とは考

「・・・とは」「・・・人とは」を思索

『ユダヤ人の成功哲学タルムード金言集』石角完爾

ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集
(2012/04/20)
石角 完爾

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本書は、ユダヤ人の生きる知恵を集めた書として、今も語り継がれている「タルムード」の中からためになる言葉を紹介した書です。

ユダヤ人として生きる道を選んだ著者ならではの一冊です。その一文をまとめてみました。



・「金がありすぎると、人間は獣のように警戒心が強くなるが、金が全くないと、なりふり構わない本当の獣になる」

・「金という石鹸で洗えば、何でも綺麗になる」

・「金を数えるには三つの方法がある。倹約、節約、勤勉だ」

・「大切なものを失わなければ何も得られない」は、ユダヤ人が肝に銘じる、金に関する大原則

・「小さな儲けにとどめよ。それを繰り返せ」

・「懸命で賢明な生き方こそ、お金を引き寄せる」

・「今日あなたは、自分の穀物倉庫を見て、穀物の量を数えようとした。その瞬間にあなたは神から見放される

・ユダヤ人は大量に言葉を使う「多言民族」。よく喋り、よく発言し、よく主張する。ユダヤには「舌の先に幸せがある」という格言がある

・交渉事の議論は、勝つか負けるかも大事だが、長く付き合える信頼のおける相手かどうかを見定める物差しでもある。「できる敵」は、味方になった時、頼もしい相棒になる

・「過剰な要人は良い結果を生まない。心配ではなく、適正判断をせよ」

・ヘブライ聖書によれば、ユダヤ人の始祖アブラハムは、ある時「レハレハ」(すべてを捨てて、新しい土地へ行け)と、神から告げられた。父の土地を捨て、親から引き継いだ豊かな生活を捨て、全く新しい土地に行き、もう一度ゼロから始めよ、と神は命令した

・「レハレハ」は、自分自身の内面に深く入って、全く知らなかった新しい自分を見つけよ、という示唆に富んだ言葉。つまり、ゼロに戻った時こそ、新たな自分に出会えるチャンスだということ

・「最も良い教師とは、最も多くの失敗談を語れる教師である」

・「From Dust to Dust (人は塵から生まれてきた。生まれてきてから得たものに執着するな。いずれ人は塵に戻っていくのだから)」

・「ノアの方舟には、すべてカップルでしか乗船できなかった。そこで善と悪が、苦と楽が、薬と毒が、福と禍が、富と貧が、カップルで乗ってきた。だからこの世界には常に二つが存在する

・「善と悪とは常に手を取り合って行動している。手を離したことは一度もない」

・「世の中には、度を越すと毒になるものが八つある。旅行、恋愛、富、仕事、酒、睡眠、薬、香料である」

・「人間には六つの役に立つものがある。そのうち三つは自分ではコントロールできないが、残りの三つは自分の力で制御できる。前者は、目、耳、鼻で、後者が、口、手、足である」

・「教育とは、教育することを教育することだ」

・ユダヤでは、5000年の歴史の中で、金銭的・物質的に満たされることと幸福とは関係ないと教えてきた。幸福とは幸福感のこと。要は心の問題なのだと教える。ユダヤの説話の数々は、不幸感を幸福感に変えるヒントを手を替え品を替えて、人々に諭したもの

・ユダヤでは、人に幸福感を与えることは自分に幸福感をもたらす一つの善行であると考える。「アレヌ レシャベア」といい、他人をほめることは一種の義務

・ユダヤ教では「人間に耳が二つあるのに、口が一つしかないのは、よく聞くことが幸せをもたらす」と言われている。人の話を聞かないのは、「1.その人の存在を無視すること」「2.その人に心を閉ざしていること」「3.その人を軽視している」ことになる



知識を全員に教えるのではなく、知恵を一人一人個別に教えるユダヤ人の教育姿勢が、本書に示されています。

知識も大事だけど、知恵のほうがもっと大事です。知恵を学ぶには、タルムードのような「先人の教え」が重要なのだと思います。


[ 2014/05/21 07:00 ] 石角完爾・本 | TB(0) | CM(0)

『ユダヤの「生き延びる智慧」に学べ』石角完爾

ユダヤの「生き延びる智慧」に学べユダヤの「生き延びる智慧」に学べ
(2013/04/19)
石角完爾

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スウェーデン在住で、ユダヤ教に改宗した国際弁護士の著者の書を紹介するのは、「天才頭脳のつくり方」「だから損する日本人」「お金とユダヤ人」に次ぎ、4冊目です。

著者は本書で、ユダヤ人の図々しさ逞しさ狡猾さに学ぶべきと説いています。ユダヤ人の著者だけに、説得力があります。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・イスラエルはロシアと強力なパイプを持っている。その役割を担っているのは100万人ともいわれるロシア系ユダヤ人。ソ連時代に差別を受け、冷遇された科学者、エンジニア、学者などが大挙してイスラエルに移住している

・中国もイスラエルと軍事的に密接な関係を持っている。中国軍の近代化、ハイテク化は、イスラエルのハイテク産業がその一部を担っている。日本が知らないところで、イスラエルと中国の官民挙げての交流が活発化している。中国企業のイスラエル企業買収も多い

・イスラエルはアメリカは言うに及ばず、中国、ロシアにとってもなくてはならない国だが、日本は中国、韓国、ロシアにとって、衰退しても一向に差し支えのない国である

・秩序や平和やルールなどというものは、国際政治上、一瞬たりとも存在しなかった。世界は武力のみが支配するカオス。よほど狡猾に振る舞わないと、周辺強国の占領を招く

・日本は戦略的嗅覚が全く発育していない「鼻のないネズミ」。いつも遅れて決断するので、不利な後続組になる。歴史を振り返れば、帝国主義的植民地支配もそう。後続組のくせに余計な振る舞いをするから、先頭集団から「うるさい奴だ。黙れ」と足蹴にされた

・スイスやシンガポールのように、黙って目立たぬように強力な戦力を蓄えればよい。それがずる賢い狡猾な国家戦略というもの

・自分が主人公であるのを放棄して、考えもせず、質問も議論も抗議もせず、他人に依存して御上に言われるまま行動する。こんな奴隷のような日本人の生き方は、ユダヤ人の目には神の期待に背いているように映る

・能力のある者、知識のある者、技術のある者、新規事業を興す勇気のある者、これらを日本以外では「タレント」という。タレントは資源。国内にいなければ「輸入」すること

・アップルが貯め込んだキャッシュは1370億ドル、マイクロソフトは680億ドル、グーグルは480億ドル。この3社で日本円にすると約24兆円貯め込んでいる。この3社は創業者がユダヤ系であったり、イスラエルのハイテクIT産業に大きく依存している

・イスラエルはベンチャー起業が多い。ナスダック証券取引所に上場しているイスラエルの企業数はアメリカに次いで多い。軍事国防産業からいくつもの企業が分離独立して成功を収めているのもイスラエルの特徴

・軍隊で、生きるか死ぬかという環境に置かれ、自分の力だけで考え、決断し、規律とは何かを学ぶ。精神を鍛えて物事に取り組む姿勢はビジネスの世界でも役立つ

・イノベーションは「流動性」に接触することから生まれる。流動性とは、下剋上、奇想天外が受け入れられる沸騰した社会状態。イノベーションにとって理想的な環境とは「混沌の淵」「カオスの淵」「厳格な規律と混沌との出会い

・ある国がイノベーティブを生む土壌にあるかどうかは、女性が従順か闘争的かが一つの指標になる。アメリカ、イスラエル、イギリスには闘争的女性が多い

・「物事が永続する価値は、密かに隠されて小さく、人々が気づかない精神的な洞察であることが多い」。この哲学を日本の生活に則したならば、有名人の言うことは信用するな。テレビ、新聞、雑誌は読む価値なし。ネットのフォロワー数も価値なし、ということ

・「マネジメントはリベラルアーツである」(ドラッカー)。リベラルアーツ教育はパイオニア精神を叩き込む教育。トーマス・ジェファーソンは「単なるリーダーになるな、パイオニアになれ」と言った

・美食・飽食は人を馬鹿にする。甲殻類の禁食を含むユダヤの食事戎律カシュルートは「生きる目的は美味いものを食べるためではない」と戒める。日本は、テレビ番組でものを食うシーンが多い。性欲や食欲という一次欲求は、本来、人に見られたら恥ずかしいもの

・ユダヤ人はお金を軽視したり蔑視したりはしない。お金は人生の扉を開ける大切な鍵だと考えている。欲望の充足のためにお金を稼ぐようなことはしない。あくまで「適切」に「正統」に稼ぐことを大切にする



本書のサブタイトルに、「浮かれる日本への警鐘」とあります。日本にいると、日本という国に対して主観的になります。

国際的な視野を持つ著者が見つめる日本の問題点は、かなり的をついているように思いました。著者のような真の国際人の意見をもっと聞くべきではないでしょうか。


[ 2013/09/09 07:00 ] 石角完爾・本 | TB(0) | CM(0)

『お金とユダヤ人・富を引き寄せる5000年の秘密』石角完爾

お金とユダヤ人 富を引き寄せる5000年の秘密お金とユダヤ人 富を引き寄せる5000年の秘密
(2010/03/27)
石角 完爾

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石角完爾さんの本を紹介するのは、「天才頭脳のつくり方」「だから損する日本人」に次ぎ、3冊目になります。石角完爾さんはユダヤ人(ユダヤ教に改宗)となって、世界を股に活躍されている国際弁護士、教育コンサルタントです。

ユダヤ人はお金についてどう考えているのか、お金の教育をどうしているのかが本書のテーマです。参考になった箇所が多々ありました。それらの一部を要約して、紹介させていただきます。



・美食と飲酒、無駄な娯楽、虚飾的商品の購入、快楽だけの性交渉、怠惰な時間、ギャンブル、麻薬など、これら現代人の悪徳に誘惑されると、お金と時間のエネルギーが浪費される。ユダヤ教は、それらに惑溺することを禁じる。結果としてお金が貯まりやすくなる

・「食卓での議論は飯をうまくする」「質問をする舌の先に幸せがある」という格言の意味は、議論、会話が幸せをもたらすことを示している。その中でも特に「質問」をユダヤ人は大切にする

・ユダヤ人は、かなりの収入がある人でも質素(靴はスニーカー、服は家ではジーンズ、車は日本車、ヴィトンのバッグなど見かけない)だが、家は本であふれている。こうした姿は、ユダヤ人だけでなく、どのアメリカのエリート層にも共通している

・日本の祭りは楽しいものだが、ユダヤの祭りは苦難を体験させるもの。「過ぎ越しの祭り」では、まずいパンを1週間食べ続ける。「ヨム・キプール」の祭日は、24時間飲み食いが許されない。「スコットの祭り」では、ワラで作った仮の家を建て、そこで生活する

・ユダヤ人が子供の教育で必ず教えることは、「トーラーと呼ばれる書物」と「失敗の体験」の二つ。「最もよい教師とは、最も多くの失敗談を語れる教師」の格言のとおり、ユダヤ教の学習会では、失敗を話し合うことが奨励される

・「アインシュタインもマルクスもフロイトも、携帯やゲーム機があったら研究上の発見をしなかった」(三人はいずれもユダヤ人)と言う人がいる。ユダヤ社会の伝統教育では、13歳前~20歳前後までは、タルムードの教育を行い、外の情報に触れさせない

・ユダヤ教は、「適正」「自己学習」「自己抑制」「自己管理」「正直」の五つの言葉に要約できる。この逆の「貪欲」「怠惰」「不摂生」「放埓」「虚偽」が、人生でやってはいけないこと。お金儲けでも、この五つの悪徳は当然禁止される

・1947年に施行された日本国憲法の制定には、連合国連総司令本部の民政局にいたユダヤ人弁護士チャールズ・ケーディスが大きな役割を果たした。日本国憲法の「私権の享有は公共の福祉に従う」という思想は、ユダヤ法の影響を受けている

・ユダヤ教には「隣人をうらやむな」の戒律がある。ユダヤ人は、「あの人は計画を立て、それを実行して成功した。私も同じようにすればいい」「ユダヤの教えに従っていれば、誰もが成功にたどり着ける」と確信しているため、人をうらやましいと思わなくなる

・世界の歴史を見直すと、ある国が覇権国になる前から、その国に、先読み能力に優れたユダヤ人が住み始め、活躍する。言い換えれば、ユダヤ人が活躍できる国は、人種・宗教の偏見の少ない自由な国で、異質な力を活用するのに長けている国

・今、ユダヤ人が向かっているのは、インド(イスラエル企業とアメリカ企業がIT分野を中心に積極的に進出)と中国(香港、上海にユダヤ人が集中して住んでいる)とロシア

・ユダヤのビジネスは、人が利用せざるを得ない仕組みをつくり、お金が落ち続けるようにする。かつては金利であり、今はネットや通信技術。ユダヤには、「こじきのお金の稼ぎ方」(チャリンチャリンと人々がお金を落としていくプラットホームづくり)の説話がある

・ユダヤ民族には、子供をほめる文化があり、子供に、「あなたならできる」とほめ、「私ならできる」と言い聞かせ、自分を卑下させない。そのため、ユダヤ人は実力以上に自分を評価する自信家が多い。こうした過信が実力以上の仕事をさせ、成功をもたらす

・企業のM&Aで、その企業価値の算定法には「清算価値」「時価総額法」「DCF法」という考え方がある。「DCF法」とは、一言で言えば、稼げる金額の7年分を会社の価値と見る考え方。ヘブライ聖書では、資産の評価方法として、DCF法がよいとしている

・アメリカ人は英語しか話せないと思っている人が多いが、エリート層ほど外国語を学び、話す。ニューヨークなどの大都会では、この傾向は顕著

・ユダヤ人の「お金の知恵」の工夫は、「1.人をほめる」「2.家族との時間」「3.生きる意味の自問」「4.善行の習慣」「5.心と体のダイエット」「6.新しいことに挑戦」「7.喋るより聞く」「8.自らの解放時間」「9.不運を幸福に変える」「10.人生を喜ぶ」



お金は、習慣や考え方の影響を受けるもので、小さい頃からの教育によってもたらされます。ユダヤ人が家庭教育を重視するのは、そのためです。

本書を読むと、教育こそ、お金を産み出す源泉、幸福を産み出す源であると確信できるのではないでしょうか。


[ 2012/12/18 07:03 ] 石角完爾・本 | TB(0) | CM(0)

『ユダヤ人国際弁護士が斬る! だから損する日本人』石角完爾

ユダヤ人国際弁護士が斬る! だから損する日本人ユダヤ人国際弁護士が斬る! だから損する日本人
(2011/12/01)
石角 完爾

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石角完爾さんの本を紹介するのは、「天才頭脳のつくり方」に次ぎ、2冊目です。石角さんは、日本人なのに、ユダヤ教に改宗し、ユダヤ人となった国際弁護士です。今は、スウェーデンに暮らされています。

世界を股にかけて活躍されている著者の眼から見て、最近の日本人がどう映っているのか、興味のあるところです。本書の一部を、紹介させていただきます。


・ユダヤ社会は、徹底的に「ハウツー」を教えない社会。ハウツー本など読まない代わり、「ヘブライ聖書」の精神を解釈した「タルムード」に従う。これは、ハウツーではなく、知恵の集大成

・だめかもしれないけど、やるしかない。あきらめることは神が許さない。欧米人やイスラム教の人々は、そうした加点主義の発想を子供のころから頭に刷り込まれる

・未来に待ちかまえる夢を想像できず、減点主義のストレスで、自殺率も世界一(中高年男性は世界一)になってしまった日本。加点主義発想がないことで、大きな損をしている

・日本人が、海外で無責任とみなされる理由には、「私ならこうする」と言わないで、「多数に合わせる」ことで責任を転嫁するから

・ユダヤ人は、小さいころから「ふつうと違う人間」「他人と違う人間」になることを徹底的に教えられる

・タルムードをいくつも読んで、常に「複眼視」(物事は、表裏、上下、左右からも、あるいは壊して内側からも眺められるといった思考法)をユダヤ人たちは叩きこまれる

・「相手が攻撃を仕掛けてきた瞬間の反撃は、正当防衛として許される」。国際社会では、その場で反論しないと相手に同意したものと看做される。沈黙は相手に従ったのと同様

・欧米諸国は議論を聞いているのも好き。口論や討論、議論こそ「Wisdom」の源泉という考え。実際、議論することによって、多角的な見方論理分析能力が身につく

・日本人は「議論の文化」「反論の文化」「討論の文化」「質疑応答の文化」に慣れるべき。日本社会は、議論、反論、討論を嫌うために、世界の秘境になっている

・日本人は、証拠や根拠のないことでも、皆が「そうだ」と言っていれば、素直に信じてしまう。やはり、国際社会では「騙されやすい人々」

・国際社会では、ハッキリ「NO」と言うのは当然だが、それだけでは不十分。「NO」と言った後で、必ず「because」と続けなければならない。理由を述べて、「why」を埋める

・革新的な技術は、一度すべてをご破算にして、ゼロから創り直す「統合理論」からでないと生まれない

・謝罪会見(頭を下げて謝っている姿)は、海外では滅多に見られない奇妙な光景。日本には「叱る文化」が根づいている。叱っても何も前進しないし改善もしないのに「叱る」

・減点主義の日本では「提案しない、行動しない、自分ではしない」の「ないない人間」ばかりになっている

・駄洒落は通用しないが、「川柳」は、英語に訳せば、ジョークとして世界に通用する

・「地球温暖化が問題だ」と言われたら、すぐに敏感に反応しているのは日本だけ。世界は、言うだけ言っても、損になることは軽はずみにやったりはしない

・日本人が「What you have(何を持っているか)」を追求してきたのに対して、「Who I am(私はどのような人間であるべきか)」を追求してきたのがユダヤ人

・日本は、他人と比較し、物欲に振り回される国。「持たざる不幸感を煽る」ビジネスモデルを仕掛けられ、富を奪い取られていく

・ユダヤのお金持ちは、京都のお金持ちや近江商人に共通するものがある。京都には、間口が狭く、質素につくった「豪商の家」がたくさんある。豪邸を自慢したりしない

・日本では「いい人」と「悪い人」だけ。ユダヤ社会では、「いい人に見えるいい人」「いい人そうに見える悪い人」「悪い人のように見えるいい人」「悪そうに見える悪い人」の4タイプがいて、一番注意すべきは「いい人そうに見える悪い人」と、はっきり教える

・ユダヤでは、神によって「生涯にわたって勉強すること」が定められる。だから、嫌でも勉強し、知識を子供に教えていかねばならない


本書には、日本人に厳しい指摘が数多くあります。しかし、それを謙虚に受けとめることが大事だと思います。

「いや日本は、素晴らしい」「日本には、こんないいところがある」と反論するよりも、まずは、低姿勢で学ぶことが、次の発展成長につながるのではないでしょうか。
[ 2012/03/27 07:01 ] 石角完爾・本 | TB(0) | CM(0)

『ユダヤ人国際弁護士が教える天才頭脳のつくり方』石角完爾

ユダヤ人国際弁護士が教える天才頭脳のつくり方ユダヤ人国際弁護士が教える天才頭脳のつくり方
(2009/01/20)
石角 完爾

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著者は、京都大学法学部を首席で卒業後、経済産業省を経て、ハーバード大学で学び、その後、ユダヤ教に改宗し、正式にユダヤ人となった、元日本人の弁護士です。今は、イギリスに在住し、国際弁護士だけでなく、教育コンサルタントとしても活躍されています。

日本人で、ユダヤ人になった人は滅多にいません。ユダヤ人のことを、日本語でわかりやすく説明してくれるので、有難い書です。

特に、ユダヤ人の頭の良さについて、よくわかりました。実践できることも数多くあり、役に立った箇所が15ほどありました。「本の一部」ですが、紹介したいと思います。



・ユダヤ社会に根付く優秀な頭脳を育てるポイントは、「1.問いかけを重視する習慣」「2.大量の読書量」「3.褒めることで自尊心を育む」「4.国際性を身につける言語教育」の4つ

・ユダヤ人は、質問を繰り返す。質問の狙いは、思考力を育むことにある。ユダヤ人は、「問いの民」「議論の民」「学びの民」「思考の民」と言われている

・ユダヤ人は、5歳で聖書の勉強を始め、10歳で「ミシュナー」と呼ばれる律法の勉強に入り、15歳でタルムードを学ぶ。タルムードには、過去の賢者の説が、複数示され、どれが正しいという結論は書かれていない。このタルムードを読むことが授業の出発点

・ユダヤ人の家は、たいてい本でいっぱい。父、母、子供たちの部屋にも、大きな本棚にさまざまな本が詰まっている。本の選び方は、まず「知りたい」欲求からスタートする。疑問について、調べるのが本の読み方

・普遍的なものに思いを馳せ、じっくりと人類の知的遺産と格闘する経験は、成功をつかむために不可欠。なぜなら、経済であれ、投資であれ、大きな歴史の流れの中の一現象、その大きな方の流れを知らなければ失敗するから

・褒めることはユダヤ社会に深く根付いた習慣。「もっとできる」(YOU CAN DO IT)と言って、子供たちを励ます

・アメリカにいるユダヤ人は、誰でも自己評価が高い。自分の能力に大変な「自信」を持っている。日本人から見れば、「過信」に見えるが、この過信こそが、歴史上の天才を生んできたのも事実

・欧米圏には、英語で「植民地」を広げていくという発想がある。英語によって、産業を支配しているとも言える。昔のような植民地支配ではないが、新しい形での他国支配のやり方。英語を使いこなせなければ、大きなマイナスになることは明らか

アメリカのユダヤ人は56%が大学を卒業(全米平均29%)、25%が大学院を卒業(全米平均6%)。アメリカの高等教育は、学費がかなり高いのに、中流層の家庭でも、教育熱心で、大学院に入れようとする

・身の丈を知り、大勝負に出ないのは、ユダヤ人のビジネス感覚。ユダヤ人は「面子のために損を覚悟」という気持ちはまず持たない

・「日本の物づくりの技術はたいしたもの」と多くの日本人は思っているが、歴史を学べば、「世界の工場」であり続けた国などない。工場だけでは国は生き残れない。ビジネスは、みんなが入ってくる土俵で競争を続けても、どうにもならない

・ユダヤ人は、競争とは別の道を選ぼうとしている。「プラットホーム」(乗降場所、拠り所)という形をつくり、誰もが使う「仕組み」をつくり、誰も真似できない独自性を持つ存在になろうとする

・アメリカの「一芸に秀でる」とは、他の追随を許さないほど、ある分野で秀でた人物は、それだけ情熱家だから、他の分野でも秀でた業績を残す可能性があると考える

・ユダヤ人は、「私はこう考えるが、あなたはどうか」という論法で、話す人が多い。そして、はっきりと自己主張する

・笑いは奥深い営み。他人を貶める質の低いものもあるが、一方で、権力や権威を笑いとばして、それに対抗する手段となる場合もある。何を笑うかで、その人の教養や人格がわかる

・教育コンサルタントは、子供の学習指導をするわけではなく、あらゆる学校に関する情報を持ち、その家の教育の目的、学費、資金などを前提に、どの学校が子供にふさわしいかを提案することを仕事にしている人

・子供の教育設計でも「人と違うこと」を追求するべき。満足できる仕事を行って、社会的な評価を受けるには、人とは違う価値を生み出す必要がある



この本を読み、疑問と議論と読書を重ねたら、人は賢くなるということがよくわかりました。

それらを生み出す元は、好奇心なのかもしれません。その好奇心は、目上のものに褒めてもらい、「図に乗る」ことで培われていくのかもしれません。

ユダヤ人は、褒める民族のようです。豚もおだてて、木に登らせることが「天才頭脳のつくり方」ではないかと感じた次第です。
[ 2011/01/07 08:11 ] 石角完爾・本 | TB(0) | CM(0)