とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『考えるヒント生きるヒント』ジェームズ・アレン

考えるヒント 生きるヒント―人生成功への50の黄金律 (Goma books)考えるヒント 生きるヒント―人生成功への50の黄金律 (Goma books)
(1997/10)
ジェームズ アレン

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本書は、1902年出版の自己啓発本の古典とも言うべき書で、今も、世界中で根強い人気を保ち続けています。著者は、トルストイと仏陀を愛したプロテスタントです。今でも世界中で愛される理由は、そんなところにあるのかもしれません。

この本は、著者が出版した全19冊の中の、無名時代にあたる2冊目の書です。その一部をまとめてみました。



・「人は密かに考え、その通りの者となる」という金言は、人格はもとより、人生を構成するいかなる要素にも当てはまるもの

・行いは思考の花であり、喜びや悲しみはその果実である。そうやって人は、自分が育む、甘い、あるいは苦い果実を収穫し続ける

・心は、それ自身が密かに抱いているものを引き寄せる。環境は、心がそれ自身と同種のものを受け取るための媒体である

・人が手にするものは、その入手を願い祈るものではなく、公正な報酬として受け取るものである

・富が正しく入手され、賢く用いられたときにのみ、喜びと富は一つになる。そして、貧しい者は、自分の人生を不公正な重荷ととらえたときに、深い苦悩の中へ落ち込んでいく

憂鬱な顔は偶然の産物ではない。それは、憂鬱な心によって造られる。醜い皺は、愚かな思考、理性を欠いた思考、高慢な思考によって刻まれる

・思考と目標が結びつかない限り、価値ある物事は達成されえない。人生の目標を持たない人々は、極めて容易に、不安や恐怖、自己憐憫などの犠牲者となりがちである

・年長者たちの顔には、さまざまな皺が刻まれる。皺は思いやりによっても、純粋な強い思考によっても、また理性を欠いた思考によっても造られる

・思考は、目標と勇敢に結びついたとき、創造のパワーとなる

・人は、自分の弱さを克服し、あらゆる利己的な思考を排除しているとき、抑圧者、被抑圧者のどちらにも属することがない。そのとき彼は自由である

・人は、いかなる価値ある物事を達成するためにも、奴隷的思考と動物的思考への耽溺から脱却しなくてはならない

・自分の思考の正しい管理を怠っている限り、人は、重要な責任を遂行しうる地位に決してつくことはできない

・大きな目標を達成できないでいる人々は、とりあえず、当面の義務の完璧な遂行に思考を集中すべきである。それが、真の集中力と自己管理能力の開発を可能にする

・宇宙は、表面的にはどのように見えようとも、貪欲な者不正直な者、不道徳な者を決して援助はしない

・あらゆる知的達成が、粘り強い努力と、非利己的で純粋な思考の、自然な結果に他ならない

成功を維持するためには、警戒が不可欠である。しかし人は、成功の達成とともに手を抜いてしまい、あっという間に落伍者の群の中に転落しがちである

・ビジョンを持つことだ。理想を抱くことだ。あなたの心をこよなく鼓舞するもの、あなたの心に美しく響くもの、あなたが純粋な心で愛することのできるものを、しっかりと胸に抱くことだ

・あらゆる成功が、仕上げられた思考であり、達成された目標であり、現実化されたビジョンである

穏やかな人物は、自分を正しく管理する術を学んでおり、自分自身を他の人々に容易に順応させられる。人は穏やかになればなるほど、より大きな成功、より大きな影響力、より大きな権威を手にできる



著者が一貫して述べていることは、「自分こそが自分自身の造り手という真実に気づくべき」ということです。

そう思い、行動すれば、自分を再生することが可能だということ。今からでも、遅くないのではないでしょうか。


『幸福に通じるひそやかな道』ジェームズ・アレン、松永英明

幸福に通じるひそやかな道幸福に通じるひそやかな道
(2005/10/20)
ジェームズ・アレン、松永 英明 他

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著者の本を紹介するのは、「最高にすてきな人生」「問題と解決の法則」に次ぎ、で3冊目となります。亡くなられて100年が経つ「成功哲学」の元祖とも言える方です。

西洋と東洋が融合した思想なので、現代の日本人にも理解しやすい内容です、その一部を要約して、紹介させていただきます。



・正しい始まりは正しい結果、間違った始まりは間違った結果を生む。注意深く考えることによって、間違った始まりを避けることができれば、よい結果を享受することができる

・秩序、明確さ、決意は永遠にあまねく広がる。事業において、こういった数学的な要素を無視する人は、実質を失い、完成に至れず、成功を手に入れられない

・明確な計画には、首尾一貫した努力が伴う。そして、首尾一貫した努力からは、きちんと織りなされた秩序だった結果(機知、完成、完全、成功、幸福)が生まれる

・種をいつ、どこに、どのように蒔くべきかを慎重に学ぶ園芸家は、よい結果と素晴らしい知識を手に入れる。よい収穫物は、その最高の始まりをつくった人の魂を歓喜させる

・間違った思考は、その始まりからして苦しいものであり、成長するにつれて苦しいものであり、実を結んだときにも苦しいもの

・宇宙が完璧なのは、一粒の砂が完璧だから。小さな部分を軽視することは、大きな物事を混乱させる

・小さなものは、単に大きなもののおまけではない。むしろそれは、大きなものの支配者であり、大きなものの中にみなぎる資質

・虚栄心の強い人たちは、野心に満ちており、何か偉大なことをやろうと見回している。彼らは、今注意を払うべき小さな雑事を無視したり軽視したりする。そして、小さな雑事を行うことを、大人物が注意を払う価値もない「つまらない」こととみなす

・偉大な人は、自分に与えられた小さな雑事に対して、私心を捨て、実直に注意を払うことによって偉大な人となった。拍手を浴びることもなく、報酬が約束されることもないことを行って、賢者となり、力強い者となった

・断片の中で人生を生き、そこから人生全体が出現する

・安らぎに至るには苦しみを通らねばならず、平安に至るには孤独を通らねばならない

いらだつ人は、自分自身がやっかいごとや不安をいつも発しているから、幸福について何も知ることができない。落ち着いた美しさや甘美さは、このような人にはわからない

先入観と悪意は思いやりを与えることを妨げる。プライドとうぬぼれは思いやりを受け取るときの妨げになる

復讐は、意識の核心を食い荒らし、精神的存在すべてを毒するウイルス。恨みは、意識の健全なエネルギーを焼き尽くす熱病。怒りは、優しさや好意の流れを搾り取る心の病

・悪は間違った方向に向けられたエネルギーであり、善は正しい方向に向けられたエネルギー。神聖な人とは、他人の中の悪から目を背け、自分自身の浄化に努める人

・話し方を正しくコントロールすることは知恵の始まり。意識の正しいコントロールは知恵の完成。言葉を制御することによって、人は意識の自制を手に入れる

・快楽、個人的な付き合い、騒々しい活動といった外側の世界は消耗の世界。バランスをとるためには世俗を離れた静養の効果を必要とする

・天才は知恵を求め、普通の人は快楽を求める

・世俗を離れて静養することは、強い人のためのもの。あるいは、強くなる準備のできた人のためのもの。人が偉大になるとき、その人は一人になる

・あなたは自分自身の主人、自分自身を統治する君主でなければならない

・欲望は手に入れたい切望。向上心は平安を求める心の飢え。ものに対する切望は、平安からどんどん遠くへ人を導いていく。そして、その切望は喪失して終わるわけではなく、絶え間なく欠乏した状態が続く



著者は、小さな雑事、静養、一人の大切さを一貫して説いています。また、ひそやかに生きるほうが、力強く生きるより、長い意味で、幸福になるとも述べられています。

大きな道を猛スピードで駆け抜けるよりも、小さな道や脇道を迂回しながら、そして時折休息しながら、ゆっくり着実に歩む方が、幸福という最終目的地に到達しやすいことを本書は教えてくれているのではないでしょうか。


『「問題」と「解決」の法則』ジェームズ・アレン

「問題」と「解決」の法則「問題」と「解決」の法則
(2005/01)
ジェームズ アレン

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ジェームズ・アレン氏の本を紹介するのは、「最高にすてきな人生」に次ぎ、2冊目です。

仏教の影響を受けたイギリス人のアレン氏の文章は、亡くなられて、すでに100年経っても、日本人の心を刺激します。

この本にも、心に響いた箇所が多数ありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「渇望、憎悪、怒り、強欲、高慢、虚栄、執着」「報復、羨望、中傷、欺瞞」「盗み、策略、背信、虐待、疑心、嫉妬」。煩悩の一部であるこれらの暗い力はみな凶暴で、激しい感情の底に潜む分別のない衝動。これらの力にとりつかれると、自滅への道を辿る

・他人を制することに躍起になればなるほど、煩わしい感情に縛られ続ける。自分自身の利己心を忍耐強く治めていくことで、人は自由の高みへと向かうことができる

・愚かな者は、他人を非難し、自分を正当化する。しかし、より賢明な者は、他人の正当性を認め、自分の非を問う。平穏に至る道は、自分の外に求めて見つかるものではない。それは、内なる思考の世界に存在するものだから

・煩悩とは、生きている者が持つパワーのこと。そのパワーの向けどころが正しいか誤っているかで、幸せや苦痛が生み出される

・自分自身の愚かさが明確に認識できるようになると、この世の道理を追求しようとする思いが生じてくる。心の奥深くで目覚めるその願望は、悟りに近づく聖人と同じ喜びをもたらす

・人が願望を抱くということは、好ましくない現状に満足せず、よりよい現実を目指してそこに向かうこと。その熱い思いは、「生きる気高さ」と「充実した人生」を意識し始めた確かな証拠

・煩悩の世界に浸っている人たちは、すぐに消費して終わってしまうものや、その場限りで心に残らないものを手にするために奮闘する。大望を抱いている人たちは、美徳、知識、知恵を吸収することに奮闘する

・前進しようとする者を後退させようとするのが誘惑。誘惑の力は、邪な考えや自分を卑しめる欲望に潜んでいる。誘惑の拠点は、外ではなく、心の内にあることを自覚しない限り、誘惑にかられる期間が続く

・利己主義は利己主義と対立する。他人の悪意によって、かきたてられるのは、自分の我欲

・愚者は、激情には激情で交わり、憎悪には憎悪で応じ、悪には悪で応える。一方、賢人は、激情には穏健に交わり、憎悪には愛をもって接し、悪には善で応える

・不安も心配も消え、嘆きや悲しみが終わるとき。渇望や憎悪、怒りや羨望が生じなくなったとき。さらに、すべてのことが原因から生じる結果として望ましく映るようになれば、心を悩ます出来事がなくなる。その結果、「超越」に至る

・攻撃、嫌がらせ、迫害など、人を悩ませ、苦痛をもたらす出来事は、幸せを高める役目を果たす。苦しみを受けた人は、内なる善の深い泉を湧き立てることができるから

・高い徳を備えた人は、不幸になり得ない。不運を感じる原因を自分の中に知るから。我を捨てた心に、我が身を不幸に思う理由はない

人道的な徳は不完全。さもしさや身勝手さなど、まだ浄化できる要素が混在している。高潔な精神の美徳は、無垢で純粋。それ自体が、まったくもって完璧

・最高の徳、至福と、その喜びを具現化し、体現化する行いとは、「公平性」「惜しみない思いやり」「完璧な忍耐」「謙虚」「清廉潔白」「完全な平常心」

・善悪は行いにあるのではなく、その動機にある。動機を浄化して純粋にしていくことは、「善の精査」をすることになる



この本を読めば、問題を解決する策を自分の内に求めることが、すべてを解決する「万能の法則」であることがわかります。それは、難しく思えるが、易しいこと。易しく思えるが、難しいことなのかもしれません。

以前に紹介した「最高にすてきな人生」もそうでしたが、読むごとに引き込まれていく、不思議な力を持つ書です。

それはなぜかと考えたら、著者自身が、無垢で純粋であったからのように思います。


『最高にすてきな人生』ジェームズ・アレン

最高にすてきな人生最高にすてきな人生
(2004/05)
ジェームズ アレン

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不思議な本でした。読み始めは、退屈な本に思われたのですが、読むにつれ、どんどん引き込まれていきました。

ジェームズ・アレン氏は、イギリス生まれ。素朴な生活から育んだ思想書を数多く残しています。亡くなられてから、すでに100年経ちます。

素朴で簡易な言葉が多い文章なので、重要なことを、見落してしまいそうになりますが、この本の中で重要だと思えた箇所が20ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・人生は、富や地位や名声ではなく、豊かな知識成果決意である

・過去と未来は、夢のようなもの。「今」だけが、唯一の現実。過去や未来は、現在の消極的な投影。だから、過去の後悔の念や、未来についての想像にひたって生きると、最も重要な人生の現実を見失う

・今、生きる。そうすれば、豊かに満ち足りる。今、理想の姿をとる。そうすれば、あなたは、完成している

清らかな人は、極めてシンプル。清らかであるためには議論など必要ない。清らかでない人は、限りなく複雑で、いつも自己弁護するための議論を必要とする

・自分の心の外で起こる出来事の奴隷になってはいけない。すべての物事や出来事は、自分を活かすべきものであり、育ててくれるものとみなすことが大切。それが本当の知恵である

賢明な人は、いつも自分が学ぶことを切望しているが、他の人に自分の考え方や教えを強制しようとは思っていない

・必要なことは、自分が強く、賢くなるために、今の状況を活用して生きること

・疑い、心配、悩みとは、利己心の中から生まれる実体のない影。魂が晴れやかな高みにまで登った人は、もはや悩まされることはない

穏やかな人は、暗闇の中で輝き、世に知られずに栄えていく。穏やかさは、自ら自慢することも、宣伝することもできないので、うわべや外見に夢中になり、目をくらまされている精神的に目覚めていない人には見えない

・歴史上の栄光とは、戦いと権力において、偉業を達成すること。歴史は、穏やかな人の、平和と優しさの栄光を記録しない。歴史は、力によって成し遂げられたことのみを記す

・自分の心の中から、邪悪な心を取り除く。そうすれば、他の人の心の中にある邪悪なものに、あえて抵抗することが馬鹿げているとわかるはず

・穏やかな人は、自分のためのものを要求したり、欲しがったりしない。しかし、すべてのものが、この人を守り、保護してくれるから、すべてのものが、この人のもとへやってくる

正しさを尊ぶ人は、隠さなければならないことは何もない。人目を忍ばねばならない行動を取ることもなく、他人に知られたくないような思考や欲望も心に抱いていないので、恐れることもなければ、恥じることもない

愛のある人が思考したとき、考えたことは、すでに達成されている。その人が話せば、世界中の人が、その言葉に耳を傾ける

・知性だけでは失敗することでも、愛があれば成功する。知性だけではわからないことも、愛があればわかる。本当の知性は、愛があることによって、初めて完成する

・偉大さは善良さから生じる。善良さは純真さから生じる。だから、善良であること、純真であること、偉大であることは、切り離せない

・偉大な人は、同時代の人には理解されない。その輝かしい姿は、歴史を経てはっきりとわかってくる。これは、距離を置くことによって、初めてわかる魅力

・流行的なもの、派手に宣伝しているものは、時代が過ぎると、あっという間に消えて、永続しない。これに対して、偉大なものは、世に知られないところから、ゆっくりと現れて、永遠に記憶に残るものとなる

・最も偉大な芸術は、自然と同様、飾り気のないもの。それは、小手先の技術も使わず、気構えもなく、作意のこもった努力もない

・心の狭い人は権威を求め、権威を愛する。偉大な人は、決して権威的ではない。権威的でない人ほど、人々から信頼を得るもの

・今は未熟と思える人は、まだつぼみの状態。目には見えない美しさが、その人の内に隠されていて、やがて美しい花として開花する。このように、他の人を見るならば、どこにも悪は存在しない。すべてがよいものに変わる



この本のどのページを読んでも、心が洗われてきます。そして、真面目にしっかり生きていくように、励まされます。

素朴な言葉で書かれているので、後で、その言葉が、ゆっくりと、しっかりと、自分の心の中に根を張るような感じがしてきます。

清らかに、賢明に、穏やかに、生きていくことを忘れなければ、誰でも偉大な人間なれることを悟らせてくれる、人生の指針となる書ではないでしょうか。