とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『いま里山が必要な理由』田中淳夫

いま里山が必要な理由いま里山が必要な理由
(2011/01/08)
田中 淳夫

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著者の本を紹介するのは、「日本人が知っておきたい森林の新常識」「森林異変」に次ぎ、3冊目です。今回のテーマは里山です。里山は、人間の営みと自然の接点です。

本書は、その里山が果たしてきた役割と、今後里山をどうすることが、次世代にとっていいのかを検証する内容です。参考になる点が数多くありました。それらの中から一部を要約して、紹介させていただきます。



・雑木林に生えているのは、光がよく当たる地に生える樹種。しかも、土地は痩せている方を好む。周りにライバルの植物がない間に、光を存分に浴びて早く成長する。先に木が茂っていると育ちにくいから、森が「破壊」されて、暗い森が再び明るくなることを喜ぶ

・雑木林のような森林を、学問的には「二次林」と呼ぶ。いったん伐採されてから生え直した森林で、太い木は少なく、丈もあまり高くない。おかげで林床に光が入りやすいから、草も育ち、そこに昆虫や鳥獣も集まる

・里山とは、人が関与して、改変された自然。人の取り分(収穫物)がある上に、その他の生命にも生きる場を与えていること。自然を破壊した跡地でもなく、原生自然でもない、新しい生態系を築いていること。結果的に人の営みと共存している二次的自然

焼畑は、放棄後1年でブッシュに覆われ、5年もたつと、それなりの背丈の木が生える。しかし、その森は二次林であり、原生林とは違う。つまり里山。アマゾンのジャングルも、その3分の1から3分の2は、人が意図的につくった森林で里山と言える

縄文時代の森林のうち、1~2割が焼畑の影響を受けている。土壌の研究からも。縄文時代には、かなりの面積が草原だった。現在の日本列島は、放置すると森林化が進むが、かつては列島の何割かが草原だった

・山火事、川の氾濫、山崩れ、火山噴火、異常気象などの要因が、あるスパンで原生林を破壊する。自然の遷移を眺めれば、草原も雑木林も原生林も大きなサイクルの一部

・人が手を加えないで保たれる自然はごく一部。原生林には植物も動物も少ない。林内は暗くて草が生えにくい。草に寄る昆虫や鳥獣も少ない。樹木も優先種中心で多様ではない

・森林だけでなく、草地や砂地があり、蛇行する小川が流れ、湿地も河原もある。さらに建築物もある環境を人為的に残すことによって、里山は維持できる

・トキは典型的な里山の鳥。田んぼのドジョウやサワガニを食し、雑木林の木の上に巣をつくる。同じく里山に適応した鳥には、サシバやオオタカ、シラサギ、コゲラ、メジロ、コウノトリなどが挙げられる。トキは里山が変化する過程で滅びの道をたどったと言える

・里山とはシステムである。システムは動いてこそ意味がある。自然も人の暮らしも、固定させてはシステムではない。時間と共に変化すると捉えないと、里山は維持できない

・「放棄」は、多様な自然を誇った里山を崩壊させていく。面積が減少するわけではないが、気がついたときには、見た目の緑とは裏腹に、生物の少ない地域になり、質的に低下する

・「放棄」された雑木林や棚田などにタケが生え始めると、一般の樹木や草は排除されて、里山は竹林になる。そのタケは、実は江戸時代に中国からの「移入種」モウソウチク。太いタケノコが収穫できるし、建築材にもなる。日本古来のタケより繁殖力がはるかに強い

・薪や木炭が減った。落葉かきや下草刈りもやらなくなった。農地が放棄された。そのため、荒れ地の森林化が進んだ。おかげで、タヌキ、キツネ、イタチなどが増え、イノシシ、シカ、ノウサギなどの野性動物も増えた。その結果、各地で「獣害」が問題になっている

・今や里山では、合法・非合法を問わず、都市部の産業廃棄物が流れ込む。それを根本的に防ぐ手立てはない。ゴルフ場建設が反対運動で中止後、産業廃棄物処分場になった例もある

・キノコが生えない里山は健全ではない。菌根菌は、植物と共生して成長を助ける。腐生菌は、落葉や落枝、倒木などを分解して土に戻す

オオタカは、中型の里山の鳥。人里に近い自然に棲む。餌には、意外やドバトやカラスが多い。しかも、それらを獲る場所は森の中ではなく、周辺の田畑や道路周辺

・里山で「仕事」をして「商品」を生み出し、「販売」することで「金」を得る。その「金」で「支払」をし、「投資」して、さらに「仕事」をつくる。それが里山を持続するシステム。生活に根付いた「そこそこ儲ける」システムこそが、「里山システム」



里山の必要性が叫ばれ始めてから、10年以上経ちますが、イメージではわかっているつもりでも、具体的に、どういう利点があるのか、わからずじまいでした。

本書を読むと、里山の必要性がよくわかります。人と自然をつなぐ境界こそが里山であり、その里山がなくなれば、人も自然もおかしくなるということなのかもしれません。


[ 2013/08/01 07:00 ] 田中淳夫・本 | TB(0) | CM(0)

『森林異変-日本の林業に未来はあるか』田中淳夫

森林異変-日本の林業に未来はあるか (平凡社新書)森林異変-日本の林業に未来はあるか (平凡社新書)
(2011/04/16)
田中 淳夫

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著者の本を紹介するのは、「日本人が知っておきたい森林の新常識」に次ぎ、2冊目です。日本の林業は、円高の影響をもろに受け、国際競争に晒されてきました。しかも、治山治水の役割を果たしているのに、花粉症の時期になると、世間から叩かれます。

その林業や森林に、最近起きてきている現実が本書に記載されています。マスコミで伝えられている事実とは大きく違っているように感じました。そう思った事実の一部を要約して、紹介させていただきます。



・現在の日本の国土は、有史以来、最大の森林面積森林率を誇っている。室町時代から江戸時代にかけて、森林の過度の利用が行われていた。明治時代には、各地に禿げ山が広がっていた

・江戸時代、森林は木材の調達だけでなく、エネルギー源として、日々の煮炊き、暖房、製鉄、製陶に至るまで利用され、酷使された。さらに、肥料として落葉が持ち出され、洪水や山崩れなど災害が頻発した。明治になり、伐採規制が撤廃され、さらに荒廃が進んだ

・1950年代に入り、輸入され始めた木材は、需要が膨れ上がる木材の国内需要を穴埋めするためのもので、国産材の市場を直接奪ったわけではない。むしろ乱伐が進んでいた日本の山では、無茶な伐採を止める効果があった

・最近は、産地で木材を買う人が少なくなったが、吉野杉と秋田杉では、曲がり強度、圧縮強度、弾性率など材質が違う。心材と辺材の割合も二倍くらいの差がつく

・中国は、経済発展による建設ブームと長江の大洪水をきっかけに、天然林伐採を原則禁止し、木材輸入を解禁した。これにより、日本の独壇場だった木材貿易の主導権は奪われ、価格がつり上がった。そのため、日本が自由に量や価格を動かすことができなくなった

・ロシアは、原木の関税を2007年の6.5%からいきなり2008年に25%とし、2009年からはいきなり80%に上げると通告してきた

・南洋材、米材、ロシア材の調達が安穏としていられなくなり、注目されているのがヨーロッパ材。スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、ドイツ、オーストリアは林業国。さらに、ルーマニアなど旧東ヨーロッパ諸国も森林資源が豊富な国

・国内の合板メーカーは、原料を外材に頼っていただけに、外材輸入に危機感を持った。そこで、目をつけたのが、豊富な資源量を誇る国内の山

・日本の森林面積は2500万haを超え、そのうちの4割に当たる1000万haが人工林。それらの木々は毎年太り続けている。国産木材生産量の2.5倍以上の増産余力がある

・国産材の使用量は急激に伸びている。2008年の合板の国産材比は21%。ほとんどゼロから、数年で2割まで上がった。おかげで、木材自給率も急速に回復し始めた

・丸太の価格が1立方メートル当たり15000円を割り込むと、再造林ができなくなり、伐採後の放棄につながる。実際の価格は、それを割り込んでいるところが大半

消えた木材製品は、枕木、電信柱、建築の足場丸太、オフィス家具、樽、桶、木箱など。これらの木材商品は、植えてから10~20年の間伐材の用途として、利益につながっていた

・木質バイオマスを燃やす発電設備は、1999年12基だったが、2008年144基に伸び、木質ボイラーも3.5倍になった。木質バイオマス資源(製材時に出るチップが大半)が不足して、今や利用促進どころか、いかにして木質資源を集めるかが課題となっている

燃料用のチップ価格は、1立方メートル当たり500円程度。これほど安いと、林地残材の搬出をいくら工夫しても追いつかない。バイオマスエネルギーは、林業を活性化するのではなく、活性化した林業を下支えするもの

・欧米に遅れること30年、日本林業にも改革が始まっている。高性能林業機械の導入で、仕事の多くは重機に乗ることになりつつある。そのためには、重機を林内に入れるための作業道を敷設しなければならない。綿密なコスト計算や無駄のない動きが求められている

伐採跡地の4分の3しか再造林は行われていない。理由の一つは金。伐採した木材を販売して金を得ても、造林費用に費やせば、赤字になる。何十年と育てた結果、手元に何も残らないとなると、森林所有者は躊躇してしまう

・木材は、調湿性に優れ、熱拡散率が小さい。内装を木質にした場合、室内の湿度や温度を一定に保つ効果が高い。それが人の感性に影響を与えている。さらに触感や衝撃を和らげる効果、視覚効果も大きい。心理面の研究から、木材の効果や影響が見つかっている



森林には、水源涵養機能、水の浄化機能、土砂流出防止機能、防風防砂機能、景観機能、リラクゼーション機能など数多くの機能があります。その森林を維持しようとすると、お金がかかります。そのお金を工面しようとすると、木材が売れないと成り立ちません。

花粉症を含め、日本の森林の問題の多くは、木材が高く売れるとほとんど解決します。日本の林業は、目に見えない貢献を多くしているにもかかわらず、苦しみ、もがき続けています。本書を読み、我々はもっと森林に関心を持つべきだと思いました。


[ 2013/06/13 07:00 ] 田中淳夫・本 | TB(0) | CM(0)

『日本人が知っておきたい森林の新常識』田中淳夫

日本人が知っておきたい森林の新常識日本人が知っておきたい森林の新常識
(2011/10/25)
田中 淳夫

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著者は、日本で唯一の森林ジャーナリストです。

日本の林業が衰退して久しいのですが、どうすれば再生するのか、どうすれば活用できるのか、常識を覆す考え方を示してくれる書です。

あっと驚くことが多く、眼を見開かされました。森林王国ニッポンに住む以上、もっと森林について知らなければ、社会的にも、政治的にも判断を誤ると強く感じました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・森林は、「二酸化炭素の吸収源」「酸素の供給源」という考え方こそ、森林をめぐる常識の中で、最大の嘘であり誤解。「植物」は、そうであるが、「森林」は、そうではない。森林とは、樹木だけでなく、多くの生命体の複合した存在

・森の中で、菌類が落ち葉や倒木を分解して、土に還す過程で消費される<酸素の量>は、植物の<酸素放出量-酸素消費量>と同じで、均衡する。森林は、酸素と二酸化炭素を自給自足しており、外部とやり取りしない

・木は生長する過程で、二酸化炭素を吸収して、有機物を合成する機能が活発になる。だから、若い木は太り、幹や枝を伸ばし、多くの葉をつける。年老いて生長を止めた木は、事実上、酸素も出さなければ、二酸化炭素も吸収しない

・生長しなくなった木、あるいは、生長の遅い木は伐採して、よく生長する若木に替えること。老木を伐採して植え替えたほうが、二酸化炭素吸収に都合がよい

・水が染み込み溜まるのは、森林土壌ではなく、もっと深い岩(基盤岩層)の節理と呼ばれる割れ目。そこに水が入る。森林は、自ら生長するための水を消費する。光合成を行うには、水が必要

・山地が森林で覆われる最大の利点は、土壌浸食を防ぐ点にある。下流の土砂災害の防止や養分保持には、森林はなくてはならない。ふかふかの森林土壌と、そこに生えた下草は、降雨を受け止めるクッションになる

・よく、スギ、ヒノキなどの人工林は、土壌流出防止機能が低いと言われるが、その根拠はない。伐採で土壌を攪乱し過ぎた場合、森林土壌を失いやすいが、それは、広葉樹林にも言えること。針葉樹林(とくに人工林)を差別する口実にはならない

・水が豊かと言われるブナ林は、ブナが水を呼んでいるのではなく、もともと水の多い土地にブナがよく繁っているだけ

・生物の種類が多く、個体数も多く存在できる自然ほど、豊かであり複雑な生態系という考え方があるが、実際に、薄暗い原生林の中を歩くと、あまり生物に出会わない。大木が林立している下は、低木や草が少なく、植物の数が少ないので、昆虫も生息していない

・原生林は暗いが、雑木林は葉の繁る夏でも、比較的明るい。雑木林の木は、樹齢が若く、高木や大木が少ないから、光が林に差し込み、草や幼木が育つ。植物の種類が多いと、昆虫も多彩になる。虫や実が豊富にあると、それを餌とする鳥や野生動物もやって来る

・火事は、土壌に栄養を与える。燃えたあとに残る灰分がミネラルになるほか、熱が土壌微生物を活性化する。さらに、直射日光が地表に当たり、焼けて黒くなれば熱吸収がよくなり、地温が上がる。それが窒素固定バクテリアなどの活性を高める

・世界各国の洪水被害は、代々継ぐ住居や耕地を持たない貧困層が、人の住まなかった洪水常襲地帯に移り住んだために起きている。だから、以前と同規模の洪水が起きただけでも被害が大きくなる。増えたのは洪水ではなく洪水被害。洪水の背景には貧困問題がある

・日本のような鉄砲水が押し寄せる洪水とは違い、大陸の大河の洪水は、ゆっくり進むので、破壊的ではない。洪水によって、土壌が豊かになる面もある

・マツは痩せた土壌を好むとされるが、それはマツが強いのではなく、肥沃な土地では、他の樹種に負けるから。痩せ地に追いやられたマツが生育できるのは、菌類との共生のおかげ。菌根菌の菌糸によって集めてきた栄養素や水分をおすそ分けされているから

・成育に適した土地では、植物はすくすく育つが、寿命は短い。屋久島は高山で雪も降る。多雨で土壌の栄養素が流失する。台風で高木は風に揺り動かされる。植物には厳しい気象条件。だから、ゆっくり生長し、年輪も詰まり、ヤニもよく出る。これが、長生きの秘密

・年間降水量が500ミリ以下の土地を半沙漠と呼ぶ。ある程度の降水があり、比較的地下水位も高いので、緑が失われていても、木の苗を植えれば、元の緑は取り戻せる。しかし、降水量100ミリ以下の沙漠を緑化するのは、不可能というより無意味

・半沙漠の緑化面積を増やせば、植物が太陽光を吸収して、地表面の温度を下げ、枝葉から水分を蒸散させ、乾燥気候を緩和する。また、落ち葉が土に還り、緑に集まった鳥が糞を落とせば、土壌の栄養分回復も期待できる。こうなれば、半沙漠が草原や森林になる

・沙漠が不毛の地である理由には、乾燥と塩類集積の二つがある。また、緑化にも、森林化と農地化の二つを分けて考えるべき。やみくもに植林するだけでは、沙漠は救われない

・最近は人が森と触れ合う場所として、森林公園が多く整備されてきた。ところが、それらの公園利用者を調べると、肝心の森林ゾーンに踏み入っていない。森林内の遊歩道も利用されていない。森林自体は、広場やレストランから眺められるものになっている

・人が安らぎを感じる自然景観条件の研究では、人間の感性は「見通せる距離」に反応する。森林では、林内が50メートル程度見通せないと、人々は安らぎを感じない。林内が見通せるには、背の高い草木や雑木が生えていないこと

・フクロウなどの猛禽類は、ネズミやウサギなど雑木林に棲む動物を上空から狙い、餌とするが、常緑性の高木ばかりになると、冬でも林床が見えなくなり、餌場を喪失する。高木を伐採し、林床に光を入れ、下草を刈り取ることが、動植物の生息環境を守る

竹林面積は戦後、十数倍に拡大している。里山地帯が、いつの間にか、竹林に変わっている。完全な竹林の中は、暗くなり、一般植物が生長できない。毎年、地下茎を四方に伸ばすので、一度根付くと、ブルドーザーで根こそぎ掘り出さないと竹林はなくならない

・汚くなった川は、油や重金属など毒性を含んでいない限り、生物にとって悪いことではない。富栄養化は、生物の栄養となり、生物の個体数や種類の増加につながる。人間の目から見た美しい川と生物の生息しやすい環境は同一ではない

・戦国時代に、各地で産業振興が図られた。それが森林開発を促した。なぜなら、当時のエネルギー源は、みな森林資源、つまり薪炭だったから。化石燃料が普及する前の山村は、エネルギー供給基地であり、これが最大の産業だった。木材生産ではなかった

ゴルフ場と里山の相似(森林と農地や草原の比率、モザイク状の環境配置)について、もっと考察すべき。里山が生物多様性に満ちているのと同様に、ゴルフ場でも、生息する生物が非常に多い。鳥類、昆虫を初め、準絶滅危惧種や多くの希少種が確認されている

・現在の山村経済の不振を、木材の販売不振と材価安だけに理由を求めるのは誤っている。むしろ主流だった薪炭によるバイオマスエネルギー産業が没落したことの打撃が大きい

・消費者の無垢材指向は、森林資源を活用しない。無垢材は、木材の歩留まりが悪く、収穫した木の半分しか使わない。合板やパーティクルボードのほうが歩留まりが格段に高い。接着剤を悪者にする声もあるが、その前によりよい使い方を生み出すべき

・輸入木材で、一番多いのがカナダとアメリカの米材で18%。マレーシアやインドネシアなどの熱帯木材は10%(かつて30%を超えていたが激減)。国産材に比べ外材は安くない。「安い外材に押されて」は、莫大な税金を注ぎ込む口実で、林業の体たらくの表われ

・外材より安いのに、国産材が求められないのは、商品としての条件で外材に劣るから。国産材は乾燥させていないし、製材寸法がいい加減。小規模林家が多く、迅速な伐採や搬出ができず、安定供給も劣る。国産材でフローリングを使いたくても肝心の商品がない

・「コストは高く売値が安い」日本の林業を支え続けたのが補助金。改革を促す仕組みもなく、補助金のばらまきが続いたから、山の現場も製材所も旧態依然のまま。生産性は低く、機械もシステムも商品開発も、欧米より20年から30年遅れていると言われる始末

・近年、中国やインドが木材を大量消費するようになった。国内の合板業界は「安い国産材」に目を向け始め、合板に向かないとされたスギ材を使って、合板製造に成功した。おかげで、国産材需要は回復傾向にある



著者の魂の叫び、森林業界への思い入れが、この本に強く感じられます。

森林に対して間違った認識を持つ日本人の考えを変えて、国土面積の3分の2を占める森林王国を、もっと有効に活用できるようにしたいという気持ちが表われています。

ちなみに、著者のブログ「森林ジャーナリストの思いつきブログ」にも、その気持ちが溢れています。

日本の森林は、ひょっとしたら、宝の山かもしれません。この本は、森林の常識を大きく変える書ではないでしょうか。
[ 2011/12/20 06:45 ] 田中淳夫・本 | TB(0) | CM(0)