著者が定義する田舎者の中には、都会人気取りの田舎者(
精神的田舎者)が含まれています。
そういう面も含めて、田舎者の気質、都会人の気質を探り、人との付き合い方に役立てようというのが、この本の主旨です。役に立った箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。
・田舎者と都会人には、5つのタイプがある。「
都会人気取りの田舎者」「田舎に戻れない都会人」「
都会生まれの田舎者」「混じりけなしの田舎者」「どこから見ても都会人」。ほとんどの人が、このどれかに当てはまる
・「都会人気取りの田舎者」は、都会に出てくると同時に都会人のようにふるまい、自分が田舎出身であることを隠そうとする。もし田舎臭さを誰かに指摘されたら、顔を真っ赤にしたり、怒り出したりする
・「都会人気取りの田舎者」は、おしゃれな場所で、ビジネスマンとしての最新ツールを使うのが都会エリートの図柄だと思っている。それが
田舎臭いことに気づいていない
・「都会人気取りの田舎者」の行動基準は、「
都会人らしく見えること」にある。都会に生まれ育ったように見え、「さすが○○さんは、洗練されていますよね」と、人に思わせることに心血を注いでいる
・「都会人気取りの田舎者」は、周囲に認められ、のし上がっていくための努力は惜しまない。しかし、努力する姿を周囲に晒すのを嫌う。努力やド根性丸出しで、周囲に認めてもらうのはカッコ悪い。それは田舎者のやることと思っている
・「都会人気取りの田舎者」は、いくら好待遇でも地方営業所では嫌だ。本社で力を発揮し、本社で認められたいと思っている
・「田舎に戻れない都会人」は、田舎を引きずり続け、都会暮らしを営んでいる。都会にしばらくいると、「
田舎に戻りたい」と思い、田舎にいると、「都会がいいなあ」と思う
・「田舎に戻れない都会人」は、都会の生活にも、土との一体感を求める。家を買うなら、土地付き一戸建てだと確信している。都心から少々離れていても、一軒家を探す
・「田舎に戻れない都会人」は、どちらかというと地味な服装を好む。おしゃれな格好は田舎者の自分に似合うはずがない、
自分らしい格好で生きていたいと思っている
・「都会生まれの田舎者」は、都会で生まれ育ったはずなのに、なぜか田舎臭さを持っている。洗練されたところがなく、立身出世を目指し、
がむしゃらに努力しようとする。実は、都会育ちのかなりの人がこのタイプ
・「都会生まれの田舎者」は、自分が所属するところが最上と考える。そこに
排他的な思考が加味されるため、自分が認めた人間だけで派閥を作ろうとする。この人たちのネガティブな関心は、「外様」に向く
・「都会生まれの田舎者」は、積極的に他人との接触を持ちたがる。それがうまくいかないとき、都会育ちなのに、
物々交換の手を使う。旅行や出張先で、必ず土産物を買って帰る
・「混じりけなしの田舎者」は、内と外をはっきり分け、内の人にはベタベタと付き合おうとする。仲間だと思っている人に誘いを断られると「
水臭い」と感じる。ときには、内の人間に対して
親分風を吹かせたがる
・「混じりけなしの田舎者」には、「鬱陶しい親切」を押し付ける。人のテリトリーに土足で入り込んでいることに気づかない。自分の価値観が最も正しいと信じている
・「混じりけなしの田舎者」は、義理人情を重んじる。このタイプには、「君の力が必要なんだ」といった具合に、
義侠心を煽るようなお願いの仕方や指示の出し方を心得ること
・「混じりけなしの田舎者」には、ユーモアがない。共同体の中にいては、視野が狭く、言葉や行動に遊びがないので、言われることを
額面通りに受け止めてしまう
・「どこから見ても都会人」(正真正銘の都会人)は、
他人に関心が薄い。個人主義で生きているため、できるだけ会社に縛られず過ごそうとする
・「どこから見ても都会人」は、その場で相手に合わせ、自分を変えられる力を持っている
・「どこから見ても都会人」は、そもそも田舎を知らないため、「田舎」「都会」という発想がない。そのため、田舎者のコンプレックスがわからず、無意識に人を傷つける
・「どこから見ても都会人」は、意外にも
田舎に憧れる。ずっと都会に暮らしているので、きっと田舎には都会にない素晴らしいものがあると思っている
日本人の類型に、これほどいい分類方法はないと思います。ビジネスでは、この分類に従って、どう付き合っていくかを考えればいいだけです。しかし、プライベートの付き合いでは、同じタイプの人と付き合うと心が落ち着きます。
いずれにせよ、この類型をよく見極めることが、日本人との付き合い方に大切なことではないでしょうか。