このブログの読者であるCさんから、「いい本があるよ」と推薦していただいた書です。文庫本は2004年発行ですが、単行本は2002年に書かれています。
今から10年前(森永卓郎氏の「年収300万円時代・・・」がベストセラーになった1年前)に、すでに、このようなハイレベルな「
賢く暮らす」心得書があったのは驚きです。著者は、
お金をかけない生活術の先駆者だったのではないでしょうか。
今読んでも、著者の新鮮でユニークな視点が参考になります。「本の一部」ですが、それらを紹介させていただきます。
・1人暮らしは、年収100万円生活、夫婦2人で200万円、子供1人につき50万円加算し、親子4人で年収300万円生活を考えるのが現実的。300万円だったら、夫が200万円、妻がパートで100万円稼げばいい
・健康であること自体、すでに立派な収入であり、お金のうち。今や「健康は金なり」の時代。ヘタに収入増を図るより、気をつけなければならないのは、
病気にかからないこと
・人間として、一番恥ずかしいのは、自信過剰や
思い上がり、そして思想や
哲学の欠如。お金のあるなしなど、大して問題ではない。人生とは?死とは?本当の幸福とは?それらを考えるのに必要なのは、お金ではなく、
精神的な時間・完璧に満足できる年金制度など、この世に存在しない。老後に必要な資金を、全額貯めるのも、これまた無理な話。国民年金は、生きている限り
一生涯もらえる終身年金。ケガや病気になったら、障害年金ももらえる。国民年金を甘く見ると、最後は泣くハメになる
・日本人は心配性すぎる。将来の病気や入院について、必要以上に臆病。結果、死んであの世に持っていけないのに、要らぬ医療保険に入り、必要以上の貯蓄をする
・自己破産によって、泣くのは銀行。その銀行自体がすでに手厚い配慮を受けたので、この際、少々泣いてもらってもバチは当たらない。
自己破産した人たちは、みんな安アパート住まいだが、それでも元気に楽しくやっている
・健全な年収100万円生活をする上で、
友達選びは重要。人間は、他人に流されやすい。「ギャンブル好き」「外出好き」「おごる、おごられが好き」「金のかかる趣味を持つ」「夜遊び好き」「ブランド好き」「見栄っ張り」「やたら外食したがる」人と友達になってはいけない
・健全な年収100万円生活をする上で、
友達としてふさわしいのは、「年収が自分に比べ極端に高くない」「買い物は現金主義」「借金していない」「お金のかからない趣味を持つ」「余計な長電話しない」「食べ物を残さない」「自慢しない」「嘘をつかない」人
・興味がなかったり、やりたくないことは、世間で流行っていようと、一切無視。他人と比べ、あくせくし、神経をキリキリさせ、くやしい思いをするなどナンセンス
・
自分らしく生きるのなんて、そんなに難しいことではない。のんびり好きなことをやるだけ。それは同時に、楽しく安上がりに暮らすコツでもある
・日本の狭い住宅事情で、食器棚に和洋中の食器類は多すぎる。住宅が広くても、アメリカは洋食器だけ。つまり、日本人は
欲張りすぎる。あれもこれも揃えようとするのがおかしい。衣服も同じ。「部屋が狭い」「家賃が高い」と嘆く前に、物を減らすべき
・
浪費家で
相性の悪い配偶者とは、無理して一緒に暮らしていても、ケンカや揉めごとが絶えないだけ。だったら、いっそ離婚してしまったほうが、その後の人生を楽しめる
・洋服、バッグ、時計などに高いお金をかけても、他人が気づいてくれなければ意味がない。だったら、むしろ
自分のカラーを持つべき。同じ色で通し、脇目もふらず我が道を行くのが、個性であり、本当のおしゃれ
・衣服に小さな穴があっても、それは1%。残り99%の機能・効用はちゃんと果たせている。
小さな穴を笑う者のほうが、人間的に小さくて、既成観念にとらわれた可哀相な人
・
家庭内散髪をすれば、金銭的な節約はもちろん、家族間のコミュニケーションが図れる
・高価な犬も、一匹50円の金魚も、命は同じ。金魚を3匹飼ってもエサ代は3カ月に100円くらい。飼う人の心を豊かにしてくれるのがペット。高い動物を飼う必要はない
・リストラで定職を失っても、
誰にでもできる仕事を週5日こなせば、時給1100円で、月に17万6000円を稼ぐことができる。ピンチの時は、世間体など気にしないこと
・最低限、食っていければそれで十分。ものを買わなければ、たいしてお金もかからない。つまり、「
もういいや・・・」の心境。「自分はこの程度でいい。別にどこぞの生まれの『何様』でもあるまいし・・・」。すると、急に気持ちがラクになる
お金の余裕と時間の余裕と精神の余裕のバランスを見極めて、暮らしている人ほど、人格者であり、良き人柄の持主です。収入の高い低いは、問題ではありません。
収入内で、暮らしていく術を楽しむ人こそ、現代の教養人であり、尊敬できる人なのかもしれません。そう思わせてくれる書でした。