お金学

お金と人生がテーマの書評、論評

スウェーデン・モデルは有効か(レグランド塚口淑子著)

「スウェーデン・モデル」は有効か―持続可能な社会へむけて「スウェーデン・モデル」は有効か―持続可能な社会へむけて
(2012/02)
レグランド塚口 淑子

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スウェーデンに学ぶことがいっぱいあります。しかし、今の日本は、スウェーデンの福祉政策だけを学ぼうとしているように思います。

スウェーデンの福祉政策の背景にあるものを理解せずに、福祉政策を学んでも、全く意味がないのではないでしょうか。

本書は、スウェーデンの骨格(政治、法律、税、教育、思想、歴史、文化など)について、学ぶものです。日本は、ある意味、北欧の真逆です。真逆だからこそ、感銘するところがいっぱいあります。本書の一部を紹介させていただきます。


・スウェーデン・モデルは、社会への「信頼感」と、それに続く「法の尊重」や「再分配コストの低さ」(汚職レベルの低さ)によって、「高い経済効果」をあげていることにある

・1900年代初めのスウェーデンでは、貧困、狭い住居、飢えや病気が普通。その後、工業化の波が訪れたが、1930年代初め、アメリカの恐慌がスウェーデンにも波及し、失業率が20%を超し、ストライキとロックアウトがヨーロッパで最も多い国になった

・1889年に、参政権と「8時間労働、8時間休息、8時間の自由時間」を掲げた社民党が、1932年に政権をとり、同党による長期政権は、1976年まで続いた

・1926年の出生率がヨーロッパ最低を記録した後、子供を養育できるより良い環境(仕事も家族も)の対策がとられた。1931年「出産保険金支給制度」、1938年「児童扶養援助金」「母親への財政援助」などの制度が制定された

・1928年社民党党首ハンソンが国会で演説した「国民の家」構想(共同体意識と共感が家の基盤。良い家では、誰も特権を持たず、無視されず、蔑まず、強者は弱者を抑圧し利用せず、配慮、思いやり、協調、支援の精神がある)は、今日でも頻繁に使用される概念

・近年の日本経済の停滞は、賃金と社会保障を抑圧し、分配関係を悪化させ続け、個人消費を停滞させたことが原因。所得分配が平等的な北欧では、こうした原因による需要不足の景気停滞になることは少ない

・女性就業が一般化しても、子育てとの両立を可能にする施策がないと、「少子化」「労働力の過少供給」「家庭の所得減少」の三つの問題が生じる

・スウェーデンでも、GDPの70%以上が、第三次産業。豊かな国ほど、その比は高い。福祉関連サービスや金融サービスはサービス産業の重要な構成要因。医療・看護・介護・保育・教育は、それ自体がGDPを生む上に、雇用を増やす産業連関効果も大きい

・北欧の電力供給には、「市場競争させながら、再生可能電力の供給も市場化する固定価格買い取り制度」の工夫と「競争が非効率となる送電部門と、小規模が参入して効率を高める発電部門を分離する発送電分離政策」の工夫がある

・税負担の重い北欧諸国の方が分配は平等的。国民負担率が低いアメリカ、トルコ、メキシコなどは分配が不平等(貧困者を選別的に優遇する政策は、かえって所得分配が不平等になる)

・スウェーデンでは、財政の分野でも、地方分権が進んでいる。基礎自治体のコミューンが所得の20%台、日本の県に当たるランスチングが10%台、計30%強の税を自治体で徴収し、自治体で使っている

・スウェーデンでは、米英独と並び、ジェネリック医薬品の使用率は40〜50%台。日本は19%。スウェーデンの薬剤供給公社は、より安い薬品への代替を促すために、患者に情報を提供している

・スウェーデンの社会制度の特徴は、「情報公開制度」(1766年)、「オンブズマン制度(国会・行政・マスコミのチェック機能)」(1810年)、「投票率80%を超える選挙」(1960年以降)、「省益を伴わない政治主導型の行政」「地方分権制度」(1974年に課税権)

・スウェーデン・モデルは「共働き型家族政策モデル」。女性のみが、仕事か子育てかという二者択一を強いられないようにするもの

・1996年、保育政策を教育省に移管し、就学前保育を就学前教育として位置づけ、従来の保育所を「就学前学校」と称し、公教育の一環として、子供の知識と能力の向上を図った

・婚外子が55%になった背景には、婚外子の母親として認定された方が、住宅補助金の受給、保育制度の利用、税制面で有利になることと、「総合累進課税」(夫婦の収入合計で課税)を免れるため、同棲にとどまるカップルが続出したこと


スウェーデンの人口は増えています。私が訪問した10年前、888万人だったのが、現在は937万人になっています。移民を数多く受け入れていることと、女性が離婚しても子供を育てやすい環境が整備されていることも一因です。

日本のような「貧困女子」がいません。日本のデフレの原因は、「円高」だけではないように思います。根本的な問題は、「少子化」「移民拒否政策」にありそうです。

そうならないためのモデルがスウェーデンです。本書には、そのヒントが満載です。大いに参考になります。
[ 2012/05/17 07:08 ] 北欧の本 | TB(0) | CM(0)

お金を使いたい欲求

自尊心が高くて、家族や仕事に満足している人は、
お金を使いたいという欲求が少ない

女性ミリオネアが教えるお金と人生の法則・書評より

人の話を聞く姿勢

人の話を聞く時は、
体を少し前に傾け、乗り出す格好で聞いてあげる
そして、知らないふりして、いろいろ聞いてあげる

江戸の繁盛しぐさ(越川禮子著)・書評より
[ 2012/05/16 17:54 ] 名文選・共に生きる | TB(0) | CM(0)

本番に強くなる(白石豊著)

本番に強くなる―メンタルコーチが教えるプレッシャー克服法本番に強くなる―メンタルコーチが教えるプレッシャー克服法
(2009/06)
白石 豊

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最近、読んで面白いのは、スポーツのコーチが書いた本です。逆に、面白くないのは、企業のマーケティングやマネジメントについて書かれている本です。

前者は、個別対応で実践的なのに対し、後者は、一般対応で即効性がないからです。その理由は、1秒、1cmに真剣かどうかの違いにあるように思います。

本書は、数々のプロ選手のメンタルコーチをされてきた著者が書いた本です。著者が経験してきたことが、スポーツだけでなく、経営や教育分野まで応用できるように感じました。それらを「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・本番で実力の80%も出せれば、上出来とするべき。だから、80%出せば、トップになれるように練習すること

・「チャンピオンになりたければ、すでにチャンピオンになっている人から学べばいい」

・何かをやろうとする時、「意識」「下意識」「セルフイメージ」の三つの精神活動が関わっている。これらがバランスよく働いていると、何でも楽にできてしまう

・「意識」の第一原則(意識は一度に一つのことしか考えられない)。第二原則(何を言うかは問題ではなく、重要なのは他の人に何を思い出させるか)

・「下意識」の第一原則(すべての精神力の源は下意識にある)。第二原則(「意識」がイメージを描くと、下意識の力はそれを実行させる方向に動かす)

・「セルフイメージ」の第一原則(自分の行動や成績を変えたいなら、まずセルフイメージを作り変えること)。第二原則(今のセルフイメージを取り替えることにより、自分の行動や成績を変えてしまうことができる)

・「補強の原則」(起こることについて考えたり話したり書いたりすればするほど、そのことが起こる確率が高くなる)。「水準の法則」(まわりの水準によって自分の水準が上下する)。「価値の法則」(ありがたみは支払った価値に比例する)

・本番になると力が出せない「稽古場横綱」「ブルペンエース」が、よい成績を上げるためには、「セルフイメージ」の改善が必要

・成績は、自信の大きさと比例する。そして、自信の大きさはセルフイメージの大きさと比例する。したがって、良い成績をおさめたければ、それにふさわしいセルフイメージをまず持つこと

・集中モードに「スイッチが入る」には、「本番前に決まり事をつくる」こと。つまり、仕事やプレーに入る前に決まりきった一連の手順を踏んでいくこと

・プレイヤーが試合中に見せる感情は、「1.あきらめ」「2.怒り」「3.びびり」「4.挑戦」。あきらめは、最低の感情。怒ると、筋肉が硬くなり疲れてしまう。びびると、早く結果を出そうと、しぐさが速くなってしまう。挑戦だけが、成功や勝利につながる

・「偉大な選手は偉大なる俳優である」。名優は、演技に入る直前の個人的感情がどうであれ、カメラが回り始めると、与えられた役柄を完璧に演じるために、自分の感情をそれにふさわしいものにコントロールする

・「苦しい時こそ笑顔で」。笑顔は人間の顔の中でも、最も「美しい顔」であり、「強い顔

・「・・・にもかかわらず笑う」。苦しくとも辛くとも、あるいは死に臨んでさえも、笑顔をもって、それを受け入れようとするのがユーモア

・「まだまだ、勝負はこれから。さあ、いくぜ」の一言は、感情を挑戦心あふれた状態に変える力を持っている

・「前後際断」(沢庵禅師)とは、「終わってしまった過去のことを気に病んだり、未来のことを不安がったりしたのでは、今に集中できない。切ってしまえ」ということ

・「自信の大きさは、過去の実績に比例する」。自信は、良い結果が出てから、後で持つものではなく、良い結果を出すために、あらかじめ持って事に臨むもの

・「自らの内部にこみ上げる喜びや楽しさを追い求めると、人は“フロー”という状態に入ることができる。“フロー”は人にとって、喜びや楽しみの源泉であり、なおかつ、好運を招き寄せる」(チクセントミハイ)



イメージトレーニングは、少し宗教みたいなところがあります。自力本願のあとは、他力本願にすがるしかないのかもしれません。

プレッシャーをはねのける強い自分をつくり上げるには、「信じる」ことが一番です。信ずれば叶う、そう思う自分にどうもっていくかが、「本番に強くなる」コツなのではないでしょうか。

神の発明

人々はこの世が苦難の場所だということを知っている。
そして、多くの面で怖がっている。
事故や、病気や、死や、不幸が起こってくる環境の中で
孤独でいる恐怖に面と向かうことはできないと思っている。
その結果、彼らは、神と名づける強力な存在を発明する

拝啓バートランド・ラッセル様・書評より

存続できるかどうか

重要なのは、
「一定の環境の下で最適かどうか」ではなく、
「変動する環境で存続できるかどうか」である

強い者は生き残れない(吉村仁著)・書評より
[ 2012/05/15 17:00 ] 名文選・賢く生きる | TB(0) | CM(0)

この地名が危ない(楠原佑介著)

この地名が危ない (幻冬舎新書)この地名が危ない (幻冬舎新書)
(2011/12/22)
楠原 佑介

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昔の人たちは、地名を信号として、その特徴を後世や子孫に伝えようとしました。ところが、今の人たちは、先祖が記してくれた危険信号の地名を、イメージが悪いといって消そうとしたり、いいイメージの漢字をあて字にしたりして、ごまかそうとしています。

それらを読み解き、昔の地名を甦らせて、その本当の意味するところを示そうとするのが本書です。著者の地道な努力に頭が下がる思いです。その一部を紹介させていただきます。


・サク(咲)はサケル(裂)と同じ語源で、「固く閉じていた蕾が開く」こと。桜もサク(咲)ラ(接尾語)で、溶岩と火山灰を噴き出す火山もサク(裂)ラ。桜島は、桜の名所でもないのに、人々に「桜島」と呼ばれるようになった

・福島第二原発がある「波倉」は、相当に危険な地名。「倉」や「蔵」は、動詞クル(刳)が名詞化した語。「地面がえぐられた地形」に使われる。文字通り「波がえぐった地」のこと。そのものズバリ、津波の痕跡を示す地名

・「鎌倉」の地名は、倉庫や蔵屋敷と全く関係がない。津波に何度も襲われ続けて作られた「釜」(自然に噛まれたような凹型)状の「倉」(地面がえぐられた地形)の意味

・「名取」のナは「土地」の古語。トリ(取)は、洪水・津波による土地の欠損・崩壊を示す地名

・宮城県名取市の上余田・下余田あたりは、その昔、湿地だったころ、地元住民は「よた(津波)の地」と呼んだ。やがて、「余田」の文字を宛て、ヨデンなる地名が定着した

・宮城県女川市、福島県いわき市小名浜のオナ(ヲナ)は「雄(男)波」のヲナミを下略して津波を「ヲナ」と呼んだ名残りと推測できる。岩手県宮古市「女遊戸」、釜石市「女遊部」のオナッペと読む小集落は、「ヲナ(津波)が遊水地を作るあたり」と考えるのが自然

・浜名湖は室町時代の大津波でぽっかり開口し、今の形になった。天竜浜名湖鉄道の尾奈駅あたりは、江戸時代まで尾奈郷と呼ばれていた。古くは万葉集に「乎那能乎(おなのお)」と読まれた山がある。津波が襲った先史時代の記憶がヲナの地名を今に伝えている

・「苔」の字を使ったコケ地名は「転倒する」意の動詞コケル(転)、さらにカケル(欠)にも通じるから、崩壊地形を表わしたもの

・「芋」は古くはウモと発音されたらしい。そのウモとは、「(地中に)埋もれたもの」という意味。中越地震の震源域を流れる芋川は、まさに「埋もれる川」そのもの。地震被災地周辺の中越地方には、「芋〜」「伊毛」という語系の集落が7カ所ある

・中越地震で山崩れの悲劇が起きた長岡市妙見地区のミョウケンは、妙義、妙高と同じく、メゲル「損壊」をいう古語が由来。ミヤケ(三宅)という地名も、メゲ→ミョウケ→ミョウケン→ミヤケと転じたもの

・阪神淡路大震災で被害の大きかった神戸の灘(ナダ)は海の灘ではなく陸の灘。陸地のナダは地面が撫でられた、地滑り、崖崩れなどの土砂災害を表わした語。雪崩も本来は、ナ(地面、土地)タレ(垂)で、地面が崩れ垂れるという意味

・房総半島の上総(かずさ)下総(しもふさ)は、東京湾と北の古代の香取海を塞ぐように延びた地が「フサの国」。その意味するところは、「入り海を塞ぐ国」のこと

・「安房」「阿波」などアワ(アバ・アハ)系の地名は全国に無数にある。アワの地名は、「本来は地中に合ったものが地表にアバかれた地」。新潟県の粟島は「粟しか栽培できない島」ではない。地震がある度に海底が隆起して陸地になった事実認識が代々引き継がれている

・石と磯(イソ)は混用された。釜石はカマイソの転で、「釜状にえぐられた海岸」の意味

・富山石川県境の石動の地名は、イシユルギ→イシルギの転。まさに「石が揺らぐ、動く」地。関東大震災は相模トラフ付近で発生した。この断層帯に淘陵(ゆるぎ)丘陵がある。この丘陵も、石動山地と同様、典型的な傾動地塊

・赤坂見附などの「見附」とは、江戸城の見附門とは関係なく、「(湖水に接する)水付けの地」か、津波に襲われて「水漬け」になる地のどちらか

・「樋」とは、樋口という形で地名に多用されるが、「川・水路」のヒビ割れで「地面に刻まれたひび状の凹部の連続」のこと

・東京スカイツリーの「押上」(おしあげ)や埼玉の「忍城」(おしじょう)のオシは、川と川がぶつかり、土砂が押し上げられた地名

・難波と書いてナンバと読む地名は各所にある。それらは、なばえる(斜めにする)という意味。大阪の難波も元来はナバで、傾斜地のこと。湾岸の低地になびく地形のこと


土地に値段が付き、取引されるようになってから、地名の改ざんが行われてきました。先祖の人たちが遺してくれた地名の読み方を、暗号として読み解かなければいけなくなっています。

本書のような視点で、地名を推理していくことは大事なことです。地震や災害の痕跡は、科学的調査だけでなく、地名によっても知ることができるという提言に、もっと耳を傾けてもいいのではないでしょうか。
[ 2012/05/15 07:07 ] 生物・食・環境の本 | TB(1) | CM(0)

目の前の利益と損失

人間は、目の前に利益があると、
それを確実に手に入れ、ギャンブルを避ける。
しかし、目の前に損失があると、
損失額をゼロにしようとギャンブル性の高い行動を示す。
そういう弱さが出て悪い結果を生む

億を稼ぐトレーダーたち(林知之著)・書評より
[ 2012/05/14 21:07 ] 名文選・稼ぎ生きる | TB(1) | CM(0)

待つことを学ぶ

待つことができるのは知性の力。
人間にとって一番進歩したのは理性であり、それは制御する力。
つまり、待つことを学ぶこと

不思議なほど気持ちがラクになる本(町沢静夫著)・書評より

ナイチンゲール心に効く言葉

ナイチンゲール 心に効く言葉ナイチンゲール 心に効く言葉
(2010/03/19)
フローレンス・ナイチンゲール

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ナイチンゲールの本を紹介するのは、「ナイチンゲール言葉集」に次いで、2冊目です。

さすがに、近代看護の祖と言われるだけあって、看護に対する使命と固い意志が半端じゃありません。

プロフェッショナルとしての看護師育成を目指した理念や思想は、今でもバイブルになっています。ナイチンゲールの数あるすごい言葉を「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・年ごと、月ごと、週ごとに、進歩を重ねていない限り、自分は退歩していると思って間違いない。立派な人間であるためには、つねに向上していなければならない

・結局のところ、どんな訓練も、その目的は、自分自身を訓練する方法、自分でものごとを観察する方法、自分でものごとを考え抜く方法を、私たちに教えることである

・優秀な看護師は、仕事を始めて何年経とうと、「毎日、何かを学んでいる

・謙遜は、自分自身を卑下することであり、自分を他者よりも下に位置づけると同時に、他者もそうすべきと望むこと。私が望むのは、偽りの自己評価ではなく、正確な自己評価

・真の友情は、素朴で女性らしく、素直なもの。弱さ、愚かさ、溺愛、騒々しさ、おふざけ、やりすぎ、さらに、嫉妬やわがままとは無縁

・相手の秘密に立ち入ろうとしたり、境遇に好奇心をもったりもせず、友の存在を心から喜び、そばにいないときも、その人を忘れないのが、真の友情

・自分に対して親切ではない人に、親切にすること。自分に対して不愉快なふるまいをする人に、礼儀正しくふるまうこと。深く傷つけられたときにも、その場で相手を許すこと。つまり、相手が足りないことを、自分がすること

・自分の心と知性を、そして理にかなった奉仕を、出し惜しみしてはいけない

気に入らない仕事でも、高い志をもってやり続け、やがて、その仕事が好きになれるかどうか。それが本物の看護師になるための試練である

・患者への質問は、誘導尋問になりがちで、何も引き出せない。五つか六つの鋭い質問で、全体の状況を引き出し、患者の「現在の状態」を正確に把握し、報告できる人は少ない

・自由にも従順さが必要である。なぜなら、看護師に必要な従順さとは、奴隷の従順さではなく、知性から生まれる従順さだから

・後悔は、本物の感情ではない。実際に存在する感情ではない。後悔は過去の自分を責める気持ち。後悔の念に屈すること、すなわち、防ぎようのなかったことに関して自分を責めるのは、正しいことではない。誤りを嫌悪すること、それが正しいこと

・人に対する批判的な心を和らげる最良の方法は、自分が批判している相手の役に立とうと努めること

・自分の管理下にある人たちの仕事ぶりを、探偵としてではなく、審判員として見守ること

・他人を管理するために何よりも求められる要因は、自分自身を管理できる人間であること

・人をおさめる者は、人をおさめたいとい欲の持ち主であってはならない。その立場に最もふさわしい人は、往々にして、人を支配することに全く気が進まないもの。しかし、必要に迫られて、そうなったときには、それを神の使命として受け止める

人をおさめる人に必要なものは、信頼に足る人であること。時間を守ること。物静かで、几帳面であること。清潔で、身だしなみがきちんとしていること。忍耐強く、ほがらかで、思いやりがあること

・これは仕事だからとか、これをすると出世につながるからなどという考えでいると、人の目があるときだけ、真面目に働くようになり、本当に信頼に足る人間にはなれない

・権威だと気づかれもせず、権威をふりかざすこともない。これこそ権威のあるべき姿



自分の好き嫌いや感情を後回しにして、それが気に入らないことであっても、客のために最善を尽くすのが、プロフェッショナルです。

今の日本の巷には、ニセのプロフェッショナルが横行しているように思います。プロフェッショナルの原点は、ナイチンゲールの「看護師の心得」にあるように思います。

プロフェッショナルを目指す人は、どんな職業であれ、ナイチンゲールを知っておくことは大事なことではないでしょうか。

公正であること

公正な人間であろうとすれば、
常に、力と権力の大きさに対して、
鋭い感覚を持っていなくてはならない。
だから、公正であることは難しい

ニーチェ道をひらく言葉・書評より

高額の給料をもらうということ

高額の給料は、生半可なことではもらえない。
給料は労働に対する屈辱費。
高額の給料をもらうということは、
それだけ屈辱の量も多いということになる

年収200万円のハッピー生活術(松原惇子著)・書評より
[ 2012/05/13 17:09 ] 名文選・稼ぎ生きる | TB(1) | CM(0)

暮らしの中のおじゃま虫(上村清著)

暮らしの中のおじゃま虫暮らしの中のおじゃま虫
(1986/05)
上村 清

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昨年、家にスズメバチがやってきて、困ったことがありました。そのとき、スズメバチ退治の方法をいろいろ調べました。

雨が多く、急に冷えた秋は、スズメバチが好物の昆虫が少なくなり、そういう時、クヌギなどの樹液を吸うことで、冬場に備えるそうです。庭にある背丈ほどに伸びたクヌギをバッサリ切ったら、スズメバチは来なくなりました。

このように、暮らしの中のおじゃま虫は数多くいます。これらを、昆虫、寄生虫、害虫など、虫別にわかりやすく解説しているのが本書です。

虫の生態と、それらの虫の適切な対処法と駆除法を知っておくと便利です。数多く掲載されている虫の中から、「虫の一部」ですが、紹介させていただきます。



・シロアリの被害が多くなったのは、暖房設備の普及で、熱帯性昆虫のシロアリがぬくぬくと冬を越せるようになったこと。結露がシロアリの好きな湿り気を与える

・シロアリ防除剤のクロルデンは環境汚染が問題となり、使用禁止になっている。シロアリからマイホームを守るためには、家のまわりの木片、廃材、切り株などを徹底的に片づけること

・イエバエはデンプン質の食べ物を好み、卵から成虫になるまでに10日以上かかる。ゴミ回収が毎週行われるようになって少なくなった。日中は屋外に出て、日向ぼっこをし、夕方には家に戻って、夜は天井で休む

・体長0.3ミリ大のヒョウダニは、人のふけを食べて生きている。ふけがたまっている古い家にはたくさんいる。気温25度、湿度75%付近で、最も成育、繁殖がよい。じゅうたんは格好の隠れ場所。小児喘息の原因の7〜8割がヒョウヒダニと言われている

・バスや電車などの座席にもダニがいっぱいいる。シートの背中や継目には、特別多く見つかる

・カレハ蛾の幼虫マツケムシは、体長6センチの大型の毛虫。触れると、胸の毒針毛を突き出す。触れると、皮膚炎を起こし、痛みの後にかゆみが2〜3週間続く。イラガ科の毛虫(柿、梅、桜、栗につく)も毒棘を持っており、触れると、飛び上るほどの痛みが走る

・灯火に集まる虫を求めて、捕食性のムカデ、ゲジなどがやってくる。これらは、昼間は落葉の下などに潜み、夜になると這いだして、ハエ、クモ、ゴキブリまで食べる。人が触れるとすばやく咬みつき、数日間は腫れと痛みが引かない。しかし、殺虫剤には弱い

・クモは肉食性で、各種の昆虫を捕食し、ゴキブリなどの家屋害虫や農業害虫の天敵で、保護すべき益虫。日本の毒クモは、咬まれても少し痛いかかゆい程度

・ヤモリは爬虫類だが、有益動物。家の門灯、ガラス窓、外壁にへばりついて、ハエなどの虫を食べてくれる。トカゲ、カナヘビもヤモリの仲間。身に危険があると、尻尾を自ら切り放す。昼はよく日向ぼっこをし、体を暖めている

・真夜中の台所では、洗い物や流しの上をゴキブリが闊歩している。昼間は、ガスレンジ、流し台の下、食器棚、冷蔵庫の裏に潜み、群がっている。このような場所は、糞で黒く汚れている。夜になると、野菜、残飯など手当たり次第に食べる

・ゴキブリが住みつけなくするには、残飯などを速やかに整理し、流し、ガスレンジ、食器棚などと壁とのすき間を封じ、隠れ場所をなくすこと。また、ゴキブリは水をよく飲むので、流しの水をよく切って、乾燥させておくこと

・本棚や押し入れの中を、銀白色に光るヤマトシミが走る。デンプン質を好み、糊づけした本の表紙、壁紙などをかじり取るが、穴を開けることはない。衣服、毛織物、小麦粉やパンなどの食品も食べる。絶食に1年以上耐え、2〜3年生き続ける。乾燥や光を嫌う

・イガもカツオブシムシも羊毛や毛皮のケラチンが大好物で、それを分解消化する酵素を持っている。しかし、栄養にならない化学繊維までもかじる。衣服についた食べこぼし手あかなども食べるため

・スズメバチとアシナガバチの毒液はセロトニン、ヒスタミンが主成分なので、刺されると非常に痛い。ミツバチの毒針のようなかえしがないので、一匹で何回も刺すことができる。秋には、人が巣に触れなくても、付近を通っただけで攻撃してくる

・カメムシは触れると、その青臭いむかつくような悪臭を発することで有名。近年、新興住宅地でも、人家に飛来してくるのは、造成地や空地、斜地に繁殖を始めたクズの群生に卵を産みつけるため



・見た目とは違って、虫の中にも、可愛くて、有益なものもいます。単に、気持ち悪いからと退治するのではなく、有害な虫だけ、駆除していきたいものです。

本書には、人家や人家近辺にいる、一通りの気になる虫が収められています。予備知識をもって、対処することが必要だと思いました。


[ 2012/05/12 07:04 ] 生物・食・環境の本 | TB(0) | CM(0)

ストレスを回避する、乗り越える

人間学は、
余計なストレスを回避する、
さらに、ストレスを受けても、
パニックにならずにストレスを乗り越える、
そのための指針を与える学問

人生に勝つ脳(篠浦伸禎著)・書評より

どん底に落ちる

「落ち着く」というのは、
落ちるところまで落ちて、どん底に着くことである。
どん底まで行かなくてはだめ

親鸞と生きる(紀野一義著)・書評より

第三の敗戦(堺屋太一著)

第三の敗戦第三の敗戦
(2011/06/04)
堺屋 太一

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堺屋太一さんの本を紹介するのは、「堺屋太一の見方」「凄い時代」「歴史の使い方」に次ぎ4冊目となります。

その先見性の高さは、日本のドラッカーと言ってもいいくらいです。現在は、橋下徹大阪市長の顧問というか参謀を務められています。テレビの歴史番組にも、時々顔を出されています。

本書は、日本の歴史を通して、今は、どんな時代になっているのか。今、何をしなければならないのかを提言するものです。勉強になった箇所が数多くありました。「本の一部」ですが、紹介させていただきます。



・「近代」に入って150年、日本は二度、悲惨な敗戦(徳川幕府体制崩壊と太平洋戦争敗北)を経験した。だが、その都度甦り、より強く、より豊かで、より楽しい国となり、大胆に新しい「国のきもち(倫理)とかたち(構造)」を創り上げた

・近代最初の敗戦は、薩英戦争や馬関戦争での惨敗。この時の日本は、軍事的に敗北しただけでなく、技術、制度、社会の体質、倫理観、美意識に至るまで敗北を実感した。このため日本は、すべてを変更する大革命「明治維新」を断行した

・徳川時代の寺子屋は、封建身分社会で安定的に生きる術と思想を教えるものであった。徳川後半期に流行した石門心学は、勤勉と倹約を説いたが、生産性の向上は語らなかった

・17世紀初めの「大坂夏の陣」が終わった後、武士は徴税(年貢取り)に当たる行政官か、治安監視の警察機能を持つだけとなった。武士を「職業」ではなく、「身分」として保つためには、無為無能な者も勤まる形にしなければならなかった

・幕末の日本は惨めだった。経済は最貧国の状態にあり、ほとんどが一次産業に従事し、交通輸送は人の足と木造船、情報は飛脚、行政手法や立法司法は勘のみが頼り。治安の良さと暮らしの清潔さを除けば、「最貧の孤立国」でしかなかった

・国の「かたち(構造)」の基には、その国の目指す「きもち(倫理)」が明確であらねばならない。明治維新の凄さは、薩長土肥の寄り合い世帯にもかかわらず、目指す「かたち」が一方向(中央集権)に揃っていたこと

・明治の目標は進歩、それに役立つ人間は仕事に勤勉で国家に忠勇であるべき。そのためには、先ず読み書きができ、同僚との協調性がなければならない。何より重要なのは、命令に従って突進すること

・司馬遼太郎は、自らの軍隊経験から、「軍は軍を守るのであって、国民を守るのではない」と喝破した。このことは、軍でしか出世する道のない職業軍人が組織化され、非軍人の指揮監督(シビリアン・コントロール)なしに行動し出した時に始まった

・太平洋戦争の敗因(日本の第二の敗戦)は、高級軍人や官僚たちの組織と思考の硬直化と、地位の身分化にあった。他に転職できない終身雇用型の縦割り組織では、その組織の発展拡大に属する構成員だけの幸せが優先される

・戦後の日本は、安全、平等、効率の三つを正義とする倫理観を確立した。そのことは誤りではない。ただ問題は、この三つだけが正義と見なされ、他が捨てられたこと。その中には、自由楽しさは入っていない

・1989年までの日本は、産業大国の道をひた走り、その過程で日本は三つのサブ・システム「1.金融系列の企業集団」「2.没個性型の大量教育」「3.東京一極集中の地域構造」を実現する

・戦時体制下の東京一極集中政策(産業経済の中枢管理・情報発信・文化創造)が、戦後も継続拡大された。官僚主導と業界協調体制、規格大量生産の形式に利用できたから

・小泉純一郎退任後(2006年以降)政治が無能短命内閣を繰り返している間に、官僚たちは次々と規制強化を始めた。そのためのキャッチフレーズは「安心安全」と「弱者保護

・支出総額に対して税収が半分以下というのは、完全な財政破綻状態。そんなことになったのは、徳川幕府の末期と太平洋戦争の時の二度だけ。これだけでも、現在は「敗戦状態

・この国には、公務員大企業の正規社員と、下請けの中小企業の社員と、各職場に必要に応じて日雇いされる作業員(労務者)との三層の社会ができている



堺屋史観が、江戸時代以降の日本の歴史を見事に解明しています。本書によって、今の日本の立ち位置が明確になっています。

歴史を知り、その検証から反省が生まれます。私たちが何をしてきたかがわかって始めて、私たちが何をしていくべきかがわかります。

第三の敗戦であることを受容すること、言い訳をしないこと、今を美化しないことが、発展の動機になるのではないでしょうか。


悪運を招くもの

運命が前もって決められていると考えるのは、
愚の骨頂としかいいようがない。
薄弱で貧困な意志、感情、思想こそが
悪運を招き、幸運を追いやってしまう

幸田露伴「努力論」を読む・書評より
[ 2012/05/10 21:07 ] 名文選・強く生きる | TB(0) | CM(0)

平和に必要なもの

「平和は無知な人間によって壊される。
だから、平和のために必要なものは、
真の教育と、それによって培われた豊かな教養である」
(王妃の館)

大人の実力(浅田次郎著)・書評より
[ 2012/05/10 17:08 ] 名文選・賢く生きる | TB(0) | CM(0)
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