不思議な本でした。読み始めは、退屈な本に思われたのですが、読むにつれ、どんどん引き込まれていきました。
ジェームズ・アレン氏は、イギリス生まれ。
素朴な生活から育んだ思想書を数多く残しています。亡くなられてから、すでに100年経ちます。
素朴で簡易な言葉が多い文章なので、重要なことを、見落してしまいそうになりますが、この本の中で重要だと思えた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。
・人生は、富や地位や名声ではなく、
豊かな知識、
成果、
決意である
・過去と未来は、夢のようなもの。「今」だけが、唯一の現実。過去や未来は、現在の
消極的な投影。だから、過去の後悔の念や、未来についての想像にひたって生きると、最も重要な人生の現実を見失う
・今、生きる。そうすれば、豊かに満ち足りる。今、理想の姿をとる。そうすれば、あなたは、
完成している・
清らかな人は、極めてシンプル。清らかであるためには議論など必要ない。清らかでない人は、限りなく複雑で、いつも自己弁護するための議論を必要とする
・自分の心の外で起こる出来事の奴隷になってはいけない。すべての物事や出来事は、自分を活かすべきものであり、育ててくれるものとみなすことが大切。それが
本当の知恵である
・
賢明な人は、いつも自分が学ぶことを切望しているが、他の人に自分の考え方や教えを強制しようとは思っていない
・必要なことは、自分が強く、賢くなるために、今の状況を
活用して生きること
・疑い、心配、悩みとは、利己心の中から生まれる実体のない影。魂が
晴れやかな高みにまで登った人は、もはや悩まされることはない
・
穏やかな人は、暗闇の中で輝き、世に知られずに栄えていく。穏やかさは、自ら自慢することも、宣伝することもできないので、うわべや外見に夢中になり、目をくらまされている精神的に目覚めていない人には見えない
・歴史上の栄光とは、戦いと権力において、偉業を達成すること。歴史は、穏やかな人の、平和と優しさの栄光を記録しない。歴史は、力によって成し遂げられたことのみを記す
・自分の心の中から、
邪悪な心を取り除く。そうすれば、他の人の心の中にある邪悪なものに、あえて抵抗することが馬鹿げているとわかるはず
・穏やかな人は、自分のためのものを要求したり、欲しがったりしない。しかし、すべてのものが、この人を守り、保護してくれるから、すべてのものが、この人のもとへやってくる
・
正しさを尊ぶ人は、隠さなければならないことは何もない。人目を忍ばねばならない行動を取ることもなく、他人に知られたくないような思考や欲望も心に抱いていないので、恐れることもなければ、恥じることもない
・
愛のある人が思考したとき、考えたことは、すでに達成されている。その人が話せば、世界中の人が、その言葉に耳を傾ける
・知性だけでは失敗することでも、愛があれば成功する。知性だけではわからないことも、愛があればわかる。
本当の知性は、愛があることによって、初めて完成する
・偉大さは善良さから生じる。善良さは純真さから生じる。だから、善良であること、純真であること、偉大であることは、切り離せない
・偉大な人は、同時代の人には理解されない。その輝かしい姿は、歴史を経てはっきりとわかってくる。これは、
距離を置くことによって、初めてわかる魅力
・流行的なもの、派手に宣伝しているものは、時代が過ぎると、あっという間に消えて、永続しない。これに対して、偉大なものは、世に知られないところから、ゆっくりと現れて、
永遠に記憶に残るものとなる
・最も偉大な芸術は、自然と同様、
飾り気のないもの。それは、小手先の技術も使わず、気構えもなく、作意のこもった努力もない
・心の狭い人は権威を求め、権威を愛する。偉大な人は、決して権威的ではない。
権威的でない人ほど、人々から信頼を得るもの
・今は未熟と思える人は、
まだつぼみの状態。目には見えない美しさが、その人の内に隠されていて、やがて美しい花として開花する。このように、他の人を見るならば、どこにも悪は存在しない。すべてがよいものに変わる
この本のどのページを読んでも、心が洗われてきます。そして、真面目にしっかり生きていくように、励まされます。
素朴な言葉で書かれているので、後で、その言葉が、ゆっくりと、しっかりと、自分の
心の中に根を張るような感じがしてきます。
清らかに、賢明に、穏やかに、生きていくことを忘れなければ、誰でも偉大な人間なれることを悟らせてくれる、人生の指針となる書ではないでしょうか。