とは学

「・・・とは」の哲学

人を惹きつける力(2)~マグネット効果~

シスレー/サン・マメスのロワン河畔の風景/鹿児島市立美術館/POST CARD
こう考えると、
「どれだけ、遠くから客を呼んでいるか」ということも
「どれだけ、売っているか」以上に、世間に自慢できる指標に違いありません。

小さくても、客を吸い寄せる「マグネット効果」を発揮していることになります。

地方は、都会に吸い取られる「ストロー現象」ばかりが話題になりますが、そこにしかないものを作り出せば、都会から客を吸い寄せる「マグネット効果」も十分に考えられるのではないでしょうか。

本当は、地方こそが、都会と違う「個性」ある生き方をしないといけないのに、都会に憧れて、都会のマネをした「標準」的な生き方をしようとします。ここに大きな矛盾が生じているように思います。

以前、お付き合いしていた観光農園の社長は、いつも
「うち、田舎ですから」と発言されていました。

私が、
「これ、ボリュームありますねえ!」と言うと、
その社長は、
「うち、田舎ですから。都会のように量が少ないといかんのですわ」
「大きい方が売れるんですわ」と言われました。

さらに、私が、
「この売り方、ユニークですねえ!」
「スーパーの買物袋に入れて、俵積みですねえ!」と言うと、
またもや、その社長は、
「うち、田舎ですから。泥臭くした方が受けるんですわ」
「いろいろ試したけど、この売り方が一番売れるんですわ」と言われました。

田舎の観光農園という、自分の置かれた状況を客観的に把握し、自己受容した上で、都会の客を喜ばし、お金を支払っていただくためには、どういう商品や売り方が一番受けるのか?一生懸命考えられて、実行されています。

この観光農園には、田舎の卑下など少しもありません。田舎という立場を、存分に利用しています。

むしろ、田舎だからこそ、この商売が成り立っています。「個性ある生き方」と「冷静な考え方」のできる非常に頭のいい社長だと思いました。

このように、人のマネのできないものを作り出すには、いろんなものをいっぱい見ても、それを安易にマネせず、それを糧として、自分の頭で考え、人と違うことをすることです。

個性ある生き方をして、独自のものを作り出し、人を惹きつけて、人を集めていると、ますます魅力的になります。

そうすると、自然と人に慕われるようになります。そして、小さな企業でも、マグネット効果がさらに高まっていくのではないでしょうか。


人を惹きつける力(1)~個性と没個性~に もどる



[ 2009/09/18 07:47 ] お金の話 | TB(0) | CM(0)

人を惹きつける力(1)~個性と没個性~

高野山・金剛峯寺/photo by福家金蔵
我が社は、16年目になりましたが、マイナーなおかげで、細々と何とか生き伸びております。少々恥ずかしくても、「個性」を貫いたことが、人を惹きつける結果となったのかもしれません。

小さくても、個性を貫いていれば、この個性に関心のある方が探して出してくれます。

零細企業主が、こんなことを言うのは、おこがましいのですが、本当に素晴らしいオンリーワンのものを持っていれば、東京にいなくて、地方でも、日本中いや世界中から人が集まってくれるのかもしれません。

この考え方は、小売業と観光業の違いで説明するとわかりやすいように思います。

小売業は、基本的にメーカー・生産者がつくった商品を仕入れて、販売します。どこにでもある商品を仕入れて、販売する以上、人の集まる場所に、出店するのが得策です。多くの人に合わせていく、没個性戦略です。

ところが、観光業は、風光明媚、歴史的街並み、地元にしかないおいしい食べ物など、そこにしかないものを「売り」にして、人を惹きつける戦略です。

観光客は、そこにしかないものに価値を認めているからこそ大切な費用と貴重な時間を使ってくれるのだと思います。

つまり、小売業は、独自のものがないので、客の集まるところに出向く。観光業は、個性的なものを有して、遠くの客を惹きつけていくという図式になります。

企業や人を「売上や数字」だけで見るのなら、人の集まるところに出向く没個性的な生き方が高く評価されると思います。

しかし、企業や人を「内容」で評価するのなら、遠くから人を惹きつける個性的な生き方が、もっと尊敬されるべきではないでしょうか。

先月、和歌山の高野山に行きました。自宅から3時間以上かかりました。帰り際に、生胡麻豆腐を買いました。

4年ほど前に、この店で買って、食べたところ、今まで食べたことのない、ねっとりとした食感と胡麻の薫る風味があり、無茶苦茶おいしかったのです。でも、この店は、支店を出していませんでした。大きな会社では、ないようでした。

全国のデパートに出店している業者の高野山の胡麻豆腐を、その後食べましたが、値段の割りには、おいしいと思いませんでした。

このおいしい生胡麻豆腐を再度買う目的も兼ねて、4年ぶりに高野山に行きました。考えてみたら、たかが、1個200円弱の胡麻豆腐を10個ほど買うために、往復交通費を5000円以上かけて行ったことになります。

高野山へは、避暑とわずかながらの信心も目的にありましたが、胡麻豆腐を買うことが大きな目的だとすれば、割に合わない、非合理的な行動になります。

ということは、この胡麻豆腐屋さんは、単なる小売業を営んでいるのではなく、観光業も営んでいると言えるのかもしれません。


人を惹きつける力(2)~マグネット効果~へ つづく



[ 2009/09/17 06:14 ] お金の話 | TB(0) | CM(0)

鶏口となるも牛後となるなかれ(2)~客層分析~

スイス・グリンデルワルトの牧場にて/photo by福家金蔵
この鶏口戦略の「支持基盤」「支持層」とは、どう考えればいいのでしょうか?

支持基盤は、どの場所でがんばるのか、どの業界でがんばるのかを決めることから始まります。

世界なのか?日本なのか?○○地方なのか?
公共関係相手なのか?民間企業相手なのか?一般消費者相手なのか?
これによって、営業戦略が変わってきます。

支持層は、まず客層分析することから始まります。客層には、いろんな切り口があります。

一例ですが、以前、以下のような、主観的なものも含めた客層分析をしたことがあります。

<性別・独身既婚>
(女性・独身)(女性・既婚)(男性・独身)(男性・既婚)

<年齢>
(20代以下)(30代)(40代)(50代)(60代以上)

<到達レベル>
(ビギナー)(セミプロ)(プロ)

<所得と時間>
(『金あり時間あり』中高年専業主婦、高額年金受給者等)
(『金あり時間なし』夫婦正社員共働き、大企業管理職等)
(『金なし時間あり』非正規社員、低額年金受給者等)
(『金なし時間なし』多額住宅ローン返済夫婦、高額教育費支払夫婦等)

それぞれの客層から支持されているかどうか、分析しました。

もっと具体的なところで、ユニークな例としては、「家に仏壇のある長男夫婦」に強い!を切口にしているフラワーショップと出会ったことがあります。長男夫婦とは、いいところに目をつけています。

古くからの広い家に住んでおり、住宅ローンもないので、いいものを多く買ってくれます。こういう客層には、「高品質」「新鮮」「お値打ち価格」でがっちり固めていく作戦がとれます。このように、支持層を固めていくには、支持層毎の手法、作戦があります。

つまり、鶏口戦略とは、客層分析して、支持層を決めて、その小さなマーケット独占市場を形成していく戦略です。

方眼紙の小さなマス目を一つずつ、濃く塗りつぶしていくような感じです。経営の安定を考えれば、3個くらいの濃いマス目があった方がよいと思いますが、「牛後」のように、10個の薄いマス目にならないようにしたいものです。

特に、中小零細企業であれば、支持層を決めて、そこから、評価されるようにがんばるしかありません。

大企業のように華やかではありませんが、しっかりと客から支持されていれば、存在価値は高く、生き残っていけます。

つまり、「鶏口となるも牛後となるなかれ」というのは、「知ってる人は知っている」で生きていく作戦ということではないでしょうか。


鶏口となるも牛後となるなかれ(1)~独占市場~に もどる

[ 2009/09/11 07:58 ] お金の話 | TB(0) | CM(0)

鶏口となるも牛後となるなかれ(1)~独占市場~

伊藤若冲・雪中遊鶏図/POST CARD
鶏口となるも牛後となるなかれ」この諺を何回か耳にされたことがあると思います。「寄らば大樹の陰」の戒めとして、この諺が使われることが多いと思います。

実際は、日本人は性質的に、「牛後」が結構好きで、「鶏口」を余り尊敬していないのかもしれません。

ところで、経営の視点で考えればどちらが得になるのでしょうか?
「鶏口」は売上高は小さいが、利益率が高い
「牛後」は売上高は大きいが、利益率が低い
といったイメージだと思います。

業界が成長している時は、売上高の大きい「牛後」がいいように感じます。なんたって、夢があります。マーケットも世間の注目を集める大きな分野です。

「鶏口」のように、すき間で、重箱の隅をつつくようなことをしなくてもいいからです。堂々と主流を歩む感じが、格好いいように思われます。

ところが、いったんその業界が成熟し、マーケットが衰退期になってきますと、この「牛後」が一番危ない会社になってしまいます。

どんな業界でも、

一番手は大きく儲かり、
二番手は少しだけ儲かり、
三番手は少しも儲からず、
四番手以下はいずれ倒産および吸収合併

という鉄則があります。

でも、潰れず、吸収合併もされない四番手以下の手法があります。これが、「鶏口戦略」です。

「鶏口戦略」とは、自分たちの、「支持基盤」「支持層」をしっかり決めて、その場所、その人たちからの支持を高め、独占市場を形成していく手法です。

高めていくというより、固めていくという表現の方がピッタリなのかもしれません。

本当は、どの「支持基盤」「支持層」からも、しっかり支持される「牛前戦略」がいいに決まっています。

しかし、二番手以下なら、何かの分野、何かの客層で一番になり、しっかり儲けて、力を蓄えながら、総合一番を目指していくしかありません。「金がなくては戦はできぬ」が実情ではないでしょうか。


鶏口となるも牛後となるなかれ(2)~客層分析~へ つづく



[ 2009/09/10 07:24 ] お金の話 | TB(0) | CM(0)

儲かっている会社(2)~言い値と個数制限~

スイスの手巻き時計/photo by福家金蔵
では、なぜ、付加価値の高い商売ができているのでしょうか?

それは、誰にもマネされない、オリジナリティーが高いものをつくっているからです。しかも、“つくり過ぎ”ていません。

これなら、「言い値」で通ります。結果的に付加価値の高い商売になります。1日1000個限定で、売り切れたら、店を閉めている「個数制限」の饅頭屋が一番儲かっているのかもしれません。

「年商10億円で、30年後に潰れる会社」と
「年商1億円でも、300年以上存在する会社」は、
どちらがいいのでしょうか?

私の答えは、もちろん後者です。この京都の老舗のように、
『高く売る!早く店を閉める!』
と決めることの方が大事に思うのです。

そう決めた中で、一所懸命考えて、行動した方がオリジナリティーの高いものが生まれてきます。結果として、末長く、生き残っていけるのかもしれません。

「才能を売らずに、時間を売る」という行為は、本来は恥ずべきことです。「業績が悪くなったから、時間を延長する」なんて、GDP世界第2位の国の発想ではないと思うのです。時間を延長することは、バカでも考えられます。

バカでも考えられることは、すぐにマネされます。そして、皆が時間延長して、泥沼の闘いに入っていきます。客の財布の中身は一定です。時間延長したからといって、たくさんのお金を使ってくれるわけではありません。

したがって、多くの時間働いたにも関わらず、「時間当たり付加価値」が悪化します。

ということは、皆の給料が落ちていくということです。「働けど働けど我が暮らし楽にならざり」の状態になってしまいます。

そうならないためには、

1.人のマネを安易にしない
2.人にマネされないものをつくる
3.それをつくり過ぎない

を目指していく必要があります。

大きくて一番になれば、トヨタやセブンイレブンのように「自分の都合に人を合わせる」わがままシステムを構築することができます。そうなればなるほど、自分の時間効率が高まり、自分の時間が有効に使え、儲かっている会社になっていきます。

しかし、小さくても、自分の論理をしっかり持てば、人をその論理に合わさせることで、効率よく儲けることも可能なのです。「大きい二番なら、小さい一番&一流」がいいはずです。

「人のマネできないものを作り上げ、自分の論理に人を合わせる」ことこそ、商売の王道ではないでしょうか。

「大きくても、あくせくしている会社」
「小さくても、優雅に儲かっている会社
その分かれ目は、時間を有効に使う工夫をしているかどうかの差だと思えるのです。


儲かっている会社(1)~時間を有効に使う~に もどる

[ 2009/08/21 08:22 ] お金の話 | TB(0) | CM(0)

儲かっている会社(1)~時間を有効に使う~

五山の送り火
安くておいしいと評判の店は、土日を定休日にしている場合が結構あります。正月休みもお盆休みもしっかりとっています。

休みが多く、早い時間に閉店できるのは、儲かっている会社の特権かもしれません。儲かっていないとできません。

私が理想とする店(会社)は、冬は1ヶ月、夏も1ヶ月の長期休業で、日が暮れたら、社員がすぐに帰ることができる店です。

寒い時、暑い時、暗い時に働くのは、不自然なように思います。そんな時に、働くのは、生活が苦しい時だけだと思うのです。生活が楽になったら、不自然なことはできるだけ避けるべきだと思うのです。

本来は、時間の使い方を工夫して、時間を有効に使う会社が、付加価値の高い会社として、尊敬されるべきではないでしょうか。

でも、こういう言い方をすると、「この厳しい時代になんてことを言うのだ!」とお叱りの言葉を受けてしまいそうです。

では、なぜ、今のように「正月、お盆も休みなし、定休日もなし、夜は遅くまで営業」という店が続出するようになってしまったのでしょうか。

それは、人のマネばかりして、皆と同じになってしまったからだと思います。「安くすることと、時間を延長すること」しか能がなかったのかもしれません。

一方で、行列ができる店も続出しています。「オリジナリティーがあり、マネできないものを持つ」人気の店は、客が待ってくれます。

以前、京都の老舗が集中する地域の会社へ、仕事で行ったことがあります。

京都の老舗は、皆、優雅です。店構えも優雅ですが、働いている人たちが優雅です。

夕方6時には、店を閉めて、おいしいものを食べに出かけたり、文化的な地域行事の準備をするために集まったりします。皆、あくせく働いていないのです。

例えば、五山の送り火(大文字焼)の時にも、店の前をいっぱい人が通り、開けていたら結構儲かるはずなのに、店を早く閉め、屋上で、優雅に送り火を鑑賞されています。

それができる理由は、付加価値の高い商売(粗利率が最低でも40%以上の商売)をしているからです。


儲かっている会社(2)~言い値と個数制限~へ つづく



[ 2009/08/20 11:41 ] お金の話 | TB(0) | CM(0)