とは学

「・・・とは」の哲学

『嫉妬のお作法』川村佳子

嫉妬のお作法 (フォレスト2545新書)嫉妬のお作法 (フォレスト2545新書)
(2014/06/07)
川村佳子

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嫉妬は厄介なものです。嫉妬は、人間の遺伝子に組み込まれたものであり、それをなくしていくのは容易ではありません。

本書は、嫉妬をなくすのではなく、嫉妬への対処法、つまりお作法について書かれたものです。なかなか読みごたえがあります。それらの一部をまとめてみました。



・嫉妬心は、人間が生まれてから死ぬまで、ずっと付き合っていく感情。基本的な感情である「喜怒哀楽」に、この「嫉妬」が加わってもいい

・人間関係に共通する一つのキーワードが「嫉妬」。親子、兄弟、嫁姑、友人、同僚、部下、恋人、ご近所の人など、あらゆる人間関係にまつわる問題の多くが「嫉妬」に結びつく

・嫉妬心は、自分と他者を比較したときに湧き起こってくる感情

・「妨害された」「妨害されるのではないか」という危機感不安感が、嫉妬心に火をつける

・嫉妬心は抑圧され、変形された間接的な方法(悪口を言う、批判する、中傷する)で、表される

・成人期、社会人になると、自分と他者を比較することから目を背けられなくなる。受験や恋愛、就職、出世、才能、容貌、健康、財産など、嫉妬心は「自分より優れた人」「評価の高い人」に、ますます向けられる。現役を退いて、老年期に入っても続く

・「うらやむ」は、他者の優位性をはっきり認めた上で、その状態になれない自分を省みることができる状態。一方、「妬み」は、他者の優位性は認めてはいるものの、省みることをせずに、むしろ自分の中から排除しようとするもの

・手を伸ばしても届かない人には憧れを抱き、少し手を伸ばしたら、届きそうな相手には嫉妬する

・「調和」と可能性の「平等」が、逆に、妬みやひがみを生みやすくしている

・嫉妬には、「1.貶める『嫌がらせタイプ』」「2.不満をぶつける『ストレス発散タイプ』」「3.時間をかけて復讐する『自己優越タイプ』」「4.目をそらす『現実逃避タイプ』「5.悔しさをパワーに変える『自己成長タイプ』」がある。目指したいのは5のタイプ

・嫉妬深い人の特徴は、「自己アピールの強い人」「目立ちたがり屋の人」「噂好きな人」「虚栄心の強い人」「他者と常に比較する人」

・正論や正義を振りかざし、人を正そうとする人には、自分では気づいていないが、嫉妬心が根底にある。そういった人の特徴は、間違いや失敗を何より恐れ、自信がないために、「自分」を主語にせずに、「世間一般」や「常識」を盾に、世間の意見だと言ってくる

嫉妬されやすい人の5つの特徴。「1・正直すぎる人、率直な人」「2.相手が嫉妬するかもしれないという想定が足りない人」「3.自慢せずにはいられない人」「4.無頓着、無自覚な人」「5.存在感のある、目立つ人」

・男性は、「表面上は嫉妬心など抱いていない」といった、涼しい顔をしている。嫉妬心を表に出すことで、自分の評価を下げたくない、という気持ちがはたらく

・男は学歴に嫉妬する。女は美しさに嫉妬する

・人間関係に悩みを抱える相談者は、「嫉妬する」側が多いと思われがちだが、実は「嫉妬される」側の相談が多い

・嫉妬深い人から身を守るには、一定の線引きをして、深入りをしないこと。いっさい関係を持たないと、敵視されてしまうので、注意が必要

・嫉妬の矢を自分以外の場所へ方向転換させるには、「運が良かっただけ」「皆さんの協力があったおかげ」といった、自分だけの実力でないことを強調すること

・嫉妬心が湧き出るとき、目の前の相手や出来事を極端に考えてしまう。それを防ぐには、「根拠のない決めつけ」「白黒思考」「部分的焦点づけ」「過大評価・過小評価」「すべき思考」「一般化」「自己関連づけ」「情緒的な理由づけ」の思考グセに注意を払うこと

・本当は自分がそうしたいと思っているのにできないこと、自分で制限していることを自由に行っている相手が現れたとき、嫉妬してしまう



本書は、嫉妬は誰でもするものなので、嫉妬されたときに身を守る方法が大切であるという内容の書でした。

喜怒哀楽に次ぐ、第5の感情である「嫉妬」からの防衛戦略書ではないでしょうか。


[ 2014/08/27 07:00 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『特に深刻な事情があるわけではないけれど』山口路子

特に深刻な事情があるわけではないけれど 私にはどうしても逃避が必要なのです特に深刻な事情があるわけではないけれど 私にはどうしても逃避が必要なのです
(2013/05/22)
山口 路子

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このタイトルの後に『私にはどうしても逃避が必要です』と続きます。だらだら長いタイトルが、本書の内容を暗示しています。

著者の逃げたいこと(「前向きに生きる」「人づき合い」「家庭」「仕事」「世間」日常)「良識」「孤独」「貞操」「夢を叶える」「運命」)を挙げて、それを説明していくのが内容の書です。その一部をまとめてみました。



・「自分に疑いをもたない人」との会話は時間の無駄。疑いなし人間、前向き人間、まっすぐ人間に遭遇したら逃げてしまう

・欲していない道を選ぶこともまた本人の欲望。ほんとうに、人間とは不可解な欲望をもつ生き物

・悪意よりも非難よりも恐ろしいもの、それは自分の個性が消滅させられてしまうこと

・「自分のしたいことをしたい、自分が楽しいと感じることをしたい」と決意したなら、そのときは、「人に意見を求めない」強情さが必要になる

・人づき合いの恐いところは、愛から憎悪への変換がたやすいこと。「愛しすぎている」というのは、もはや愛ではない、「愛していない」のと同じ

自分のために生きていない人は、いつか窒息する。「私を窒息させるのは、そうあるべきだという理想」(アナイス・ニン)

・個人的な楽しみこそが、人生のテーマ。仕事と同じくらいのエナジーで真剣になれる「喜び」をもっているのかどうか。ポイントはそこ

・明日できる仕事を今日するな。他人ができる仕事を自分がするな

・他の誰とも似ていない自分自身であり続けるためには、「世間が非難するところのものを育てる」(コクトー)べき

・多くの人に好まれるものは、ろくでもないもの。世間を意識して生きるのではなく、自分を同じ香りの価値観をもつ人たちを意識して生きる。そのことで「ろくでもない」人生から遠ざかることができる

・誰かを見下すことで安心する人は、醜い人。「合法的な愛は、自由奔放な愛を見下すのを常とするもの」(モーパッサン)

・中身がからっぽな人になるのが嫌なら、日常から離れてみなければならない

・人は一生の間に、言わなければならない言葉を言うために生きる

・異常も正常もない、不健全も健全もない、ただ、違っていることこそが、生命の基本原理

・道徳教育とは、偏見教育のこと。「道徳なんて、全く相対的なもので、その国や地方の風俗から生じたものであり、偏見の結果にほかならない」(澁澤龍彦)

・「幸福なときが正しくて不幸なときは間違っている」(サガン)のであるならば、できる限り正しいところの近くにいたいもの

・経済的な成功、名声、そこに人の価値があるのではない。自分自身が直接的あるいは間接的に関わった人に美しいものを残すことができるかどうか。人の価値はそこにある

・すべきことも大切な人も、探してはいけない。「探すのではない、出会うのだ」(ピカソ)

・「肝心なのは、嘘を避けること。いっさいの嘘を、特に自分自身に対する嘘を」(ドストエフスキー)

・熱烈な告白は、決して冷えた魂からは生まれない。恥ずかしいほどに熱い魂からしか生まれない

・自分が何者なのか「決意する」という行為には、その道を進むための強さを取り戻そうという意識があり、生きることへの答えもある

・生きている意味は、ひとりひとりの人間を感じとる熱い想いの中にある



人生を真面目に生きようとする著者の決意のようなものを感じました。

真面目に生きようとすればするほど、小さな逃避がないとやりきれないのかもしれません。


[ 2014/08/13 07:00 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『群れない力』関口智弘

群れない力 「人付き合いが上手い人ほど貧乏になる時代」における勝つ人の習慣 (経済界新書)群れない力 「人付き合いが上手い人ほど貧乏になる時代」における勝つ人の習慣 (経済界新書)
(2013/04/25)
関口 智弘

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著者の力強さが全面的に出ていて、スカッとする書です。みなぎる自信がこの発言を生んだのだと思います。

独立自営で生きている人は、こうあらねばなりません。本書の、決意表明のような内容の中から、共感できたところをまとめてみました。



・人付き合いが上手い人ほど貧乏になる時代

・厳選された付き合いであっても、いざという時に力を貸してくれるのはごくわずか。その一方で、一方的に友達と思い込んで、タカりに来る連中の多たるや、数知れず

・1日24時間のうち、自由裁量の8時間を、しょうもない知り合いとの交流に使うのか、自分を高めるために使うのか。その時間の質の違いが、人生の質の違いをつくっている

・「友達」とは、家族みたいな無償の愛に近い形で結びついているもの。相手に期待する時点で、もはや利害関係であり、本質的な人間関係のつながりではない

・真のコミュニケーション能力とは、本音で語り合って理解し合える価値観の共通点が多い人間を選びだして深くつき合う力

・コミュニケーション能力とは、自分の価値観や考えを正しく相手に伝える力のこと。言い換えれば、価値観が同じ相手に好かれる力であり、価値観が違う相手にキッパリと嫌われる力のこと

弱い奴らは、存在意義がないに等しいから、群れになって影響力を強めようとする

・ザコ同士が群れたところで、シナジーなんて生まれるわけがない

・群れというのは、絶えず敵をつくりだすもの。群れに属していない人間を群れの中から否定することで、自らの信ずるものや、正しいと思うことを正当化する材料とする

・群れに属することで平穏無事な生活が保障されるので、誰もが群れに依存する。社会の支配者からすれば、これほど楽なことはない。今も昔も、村八分の概念は、日本社会に深く根づいている

・世の中の多くの人は、人脈が大事だなんて言いながらも、他人様を利用して、手前がおいしい思いをすることしか頭にないのが現実

・会社でのうわべづき合いを効率的にやり過ごすには、近寄りがたい雰囲気を醸しだすのが一番。「仕事はできるんだけど、仕事以外に興味なさそう」と思わせたらしめたもの

・ランチタイムという時間は、薄っぺらい人間関係の連帯感を確認する場として使われることが多く、そのスパイラルに巻き込まれると、抜け出すことは容易ではない

・お客様が神様であっても、福の神なのか、疫病神なのかは見極めるべき。疫病神であるならば、何のためらいもなくぶった切るくらいの決断をしてしかるべき

自分の時間を確保するためには、絶対に自分のお客さんからは時間外に問い合わせが来ないようにしておくこと

・無視もまた一つのコミュニケーションの手法。コミュニケーション上手は、相手の反作用を生まないために、あえて無視というコミュニケーション手法を多用している

久々に電話をかけてくる奴の用件は99%が面倒事なので、連絡がつかないほうがいい。あなたに繋がらなければ、また別のターゲットに狙いをつけるだけだから

・普通の生活をしていて得られる人脈や仲間というのは、往々にして薄情な利己主義者で、いざという時、頼りにならない

・家族同様に、無償の愛を捧げられるような相手こそ、真の友。その価値があるかどうか見極めるためには、お互いに本音で語り合う必要がある

・自分の思うがままに生活すること、思ったことを口にすることが、すべて法律で禁止されているかのように、自分を殺している人が多い

・会社はあなたを幸せにするために存在していない。会社が儲けるために存在している



著者が首尾一貫して主張しているのは、「自分中心でいい」ということ。

自分中心=群れないことこそ、すべての生命力の源であり、勇気の源になるのではないでしょうか。


[ 2014/07/28 07:00 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『関係する男・所有する女』斎藤環

関係する女 所有する男 (講談社現代新書)関係する女 所有する男 (講談社現代新書)
(2009/09/17)
斎藤 環

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精神医学者である著者の本を紹介するのは、「30歳成人時代の家族論」「ヤンキーと精神分析」に次ぎ3冊目です。鋭い分析力で、現代人の精神病理を解明されています。

本書では、男と女の本質的違いを分析しています。異性を知る上で、貴重な書ではないでしょうか。その中で、納得できたところをまとめてみました。



・男と女の最大の違いは、「所有」と「関係」の違い。所有を追求する男と関係を欲する女

・「性愛」こそが、すべての欲望の根源。欲望をもたらすのは常に「差異」であり、性差こそが、人生で最初に経験する、最も重要な「差異」にほかならない

・欲望に傷つけられまいと否定を重ねていくと、人はシニシズム(冷笑主義)に陥る。シニシズムは防衛としては強力だが、自分の欲望すら否定するので、しばしば間違った悟りのような境地を作り出してしまう

・男にとっては、結婚したばかりの妻こそが「最高の妻」。性格的にも外見的にも。だからこそ、男は結婚による所有欲の満足に酔いしれる。しかし、妻は変わっていく。外見も性格も、そして「夫に対する忠誠度」までも

・男子は社会的地位、とりわけ「良い職業+良い結婚+良い子孫」への期待度と重圧がことのほか高く、必然的に学歴が重視される

・男性は自分の立ち位置、つまり「立場」を所有していないと安心できない。しかし、女性は、男性ほど立場にこだわらない。女性は「関係」によって自分を支えようとするから

・男子の場合、自己評価を決めるのは「社会的スペック」。すなわち、知的・身体的能力やコミュニケーションスキルなど。外見的よりは本質的・機能的な側面にこだわりが強い。「恥」や「世間体」の意識も、「能力を低く見積もられるのでは?」という葛藤によるもの

・女子の視線を意識し始めた男子は、外見以上に自分の能力にこだわり始める。それは女子にアピールする要素として、社会的評価が最も重要であることに気づくから

・女子には、外見よりも能力といった発想はあまりない。外見と能力の評価はあくまで別物であり、どちらかと言えば、外見重視に傾く

・女性は「1度に1人」が原則。新しい恋人ができる度に、過去の男は消去(デリート)され、新たな関係が「上書き」される。恋人フォルダには1人分の容量しかないから

・異性のどこに魅力を感じるかという点で、男女で一番分かれるのは「ルックス」と「」。「男は目で恋をし、女は耳で恋に落ちる」なんて格言があるくらい。男は女の声に驚くほど無頓着。顔さえよければ、相当の悪声でも個性的な美声に「脳内変換」されてしまう

・哲学とは、言葉だけで閉じた世界を構築しようという試み。これは極めて男性的な言葉の使い方。男が使う言葉は、それによって世界を構築する=所有するための道具にほかならない

・「女らしさ」と呼ばれるものの大半は、可愛い髪型や化粧、フェミニンな衣服あるいはしとやかな仕草といった、身体=外観に関わる要素から成り立っている。要するに、女らしい身体性とは、他者の欲望を惹き付ける身体性を意味している

・「女らしさ」にも容姿以外の内面的な要素もある。例えば「やさしさ」「おとなしさ」「従順さ」「受け身性」などだが、これらはいずれも「欲望を放棄する態度」にほかならない

・女性は「共感脳」を持っている。相手が感じたり考えたりしていることを察知し、それに反応して適切な感情を催す傾向を持つ脳。他者への配慮にすぐれている反面、他者の感情に左右されやすい問題がある

・男性は「システム脳」を持っている。対象をシステムとしてとらえ、そこにあるパターンや因果関係を論理的に理解することを得意とする脳。しかしその分、他者への共感は不得手であり、攻撃的になりやすい問題がある

・男が会話するのは「情報伝達」が目的。だから男は、いつも会話の結論を急ぐ。一方女は、結論を出すためよりも「会話そのもの」を楽しむことが目的。だから男性は、女性の愚痴につきあうのなら、すぐに答えを出してはいけない



「♪男と女の間には~、深くて暗い川がある♪誰も渡れぬ川なれど、エンヤコラ今夜も舟を出す」(黒の舟歌)という曲が、昔ありましたが、今も男と女には、深くて暗い川が存在しています。

本書を読むと、男と女の根本的な違いが理解でき、川底が浅くなり、透明度も増してくるのかもしれません。


[ 2014/06/18 07:00 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『人類滅亡を避ける道』関野吉晴

人類滅亡を避ける道―関野吉晴対論集人類滅亡を避ける道―関野吉晴対論集
(2013/04)
関野 吉晴

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著者は、医師と大学教授を務めながら、南米の先住民を尋ねる旅を20年続けて、植村直己冒険賞を受賞した探検家です。

そのユニークな活動をされている著者が、日本の賢者9名と対談したのをまとめたのが本書です。人間とは何かを深く語り合う内容の書です。

その中から、宗教学者の山折哲雄氏、芥川賞作家の池澤直樹氏、霊長類学者の山極寿一氏、作家の島田雅彦氏との対談が、面白かったので、その4氏の主張をまとめてみました。



・「欲望の制限や抑制ということを考えるならば、まず人類が狩猟採集の段階から農耕の段階へ移行した時期のことを考え、捉え直してみることが非常に重要」(山折哲雄)

・「日本には、黒潮に乗って日本列島にたどり着いた南方系の平等社会に則った文化と、中国大陸からの氏族社会、階層社会との対立構造がいつの間にか形成されていた」(山折哲雄)

・「関心が蓄積に向かう土着農耕民に対して、移動する人たちはできるだけムダを省くから、欲望を制限する方向に向かう」(山折哲雄)

・「移動する、歩く、旅する。それは人間の限界を試すことにつながっていく。当然、移動の途中は、欲望をコントロールする知恵や工夫が働かざるを得ない。欲望を抑制していく生き方については、その知恵や工夫からも多くを学べる」(山折哲雄)

・「インドは、世界最大の民主主義国として生き残っている。その根源エネルギーは、カースト制度。社会学者は、カースト制度を、人間を不幸にするマイナスの制度と語るが、そうではない。カースト制度こそ、土着の生活から生まれた観念であり、価値観」(山折哲雄)

・「翁が童子を養い、育てる。童子は翁を尊敬して生きていく。こんな関係を大切にした文化は、世界でも日本だけ。これからの高齢社会、老人問題を考えるうえで、大事なのは、日本特有の「翁」の思想と「童子」の思想」(山折哲雄)

・「文明とは、農村ではない、絶対に都市。狭いところに人がたくさん集まって、密度が高まって、出会いが増えて、小さくすればするほど効率が上がって、面白いものがどんどん出てくる」(池澤直樹)

・「成長と拡大はどこかで行き詰まる。大量生産・大量消費とは、その外側に資源の大量搾取と廃棄物の大量蓄積がある。だから、いつまでも続かない」(池澤直樹)

・「資本の論理というのは悪辣。少人数で多くの仕事ができるようになると、多くの人に仕事を少しずつ分けたりしない。どんどん首を切って人を減らす。残った連中は首になるのが嫌だから、めちゃくちゃ働く。そうすると、その仕事が他に回らない」(池澤直樹)

・「人間の家族は、平等性や対等性を担保する「負けないためにつくられた社会の装置」だと考えられる。家族は、繁殖における平等を徹底的に保証するだけでなく、他の家族を支配したり、攻撃したりしない」(山極寿一)

・「人間は狩猟によって進化したのではない。その逆で、人間を襲う強い肉食獣から身を守り、生き延びるために、コミュニケーション能力や共同体を発達させてきた」(山極寿一)

・「人間以外に、家族と共同体を両立させた動物は一つもいない。なぜなら、家族と共同体の論理は対立するから」(山極寿一)

・「資本主義というのは、キリスト教やイスラム教よりも、より世界に浸透している「宗教」。資本主義は「拝金教」として世界で最も成功した宗教。中国でも信者が多くなっている」(島田雅彦)

・「働きながら暮らすほうが、実は楽。そして、働かずに暮らすことほどキツいことはない。ゼロ円では食っていけないし、生きがいがないと食っていけない」(島田雅彦)

・「イギリスで成功した人は、いつまでも都会で暮らさず、田舎に引っ込んでジェントルマンになる。発展の恩恵に浴した者も、発展し続けてもロクなことはないと悟り、あこぎなふるまいを反省し、この先は滅びない程度に力を抜こうとする」(島田雅彦)

・「人は、ある程度大人になって悟ってきたころに、みんな優しくなる。この「優しいおじいちゃん」になる感覚は、誰もがたどり着く先。その「おじいちゃんの哲学」は、民族レベルでも成熟度とともに発揮されてくる」(島田雅彦)



人間が滅亡しないためには、何が必要かを、それぞれの専門家が持論を述べる刺激的な対談集でした

これらに共通していることは、やはり「少欲知足」ということです。どうすれば、人間の欲を抑えることができるか、これも立派な学問なのかもしれません。


[ 2014/06/11 07:00 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)

『生きる悪知恵』西原理恵子

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)
(2012/07/20)
西原 理恵子

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きっぱりと本質を言い切る女性は少ないものです。修羅場をくぐり抜けてきた女性はなおさら少ないものです。その代表格が西原理恵子さんではないでしょうか。著書を紹介するのは、「この世でいちばん大事なカネの話」以来。

本書も、きれいごと一切なしの本音トークがさく裂。少し女性の怖さを感じてしまうくらいです。ともかく、勉強になった悪知恵をまとめてみました。



・日本人って「正直であれ」とかよく言うが、真面目すぎると生きづらい。もっとウソつきでいい

・私の仕事は、笑わかしてナンボ。自分の表現がどうかとか関係ない。もらえる仕事は何でもやってきた。身もフタもないことを平気でできるというのは大事。プライドで飯は食えない

・生きるって、みっともないことだし、みっともなくていい。あの手この手で、どうにかして生き残った者が勝ち。そのためには、ついていいウソがある

・嫌な会社って嫌な人しかいない。いい会社っていい人しかいない

・もう二度と会わないと思えば、どんなに嫌われてもいい。後ろ足で砂かけて、「立つ鳥跡を濁す」でいい

・どちらかが失業したり病気になったりしたら、もう一人が頑張って支えるのが結婚というシステム。夫婦どちらかに頼りきりというのは、すごく無謀で危険なこと

・年収300万が不満だったら、隣の350万の人を真似すること。年収5億の人は真似できない

・どんな間違った情報でも、真っ赤なウソでも、絶えず発信し続けた人間が勝つ。どんな証拠があっても、言い続けると、それが正義になる。世界の歴史を見てもそう

・嫌な上司を改心させよとしても無理。こういう人は、弱い者にはとことん強く、強い者にはペコペコする。だから、あなたが力をつけて強い立場になるしかない

・「育てたい」とか思っても、育たない。だいたい育つ人は勝手に育つ

・人を育てるというのは、すごく手間暇がかかること。自分の子供でも難しいのに、愛情もない可愛くもない部下はどうにもできない

・ウソはいけないことではない。自分の心のバランスを保つために、うまいこと使えばいい

・まずい飯しか作れない人というのは、ほかの生活部分もいろいろまずい人

・商売は雪山と一緒。うっかり一緒に登ったら、夫婦で遭難してしまう

・才能があるかどうかなんて、やってみないとわからないし、親が判断することではない。それは世間様が判断すること。まず世間様にお出ししてみないとわからない

・一番大事なのは、家族と仕事。そこに親は入っていない。邪魔なら親でも何でも捨てないと、自分が難破してしまう。親と仲よくできないと悩むこと自体がムダ。親子仲よくなくてヨシ困ったときはカネで解決

・夫婦は、親友であり戦友でないと成り立たないもの。つまり、フェアであること。どちらかに負担をかけるばっかりでは、何十年も持たない。結婚はフェアトレード、等価交換ということ

・素敵な彼と結婚したかったら、彼の持っている仕事力や人間力と、自分の持っている力と同等にする努力をすること。要は、売りどころを鍛えるということ

・家も仕事も子供も全部持っている者が、全部なくした被災者には何も言えないはず。同じような体験をした人が、どうやって立ち上がって歩いてきたかが、被災者の一番の救いになるはず

・女の子はみんな生まれたときからホステスなので、うまくあしらうことができるはず。嫌いなヤツでも適度にほめて、近寄るふりをしてさっと逃げるような間合いをとる能力があるはず



貧病争の激しいところでは、人は生きるのに必死です。人生相談をする資格があるのは、そこから抜けてきた人だと思うのです。その適任者である著者の発言には、スカッとした爽快感があります。

まずは、生きること。その先のことを考えてもしかたがないよ、という書でした。


[ 2014/06/09 07:00 ] 人生の本 | TB(0) | CM(0)