになる。そうすると、成功するトレードではなく、「成功してほしいトレード」をするようになってしまう(ランディ・マッケイ)

・分析をして、うまくいくトレードに集中し、それ以外のトレードを止めれば成功する。分析をしても、うまくいかないならば、何か他の仕事を探すべき(ランディ・マッケイ)

・パターンを見つけ出したいという願望は、人に迷信や占星術などに効力があると思わせる。人間の本性が成せる業。そんなことで成功するのは、失敗するよりももっと驚きに値する(ウィリアム・エックハート)

損失の痛みが分からなければ、金銭的にマーケットで生き残る確率は皆無。相続した財産でトレードを始めた数人の億万長者を知っているが、負けの痛みを感じないから、彼らはすべてを失っていった(ウィリアム・エックハート)

・快適なものは、しばしば良くない結果をもたらす(ウィリアム・エックハート)

・トレーダーに欠かせないのは、誰にも依存しない独立した考え方。トレード戦略を発想、認識、創造するために、芸術的な側面が必要。それらのアイデアを確固としたトレーディングルールとして規則化し、遂行するためには、科学的な側面が必要(ギル・ブレイク)

成功するトレーダーになるには、1「自分に合う投資対象、戦略、時間軸に集中する」2.「予測不能ではない価格動向パターンを見つける」3.「発見したものが統計的に有効であると納得する」4.「取引ルールを決める」5.「そのルールに従う」(ギル・ブレイク)

・教育を受けた大部分の人が失敗したのは、感情の管理能力が欠けていたから。つまり、トレードの決断から感情を切り離すことができなかった(ビクター・スペランデオ)

・「このトレードをしよう」と思う代わりに、「このトレードをする自分を見てやろう」と思うこと(トム・バッソ)

・人生は、今一度しか見ることのできない映画。同じ場面は二度とない。夢中になって、理解して、楽しまなくては(トム・バッソ)

・音楽には構造があり、形を変えながら繰り返されるパターンがある。マーケットにも繰り返されるパターンがある。この二つはいずれも、リラックスしているとき、最もうまくいく。そして、両方とも波に乗ることが大切(リンダ・ブラッドフォード・ラシュキ)

・トレーダーを雇った経験から言うと、ブラックジャック、チェス、ブリッジなんかが強い人は、成功する可能性を備えていると思う(ブレアー・ハル)

・進歩がない人は、常にあるシステムや手法から別のものに変えてばかりいるため、どれについても熟練できない。対照的に、スーパートレーダーは、一つのアプローチに収れんしていき、そのアプローチに適応していく(チャールズ・フォルクナー)

・チーターは世界で最も速い動物で、草原にいるどんな動物でも捕まえることができる。しかし、チーターはその獲物が絶対に捕まえることができると確信するまで待っている。茂みに隠れて、一週間でもその好機が訪れるまで待っている(マーク・ワインスタイン)



本書の序文に、ジム・ロジャースの「そこにカネがたまるまで待つ。その後、そこまで行って拾い上げるだけ。それまでは、何もしないこと」の言葉が記されています。

その言葉どおり、「得意の型を一つ見つけ出し、好機が来るまでじっと待ち、そして一瞬にして、大きな獲物を仕留める」といった作業が、投資で成功する秘訣ではないでしょうか。投資は、忍耐力が相当必要な、地味なゲームなのかもしれません。


[ 2013/07/23 07:00 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『人はみな相場師・勝つための法則』鍋島高明

人はみな相場師 勝つための法則人はみな相場師 勝つための法則
(2012/07/27)
鍋島 高明

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鍋島高明さんの著書を紹介するのは、「金と相場」「賭けた儲けた生きた」に次ぎ、3冊目です。著者は、古今東西の相場師、投資家、ジャーナリストを調べ、追いかけている方です。

今回の著書の中にも、5千円札の樋口一葉が相場好きだった話や、1万円札の福沢諭吉の婿養子が天才相場師であった話など、「人はみな相場師」である実例が数多く出てきます。これらの一部を、要約して、紹介させていただきます。



・「一高一低、波瀾極まりなき間に投じて金を儲けていくことは予の投機心を完全に満足させる。実に色情と賭博は人間本来最も好愛するもの。好むところに溺れるから過ぎる。快楽に淫するから身を亡ぼす」(福沢諭吉の婿養子・福沢桃介

・250年余り前の伊勢の米相場師・牛田権三郎の「三猿金泉録」は今に伝わる
「万人が万人ながら強気なら、たはけになりて米を売るべし」
「野も山も皆一面に弱気なら、阿呆になりて米を買ふべし」
「理と非との中に籠れる理外の理、米の高下の源と知れ」
「ふところに金を絶やさぬ覚悟せよ、金は米釣る餌と知るべし」
「売買はせかず急がず待つが仁、徳の乗るまで待つも仁なり」

福沢諭吉は、「相場会所の効用は、近遠の物価を示し、その現在未来の高低を明らかにし、生産物の運転を活発にし、もって農工商をして安んじてその業に従うを得せしめるにあり」と、先物取引所は「明日の価格を発見する」ところで、有益無害と説く

・「日本の資産家は付和雷同型が多く、土地がいいとなると、土地投資になびき、一転、公債がいいとなると、公債に集中投資し、投資対象を一、二に限る。これは危険。安全なものから、リスクを伴うものまで、分散するのが投資のポイント」と、福沢諭吉は説明する

・「人生は長いものではない。人は早急な結果を欲している。手っ取り早い金儲けには、特別の楽しみがある」(ケインズ

・「少ない勝ち数で大きな利益を獲得する」「必要なのは自制心」「大きく勝ち、負けは小さく」「誰も将来の価格など予想できない」(大相場師で大リーグのレッドソックスオーナー・ジョン・ヘンリー)

・「商売は薄利でも継続を望み、投機は一攫千金の機を狙う。商売に必要なものは勤勉で、投機に必要なものは智略。商売は腕で生活し、投機は頭で生活する。商売は確実、安定、投機は浮沈、消長を免れず」(博文館社主・大橋新太郎)

・「(大学出の新人に向かって)君は相場を知っているか。相場を知らないで書く経済記事など、玄人からみると何の価値もない。おれが五百円(今のお金で100万円強)出すから相場をやれ」(報知新聞社主・三木善八)

・「最小の労力で、最大の欲望を充たすことが、経済行為の根本原理である」(アダム・スミス)

・「先輩が歩んできた相場の道を振り返ることは大いに意義がある。なぜなら、相場は人生究極の根本原理を追求する学問にも通じる人生哲学で、単なる体験の表現ではない。その背景には、合理的な哲学的性格を持っているから」(時事通信名物記者・永松石秤)

・「人間社会の一切を包合して営々と続いていくのが市場。その頂点に咲いた花が相場。政治より何より優先する人間生活の本質」(時事通信名物記者・永松石秤)

・株の天才福沢桃介(福沢諭吉の婿養子)が記した成功4つの心掛けは、「1.倹約」(金を愛するが故に金は集まる)「2.計数」(ソロバン離れて経済なし。数字に立脚すれば必ず成功)「3.幸運」「4.利を積む」(薄利でも利を生むものに投資し、その利を再投資)

山本五十六は勝負事が滅法強かった。彼の賭博哲学は、「沢山の紳士が熱狂している際、白眼視され、馬鹿者扱いされても、勝機がくるのをじっと待つこと」など含蓄に富む。関東大震災にうろたえる財界人に「株を買う時。新東株を買い占めること」と発破をかけた

チャップリンは、「いつも素早い大儲けを狙っている。成功しろ、出世しろ、裏をかけ、現なまをつかんだら逃げろ」(チャップリン自叙伝)と、エネルギッシュだった。若き日は、友人たちと有り金はたいて養豚業に乗り出し、豚成金を夢見ていた

・キリスト教思想家であった内村鑑三はその著「後世への最大遺物」の中で、「金を残せ、金がない人は事業を残せ、思想を残せ、金も事業も思想も残せない人は、勇気ある高尚な生涯を残せ」と述べている



意外な人物が、相場に手を出しています。投機心は、人間のDNAに組み込まれたもので、これから逃れることはできないのだと思います。

投機心を上手に利用し、抑制し、コントロールする力を人間は身につけないといけないのかもしれません。本書を読み、古今東西の人物の投機心を知ると、投機心の怖さと大切さを同時に理解できるようになるのではないでしょうか。
[ 2013/05/14 07:00 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『老荘に学ぶリラックス投資術』岡本和久

老荘に学ぶリラックス投資術 (現代の錬金術師シリーズ)老荘に学ぶリラックス投資術 (現代の錬金術師シリーズ)
(2009/08/05)
岡本和久

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本の帯の部分に、「急がない」「欲張らない」「考えすぎない」とあります。長期投資を心がけている身として、心惹かれるものがあり、読んでみました。

投資と老荘思想を結びつけることに少々の違和感もありましたが、読んでみたら、類似点を多く感じらました。それらの類似点の一部を、要約して紹介させていただきます。



・日本では「お金持ち」のイメージがあまり良くない。しかし、おカネは感謝のしるしだから、本当のお金持ちは、人から受けた感謝がたくさん貯まった人ということになる

・良い投資は、「時間」を味方につけている。種をまいて、収穫を待つようなもの。「早く芽を出せ」と水をやりすぎ、土を掘り返してはいけない。「まいた種は必ず芽を出す」の信念を持ち続けて忍耐することが大切。長期投資の高いリターンは、忍耐に対するご褒美

・本当に大切なのは、長期にわたるマーケットの動き。そのマーケットを動かす潮流

・「この世に永遠のものは存在しない。変化し続けるという事実を除いては」(ギリシアの哲学者ヘラクレイトス)。この世の本質は変化し続けることにある。それのみが永遠の真実

・「最大多数の人にとって、最も都合の悪いことが起こる」これが株式市場の真実。みんなが上昇を期待しているときには下落し、下がるだろうと期待しているときに上昇する。多くの人が株を所有しているときに、それ以上買う人がいなくなるのは当然の流れ

・株価は常に中立。「上がった、下がった」と周囲に自慢するのは、風向計を見つつ、「東風だ、西風だ」と喜ぶ小学生と同じ

・買いが積み上がるほど、売りの圧力になる。残念ながら、他者と考えが同じであればあるほど、株価という影は、逆の姿を見せていく

・精通した者は、「人気銘柄に飛びつかない」「守り中心にする」「欲張らない」「間違えたときは直ちに行動を修正する」「ポートフォリオをシンプルにする」「長期的視点でマーケット全体に投資する」「濁った水もじっと静かにしていれば澄んでくる」と体得している

・成功するためには、人からは阿呆に見えたり、たわけに見える行動が必要。浮かれている集団から距離を置き、落ち着いた心で投資を続ければいい

・分散投資と長期投資を低コストで実現する「分・長・低」が、成功するための銘柄選び

・公開された情報には、ほとんど価値がないことを知っておくべき

・「健康のため、株価の見すぎには注意する」。株価を一生懸命見ていても上がらない

・そもそもマーケットとは、分らないもの。その前提を踏まえ、スタートする。つまり、知の限界を知ることが、そもそもの基礎

・時間を味方につけるのが長期投資、マーケットを味方につけるのがインデックス運用。長期投資と分散投資は、リラックス投資の武器

・自分の思うように、市場を動かすことはできない。でも、リスクはコントロールできる

・長期投資では、勝たなくてもよい。それより重要なのは、負けないこと

・「俺が俺がの(我)を捨てて、お陰お陰の(下)で生きる」

・「おカネ持ち」になることではなく「しあわせ持ち」になること。知足は、しあわせ人生のために不可欠

・われわれの心の中では、落ち着きのないサルが「キャッキャッ」と騒いでいる。心を沈めてサルを落ち着かせることが必要

・投資の達人は、理論や技術、知識を身につけても、それにしがみつかず、とらわれのない心(無我・無心・無為)の境地で、マーケットと対峙する

・われわれは「世の中のためになること」をするために生きている。それを円滑にするためにおカネが存在する。そして、自分の余裕を人のために用立ててあげるのが投資。それは時間との付き合いでもある

・「1.適切な比率で資産の配分を決める」「2.それぞれの資産ごとにインデックス投信を選ぶ」「3.時々チェックしながら長い間、待つ」。ただ、この三点を行っていればいい



投資の世界とは、切ったはったの厳しい感じがするのですが、本書に出てくる文章は、常にゆる~い感じがします。

投資の本というよりも、幸せに生きるための指南書といった感じです。長期投資を目指す人にとって、最適の書ではないでしょうか。


[ 2013/02/12 07:01 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『あなたも株のプロになれる―成功した男の驚くべき売買記録』立花義正

あなたも株のプロになれる―成功した男の驚くべき売買記録あなたも株のプロになれる―成功した男の驚くべき売買記録
(1987/04)
立花 義正

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立花義正さんは、亡くなられたとき(1985年)に、5億円の遺産があったということで有名になった個人投資家です。工場の事故で、片足を切断された後、会社を辞め、投資家として自立する道を選ばれて成功されました。

その立花義正さんが、唯一残した書が、この「あなたも株のプロになれる」です。初版は、25年前ですが、現在も版を重ね続けています。本書には、今も昔も変わらない、株で儲けるルールが書かれています。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・「三猿金泉録や八木竜の巻のような本を読みなさいよ。そして、自分の力でやってみることだ。例えば、今の逆向かいを『下げの二日前から買い下がり始める』『三日目も安ければ買い、戻ったらいったん売り』というふうに、二~三回やってごらん。納得いくから」

・まず、技法習得のために、「1.簡単な技法を繰り返して身につけよ」「2.資金を大切にせよ」という二点を、技法入門の初めの言葉として贈る

・すべてに通じるものは、「九分一分三分割売買」、アメリカの売買技術書でも、まったく同じ。「ナンピン三分の一」「乗せは三分の一」「ツナギは三分の一」も、これと同じ考え

・まず、出発の玉は一枚ずつ三回、増しは三枚ずつ二回で、合計三枚ずつ三回。これでひと区切り。そのあとの乗せは10枚。もちろん分割してもよい。そして、ツナギ10枚

越年玉とは、年を越す手持ち玉のこと。「長期的な資産運用のための現株」「中短期の計画的な建て玉」以外は、越年してはいけないというのが、売買益で生活する上での鉄則

・手数料を払うとか、大発会が高かったら損するとかというのは本当につまらないこと。そんなものは手仕舞いすれば、冷静になれるという貴重な向上の代償として、安いもの

自分に合わないものを捨てなければ、理論からやり方まで一貫性をもつという、大切なことが身につかなくなる。自分に合わないものを、いさぎよく捨てて単純化していくこと

・「指値注文絶対禁止」「迷ったら翌朝成行きで手仕舞い」「雑音無視」「三分割仕掛け一括手仕舞いのみ」「買い注文は安い日の翌日、売り注文は高い日の翌日」「同値圏の増し玉枚数少なく」「順張りはやるな」「他人の相場観は聞くな」「朝テレビを見るな」

・「月曜日に売買するな」「リズムを追え」「仕手情報は聞くな」「5%逆行注意」「市場の分析をするな」「最高枚数は二十枚を限度に」「証券会社が推奨したら売れ」「新聞のトップ記事に出たら売れ」「平均値を計算せよ」「「ここは絶対と思ったときはやるな」

・グラフを見ただけで、自分にできそうにないと思った銘柄は絶対に売買すべきではない

・定石と言われるやり方どおりの玉の入れ方をした。つまり、自分で自分を機械のようにやった。相場観を殺し、弱気でも目をつむって買った。それで相場師として成長できた

・崩れてからの追っかけ売りは、成功の確率は極めて低い。崩れたときは、ジッと我慢しておいて、戻りを売るのがよい。将来の大成のために、絶対に追っかけをしないこと

・株で利益を上げるということは、株を持っていることではなく、処分すること。ケリをつける区切りをつけるということ

・競争相手は強弱の議論をしがちで、相場の励みとならず、友人は技術の向上には有害

・勉強とは、多くの知識を集めるのではなく、一つのものを深く究めることにある。それには、進むべき方向に不要のもの、邪魔になるものを捨て、残ったものこそが真に重要

・順張り専門のプロはまずいない。順張りは心理的に楽でやりやすいが、実質利益が少ないうえ、失敗の確率が高く、その金額も大きい

・「上手な人は何か秘密があって、それを隠しているのではないか」という考えは、キッパリ捨てること。上手な人というのは、繰り返し、繰り返し、練習して上達した

・相場の売買は、「長所を伸ばすことに積極的」で、「短所を補うことに消極的」でなければいけない。これは、私がいままでに会った上手な人たちすべてが言っていたこと

・自分に合った方法だけを行い、その技術を高めていくこと。他人の売買は、その上手さだけを見るべきであって、売買している銘柄とか方法をマネしてはいけない

・30年間売買を続けながら、苦しんで得た結論は、「自分に合った型を基準にして売買する」「分割売買をする」「ゼロをつくる(区切りをつける、不利な玉を切る)」、これだけ



どんな世界でも、名人というのは、自分が納得するまで何回も繰り返して、レベルアップした人です。株式の売買でも例外ではありません。

どんな道でも、30年飯を食っていこうとすれば、地味で、規則正しく、愚直に生きるほかないということを、本書が示しているのではないでしょうか。


[ 2013/01/08 07:02 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『イェール大学CFOに学ぶ投資哲学』デイビッド・スウェンセン、瑞穂 のりこ

イェール大学CFOに学ぶ投資哲学イェール大学CFOに学ぶ投資哲学
(2006/08/18)
デイビッド・スウェンセン、瑞穂 のりこ 他

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著者のデイビッド・スウェンセン氏は、イェール大学の基金運用局で、20年間平均、年率16.1%という驚異的な運用成績を達成したファンドマネジャーです。また、イェール大学で、経済学とファイナンスのクラスを持って、教えられています。

基金の運用を、ずっと、アセット・アロケーション(資産配分)という手法で行われてきた方であり、前に紹介した「資産運用の強化書」の手本となる方でもあります。

その手法に学ぶために、本書を読みました。参考になる点が多々ありました。それらを一部要約して、紹介させていただきます。



・投資家が資本市場で投資収益を稼ぎたいとき、役に立つアプローチは、「資産配分」「マーケットタイミング」「銘柄選択」の三つ。この三つの中で、投資結果を左右する中心的な役割を果たすのは「資産配分」。リターン変動のうち、約90%が「資産配分」に起因する

・投資家は、投資原則の基本を守っていない。長期的な資産配分目標を合理的に設定するのが先決なのに、役に立たない銘柄選択やマーケットタイミングに夢中になっている

・以下の6種類の資産クラスには、はっきりした特性に基づく働きが期待できる。ポートフォリオ例としては、「米国株」30%「米国以外の先進国株」15%「新興国株」5%「長期国債」15%「インデックス国債」15%「不動産」20%

・国債には、金融危機や不況からポートフォリオを保護する働きがあり、分散効果が期待できる

・外国株投資は為替リスクを伴う。現実的な投資家は、為替変動から差益も差損も期待しない。為替相場がどちらに向かうかは、実際に誰にもわからない。為替の方向性に賭けないこと

・リスク対リターン特性から言えば、不動産は債券と株式の中間に位置する。賃料が定期的に流れ込む点は債券に近く、残余価値が変動する点は株式に近いので、期待リターンは、債券と株式の中間になる

・個人のバランスシート上で重要な非金融資産といえば、「持ち家」と「自営業」。持ち家のある投資家は、家賃の上昇リスクから保護されている。自営業の性格は株式に似ているので、自営業を営む人は、金融資産のポートフォリオで、株式比率を低めにしていい

・ウォール街が新商品を繰り出すとき、それが複雑であるほど、投資家はなるべく速足で、なるべく遠くまで逃げるが勝ち。複雑な仕組みを開発した本人や発行体でさえ、環境の変化にどう反応するか把握できていない

・うっかりヘッジファンドに手を出すと、結果はまず間違いなく期待外れに終わる。ヘッジファンドに投資していいのは、高度な知識を持ち、マネジャーを選択できる投資家だけ

・ミューチュアルファンド会社は、さまざまな口実をもうけて、お粗末な成績を隠そうとする。成績不良のファンドを他のファンドに吸収させて抹消するという手法やごまかしの手口もある

・過去の情報は何ほどの役に立たないことに気づかないかぎり、格付けシステムに効果があると思えない

・リバランス(再調整)を実行するには、常識に逆らった行動が求められる。まず、上昇中の資産を切り売りし、下落中の資産を買い足さなければならない。普通に考えれば逆。度胸が試される

・商業の世界で、利益を得るのは、大勢に従う者。勝者の戦略を取り入れ、敗者の流儀を切り捨てることで、商売は繁盛する。だが、投資の世界では、落ち目の資産が期待リターンを押し上げ、人気資産はプレミアムがつくので、期待リターンは押し下げられる

・賢明な投資家は、四半期に一度か、半期に一度か、あるいは年に一度ポートフォリオを見直す際に、リバランスの必要はないか、機会はないかと考えること

販売手数料は、投資家に対する侮蔑である。販売手数料を払えば払った分だけ確実にリターンが押し下げられる

・市場平均の上を狙うマネジャーには、粘り強さがどうしても必要。途中でやってくる苦境に対して、考え抜いたポジションを守り通すための確信が必要

・投資家が勝率を高くしたのなら、利益追求型でない会社が運用するファンドを選ぶことが近道。利益追求型でない会社なら、投資家利益の貢献だけに専念できる



本書を簡単にまとめると、「資産配分をリスクと期間に応じて考える」「資産配分の再調整を時期を決めて行う」「複雑なファンドやヘッジファンドには手を出さない」「為替変動に賭けない」「販売手数料や税金をできるだけ少なくする」ということになります。

要するに、マイナス要因をなくしていくことで、安定的な利益が見込めるようになるということなのかもしれません。


[ 2012/11/20 07:02 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『投資で迷ったら読む相場格言400』西野武彦

投資で迷ったら読む相場格言400投資で迷ったら読む相場格言400
(2009/11)
西野 武彦

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日本の相場格言には、大きく分けて、米国(ウォール街)生まれのもの、江戸時代の米相場から生まれたもの、明治以後の日本生まれのものがあります。

相場格言は、先人たちが相場で苦労し、失敗した体験が凝縮された言葉です。成功体験ももちろんありますが、失敗から生まれた言葉が多いのが特徴です。次世代への戒めがそこに込められています。

転ばぬ先の杖として、活用したい相場格言が、本書に数多く載せられています。一部ですが、紹介させていただきます。



・「人間の一生には投機をしてならない時が二度ある。投機をする余裕のない時と余裕のある時がそれだ」

・「大衆は常に間違っている」(大衆は多数意見が正しいと思い込み、みんなと同じことをして安心するところがある。大衆が大挙して市場に押し寄せてくれば、相場は天井)

・「判断を誤ることは正常なこと。それを修正しないのが異常」(自分の間違いを認めない人は、投資で大損することが多い)

・「よい銘柄だけを残せば利益は自然と生まれる」(値下がり銘柄はさっさと損切りして手放し、値上がり銘柄だけを長期保有するのが原則だが、素人の投資家はその逆をやる)

・「株を買うより時を買え、株を買う前に時を選べ」(個別銘柄を選ぶことよりも、相場が上昇する時かどうかを判断することの方が重要)

・「よい魚は底に近いところを泳いでいる」(底値圏にある銘柄は、大きな値上がりが期待できる)

・「理屈上手の商い下手」(相場の世界は、理論通りに動いてくれない)

・「知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は恐れず」(相場をよく知っている人は迷うことなく、克己心の強い人は心配せず、勇気のある人はタイミングよく投資を行うことができる)

・「木は庭に植えず、山に植えよ」(庭に植えた木を毎日見ていると、枝を切りすぎたり、植え換えたくなる。また、成長にも気づきにくい。山に植えた木をたまに見に行くと、意外なほど成長していることに気づく。投資した銘柄を忘れているくらいの人が儲かる)

・「売るべし・買うべし・休むべし」(成功するには、じっくり待って、休むことも大切)

・「上り坂の悪材料は買い、下り坂の好材料は売り」(上昇相場では再び上昇に転じるが、下降相場では再び下降に転じる)

・「悪い予感はよく当たる」

・「売りは早かれ買いは遅かれ」(買う場合は慌てる必要はない。もし、買えなくても、それによって損失が発生する心配はない)

・「安値買い下がりの株数は、一、三、五の比率有効なるべし。そして資金の半分を温存すべし」(どのあたりで買えばいいのかの判断は非常に難しい。何回かに分けて買うのが有効な買い方)

・「不安になったら半分を手仕舞え

・「商いの利分の時、六七分にて取り申すなり。十分は却って損の元なり」(利益を確保する時には、6~7分の利益を得て満足すべき。目一杯儲けようと欲張ると損をする原因となる)

・「米相場をなさんと思えば、大酒淫事盤上慰事堅く禁すべし」(大酒、色事、賭け事などの遊びを禁じて、真剣に相場に打ち込まないと、相場では成功しない)

・「人の商いをうらやむべからず」(大相場の後期になると、大儲けした素人投資家の体験談がよく取り上げられる。それまで、投資に見向きもしなかった人が、それを見てうらやましくなって、思わず手を出し、高値をつかまされて大損するケースが多い)

・「ふところに、金をたやさぬ覚悟せよ、金は米釣るえば(餌)と知るべし」(金は米相場で儲けるためのエサと考えること。絶好の買い場を活かせるように、常に現金を持っておく必要がある)



投資だけでなく、不動産、美術品、骨董品など価格変動する高額商品を買う時にも、これらの相場格言は応用できます。

人類が、金儲けと格闘してきた歴史が、これらの格言に刻まれているように思います。これらを予習しておくことは、大事なことです。復習(損してから)では遅すぎるのではないでしょうか。


[ 2012/11/06 07:01 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『銀座の投資家が「日本は大丈夫」と断言する理由』大原浩

銀座の投資家が「日本は大丈夫」と断言する理由銀座の投資家が「日本は大丈夫」と断言する理由
(2012/03/16)
大原 浩

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著者は、投資や税務のアドバイザーをされている方です。証券新報の顧問も長く努められています。本書は、今年の3月に出版されたものですが、ここ最近の中国情勢をほぼ当てられています。

著者の予測は、「新しい現実」を探る姿勢なので、精度が高くなるのだと思います。著者の多くの予測の中で、注目すべきものが幾つかありました。それらを紹介させていただきます。



・日本や世界経済を読み解くキーワードが「資源国」「華僑」「イスラム」「高齢化」の四つ

・共産党政権下で教育を受けた大陸中国の人々と、やむなく母国を脱出して厳しい異国の中で這い上がってきた華僑の人々とでは、同じ「中国人」でも全く違った「人種・民族」。大陸中国にはネガティブな見方をしているが、華僑の今後の発展は疑いのないところ

・中進国を目指している段階では、中国共産党の一党独裁はプラスに働いた。しかし、中進国入りし、次のステップを目指す場合に、独裁的。強権的政治は大きなマイナスになる

・1人当たりのGDP成長率が一定水準になると、成長率が大幅に落ちる。この現象は、ドイツで1960年代半ば、日本で1970年代初期、韓国で1990年代後半に訪れている

・中国政府の人口調査によれば、出生人口男女比率は118:100。通常は106:100だから、かなり深刻な状況。その結果、33歳の独身者の男女比が3:1という極端な男性過剰になっている。ストレスをためた男性が巷にあふれているのは、政治的に好ましくない

・ブラジル経済は悪くないが、家計の可処分所得に対する借金比率が高いのに注意が必要

・インドの1人当たりGDPはまだ1400ドル程度の水準。3倍の4000ドルあたりまでは、比較的簡単に成長できる。しかし、インド人が「白いお金・黒いお金」と表現する賄賂の問題は深刻。黒いお金(賄賂の相場)は、白いお金(表のお金)の約3割

・アメリカは「発展途上国」。1950年に1.5億人の人口が、2050年には4億人に達する。中国やインドのような人口過密地帯でないことも優位に働く。アメリカは、シェールガス開発も進む「資源大国」でもあり、潜在能力は侮れない

・米国企業の多国籍化・グローバル化は着実に進んでおり、海外での売上・収益が、米国経済に大きく貢献している。対外直接投資残高のGDP比は、英国75%米国33%日本15%

・日本の「失われた20年」は、戦地で死線をくぐり抜けた戦後第一世代の遺産を、豊かでお気楽な団塊世代が引き継いだことにある。現在は、バブル以後の厳しい経済しか知らない世代が台頭してきているので、日本の将来については安心

・中国は、世界第2位の経済大国になった途端、「中華思想」が首をもたげ、尊大な態度が目につくようになった。それは、外国に対してだけでなく、一般の中国国民に対しても

・華僑集団の中では、裏切り行為があった場合、厳しい制裁を行う。華僑は、「幇(パン)」という出身地(郷幇)同業者(業幇)の連帯組織を作り、相互扶助をはかり、便宜を与え合っているので、「信頼・信用」することができる

・オーストラリアは、資源国として今後も安定的な成長を遂げる。カナダは、原油や天然ガスだけでなく、水や森林も潤沢。香港返還後の華僑たちの選択(カナダ、オーストラリア、ニュージーランドに移住)は結果的に正しかった

・資源・エネルギーが不足する時代には、米国の2倍、中国の8倍以上のエネルギー効率を誇る日本の産業が圧倒的に有利になる

・アフリカ諸国やブラジル、インドは「人口ボーナス」(人口増の維持)、欧州や日本では、逆の「人口オーナス」。アジアの新興国も人口オーナス化していく

・タイは、日本の投資先として、直接投資残高が2.3兆円と、アジアで中国に次ぐ位置

・どんな大企業であっても、雇われ経営者にとっては、投資収益を上げることよりも、規模の拡大がメリットだから、投資家は十分注意しなければならない

・米国が先頭、その20年遅れが日本。韓国がさらに20年遅れで、中国は韓国のさらに20年遅れ。過去、米国の低迷期に日本が発展した。20年説の答えは「世代交代」にある

・ネット社会では、日本の過去のような中間管理職の優秀さが必要ない。優秀なマネージャー(リーダー)とその他大勢のスタイルが、日本のビジネス社会の大いなる刺激となる



日本及び海外先進国や新興国への投資(株式、債券、土地、為替など)をされている方は、海外諸国の中長期を予測しなければなりません。

そこを間違わないようにするためには、大局をつかむことです。そういう意味で、本書はその一助になるのではないでしょうか。


[ 2012/10/30 07:02 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『資産運用の強化書』角山智

資産運用の強化書 (Modern Alchemists Series No. 70)資産運用の強化書 (Modern Alchemists Series No. 70)
(2008/12/05)
角山智

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日本では、投資顧問会社による年金消失事件が起こりましたが、海外の年金基金は立派に運営されています。

カルパース(米カリフォルニア州職員退職年金基金・運用資産約15兆円)やイエール大学寄付基金(20年間の年運用収益率約15%)など、実績をあげているものが数多くあります。

これらの基金の運用は、アセット・アロケーション(資産配分)という手法で行われています。それを詳しく解説しているのが、この本です。勉強になり、役に立つことがいっぱいありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・資産運用の上流部分は、国内や海外の債券、株式、不動産といった投資対象を組み合わせての運用。下流部分は、絞った投資対象(日本株など)の個別銘柄選び。個別銘柄選びは、「当てる」楽しみがあるが、資産運用のリターンのほとんどは、上流部分で決まる

カルパース(米カリフォルニア州職員退職年金基金)のアセット・アロケーション(2008年)は、米国債券17%、海外債券2%、代替投資10%、米国株式28%、外国株式28%、不動産10%、インフレ連動5%

リターンのバラツキがリスク。日本株式TOPIXの1970年~2007年のリターンは8.7%、リスクは26.7%。ということは、プラスになれば、リターン8.7%+リスク26.7%=プラス35.4%。マイナスになれば、リターン8.7%-リスク26.7%=マイナス18.0%になる

・アセット・アロケーションは「安定型」(夜も安心して眠りたい人向け)、「標準型」(バランスのとれた資産配分)、「積極型」(高いリターンを得たい人向け)の3つに分かれる

・「安定型」アセット・アロケーション例(期待リターン4%:日本債券60%、外国債券10%、日本株式15%、外国株式15%)

・「標準型」アセット・アロケーション例(期待リターン6%:日本債券30%、外国債券10%、日本株式25%、外国株式25%、新興国株式5%、REIT5%)

・「積極型」アセット・アロケーション例(期待リターン8%:日本債券15%、外国債券15%、日本株式25%、外国株式25% 、新興国株式10%、REIT10%、商品5%)

・アセット・アロケーションのメンテナンス作業は、リバランス(年1回ないし乖離率10%の時点で行う)とリアロケーション(経済状況などを考慮して、意識的に資産配分を変更)で行う

・プロのコストは、アクティブファンド(高い手数料の投資信託)を買う投資家が負担し、アクティブファンドはインデックッスファンド(株価指数)に勝てない。ということは、インデックスファンドの投資することにより、アマチュアでもプロに勝てるということ

・エマージング市場では、通貨危機や政治的混乱がつきもの。一つの国・地域への集中投資は極めてリスキー。新興国への投資は、エマージング市場へ幅広く投資する低コストのインデックスファンドを選び、長期保有を心掛けること

REITは、賃料収入から経費(物件管理費用や支払利息など)を引いた収益のほぼすべてを配当する仕組みで、配当利回りが高く、収益が比較的安定している

・「炭鉱のカナリア」とは、人間よりガスの毒性に敏感なカナリアを持ち込み、鳴き声が止むことにより危険を察知するもの。もし、マーケットにも、下落兆候をいち早く察知する「炭鉱のカナリア」を見つけることができれば、下げ相場に備えることができる

・「炭鉱のカナリア」チェック指標は、「FFレートとインフレ」(FFレート引き上げでインフレ沈静化を狙うと、米株価が下落する)、「商品市況」(高騰すると物価が上昇する)、「逆イールド」(短期金利が長期金利を上回ると、世界の株価が下がる)

不動産市況の「炭鉱のカナリア」は、イールドスプレッド(REIT利回り-長期金利)。不動産投資が過熱してくると、利回りを無視した物件の獲得競争を始める

信用収縮のバロメータは、「銀行株指数」と「クレジットスプレッド」(企業の信用力による債券利回りの差)が有効。セリングクライマックスの恐怖は、「恐怖指数」(シカゴ・オプション取引所が値動きをもとに算出)が有効

コア・サテライト戦略とは、コア(核)による安定運用と、サテライト(衛星)による積極運用を組み合わせて行うこと。配分は、コア3分の2サテライト3分の1程度が一般的



少し専門用語が出てきて、わかりにくい部分もありますが、このアセット・アロケーションを知っておくと、長期投資に力を発揮します。

日本の投資は、うさんくさいものと見られがちなのは、特定銘柄にかけて、大きな利回りを狙うからです。それは、投資ではなく投機です。

幅広い対象(債券、大型株式、小型株式、不動産、商品)と多くの国(日本、米国、欧州、アジア、新興国、資源国)を組み合わせて、本当の意味の投資を知る機会として、本書を読んでみるのもいいのではないでしょうか。


[ 2012/09/04 07:03 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『相場金言集―世界の名手が発見した定石』林輝太郎

相場金言集―世界の名手が発見した定石 (同友館投資クラブ)相場金言集―世界の名手が発見した定石 (同友館投資クラブ)
(2001/07)
林 輝太郎

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著者の本を紹介するのは、「相場師スクーリング」「相場人生訓」に次ぎ、三冊目です。

相場は、嘘偽りのない人間の姿、心の奥の闇の部分を浮き彫りにします。投資など関係ないと思われる方でも、人間心理の勉強になります。

著者は、相場研究の第一人者で、戦後間もないころからの様々な人間模様を見てこられた方でした。生き馬の目を抜く世界から見て、人間とは一体何なのか?この金言集で著者の本音が語られているように思います。それらを紹介させていただきます。



・「片玉二分の一、雑音無視」(立花義正)
絶好の買い場と思っても、片玉(両建て玉に対する語)は資金の二分の一までにとどめよ。他人は助けてくれない。「見ざる、聞かざる」。自分を確立しなければならない

・「僥倖(ぎょうこう)を夢見るな」(ロスチャイルド家訓)
まぐれ当たりが一生続くという保証はない。相場技法を駆使して得た利益でもないのに、相場のコツを会得したなどと結果だけで考えたら大間違い

・「相場に度胸はいらない」(清水正紀)
相場に必要なのは、自分の出来る相場技術を駆使する冷静さのみ

・「相場の研究とは商内の方法を工夫すること」(松村辰次郎)
相場の研究とは、当て方を研究するのではなく、やり方を研究すること

・「最良の予言者は過去なり」(バイロン)
相場における悪魔は、別に相場自身ではない。相場をする人間の貪欲さこそ悪魔。その限りにおいて、過去は真理

・「上昇に転じた相場は上昇を続け、下落に転じた相場は下落を続ける」(相場古言)

・「0(ゼロ)をつくれ」(立花義正)
休みをつくる。不利な玉を切る

・「ためし玉を活用せよ」(相場古言)
ためしに小数仕掛ける。ためし玉による損が何回続いても、損金は大したことがない。儲けるための経費と考える。相場に乗れたときには、本玉を入れ、大きく値幅をとる

・「ポーカーはカードの勝負ではなく、人間の勝負。勝つときに乗れ。回数多く勝つより大きく一回勝て」(ポーカー必勝法)

・「相場道の極致は手仕舞いにあり」(相場古言)

・「知っているものだけ買え」(カッツン)
自分自身で確実に知れる範囲だけを信用して売買せよ

・「早耳の早倒れ」(相場古言)
早耳(自分だけが知っているものという錯覚)への警告

・「話に投資せず、物に投資せよ」(カッツン)

・「相場は常に現在の価値と均しくないものにきまっている」(コストラニイ)

・「思惑とは、現在と全く反対なことを将来に予測して金儲けをたくらむことである」(木佐森吉太郎)

・「良い銘柄だけを残すこと。そうすれば利益は自然に生まれてくる」(ウォール街金言)

・「売買の時機は、銘柄よりも大切」(ウォール街金言)

・「麦わら帽子は冬買うもの」(カッツン)

・「意見を聞くなら一人だけ」(相場古言)

・「将来に関する構想で、失敗するに違いないのは、明らかに“確実な”“危険のない”“失敗することのない”構想。明日の企業が築かれる土台となる構想は不確実なもの」(ドラッカー)

・「自信あふれる自己流は、確信なき正統派に勝る」(アーノルド・パーマー)

・「将来を築くには勇気がいる。努力がいる。そして、信念も必要である」(ドラッカー)



短い言葉に、戦いに勝つ(=欲に克つ)意味が込められているように思います。

どうやって、競争に勝ち、生き抜くかの真理と知恵が、本書には、数多く隠されているのではないでしょうか。


[ 2012/08/07 07:03 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『チャーリー中山の投資哲学と堀内昭利の相場戦陣訓』

チャーリー中山の投資哲学と堀内昭利の相場戦陣訓チャーリー中山の投資哲学と堀内昭利の相場戦陣訓
(2010/06/18)
チャーリー 中山、堀内 昭利 他

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チャーリー中山こと中山茂氏は、超敏腕の為替ディーラーで、業界では知る人ぞ知る存在だそうです。今はシンガポール在住で、マスコミに登場することはありません。本人も、マスコミに出る投資家は偽物と言い切っておられます。

今回は、前半部分の、チャーリー中山氏の歯に衣着せぬ発言にだけスポットをあて、感銘したところを紹介させていただきます。


・リーマンショック後、他がボロボロのとき、ジョージ・ソロスのファンドはプラス8%のリターンだった。ソロスは、ユダヤ人中枢部と結託していると考えてほぼ間違いない

・勝負師たちの記事や本を読んだりはしない。それらを読んで、自分が影響されるのが嫌だから。不安の中で、その不安にやっと打ち勝って、初めて勝負に勝てる

・みんなが乗った船は、結局前に進み続けることができない

・金利の高い通貨を買って、勝ち続けた人間はいない。あめ玉をもらって、相場自体もその方向に行って、そこで利食えたトレーダーはいないということ

・ジョージ・ソロスが、いい仕事をしていたとき、誰もその名を知らなかった。今はチャラチャラ出てきて、慈善家みたいなことを言う。もう引退すべきとき。彼は終わった

・野球選手は、野球をやっていればいい。勝負師は勝負したらいい、講釈しなくていい

・情報過多は百害あって一利なし。情報を集める人は、それに頼ろうとする。何かに頼る気持ちがあったら、結局、勝負は負ける

・物事を客観的に見ることができない者は絶対に勝てない。それだけははっきりしている

・「父親を尊敬しています」という人間で、トレーダーとしてやっていけた者はいない

人間の煩悩、気持ちの弱いところが、相場で勝つことのあらゆる邪魔をしている

・個人投資家が、貯蓄から投資を考えなければいけない状況は、インフレのときに限られる。今のように、インフレを恐れる必要のない時代だったら、投資する必要がない

・勝負というのは、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬あれ」。保身欲があったら絶対勝てない

相場表を自分でつけるというのは大事。失敗が頭にインプットされると、後でノートを開けば、記憶が鮮明に蘇る。他人が書いて作成されたようなものはダメ

10%のリターンが上がらないトレーダーを認めない。そのくらいのリターンが上がらないと、5年、10年の単位で、マイナスになるから

・2年、3年は三級品のトレーダーでも勝てる。本物として認めるトレーダーの条件は、最低10年、15年のタイムスパンで勝てること

・ヘッジファンドの85%は偽物。株式市場は、全体のパイが大きくなれば、バカでも儲かるから。買って握っておく、それだけなら猿でもできる

・金融市場は、極めて単純なもの。金融工学とかいって、どんどん複雑にすることで、客をだまくらかすのが日常化していった

・いつも自分の国の経済を過小評価して、「超悲観的」になる国民、それが日本人

・ユダヤ人に対抗できる民族は世界でも日本人しかいない。ユダヤ人の頭は別格であるが、日本人はユダヤ人が絶対に持っていない組織力という、とんでもないものを持っている

・日本では、上のレベルの人間が優秀だったためしが、開国以来一度もない。ただ、世界の国で、これほど強い「兵隊」を持った国は歴史上ない。日本の強さは、兵隊の強さ

・暴落は、瞬時には起こらない。大きく減価する。それは1ドル360円が80円になっていったように、時間をかけていく

・一番の情報は、目撃者から入ってくる。その人が実際、目の前で見ているもの

・資源を持っていてもダメ。あぶく銭が国を強くした例は、人類の歴史上一つもない。これからは、製造業のない国はダメ

・相場に100点はないが、ある程度満足する形で、カネが儲かったときは、儲かった話などをする気になれないもの。そんなときは、一人で「ざまあみろ」とニヤニヤしながら、静かに酒を飲む。人間とはそういうもの


勝負師の言葉です。それも、負けたら死ぬ「真剣勝負」に勝ってきた勝負師のように思いました。

この本を読むと、投資は甘くないと思い知らされるはずです。投資する人が「免疫」をつけるのに、格好の書ではないでしょうか。
[ 2012/04/24 07:05 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『危機管理の教科書』遠藤滋

危機管理の教科書危機管理の教科書
(2011/07/21)
遠藤 滋

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本書は、著者が三井物産に勤務していた時代に、直面した危機に対して、どう対処したかの経験をまとめたものです。

その危機とは、阪神淡路大震災、米国の大豆輸出禁止による大豆パニック、天安門事件、商品相場暴騰暴落などの多岐にわたります。

その中から、相場のリスクにいかに対応したか、外国人との交渉をどう行ったかの二点に絞り、参考になった点を紹介させていただきます。



・「相場は分からないものと分かったとき、相場を初めて理解する」「相場をなめるな、臆病たるべし、大きなことはするな」

・相場の判断は、三分の一がデータと情報の分析、三分の一が市場の人気の読み、残りの三分の一は、自分の心の分析

・英語の相場の教訓に、“Reduce your position to a sleeping point.(よく睡眠がとれるまでポジションを減らせ)”というのがある

・相場は、日々新た。プライドとか知識、感情などすべてを捨て、じかに「相場に聞く」態度が大切。エリートは自分の理論、論理に固執したがるが、相場はかくあるべしという「べき論」は当てはまらない

・信念があれば、馬鹿になれるもの。馬鹿では、馬鹿になれない

・塩漬け(損が出ているポジションをそのまま持っておくこと)というのはよくない。ポジションをあまり長く持っていると意地になる

・相場は飽きがきて、忘れた頃に、つまり、くたびれてきたときに、変化する。人間の忍耐力に限界があることと関連がある。だから、サイクルを描く。そこで、相場に負けないためには、自分の忍耐力との戦いに勝つことである

・「知ったらおしまい」「野も山も皆一面に弱気なら、阿呆になって米を買うべし」「休むも相場」「慢は損を招き、謙は益を招く

・マネージメントとは、自分の方針なり目標を、理屈とか数字だけでなく、人格的に部下に移し、権限を委譲し、部下を通じて目標を成就すること

・官民とも人がくるくる変わる日本の組織では、人間関係の形成と持続性について、どうしたらよいかもっと真剣に考えるべき。誠を尽くせばいずれ分かる、という発想で主張しないでいると、取り残されてしまう

・対人関係で支配している原則は、中国人は「」(世話になった人に報いることが第一)。日本人は「」。しかし、日本人は「報」を功利主義ととり、中国人は「誠」を押しつけがましいととる

・中国人は、まず強気に、あるときは高飛車に出てくる。永い厳しい歴史体験から、失ってもともとというニヒリズムがあり、それが強さになっている

・中国人は、力(軍事力、報復力、経済力、技術力、ブランドあるいは利益)には一目置く。弱さにはつけ込んでくる。「水に落ちた犬は痛打しろ(痛打落水狗)」という諺がある

・中国人は、面子を失わせてはならないし、立ててあげる配慮とタイミングを考えておくこと

・核心を突く情報はやはり生の情報。真の情報は人の中にある。そして、人と人のやり取りの中で顔をのぞかしてくれる

・良い情報は向こうからやってこない。金で買えるものではない。良い情報は日頃の勉強を怠らず、問題意識を持っていないととれない。時には、人にもいろいろな情報とアイデアを提供し、それに人間関係も加わって初めて本当の情報がとれる

・魅力的で実力がないと人は寄ってこない。担当の分野だけでなく、広範囲に勉強をし、話題を豊富にし、好かれる人間になること。ビジネスの交渉には人間関係の樹立が必要。人間関係は一夜にしてできるものではない



相場に関すること、交渉に関すること、情報に関することが、実体験をもとに語られているので参考になります。

本書は、体系的には、まとめられてはいませんが、語られる一言一句の中に、納得できることがかなりあったので、勉強になりました。
[ 2012/04/10 07:24 ] 投資の本 | TB(0) | CM(1)

『プロ相場師の思考術』高田智也

プロ相場師の思考術 (PHP新書)プロ相場師の思考術 (PHP新書)
(2007/08/11)
高田 智也

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私は、投資家とかトレーダーとか名乗る人をあまり信用していません。たまたま相場環境が、その人のやり方にマッチしただけで、時が経つと、墓穴を掘るのが落ちだと思っています。

この本も、うさんくさい書ではないかと、疑いの目で、読み始めましたが、読むにつれ、著者を信じられるようになっていきました。そういう意味で、貴重な書です。

相場に対する心構えを学ぶだけでも、価値があると思います。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。


・相場師の最低限の資格は、相場にあてられる「お金がある」こと。「余剰資金」「なくなってもかまわないお金」のことで、借金などもってのほか

・頭の良し悪し、学校での学力は関係ない。ただし「アホがええ」とは言えない。アホよりも、一つに打ち込むことができる「何とかバカ」という人が相場に向いている

・相場を教えるとき、「やる気」「センス」「お金」という条件以外に、一番気になるのが「ゲーム、勝負好きか」ということ。相場師には、将棋、囲碁、麻雀が好きな者が多い

・ボードゲームが得意な人は、ルールを覚えた後の強くなる過程が、相場とよく似ているから有利。勝負に勝つことをゲームから習得した人とそうでない人の、その差は歴然

相場に向いていない人の筆頭は、「霊、占いを本気で信じている人」。理由は簡単。「祈る」という行動が頭に染みついているから

・相場師として成功した人たちの共通項は、「根気のある人」。根気のない人に強い人はいない。それを「執念」とも、相場に対する「執着心」とも言い換えることができる

・人と、相場の情報交換をしたほうが有利だと思っている人がいるが、このように考えている人で、強い人を見たことはない

・素人(相場で勝てない人)の話は、ノイズ以外の何ものでもない

・相場で強い人ほど、投資対象のルール、基礎を理解するのが早い。「本を読む早さ」「ルールを覚える早さ」「投資対象を理解する早さ」がある人は、相場の世界に向いている

・「強い人ほど負け方を知っている」。勝ったときのことをイメージするよりも、負けたときのことを理解しておく必要がある

・ファンドマネージャーが、あなたより勝っている点は次の三つ。「ポジションやリスクを管理する機能を備えている」「執行スピードが速い」「資金が多い」。たったこれだけ。だから、彼らが職をやめてしまうと、途端に普通の人に戻ってしまう

・相場に強くない人間ほど、次から次へと情報を欲しがる。相場に強い人ほど、必要とする情報は少なくなる

・相場の勝ち負けの外にいる人(相場の現場を知らず、リスクを取らない人)が、この世界を語ることが実に多い

・テクニックや戦略は、相場で勝つ要素の20%でしかないのに、残りの80%について教えた本がない。残りの80%の壁(相場の基礎)を乗り越えるのは厳しい

・相場と囲碁・将棋の一番の違いは、「金を賭ける」こと。だから、相場はうまくなってから参加するべきであって、学習しながらやるものではない

・相場をやるにあたって必要な力は「斜めに見る力(皮肉な見方)」。これに大局観といろんな角度から見る力を持っていれば、有利になる

・「人の相場は自分とは関係ない、最初から聞かない」というスタンスが勝つ要因になる

・相場は上手になるにしたがって、「敵は自分の中にいる」ことがわかってくる

・相場に勝ったとき、プロもアマもない。プロかアマかは、負けたとき、その差が出る

・相場で勝てない人は、「同じ過ちを繰り返す」。きつい言い方をすれば、学習能力がない

・「損切りがきれいにできるか、できないか」は、「この世界で生きられるか、生きられないか」と同義語

・相場に強い人間は、世間から姿を消す。本当に勝てる人間は、表に出ようとしない


プロとは、独自の勝つ法則を持っている人です。それをマネしようとしても、環境、立場、性質、感覚がそれぞれ違うので、マネできるものではありません。

したがって、その技術的なことは参考意見に留めておき、その発想、考え方、哲学を真剣に学ぶことが大事です。技術は後からついてくるものです。

この本には、相場師の基礎、土台が書かれています。これをありがたいと思うか、何の役にも立たないと考えるかが、将来、差となって表れるのではないでしょうか。
[ 2012/02/07 07:06 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『億を稼ぐトレーダーたち―日本版マーケットの魔術師たちが語る』林知之

億を稼ぐトレーダーたち―日本版マーケットの魔術師たちが語る成功の秘密億を稼ぐトレーダーたち―日本版マーケットの魔術師たちが語る成功の秘密
(2011/06)
林 知之

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マーケットの魔術師」という、アメリカのトップ投資家たちが成功を語る有名な本があります。この本は、それの日本版とも言うべきものです。

日本のトップトレーダーたちに取材して、その成功ノウハウが披露されています。それぞれ個性あふれる人たちが、独自に築いたノウハウや成功哲学なので、それをすぐに真似できるわけではありませんが、非常に参考になります。

共感、納得できた手法や考え方が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・人間は、目の前に利益があると、それを確実に手に入れ、ギャンブルを避ける。しかし、目の前に損失があると、損失額をゼロにしようとギャンブル性の高い行動を示す。そういう弱さが出て悪い結果を生むのがトレード<YA氏>

弱い心の人間が集まって売買しているのがマーケットの場。そこで勝とうとするなら、人間の心理をベースに、どうしたら、人間の弱さがトレードに入り込まないプログラムを実装するのかを考えて、コンピュータで作業している<YA氏>

・人間の弱い部分を考える必要がなければ、トレード回数を増やしたほうが「信頼性が高まる」。休むという概念は考えずに、「どれだけ回数を増やすか」「年間でどれだけ多くのトレードを実行するか」が重要<YA氏>

・「儲かりそうなアイデア」はおおむね正しい。でも、その先にある分析とプログラムへの実装、つまり、コンピュータ技術を駆使した作業が難しい<YA氏>

・目先の業績が素晴らしいとしても、儲かる構造によって好業績が実現したのか、あるいは外部環境の良さといった偶発的な要因で実現したのかを見分ける目が必要。株式投資家というよりも経営コンサルタント的視点<渡辺氏>

・実際の経営コンサルタントは、企業の良い面と悪い面を発見して、悪い面の修正などを提案していく。それに対して、株式投資は、良い面を持った企業だけを投資先の候補としてリストに加える<渡辺氏>

・信奉するバフェット氏は、新聞を20紙とマニュアルレポートを熱心に読み、投資決断をしているが、アナリスト情報は見ていない<渡辺氏>

・自分のわかる範囲しか投資対象としない。必ず自分の目で確認する。値動きだけを見てトレードするという姿勢とは全く違う<渡辺氏>

・「働きたくない会社は良い投資対象」。従業員を効率よく動かすという徹底した考え方があって、その部分が投資先として魅力なわけ。投資したいけど働きたくない会社がいい<渡辺氏>

儲かっている人に共通する4項目は、1.「余裕ある建玉」(満玉張っている人は皆無)2.「記録をつけている」3.「自分に合った方法」(長続きするやり方)4.「手間と時間をかける」<杉山氏>

・個人投資家は「限定する」「冒険しない」こと。情報に振り回されやすいというマイナスを軽減する。目まぐるしく動く市場の中で、自分だけ上手に立ち回ろうという危険性を軽減する<Y氏>

・動いている銘柄を見つける方法に、出来高変化率というものがある。日々の出来高が急に増加した銘柄で、なおかつ上がっているもの。そういうものを見つけて現物で買う<Y氏>

・為替相場をやるのなら、大きな流れに乗ること。需給を見ながらも、その時代の流れに対する推論が正しいかどうかを確認しつつ、ポジションをとっていく<N氏>

・ディーラーで大成したのは「相場の損益はマグレ」と早い段階で気づいた人たち。大成しなかった人は、「自分の実力だ」と考えた人。マグレと考えれば、悪い方向に進んでいれば止めることができる<N氏>

時間まわりを強く意識している。相場は時間が大切。大きな時間軸をきっちり見ていないと、相場では成功できない。多くの人が値段を気にするが「時間だけを見る」。為替では、大きな時間軸を考えた上に「金利差」というファクターを加えポジションをとる<H氏>



儲けている人たちは、それぞれ自分の得意技や得意のパターンを持っています。それを体系的にまとめるのは困難です。

つまり、マニュアル化は困難だけれど、成功事例研究は重要です。この本は、投資で成功した人の事例が満載です。

成功した人の事例が、自分の身体の一部として、身についたとき、投資家として成功するのではないでしょうか。
[ 2012/01/10 07:00 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『林輝太郎「相場人生訓」』前野晴男

林輝太郎「相場人生訓」林輝太郎「相場人生訓」
(2008/11)
前野 晴男

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林輝太郎氏の本を紹介するのは、「相場師スクーリング」に次ぎ2冊目です。林輝太郎氏は最後の相場師と言われている人です。

その「相場の金言」を集約したのが、この本です。相場を少しかじったことがある人なら、この本の相場訓に同意することが多いのではないでしょうか。

思わず頷いた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・今まで、オシレーター(相場の指標)を使って成功した人を聞いたことがない。その根本的理由は、「なにかに頼って儲けよう」とする心にある

・相場師は、意外につまらない商売。時間が自由になる、他人に頭を下げなくてもいいといったメリットがある代わりに、すべて自己責任だから、絶対に冒険ができない、日常生活が地味になる。常に金銭感覚を正しくしていなければならない

・「おかしいな」という判断は、売買している本人にとって適切で確率の高い「価値ある判断」になる

・「終わり良ければすべて良し」が売買。その「終わり」を良くするために、「始め」をどうするか

・お荷物になる銘柄を捨てないのは、下手な売買の見本

・相場をやる人はどうしても過去の足取りや相場を参考にする。だから、多くの人が知らないうちに「後ろ向き」の姿勢になりやすい。過去は参考にしても、溺れてはならず、姿勢は常に「前向き」でなければならない

・記者は、人気にもっとも汚染されているので、市場の人気を記事として書く

・株式投資における「敵」は戦争の相手と異なり、攻撃を加えない。危害がないから、警戒心が薄れて安心する。つまり、敵(値動き)が損害を与えるのではなく、自分が損害をつくる

・静かに買い、静かに売る。忍者ではないが、いつ買い始めたのか、いつ手仕舞いしたのか、損だったのか利益だったのか、わからないぐらい静かな売買がよい

・失敗であると判明した時点で切ることができる玉でなければならない

・大切なのは安定した技術を身につけることであり、利益はその結果に過ぎない

・できることをやっても失敗することがあるのだから、できないことを試みる必要はない

・下手な人ほど利益目標を立てる。しかし、技術で稼ぐものは、上手になることが目標であり、利益はそれに付随するもの

・相場の上手な人は、自分をよい環境に置くことを心掛ける。勝ち癖をつけるのも、そのひとつ

・まず初めに、「高く売る」勉強をしなければならない。これは商売と同じで、需要とは、自分の好みではなく、他人の好みである

・相場の失敗は、予測の誤りではなく、建て玉の誤りがほとんどである



相場観を磨くと、売買が絡むすべてのものに応用ができます。日常生活の中でも、家を買う、売る。車を買う、売るといった大きなものだけでなく、スーパーマーケットの惣菜が何時から何割引きになるかを予測するのも相場観です。

需要と供給で値段が決まる世界は、この相場観を持っている人が有利になります。この最たるものが、株式売買です。

相場の神様である著者の言葉に耳を傾けると、長い一生、きっと得になることが増えるのではないでしょうか。
[ 2011/06/23 06:12 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『ジョージ・ソロス不滅の警句』青柳孝直

ジョージ・ソロス不滅の警句ジョージ・ソロス不滅の警句
(2009/04/27)
青柳 孝直

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ジョージ・ソロスの本を、このブログで採り上げるのを、躊躇していました。

15年ほど前に、「ソロスの錬金術」という本を読みましたが、その時は、理解不能でした。その中の「再帰理論」を5年前に再び読み返しましたが、結局のところ、わからず、本棚の飾りになっています。

ジョージ・ソロスの一生を描いた「ソロス」を読んだのは8年ほど前です。ユダヤ人としての逃亡、慈善事業家としての活動などに感動しましたが、ここには、投資家ソロスについては、あまり書かれていませんでした。

投資家でありながら、哲学者でもある、ソロスの考えを理解しようとしても、非常に難解です。

この本には、ソロスの言葉が100ほど、コンパクトにまとめられています。これなら、理解できそうだと思い、翻訳者の解説を無視し、ソロスの言葉だけを読みました。

少しだけわかったように思えましたので、今回、このブログに取り上げてみました。20ほど、ソロスの言葉を紹介したいと思います。



・収益がどのくらい見込めるかは、根拠となる対象の固有の価値によって決定されるものではなく、価格変動によって表現される一般大衆の売買意欲によって決定される

・参加者は、自分たちにとって最良の利益に基づいて行動しているのではなく、「自分たちにとって最良の利益という認識」に基づいて行動しており、この二つのことは同一ではない

・現実とそれに対する私たちの考えのギャップが、現実の世界に不確定要素をもたらす

・現実を正確に理解するには、人々の考えに影響されない自然現象と、意志を持つ関与者が存在する社会現象とを区別しなければならない

・金融市場の際立った特徴は、道徳とは無関係である

・金融市場は、うぬぼれに対して非常に冷酷である

・社会科学は自然科学を無理矢理に模倣しようとした結果、扱う対象をむちゃくちゃにしてしまった

・金融市場に伴うのは、自由な取引だけでない。権力と政治が重要な役割を果たす

・結局、市場至上主義は、金持ちと権力者に都合のよいイデオロギーである

・市場では、協調などそっちのけで競争を重要視している。しかし、協調がなければ、法も市場も文化も存在しない

・つまらないビジネスには、つまらない人間が集まる

・市場経済の主な利点は、人々に選択の機会を与え、自分の失敗から学ばせることである

・私は支配的な見解とは相反する投資テーマを見つけようと、意識的に努力した

・人々は自分が生きることに精一杯である。集団的な生存に対する真の脅威、あるいは仮想の脅威がなければ、人々が共通の命題に目覚めることはあり得ない

・市場は常に弱者、つまり確固たる信念を持たない投資家を完膚なきまで叩きのめす

・現実は欠点だらけで出来上がっている。ある種の考え方が広まるという事実は、それが妥当であるということを意味するわけではない

・均衡の概念を金融市場に適用することは、それ自体が誤解である

・私の好きな格言は「逃げるが勝ち」である




ジョージ・ソロスは金融市場が何たるかを熟知できたので、世界的な投資家になりました。

その熟知とは、科学とは無縁の、哲学的なもの、人間の本能的なものです。そう簡単に理解できるものではないですが、この本には、理解へのヒントが掲載されています。

それは、「どうしたらいいのか」のヒントではなく、「どうしたらいけないのか」のヒントではないでしょうか。
[ 2011/06/07 07:40 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『賭けた儲けた生きた-紅花大尽からアラビア太郎まで』鍋島高明

賭けた儲けた生きた―紅花大尽からアラビア太郎まで賭けた儲けた生きた―紅花大尽からアラビア太郎まで
(2005/04)
鍋島 高明

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日本の閉塞感と縮み志向がずっと続いています。みんな、生真面目になっているのが原因ではないでしょうか。

新たな市場をつくるのは、不真面目な人たちです。世の中は、不真面目な人たちの強い欲望のおかげで、生真面目な人たちが食っていける構造になっています。

生真面目なアリより、不真面目なキリギリスが数多く登場しないことには、この閉塞感と縮み志向が続きます。

不真面目な人たちは、この本のタイトルのように「賭けた儲けた」が大好きです。この精神こそが、フロンティアスピリットと言われるものです。

この本は、そういう不真面目な人たちの活躍の歴史を著したものです。面白く読めた箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・昔より、賢き人の富めるは稀なり(徒然草・吉田兼好)

・世間は材料を過大視して、市場はしばしば過剰反応する。相場は上にも、下にも過剰反応して思わぬ高値、安値が出るので、早く売買を実行しろ(イギリス古典派経済学者で巨万の富を築いたデイヴィッド・リカード)

・甲州財閥の開祖、若尾逸平は、「金銭を貴ぶこと生命の如く、時を重んじること黄金の如く」と評され、「金と時」をことのほか大事にした

・富を得ることのみに価値はない。得てこれを有意義に散ずる時、その価値を生ずる(鉄鋼王・アンドリュー・カーネギー)

・借金を残しておくことは、子や孫をして奮発心を起こさせる。借金は奮発の薬。古来より一代の富豪と言われる人は皆貧家に生まれた子弟である(大倉喜八郎)

・問屋は手持ちをしている以上、それが皆、思惑品となる。先物も期限までにはどんな変動が生じるか分からない。商売は思惑に始まって思惑に終わる(岩田惣三郎)

・成功の秘訣は、堅忍、熱心、勉強の三者にして、貧と無学は憂うるに足らざるなり(石炭王・貝島太助)

・自分にチョウチンを付けてくる付和雷同族がわんさかいることを計算ずくで手の内を明かし、相場が大きく動いた後で反対売買をやって澄ました顔の老獪ぶり(山林王・諸戸清六)

・諸戸家の家憲は初代清六が従者をつれて全国屈指の富豪を歴訪して、その家憲を収集し、精を摘み華を採って凝縮したもの。全文は五十余箇条に及ぶ。各種家憲本の中でも異彩を放つ

・諸戸家家訓
「顔をよくするより金を儲けよ。金儲かり家富まば自然に顔もよくなる」
「銭ある顔をせば贅費多し。銭なき顔をして人に笑われることあるも、後日誉められる」
「できるだけ人の下風に立ちて、頭を下げる者は必ず勝ちを占む」
「人と商売上の話をなすも、己の見込みとするキキメは決して人に漏らすべからず」
二年先の見留めを付くべし、マグレ当たりで儲けた金は、他人の金を預かったと同じ」
「小さい事に目を付けぬ者は身代を大きくはできぬ」

・相場は自分の力以上はやらないこと。つまり余裕をもってやること。金儲けの楽しみは、その道行きにある。株屋の言うことを聞いて、売ったり買ったりして、何が面白いのか(国鉄総裁・石田禮助)

・石田禮助の遺言
「祭壇は最高も最低もいやだ。下から二番目くらいにせよ」
「戒名はなくていい。天国で戒名がないからといって差別されることもないだろう」
「何回忌だからといって親族を呼ぶな。通知をもらえば、先方は無理をする」

・相場に最も大切なことは先行き見通し。それをいつ手仕舞うか、つまり売ったものは買いに、買ったものは売りに、いつ転じるかという、その転機が成功、不成功の分かれ道になる(伊藤忠商事社長・越後正一)



鍋島高明氏の本は、「金と相場」に次ぎ2冊目です。元日経新聞の編集委員だけあって、取材が綿密です。相場、商売の歴史を掘り返してくれるので、非常にありがたく思っています。

閉塞感を打破するには、「一発儲けてやろう」という精神が必要です。それを卑しく感じる人が圧倒的多数の世界では、永遠に閉塞が続いていくように思います。

この本に掲載されている人たちの破天荒かつしたたかな性格に学ぶべきことが多いのかもしれません。
[ 2011/04/12 07:42 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『新衰退国・ニッポンを生き抜く・マネーの鉄則』岡崎良介

新衰退国・ニッポンを生き抜く マネーの鉄則新衰退国・ニッポンを生き抜く マネーの鉄則
(2010/11/23)
岡崎 良介

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著者の本を紹介するのは、「相場ローテーションを読んでお金を増やそう」に次ぎ2冊目です。著者は、ローテーションで経済を長期予測する手法に長けています。

最近の景気について、著者はどう見ているのか知りたくて、この本を読みました。

この本のサブタイトルは~新衰退国・ニッポンを生き抜く~です。まさに、微かな希望しか見えない日本においても、なんとか生きていかなければいけません。

その中で、どう資産を運用していくのか、この本の中には、ヒントがいっぱい詰まっています。役に立った箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・相場の今後の展開と、次の転換点を予測すると、「米国の景気回復のピークは2014年4月」「米国株のピークは2014年1~3月」「米国株に前後して日本株もピーク(日経平均17400~19600円)」「米国の本格的利上げとドルの大底確認は2012年以降」

・米国ではGDPの20%を就業者数6%弱の金融不動産業が稼ぎ、金融不動産業の稼ぎが他業種の4倍になった。金持ちになりたければ、高学歴を身に付け、この業界に入るより他に方法がなくなった。その構造の象徴的存在がリーマン・ブラザースだった

・年金が破綻するくらいなら、景気対策など打たない方がいい。これ以上、赤字が増えない方がいい。年金を守るためなら、子供手当も高速道路無料も諦めて構わないと、日本国民は黙って行動していくことが十分に予想される

・2001年末240兆円をピークに、家計における生命保険残高は毎年平均4%のスピードで減少。人々が高齢化し、所得が減少するにつれ、死んだ時の備えなど二の次になり、生きていくための糧と変わり、生命保険という金融資産は生活のために削られた

・財政再建は無理。回復可能な時点を過ぎた。大多数の国民は、せめて自分の年金がきちんと支払われることに集まっている。財政破綻のリスクを冒してまで景気回復を期待する人たちが、選挙に向かう人の多数を占めるには至らない

・国民一人ひとりにとって大事なことは、生活を守り、家族を養い、より良い未来を築き、それぞれの所得や資産を増やすこと。財政赤字を気にしているのは、首相、与党、閣僚、官僚、税務署、公務員といった、国民からの税金で生業を立てている人だけ

・日本の失業率は1992年あたりから上昇傾向、同時に設備稼働率が低下基調。失業者と休業状態の工場が溢れかえると、賃金も物の値段も上がらない。儲かる話がない状態ではお金を借りる気にもならず、長期金利も低下。日本経済の内需はずっと弱いまま

・新興国が新しいメンバーとして貿易・資本の自由な取引を行うためには、まずは決済通貨として常にドルを持たなければならない。言い換えれば、ドルが足りなくなれば、資本主義社会から退場しなければならない

・経済発展を遂げるために、米国にお世話になった国々が、その恩を返すために、自国通貨を切り上げ、米国の輸出競争力を復活させるためにドル安を誘導していく。実はこのプロセスこそが、今まさに目の前で起きている為替市場の運動原理

・借金取りであったはずの金融機関が、いつのまにか自分が借金取りに追われている、これが金融危機発生のメカニズム。金融危機とは、通常の不況時に起こる借り手の倒産リスクではなく、貸し手の倒産リスクが高まった時に起こる現象

・FRBバーナンキ議長の採用した「信用緩和政策」(新しい金融政策)は、近い将来、経済学の教科書に、金融政策、財政政策に続く第3の経済政策として掲載されることになる。FRB破産、米国破綻、ドル本位制崩壊と批判した知識人の逆の結果をもたらした

・米国FRBは資金を2.5倍にも膨らました。日本銀行は金融危機に何も手を打たなかった。恐れおののき、指をくわえて見ていただけ

・買いシグナルは米国株式市場内のダウ輸送株の動きに隠されている。世界中の株式市場が米国株に連動し、もちろん日本の株式市場全体の動きも、そのほとんどが米国株の上下動に連動する時代において、これは極めて重要なこと

・融資という公共的な仕事を行う免許を与えられ、流動性の供給に努力しなければならない金融機関が、その業務を放棄した姿が金融恐慌。公共的な仕事を放棄した以上、国家介入しか解決方法がない。金融業は国家の管理下、庇護下になければ存続し得ない脆い業態

・米国が一から出直すには、現在の新興国と同じように、基軸通貨の看板をかなぐり捨て、通貨を切り下げ、輸出競争力を取り戻し、海外から利益を獲得していくしかない

・米国は自国通貨の切り下げ、新興国通貨の切り上げを狙っている。これは米国にとって、一石二鳥の作戦。単に輸出が伸びるだけでなく、株式や債券による投資、現地への直接投資など、すべての資金投下が相手国通貨の上昇によって、プラスの方向に動き出す

・「貿易収支が安定的に黒字」なのは、韓国、中国、マレーシア、タイ、ブラジル。すでに「為替相場が変動相場制」なのは、韓国、ブラジルの二国だけ。この二国が、米国に通貨の切り上げを要求されても文句が言えない。「第二の日本」となる有力候補

・お隣の中国元が、今後とも切り上げ圧力を世界中から受ける中、それを無視して、日本だけが通貨安を進めることは、中国だけでなく、アジア各国に対する敵対行為。政策による通貨の切り下げは、日本の場合、不可能と言える

・株や景気は、2014年あたりにピークを迎え、下降トレンド、後退期に向かえば、2014年~2015年は暗い時代になる。先進国の財政赤字が手の施しようがないレベルに逼迫している中、2015年は、絶体絶命のピンチに追い込まれるリスクがある



著者は、長期スパンで経済を見ています。大きく見れば、著者が考える「買い時」は一昨年から今年前半、「売り時」は2014年あたりということになります。

浮かれずに、冷静に売り時を間違えない人が、資産を増やしていくことになります。安く買って高く売る以外に方法はありません。

資産を長期的視野で増やしたいと思っている方の指針に、著者の意見は参考になると思います。
[ 2011/04/04 06:51 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『三猿金泉秘録』牛田権三郎

マンガ 三猿金泉秘録~日本相場の聖典 (ウィザードコミックス)マンガ 三猿金泉秘録~日本相場の聖典 (ウィザードコミックス)
(2005/03/31)
浅井 まさのぶ広岡 球志

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堂島の米相場師であった牛田権三郎が著した三猿金泉秘録の中で、「理外の理」という有名な言葉があります。「一般的な道理では、理解できない不思議な道理」という意味ですが、哲学的な意味を含んだ名言だと思います。

今から、250年前に書かれた三猿金泉秘録は「相場の極意」の本ですが、人間の心理を読む極意も記されているように思います。

この本は、マンガ形式なので、読みやすくなっています。ためになった箇所が15ほど  ありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・「見猿」「眼に強変を見て、心に強変の淵に沈むことなかれ。ただ心に買い含むべし」
相場が上昇波動に乗って大商い。こういう乱舞している相場は見ない。ひたすら心の中で、売りの時期を考える

・「聞猿」「耳に弱変を聞きて、心に弱変の淵に沈むことなかれ。ただ心に買い含むべし」
相場の言うことを聞かず、悪材料につり込まれないで、ひたすら心の中で、買いの時期を考える

・「言猿」「強変を見聞くとも、人に語ることなかれ。言えば人の心を迷わす」
自分の意見を言わないこと

・「すわりには、三平二乗半扱商い、高安ともに、平乗禁制」
保ち合い相場は、値動きの幅が少ないから、利乗せに走ってはいけない。半分は利食い。半分はそのまま。次の好機を狙うのがよい

・「米崩れ、買い落城の飛び下げば、ただ眼をふさぎ買いの種まけ」
相場が崩落して、安値を更新してくると、嫌でも売りたくなるが、そこは、相場の流れに目をふさぎ「買い」

・「強変あらわれ出れば、皆強気、了簡なしに売りの種まけ」
強い材料が現われたときは、あれこれ惑わされず、売場を考えるべき

・「秋高く、人気も高く、我もまた買いたいときが、米の売り旬
相場が良くて、人気があり、自分もつい買いたくなる。その三つがそろったころには、もう天井圏で、最高の売場。買ってはいけない

・「買い米を、一度に買うは無分別、二度に買うべし、二度に売るべし」
資金を全部投入して買ってはいけない。二度に分けて売買する。ただし、二度目の買いは、上昇相場の押し目で入る。三度目の買いは損失が大きくなるので注意。売る場合も同じ

・「いつにても、三割下げは米崩れ、万天元の買い旬と知れ」
下げ相場で3割崩落しても、底値圏かわからない。周囲の意見に惑わされず、様子を見ながら、少しずつ、慌てずに買う

・「百年に九十九年の高安は、三割超えぬ物と知るべし」
米相場が上下するといっても、100年のうち、99年は3割ぐらいの幅でしかない

・「懐に、金絶やさぬ覚悟せよ、金は米釣る餌ばと知るべし」
自分がここだと目をつけた時、買いたい時に買える資金を残しておくことが大事

・「高下とも、五分一割にしたがいて、二割三割は向かう理と知れ」
上がる場合も下がる場合も、5分から1割の動きであれば利を乗せていけばよい。しかし、1割半以上も動いてからでは、利乗せするには遅すぎる

・「売り買いを、せかず急がず待つは仁、利の乗るまで待つも仁なり」
衝動買いや売りに気持ちが動いた時は、2~3日様子を見る。自分で決めた利食い圏に入るまで辛抱

・「万人が、あきれはてたる値が出れば、それが高下の境なりけり」
予想外の高値または安値が現われた時点が天井圏であり底



相場は投機だけの世界ではありません。オークションやバーゲンにも相場の心得が必要になってきます。

もちろん、需要と供給で値が決まる世界で仕事をする場合、相場の心得を知っておかなければなりません。

先人たちが苦労して綴った、相場のバイブルを再度読み返すのも有益ではないでしょうか。
[ 2010/11/04 08:03 ] 投資の本 | TB(0) | CM(2)

『純金争奪時代・金に群がる投資家たちの思惑』亀井幸一郎

純金争奪時代  金に群がる投資家たちの思惑  角川SSC新書純金争奪時代 金に群がる投資家たちの思惑 角川SSC新書
(2010/03/10)
亀井 幸一郎

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中国、インドの経済発展などで、金が最高値を更新しています。数年前から、金を買いたいと思い続けていたのですが、高値を更新するので手を出せませんでした。150gほどありますが、それ止まりです。

そういうことで、金は気になる存在です。著者の亀井幸一郎氏は、金属貴金属アナリストで、金市場のマーケット分析の第一人者です。

金に関心がない方のほうが多いと思いますが、金から世界経済がよく見えます。世界経済を見渡す上で、金価格を予測することは、大切なことだと考えています。

今回、この本を読んで、勉強になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・アメリカでは、金の買付業者が女性主催者を募り、自宅に友人知人を招き、参加者のネックレスや指輪などの金製品をその場で買い取る「ゴールドパーティー」が大流行。買取価格は市場の6割~8割。主催者には総額の1割の手数料が支払われる

・ある業者は、買い取った金製品をコンテナに入れて、シンガポールの中継地区に送る。そこからスイスなどの最終目的地に再送される。日本人が保有していた金アクセサリー類は、海外の精錬所で精錬されて金塊に戻る

金のリサイクルの量が毎年増えており、2008年のリサイクル量は世界で1217tと過去最高を記録。2009年には1549tとさらに記録を更新する見込み

・ドイツでも金に注目が集まっている。自動販売機で純金が買えるユニークな商売が出現した

インドの嫁入り道具の代表は22金のネックレス、腕輪、イヤリング。一度に買えないので、独身時代から少しずつ買いためる。親も娘のために金製品を買いそろえていく。文字通り「持参金」。5月、10月のインドの婚礼シーズン前は世界の金価格が値上がりする

・ドルの「将来価値への懸念」で、国境を超えて持ち運びでき、どこでも通用する資産として、それ自体に価値のある金を買い始めた。これが金価格の1000ドル超えの原動力

・金は商品であり、国が発行する通貨ではないが、世界中で等しく価値を認められているので、通貨の代わりに使われた時代がある。金には「商品」と「通貨」の二つの顔がある

・「商品」の金には、素材の側面と投資対象の側面がある。つまり、宝飾需要投資需要の二つがある。その割合は、金需要全体のうち、宝飾需要45%、投資需要46%

金価格と株価は、一方が上がれば、一方が下がる関係。ニューヨーク株式市場の株価とは、逆相関になりやすい

・2008年のデータでは、産金コストの平均値は585ドル、2000年は238ドルだった。金の最低価格は、鉱山会社が金を採掘する際の産金コストを見ればいい

・金価格が1000ドル台に乗る過程で、金の需要は宝飾から投資へシフトしていった。2009年の第1四半期では、宝飾需要24%減、工業用需要31%減、投資需要248%増

・中国は、いつまでも人民元の国際デビューを拒み続けられない。中国政府は切り上げのタイミングを計っている。金の保有量を増やしている背景には、ドルやユーロと基軸通貨の地位を争う時代に向けて、ふさわしい量の金を保有したいという判断が働いている

・中央銀行は利上げしてインフレを退治しようと試みるが、金利を引き上げすぎて自律回復している経済は壊したくない。その結果、金利引き上げは後手後手に回り、インフレが加速する。結果、おカネの価値が下がり、インフレに強い金が再び買われるようになる

・金価格は原油価格によってつくり出されるインフレに連動する。省エネ対策が進んだ今は、原油の消費量を抑えることができるので、インフレは生じにくく、金価格も上がりにくい



金は商品ですから、金利がつきません。それなのに、投資需要が多いというのは、金が世界中から信頼されると同時に、世界中の欲望を吸収している証拠です。

人間の欲の塊金の塊という形になっていることを思うと面白いものです。

金を勉強しておくことが、投資の目を大きく見開かせ、光り輝く未来につながるかもしれません
[ 2010/10/07 06:53 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『株式投資・長期投資で成功するための完全ガイド』ジェレミー・シーゲル

株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド
(2006/07/13)
ジェレミー・シーゲル石川 由美子

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この本のサブタイトルは、「長期投資で成功するための完全ガイド」です。私も長期投資家のようなスタンスをとっているので、読みました。

この本は、プロの投資家、ファンドマネジャー、金融コンサルタントに愛読されている書です。改定を重ねているロングセラーで、400ページに及ぶ専門書です。

この本の中で、参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・株式や債券は、その資産を買おうとする買手が現われて初めて、その売却が吸収される。ベビーブーマーが保有する莫大な株式と債券を現在価値で購入できる次の世代がいない。これは、やがて上昇するであろう金利の上昇や株価の暴落を暗示する

・世界規模で投資すること自体が、一つの成長産業と言っていい。卓越した成長産業とは、国際分散投資のことである

・外国株にまで投資対象を広げる理由は、外国株の利回りがより優れているからではない。海外投資がポートフォリオの分散化をより徹底させ、リスクを軽減させることができるからである

・長期的に見ると、為替レートは主にその国の物価変動によって決まる。株式は、物価変動で投資家が被るロスを埋め合わせることができる実物資産の最たるものである

・景気が山に至る一定期間前に、株式から短期国債に投資対象を移し、景気の谷の一定期間前に、短期国債から株式に戻すことによって利回り(スイッチング・リターン)を得る。超過利回りとは、スイッチング・リターンから長期保有利回りを差し引いたもの

・実質的な経済活動の分析によって株式投資を成功させるのは非常に困難。経済学者ですら、これに必要な洞察力を持ちあわせていない。景気の転換点は、数カ月先まで判断できない場合が多く、株式市場で行動を起こすにはすでに遅すぎる

・ほとんどのファンドが課する手数料は、投資家が優れた利回りを達成し、富を蓄積する上で大きな障害になる。ファンドの成功には幸運が重要な役割を果たすので、優秀なファンドマネジャーを識別するのは非常に困難

・長期投資家は、流動性の恩恵は重要でない。インデックス投資の傾向に敏感にあるべき

・長期投資家が、ポートフォリオにおける株式の比率を低下させたいときには、新しい物価連動国債を選ぶべき

株式ポートフォリオの大部分を、コストが低く分散の効いたミューチュアルファンド(オープン型投資信託)、上場投資信託(ETF)、あるいはインデックスファンドに投資すべき

・どんな国も、すべての市場を支配することはなく、産業界のリーダーは世界のどこからでも台頭する可能性がある。したがって、米国(自国)株だけに執着することは、長期投資家にとってはリスクのある戦略である

・ほとんどの投資家が弱気のときに株式への投資を増やし、強気のときに株式への投資を減らすという逆張り戦略は、長期利回りを改善する

・過去50年において、FRB(米連邦準備制度理事会)が短期金利を低めに誘導しているときの投資は、FRBが短期金利を高めに誘導しているときに投資するよりも、大幅に高い利回りを生みだしている

・分散しないホットな銘柄を追いかける、あるいは市場のタイミングを計るというのは、下手な投資戦略



この本での著者の一貫した主張は、
「1.コストが低い、インデックス(平均株価)ファンドへの投資が基本」
「2.リスク分散のために、海外投資も組み入れておくこと」
「3.景気の谷底の状況で、インデックスファンドを短期国債に逃避させること」
以上のように、まとめられます。

一攫千金を狙わず、物価より少し多めの利回りを安定して追う、長期投資家にとっては、参考になる本だと思います。

プロの運用者を否定する本が、プロの運用者から愛読されているというのは、皮肉ですが、これが投資の真実ではないでしょうか。
[ 2010/09/16 07:03 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)

『サラリーマン大家さんが本音で語る中古マンション投資の極意』芦沢晃

サラリーマン大家さんが本音で語る中古マンション投資の極意 (お宝不動産セミナーブック)サラリーマン大家さんが本音で語る中古マンション投資の極意 (お宝不動産セミナーブック)
(2007/04)
芦沢 晃

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著者は、主に500万円前後の中古ワンルームマンション投資を行い、20室を所有するサラリーマン大家さんです。

理系の大学出身のようで、実に細かいシミュレーションをされています。細かさは、机の上だけでなく、マメな行動にも表れています。

サラリーマン大家さんとして成功したノウハウも、包み隠さず披露されていますので、大家さんの夢を抱いている方にとっては、非常に頼もしい書です。

この本を読み、参考になった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・手取りの家賃収入が年間1000万円に達したが、「貯金した資金をワンルームマンションに投資し、家賃収入を貯め、それを再び投資して運用する」という単純な繰り返しをやってきただけ。財産や金融機関と無縁であっても実行可能

・ワンルームマンションに絞って投資してきたのは、仲介売買、賃貸管理、維持修繕などをプロにアウトソーシングして、運用できるシステムが完備されているから

築15年の中古ワンルームを購入する場合、築30年後までの15年間の家賃収入だけで投下資本の回収できる価格を逆算して、それよりも安く購入する。築30年の時点で投下資金が回収できれば、法律で47年償却規則なので、その後の戦略が立てやすくなる

・1室だけの場合、1室が空室になれば家賃はゼロになり、維持費が持ち出しとなる。しかし、所有物件が2室3室と増やすと、全室同時に空室になる確率は低くなり、リスクは低下する

・空室が最悪でも3カ月以内で済むような立地のいいマンションを選んでおけば安心。借地権でも駅前の物件は強い

・マンションによっては「大規模修繕費用の不足」と「管理費の累積赤字幅の拡大」という恐怖の時限爆弾がついている可能性もある

・賃貸経営を始めると、毎月家賃(卵)が入ってくるので、永遠に金のなる木を手に入れた錯覚に陥る。しかし鶏が日々歳をとるように、物件も老朽化して、その価値を下げていく。理想は、卵をたくさん産みながら、何年後かに鶏も大きくなっていくこと

・「銀行は中古ワンルームマンションの価値を0とみなすことが多いので資金調達ができにくい」「土地の持ち分が少ないので、建物の寿命がきたときが投資の終焉」管理が悪い管理会社を変えるにも「管理組合の議決合意が必要で、個人の裁量が狭い」ことがデメリット

・成功するためのチェックポイント

投下資金を何年で回収できるか
投下資金を回収できたとき、建物は築何年となっているか
その時、自分と家族は何歳になっているか
買値をいくらにすれば、築30年までに資金回収できるか
築47年までにいくらの累積キャッシュフローがあるか
法定減価償却期間が過ぎた後の建物価値(想定売値)はいくらか

・正確なシミュレーション力で検証

物件価格、築年数、現在の空室率、家賃設定、管理費、修繕積立金実額、修繕積立金残高状況、税金、保険料、維持諸経費、建物の減価償却額、土地課税評価額、現在の物件時価

築10年まで物件価格は急落する。築15年から大規模修繕費が発生。それを嫌って手放すオーナーが増え、中古物件の流通数は急増する。この物件から条件のよいものを探す

・物件情報は、ネットを使い、「衛星写真で街並み調査」「売買成約価格公開」「不動産会社の賃料相場」で下調べし、労力、時間、費用を省く

・物件を見るときは、「第一印象」「共用部分の管理状態」「共用機械設備の有無」「管理組合の収入源」「道路付き」をチェックする

・不動産屋が空室を内見する客に手渡す資料をつくると、内見率が高まる。資料には、写真(全体、内装、眺望)、物件の特徴(ペット、物干場、バイク置場、敷地内駐車場等)、内装の特徴(浴室、トイレ、洗面、インターフォン等)を解説し、チラシ風にまとめる

内見客対策(スリッパ、特徴ある説明箇所にPOP、巻尺の用意、匂い対策、水回りに消毒済の張り紙で封印等)もぬかりなくする

家賃滞納対策(不動産屋の人を見る直感を信用、契約条件・契約書、1日でも遅れたら即連絡。それでも遅れたら保証人へ連絡、電報、内容証明郵便で督促状。さらに遅れたら簡易訴訟)も万全にする。2か月分の滞納が発生すると回収できない

入居者からのクレームは、故障、問題箇所をデジカメに撮って送信してもらうなどして、即対応。入居入替時に、無駄な緊急修理出張費のもととなる箇所をメンテナンスしておくと事前に防げる場合が多い



この本には、著者自身が作成した、自己所有物件のシミュレーション表や資料などがいっぱい掲載されています。

ここまでノウハウを公開してもいいのかなと思うくらいの、具体的かつ実務的なものばかりです。

この本を読めば、行動力と余裕のお金さえあれば、誰でも中古マンションオーナーとして、成功できるように思いました。

家賃収入がうまく得られていない方や、これから得ようと考えている方にとっては、頼もしい書ではないでしょうか。
[ 2010/04/08 09:35 ] 投資の本 | TB(0) | CM(0)