玄秀盛氏は、
新宿救護センターの所長をされています。いつかテレビで、関西弁丸出しで、相談に当たっている姿を見たことがあります。
相談といっても、生易しい相談ではなく、本当に、生と死のギリギリのところを生きている人たちの相談ですから、真剣勝負です。
人生の
修羅場をくぐった人でないと言えない言葉が数多く出てきます。体験に基づいた言葉の数々は、お金と人生の勉強になります。ためになった箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。
・「人生は取り戻せる」という人がいるが、そんなもの取り戻さなくていい。経験は上積みしていけばいい。「取り戻そう、取り戻そう」と思うから、無理な話になってしまう
・私の目の前にいる、このただひとりの人を救いたいという気持ちで話を聞く。「何かに
傷ついた体験」が一つあって、傷つく痛みを知っていれば、人の話は聞けるもの
・「死ぬな、死ぬな」と言ったら、よけいにモチベーションが落ちていく。逆に「おう、死ね、死ね。死に方を教えてやる」と言うと、腹が立ってきて、私への怒りや憤りが、エネルギーの点火剤になる
・社会で活躍している女性でも、自分にどこか自信がなくて、
ご主人様を求めてしまうタイプがいる
・「いつの日か、暴力がなくなって、優しい夫になるかも」などと期待せず、「暴力をふるう人間は、暴力をやめることはない」と見切って逃げること。「すまなかった。暴力をふるわないと約束するからもう一度やり直したい」と言うのは、
DV男性の常套句・一回でも、自分の人権を侵害したり、
高圧的な態度に出てきたときは対等にけんかしたほうがいい。そうすれば、男のほうが繊細で怖がりだから、コロッと態度が変わる
・子供が「強い態度に出たり、暴言を吐けば、親は言いなりになる」ことを覚えたら、今度は
暴力で支配しようとする。「こんなことが世間にばれたら恥ずかしい」と思う気持ちが、DVを助長する
・人助けはやり過ぎたらいけない。「小さな親切、大きなおせっかい」。これは
人助けの基本・契約書があれば、警察も対応が違ってくる。証明があれば反論もできる。たった一枚の紙切れが人を助ける。最後に
紙は人を救う・金に関係のないように見えるDVや家庭内暴力も、結局は金につながっている。
金があれば、DVから逃げ切れる。金がないからイライラして子供を虐待する。
金がないばかりに、認知症の親を自宅介護して、夫婦仲がぎくしゃくする
・
多重債務者の大半は、金の奴隷になって、金の呪縛から抜けきれない。金しか見ていないから、みんなささくれ立っている
・金で死ぬのも、金本位でしか物事を考えられないのも人間だけ。だから、
借金による苦しみさえ取り除ければ楽になる
・7年経てば、
自己破産の経歴は消える。再出発するために、7年に1回使える法律が自己破産
・自己破産すると、家は管財人に処分しなくてはならないが、住み慣れた家を手放すのはつらい。
家を任意売却する場合、その価値は市価の3分の1、競売では4分の1から5分の1。家を合法的に残すには、知人に買ってもらうのがいい方法
・毎月の返済額は銀行など、相手側が決めると思っている人が多いが、そうではない。こちらで決めるもの
・親兄弟でも、絶対に
連帯保証人にならないこと。親兄弟へ金を貸す場合でも、
借用書を取ること
・
自己破産すると官報に住所と名前が載る。しかし、官報なんて誰も見ない。裁判所から会社に通知がいくことはないし、もし会社に知れても、自己破産は解雇する理由にならない
結局は、お金絡みというのが世の中の現実なのかもしれません。この本の相談内容のほとんどが
お金で解決できることが多いことに驚かされました。
逆に考えれば、悩みの相談を受ける人は、
お金で苦労した人でないと務まらないということなのかもしれません。