とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『PM2.5越境汚染』沈才彬

PM2.5「越境汚染」 中国の汚染物質が日本を襲う (角川SSC新書)PM2.5「越境汚染」 中国の汚染物質が日本を襲う (角川SSC新書)
(2014/03/10)
沈 才彬

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中国の環境汚染は深刻なレベルに達しています。PM2.5のような大気汚染だけでなく、土壌汚染水質汚染食料汚染など、汚染は複合化しています。

人が環境をつくると同時に、環境が人をつくります。最近の中国の動向を見ていると、人の心も汚染されてきているのではないでしょうか。本書は、中国の汚染の実態が記されている書です。参考になった点をまとめてみました。



・「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」(田中正造)。中国が出すべき答えは、この田中の言葉にはっきりと示されている

・中国の河川の40%が汚染されており、人が触れることもできない有毒な川は全体の2割まで達している。地下水にいたっては、95%の都市で汚染が確認され、そのうち60%が厳重汚染とされている

・中国の土壌の40~70%が重金属化学肥料に汚染されている。このため、カドミウムのような重金属に汚染された食料が市場に出回っている

・WHOの発表によると、世界各国で毎年200万人が大気汚染の影響で死亡しているというが、そのうち65%がアジア人。事実、北京市の肺がん患者はここ10年で60%増えている

・PM2.5が人体に及ぼす悪影響には、喘息、気管支炎といった呼吸器系の疾患が多い。そのほか、心臓や血管などの循環器系疾患への影響も指摘されている。とくに、子供や高齢者は免疫力が弱く、PM2.5を吸い込むと呼吸器系疾患にかかりやすい

・清朝時代から都に住んでいる北京人のプライドは高い。そのため、3K(危険、きつい、汚い)の仕事をやりたがらず、これらの仕事を出稼ぎ労働者に任せるため、北京への人口流入を招いている

共産党の人事政策では、経済成長を成し遂げた人が評価される。任期中にGDPが前年比0.3%上昇すれば、昇進率・出世率は8%高まるが、市民の生活改善や環境保護に力を費やすと、昇進率・出世率はマイナスに落ち込むことがわかっている

・PM2.5の日本のレベルは中国の50分の1から20分の1程度でしかないが、西日本では、1日平均値の環境基準を上回る日も出てきている

・中国には、長江、黄河などの7本の主要河川があるが、これらの河川流域面積の半分以上の水質が汚染されている

湖の汚染も深刻。35の主要な湖のうち、17の湖が厳重汚染の指定を受けている。また、地下水の汚染も進行しており、都市部水源の4割が飲用不能

地下水汚染には、次の3つの経路がある。「1.工業排出物」「2.化学肥料」「3.ゴミ捨て場から染み出た有害物質の浸透」3による汚染は、日本では想像できないが、中国では大問題となっている

・中国の耕地面積の20%に相当する2000万haが汚染されている。土壌汚染により廃棄された食料は年間1万トンにのぼり、損失額は毎年200億元(約3400億円)に達している

・現在の北京には、PM2.5、砂漠化渇水交通渋滞、人口急増と、様々な問題が押し寄せてきている。近い将来、首都としての機能が麻痺するという危惧が強まっている

・1980年代から年間2460㎢(ほぼ神奈川県の面積に匹敵)の土地が砂漠化している。砂漠化によって影響を受けた人は、すでに4億人。砂漠化は黄砂の原因となり、春には朝鮮半島や日本にも影響を与えている

・国土の砂漠化に加え、中国は渇水問題にも頭を悩ませている。中国の1人当たりの水資源は2300㎥しかなく、世界平均の4分の1にしか過ぎず、世界121位という低ランクで、最も水が不足している国の一つ

・中国は、自国内部に「環境破壊」という安全保障上の問題を抱え込むこととなった。この脅威は外部からもたらされたものではなく、自身によってつくられたもの。「北京廃都」は政府が最も恐れるシナリオ

・中国には、散歩しているかのような体裁をとりながら、無言の抗議を行う抗議活動(デモ)がある。このデモを政府は「群発事件」と呼んでいる。群発事件の発生件数は1年に20~30万件。特に、環境問題に端を発したデモが頻発している



先日も、中国の食料汚染が話題になりました。空気も汚い、水も汚い、土も汚ければ、安全な食品などつくれるはずがありません。

しかし、考えてみれば、空気や水や土を汚くしているのは、中国国民です。つまり、心の汚い人たちだから、食品も汚くなるといってもいいでしょう。心の汚染が終焉するまで、中国の食品に手を出さないほうが無難かもしれません。


[ 2014/08/29 07:00 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『森から生まれた日本の文明―共生の日本文明と寄生の中国文明』黄文雄

森から生まれた日本の文明―共生の日本文明と寄生の中国文明 (アマゾン文庫)森から生まれた日本の文明―共生の日本文明と寄生の中国文明 (アマゾン文庫)
(2010/03/02)
黄 文雄

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著者の本を紹介するのは、「厚黒学」「中国陰謀学入門」に次ぎ、3冊目です。本書も、中国及び中国人に関する書です。

そのキーワードを日本は「共生」、中国は「寄生」として、台湾出身者の視点で日中文明論を展開されています。興味深い切り口の数々をまとめてみました。



・文明の衰退は、地力の過剰な収奪による表土流出、土砂堆積、水資源枯渇、砂漠化、森林喪失、そして水旱、疫病などによって、地力が衰退することで起こる。流民や難民は別天地を探し、そこでまた地力を収奪する。こうして生まれたのが中国の寄生文明

森林を破壊する文明が地球に広がると、一神教が支配的な思想となる。一方、アニミズムの世界に生きて、自然と人間あるいは森と人間が共生するような文明は、未開であり野蛮なものと見なされるようになる

・中国人と日本人の国民性を一言で言えば、木を伐る民族木を植える民族の違いに尽きる。それは、寄生の文明と共生の文明という風土から育てられた民族性である

・中国の森林喪失は、避けられない文明の法則や自然観によるもの。孔孟(孔子と孟子)の人間優先思想と老荘(老子と荘子)の自然優先思想の対決の中で、漢代の儒家独尊国家政策により、人間的価値が自然的価値より優先となったから

・日本人ボランティアの植林パフォーマンスとして、中国へ植林に行く者があるが、これほど偽善的な行為はない。中国は禿げ山だらけで、砂漠化は昂進しているが、数億の農村余剰人口がいる。1人当たり生産性はアメリカの150分の1。ヒマ人だらけ

・「砂漠」と「砂漠化」は違う。もともと降水量が少なく植物が生育できない土地が「砂漠」であり、本来は植物があったのに、何らかの原因で不毛の地になる現象が「砂漠化」。中国の砂漠化はとくに深刻。砂漠化した国土面積はすでに全国土の3分の1にまで達している

・中国は常に「発展途上国」として語られ論じられているが、実はすでに数千年来、開発しつくされた過剰開発国家

・過剰な人口を養うための生活用水や急発展の工業を支える工業用水は地下水に頼っているため、全国的な地下水の低下、地盤沈下が深刻。灌漑目的の河川の流れ変更、都市化による河川・湖沼の水や地下水の大量使用が、砂漠化に拍車をかけている

・エネルギー消費量に占める石炭の割合は、日本18%、アメリカ24%に比べ、中国は71%(全世界平均では27%)。石炭消費が大きいことは、浮遊粒子や硫黄酸化物の排出量も大きいことを意味する

・中国人は有史以来、北方から南方へと、地上資源を食いつぶしながら南下し続けてきた。さらに地下資源に期待し、今日に至っては、地球資源に寄生せざるを得なくなった

中国の流民は、水旱、飢饉、戦乱によって常に繰り返される。ことに王朝末期に大量に噴出する。20世紀に入っても続き、西北大飢饉で陝西省を離れた婦女百余万人、売られた者七十余万人。男子も加えると二百万人が流民となった。これは全省人口の六分の一

・儒家思想とは、寄生文明から生まれたイデオロギー。「礼の主張は、形式的支配秩序の論理」「忠孝の思想は、家族論理から天下を正当化する奴隷の思想」「科挙制度は、一極集中の官僚制度による掠奪制度を確立するシステム」

・儒教思想の中でも最も極端に排他的なのは、朱子学。その独善性は、朱子学以外のすべての学を排斥するだけでなく、仏教を初めとする宗教をすべて排斥し、敵対視する。また、教義の中で、異民族を蔑視し、帝王を徹底的に尊重する

・日本が幸運だったのは、聖徳太子の時代から平安鎌倉時代にかけ、主流は仏教思想であったから。儒教思想は、江戸時代になって、やっと徳川幕府に取り入れられた。それゆえ、日本は仏教国家の道を歩み、儒教国家にはならなかった

・中国人の自己中の対極にあるのが、日本人の思いやり。他人への思いやりは義理人情の社会をつくる。それは、他人あるいは余所者を見れば、すべて敵かカモと見なす中国人とは全く違う社会から生まれた人間観であり社会観

・中国を知るには、「」「」「」「」「」の五文字で十分。最も簡潔な中国観

・中国の美は巨大にして完璧な美。日本の美は「七分の美」、完全や完璧を求めない。常に「余白」や「間」を残している



本書は、中国と日本を客観的にとらえています。それは、肉食系と草食系の違いなのかもしれません。

漢民族をわれわれと同じ草食系と見ると、痛い目に遭います。絶えず、警戒しながら、食われないように、生きていくことが重要であることを教えてくれる書でした。


[ 2014/03/21 07:00 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『中国人には、ご用心!』孔健

中国人には、ご“用心中国人には、ご“用心
(2012/09/25)
孔健

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中国という国を理解しようとしても、なかなか理解できません。それを知るには、公式なものではなく、もっと庶民の日常的なものが大事なように思います。

著者は、孔子直系の子孫で、日中関係評論家として活躍されています。本書は、中国の大衆のことが多く、興味深く読めました。その一部をまとめてみました。



・中国社会は今、拝金主義に陥っている。多くの人が浮き足立ち、頭の中はお金のことだけ。中国人は古来より貧しかった。何千年に渡り、豊かだったのは、支配階級や一部の商人だけ。それが今や国民全部に豊かになる道が開かれた。お金に群がるのも仕方がない

・中国人は今、老いも若きも「狼の道」(金に群がる拝金主義)を歩んでいる。人の心を傷つけ、裏切っても、自分だけは金持ちになるのが正義、という社会。道徳はすり減った

・中国人女性と日本人男性が結婚する数は、1年間に2万カップル以上。そして、たっぷりと慰謝料を懐に入れ、子どもの手を引いて、中国に帰る中国人女性も多い

・浙江省温州の人は「中国のユダヤ人」と称され、古くから金儲けがうまい。偽ブランド商品の製造も盛ん。温州人150万人が、中国各地で軋轢を起こしながら商売をしている

・自宅と車と別荘を持ち、海外旅行をする人々を中国ではリッチマンと呼び、約7500万人いるといわれている。中国総人口の5%。中国の富裕層は、一代で財を築いた「爆発戸」と呼ばれる成金。市場が広いだけに、一発当てれば爆発戸も夢ではない

・中国には、一人っ子政策以降、戸籍のない「黒孩子」が、数千万人いる。黒孩子は、戸籍上は存在しないため、学校教育や医療など行政サービスを受けることができない

・中国では、日本現地企業に働く幹部は、ほとんど5~6年勤めてから、中国の企業に転職するという風潮がある。日系企業は、中国企業への転職用の専門学校のようになっている

・中国では、党の幹部が妻子を外国に出し、一人中国に残るのを「裸官」と言うが、不正が発覚しそうになる寸前に「裸官」本人が海外逃亡をはかるケースが増えている。1998年から10年間で、海外逃亡した政府や国有企業の幹部は17000余人。流出資産は約10兆円

・中国人の国民性を表わす言葉は、「自尊自大 自満自足」(なんでも世界一)、「吃苦怕難 貪図享楽」(苦しいことは苦手だが、享楽は好む)、「克己忍辱 残酷無情」(我慢強さも残忍さも世界一)、「反古薄今 旧習悪俗」(常に不平不満をもらし悪い習慣を直さない)

・今でも中国では「日本はその昔中国がつくった国」と思っている人が大勢いる

・中国人の伝統的長所を表わす言葉は、「謙虚学習 団結向上」(天が与えた不遇から脱却するには勉強するしかない)、「尊重権威 官僚為重」(権威を尊重し、官僚を重視する)、「修身斉家 楽天知命」(自分を磨き家庭を平穏に保ち運命に従う)

・人付き合いの実践すべき項目、「無事随訪」(用事がなくてもたまに尋ねる)、「礼多無妨」(心を込めて時々贈り物)、「信上往来」(会わなくても文章でやりとり)、「以書会友」(勉強会に積極的に参加)、「活用所長」(お互いの長所を活用)、「背無悪言」(悪口を言うな)

・中国人の欠点を表わす言葉は、「自我為重 利益第一」(自己中心、自分の利益しか考えない)、「面子如命 相互不信」(面子を大事にし、お互い信用しない)、「馬虎了事 曖昧不明」(完璧を求めず、責任もとらない)「厚黒多計 闘争為栄」(腹黒い恥知らずが跳梁跋扈)

・最近目立つのがヤクザの社会進出。魚市場、野菜市場、精肉関係、セメント業界、建築土木業界、建材関係など、利権が発生するところはどこもヤクザが仕切っている

四直轄市の省民性、「北京」(怠惰な人間が多く、政治好き)、「天津」(女性が男性的)、「上海」(日本人男性との結婚が理想)、「重慶」(男は正業に就かず、女性が麻雀好き)

華北・東北・華東・華中の省民性、「河南」(評判がよくない)、「黒龍江・吉林・遼寧」(情熱的だが、気が短い)、「山東」(礼儀正しく、評判がいい)、「江蘇」(治安のよさは全国一)、「浙江」(中国のユダヤ人)、「安徽」(いまだに貧しい)、「湖北」(叡智に富み、美女が多い)

華南・西北・西南・五自治区の省民性、「福建」(日本の居酒屋で働く女性が多い)、「広東」(実利を好む)、「湖南」(男の気性が激しい)、「青海」(保守的で閉鎖的)、「四川」(多くの才能を輩出)、「雲南」(少数民族が多い)、「内モンゴル」(勇猛)、「チベット」(穏やか)

・来日した中国人は99%日本を好きになって帰る。日本に住む100万の中国人も穏やかに客観的に見ている。問題なのは、大多数を占める日本のことをよく知らない、また知りたいとも思わない中国人。しかし。この大多数の動き方が中国の行方を決める要因となる



中国と付き合うのは、なんて難しいことかと思えた内容の書でした。とらえどころのない雑多な大国を杓子定規に判断しようがありません。また、現在の日本と中国は、性格も大いに違ってきています。

付かず離れずの関係で、ご近所付き合い程度の「日中薄交」で、当分はいくしかないのかもしれません。


[ 2014/01/29 07:00 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『中国絶望工場の若者たち・「ポスト女工哀史」世代の夢と現実』福島香織

中国絶望工場の若者たち 「ポスト女工哀史」世代の夢と現実中国絶望工場の若者たち 「ポスト女工哀史」世代の夢と現実
(2013/03/02)
福島 香織

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昨年秋に起こった中国での反日デモと日系工場のストライキは記憶に新しいところです。本書は、暴動が起こった原因を、日本の工場で働く中国人と中国の日系工場で働く中国人に取材して、探ろうとしたものです。

その原因には、中国の複雑な制度が横たわっています。現在の中国の若者を知る上で貴重な書です。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・親が農民工(出稼ぎ農民)の子供である「第二世代農民工」は、日本車が憎いのではなく、日本車を持っている金持ち層が憎くて、日本車を叩き壊した

韓国への出稼ぎを嫌がるのは、「1.仲介業者に預ける保証金6万元(約100万円)が帰国後全額返金されない」「2.労働時間が12時間~14時間と長いのに日本より給料が低い」「3.日本のように住居・宿舎が準備されない」「4.韓国人のほうが性格がきつい」から

・中国の一人っ子政策では、一人目が女の子や障害児であれば二人目を産んでもいい。次も女の子だったら、三人目から罰金が1万元(約16万円)かかる

・検品は日本人担当者がするが、本当にささいなキズを見つけては、納品を拒否する。そうなると金を払わない。すると、経理が怒って工場長を怒鳴りつける。ライン長がワーカーを蹴り上げる。検品の後の工場内はギスギス、ピリピリして地獄

・日本人は、日本製品がつくられている現場を知らない。管理のやり方が、1分遅刻したら罰金1元、トイレが1分長いと罰金1元、居眠りしたら1元罰金。何でも罰金、罰金

・2012年春節前に日系工場で起きたストライキには反日感情はない。このストライキは「経済補償金先払いスト」。まだ退職しないが、退職したとき本当に退職金が支払われるかどうか心配なので、今まで働いた分の退職金をとりあえず先払いしろ、というストライキ

・日系の工場はストレスがたまる。5S6S(整理・整頓・清掃・清潔の頭文字をとって4つのS。これに躾か作法が加わる)とか、耐えがたい

・日本人が尊ぶ「約束を守る」「時間を守る」「嘘をつかない」といったマナーを持ち合せていなくとも、中国では特に批判されない。むしろ、無法で厳しい中国社会を渡っていくには、相手を言い負かす自己主張力や、自分の落ち度を認めない交渉力のほうが必要

・賃金未払いなど、中国の工場ではよくあること。それより、トイレ休憩とか、携帯電話の持ち込みとか、そういう自由のほうが大切。今どきのワーカーは、3か月賃金未払いよりも、管理が厳しい職場のほうがイヤ

・2010年以降の日系企業のストライキ成功体験から、日本人相手ならば要求が通ると思われている。だからこそ、日本から日本人社長が来ている最中に合わせてストライキを行う

・ワーカーに対する管理や評価を中国人中間管理職に任せっぱなしにせず、日本人管理職がワーカーのいる現場に降りて、彼らの要求を直接吸い上げるべきだが、そういう日本人管理職(中国語が堪能、中国理解が深い、ストライキ対応経験あり)がいないことが問題

・「農民工」というのは差別用語。農民でありながら、工人(労働者)であるという言葉。日本語で言えば「出稼ぎ農民」。都市に暮らしていても、農民は農民というのは、中国の戸籍管理制度に由来する

・農民工には都市民の権利(医療、結婚の自由、子供の義務教育など)が与えられなかった。立場の弱い彼らは、悪条件で搾取され続け、厳しい差別や侮蔑、迫害の対象となった

・農民工同士が結婚し、そこで産まれた子供が「民工子女」。彼らは都市生まれだが、都市戸籍がなく、都市の公立校入学資格もない。親の期待に応えて大学に進学しても、農民戸籍ゆえに就職差別(都市の就職は、都市戸籍を有し、コネを持つ者が優先)される

・農村戸籍大卒者は「蟻族」と呼ばれる高学歴ワーキングプアとなって、都市の片隅に住むようになっていく。農民工は目下2.5億人、その6割の1.5億人が「第二代農民工」。故郷に帰って農業に就こうと考えているのは、わずか1%、99%が都市に溶け込みたい

・ネットで都市民の女の子と知り合っても、オフ会で、農民工だと分かると、フンと鼻先で笑われ、歯牙にもかけられない。休みの日に遊ぶ相手は同郷の同じ農民工しかいない

・2012年の反日デモ暴動が、中国当局の暗黙の指示や誘導による官製デモであるにしても、あれほどまでに若者が無法化し、破壊活動を起こしたのは、日本への憎しみでも歴史への恨みでもなく、「第二代農民工」の若者たちの抱える孤独と絶望感によるものと考えられる



中国の都市民と農民の差別問題がこじれ、「農民工」に不満が蓄積していけば、新たな天安門事件に発展していく可能性があります。その不満のガス抜きに、反日を利用しようとする中国当局のあざとさに閉口しますが、現実に、そうせざるを得ないのかもしれません。

チャイナリスクを把握するには、経済指標だけでなく、社会問題も考えておく必要があります。中国社会の歪を知る上で、本書は、貴重な書ではないでしょうか。


[ 2013/09/16 07:00 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『島国チャイニーズ』野村進

島国チャイニーズ島国チャイニーズ
(2011/08/25)
野村 進

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著者は、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した実力派ライターです。本書は、日本在住の中国人を取材して、本当の姿を聞き出した、内容の充実した作品です。

取材先は、劇団員、留学生、教授、妻、学校、チャイナタウンなど多岐にわたります。日本にいる中国人の実態が非常によくわかり、そうだったのかと思えた点が多々ありました。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



劇団四季には、中国人俳優が24人、韓国人俳優が48人。700名いる所属俳優の1割以上が外国人俳優。中国人・韓国人俳優のほとんどが日本名の芸名を名乗っている。「名前」という文化的アイデンティティーを死守する気概が、中国人には感じられない

・中国で雑技団にいた人は、日本で器械体操をしていた人より体ができている。ウォーミングアップを一切しなくても、ケガをしない。中国ダンサーの身体能力の高さとハングリー精神に、中国でのミュージカルの可能性を感じる

・中国共産党は、「千人計画」をぶちあげ、「海外有名学者」や「海外傑出人物」の呼び戻しに力を入れ、一人百万元(1500万円)を支給したうえ、最高峰の大学や企業、研究機関に、破格の待遇を用意して迎え入れている

・日本にいる中国人の大学教授や研究者のほぼ全員が、本国から好条件の誘いを受けている。しかし、彼らが勧誘に乗らなかったのは、子供の教育の問題。日本で教育を受けた子供は、言葉の面でもメンタリティーの面でも、中国人よりずっと日本人に近くなっている

・池袋界隈は「東北三省」(遼寧省・吉林省・黒竜江省)出身、蒲田は福建省出身、大宮は上海出身など、民族や出身地で、多数の「在日中国人コミュニティー」ができている

・反日・嫌日になるのは、バイト先などで日本人から受けた差別や屈辱による場合が断然多い。1990年代に留学生の間でささやかれた「留日反日」(日本に留学して反日になる)という自嘲は、いまだ死語になっていない

・「国家」が嫌いなら「国民」も嫌い。日本人は「国家」と「国民」を分けて考えられない

・日本の入国管理局は、留学生の送り出し地域別のブラックリストをつくっている。福建省や東北三省、内モンゴル自治区を不法就労や偽造文書作成などの前歴から要注意地域とみなし、それらの地域出身の留学生の入国審査をとりわけ厳格化している

中国人留学生の多い大学では、彼らだけで固まる傾向がある。日本人学生も、群れ集って声高に話す留学生たちを「何気に怖い」と遠巻きにながめ、近寄ろうとしない。中国人留学生も、日本人学生に対し「いつまで経っても中に入れてくれない」と不満を募らせる

・拝金主義と利己主義が蔓延する今の中国で、「親孝行」という徳目だけはまだ生き残っている。中国人留学生は、卒業式に両親を呼ぼうとする

・山形、秋田などの東北地方には、外国人妻が大勢暮らしている。これら地域のファミレスは、外国人妻たちの溜まり場になり、中国語や韓国語やフィリピノ語が飛び交っている。山形県の外国人妻の数は、二千人を超え、その半数近くが中国出身者

・中国はいま高度成長で、みんな気持ちが「お金、お金」に向かって、心というものを失いかけている。医者でさえ賄賂をとる。みんな、株で「もうかった、もうかった」という話ばかりする。中国にいたら、同じような人間になってしまう

連れ子のいる中国人花嫁が増え続けている。特に「東北三省」出身の花嫁に、連れ子の姿が目立つ。日本人男性への一回の仲介料は、200万円台から300万円台が相場

・1899年開校の神戸中華同文学校(小1~中3まで681名の生徒)では、日本国籍者が74%近くにのぼる。にもかかわらず、日本国からの援助がほとんどない。中華同文学校の教員給与は、兵庫県内の公立学校に比べ、4分の3にも届かない

・華僑への就職差別は、1980年代中頃まで明らかに存在した。旧財閥系有名企業でも、日本国籍者以外に、内定通知取消をしていた。今では逆に、中国語が堪能な華僑の子弟のほうが、就職に有利になった。日本企業の手のひらを返すような振る舞いに危惧を感じる

・華僑は、在日韓国・朝鮮人社会がとってきた、民族差別を日本社会に訴えるやり方と、あえて距離を置き、民族差別反対運動に関わらないほうが無難とみなしてきた

・いま中国では、競争し合っている。向上心も強いけど、物欲が半端じゃない。日本に住んでいたら、「これ欲しい、あれ欲しい」とか少なくなった。たまに中国に帰ると、友達から「静かになった」「ボーっとしてる」と言われる。日本文化が知らず知らず、浸みこんだ



「在日中国人」の実態や本音を聞き出した本は、少なかったように思います。中国との関係がぎくしゃくしている時代だからこそ、今必要な本なのかもしれません。

本書を読むと、中国国家と在日中国人を単純に同一視できなくなるのではないでしょうか。


[ 2013/07/29 07:00 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『華僑の商法―その発想と行動力』山下昌美

華僑の商法―その発想と行動力華僑の商法―その発想と行動力
(1987/03)
山下 昌美

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本書は、30年ほど前に出版された書です。東南アジア諸国の華僑から聞いたことを綴ったものです。

著者は序文で、中国商人の「したたかさ」「ねばり強さ」「あくの強さ」と「合理性の重視」に、今こそ学ぶべき、と書かれています。それを、今でも学ぶべき、ではないでしょうか。華僑に学ぶべき箇所の一部を紹介させていただきます。



・中国人の精神構造を知るためには、以下の言葉が手懸りになる。「没有法子」(仕方がない)、「馬々虎々」(徹底や完全を求めない)、「面子」(潰されることは大いなる恥辱)、「不要緊」(どうでもよい)、「差不多」(中途半端にする)

・「中国人は、それが本物だと立証されるまでは、人の話を信じないが、日本人は、それがウソだと立証されるまで信じつづける」(バートランド・ラッセル)

・一般的に、中国人は「忍耐強さ」「行動的」「利に聡い」の三面の性格を持っている

・中国人は、昔から政府や官吏を信用しない。「官字両隻口」は、「官」には口が二つあるということで、「お上は二枚舌を使う」という意味

・陶朱公の「商人の宝」(理財到富十二則)とは、1.「人の見る目」2.「客の応対」3.「新奇に走らず」4.「心を入れた陳列」5.「迅速な行動」6.「売掛金の回収」7.「人使いの心得」8.「議論の才能」9.「商品を見る目」10.「時機の把握」11.「提唱して指導」12.「先を読み、中道を歩む

・陶朱公の「商人の宝」(理財到富十二戎)とは、1.「下品になるな」2.「優柔不断になるな」3.「ぜいたくするな」4.「強弁するな」5.「怠けるな」6.「安売りするな」7.「競ってまで買うな」8.「タイミングを誤るな」9.「固執するな」10.「支払いを延ばすな」11.「在庫を少なくするな」12.「商品の選択を誤るな」

・華僑商人は「開源節流 量入為出」の格言を好む。「顧客を多くつくって売上を伸ばし、経費の支出を節約する」という意味

・中国商人の間では、「好客三年不換店、好店三年不換客」(よい客は長い間店を換えない。よい店は長い間客を換えない)という言葉がある。一度相手を信用したら、よほどのことがない限り、取引を継続していくということ

・華僑の立場から見た日本人の欠点は「好き嫌いが激しい」「無理をしたがる」「行き過ぎが多い」の三点

・「疑人不用、用人不疑」(疑いのある人を使うな、使ったら疑うな)とは、部下を使う立場にある者の最も基本的な人使いの心得

・「避実撃虚」(実を避けて虚を撃つ)。孫子の兵法として有名。行動中に、何か障害にぶつかったら、中央突破といった無理を避けて、迂回作戦をとるという意味。中央から強行突破すると、たとえ成功しても、かなり多くの犠牲を覚悟しなければならず、賢明でない

・「前事不忘、後事之師」(前の経験を忘れず、後の戒めとせよ)。日本人は、過去の経験を「水に流す」「いつまでもくよくよしない」といった一過性を好むが、中国人は、それを記憶し、記録にとどめ、それを教訓とし、今後の戒めにしようとする

・「養兵千日、用兵一時」(兵を使うのは一時であるが、兵を養成するには千日かかる)。いざという時のため、平素から準備を怠るなという意味

・「興一利不、如除一害」(プラスを追求するよりマイナスを除け)。破綻や損害を回避し、ダメージを最小限度に抑えるという意味で、この考え方は有効

・「打人不打瞼、罵人別掲短」(人をなぐるのに顔をなぐってはいけない。人をののしるのに痛いところをあばいてはいけない)

・「唾面自乾、百忍成金」(もしも顔に唾をかけられても、放っておけば、いつかは乾く。忍耐を重ねていけば、必ず一人前となる)

・「大富由命、小富由勤」(大きな富は運命で決まっているが、小さな富は勤労で築くことができる)

・「有借有還、再借不難」(借りたものは早く返しなさい。さもないと、この次借りることができない)



華僑は、社是、社訓、標語、戒め、諺などが好きです。目の付くところに、これらを書いた紙を貼り、自分への戒め、励ましとして、これを利用しているように思います。

商売での成功者は、世界中で似たようなことをしています。言葉を大事にすることは、精神力を保つことにつながるのかもしれません。


[ 2013/05/27 07:00 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『アジアの世紀の鍵を握る-客家の原像』林浩

アジアの世紀の鍵を握る客家の原像―その源流・文化・人物 (中公新書)アジアの世紀の鍵を握る客家の原像―その源流・文化・人物 (中公新書)
(1996/05)
林 浩

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客家の本を、何冊かとり上げてきましたが、客家の源流、文化、歴史に関する書は、初めてです。客家の背景には何があるのかを知りたくて、本書を読みました。

客家を詳しく知ることができ、参考になったところが数多くありました。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・宋朝が滅んでもモンゴルの元朝に降服せず、明朝が滅んでも満州族の清朝に屈服しなかったのが、中国のユダヤ人といわれる客家。5世紀以来、千数百年にわたって、多くの苦難を乗り越えてきた

・博士や教授を輩出したことで有名な客家の土楼の門の両側には、「奮起せよ、暇な時はない。幼い時も壮年時にも老年になっても、いつも努力せよ」「名をなすことは容易ではない。家事、国事、天下のことすべてに関心をもて」と彫ってある

・客家が多くの人材を輩出している原因の第一は、「家名をあげ先祖に栄光をもたらす」という強烈な心理や意識。第二は、「知識や教養を高め、教育を重んじて家を興す」という意識。第三に、客家がもつ「刻苦耐労、進取開拓」の奮闘精神

・6000万人の客家は現在、華南の丘陵地帯、南部沿岸と島嶼部、四川盆地、さらに、東南アジア、南アメリカ、インド洋島嶼部およびアフリカ南部の各地に、集団で暮らしている

・客家は自分たちの言葉を大切にする。各地の客家はみな「寧売祖宗田、不売客家語」(先祖の田畑は売っても客家語は捨てない)という古訓を尊ぶ

・客家語と日本語には、非常に多くの接点がみられる。古代日本語は、漢字の読み方を借りて、事物を記録した。客家は漢語の古音を保ち続け今日に至っている。当然、日本語と客家語は漢字の発音が近い

・おかゆや撈飯(水分の多い飯)のほか、客家人の食卓には、南方各地に見られる芋類がある。千数百年来、客家は芋類を栽培してきた。芋に対して、感謝の念を持っている

・客家の土楼は、単に住居として雨露をしのぎ、外敵を防御するという役目だけでなく、氏族の連帯感を高め、血縁と文化的伝統を保ち続ける役目を果たしている

客家の精神生活を支配しているのは、「道教の神祇」、「仏教の神祇」、「漢民族・客家の神祇」の神々。他に、植物崇拝(風水林、巨木、椿、花神)、動物崇拝(亀、鶴、蚕、神話の中の蛟龍・鳳凰・麒麟)といった自然物を祭り拝み、災いを払おうとした

・「嫁をもらうなら客家の娘」、華僑社会では、昔からこの言い伝えがある。客家の女性がこなす重責として、「四頭四尾」(「田」田畑の耕作、「竈」台所仕事、「家」子供の教育・老人の世話・家計管理・掃除洗濯、「針」機織・裁縫・刺繍)の古訓がある

・客家人の間では、怠惰、ぜいたくな生活は恥ずかしいこと。「怠け女」は嫌われる。客家の童謡では、怠け女を痛烈に批判している

・客家の祠堂の前には、多数の「石筆林」(石材や木材の巨大な毛筆)がそびえ立つ。科挙に合格して名をあげる者があるごとに、その石筆を建てて栄誉を記念した。教育を重んじ、学問を尊んできた証拠

・客家の老人たちは、常々、子供たちに、「不読書、将来盲眼珠」(勉強しないと、物事の善悪を見分けられないよ)、「不読書、無老婆」(勉強しないと、お嫁さんをもらえないよ)と、教え諭した

・客家の子弟には、勉学のための座右の銘、「読読読、書中自有黄金屋」(読書だ!書物の中には黄金の家がある)、「読読読、書中自有千鍾粟」(読書だ!書物の中には高禄がある)、「読読読、書中自有顔如玉」(読書だ!書物の中には美しいお嫁さんがいる)があった

・客家の氏族の祠堂はみな、多くの共有資産をもっており、その資産の収入で学問を奨励している。貧しい家庭の子弟も、読書・勉学の道があり、文字が読めるようになる。これこそが、教育の機会均等

・客家は教育を重視するから、当然、知識人を尊敬した。客家地区では、教師医師風水師の三師だけが、「先生」と尊称されている

・客家を励まし開拓奮闘させた精神には、「外交型」「親和型」「倫理型」の特質がある

・客家は古来、「節」(忠を尽くすこと)を極めて重視してきた。「金銭は糞土のごとく、仁義は千金に値する」。客家の多くの人は、これを自己の行動規範としている



本書を読むと、客家の人たちに流れている血と伝統を知ることができます。世界中で、活躍している理由がよくわかります。

教育の奨励、倫理観の確立、先祖崇拝と相互扶助、これらをバックボーンとしている限り、これからもずっと繁栄し続けていくように思いました。


[ 2013/02/25 07:01 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『中国4000年の真実―侵略と戦慄』杉山徹宗

中国4000年の真実―侵略と戦慄中国4000年の真実―侵略と戦慄
(1999/04)
杉山 徹宗

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本書は、単なる中国の歴史の本ではなく、漢民族が、異民族に対して、差別、虐待、侵略、支配、虐殺を繰り返してきた歴史を丹念にまとめた書です。しかも、日中友好ムードが支配していた1999年に出版されたもので、著者の先見の明?に感心した次第です。

著者は、大学教授を経て、現在、陸上自衛隊幹部学校の講師を務められる国際法学者です。本書には、中国の驚愕の真実が満載です。その一部を要約して、紹介させていただきます。



・漢民族こそが最も優秀で、周辺異民族は常に頭を下げて来るべきものという意識が骨の髄まで染み込んだ、そうした漢民族を、かつての夷狄(未開の野蛮人)の日本人が、たとえ短期間でも支配をし、中国を見下したことは、何としても許せない

・日本の贖罪意識に付け込んで、居丈高になればなるほど、金を巻き上げることができるから、「日中友好促進」を唱える裏で、反日教育に血道をあげるというのが中国の実情

・漢民族の陰の部分に焦点をあてれば、周辺異民族に対する侵略と抹殺、国内における王朝交替ごとの数千万人単位で繰り返された大虐殺、の戦慄の歴史。中国要人は「日本は歴史の勉強をしろ、正しい歴史認識を持て」と批判するが、その言葉を、そっくり返したい

・後漢時代から清時代まで、漢民族に亡ぼされた異民族は23、服属させられた異民族は43。中国の侵略、支配、略奪、虐殺、抹殺、差別、虐待の歴史を見つめ直すべき

・中国は4000年間にわたり、外国人に朝貢関係しか認めず、三跪九叩頭(跪き、地面に頭をつけてお辞儀する)を強制してきた。これは外交における平等な友好関係とは言えない

・中国人は本来、乾燥土壌で暮らす遊牧民の資質を持った肉食民族。それゆえ、人間同士の争いでも、牛馬同様の殺戮を行う。また、管理上、去勢を施すことにも慣れきっている

・中国で古来より、人肉食が大々的に行われてきたが、インドからもたらされた仏教が流行した時代だけ(6世紀から9世紀)は、人肉食習慣が抑制されていた。ところが、唐の末期に仏教が弾圧されて衰えると、そのタブーも解かれてしまった

・中国では、時の豊かな社会から弾き出された人々が、相互扶助の下に結社をつくり、助け合うことがよくある。政府を当てにできないから自衛手段として組織を作り、結束は固い。日本に密航者を送り込んでくる「蛇頭」は、犯罪の秘密結社

・日本人を非難する時には、憎悪をむき出して「日本鬼子」と合唱する。中国語で鬼とは幽霊や化け物のことを指す。それを中国では、童歌の中で、子供たちに歌わせている

・新羅の武烈大王(朝鮮の国民的英雄)は唐の文物を朝鮮に採り入れることに努めた。姓名も中国風に統一し、使用する文字を漢字とし、科挙制度も採用した。科挙の試験には、中国の正史「史書」が出た。つまり、武烈は、自国の歴史を否定した国王であった

・漢民族の冊封体制の構造では、漢民族が住む中国本土を「正州」、政府監督下の土地を「覊糜州」、国王支配下の国を「外藩国」、使者を派遣する国を「朝貢国」、服さない国を「対敵国」、対等の関係国を「対等国」、一切の国家間交渉がない国を「絶域」と呼んだ

・中国杭州にある岳飛廟の石像の上には「還我山河(我らの領土を回復せよ)」の文字が記されている。その墓前の岳飛殺害犯人たちの石像は、首を太い鎖で繋がれて、売国奴と見做されている。訪れる参拝客は、現在でも皆、その頭を叩いたり、唾を吐きかける

・中国や韓国が、秀吉を侵略戦争の元祖と非難するが、日本から言わせれば、モンゴルと中国と朝鮮(元寇で、日本を直接襲った部隊は中国人と朝鮮族)こそが、平和な日本を侵略した元祖

・明の朱元璋が元を北方へ追いやった時、元の中枢にいたモンゴル人は皆、虐殺された。庶民のモンゴル人たちも、漢民族の夫か妻を持たない者は、奴隷の身分に落とされた(中国では奴隷売買が禁じられる1909年まで、奴隷制度が存在していた)

・1911年辛亥革命が起こり、清が滅亡すると、清の直轄地であり女真族の故郷たる満州は統治者を失い、無主の地となった。モンゴルは清の崩壊時に、「自分たちは清国皇帝には服したが、それを倒した漢民族の統治に服する理由がない」として独立した

・清は1668年以来、再三にわたって封禁令を出して、漢民族が満州地方へ流入することを禁じたため、人々は中部や南部に移住せざるを得なかった。彼ら流民は「客家」と呼ばれて、現地の華南人から差別を受けることになった

・中国が徹底した反日教育を若者たちに施すのは、共産党政策の失敗による、国民の不平不満を日本へ振り向けさせる逃げ道であり、極めて悪質な方法。要するに、中国政府は、いまだ政策的に自信を持っていないし、国民そのものも未成熟であることの証拠



個人が、遺伝子(血)の影響を受けてしまう以上に、民族は、過去の歴史からの影響を大きく受けます。民族の血は必ず繰り返すと見た方がいいように思います。

本書は、中国(漢民族が支配する国)に投資する(入れあげる)のが、いかに危険であるかを示すものです。経営者や投資家は、このような歴史認識をきちんと踏まえた上で、判断したほうがいいのかもしれません。


[ 2012/12/03 07:03 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『中国陰謀学入門―戦慄!それでも日本人は騙される』黄文雄

中国陰謀学入門―戦慄!それでも日本人は騙される中国陰謀学入門―戦慄!それでも日本人は騙される
(2004/11)
黄 文雄

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黄文雄さんの本を紹介するのは、「厚黒学・腹黒くずぶとく生き抜く」に次ぎ、2冊目です。本書は、1975年刊行の「陰謀学入門」(台湾・香港でベストセラー)を大幅加筆したものです。

冒頭に、「日本人は誠の民族、中国人は詐の民族。直情にして正直な日本人は、つねに彼らのカモになっている。権謀術数においては、中国は超先進国」という記述があります。中国人に騙されないために有益な書です。一部ですが、紹介させていただきます。



・人間は努力するだけでは成功しない。人気や才能があるだけでも出世しない。アイデアに富み、先見力があっても、身のためになるとは限らない。冷や飯を食い、人に裏切られたのは、陰謀学の修得を怠ったから。屈辱や挫折を招いたのは、権謀術数を忘れたから

・知略の闘いの場では、腹のうちを見透かされたほうが負け。つねに敵の一歩先を見通すことが勝利への近道。勝敗は、ほとんど秘密の探知漏洩の攻防によって決まる

・孫子の「兵は詭道なり」の記述が象徴的。つまり、兵法とは、敵を欺く手段ということ

・万事を「塞翁が馬」のように禍を転じて福となし、敗に因りて功をなすことができれば、負けは必ずしも敗北ではない

・孫子の名言「心を攻めることこそ最上の策」にもあるように、「力」は、兵力、軍事力、暴力のような物理的な力だけでなく、金力、権力、規制力、世論の力、説得力などさまざま。このような力が交錯して、圧力、抗力、引力、斥力になって人間の行動を支配する

・中国では、今でも「決めつける」だけで勝敗が決まる社会。中国人はそれを「載帽子」(帽子をかぶせる)と言っている。いかに敵が被せようとする帽子をはねのけ、敵に無理やり帽子を被らせるか。百戦錬磨の中国人にとっての必須の世渡り術

・昔の中国では、孔子や孟子の語録が人間の思想と行動を支配した。文革当時は、敵が「毛沢東語録」に反するかをあばくことで勝敗が決まった。改革解放後は鄧小平語録、江沢民の「三つの代表」、胡錦濤の「平和崛起」など、自らの影響力を強固なものにしようとする

・喜ばせて有頂天にさせる。怒らせて理性を失わせる。同情心をかき立てて泣き落としにかける。楽しませて油断を誘う。恐れさせて腰砕けにさせる。いかにして敵の感情を揺さぶり、利用するかが、陰謀家たちの課題

・出世した人物の成功は、大恥をかかされて「今に見ていろ」という雪辱の決意がきっかけとなった例が多い。屈辱感は、人間のエネルギーを限界まで圧縮し、一度に爆発させる力を持つ。とくに、才能がありながら屈辱を招いている人間を発奮させるにはうってつけ

金権の威力は多岐にわたる。資本家が、余剰金を教育に寄付すれば「教育家」になる。社会福祉に投入すれば「慈善家」になる。民衆にばらまけば「政治家」になる。そして、政治献金、賄賂によって、政府の機構を左右することもできる

・怨みには、大きなエネルギーが内蔵する。人間は群衆衝動に従いやすく、暗示を受けると、証拠がなくても感情に火がつき爆発する。為政者はこれを巧みに利用する。天安門事件後、体制崩壊危機に直面した中国は、反日教育で「共通の怨敵・日本」をつくりあげた

・隠れている反対派や批判勢力をおびき出すには、「民主的」な姿勢を見せかけ、「批判こそ進歩の力」といったお題目を強調して、目的と正反対の演出をする。そして、機が熟したと見るや、躊躇なく口実をもうけて、馬脚をあらわした敵を一気に失脚させ、粛清する

・日本の中国専門家は「言論統制の朝貢秩序」下にあり、中国の真相を口にできない。彼らは「中国人は原則を重んじる民族」と言うが、中国人は「原則」を強調すれば、優位性を保てるから、「原則」を強調するだけ。原則は単なる手札かけひきの手段に過ぎない

数字の魔術で、敵の目を欺くには、多いものを少なく、少ないものを多く見せる策謀が使われる。企業から政府機構にいたるまで、数字の魔術が広く愛用される。よほど注意深い読みをしなければ、学者まで動員し「計量化」された陰謀を見抜くことができない

・成功したクーデターや革命は、敵の不幸に乗じたものがほとんど。「仁義」とは、敵が味方に虚をつくり出させるためにしかけた「陰謀」であると論理づけることができる

・合理主義の原理が浸透している近代社会の人間の行動は、合理的、常識的であるがゆえに、行動が法則的に把握、研究、予測しやすい。したがって、陰謀の成功率も大きくなる

・「情」と「意」の擬兵を利用して、敵の判断を誤らせる。それが「笑裡蔵刀」(笑いの裏に刀をかくす)「口蜜腹剣」(口に蜜ありて腹に剣あり)の手。敵を攻めるにも、敵から守るにも、陰謀家にとって、この二つの手は絶対に欠かせない



本書を理解すれば、今の中国が、日本という仮想敵国に、しかけていることがすべて見えてきます。中国の陰謀の罠にはまらないように、こちらも知略を用いながら、一歩先を読んでいかなければなりません。

現代中国を根本から理解するのに、本書は欠かせないものではないでしょうか。


[ 2012/11/23 07:02 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『日本人には言えない中国人の価値観』李年古

日本人には言えない中国人の価値観―中国人とつきあうための68の法則日本人には言えない中国人の価値観―中国人とつきあうための68の法則
(2006/09)
李 年古

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価値観は、育ってきた環境によって、大きく左右されます。賢い人は、人にはいろいろな価値観があることを知っています。そして、その前提で、人と付き合おうとします。

賢くない人は、自分の価値観しか知らないので、それを相手に押しつけようとします。悪気はないのですが、結果的に、相手との軋轢を生むことになります。

本書を読めば、中国人の価値観を知ることができます。新たな価値観の発見が数多くありました。それらを要約して、紹介させていただきます。



・法律は、民衆が戦って獲得した、自分を保護する大事な武器。民衆に欠かせない味方。ところが、中国では、法律は、常にその時の政治勢力の管理下に置かれた。法律は、統治者によってつくられ、統治者に自由に解釈することもでき、変えることもできた

中国人の価格交渉は、ときにお金に対するこだわりより楽しみのほうが大きい

・中国三都市の金銭観はまるで違う。北京人「金儲けよりステイタス重視。小遣い稼ぎには興味なし」。広東人「商人意識が強く、金儲けが生きがい。コツコツ残業することも厭わない」。上海人「自分が損することには非常に神経質。身なりを飾ることに金を惜しまない」

・人脈に投資することこそ、金儲けの近道。「和気生財」(仲良くなればお金は自然についてくる)の哲学を貫くこと

・中国では、悪徳商法に対して、商人を厳しく追及するのではなく、だまされないように消費者に注意を呼びかけ、だまされないコツを紹介する。「だます商人を改心させるより、むしろだまされる方に問題がある」という考え

・中国の商人の特徴。「官商」権力を生かして、商売を独占する。扱うものは入手困難なもの。「儒商」高学歴を持ち、ビジネスに取り組んでいる人。義理を重んじる。「皮包商」全財産を鞄に収め、智恵を売る。大きな資本が要らない

・中国人は、チャンスに対して、どこの国民よりも敏感で、即断即決に長けている

・儒教は、二千年以上、「利欲」と戦ってきたが、道徳的になりきれた人間は、孔子の時代とさほど変わっていない。他人の前では「道徳者」という「仮面」を被ってみせ、実際の行動は「欲望」の流れに身を任せるのが中国人

・中国は職業で人の身分を決めてしまう。頭を使う人が人を管理する立場にあり、体を使う人が人に管理される立場にある

・外国人の印象が、「中国人は人情深い」と「中国人は冷たい」の両極端に分かれる。その理由は、中国人が、外国人を「ウチ」の人間として付き合っているか、「ソト」の人間として付き合っているかによって、中国人の情熱や思いやりが全然違ってくるから

・外国人は「なぜサービス担当者が、あんなに傲慢で無愛想なのか」と理解に苦しむが、彼らの社会的地位が低いのが理由。「低人一等」(社会的地位がワンランク低い)ことへの反抗がある

・管理者を目指して頑張るタイプが多いかわりに、コツコツと地味な仕事をやりたがる人が少ない

・中国人の望んでいる仕事は「体面」がたつ仕事。つまり、仕事の社会的地位が高いこと

給料の額が、会社の自分に対する評価をはかる唯一の目安として気にする中国人が多い。とくに多くのワーカー労働者はこれがすべて。ワーカーの多くは、農村からの出稼ぎ者が多く、都市にいる短い期間で、いかに貯金できるかがポイント

・中国の女性が憧れている職業ランキングでは、トップが講師、次はなんと会社社長。以下、デザイナー、マスコミ関連、企業の高級マネージャーの順

・中国人は「朋友」に格別な感情を寄せている。中国人の間で重要視されてきた血縁、地縁、婚姻の関係は、自分で選ぶ自由が与えられていない。だから、選択権のある関係を大切に思う

大目に見てもらいたい中国人と細かいことが気になる日本人。包容心が大切

・中国人は「属会社」ではなく「属人」的。だから、中国人は「企業」のためというより、「上司」のために仕事をする



多種多様な価値観を知っておくことは、人間関係、交渉、コミュニケーションの基本です。

価値観の幅を拡げていくために、本書のような本を使い、事前に知識を蓄えておくことが大事なのではないでしょうか。


[ 2012/09/03 07:02 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『反逆のススメ』ホウ・ウェンヨン

反逆のススメ反逆のススメ
(2012/01/18)
ホウ・ウェンヨン

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著者の侯文詠さんは、台湾で有名な小説家であり、医学博士でもあり、台湾社会に影響力を持つ方です。現代の台湾の人たちと台湾社会の現状を知るために、この本を読みました。

経済的に豊かになった台湾人に、今、起きていることが、よくわかりました。気になった部分も多々ありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「いい子」は、探検と試行錯誤のチャンスを奪われている。失敗を経験する機会がなければ、子供はいつまでたっても精神的に成熟できない

・努力は報酬を求めるが、情熱は報酬を求めない

・失敗のデメリットは成功できないこと。成功のデメリットは、失ったものが何なのかわからないこと

・私たちは「成功」を追い求めるが、本当にやる気を刺激し、成長させてくれるのは「失敗」

・すべての過去は序章にすぎない。過去に何があろうと、人生は始まったばかり

・私たちは、自分の口で、筋の通った意見を語っているように錯覚しているが、実際には、頭の中の大部分は、他人によってつくられた意見で占められている。「私たちは往々にして、他人の頭で考えているもの」

・「すぐれた疑問」は「模範解答」より、ずっと重要な意味を持つ

・計画を立てることの最大のメリットは、計画そのものではなく、計画を通して、物事の全体的な状況を把握できる点にある

・想定した状況に変化が起きても、事前に構想と計画があれば、何もない場合に比べ、より的確に対処できる。構想と計画は、自分と交わす契約書のようなもの

・行動する者はみな、何かの役柄を演じている。その役割が必ずしも自分の個性と一致するとは限らない。しかし、行動する前に必ず、脚本上の役柄と自分との間に、リアルな感情のつながりを見つけなくてはならない

・初心とは、旅の羅針盤のようなものである。初心に帰ることは、自分の行動を確認するための最も信頼に値する基準となる

・まず自分が楽しむことは、決して身勝手なことではない。最初に灯した小さな火から、より大きな炎が生まれ、明るい光と多くの火花がもたらされる。その炎で、他人を明るくし、自分も暖めることができる

・「視野=見聞(目)+経歴・キャリア(手足)+想像力(心)」。視野とは見聞よりずっと複雑で幅広い概念。見聞を広めることは、広い視野を持つための入口にすぎない

・無知や無邪気さがもたらす行動力が、将来の円熟と知恵の基盤となる

・点と点がどうつながるかは予測できない。今、経験している数々のことが、いつかどこかにつながると信じること

・固定観念から抜け出すには、「他人の視点を借りる」「自分とは異なる文化の力を借りる」「歴史と時間の力を借りる」こと

芸術に夢中になることで、人が自分と似た感情や考えに触れて感動したとき、二人は互いに同じような信念でつながる。そうして生まれたつながりは、不思議な力を発揮し、世界や歴史を変え、大きな影響を与えていく

・自分のことは、普段は自分でもあまり意識していない部分が多い。にもかかわらず、その自分が行動を支配している。芸術に触れる重要な目的は、自分自身とのつながりを深め、自分でも知らなかった自分を認識し、理解することである

・真の旅路は、見知らぬ異境を訪ねることではなく、他人の目で世界を見ることである。百対の目を持てば、百の天地を見ることができる

芸術に触れることは、人類共通の記憶や経験とのつながりを求めること。このつながりは、成熟した知恵を授けてくれる



この本を読んで、台湾でも、日本と同じような「豊かな病」が広がっているように思いました。

著者は、覇気、情熱、経験、行動、構想、哲学の重要性を説いています。豊かに育った世代が、これらの言葉をどう受け止めるかを心配もされています。

日本も、台湾も同じ島国で、経済発展を遂げた国です。危惧するところが、よく似ているように感じました。


[ 2012/07/12 07:01 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)

『中国人に学ぶ「謀略の技術」』福田晃市

中国人に学ぶ「謀略の技術」中国人に学ぶ「謀略の技術」
(2007/05/10)
福田 晃市

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中国人のしたたかさに関して、今まで「厚黒学・腹黒くずぶとく生き抜く」「高潔じゃない中国人が好き」などの本を、とり上げてきました。

そのしたたかさや駆け引きの基本となっているのが、孫子を初めとする兵法書です。兵法書が中国人に与えた影響は大きいようです。

本書は、その兵法の中でも、もっともずるい「謀略」について述べたものです。事が及んでから、卑怯だと中傷しても、後の祭りです。そうならないためのポイントが、本書には数多く掲載されています。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・中国の兵法家は、「自分のためにつくウソは許されないが、人のためにつくウソは許される」と考える。つまり、私欲を満たすためではなく、公益をはかるためにウソをつく

・特定の情報を流したり、流さなかったりすることで、自分の思うどおりに相手をコントロールする。これが情報操作

スパイ活動は、孫子の兵法の「五間」に学ぶこと。「郷間」(敵の身近にいる人間の利用・住民など)、「内間」(敵国の内部にいる人間の利用・役人など)、「反間」(敵のスパイを利用)、「死間」(誰かを犠牲にしてのスパイ活動)、「生間」(生還を前提にしてのスパイ活動)

・スパイ活動を行うには、敵国の解任された役人、処刑された人の子息、処罰された家の人などの恨みを利用すること

・「秘密」にすることで、スパイの働きを神妙にする。「厚遇」することで、スパイの心をがっちりつかむ

出向してきた人に取り入り、うまく信頼を得たところで、巧みに情報を選んで流す。すると、本社や本庁を操りやすくなり、自分たちに都合のよい状況をつくり上げていける

・「李衛公兵法」によれば、スパイ活動のターゲットは、1.「間君」(君主)2.「間親」(一族)3.「間能」(有能な人材)4.「間助」(仲間)5.「間隣」(同盟国)6.「間左右」(側近)7.「間縦横」(口のうまい人)

・トップの近くには、上昇志向が強い人が多い。そんな人は立身出世に役立つことなら、どんなことでも好んでする

・中国の兵法家は、競争相手の組織の人に会ったら、その人のライバルとなる人物をそれとなくほめる。すると、その人物に疑念を持ち、敵対心が芽生え、内輪もめを引き起こしてくれる。競争相手の内部が混乱すれば、競争しやすくなる

・人は赤の他人が言うよりも、身近な人が言ったほうが信じやすい。中国の兵法家は、ライバルをコントロールしたいときには、その人の人間関係を調べて、アプローチする

・ダメな人ほど威張る。ダメな人は、できる人と違って手玉に取りやすい。ダメな上司やお客は、媚びを売ってやる(笑ってあげる、感心してあげる、笑顔を向ける)と、動く

・口で言うより、文書にしたほうが、信じてもらえる。証拠が残るから、手紙をうまく使えば情報操作できる。「正しい文書を装い」「ウソをホントと信じ込ませ」「人を思惑どおりに動かす」ことがポイント

・何かを言うときは、ゆっくり話す。何かをするときは、ゆったり動く。自信にあふれた言動や表情を目にすれば、相手は、勝手に信頼し、思い込み、心理的に逆らえなくなる

・人は団結していれば強くなるが、不和になれば弱くなる。だからこそ、ライバルを不和にするには、「ウワサを流す」「デマを飛ばす」こと

・相手から「あの人はできる人だから交渉もうまい」と身構えられたら、やりにくくなる。「あの人は少し抜けているから、やりこめられる心配もなさそうだ」と思わせ、油断を誘えば、やりやすくなる

・パートやアルバイトの人に話を聞けば、自ずと他社の内情が推察できる。出入り業者を使うのも手

・自国=憐れな被害者、敵国=野蛮な侵略者というイメージをつくりあげることに成功すれば、国際社会を味方に引き込める

・情報については、必ずウラをとる。そうしないと、まんまと敵にダマされてしまう



騙すというよりか、騙されないために、読んでおきたい書です。

調子のいいときほど、策略にはまる危険があります。そうならないためにも、こういう世界があるということを知っておくことが大事ではないでしょうか。
[ 2012/05/30 07:09 ] 華僑の本 | TB(0) | CM(0)