とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『アラブ人の心をつかむ交渉術』郡司みさお

アラブ人の心をつかむ交渉術アラブ人の心をつかむ交渉術
(2008/11/15)
郡司 みさお

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アラブ人は、日本人に好感をもっているのに、日本人はそれを、どう受けとめていいのかわからずに、戸惑っている感じがします。

日本人に好感を持っている、アラブ人、インド人、東南アジア諸国の人たちを相手にビジネスを行えば、日本人嫌いを教育させられている中国人との取引を減らしても、それを十分にカバーできます。

本書には、アラブ人をよく知り、中東ビジネスを成功に導く掟が掲載されています。それらの中から、新しい発見が多々ありました。一部ですが、紹介させていただきます。



・日本人がアラブ人に好かれているのは、1.「秩序、忍耐、協力、年長者への敬意など日本人の美徳とイスラムの美徳が共通」2.「一足早く欧米諸国に追いつき先進国になった日本への尊敬の念」3.「過去一度も戦争がない」4.「日本は石油の最大顧客」なのが理由

・本日のお祈りタイム(昼は正午前後、午後は16時前後)を頭に入れておく必要がある。お祈りの後は、さっぱりとして機嫌がいい。商談にはグッドタイミングで、狙い目の時間

・アラブ諸国では、9月(ラマダーン月)は、断食(サウム)で国中が一色に染まる。いくら断食とはいえ、1カ月何も食べなければ死んでしまう。食事、水分、タバコを一切絶つのは、太陽が空にある間だけ。日没後は、親戚一同が集まって、大宴会を繰り広げる

・ラマダーン月前は何かと物入りとなるため、店の売上は大幅にアップする。親戚一同が集まるため、室内装飾をし、新しい服を買い、食材、土産などを買い込む

・ラマダーンの時期は、どんなに遅れても、「ラマダーン」ですからで済まされる。言われた方も「ラマダーン」だから仕方がない

・ラマダーンから二ヶ月後の巡礼(ハッジ月。一生に一度はサウジアラビアのマッカに巡礼するのが義務)の帰りに、誰もがお土産を買って帰る。宗教用品の他、電化製品などもよく売れる。年に一度の巡礼シーズンは、世界から集まったムスリムへの販売チャンス

・アラブ人は、ひと昔前の日本人に驚くほど似ていて、義理固い。地域社会、部族社会とのつながりが深く、親子三代大家族で住むことも多い。彼らとつき合うためには、祖父母とつき合うつもりになれば、実にうまく事が運ぶ

・無理のない範囲での「人情」や「お世話」は大切。真剣に相手の話を聞き、できる限りの「親切」をすれば、必ず「恩義」を感じて、忘れない。それが、アラブ人の特質

・アラブ人と接して驚くのがバカ丁寧な挨拶。初対面での挨拶のポイントは、「相手の目をみつめ、心から嬉しそうにする」「時間を作ってくれたお礼を言う」「相手を具体的にほめる」「相手が自慢したがっている事柄を質問する」「相手にいたく感心、感動する」こと

・アラブ人は本当に根回しが好き。アラブ人には、「うまく甘えながら根回しをする」こと。自信があっても、不安で自信がないふりをして、ひとりひとり「個別」に「相談」して回り、下手に出て、意見を求めること。甘えられ、頼られれば、誰でも悪い気はしない

・アラブ社会では、「飛び込み営業」や「一見さん」は、ほとんど相手にされない

・日本では、100円のものを10個買えば「900円」に値引きになるが、アラブでは逆に「1100円」になる。たくさん買う人は金持ちだから、たくさん払えという論理

・遊牧を生業にしてきたアラブ人にとっては、「一か所に留まることは、物が腐る、くすむ、枯渇する」ことを意味する。そのため、商品や仕入先を変えて、「変化や動き」を与える

・大袈裟に笑い、ジェスチャーし、アピールすることはアラブ人とつき合う上で大切

・アラブ人にとって、家族を大切にする人=「いい人」。家族の話をすると好感度が上がる

・アラブ人とつきあう上での9つのタブー。「左手を使うな」「犬を見せるな」「足の裏を見せるな」「人差し指で人を指すな」「子供の頭を撫でるな」「深々としたお辞儀をするな」「女性に握手を求めるな」「お祈りタイムに電話をするな」「女性に許可なくカメラを向けるな」

・イスラムでは、自由な恋愛が許されていない。未婚の男女がつきあうことはご法度。「できちゃった婚」など、もってのほか。厳しい刑罰に値する

・イスラムでは、賄賂、利子の取得、文書偽造、詐欺、偽証、軽い殴打、少額の窃盗などの刑を「タアズィール刑」と呼び、ムチ打ち禁固刑財産没収などが科せられる



日本人はアラブ人を「食わず嫌い」しているのかもしれません。ちょっとしたマナーやタブーを知ることで、それらが一挙に改善するように思います。

本書は、日本人とアラブ人の友好を深める一助になるのではないでしょうか。


[ 2012/10/20 07:02 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『アナム・カラ-ケルトの知恵』ジョン・オドノヒュウ

アナム・カラ―ケルトの知恵 (角川21世紀叢書)アナム・カラ―ケルトの知恵 (角川21世紀叢書)
(2000/09)
ジョン オドノヒュウ

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アナムカラとは、「魂の友」という意味です。魂の友とは、相手を認め、互いに親和し、永遠の絆で結ばれた者のことです。

著者は、アイルランド生まれの詩人で、哲学者です。自然と精神性を重んじるケルト人の言い伝えを題材に、著者自身の思索を綴った書です。共感できる箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・心の形成は絶えざる進化過程。すべての経験が心を培う。その身に起こる何もかもが、人の深みを増す力として働き、心に新たな領域を開拓する

・愛とは、心を開いて他者を受け入れること。愛する者は惜しみもなく障壁を取り除き、自衛の距離を消去する。人はその心の奥の神殿に出入りの自由が許されている

怯えた目には、何もかもが恐ろしい。おずおずと引っ込み思案に外を窺えば、目に映るすべてが危害、脅威の元凶。怯えた目は常に恐怖に取り巻かれている

・顔は人それぞれの魂がほの見える部位。人が年を取り、記憶を貯えるにつれて、顔は少しずつ魂の旅路を映し出す。老いた顔ほどその鏡像は豊富である

・心構えができていないばかりに、人は豊かな魂の世界を遠く離れて異郷に迷うことがある。それを避けるためには、精神の洗練が欠かせない

・ケルト人の優れた知恵の一つに、何事も自然の成り行きに任せる考えがある。自然に任せるとは、自己を越えるものを信じて、自我の檻から逃れ出ることに他ならない

・寂しさとは、孤独を強く意識することだが、孤独は内奥における自己回帰である。人はみな、どこかで他者とは違い、外界と断絶している。つまり、自己を離れて、外界のどこを捜しても、必要なものは見つからないということ

・「美は衆人の目を避ける。打ち捨てられ、忘れられた場所を求める。そこでしか、その姿と、気品と、本質を再現する光に出会えないことを知っているためだ」(アメリカの詩人エズラ・パウンド)

・実人生とは、つまるところ、限られた時間である。それだけに、期待は創造的、かつ建設的な力を持つ。何を期待することもなければ、人生はただ空虚と絶望の時間でしかない

・多くの場合、否定的と見えるのは、矛盾の外形である。悲嘆や痛苦をこの表層に固着させていると、内界の矛盾を止揚して、高次の統一を図ることができない。この矛盾の統一こそが、心に恵みをもたらし、癒しを与える変容になる

・「成長は変化である。成熟とは、変化を重ねることを言う」(イギリスの神学者ジョン・ヘンリー・ニューマン)

・権力を握っている人間は、見かけほどに強くない。権力をほしがる人間は、総じて非力である。自分の脆さ、弱みの埋め合わせに、彼らは権力の座を狙う

・高圧的な権力によって人間が管理され、単純な機能を果たすだけしかない消極的な仕事の世界では、競争の原理がすべてを規定する。人の才能が生かされる創造的な仕事の世界には、競争はない

・人は自身の尊厳にふさわしい場所に帰属しなくてはならない。何よりもまず、それは自身の内面である

・スピードとストレスと形式主義の現代文明に大きく欠如しているのは、記憶への関心である。人間の記憶は高度に洗練された、個人の聖域であり、感受性の神殿である

・自分の過去や記憶に対して、何よりも質の悪い否認は後悔である。後悔は見当外れで、過去に対する不当な誤解や偏見に発している

・「人が直面する難題の多くは、一つの部屋にじっと坐っていられない忍耐の不足に起因する」(フランスの学者パスカル)

・古老の知恵は、将来への洞察を語る上で、かけがえのない助力になり得る。知恵と洞察は血を分けた姉妹である。創造し、批評し、予言する洞察は、知恵の泉から湧いて出る

・「人生を生きるより、生きる準備に追われている」(アイルランドの農民作家パトリック・キャヴァナー)



著者は、詩人で哲学者です。感性と理性を統合した人です。詩人は、短くて感覚的な文章を書き、哲学者は長くて論理的な文章を書きます。

しかし、著者の書く文章は、詩と教訓がうまく混ざり、誰にも伝わる形式になっています。読みやすい哲学書のような感じがしました。


[ 2012/06/28 07:02 ] 海外の本 | TB(-) | CM(1)

『「都市縮小」の時代』矢作弘

「都市縮小」の時代 (角川oneテーマ21)「都市縮小」の時代 (角川oneテーマ21)
(2009/12/10)
矢作 弘

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日本の人口が減少を続けています。地方の中小都市人口も縮小しています。ところが、驚いたことに、欧米の中小都市も縮小しているそうです。コンパクトシティは世界共通の課題となっています。

縮小の中で、人を集め、活気を取り戻した成功事例を世界中から集めたのが、本書です。大変面白く読めました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・世界の人口10万人以上都市のうち、4分の1以上が人口を減らした。この現象は世界中の、工業都市、歴史都市、重厚長大産業都市、経済停滞都市、繊維関連都市、厳冬地帯都市、鉱業都市などで起きている

・人口減少で先進諸国のトップを走る日本だが、縮小都市研究では欧米諸国に遅れている。縮小都市研究国際会議では、縮小都市国際比較、インフラと財政、代替する新しい文化創造産業などが、議論されている

・縮小の軋轢を調整しながら、経済的、社会的な縮小の負担を、社会全体でいかに分かち合うのかが、縮小都市で問われている

・地方分権改革を進めている世界の国では、自立した縮小都市ほど、他の都市と連帯して、フルセット型の都市機能を維持している

拡散都市構造を放置すると、「高齢者などの生活支障」(車社会弱者が3分の1)、「中小市街地の衰退」(防災、防犯、子育て環境の悪化)、「財政の圧迫」(都市施設の維持、行政コストの増大)などの問題が生じる

・21世紀のアメリカの「都市のかたち」を決める条件は、人口移動・ガソリン価格・都市型産業立地。いま悲惨な中西部の縮小都市も、この3条件の幾つかに支えられれば、変貌する

・縮小都市化するインナーシティに溢れる空き地を目障りなものと見ずに、可能性をはらむ土壌と考えたほうがいい。デトロイトで始まったのが、社会変革型の都市農業運動

・クリーヴランドのデザイン地区構想には、都市型創造企業を育てる狙いがある。ポスト工業化社会でも、モノづくりは終わらない。モノづくりのソフトに携わる新都市産業をダウンタウンに集積させる考え方

・セントルイスでは、街路景観の修景プログラムが動いている。225街区の美化・活性化(街路のサイン、植栽、ベンチや彫刻などのストリートファニチャー、垂れ幕などの色彩・形状のデザインコード)に取り組む。歩いて暮らせるダウンタウンを目標にしている

医療・健康産業はアメリカGDPの16%。メディカルコンプレックスは、新都市産業としての期待が大きい。病院は労働集約型ビジネス。医師、看護師、検査技師、職員などの雇用規模が大きく、研究所には高学歴・高所得者が多い。衰退都市の税収増につながる

・ライプチヒ(旧東ドイツ)では、1970年代半ば以降に市外縁部に開発した大規模住宅団地の空き家率が増え、社会主義体制時代に放置されていた「歴史的共同住宅(19世紀末~20世紀初め)」を改築したものに人気が出て、転居する人が増えている

・ドイツの縮小都市のキーワードは“穿孔”「孔(あな)をあけること。あるいはその孔のこと」。都市空間が希薄化すると、連続した街並みに孔があく。その孔を活用して、公園、原っぱ、小さな森にして、過剰住宅対策と都市環境改善の一石二鳥を狙う

・画家には、「家賃が安く、スペースを自由に使える廃墟利用が魅力」。都市が縮小すると、ある地域が辺境化する。しかし、一方では、主流派でない人が、廃墟に宿る創造性の開拓者となる

・兵庫県尼崎市の製造業出荷額は、この40年間で3倍に増加したが、雇用者数は同時期に60%のマイナス。「雇用なき拡大」という縮小都市の典型的類型。成長することばかりを考えてきた既往の都市政策手法は、限界を露呈した

・福井市のDID地区(1km2あたり4000人以上人口密度)は拡散し、「低密度の土地浪費型」で、車依存土地利用になった。大学は郊外に移り、路線バスの高い運賃と運行本数の少なさや都心の高い駐車料金で、まち中から、若者の姿が消えた

・福井市の「コンパクトな都市づくり」対策は、1.「鉄道利用者増加」(13%増)2.「都市居住者増加」(16%増)3.まち中の歩行者自転車通行者の増加(21%増)を掲げる



本書を読み、豊かになるためには、拡大信仰を捨てて、賢い撤退をすること。「小さく賢く成長する都市」になることが、日本の都市に求められているように思いました。

製造業でも、大量生産を目指さず、独自の技術で、付加価値の高い製品をつくり続けている企業が、好調です。都市も全く同じことではないでしょうか。

都市間競争に勝つということは、独自のものをつくり出し、遠くから人やモノや情報が集まるようにすることに他ならないのだと思います。


[ 2012/05/25 07:07 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『アメリカン・スーパー・ダイエット』柳田由紀子

アメリカン・スーパー・ダイエット―「成人の3分の2が太りすぎ!」という超大国の現実アメリカン・スーパー・ダイエット―「成人の3分の2が太りすぎ!」という超大国の現実
(2010/07)
柳田 由紀子

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著者は、アメリカ在住のジャーナリストです。太っているアメリカ人の悲喜こもごもを取材された書です。

ダイエットに取り組む人だけでなく、太っている人たちのさまざまなニーズを汲み取ったビジネスも取材されています。

太っていることを否定するビジネスと太っていることを肯定するビジネスが共に急成長しているアメリカの現実を面白く読むことができました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「ダイエットエコノミーは、太らせる経済(高カロリー外食産業など)と、痩せさせる経済(ダイエット産業など)の二つに大別できる。肥満関連経済総収益は約32兆円。アメリカ経済全体の約3%」 (肥満経済学者・シアトル大学のウイリアム・ワイス教授)

・胃全体を縮める手術(約6000億円)や脂肪吸引手術(約1400億円)といった強引な減量手段にも、巨額のお金が流れ込んでいる

・「太ったまんまの経済」では、女性のスーパーサイズ服飾分野だけでも総売上が約2兆円。今や肥満関連専門業者は、服飾、スポーツ用品、趣味、ブライダルなど50に及ぶ

・病的肥満者のケアを専門とする民間企業のウエブサイトには、肥満者用の医療器具を扱う会社が100社以上紹介されている

・「こんなに肥満者がいるのだから、ビジネスの可能性は限りなくある。痩せるのは難儀。痩せてもリバウンドする。ヘロイン中毒よりリバウンド率が高いのが肥満。一度離れたクライアントも必ず戻ってくる」(肥満ビジネスの先駆企業社長・ティモシー・ベリー氏)

・肥満者に人気の商品は、「スティック装着爪切り(約9000円)」(肥満者は足先まで手が届かない)、「スティックの先にトイレットペーパーを挟む器具(約5000円)」(用を足してもお尻に手が届かない)、「便座(約12500円)」(一般品の倍くらいの特大サイズ)

・肥満度の高い南部の顧客が増えたのは、ネットの賜物。「ペイ・パー・クリック・マーケティング(クリック事業)」は、必要な人とそうでない人がくっきり分かれる。従来のマス広告は意味がない。店舗を開いても費用対効果が低い。オンラインストアのみ

・アメリカには、肥満者の棺桶を製造販売する会社もある。一般の棺が70cm×210cmまでのところ、最大137cm×244cmのスーパーサイズまで対応。また、肥満者には、アメリカで一般的な土葬(約60万円)より、火葬(約20万円)が大人気

・ダイエット洪水のアメリカで急成長しているのが「リンドラ・メディカル・クリニック」。毎日4000人のダイエッターが通う。基本コースは「週5日×8週間+その後半月のフォローアップ(約13万円)」(毎日身体検査とカウンセリングによる個人別ダイエット計画)

・ノースカロライナ州の小都市、ダーラムは、「デブのシリコンバレー」と呼ばれる。全米でも屈指の本格的ダイエットセンターが3つもあり、肥満者の聖地と崇められている。訪問者の肥満者4000人は、年間に85万円=34億円をダーラムに落とす

・ダーラムのダイエットセンターで効果が得られなかった肥満者は、ダーラムの病院の門を叩く(胃縮小手術実績10年間で2800件)。急激に減量した患者は、垂れ下がった皮膚の切除手術も行う。3~6時間で、20~90kgの皮膚を切除する大手術。手術代は250万円

肥満者解放運動が盛んになるにつれ、性生活を語る人が増えている。アメリカでは、肥満者に、どんなセックスを行っているか?のアンケートを行った「肥満セックス」本も出版されている

・医療保険会社の個人保険料は、30~34歳の場合、男女とも月々12000円~32000円だが、84kg以上の女性なら、月々25000円~65000円支払わなければならない。ほぼ2倍の金額を請求される

・減量集団「TOPS」(減量を目的とする非営利の自助グループ)の支部は、全米各地に約7000カ所。毎週1回のミーティング、ニュースレターの発行と年に一度の全米大会(減量キング・クイーンの選出)も行う。年会費約2600円

・「TOPS」の週1回ミーティングでは、体重計にのり、体重通帳(パウンド通帳)に記入。前回に比べ体重が増えたら、1パウンド(450g)毎に1ドルを会計に支払う。また、全員の前で、「ロスト」(減量)「タートル」(のろい)「ゲイン」(増量)と発表される



本書は、肥満先進国のアメリカで、急成長しているダイエット産業、肥満者産業の実態が見え、楽しく読むことができました。

日本では、ダイエット産業にスポットが当たることが多いのですが、アメリカでは、肥満者産業が着実に市場を拡大しているようです。しかも、まだ黎明期です。

まさに、困っているところにビジネスあり、悩んでいるところにもビジネスありです。アメリカの急成長産業を知る上で、役に立つ一冊です。
[ 2012/03/14 07:29 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『新興国20ヵ国のこれからがわかる本』

新興国20ヵ国のこれからがわかる本 (PHP文庫)新興国20ヵ国のこれからがわかる本 (PHP文庫)
(2011/10/05)
株式会社レッカ社

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今、元気な日本企業は、新興国に進出している企業や新興国に投資している商社及び企業です。国内の内需だけに依存している企業や先進国輸出比率の高い企業は、元気がありません。

これを個人に置き換えて考えたらどうでしょうか。

つまり、日本の銀行への定期預金、国債の購入、日経平均連動投信や日本の不動産物件への投資を行っても、ほとんど見返りがなく、元気がなくなってしまいます。

新興国への投資(株式、外貨預金、国債、不動産など)は、短期的に見れば、為替リスクはありますが、中長期的に見れば、見返りが大きくなっています。

個人も、儲かっている企業や商社のとる行動に賢く便乗して、投資をしていけばいいのではないでしょうか。そのヒントが、この本に詰まっています。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・2010年世界のGDPトップ10は(1.米国、2.中国、3.日本、4.ドイツ、5.フランス、6.英国、7.ブラジル、8.イタリア、9.カナダ、10.インド)

2050年世界のGDPトップ10予想は(1.中国2.米国3.インド4.ブラジル5.メキシコ6.ロシア7.インドネシア8.日本9.英国10.ドイツ)

・新興国成長の理由は「巨大な人口規模」「豊富な天然資源」「外資の導入」の3点

・近年注目を集めるのがBOP(貧困・低所得者層)。世界人口70億人のうち、生活費が1日2ドル以下のBOPが、40~50億人いると言われている。彼らは、救済すべき弱者ではなく、意欲的な企業家であり、有力な顧客となり得る。強いブランド志向を持っている

・現在、インドに続くBOP市場として、インドネシア、バングラディシュ、ケニアなどに注目が集まっている

日本の食糧輸入先(輸入額)トップ10は、(1.米国、2.中国、3.オーストラリア、4.タイ、5.カナダ、6.チリ、7.ブラジル、8.フィリピン、9.韓国、10.ロシア)

・日本の2010年対外直接投資額トップ10は、(1.中国、2.ブラジル、3.インド、4.韓国、5.マレーシア、6.ベトナム、7.メキシコ、8.フィリピン、9.インドネシア、10.ロシア)

・新興国の株式投資は制約が多く、投資のための条件が完全に整備されていないのが実情。個人では投資信託を利用するのが最善の策

・新興国への不動産投資は魅力ある。個人でも、運用できる資産額が大きい人にとっては、大きなチャンス。注目すべきはインド。中産階級の人が増え、マイホームを購入することが一つのステータスになりつつある

・新興国は、広大な国土、豊富な天然資源、増え続ける人口、莫大な労働力により、飛躍的な経済成長を遂げているため、投資対象さえ誤らなければ、金額の見返りは非常に大きい

・新興国で重要なのが、中長期的に投資を行わなければならない点。短期では、政情の変化や市場規模が大きくないために先進国の動向に左右されやすいので、相場の変動が大きい

・BRICsでも、株式市場が活発なのがロシア。市場全体の時価総額も1兆ドルを超えるなど、新興国の中でも際立って、その規模は大きい

・VISTAに属するベトナムの証券取引所ができたのは2000年のことで、歴史が浅い。時価総額も3兆円程度で、市場規模も大きくないので、変動が大きく、投資にはリスクを伴う

・同じVISTAでも、長い歴史があるのがインドネシアの株式市場、100年の歴史を誇り、外国人投資家の参入を早くから認めてきた。経済成長も右肩上がりで2010年の株価上昇率は40%前後



本書の20ヵ国とは、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナム、韓国、中国、インド、パキスタン、バングラディシュ、イラン、UAE、サウジアラビア、エジプト、トルコ、ロシア、ナイジェリア、南アフリカです。

それぞれの国についての詳しい状況が書いてある箇所は、今回紹介していませんが、興味のある方は、読んでみる価値があるように思います。

新興国は、日本経済復活の鍵を握るだけでなく、日本人の個人資産増大の鍵も握っているのではないでしょうか。
[ 2012/02/21 07:04 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『消費するアジア- 新興国市場の可能性と不安』大泉啓一郎

消費するアジア - 新興国市場の可能性と不安 (中公新書)消費するアジア - 新興国市場の可能性と不安 (中公新書)
(2011/05/25)
大泉 啓一郎

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中国だけでなく、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア、インド、バングラディシュなど、アジアには、新興国、急成長国が目白押しです。

これらの国と、どう関わっていくかが、日本の今後の進路として、極めて重要になってきます。

まずは、これらの国の実情を知らなければなりません。そのためには、この本は打ってつけだと思います。

本書の中で、アジア諸国を知る上で、参考になった箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・現在もなお、中国やタイへ進出する最大の魅力は、「安価な労働力」が活用できること。一般工員の給与は、北京、上海、バンコクでは、月2~3万円で、日本の10分の1。さらに、アジアは生産拠点という機能に加えて、消費市場の魅力も増している

・2010年も業績を伸ばした日本企業の多くは、アジアでの売上に支えられた部分が大きく、このことから「アジア頼み」という言葉が頻繁に聞かれるようになった

・日本政府も、アジアの市場を国内市場の延長線上に捉える「アジア内需」の確保を、成長戦略の一つに位置づけるようになった

・日本企業のアジア市場戦略では、アジアの富裕層向けにばかり目が向けられていた。今後は、中間所得層(ボリュームゾーン)という視点が、欠かせない。さらに、徐々にではあるが、低所得層の市場にも目が向けられてきている

・アジア新興国の「富裕層」家計人口(年間世帯可処分所得35001ドル以上)は、中国が1850万人、ASEAN5(タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム)が930万人、インドが810万人。人口比率では、まだまだ低い

中間所得層以上(5001ドル以上)の家計人口が、2008年の9.4億人から20年には、19億5000万人に倍増し、35001ドル以上の富裕層の家計人口も2億人を超える

・1人当たりGDPが1万ドルを超える「メガ都市」は「富裕層」が最も集中する地域。もちろん、メガ都市には、地方、農村から、あらゆる人を引き付ける空間でもあり、「中間所得層」や「低所得層」も同時に抱えている

・2000年以降、アジア新興国の成長が著しいものになった原因の一つは、メガ都市の国際競争力が高まったこと。アジアの持続的な繁栄の条件は、メガ都市の国際競争力の強化であり、その成果が、地方・農村にまで浸透すること

・世界の都市化率は50%。世界全体が都市主導社会へ移り変わった。都市化率は、2025年には57%、2050年には70%に達すると予測される

500万人以上の大都市は、アジアは22都市。東京、大阪、上海、北京、広州、深セン、天津、重慶、武漢、ソウル、香港、マニラ、ジャカルタ、バンコク、ホーチミン、デリー、ムンバイ、コルカタ、チェンナイ、バンガロール、ハイデラバード、アマダバード

・アジア新興国の大都市が、「過剰都市」から「メガ都市」に変化したことは、アジア地域の経済発展のメカニズムの変更をもたらした

中国脅威論は以下の点を見逃している。「1.貿易は勝ち負けがはっきりする関係ではないこと」「2.中国の消費市場の存在を見逃していること」「3.貿易は世界規模の分業体制を確立しようとしていること」

・天然資源の活用や外資企業の誘致などによって、中所得国へと成長してきた途上国が、それまでの成長路線に固執し、産業構造転換の努力を怠れば、成長率は鈍化し、先進国にたどりつくことが困難になる

・アジア全体で求められているのは、高齢社会をいかに豊かに過ごすかのノウハウ。日本は課題先進国として、アジアから注目されていることを忘れてはならない



アジアとの付き合い方は、一様に決められるものではありません。どの国と付き合うか、どの都市と付き合うか、どの所得層と付き合うか、貿易で付き合うか、その国の内需で付き合うか。

しかし、どれもが伸びているのは、アジアの魅力です。これからは、自社に合ったやり方で、アジアを深耕していくことが求められているのではないでしょうか。

それを知る上で、この本は役に立つように思いました。
[ 2012/02/14 07:00 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『2020年のブラジル経済』鈴木孝憲

2020年のブラジル経済2020年のブラジル経済
(2010/11/23)
鈴木 孝憲

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著者のブラジルの本を紹介するのは「ブラジル巨大経済の真実」に次ぎ、2冊目です。この本も、前作以上に、ブラジル経済を詳しく解説された良書です。

少しだけですが、ブラジル債券を所有しているため、ブラジルの動向が気になり、この本を手にしました。ブラジルという国を客観的に判断された意見は、参考になるところが多々あります。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。


・ブラジル経済は、巨大な国内市場に支えられた内需主導型経済。ブラジルの輸出の対GDP比率は12.2%にすぎず、しかも輸出の半分近くが農産物や鉄鉱石などのコモディティ

・ブラジルの人種別分布は、白人が48%、黒人が7%、混血が44%、黄色人が1%。この人種の坩堝から生まれるエネルギーと生命力が、ブラジル経済を支える一つの底力になっている

・ポルトガル人は流血を好まない、相手を最後まで追い込んで止めを刺すことを好まない。この「大らかな」気質、大きな包容力が世界各国からの多数の民族、人種とそれらがもたらした文化、習慣、宗教などを大らかに包み込み、ブラジルの融和、同化の根を作った

・ブラジル国内では、たとえば、サンパウロ市内でも、アラブ系とユダヤ系の人たちが、同じ商業地区、同じ町内で喧嘩一つせず仲良く暮らしている。ここでも、両方の民族を大らかに受け入れているベースは、ポルトガル人たちのDNAと思わる

・ブラジル人は新しいものが大好き。選挙の電子投票を世界で一番早く実現したのも、IT社会への対応能力もインドの若者たちにひけをとらない

・日本の移民たちは、辛い農作業からスタートし、真面目に正直に働きながら、子供たちの教育に全力を挙げた。その結果、「ジャポネース・ガランチード(日本人は信用できる)」という評価がブラジル社会で定着している

・ルーラ前大統領は、まさにブラジリアン・ドリームを象徴する人物。一介の極貧の東北ブラジル(4500万人を超える)生まれの男が大統領になったから、貧しい民たちの支持は絶対的だった

・前々大統領のカルドーゾ政権は、インフレが収まったところで、最低賃金の実質引き上げ(インフレを超えるアップ)を推し進め、低所得者層への通学奨励金をスタートさせた。次のルーラ政権にも、所得格差是正政策は引き継がれ、大きく実を結んだ

最低賃金の実質大幅値上げは、民間の給与所得者全体にとってプラスとなり、その購買力をアップさせた。ルーラ政権下(2003~2008年)で、3190万人が所得ランクアップを果たし、所得階層(富裕層・中間層・貧困層)の中間層がほぼ50%に達した

・ブラジルの2006年利用率・普及率は、電気98%、水道83%、下水道49%、テレビ93%、自動車33%、冷蔵庫89%、ガスレンジ98%、パソコン22%、電話75%

・世界主要国の石油埋蔵量は、1位サウジアラビア、2位イラン、3位イラク、4位クウェート、5位ベネズエラ、6位アラブ首長国連邦、7位ロシア、8位リビアで、ブラジルは16位だが、プレ・サル油田の発見で、8位に上がってくる

・1994年ハイパーインフレが収束したが、レアル高が進み、ブラジルの輸出競争力は低下した。そのため、輸出メーカーは、人件費の安い東北ブラジルに次々と工場を移転した。その結果、人々が購買力を持ち始め、貧困の中に眠っていた東北ブラジルが目覚めた

・東北ブラジルには、米国の大手農家も土地を購入(アメリカの農地の値段の10分の1)し始め、ブラジル農業の新しいフロンティアになっている

・2009年のブラジルへの直接投資国。1位オランダ、2位アメリカ、3位スペイン、4位ドイツ、5位フランス、6位日本、7位カナダ

・日本企業は、日本から来た現地経験の少ないトップが、3~4年の短期間で交代する。しかも、権限付与が不十分で、何でも本社の指示を仰ぐ。本社が判断すると、ミスジャッジかリスクをとらない策しか選ばない。その結果、ビジネスチャンスを逃がしている

・最近の深海油田の発見と開発の石油石化業界、再生し始めた造船業界、拡大する自動車産業界などのブラジル産業界では、エンジニアが不足しており、工業高校や大学の工学部の拡充が叫ばれている

・今後、年平均5%の経済成長を続けていけば、ブラジルは2020年にGDP世界第5~6位の経済大国になる可能性が出てきた


EUの経済危機、中国の経済成長の失速などが顕著にならない限り、ブラジルの成長はほぼ間違いないように思います。サッカーのワールドカップとオリンピックなどの大きなイベントもこなしながら、経済大国への道を歩み続けていくはずです。

夢と希望に満ちあふれているブラジルと積極的に関係を持たれたい方には、非常に役に立つ本ではないでしょうか。
[ 2012/01/31 07:09 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『ここが違う、ヨーロッパの交通政策』片野優

ここが違う、ヨーロッパの交通政策ここが違う、ヨーロッパの交通政策
(2011/04/08)
片野 優

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ヨーロッパには、過去5回行き、10ヵ国ほど周りましたが、街中で必ず見かけるのが、路面電車(LRT)と自転車です。

もちろん、大都市では、地下鉄も充実していますし、郊外には、地方へ行く巨大なバスセンターもあります。

しかし、大都市の真ん中に高速道路があり、車がバンバン、スピードを出して走っている姿を見かけることはありません。

そういう訳で、環境問題を唱えながらも、街中への自動車の規制を行わず、自転車の駐輪場もないままにしている日本の現状に、ずっと違和感を覚えております。

この本で、ヨーロッパ各国の交通政策と、それを行ってきた背景や歴史を知ることができます。参考になった箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・近年、CO2の削減対策から、ヨーロッパでは高速道路の有料化が一般的となった。フランスの高速料金も決して安くないし、無料だったドイツもトラックが有料化になり、スウェーデンでも有料化を検討中。高速道路無料化政策は、ヨーロッパの流れに逆行している

ロンドンの渋滞税は、月曜から金曜の午前7時から午後6時の間、東はロンドン塔から西はハイドパーク周辺に乗り入れる車両は、1日5ポンド(約600円)の税金を支払うもの。700台の監視カメラで車のナンバープレートを正確に読み取る

・フランスでは、むしろ公共交通で黒字を出すことが悪だと考えられている。「人間は、誰でも自由に移動する権利を有する」という移動保障の自由を権利と考え、営利追及の問題は二の次となっている

・コペンハーゲン市内の35%にあたる市民が、通勤通学に自転車を利用しているが、2015年には自転車利用率を50%にしたいという目標を掲げている

デンマークの自動車税は世界一高額。リーズナブルな128万円の新車を購入する場合、25%の消費税と105%~180%の登録税(高級車は高い)が加算され、334万円も支払う必要がある。円高前の2008年で換算したら、523万円になる

・フライブルク(ドイツ)では、市内を車が通らないように、中心を迂回してまわるバイパスを建設し、パーク&ライド(郊外の路面電車始発駅付近に駐車場)を推進した結果、車の利用が半分になり、公共交通機関利用者が2倍になった

・バーゼル(スイス)の交通政策は、「市内の制限速度30㎞道」「自転車専用道のネットワーク」「パーク&ライド」。市民の交通利用は、徒歩28%、公共交通27%、自動車23%、自転車21%、オートバイ1%で、バランスがとれた交通環境にある

・バーゼルの市電では、混んでいなければ自転車の持ち込みが許されている(天井付近に8つのフックと長いシートを持ち上げると後輪を固定する金具が設置されている)

・デンマークでは、コペンハーゲンに乗り入れる列車を毎日通勤通学に30万人が利用している。そのうち25000人が列車に自転車を乗せている。しかも搭載する料金は無料

・イタリア政府は、自転車の購入時に奨励金を与える政策に踏み切った。電動アシスト自転車を初め、購入価格の30%が割引きとなる

・ミュンスター(ドイツ)には、「自転車のアウトバーン」がある。市内のサイクリングロードは270㎞、郊外には255㎞が建設されており、さらに総工費300億円を投じ、合計1000㎞まで延長する計画

・モビリティは、スイス国内1200カ所に2350台、ドイツとオーストリアに1700台の自動車を貸し出している。カーシェアリングが普及した背景には、行政主導の大規模な車両流入規制が敷かれたことが大きく作用している

・モビリティの会員は前年比で12%も増加。ビジネス会員が全体収益の21%も占め、ここのところの伸びが著しい

ガソリン価格と税額は、2009年1月1ℓ当たり、ドイツ135円(内税額100円)、フランス131円(同94円)、イギリス113円(同83円)、日本107円(同61円)、アメリカ42円(同10円)。電気自動車などのエコカーはドイツを除いてヨーロッパの人気はいま一つ



ヨーロッパ各国、各都市で交通政策に特徴がありますが、「路面電車」「パーク&ライド」「貸自転車」「自転車購入補助金」「自転車道の延長」「自動車の高額税金」「カーシェアリング」「渋滞税」「高速道路有料化」「ガソリンの高額税金」といったところがメインです。

つまり、自転車には追い風が吹き、自動車には逆風が吹いていると考えられます。日本は、雨の日が多く、起伏のある道が多いなど、ヨーロッパと違う点も多々ありますが、この風は、確実に日本にも吹いてくるのではないでしょうか。
[ 2012/01/18 07:04 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『フランス人のケチの美学』もたいようこ

フランス人のケチの美学フランス人のケチの美学
(2008/11/20)
もたい ようこ

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欧米人は、個人主義者で、合理主義者です。華やかな外面だけを見て、欧米人の本質を見失うと痛い目に遭います。

本書は、パリ在住の著者が、フランス人の実体を赤裸々に告白する内容です。芸術の都フランス花の都パリの裏側にあるものを浮き彫りにした書は少ないように思います。

セコくて、ズル賢いフランス人の一面が、この本にはたくさん出てきます。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。


なりふりかまわないのがフランス人の特徴。大粒の雨が降ってきても、フランス人はケチなのでビニール傘を買わない。バッグの中にあるビニール袋を頭にかぶる。人によっては靴や鞄にかけたり、即席でレインコートを作ってしまう

・お金をかけずに、「うまくやっている自分」を楽しみたいのがフランス人

・フランス人のティッシュペーパーの消費量は、日本に比べ、圧倒的に少ない。なぜなら、フランス人はハンカチで鼻をかむから。ハンカチは、エチケットとしてハンドバッグに忍ばせておくものではなく、鼻をかみまくってぐちゃぐちゃになっていいもの

・フランス人は、ゴミ分別能力はお粗末だが、廃品回収能力はハイレベル。ゴミ捨て場や道路に捨てられたモノは、業者が撤去する前に必ず誰かに拾われていく。消費天国のツケで、神経質にゴミ分別している日本人よりも、ずっと地球にやさしい

・フランスで一番購読されている新聞は無料の「20Minutes」。無料効果が、フランス社会を支え、変化させる力を持っている

・年々共働き率が上がって、仕事に忙しいフランスでは、手のかかった食事を毎晩用意できるわけがない。茹であがったパスタにバターをからめて食べるだけ(具なし)なども当たり前

・フランス料理はソースが決め手と言われているが、実はなんてことはない。煮ただけの野菜、焼いただけの肉があまりにも味気ないから、ソースを用意しているだけのこと

・あえてお金をかけ、レストランを楽しむフランス人は、客として当然の権利を堂々と口にする。料理をドギーバッグ(お持ち帰り)したり、ボワソン(飲み物)を頼まずに、自宅で酒を呑んでからレストランに出没する

・フランス人は、流行は流行と認識するに留め、決してそれらに飛びつくことはない。流行を追うことで、自分の財布の中身が減ることを恐れる。ファッションにお金をかけるわけがない

・小物(スカーフ、アクセサリー、バッグ、サンダルなど)こそがフランス人の必須アイテム。着回している古びた服を廉価な小物で雰囲気をアレンジする。そのスタイルが、日本のメディアに「フランス人に学ぶ着こなしテク」というキャンペーンに加工される

・フランスでは、よほど上のクラスでなければ、ビシッと上下揃ったスーツで勤務することはない。フランス人には、早朝の東京駅で通勤中のサラリーマン全員が、会社の社長に見える

・世界各国の観光地では、わざわざフランス語限定で「値切りお断り」と書かれていることが多々ある。それは、セコいフランス人の執念に、うんざりさせられた商売人たちの悲嘆の表われ

・フランス人は、自分の腕がプロに及ばないなど一切気にすることなく、モノが壊れれば、自己流で修理を始める。自分で修理した達成感と修理業者にお金を払わなかった満足感を大事にする

・フランスは有給休暇が年間37日で世界1位。しかも、80%のフランス人は、何としても有休をすべて消化するのが当たり前と考えている。まさに、バカンスのチャンピオン

・キャンプ形態のバカンスは、フランスで人気。家族全員で、数週間、キャンプ生活を過ごす。キャンピングカーを購入したほうが安いので、あちこち転々としながら自炊を楽しむ

・年間セックス回数アンケートで、1位に輝いたのはフランス(137日)で、最下位だったのが日本(46日)。フランス男性にとって、お金を使わずに楽しめる相手がわざわざいるのに、何もしないのは、彼らにとっては無駄でしかない

・フランス人はプレゼントを好む。気持ちが大切ということで何でも許されるので、ケチな人は、家にあるガラクタ(古着、古本、使わない食器など)を選び、それを上手にラッピングしてプレゼントにしたりする

・フランスの結婚式に祝儀袋がないように、葬式にも香典袋がない。着の身着のまま参列して、故人に別れの挨拶をする。平均の葬儀費用は、土葬の場合35万円、火葬の場合25万円。日本の葬儀費用平均236万円をはるかに下回る


フランス人のファッショナブルなイメージが覆る内容の本でした。でも、フランス人は生活をエンジョイする術に長けている印象を受けました。

本当に豊かな生活を送っている感じがします。今の日本は、まだまだ物質経済にまみれた社会です。これが、フランスのような豊かな社会になっていくには、まだまだデフレと不況が続いていくのではないでしょうか。
[ 2012/01/05 07:00 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『アラブ人の不思議な習慣』マーガレット・K・ナイデル

アラブ人の不思議な習慣アラブ人の不思議な習慣
(2001/12)
マーガレット・K. (オマル)ナイデル

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我々日本人は、イスラム教徒やイスラム教国に対して、ほとんど何も知りません。しかも、理解していこうという気もあまりないように感じます。

この本は、アラブ人の習慣や制度だけでなく、アラブ人の性格、気質や家族に対する考え方など、具体的な日常生活にまで言及しています。

アラブ諸国の本は、数多く出版されていますが、アラブ人の日常が描かれている書は、少ないように思います。しかも、欧米人が書いたアラブ人の本は珍しいのではないでしょうか。

石油産出国が多く、豊かな国も多いアラブ諸国について、理解を深めたい人には最適の書です。役に立った箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・外交政策以外の問題で、アラブ人がアメリカを非難するのを聞いたことがない。一般に中東の人々は、自分たちの生活が脅かされない限り、アメリカには興味がない

・イスラム教徒は他文化には干渉しない。西側諸国の豊かさと自由に敵意を抱いている者など稀であり、事実、何百万というアラブ人が西側の暮らしに憧れ、移住している

・アラブ諸国の政治的な多様性もまた、注目に値する。その政治体制は、王政、軍政、社会主義共和政とさまざまである

・アラブ的価値観で、人間にとって最も大切なものは、名誉と誇りと評判。中でも名誉は一番大切で、どんなことをしても守らなくてはならない。名誉(恥辱)は、一個人にとどまるものではなく、その集団や一族にまで及ぶ

・アラブ人は、たとえ自分を犠牲にしてでも家族を愛し、家族のために尽くさなくてはならない。人の貴賎は、身分と家柄によって決まる。本人の性格や能力は二の次である

・アラブ人は、寛大で、情が深くて、礼儀正しく、誠実である。しかし、ほとんどの欧米人は、アラブ人を誤解し、偏見を持っている。基本的に、アラブ人を嫌い、イスラム教徒を嫌っている

・アラブ人にとって、友達はいっしょにいて楽しい相手だけでなく、何か頼んだら引き受けてくれる人のことでもある。その結果、欧米人はアラブ人の友達に「利用された」と感じ、一方、アラブ人は欧米人の友達を「友達がいのない」奴と思う

・アラブ人は、人に何か頼まれて「やりましょう」と答えたとしても、本当にそれをやると思っていない。相手に礼を尽くすために色よい返事をしているだけ。結果はまた別。「やりましょう」という明るい返事は、善意の表明

・人を紹介されて、アラブ人がまず知りたいのは、その人の社会的地位と持っているコネ。それがわかると、今度は自分の話となり、親族や家族の自慢をして、どれだけコネを持っているか詳しく教えてくれる

・アラブ人にプライバシーはない。プライバシーという英語をアラビア語に訳すと、一番近い言葉は「独りぼっち

・アラブ人はすぐに商売相手と親しくなる。職場以外ではつきあわない同僚や、私生活に立ち入らない上司には、アラブ人はなじめない。アラブ人は知り合いはみな友達と思っている

・アラブビジネス界では、知り合いは多ければ多いほどよく、公私混同したほうが有能なビジネスマンになれる。道理や理屈よりも顔がものを言う世界

・アラブ人には事実をそのまま言ってはいけない。彼らの傷つきやすい自我を守るためには、事実はオブラートで包まなくてはならない

・一声かけるだけで、アラブ人の態度はがらりと変わる。列で割り込まれたら、「並んでください」と声をかければ、割り込んだ人はたいてい謝る

・アラブ人は人の気持ちを大切にする。そんなアラブ人からすれば、欧米人は物事を抽象的、論理的に捉えすぎ、人に対する繊細さに欠けているように見える

・アラブ社会は柔軟。個人的に特別な事情があれば、ただ規則を当てはめるのではなく、例外を作ってくれる。法は万人に当てはまると考える欧米社会では、まずこんなことはない。アラブ文化で大切なのは、規則ではなく人間

・大人なのに、結婚していないなんて、アラブ人には信じられない。アラブでは、人は結婚するもの。アラブ人は、子供は宝だと思っている。家名を高め、老後の面倒を見てくれる息子ならなおさら

・家庭では、女性が采配を振るう。家計、子供のしつけ、教育、縁談で主導権を握る。夫の役割は外で稼いでくることだが、妻はお金を家庭に入れる必要はない。女性は自分のお金や財産を持っており、結婚後もそれを守る権利が、イスラム法で定められている

・アラブ人は、時間に几帳面ではない。人を待たせても平気で、謝りもしないのが普通。「時間通り」にこだわると、忍耐力のない、うるさい人だと思われる

・アラブ人のほとんどはペットが嫌い(特に犬)。アラブ人の客が来るときは、ペットを見えないところに隠しておくこと

・アラブでは、身なりが資産と社会的地位を表すので、上流階級の人は、人前に出るときは、常に服装や外見に気を遣う。いい服を着ることは、アラブ人の自尊心の重要な部分

・アラブ人は、雇用主、同僚、友人に対しては、深い義務感を持たない。誰でも、頼りになるのは、親族だけだと思っている

・イラク国民の58%がいとこと結婚している。サウジアラビア、クウェート、ヨルダンも50%以上。結婚で大切なのは、相手の社会的地位と資産状況なので、家族、性格、経済状況がよくわかる相手と結婚すれば安心できるのがその理由

・イスラム教徒は、基本的な家計費を除いた手取りの年収の2.5%を「ザカート」(宗教税)として、支払う義務がある。このお金は、地域社会の福祉、特に貧しい人のために使われる

・アラブ人は、おしゃべりだから、同じことを繰り返すし、興奮すればわめき散らすし、大袈裟な身振りまで加える。彼らは言い分を強めるために、会話の中に、誓いの言葉(神にかけて誓う)を挟み込み、効果をあげるために誇張する



アラブ人以外の人にはなかなか理解できないことが、アラブには数多くあるように見受けられます。

しかし、郷にいれば郷に従えで、アラブ社会に入っていこうと努力する人には、アラブ人は、温かく歓迎してくれるように感じます。

世界の人口の相当数を占めるアラブ人と、仲良くしていくことが、これからの日本には必要です。アラブ人と理解を深める入門書として、この本は役に立つのではないでしょうか。
[ 2011/11/08 06:35 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『ラテンに学ぶ幸せな生き方』八木啓代

ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社プラスアルファ新書)ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社プラスアルファ新書)
(2010/07/21)
八木 啓代

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著者は、ソロ歌手として、中南米で活躍されている方です。現地でCDもリリースされて、日本とラテン諸国を往き来されています。

ラテン人に接している著者が、ラテン人気質と日本人気質を比較し、考察しているのが、この本です。

目からウロコのことも数多く記載されており、あっと言う間に読みました。楽しく、しかも、ためになった箇所が25ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



世界価値観調査による「現在の生活満足度」で、上位3カ国をラテンアメリカの国々が占めた。1位はコロンビア(麻薬戦争などで悪名高い)、2位メキシコ、3位グアテマラ

・ロンドンに本部を置く新経済財団が行った「地球幸福度指数」でも、1位がコスタリカ、2位ドミニカ共和国、3位ジャマイカ、4位グアテマラと中米諸国が続く。一方、調査国であるイギリスは74位、日本75位、アメリカ114位.G20中の最上位はブラジル

・日本の自殺者は年間33000人弱。引き取り手のない死者(無縁死)の数も年間32000人。一方、激化する一方と日本のメディアに取り上げられるメキシコの麻薬戦争の死者数は1年で7600人。その死傷者はマフィアの構成員で、一般庶民の死者数は稀少

・WHOの出している自殺率の国際比較では、自殺率の低い国として、ラテンアメリカ諸国がずらりと並んでいる。当地の人々は、「無縁死」など考えられないと言う

・ラテンと言えば、「いい加減」「女たらし」「享楽的」というイメージがある。しかし、その一方で、「人生を楽しむ」「食べることや芸術を愛する」というイメージもまた強くある

・ラテン系の人たちは、お金がないならないで、生活を楽しむ余裕を持っている。内戦中で、肝心の家が壊れてなくなっているのに、焚火をして、一族郎党持ち寄ったありあわせの食料で、楽しく串焼き宴会をやっている

・見ず知らずの女性に向けて投げかける甘い言葉をスペイン語で「ピローポ」と言う。けれど、日本人が誤解しているのは、ピローポは、あくまで「挨拶の一環としての褒め言葉」であって、「特別な好意を持っている相手に対しての口説き文句」ではない

・「相手を褒める」という前向きな姿勢や褒め言葉は、多少そらぞらしくても、人間関係の潤滑油になる。基本的に、ラテンの国々には、できるだけ相手の良い点を見つけるという、褒める文化がある

・褒めるには「観察力」がものを言う。ラテンの人たちは、姿形だけでなく、その人の内面もきちんと褒める。探すのはよいところだけ。これで、ラテンの人間関係はスムーズに運ぶ

・日本の男性陣が、銀座のクラブ、キャバクラ、流行りのメイド喫茶、執事喫茶に行くのは、嘘でもいいから、誰かに褒めてもらいたいから。人間は、無意識に言葉の力により、活力を得て、ストレスを解消している

・ラテンの世界では、夫婦お互いの呼び方として、「ミ・ビダ」が一般的。その意味は、「わが命」

・ひたすら相手を褒めるラテン人のスタイルは、身近な異性に対してだけでない。当然ながら子供にも発揮される。小さな時から、「愛している」「あなたが宝物」と言い聞かされ、ほおずりされ、ほっぺたにキスされ、抱きしめられて、子供たちは育つ

・褒めることと甘やかすことは全く別。甘やかすことは、子供を見ていなくてもできるが、褒めるためには、子供を見ていなくてはならない。相手に無関心だと褒めることはできない

・ラテンの国々では、15歳を過ぎると、もう子供として扱われることはない。女の子は、レディーとしての振る舞いを要求されるし、男の子は、女性を立派にエスコートできなくてはならない

・ラテン男は、15歳を越えれば、普段から毎日のように、女性に手を差し伸べる。だから、若くてかわいい女性だけではなく、年配のご婦人にも、体の不自由な人にも、高齢者にも、ためらいなく手を差し伸べることができる

・「お母さんと奥さん、どっちが大事?」の質問に、大抵のラテン男は「お母さん」と答える。お母さんは、僕を産んでくれた人。お母さんがいなければ、妻と出会うことも結婚することもなかったと考えている

・ラテンの女性が、日本に来て一番驚くのは、男の子の部屋が汚いこと。日本の公共の場所は清潔なのに、部屋がひどく散らかっているのはラテンアメリカではあり得ないこと

・ラテン世界では、子供部屋といっても、あくまで親の所有物であり、主権が親にあるのが当然。「引きこもるって、どういうこと?」という人が大半

・ラテン世界ではホームパーティーが盛ん。家がいつ人に見られても恥ずかしくない程度に整理整頓されていれば、すぐに人を家に集めることが簡単。また、家に客を招き、パーティーを開くからといって、特別なものを用意しないのが、ラテンの常識

・「お金がないから結婚できない」のは日本の常識だが、ラテンアメリカでは、「お金がないからこそ、就労状況が不安だからこそ、結婚して2人分の収入で、生活費をシェアする」

・ラテン人は、豊かな日本で、ホームレスがいることが理解できない。日本人は「失業→住所不定→ホームレス」という図式になるが、ラテン人なら、まず間違いなく、友達の家に転がり込む

・ラテン人は「共感力」が高い。悩んでいる人、悲しんでいる人がいれば、とにかく理解しようとする。そして、そばにいてあげる。彼らは、「おせっかい」と思われることをまったく恐れない

・ラテン人が音楽を大事にするのも、踊りを愛するのも、ひとりだけで楽しむためではなく、他者との関係をつなぐための潤滑油として使うため

・ラテンアメリカの人々は「しょうがない」という言葉をよく口にする。やれるだけやった、でも、上手くいかないこともある。時代が悪い、運が悪い。この価値観を持っていれば、自殺にまで追い詰められることはない

・「火事場の馬鹿力」という言葉ほど、ラテン人に似合う言葉はない。直前まで物事が決まらず、これは絶対無理だと思わせられることなど毎度と言っていいくらい。しかし、最後に必ず何とかしてしまうのがラテン人


今の日本人は、ラテン人の爪の垢でも煎じて飲まないといけないのかもしれません。でも、日本人も、江戸時代は、ラテン人に近かったのではないでしょうか。

経済成長をしている時代のモードは捨てて、経済停滞時のデフレ対応的生き方、つまりラテン的生き方をして、幸せに暮らす術を身につけることが急務かもしれません。
[ 2011/10/03 06:31 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)

『インドと組めば日本は再建できる』アショック・ロイ、鈴木壮治

インドと組めば日本は再建できるインドと組めば日本は再建できる
(2011/06/09)
アショック・ロイ 鈴木壮治

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インドの人口は12億人。しかも、若年人口が多く、なんと世界の25歳以下人口の4分の1をインド人が占めています。

これから、明らかに発展していくのは、中国ではなく、インドに違いないと言われています。

防衛的にも、日本は、アメリカとインドと仲良くすれば、中国を牽制することができます。そうなれば、アジア諸国も、この日米印連合になびき、中国を相当あせらせることが可能になります。

このような期待がかかるインドの実態を、教えてくれるのが、この書です。大変役に立った箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・インドは多民族多宗教共同体からなる集合体であり、12億人の人々は一様ではない。南と西に住む人々は菜食主義者で、東と東北に住む人々は魚と肉を食べる

・インド人はみな英語を話すと思っている日本人は多いが、英語を話せるインド人は5%強くらい。数なら6000万人

インド人のラストネームを聞けば、出身地や食生活までわかる。同じ地域で、同じ言語を使い、同じ信仰、同じ文化の出身者でコミュニティーをつくったためである

・東インドはビジネスを目指す人より、教育、哲学に熱心な人が多く、公務員になる人が多い。それに対して、南の人はIT関係が圧倒的に多い

・インドは、いまだに女性の社会的地位は極めて低く、また貧困層(1日1ドル以下で生活する人)が減ったとはいえ、4億人いる

豊かな水のおかげで、インドは昔から農業が盛ん。米、小麦、サトウキビ、紅茶、菜種、トウモロコシ、豆類、ジュートなどが世界の1、2位を競うほどの収穫高。人口の3分の2が農業に関与しているが、農業のGDP比は18%くらい

・インドでは、子供に何かを教えるとき、ちょっと哲学的な話を絡めて教えるのが習わしになっている。哲学は思考の道筋を見出すものであり、人間が生きていく上で大きな支えとなるもの。インド人は哲学を守り続けてきた

・中国は法治国家ではなく、人治国家で政治が強い。司法の独立が不十分なので、外国企業は不安を抱いている。インドでは知的所有権の保護がしっかりしているから、その技術を盗まれることはない

・インド経済の問題点は、電気と高速道路、鉄道などのインフラが不整備なこと。それと、労働組合が強すぎること

・ITにおけるソフト作りは、プロセスを重視し過ぎると、遅々として前に進まない。ルールを無視して、いろいろな方法を考え、新たなものを作り出すのはインド人の得意とするところ

・現在、アメリカで働く医師の3割がインド人。IT関係、金融関係、そして医療関係にインド人が多い

・インド人は中国が嫌い。その理由の一つは、急成長に対する「嫉妬」だが、もう一つは、言論の自由がないことへの「嫌悪感」である

・中国の華僑が主にアジアに集中しているのに対し、NRI(海外で成功しているインド人)は世界各国に広く存在している。とくに、旧イギリス連邦の国々に多い

・インド人はイラン、アラブ首長国連合などの中東諸国とアフリカ諸国とは仲がいい。中東は日本人のことも嫌っていない。だからこそ、インドと日本が組んで、中東、さらに東アフリカ諸国との外交、経済交流を進めていくべきである

・世界のコンピュータ市場では、ハードは中国で、ソフトはインドが主導権を握りつつある

・インドの経済成長は、2003年~2007年の5カ年計画期間の平均成長率は8.8%。2007~2011年の成長率目標も9%に設定されている

インドの不動産への投資金額は、これからの5年間で、2000億ドル以上になると言われている

・インドの建物のクオリティーはよくないから、海外の建築会社には絶好のチャンスのはずなのに、日本のスーパーゼネコンは、まだ本格的に動いていない

・インド人の日本のイメージは、1位「先進技術国」2位「経済力のある国」3位「平和を愛する国」。日本人に対しては、1位「勤勉」2位「能率的な経営慣行」3位「創造的」。インドにとって重要な国は、1位「米国48%」2位「ロシア30%」3位「日本14%」

・インドは、政治と経済がきちんと分離できている。レアアース問題で明確になったように、政治と経済が切り離されていない中国は、日本の経済活動としては、まったくもって迷惑なこと



身近な話で恐縮ですが、最近、インド料理店が、我が家の近くに2軒できました。昼のランチは、500円~700円で、良心的な価格設定です。何回か利用しましたが、働いているインド人は、みんな、好感の持てる真面目な人たちでした。

また、近くにある外国人学校の生徒も、今やインド人が半数以上を占めているそうです。

このような例からしても、インド人は、日本を居心地のいい国と思ってくれています。また、日本人に好感を持ってくれています。

しかし、日本人は、インド人が持ってくれている好意や好感に応えていません。実際、インドやインド人に対して、関心が薄いように思います。

これから、中国が脅威になってくるのは間違いありません。横暴になるかもしれない中国に対して、インドとの良好な関係は、日本の国益にも適います。

この本は、日本人がインドやインド人に関心を持つための入門書として、最適なように感じました。
[ 2011/08/29 06:53 ] 海外の本 | TB(0) | CM(0)