立花義正さんは、亡くなられたとき(1985年)に、
5億円の遺産があったということで有名になった個人投資家です。工場の事故で、
片足を切断された後、会社を辞め、投資家として自立する道を選ばれて成功されました。
その立花義正さんが、唯一残した書が、この「あなたも株のプロになれる」です。初版は、25年前ですが、現在も版を重ね続けています。本書には、今も昔も変わらない、株で儲けるルールが書かれています。その一部を要約して、紹介させていただきます。
・「
三猿金泉録や八木竜の巻のような本を読みなさいよ。そして、自分の力でやってみることだ。例えば、今の逆向かいを『下げの二日前から買い下がり始める』『三日目も安ければ買い、戻ったらいったん売り』というふうに、二~三回やってごらん。納得いくから」
・まず、技法習得のために、「1.
簡単な技法を繰り返して身につけよ」「2.
資金を大切にせよ」という二点を、技法入門の初めの言葉として贈る
・すべてに通じるものは、「九分一分
三分割売買」、アメリカの売買技術書でも、まったく同じ。「ナンピン三分の一」「乗せは三分の一」「ツナギは三分の一」も、これと同じ考え
・まず、
出発の玉は一枚ずつ三回、
増しは三枚ずつ二回で、合計三枚ずつ三回。これでひと区切り。そのあとの
乗せは10枚。もちろん分割してもよい。そして、
ツナギ10枚
・
越年玉とは、年を越す手持ち玉のこと。「長期的な資産運用のための現株」「中短期の計画的な建て玉」以外は、越年してはいけないというのが、売買益で生活する上での鉄則
・手数料を払うとか、大発会が高かったら損するとかというのは本当につまらないこと。そんなものは手仕舞いすれば、
冷静になれるという貴重な向上の代償として、安いもの
・
自分に合わないものを捨てなければ、理論からやり方まで一貫性をもつという、大切なことが身につかなくなる。自分に合わないものを、いさぎよく捨てて単純化していくこと
・「
指値注文絶対禁止」「迷ったら翌朝成行きで手仕舞い」「雑音無視」「三分割仕掛け
一括手仕舞いのみ」「買い注文は安い日の翌日、売り注文は高い日の翌日」「同値圏の増し玉枚数少なく」「順張りはやるな」「他人の相場観は聞くな」「朝テレビを見るな」
・「月曜日に売買するな」「リズムを追え」「仕手情報は聞くな」「
5%逆行注意」「市場の分析をするな」「最高枚数は二十枚を限度に」「証券会社が推奨したら売れ」「新聞のトップ記事に出たら売れ」「
平均値を計算せよ」「「ここは絶対と思ったときはやるな」
・グラフを見ただけで、自分にできそうにないと思った銘柄は絶対に売買すべきではない
・定石と言われるやり方どおりの玉の入れ方をした。つまり、自分で
自分を機械のようにやった。相場観を殺し、弱気でも目をつむって買った。それで相場師として成長できた
・崩れてからの追っかけ売りは、成功の確率は極めて低い。崩れたときは、ジッと我慢しておいて、戻りを売るのがよい。
将来の大成のために、絶対に追っかけをしないこと
・株で利益を上げるということは、株を持っていることではなく、
処分すること。
ケリをつける、
区切りをつけるということ
・競争相手は強弱の議論をしがちで、相場の励みとならず、友人は技術の向上には有害
・勉強とは、多くの知識を集めるのではなく、
一つのものを深く究めることにある。それには、進むべき方向に不要のもの、邪魔になるものを捨て、残ったものこそが真に重要
・順張り専門のプロはまずいない。順張りは心理的に楽でやりやすいが、実質利益が少ないうえ、失敗の確率が高く、その金額も大きい
・「上手な人は何か秘密があって、それを隠しているのではないか」という考えは、キッパリ捨てること。上手な人というのは、繰り返し、繰り返し、
練習して上達した・相場の売買は、「長所を伸ばすことに積極的」で、「短所を補うことに消極的」でなければいけない。これは、私がいままでに会った上手な人たちすべてが言っていたこと
・自分に合った方法だけを行い、その技術を高めていくこと。他人の売買は、その上手さだけを見るべきであって、売買している銘柄とか方法をマネしてはいけない
・30年間売買を続けながら、苦しんで得た結論は、「
自分に合った型を基準にして売買する」「
分割売買をする」「
ゼロをつくる(区切りをつける、不利な玉を切る)」、これだけ
どんな世界でも、名人というのは、自分が納得するまで何回も繰り返して、レベルアップした人です。株式の売買でも例外ではありません。
どんな道でも、30年飯を食っていこうとすれば、地味で、規則正しく、愚直に生きるほかないということを、本書が示しているのではないでしょうか。